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タイトル:公開特許公報(A)_3,5−ビス(ペンタフルオロスルファニル)−フェニル基を有するフタロシアニンの製造方法及び新規フタロシアニン
出願番号:2012196788
年次:2014
IPC分類:C07C 381/00,C07F 3/06,C09B 47/067,C07B 61/00


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柴田 哲男 飯田 紀士 徳永 恵津子 JP 2014051452 公開特許公報(A) 20140320 2012196788 20120907 3,5−ビス(ペンタフルオロスルファニル)−フェニル基を有するフタロシアニンの製造方法及び新規フタロシアニン 国立大学法人 名古屋工業大学 304021277 柴田 哲男 飯田 紀士 徳永 恵津子 C07C 381/00 20060101AFI20140221BHJP C07F 3/06 20060101ALI20140221BHJP C09B 47/067 20060101ALI20140221BHJP C07B 61/00 20060101ALN20140221BHJP JPC07C381/00C07F3/06C09B47/067C07B61/00 300 11 OL 16 4H006 4H039 4H048 4H006AA02 4H006AC24 4H006BA25 4H006TN10 4H006TN60 4H039CA41 4H039CD20 4H048AA01 4H048AA02 4H048AB92 4H048AC90 4H048VA66 4H048VB10本発明は3,5-ビス(ペンタフルオロスルファニル)−フェニル基を有するフタロシアニンの製造方法に関するものである。フタロシアニンは古くから知られている人工の有機青色色素であり、塗料や顔料として日常の様々な場面で使われている。さらにフタロシアニンは広く共役したπ空間を持つため特有の光学的性質があり、色素増感太陽電池、n型有機半導体、光ディスクなどの有機材料や光線力学的治療のための医薬品としての応用も期待されている化合物である。しかしながらフタロシアニンはそのπ電子系のため凝集を起こしやすく、溶解性の低下、機能性の喪失などを起してしまうことが問題とされている。そのためフタロシアニンを有機材料として応用する際にはいかにして凝集を抑制するかが最も重要である。α位への置換基導入は凝集の抑制に効果的でありこれまで様々なα置換のフタロシアニンが合成されてきた(非特許文献1-4)。Cook, M. J.; Daniel, M. F.; Harrison, K. J.; McKeown, N. B.; Thompson, A. J. J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1987, 1086.Cammidge, A. N.; Cook, M. J.; Harrison, K. J.; McKeown, N. B. J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1 1991, 3053.Cook, M. J.; Dunn, A. J.; Howe, S. D.; Thompson, A. J.; Harrison, K. J. J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1 1988, 2453.Cook, M. J. J. Mater. Sci.: Mater. Electron. 1994, 5, 117.しかし、α置換体のフタロシアニン、特にα位に電子供与性基の入ったフタロシアニンはイミノ窒素のルイス塩基性度を上げることでフタロシアニン自体の反応性が上がり分解しやすくなるという問題点があった。そこで強力な電子求引性基であり非常にかさ高い置換基であるペンタフルオロスルファニル基(SF5)を用いてフタロシアニンのイミノ窒素のルイス塩基性度を抑えつつ凝集を抑制できないかと考えた。杉森らのα位にフェニル基を導入したフタロシアニンの報告 (下記非特許文献5) を参考にして、4-(3,5-ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)フタロニトリ、3-(3,5-ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)フタロニトリルをそれぞれ合成し、さらにこれらからフタロシアニンを合成した。(非特許文献5)Sugimori, T.; Okamoto, S.; Kotoh, N.; Honda, M.; Kasuga, K.; Chem. Lett. 2000, 1200 本発明は上記問題点に鑑みて、3,5-ビス(ペンタフルオロスルファニル)−フェニル基をカップリング反応によりフタロニトリルのβ位およびα位にそれぞれ導入したフタロシアニンの製造方法及び新規フタロシアニンを提供することを目的とする。上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は一般式(1)で表されるフタロニトリル誘導体の製造方法であって下記(化1)に示す反応式のように3,5-ビス(ペンタフルオロスルファニル)−フェニルボロン酸誘導体を4位に脱離基を持つフタロニトリル誘導体と鈴木・宮浦カップリング反応させる工程からなる。請求項2に記載の発明は、3,5-ビス(ペンタフルオロスルファニル)−フェニルボロン酸誘導体がボロン酸、ボロン酸エステル、トリフルオロボレートからなる群から選択されている請求項1記載の方法にある。請求項3記載の発明は4位に脱離基を持つフタロニトリル誘導体の脱離基がフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、トシレート、トリフレート、メシチレートからなる群から選択されている請求項1または2記載の方法にある。請求項4記載の発明は一般式(2)で表されるフタロニトリル誘導体の製造方法であって下記(化3)に示す反応式のように3,5-ビス(ペンタフルオロスルファニル)−フェニルボロン酸誘導体を3位に脱離基を持つフタロニトリル誘導体と鈴木・宮浦カップリング反応させる工程からなる。請求項5記載の発明は3,5-ビス(ペンタフルオロスルファニル)−フェニルボロン酸誘導体がボロン酸、ボロン酸エステル、トリフルオロボレートからなる群から選択されている請求項4記載の方法にある。請求項6記載の発明は3位に脱離基を持つフタロニトリル誘導体の脱離基がフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、トシレート、トリフレート、メシチレートからなる群から選択されている請求項4または5記載の方法にある。請求項7記載の発明は下記一般式(3)、および一般式(4)で表されるフタロシアニン誘導体の製造方法であって下記(化5)に示す反応式のように(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロニトリル誘導体と金属化合物と反応させる工程からなる。 (式中のMは水素原子,金属元素,半金属元素,金属酸化物,半金属酸化物,金属水酸化物,半金属水酸化物,金属ハロゲン化物,半金属ハロゲン化物を示す。)請求項8記載の発明は(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロニトリル誘導体として4−(3,5−ビスペンタフルオロスルファニルフェニル)−フタロニトリルを用いる請求項7記載の方法にある。請求項9記載の発明は(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロニトリル誘導体として3−(3,5−ビスペンタフルオロスルファニルフェニル)−フタロニトリルを用いる請求項7記載の方法にある。請求項10記載の発明は下記一般式(3)で表されるフタロシアニン誘導体にある。請求項11記載の発明は下記一般式(4)で表されるフタロシアニン誘導体にある。原料となるフタロニトリルは非特許文献5を参考に鈴木・宮浦カップリングによって合成可能である。使用する原料のボロン誘導体はボロン酸のほかボロン酸エステル、トリフルオロボレートを用いることができ、好ましくはボロン酸である。芳香族誘導体の脱離基には塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、トシレート、トリフレート、メシチレートなど脱離能の大きい置換基が使用可能であり、ヨウ素およびトリフラートを用いるのが望ましい。用いる金属触媒は特に限定されないが0価のパラジウムなどを用いることができる。触媒はあらかじめ調整したものを用いることもできるし、系中で調整したものを用いることもできる。触媒の配位子は特に限定されないがホスフィン配位子が使用可能であり、例えばトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリiso-プロピルホスフィン、トリtert-ブチルホスフィン、ジフェニルホスフィノフェロセン、ジフェニルホスフィノペンタセンなどが使用できる。用いる塩基は弱塩基である炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、強塩基である水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムなどを使用することができる。溶媒の種類は特に限定されないが,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n−ブチルメチルエーテル,tert−ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,メシチレン,ジイソプロピルベンゼン,ピリジン,ピリミジン,ピラジン,ピリダジン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド等の溶媒;メタノール,エタノール,プロパノール,イソプロピルアルコール,アミノエタノール,N,N-ジメチルアミノエタノール等のアルコール系溶媒;イオン性液体、水が挙げられ、またこれらの混合溶媒も用いることができる。反応温度は室温から150℃の間で可能であるが好ましくは80℃である。フタロシアニン誘導体の合成は原料であるフタロニトリル誘導体を用いて合成可能である。 Mが示す金属元素としては,アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,ランタノイド系金属,アクチノイド系金属を用いることができる。具体的には,リチウム,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウム,スカンジウム,イットリウム,チタン,ジルコニウム,クロム,マンガン,モリブデン,鉄,ルテニウム,コバルト,ロジウム,ニッケル,パラジウム,ニッケル,銅,亜鉛,アルミニウム,ガリウム,インジウム,スズ,ランタン,ウランなどが挙げることができる。Mが示す半金属元素としては,例えば,ホウ素,ケイ素,砒素,ゲルマニウム,鉛などが挙げることができる。Mが示す金属酸化物としては,アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,ランタノイド系金属,アクチノイド系金属の酸化物を用いることができる。具体的には,酸化リチウム,酸化マグネシウム,酸化カルシウム,酸化チタン,酸化クロム,酸化マンガン,酸化モリブデン,酸化鉄,酸化ルテニウム,酸化銅,酸化亜鉛,酸化アルミニウム,酸化ガリウム,酸化ランタン,酸化ウランなどが挙げることができる。Mが示す半金属酸化物としては,例えば,ホウ素酸化物,ケイ素酸化物,砒素酸化物,ゲルマニウム酸化物,鉛酸化物などが挙げることができる。 Mが示す金属水酸化物としては,アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,ランタノイド系金属,アクチノイド系金属の水酸化物を用いることができる。例えば,水酸化アルミニウム,水酸化インジウム,水酸化タリウムなどが挙げることができる。 Mが示す半金属水酸化物としては,例えば,ホウ素水酸化物,ケイ素水酸化物,砒素水酸化物,ゲルマニウム水酸化物,鉛水酸化物などが挙げることができる。Mが示す金属ハロゲン化物としては,アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属,ランタノイド系金属,アクチノイド系金属のハロゲン化物を用いることができる。ハロゲン原子としては,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,又はヨウ素原子のいずれでもよい。 Mが示す半金属ハロゲン化物としては,例えば,例えば,ホウ素ハロゲン化物,ケイ素ハロゲン化物,砒素ハロゲン化物,ゲルマニウムハロゲン化物,鉛ハロゲン化物などが挙げることができる。ハロゲン原子としては,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,又はヨウ素原子のいずれでもよい。本発明の化合物には四種類の構造異性体が存在するがこれらの異性体はいずれも本発明の範囲に含まれる。また構造異性体の任意の混合物も本発明の範囲に含まれる。本発明のペンタフルオロスルファニルフタロシアニンは種類に応じて塩を形成する場合があり、また水和物、溶媒和物として存在する場合があるがこれらの物質はいずれも本発明の範囲に含まれる。溶媒の種類は特に限定されないが,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n−ブチルメチルエーテル,tert−ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,メシチレン,ジイソプロピルベンゼン,ピリジン,ピリミジン,ピラジン,ピリダジン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド等の溶媒;メタノール,エタノール,プロパノール,イソプロピルアルコール,アミノエタノール,N,N-ジメチルアミノエタノール等のアルコール系溶媒;超臨界二酸化炭素,イオン性液体が挙げられるが,N,N-ジメチルアミノエタノールが最も好ましい。合成したフタロシアニンのUV/Visスペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図であって、β−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンの塩化メチレン中でのUV/Visスペクトルである。合成したフタロシアニンのUV/Visスペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図であって、α−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンの塩化メチレン中でのUV/Visスペクトルである。合成したフタロシアニンのUV/Visスペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図であって、 α−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニン、α−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−亜鉛フタロシアニン、α−フェニル−亜鉛フタロシアニンのUV/Visスペクトルである。合成したフタロシアニンのUV/Visスペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図であって、β−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンの塩化メチレン中での蛍光スペクトルである。合成したフタロシアニンのUV/Visスペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図であって、α−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンの塩化メチレン中での蛍光スペクトルである。以下表1から表5に合成したフタロシアニンのUV/Visスペクトルおよび蛍光スペクトルを示し説明する。表1は、β−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンの塩化メチレン中でのUV/Visスペクトルである。表2は、α−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンの塩化メチレン中でのUV/Visスペクトルである(表1)β−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンの塩化メチレン中でのUV/Visスペクトル(表2)α−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンの塩化メチレン中でのUV/Visスペクトル表1と表2よりUV/Visスペクトルからβ−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンでは溶液中で強く凝集していることが分かった。これはフェニル基が導入されたことでπ平面が拡張されよりスタッキングが強くなったためだと考えられる。一方α−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンでは全く凝集作用を示さないことが明らかとなった。これはかさ高いペンタフルオロスルファニル基によってフェニル基の回転が妨げられることによりフェニル基がフタロシアニン面に対して垂直に近い角度で存在し、凝集を阻害しているからだと考えられる。ペンタフルオロスルファニル基の効果を詳しく調べるためフェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基を持つフタロシアニンとの比較を行った。表3は、α−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニン、α−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−亜鉛フタロシアニン、α−フェニル−亜鉛フタロシアニンのUV/Visスペクトルである。(表3)ペンタフルオロスルファニル基、トリフルオロメチル基、フェニル基のUV/Visスペクトルの比較表3よりPh基が導入されたフタロシアニンでは溶媒中のプロトンによりプロトン化が起こりレッドシフトしている。3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基においてもプロトンが起こっているが3,5−ビス(ペンタフルオロスルファニル)フェニル基を持つフタロシアニンでは全くプロトン化が起こっていない。これはかさ高い置換基である3,5−ビス(ペンタフルオロスルファニル)フェニル基によりプロトンが近づくのが妨げられているためだと考えられる。フタロシアニンの窒素上の塩基性度が上がりプロトン化しやすくなるとフタロシアニンの分解も起こりやすくなるため、耐久性の面から好ましくない。今回合成したフタロシアニンはプロトン化が抑えられているため耐久性の向上が期待できる。表4は、β−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンの塩化メチレン中での蛍光スペクトルである。表5は、α−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンの塩化メチレン中での蛍光スペクトルである。表4と表5よりβ−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンでは凝集により蛍光量子収率が低い結果となった。一方でα−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンは凝集していないため高い蛍光量子収率を示した。この結果はUV/Visスペクトルの結果と一致している。以下,実施形態により本発明をさらに具体的に説明するが,本発明の範囲は下記の実施形態に限定されることはない。 (第1実施形態)4−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロニトリルの合成窒素置換した50 ml のナスフラスコに4-ヨードフタロニトリル200 mg(0.787 mmol), 3,5-ビス(ペンタフルオロスルファニル)-フェニルボロン酸324 mg(0.866 mmol), 酢酸パラジウム17.7 mg(0.0787 mmol), トリフェニルホスフィン 83 mg(0.315 mmol), リン酸カリウム 501 mg (2.362 mg), 十分脱気を行ったトルエン / 水 = 1 / 1 の混合溶媒17 mlを加え90℃にて反応を10 時間行った。薄層シリカゲルクロマトグラフィーで原料消失を確認後室温まで冷却し,水を加え希釈したのち酢酸エチルで抽出を行い,有機層を飽和食塩水 で洗い,硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン / 酢酸エチル = 8 / 2)で精製し目的物を223 mg(収率62%)で得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.93-8.043 (m, 3H), 8.09 (d, 2H, J = 1.8 Hz), 8.27 (t, 1H, J = 2.4 Hz,1.8Hz)19F NMR (282 MHz, CDCl3): δ = -149.9 (quintet, 2F, J = 151 Hz) -167.3 (d, 8F, J = 149 Hz) (第2実施形態)3−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロニトリルの合成窒素置換した50 ml ナスフラスコにトリフルオロスルホン酸2,3-ジシアノ-フェニルエステル210 mg(0.761 mmol), 3,5-ビス(ペンタフルオロスルファニル)-フェニルボロン酸285 mg(0.761 mmol)、酢酸パラジウム 8.7 mg(0.0390 mmol), トリフェニルホスフィン40.7 mg(0.155mmol), リン酸カリウム (485 mg, 2.28 mmol), 十分に脱気を行ったトルエン / 水 = 1 / 1 の混合溶媒17 ml を加え90℃にて反応を2.5 時間行った。薄層シリカゲルクロマトグラフィー で原料消失を確認後室温まで冷却し,水を加え希釈したのち酢酸エチルで抽出を行い,有機層を飽和食塩水で洗い,硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン / 酢酸エチル = 7 / 3)で精製し目的物を212 mg(収率61%)で得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.82 (d, 1H, J = 6.5 Hz), 7.92 (q, 1H, J = 7.7 Hz), 7.96 (d, 1H, J = 6.5 Hz), 8.11(s, 2H), 8.30 (s, 1H)19F NMR (282 MHz, CDCl3): δ = -150.0 (quintet, 2F, J = 150.8 Hz), -167.3 (d, 8F, J = 150.8 Hz) (第3実施形態)β−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−亜鉛フタロシアニンの合成窒素置換した20 mlナスフラスコに4−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロニトリル90 mg(0.197 mmol),塩化亜鉛6.7 mg(0.0493 mmol), N,N-ジメチルアミノエタノール 1 mlを加えて135℃にて反応を行った。5 時間反応させた後室温まで冷却し,水をくわえて結晶を析出させた。結晶をろ取し,水で洗い五酸化二リンとともにデシケーター内で乾燥させた。粗結晶を酢酸エチル に溶かし,ヘキサン を加えて結晶化させることで精製し目的物を55 mg(収率59%)で得た。IR (KBr): 3417, 2928, 2857, 1718, 1603, 1445, 1395, 1097, 874, 731, 662, 595, 468 cm-1MALDI-TOF calculated for C56H24F40N8S8Zn [M-H+]- 1890.69 found 1889.50 (第4実施形態)α−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロシアニンの合成窒素置換をした試験管に3−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロニトリル50.0mg(0.110 mmol)、塩化亜鉛5.0 mg(0.0365 mmol)を加えよく攪拌して混合したのち230℃にて90 分加熱した。反応後,室温まで冷却し,シリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン / 酢酸エチル8 / 2)で精製し目的物を24 mg(収率35%)で得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 8.18 (d,4H, J = 6.9Hz), 8.22 (s, 4H) 8.53 (d, 4H, J = 6.9 Hz) 8.92 (s, 4H), 9.02 (s, 8H)19F NMR (282 MHz, CDCl3): δ = -146.9 (quintet, 2F, J = 149.4 Hz), -165.5 (d, 8F, J = 149.5 Hz)MALDI-TOF calculated for C56H24F40N8S8Zn [M-H+]- 1890.69 found 1889.42一般式(1)で表されるフタロニトリル誘導体の製造方法であって下記(化1)に示す反応式のように3,5-ビス(ペンタフルオロスルファニル)−フェニルボロン酸誘導体を4位に脱離基を持つフタロニトリル誘導体と鈴木・宮浦カップリング反応させる工程からなる製造方法。前記3,5-ビス(ペンタフルオロスルファニル)−フェニルボロン酸誘導体がボロン酸、ボロン酸エステル、トリフルオロボレートからなる群から選択されている請求項1記載の方法。前記4位に脱離基を持つフタロニトリル誘導体の脱離基がフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、トシレート、トリフレート、メシチレートからなる群から選択されている請求項1または2記載の方法。一般式(2)で表されるフタロニトリル誘導体の製造方法であって下記(化3)に示す反応式のように3,5-ビス(ペンタフルオロスルファニル)−フェニルボロン酸誘導体を3位に脱離基を持つフタロニトリル誘導体と鈴木・宮浦カップリング反応させる工程からなる製造方法。前記3,5-ビス(ペンタフルオロスルファニル)−フェニルボロン酸誘導体がボロン酸、ボロン酸エステル、トリフルオロボレートからなる群から選択されている請求項4記載の方法。前記3位に脱離基を持つフタロニトリル誘導体の脱離基がフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、トシレート、トリフレート、メシチレートからなる群から選択されている請求項4または5記載の方法。下記一般式(3)、および一般式(4)で表されるフタロシアニン誘導体の製造方法であって下記(化5)に示す反応式のように(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロニトリル誘導体と金属化合物と反応させる工程からなる製造方法。(式中のMは水素原子,金属元素,半金属元素,金属酸化物,半金属酸化物,金属水酸化物,半金属水酸化物,金属ハロゲン化物,半金属ハロゲン化物を示す。)前記(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロニトリル誘導体として4−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロニトリルを用いる請求項7記載の方法。前記(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロニトリル誘導体として3−(3,5−ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロニトリルを用いる請求項7記載の方法。下記一般式(3)で表されるフタロシアニン誘導体下記一般式(4)で表されるフタロシアニン誘導体 【課題】(3,5-ビス−ペンタフルオロスルファニル−フェニル)−フタロシアニンの製造【解決手段】凝集を抑制するためα位に置換基を導入するとイミノ窒素のルイス塩基性度が上がり分解しやすくなってしまう。今回我々は3,5-ビス(ペンタフルオロスルファニル)フェニル基を用いることでフタロシアニンの凝集を抑え、プロトン化を抑制することに成功した。フタロシアニンのイミノ窒素の塩基性度が抑えられたことによりフタロシアニン自体の耐久性の向上が期待できる。【選択図】なし


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