生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_高純度エチレンジアミン水溶液及びその保存方法
出願番号:2012182777
年次:2014
IPC分類:C07C 211/10,B65D 65/02


特許情報キャッシュ

高橋史治 林博明 JP 2014040386 公開特許公報(A) 20140306 2012182777 20120821 高純度エチレンジアミン水溶液及びその保存方法 東ソー株式会社 000003300 高橋史治 林博明 C07C 211/10 20060101AFI20140207BHJP B65D 65/02 20060101ALI20140207BHJP JPC07C211/10B65D65/02 E 8 OL 7 3E086 4H006 3E086BA13 3E086BA15 3E086BB74 3E086CA29 4H006AA05 4H006BB31 4H006BU32 本発明は半導体集積回路、プリント配線基板、液晶の製造工程において用いられる高純度エチレンジアミン水溶液及びその保存方法に関するものである。 強塩基性を示すエチレンジアミンは、アルカリ金属等を含まない強塩基として、半導体集積回路やフラットパネルディスプレイの製造工程で用いられる洗浄液や各種電子材料用薬液のアルカリ成分としての用途が期待されている。 しかしエチレンジアミンは腐食性が強いため、従来からその保存方法に課題があった。例えば、その保存に金属製容器(例えばスチールドラム等)を用いた場合、容器の内面を燐酸亜鉛等の処理によってして耐腐食性を強化しても、鉄や亜鉛の溶出が避けられず、半導体用途の高純度を維持することが困難であった。 また、ポリエチレン等の汎用樹脂で被覆した容器(例えばケミカルドラム等)を用いた場合にも樹脂が劣化し、長期の保存が困難であった。汎用樹脂の劣化は、エチレンジアミンの分子が樹脂中に浸透することによって引き起こされるものである。 同様にポリエチレン製の樹脂ドラムを用いた場合、樹脂が劣化するだけでなく、その蒸気圧によって容器内が加圧になるという安全上の問題も生じた。 そのため、従来、エチレンアミンを高純度で保存し、またそれを安全に輸送することは困難であった。 本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、高純度のエチレンジアミン水溶液及びその保存方法を提供することにある。 本発明者らは、高純度のエチレンジアミン水溶液及びその保存方法について鋭意検討した結果、エチレンジアミンがある特定の濃度範囲において、特定の容器を用いることにより溶液と接する樹脂の劣化(浸透)、及びエチレンジアミンの蒸気圧による容器内加圧が著しく抑止され、金属不純物の少ない高純度エチレンジアミン水溶液及びその金属不純物の少ない保存方法を見出し、本発明を完成するに至ったものである。 すなわち、本発明は下記に示す、高純度のエチレンジアミン水溶液及びその保存方法である。 [1]20重量%以上90重量%未満の水、300ppb以下の金属不純物を含むことを特徴とする少なくとも接液面が樹脂製の容器中のエチレンジアミン水溶液。 [2]金属不純物が鉄、銅、ナトリウム、カリウム、カルシウム、クロム、ニッケル、マンガン、マグネシウム、鉛、アルミニウム、チタン、亜鉛のいずれかである上記[1]に記載の水溶液。 [3]20重量%以上48重量%未満の水、300ppb以下の金属不純物を含むエチレンジアミン水溶液を少なくとも接液面が樹脂製の容器を用いて保存する保存方法。 [4]金属不純物が鉄、銅、ナトリウム、カリウム、カルシウム、クロム、ニッケル、マンガン、マグネシウム、鉛、アルミニウム、チタン、亜鉛のいずれかである上記[3]に記載の保存方法。 [5]樹脂製容器がポリエチレン製容器である上記[3]又は[4]に記載の保存方法。 [6]48重量%以上90重量%未満の水、100ppb以下の金属不純物を含むエチレンジアミン水溶液を少なくとも接液面が樹脂製の容器を用いて保存する保存方法。 [7]金属不純物が鉄、銅、ナトリウム、カリウム、カルシウム、クロム、ニッケル、マンガン、マグネシウム、鉛、アルミニウム、チタン、亜鉛のいずれかである上記[6]に記載の保存方法。 [8]樹脂製容器がポリエチレン製容器であることを特徴とする上記[6]又は[7]に記載の保存方法。 本発明の高純度のエチレンジアミン水溶液は、金属不純物が少ないことから、半導体集積回路やフラットパネルディスプレイの製造工程で用いられる洗浄液や各種電子材料用薬液のアルカリ成分として使用することができ、工業的に有用である。また、特定の容器を用いた保存方法を用いることにより、得られるエチレンジアミン水溶液は金属不純物を含有せず長期保存が可能である。 本発明のエチレンジアミン水溶液について説明する。 本発明のエチレンジアミン水溶液は、20重量%以上90重量%未満の水、300ppb以下の金属不純物を含むことを特徴とする少なくとも接液面が樹脂製の容器中のエチレンジアミン水溶液である。 エチレンジアミン水溶液における水の量及び金属不純物の量は、水20重量%以上90重量%未満、金属不純物300ppb以下であり、好ましくは水の量が20重量%以上48重量%未満であり、また、金属不純物が100ppb以下の場合、水の量が48重量%以上90重量%未満が好ましい。 水の量が20重量%未満の場合、エチレンジアミン濃度が高く樹脂製容器が劣化し、水の量が90重量%以上の場合、エチレンジアミン濃度が低く実用的ではない。 金属不純物としては、例えば銅、ナトリウム、カリウム、カルシウム、クロム、ニッケル、マンガン、マグネシウム、鉛、アルミニウム、チタン、亜鉛などが挙げられる。該金属不純物の量は、300ppb以下であり、好ましくは200ppb以下、特に好ましくは50ppb以下である。 本発明は、少なくとも接液面が樹脂製の容器中のエチレンジアミン水溶液であり、接触面が樹脂製でない容器を用いた場合、例えば金属製容器を用いた場合、金属不純物の量が増大する。ここで、接触面が樹脂製容器としては、例えばポリエチレン製容器、テフロン(登録商標)製容器等が挙げられ、特にポリエチレン製容器が好ましい。 次に、本発明のエチレンジアミン水溶液の保存方法について説明する。 第一の保存方法の発明は、20重量%以上48重量%未満の水、300ppb以下の金属不純物を含むエチレンジアミン水溶液を少なくとも接液面が樹脂製の容器を用いて保存する方法である。 本発明の方法では、エチレンジアミンを20重量%以上48重量%未満の水で希釈して保存することにより、エチレンジアミンによる樹脂の劣化と、容器内の加圧が抑止され、少なくとも接液面が樹脂製の容器を用いて長期に保存することができる。 エチレンジアミンは分子サイズが小さいことから、樹脂への浸透性が強く劣化を速めるが、本発明の濃度の水溶液にすることで樹脂の劣化が著しく抑制され、なおかつ容器内圧の上昇を防ぐことができる。 水の量が20重量%未満では、樹脂劣化、容器内加圧の抑止効果が十分でない。本発明に使用する水は金属イオンが混入していない純水を用いる必要があり、工業的に使われている純水を用いることができる。 本発明の方法におけるエチレンジアミンは、半導体用途に用いるための高純度なエチレンジアミンであり、その金属不純物の含有量は300ppb以下(水とエチレンジアミンの総量に対する)である。エチレンジアミンに混入する可能性のある金属成分で、その用途(半導体)から特に忌避される金属不純物としては、例えば鉄、銅、ナトリウム、カリウム、カルシウム、クロム、ニッケル、マンガン、マグネシウム、鉛、アルミニウム、チタン、亜鉛などが挙げられる。 従来、エチレンジアミンに混入する金属不純物は、金属製の容器(例えばスチールドラム等)の保存中に、容器から溶出するものが主である。従って、本発明で用いるエチレンジアミンとしては、従来の工業的なエチレンジアミンの製法であるEDC法、又はEO法で製造されたエチレンジアミンが金属製の容器等に長時間接して汚染される前に用いることにより、金属不純物300ppm以下の達成が可能となる。 本発明では、エチレンジアミン水溶液の少なくとも接液面が樹脂製の容器を用いる。樹脂製容器の種類は限定はなく、例えば工業的に利用されるポリエチレン製容器、テフロン(登録商標)製容器等を用いることができ、特にポリエチレン製のものを使用することが好ましい。本発明の方法では、溶液の接液面が樹脂製であればよく、例えば金属容器の内面を樹脂コーティングされたもの(通常ケミカルドラムという)も使用できる。 本発明の保存方法の第二の発明は、48重量%以上90重量%未満の水、100ppb以下の金属不純物を含むエチレンジアミン水溶液を、少なくとも接液面が樹脂製の容器を用いて保存する方法である。 エチレンジアミンに含まれる水が多く、さらに希釈された場合には、最終的に半導体用途に用いる場合の希釈度が小さくなる(最初から希釈されている)ため、当初から含まれる金属不純物の量は第一の発明よりもさらに低いことが好ましく、特に100ppb以下であることが好ましい。 この様なエチレンジアミンは、その製造工程で得られたエチレンジアミンと金属製の設備との接触機会を極力避けることによって達成することができる。 一方、水の含有量が90重量%を超えた場合、実質的なエチレンジアミンの含有量が少なく、保存容量が増大し、特に輸送において非効率となる。水の含有量は48重量%以上90重量%未満、特に48重量%以上、70重量%未満が好ましい。 金属不純物の含有量は100ppb以下(水とエチレンジアミンの総量に対する)である。エチレンジアミンに混入する可能性のある金属成分で、その用途(半導体)から特に忌避される金属不純物としては、例えば鉄、銅、ナトリウム、カリウム、カルシウム、クロム、ニッケル、マンガン、マグネシウム、鉛、アルミニウム、チタン、亜鉛などが挙げられる。 本発明では、エチレンジアミン水溶液の少なくとも接液面が樹脂製の容器を用いる。樹脂製容器の種類は限定はなく、例えば工業的に利用されるポリエチレン製容器、テフロン(登録商標)製容器等を用いることができ、特にポリエチレン製のものを使用することが好ましい。本発明の方法では、溶液の接液面が樹脂製であればよく、例えば金属容器の内面を樹脂コーティングされたもの(通常ケミカルドラムという)も使用できる。 本発明の保存方法の第一の発明及び第二の発明におけるエチレンジアミン水溶液を保存する際の温度は通常−10〜60℃であり、好ましくは0〜50℃である。 本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 金属不純物の量は、ICP−MS(型式:NexION300S、PerkinElmer製)で測定した。 実施例1 材質がSUS306であるステンレス容器に金属不純物が検出限界以下(1ppb以下)のエチレンジアミン90kgを入れ、その後、水85kgを入れて撹拌し、51.4重量%エチレンジアミン水溶液を製造した。得られたエチレンジアミン水溶液の液温が室温になった後、200Lのポリエチレン製ドラム(コダマ樹脂工業社製)に充填した。 エチレンジアミン水溶液調製後に金属分析した結果、鉄21ppbが検出され、その他金属不純物は1ppb未満であった。 ポリエチレン製ドラムに充填した後、1年保存後の金属分析では鉄の含有量は21ppbであり、その他金属不純物は1ppb未満が維持されていた。 また、容器の変色、変質、容器内の加圧による問題もなかった。 実施例2 材質がポリエチレンである容器に金属不純物が検出限界以下(1ppb以下)のエチレンジアミン54kgを入れ、その後、水126kgを入れて撹拌し、30重量%エチレンジアミン水溶液を製造した。得られたエチレンジアミン水溶液の液温が室温になった後、200Lのポリエチレン製ドラム(コダマ樹脂工業社製)に充填した。 エチレンジアミン水溶液調製後に金属分析した結果、金属不純物は1ppb未満で検出されなかった。 ポリエチレン製ドラムに充填した後、1年保存後に金属分析した結果、金属不純物は1ppb未満であり、容器の変色、変質、加圧はみられなかった。 実施例3 金属不純物が検出限界以下(1ppb以下)、水が20重量%のエチレンジアミンを1Lのポリエチレン容器(コダマ樹脂工業製)に充填し、1年保存した結果、金属不純物は1ppb未満であり、容器の変色、変質、加圧はみられなかった。 比較例1 水が0.5重量%以下、金属不純物が検出限界以下(1ppb以下)のエチレンジアミンを燐酸亜鉛処理を施した接液面が樹脂製ではない200Lスチールドラムに充填した。6か月後に金属不純物を分析した結果、鉄が200ppb、亜鉛が300ppbであり、金属容器由来の汚染が観測された。 接液面が樹脂製容器ではないスチールドラムを用いたことから金属不純物の多いエチレンジアミン水溶液が得られた。 比較例2 水50重量%、金属不純物が検出限界以下(1ppb以下)のエチレンジアミン水溶液を燐酸亜鉛処理を施した接液面が樹脂製ではない200Lスチールドラムに充填し、6か月後に金属不純物を分析した結果、500ppb、亜鉛が700ppbであり、金属容器由来の汚染が観測された。 接液面が樹脂製容器ではないスチールドラムを用いたことから金属不純物の多いエチレンジアミン水溶液が得られた。 比較例3 金属不純物が検出限界以下(1ppb以下)水が0.5重量%のエチレンジアミンを1Lのポリエチレン容器(コダマ樹脂工業製)に充填し、1年保存した結果、金属不純物は1ppb未満で検出されなかったが、容器の開放時に容器内の加圧が観測され、さらに容器が黄色状に着色し、可撓性がなく脆くなっていた。 水の量が0.5重量%のエチレンジアミン水溶液を用いたため、樹脂製容器に着色等が見られた。20重量%以上90重量%未満の水、300ppb以下の金属不純物を含むことを特徴とする少なくとも接液面が樹脂製の容器中のエチレンジアミン水溶液。金属不純物が鉄、銅、ナトリウム、カリウム、カルシウム、クロム、ニッケル、マンガン、マグネシウム、鉛、アルミニウム、チタン、亜鉛のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の水溶液。 20重量%以上48重量%未満の水、300ppb以下の金属不純物を含むエチレンジアミン水溶液を少なくとも接液面が樹脂製の容器を用いて保存することを特徴とする保存方法。 金属不純物が鉄、銅、ナトリウム、カリウム、カルシウム、クロム、ニッケル、マンガン、マグネシウム、鉛、アルミニウム、チタン、亜鉛のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の保存方法。 樹脂製容器がポリエチレン製容器であることを特徴とする請求項3又は4に記載の保存方法。 48重量%以上90重量%未満の水、100ppb以下の金属不純物を含むエチレンジアミン水溶液を少なくとも接液面が樹脂製の容器を用いて保存することを特徴とする保存方法。 金属不純物が鉄、銅、ナトリウム、カリウム、カルシウム、クロム、ニッケル、マンガン、マグネシウム、鉛、アルミニウム、チタン、亜鉛のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の保存方法。 樹脂製容器がポリエチレン製容器であることを特徴とする請求項6又は7に記載の保存方法。 【課題】 高純度のエチレンジアミン水溶液およびその保存する方法を提供する。【解決手段】 20重量%以上90重量%未満の水、300ppb以下の金属不純物を含むことを特徴とする少なくとも接液面が樹脂製の容器中のエチレンジアミン水溶液;20%重量以上48重量%未満の水、300ppb以下の金属不純物を含むエチレンジアミン水溶液;48重量%以上90%重量未満の水、100ppb以下の金属不純物を含むエチレンジアミン水溶液を接液面が樹脂製の容器を用いて保存する。樹脂はポリエチレンであることが好ましい。この様な方法で保存したエチレンジアミンは金属不純物が少なく安全に輸送することができる。【選択図】 なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る