生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_高純度ビニレンカーボネートの製造方法
出願番号:2012177500
年次:2012
IPC分類:C07D 317/40


特許情報キャッシュ

宮内 博夫 岡野 一哉 JP 2012214511 公開特許公報(A) 20121108 2012177500 20120809 高純度ビニレンカーボネートの製造方法 三菱化学株式会社 000005968 宮内 博夫 岡野 一哉 C07D 317/40 20060101AFI20121012BHJP JPC07D317/40 4 2001127299 20010425 OL 5 本発明は、キャパシタの電解液溶媒等として有用な高純度ビニレンカーボネートの製造方法に関する。 ビニレンカーボネートは、通常、エチレンカーボネートを塩素化して得られるクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応により製造されている(M.S.Newman and R.W.Addor(J.Am.Chem.Soc.,75,1263(1953)、J.Am.Chem.Soc.,77,3789(1955))、特開平11−180974号公報)。しかしながら、この製造方法で得られるビニレンカーボネートには、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、クロロアセトアルデヒド、クロロエタノールおよびジメトキシメチルクロライド等の有機塩素化合物ならびに塩酸等の無機塩素化合物(以下、併せて「塩素化合物」という。)が含まれており、このままでは電解液溶媒としては使用できない。 粗ビニレンカーボネートの精製方法としては、減圧蒸留(M.S.Newman and R.W.Addor(J.Am.Chem.Soc.,75,1263(1953)、J.Am.Chem.Soc.,77,3789(1955))、特開2000−26449号および同2000−138071号公報)、溶融晶析法(英国特許899205号)およびゾーンメルティングによる方法(M.Zief,H.Ruch and C.H.Schramm,J.Chem.Education、40,351(1963))等が提案されているが、いずれも、純度または収率に問題があり、キャパシタの電解液溶媒等として使用するビニレンカーボネートの製造方法としては不十分なものであった。 本発明は、電解液溶媒として使用可能なビニレンカーボネートを高純度かつ高収率で製造する方法を提供しようとするものである。 本発明者等は、上記課題に鑑み、晶析工程と蒸留工程とでは残存する不純物が異なるという知見に基づき、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は粗ビニレンカーボネートを晶析工程および蒸留工程に付すことを特徴とする高純度ビニレンカーボネートの製造方法である。 本発明によれば、粗ビニレンカーボネートを晶析と蒸留とを組み合わせて精製することによって、高純度のビニレンカーボネートを高収率で得ることができる。 以下、本発明を詳細に説明する。本発明では、いずれの製造方法で製造された粗ビニレンカーボネートでも精製原料として使用することができるが、通常は前述したエチレンカーボネートの塩素化および脱塩化水素により製造した塩素化合物を含む粗ビニレンカーボネートを用いる。 原料となる粗ビニレンカーボネートの純度については、単蒸留等により好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上まで精製したものがよい。晶析工程および蒸留工程は、通常はそれぞれ1回行えば十分であるが、必要に応じて各工程を繰り返してもよい。また、いずれの工程を先に行ってもよいが、先に晶析工程を行い、次いで蒸留工程を行う方法が、溶媒中で晶析を行った場合でも残留溶媒を除去することができるので好ましい。 晶析工程は、溶媒晶析および溶融晶析のいずれの方法でもよい。晶析に用いる溶媒は、ビニレンカーボネートを分解させない限り、任意のものを用いることができる。具体的には、極性溶媒、芳香族化合物溶媒、脂肪族炭化水素溶媒およびこれらの2種以上の混合溶媒から選ばれる適宜の溶媒、好ましくは芳香族化合物と脂肪族炭化水素化合物の混合溶媒に粗ビニレンカーボネートを溶解し、溶媒中に結晶を析出させる。なお、この操作では、粗ビニレンカーボネートの大部分を溶解させれば足り、全体としてエマルション、サスペンションの状態であってもよい。 極性溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘキサノール、4−メチル−4−ヘキサノール、2−メチル−4−ヘキサノール、4−メチル−2−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、1−フェニル−2−ブタノール、3−フェニル−1−ブタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、グリセロール等のアルコール類;フェノール、レソルシノル等のフェノール類;エタノールアミン、プロパノールアミン等のアミノアルコール類;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルエチルアミン、メチルブチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、t−ブチルアミン、1,2−エチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,2−エチレンジアミン、ジ(n−ブチル)アミン、トリブチルアミン等のアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、N,N−ジメチルトルイジン等の芳香族アミン類;アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキサナール、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類;ブタノン、アセトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン等のケトン類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸ブチル等のカルボン酸エステル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、メチル−t−ブチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル類;フラン、ピロール、ピリジン、チオフェン等のヘテロ芳香族化合物類;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のカルボキシアミド類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;臭化エチル、塩化エチル、フッ化エチル、臭化ブチル、塩化ブチル、塩化メチル、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、1−ニトロブタン、2−ニトロブタン、ニトロベンゼン、2−ニトロトルエン、3−ニトロトルエン等のニトロ化合物が挙げられる。これらの中、エーテル類、ケトン類、カルボン酸エステル類、アルコール類が好ましい。 芳香族化合物溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、イソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロ芳香族化合物が挙げられる。これらの中、芳香族炭化水素類が好ましく、トルエンが特に好ましい。 脂肪族炭化水素溶媒としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、2−メチルブタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン等が挙げられる。これらの中、ヘキサンが好ましい。 溶媒としては、不純物である塩素化合物混合物の溶解度がその溶媒100g当たり0.1g以上、特に1g以上となるようなものを使用するのが好ましい。溶媒の使用量は、粗ビニレンカーボネートに対して、通常0.5〜20重量倍、好ましくは0.7〜5重量倍、より好ましくは0.8〜3重量倍である。 溶媒からの高純度ビニレンカーボネートの析出は、冷却により行うのが好ましい。とりわけ、ビニレンカーボネート溶液を0〜20℃に冷却し、更に攪拌下に0.1〜10℃/時の速度で5〜15℃冷却し、この温度で攪拌することにより晶析させるという手法が好ましい。 また、別法として、ビニレンカーボネート溶液に冷却した溶媒を添加する方法、ドライアイス等の低温物質を投入する方法、脂肪族炭化水素等のビニレンカーボネートの貧溶媒を添加する方法なども用いることができる。また、種晶を加えるのも好ましい。 晶析工程における高純度ビニレンカーボネートの収率は、使用する溶媒量および溶媒に対する溶解度に依存するので、温度および溶媒量を選択することにより任意に収率を設定することができる。通常は、精製効率の点からして、97%程度以下に設定する。 析出した結晶を濾過、遠心分離等の方法で分離した後、必要に応じて結晶表面を適当な溶媒で洗浄する。通常は、加熱してビニレンカーボネートを液体として取得した後、必要に応じてトッピング等で残留溶媒を除去する。 蒸留工程は、常圧下または減圧下のいずれで実施することもできる。蒸留工程では、2〜10段程度の多段が好ましく、還流比3〜15で行うのが好ましい。なお、蒸留に際しては、必要に応じて、ブチルヒドロキシトルエン等の重合禁止剤を添加することもできる。 本発明によれば、純度99.95%以上、塩素化合物含有率50ppm以下、好ましくは30ppm以下でエチレンカーボネートが実質上検出されない高純度ビニレンカーボネートを製造することができる。 以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 なお、粗ビニレンカーボネートは、クロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応(M.S.Newman and R.W.Addor(J.Am.Chem.Soc.,75,1263(1953)、J.Am.Chem.Soc.,77,3789(1955))により製造したものを使用した。分析は、ガスクロマトグラフィー(GC14B、島津製作所製;カラムTC5HT、GLサイエンス製;50℃から10℃/分で250℃まで昇温し3分間保持;インジェクション、ディテクター(FID)ともに250℃)で実施した。 純度は溶媒が残存している場合は溶媒をカットした数値を使用し、以下の式により求めた。 純度=(ビニレンカーボネート面積)/(全面積−残留溶媒ピーク面積) 実施例1 攪拌機を備えた250L反応器に、粗ビニレンカーボネート(純度98.69%、塩素化合物3160ppm、エチレンカーボネート1000ppm)40.0kg、トルエン40.0kgおよびヘキサン40.0kgを仕込み、攪拌しながら冷却した。14.7℃で種晶40gを添加し、30分間攪拌した後、14.3〜14.5℃で6時間攪拌し、更に4時間かけて4.0℃まで冷却した。析出した固体を濾別し、5℃に冷却したヘキサン50kgで2回洗浄することにより、純度99.94%のビニレンカーボネートを収率93.3%で固体として得た。得られたビニレンカーボネートは、塩素化合物15ppm、エチレンカーボネート400ppmを含有していた。 このビニレンカーボネートを精密蒸留(理論段数3段、還流比10)して、純度100%のビニレンカーボネートを収率89.4%(晶析を含む通算収率83.4%)で得た。得られた高純度ビニレンカーボネートは、塩素化合物を3ppm含み、エチレンカーボネートを含んでいなかった。 実施例2 粗ビニレンカーボネート(純度98.50%、塩素化合物1875ppm、エチレンカーボネート1000ppm)を理論段数4段の蒸留塔を使用し、還流比5〜10で2回精密蒸留することにより純度99.80%のビニレンカーボネートを収率69%で得た。このビニレンカーボネートは、塩素化合物を530ppm含み、エチレンカーボネートを含んでいなかった。 攪拌機を備えた500ml四ツ口フラスコに、蒸留で得られたビニレンカーボネート150g、トルエン135gおよびヘキサン15gを室温で仕込み7時間かけて−5℃まで冷却した。析出した固体を濾別し、5℃に冷却したヘキサン75gで2回洗浄し、純度99.99%のビニレンカーボネートを収率88%(蒸留を含めた通算収率は60%)で得た。得られた高純度ビニレンカーボネートは、塩素化合物を25ppm含み、エチレンカーボネートを含んでいなかった。 粗ビニレンカーボネート溶液を晶析工程により塩素化合物含有率50ppm以下にした後、蒸留工程に付すことを特徴とする高純度ビニレンカーボネートの製造方法。 粗ビニレンカーボネートがエチレンカーボネートを塩素化して得られるクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応により製造された粗ビニレンカーボネートであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。 晶析工程を芳香族化合物および脂肪族炭化水素化合物の混合溶媒で行うことを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。 晶析工程をトルエンおよびヘキサンの混合溶媒で行うことを特徴とする請求項2または3記載の製造方法。 【課題】 キャパシタの電解溶液として使用できる高純度ビニレンカーボネートの製造方法を提供する。【解決手段】 粗ビニレンカーボネートを極性溶媒、芳香族化合物溶媒および脂肪族炭化水素溶媒から選択される溶媒を用いた晶析工程および蒸留工程を組み合わせて精製する。【選択図】 なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る