タイトル: | 公開特許公報(A)_ボイル・レトルト殺菌された食品を製造する包装材料の検査方法、および、その検査方法を用いたボイル・レトルト殺菌された食品の製造方法 |
出願番号: | 2012186129 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G01N 25/02,B65D 81/24,A23L 3/00 |
奥谷 祐紘 小野 雅章 立石 康 JP 2014044101 公開特許公報(A) 20140313 2012186129 20120827 ボイル・レトルト殺菌された食品を製造する包装材料の検査方法、および、その検査方法を用いたボイル・レトルト殺菌された食品の製造方法 東レフィルム加工株式会社 000222462 岩見 知典 100104950 奥谷 祐紘 小野 雅章 立石 康 G01N 25/02 20060101AFI20140214BHJP B65D 81/24 20060101ALI20140214BHJP A23L 3/00 20060101ALN20140214BHJP JPG01N25/02 ZB65D81/24 LA23L3/00 101C 2 OL 12 2G040 3E067 4B021 2G040AA05 2G040AB07 2G040BA24 2G040CA17 2G040CA18 2G040CA23 2G040DA12 2G040GC01 3E067AA03 3E067AB01 3E067BA12A 3E067BB14A 3E067CA04 3E067CA24 3E067EA06 3E067FA01 3E067FB12 3E067FC01 3E067GC02 3E067GD10 4B021LA05 4B021LP01 4B021MQ01 本発明はガスバリア性フィルムを使用した包装材料を用いたボイル・レトルト殺菌された食品の製造後のガスバリア性フィルムのガスバリア性を評価する検査方法、および、その検査方法を用いて確認された使用包装材料のボイル・レトルト殺菌された食品の製造後のガスバリア性能が低下しない製造条件を用いて、ガスバリア性フィルムを使用した包装材料を用いたボイル・レトルト殺菌された食品の製造方法に関する。 高分子フィルム上に金属あるいは、金属酸化物を蒸着したフィルムは、ガスバリア性フィルムとしてボイル・レトルト殺菌された食品の包装材料として広く使用されている。 現在、このようなガスバリア性フィルムとしては、たとえば、基材フィルム表面の少なくとも片面に、平均膜厚が0.001〜1.0nmの金属蒸着層が積層され、さらにその上に、平均膜厚が5〜100nmの無機酸化物からなる蒸着層が積層され、さらにその上に、厚さが0.01〜5μmの水溶性シリコン系樹脂が積層されたガスバリア性フィルム(特許文献1)、プラスチックフィルムの少なくとも一面に、無機酸化物もしくは無機窒化物で構成される蒸着層と、樹脂層を積層したガスバリア性フィルムであって、その樹脂層は、20〜70重量%の水酸基を有する不飽和化合物と、不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群から選択される1つ以上の不飽和化合物との共重合体で構成される主剤と、イソシアネート基を有する化合物で構成される硬化剤とで構成されるアクリル系樹脂と、0.0010〜0.10g/m2の酸無水物から構成されるガスバリア性フィルム(特許文献2)が提案され、実用化されている。 気体を含んで密封されたいわゆる含気軟包装袋に加圧殺菌処理を施す方法として、一定の加圧状態を保持したまま加熱殺菌そして冷却を行って充填軟包装袋の破袋を防ぐ方法が知られている(特許文献3)。また殺菌処理がほぼ終了した後であって殺菌処理槽内が冷却される前に、殺菌処理槽内の圧力を殺菌処理時の圧力を高くすることにより、充填軟包装袋が膨張してこれを支持している部材との接触による損傷が発生しない効果を実現している(特許文献4)。また、レトルト食品のパウチの充填時の気体含有率が3%から6%であることを特徴としパウチを損傷することなく、短時間に確実に容易にその内容物の殺菌を行う方法も知られている(特許文献5)。特開2009-23114号公報特開2010-131756号公報特開昭61-63271号公報特開平5-161485号公報特開平7-125779号公報 しかし、これらのガスバリア性フィルムをボイル・レトルト殺菌された食品の包装材料として用いた場合、ボイル・レトルト殺菌された食品の食品が予定された期間以内に酸化により変色を起こしたり、食品の賞味期間が予定された期間を下回ったり、保香性の維持が予定された期間に達しない問題が起こることがあった。これらの場合、問題が起こった包装材料に使用したガスバリア性フィルムの酸素透過率を測定すると食品加工前のガスバリア性フィルムの酸素透過率が大幅に悪化していることが判った。 本発明の課題は、ガスバリア性フィルムを使用した包装材料を用いたボイル・レトルト殺菌された食品の製造後のガスバリア性フィルムのガスバリア性を予測する検査方法及びその予測検査方法を用いて確認された使用包装材料のボイル・レトルト殺菌された食品の製造後のガスバリア性能が低下しない製造条件を用いて、ガスバリア性フィルムを使用した包装材料を用いたボイル・レトルト殺菌された食品の製造方法を提供することである。 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の発明に到った。すなわち、 フィルム表面にテストパターンを印刷したガスバリア性フィルムを包装材料として用い、該包装材料内に内容物を充填しシールし、シール後の内容物充填包装材料を加熱処理し、加熱処理後のテストパターンの寸法の変化を測定することを特徴とするボイル・レトルト殺菌された食品を製造する包装材料の検査方法、 上記に記載の検査方法を用いて加熱処理後のテストパターンの寸法増加が原寸法の0.6%以下であることを特徴とするボイル・レトルト殺菌された食品の製造方法である。 本発明の検査方法によれば、ガスバリア性フィルムを用いた包装材料を用いたボイル・レトルト殺菌された食品を製造した後の包装材料のガスバリア性を迅速に予測することができる。 本発明の検査方法を用いて、ガスバリア性フィルムを用いた包装材料を用いたボイル・レトルト殺菌された食品を製造した後の包装材料の寸法変化がない、製造条件を確立することができる。この製造条件を用いて、実際に製造すると、食品加工前のガスバリア性フィルムの酸素透過率を悪下させないことができる。本発明におけるテストパターンの一例を示す。テストパターンの横(TD)方向の寸法変化と加熱処理後の包装材料の酸素透過率の相関を示す。テストパターンの縦(MD)方向の寸法変化と加熱処理後の包装材料の酸素透過率の相関を示す。 以下、本発明を詳しく説明する。 本発明において、ガスバリア性フィルムとはポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルムにアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等のガスバリア層を真空蒸着等により設けたものをいう。プラスチックフィルムは多層積層フィルムであっても良い。 本発明において包装材料とは、前記ガスバリアフィルム単体であるいはシーラントフィルムを積層したものをパウチ化し加熱シールしたものをいう。 本発明において、シールとは、プラスチックフィルムを熱で溶かして圧着させる方法による公知の方法で行う。 本発明において、加熱処理とは、温度80℃から150℃までの温度で、1分から1時間の間、内容物充填包装材料を保持することをいう。 本発明において検査に供するガスバリア性フィルムの外側表面には全面にテストパターンが印刷されている。ここでガスバリア性フィルムの外側表面とは前記プラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられた側の表面をいう。前記プラスチックフィルムのガスバリア層が設けられた側の表面上にパターンが印刷されたものにシーラントフィルムを積層させても良いし、ガスバリア性フィルムとシーラントフィルムを積層した後に、ガスバリア層が設けられた側の表面にパターンを印刷しても良い。 テストパターンとしては、格子図形、ドット図形、放送用VTRの試験用画像、試験テレビ放送用の試験用パターンのように、フィルム表面の寸法変化が判るようにフィルム上に印刷された特定の位置の間の長さが測定できる図形をいう。例えば格子図形としては、格子状図形の一辺が1mmから50mm、好ましくは4mmから12mmのものが望ましい。例えば、ドット図形としては、隣接ドット間間隔が1mmから50mm、好ましくは1mmから12mmのものが好ましい。印刷は公知のプラスチックフィルム用のインキを用いて行う。インキは水溶性ではなく、沸騰水の中で溶けないことが必要である。色は黒色が好ましいが、テストパターン特定位置間の寸法がノギスで計ることができれば、特に指定はしない。テストパターンの図形の線幅、ドットの点幅は0.1mm以下が好ましい。ガスバリア性フィルムを用いた包装材料の加熱処理前後のある一定場所のテストパターンの各場所の長さを計ることにより、ガスバリアフィルムの寸法変化が判り、ガスバリアフィルムが膨張したか、収縮したかが判るようになる。そして後述するが、加熱処理後の寸法が増加するとガスバリア性が悪化していることを見出した。 前記の表面全体にテストパターンが印刷されたガスバリア性フィルムを単独で、あるいは無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネート等で積層したフィルムを袋の大きさで2枚切り出し、テストパターンが外側になるように重ね合せ、その三辺をヒートシールにより融着して袋を作成する。この袋に内容物を充填し、袋口をヒートシールにより閉じる。内容物は食品等実際の充填内容物であるが、実験的には水でよい。 そして、シール後の内容物充填袋を加熱処理する。加熱処理後、袋を取りだし、印刷パターンの寸法をノギスで計測する。たとえば、一辺の格子パターンの寸法が原寸法より増加していると、袋が膨張していること、一辺の格子パターンの寸法が原寸法より減少していると、袋が収縮していることが判る。 そして、加熱処理後の袋のシールを破り、内容物を取り出し、水で洗浄して、ガスバリア性を測定すると、加熱処理後のガスバリア性フィルムのガスバリア性を予測することができる。 本発明者は、テストパターンの寸法が原寸法より増加していると、ガスバリア性フィルムのガスバリア性が低下することを見出した。実施例において説明するが、寸法が最大0.6%を超えて増大するとガスバリア性が約10倍悪化することが判った。よって、本発明の検査方法により、ガスバリア性フィルムからなる積層フィルムを包装材料として用いたボイル・レトルト殺菌された食品を製造する際の加熱処理後の包装材料のガスバリア性を予測することができる。下記に示す酸素透過率の測定は5cm角のフィルム等の測定に1サンプル約20時間を要し、袋の全面にわたり、またサンプル数を大量に測ることはまず不可能であることを考えると、本検査方法は大量に袋の全面にわたり短時間で測定できることで極めて有用である。 そのため、実際の内容物を充填する生産の前に、製造条件ごとに本検査法により加熱処理後の包装材料のテストパターンの寸法変化を測定し、加熱処理後のテストパターンの寸法変化がない条件を見出し、その条件で製造すると好ましいボイル・レトルト殺菌された食品を製造することができると考えられる。テストパターンの寸法変化がないとは、テストパターン中のある一点と別のある一点との間隔が加熱処理前と加熱処理後で変化がないことをいう。変化がないとは、寸法測定の精度内であることをいう。現実的に寸法変化がない条件を見出せないときは、本発明において見出した寸法変化とガスバリア性との相関関係において得られるガスバリア性が加熱処理前のガスバリア性の10倍悪化する範囲内である、0.6%以内の寸法変化である条件を選択する。 以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。 (1)表面全面にテストパターンを印刷したガスバリア性フィルムの作成方法 本包装材料から20cm×20cmのフィルムを切り取り、本フィルムを印刷版状の下に置く。テストパターン化された版に、耐熱及び耐水性の黒色インキを流し込み、印刷版の下部にあるフィルムを、フィルムの上部にある印刷版へ1〜20秒接触させて、フィルムへ印刷する。格子状に印刷されたフィルムは、カールする為、型紙等に固定し、80℃×20分で、印刷部を乾燥させる。 (2)包装材料の作成方法 ガスバリア性フィルムと無延伸ポリプロピレンフィルム等の包装用シーラントフィルムとが積層されたフィルムをドライラミネート法で積層して作成する。種々の特性をもたらすためにさらにナイロンフィルム等を積層してもよい。 (3)包装材料内に内容物を充填しシールする方法 表面全体にテストパターンが印刷されたガスバリア性フィルムを単独で、あるいは無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネート等で積層したフィルムを袋の大きさで2枚切り出し、テストパターンが外側になるように重ね合せ、その三辺をヒートシールにより融着して袋を作成する。この袋に内容物を必要量充填し、袋口を19.5mmヒートシールにより閉じる。0.5mmの隙間に注射器を差込み、袋内の空気を取り除く。取除いた後、空気を必要量注射器で入れて、0.5mmの隙間をヒートシールする。内容物は食品等実際の充填内容物であるが、実験的には水でよい。 (4)シール後の内容物充填包装材料を加熱処理する方法 内容物を充填した製袋品を、温度80℃から100℃までの温水に投入し、1分から2時間の間、内容物を加熱処理し、温水から取出す。 (5)加熱処理後の包装材料外側のガスバリア性フィルム上の印刷したテストパターンの寸法の変化を測定する方法 加熱処理後、内容物を取り出し、水で洗浄して、下記シール部分を切り取り1枚の包装材料とし、ガラスの平板上に置き可能な限り密着させ印刷パターンの寸法をノギス(株式会社ミツトヨ製 500シリーズABSデジマチックキャリパCD-CX)で計測する。一辺の格子パターンをMD、TDで測定し、原寸法より増加及び減少しているかを精度0.01mmで確認する。 (6)包装材料のガスバリア性(酸素透過率)を測定する方法 ASTM D−3985に準じて、酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製OX−TRAN2/21)を用いて23℃、90%RHの条件で測定した。 [実施例1] ポリエステルフィルムに酸化アルミニウムを蒸着した、厚さ12μmのガスバリア性フィルム(東レフィルム加工株式会社製「バリアロックス」1011EG−C2)と、厚さ15μmのナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製“エンブレム”ONUM)と、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工株式会社製「トレファン」NO ZK207)をドライラミネートにより、この順番で積層し、包装材料とした。包装材料の酸素透過率は0.2cc/m2・day・atmであった。 本包装材料から20cm×20cmのフィルムを切り取り、その片側表面にテストパーンとして5mm間隔で格子状パターンを耐水性の黒色インクで印刷した。格子状パターンは四辺と垂直に形成した(図1)。図1において5cm角の位置番号を1から16とした。 本格子状パターンが印刷された包装材料の非印刷面を内側として、20cm×20cm分の大きさの3辺がシールされた袋を作成した。作成した袋は水が最大1400cc入れることができシールできた。(1)袋に水を1260cc加え、可能な限り空気を抜いてシールした。(2)袋に水を770cc加え、空気を490cc入れてシールした。(3)袋に水を910cc加え、空気を360cc入れてシールした。(4)袋に水を1050cc加え、空気を210cc入れてシールした。(5)袋に水を1190cc加え、空気を70cc入れてシールした。これらの水充填袋を、95℃、30分のボイル処理を行った。 処理後、室温に戻った後、シールを破り、水を抜き、各袋の原長5cm角の長さの増減値(mm)を測定した。測定結果を表1に示す。 また、処理後の袋より、酸素透過率測定用サンプルを切り出し、酸素透過率を測定した。測定結果を表1に示す。 表1では(1)から(5)の条件ごとに位置1から16の寸法変化(MD、TD)、酸素透過率の平均値も示した。寸法変化と酸素透過率の相関関係を平均値を用いて、表2、図2、図3に示す。図2、図3より、テストパターンの寸法が増大した包装材料は、酸素透過率が増大することが判る。図2は各位置におけるTDの伸び(mm)とボイル処理後の酸素透過率の対応を示す。図3は各位置におけるMDの伸び(mm)とボイル処理後の酸素透過率の対応を示す。 この実施例より、寸法が増大しない加工をすることが包装材料のガスバリア性を悪化させないためには好ましいことが判る。0.6%以下の増加率で製造させることが望ましい。 [実施例2] 実施例1において、本発明の検査方法により、加熱処理した後の包装材料のガスバリア性を予測することができることを示した。これを実際にボイル・レトルト食品の製造に適用することを示す。 株式会社平山製作所製の小型簡易レトルト殺菌器LM−42MIIIをもちいて、実施例1で使用した格子状パターンが形成された包装材料を用いて、下記袋の中の水を120℃、4分の加熱殺菌処理することを試みた(モード1)。(1)袋に水を1400cc加え、可能な限り空気を抜いてシールした。(2)袋に水を1350cc加え、可能な限り空気を抜いてシールした。(3)袋に水を1350cc加え、空気を50cc入れてシールした。(4)袋に水を1300cc加え、空気を100cc入れてシールした。(5)袋に水を1325cc加え、空気を75cc入れてシールした。(6)袋に水を1375cc加え、空気を25cc入れてシールした。(7)袋に水を1325cc加え、可能な限り空気を抜いてシールした。(8)袋に水を1300cc加え、可能な限り空気を抜いてシールした。(9)袋に水を1275cc加え、空気を25cc入れてシールした。 これらの水充填袋を120℃、4分の加熱殺菌処理した(モード1)。 処理後、室温に戻った後、シールを破り、水を抜き、各袋の原長5cm角の長さの増減値(mm)を測定した。16の5cm角のTD、MDの伸びの平均値は次の通りであった。(1)TD 0.42mm MD 0.04mm(2)TD 0.21mm MD 0.02mm(3)TD 0.30mm MD 0.03mm(4)TD 1.45mm MD 0.10mm(5)TD 1.23mm MD 0.08mm(6)TD 0.81mm MD 0.05mm(7)TD 0.10mm MD 0.00mm(8)TD 0.00mm MD 0.00mm(9)TD 0.00mm MD 0.00mm 条件(8)、(9)が伸びがなく、より多くの水量を処理できるので(8)の条件で、実施例1において印刷されていない包装材料を用いた袋に水を入れた袋を100袋作成し、処理した。 処理後の10袋より、室温に戻った後、酸素透過率測定用サンプルを切り出し、酸素透過率を測定した。酸素透過率の平均値は0.2cc/m2・day・atmであり、包装材料の酸素透過率の悪化はないことが判った。 また条件(3)ではTDの寸法変化が0.6%であるが、現実的に寸法変化がない条件を見出せなかったときに備えて、(3)の条件で実施例1において印刷されていない包装材料を用いた袋に水を入れた袋を100袋作成し、処理した。 処理後の10袋より、室温に戻った後、酸素透過率測定用サンプルを切り出し、酸素透過率を測定した。酸素透過率の平均値は2.2cc/m2・day・atmであり、包装材料の酸素透過率が約10倍の悪化にとどまっていることが判った。 この実験結果より、実際の内容物を充填する生産の前に、製造条件ごとに本検査法により加熱処理後の包装材料のテストパターンの寸法変化を測定し、加熱処理後のテストパターンの寸法変化がない条件を見出し、その条件で製造すると好ましいボイル・レトルト殺菌された食品を製造することができると判った。またそのような条件が見出せなかった場合には、寸法変化が0.6%以内の条件を選べば、最悪10倍のガスバリア性の悪化に抑えられることが判った。 表1は実施例1の条件(1)から(5)における袋の1から16の位置での加熱処理後の、パターンの寸法変化(幅(TD)方向、縦(MD)方向)と酸素透過率の値、および1から16の位置の各値の平均値を示す。空欄は測定値がないことを示す。 表2は表1に示した平均値のみを示したものである。 本発明によれば、ガスバリア性フィルムからなる積層フィルムを包装材料として用いたボイル・レトルト殺菌された食品を製造する際の加熱処理後の包装材料のガスバリア性を予測することができる。また、実際の内容物を充填する生産の前に、製造条件ごとに本検査法により加熱処理後の包装材料のガスバリア性を予測し、ガスバリア性の悪化のないボイル・レトルト殺菌された食品を製造することができる。フィルム表面にテストパターンを印刷したガスバリア性フィルムを包装材料として用い、該包装材料内に内容物を充填しシールし、シール後の内容物充填包装材料を加熱処理し、加熱処理後のテストパターンの寸法の変化を測定することを特徴とするボイル・レトルト殺菌された食品を製造する包装材料の検査方法。請求項1に記載の検査方法を用いて加熱処理後のテストパターンの寸法増加が原寸法の0.6%以下であることを特徴とするボイル・レトルト殺菌された食品の製造方法。 【課題】ガスバリア性フィルムからなる積層フィルムを包装材料として用いたボイル・レトルト殺菌された食品を製造した後の包装材料のガスバリア性を予測する方法、ガスバリア性の悪化のないボイル・レトルト殺菌された食品を製造する方法を提供する。【解決手段】表面全面にテストパターンを印刷したガスバリア性フィルムを包装材料として用い、内容物充填、シール後、加熱処理後の印刷テストパターンの寸法の変化を測定することにより、加熱処理後の包装材料のガスバリア性を予測する。本検査により加熱処理後にテストパターンの寸法増加が原寸法の0.6%以下である条件でボイル・レトルト殺菌された食品を製造する。【選択図】 なし