タイトル: | 公開特許公報(A)_波長変換光学素子ホルダ、波長変換光学素子ホルダを備えたレーザ装置、レーザ装置を備えた露光装置及び検査装置 |
出願番号: | 2012169645 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | G02F 1/37,H01S 3/10,H01S 3/00,H01L 21/027,G03F 7/20,G03F 1/84,G01N 21/956,H01L 21/66 |
高田 康利 谷 善朗 JP 2014029384 公開特許公報(A) 20140213 2012169645 20120731 波長変換光学素子ホルダ、波長変換光学素子ホルダを備えたレーザ装置、レーザ装置を備えた露光装置及び検査装置 株式会社ニコン 000004112 岩崎 敬 100156281 高田 康利 谷 善朗 G02F 1/37 20060101AFI20140117BHJP H01S 3/10 20060101ALI20140117BHJP H01S 3/00 20060101ALI20140117BHJP H01L 21/027 20060101ALI20140117BHJP G03F 7/20 20060101ALI20140117BHJP G03F 1/84 20120101ALI20140117BHJP G01N 21/956 20060101ALI20140117BHJP H01L 21/66 20060101ALI20140117BHJP JPG02F1/37H01S3/10 ZH01S3/00 AH01L21/30 527G03F7/20 505G03F1/84G01N21/956 AH01L21/66 J 8 2 OL 17 2G051 2H095 2H097 2K002 4M106 5F146 5F172 2G051AA51 2G051AA56 2G051AB02 2G051AC21 2G051BA10 2G051BA20 2G051BB09 2G051CA03 2G051CB01 2G051CB02 2G051DA06 2H095BD04 2H095BD13 2H097BB02 2H097CA17 2H097GB01 2H097GB02 2H097GB03 2H097LA10 2H097LA15 2H097LA16 2H097LA17 2K002AA04 2K002AB12 2K002AB27 2K002BA02 2K002BA04 2K002CA02 2K002CA03 2K002DA01 2K002EA10 2K002EA22 2K002EA24 2K002EA30 2K002EB12 2K002GA10 2K002HA19 2K002HA20 4M106AA01 4M106AA09 4M106BA05 4M106CA39 4M106DB08 5F146BA04 5F146BA05 5F146CA03 5F146DA26 5F172AF06 5F172AM08 5F172EE12 5F172EE13 5F172NR03 5F172NR22 5F172NR24 5F172NS26 5F172ZZ02 本発明は、波長変換光学素子を加熱及び/または冷却する温度調整器を有する波長変換光学素子ホルダ、このような波長変換光学素子ホルダを有するレーザ装置に関する。また、このようなレーザ装置を備えた露光装置及び検査装置等のレーザシステムに関する。 上記のようなレーザ装置は、例えば顕微鏡や形状測定装置、露光装置、検査装置などのレーザシステムの光源として用いられている。レーザ装置の出力波長は、組み込まれるシステムの用途及び機能に応じて設定され、レーザ光出力部から出力する基本波レーザ光の波長や、波長変換部に設ける波長変換光学素子の種別及び組み合わせが、上記用途及び機能に応じて適宜設定される(例えば、特許文献1を参照)。 よく知られるように、波長変換光学素子(非線形光学結晶)により波長変換を行うためには、波長変換過程における位相整合条件を満たす必要がある。例えば、位相整合が非臨界位相整合(NCPM:Non-Critical Phase Matching)の場合には、所定の入射環境(波長変換光学素子の光学軸に対するレーザ光の入射角度が90度または0度の状態)において、結晶温度が所定の位相整合温度と合致するように、波長変換光学素子の温度を調整設定する。位相整合が臨界位相整合(CPM:Critical Phase Matching)の場合には、所定の温度環境において波長変換光学素子の光学軸に対するレーザ光の入射角度が所定の位相整合角と合致するように、レーザ光に対して波長変換光学素子の角度位置を調整設定する(例えば、特許文献2、特許文献3を参照)。 そのため、レーザ装置で用いられる波長変換光学素子の中には、例えばペルチェ素子やヒータのような波長変換光学素子を加熱及び/または冷却する温度調整器を備えた波長変換光学素子ホルダに保持され、温度コントローラ等により一定温度に制御された状態で使用されるものがある。このような波長変換光学素子を用いるレーザ装置では、レーザ装置から常に安定したレーザ光を出力するため、一般的には、波長変換光学素子の着脱交換時を除いて、波長変換光学素子が常時一定温度に保持されるようになっている。すなわち、温度コントローラには、レーザ装置の稼働/非稼働に拘わらず常に電力が供給され、波長変換光学素子が常時一定温度に保持されるように制御されていた。特開2004−86193号公報特開2002−90787号公報特開2008−122785号公報 確かに、レーザ装置の稼働/非稼働に拘わらず、温度コントローラに常時電力が供給されていれば、波長変換光学素子は一定温度に保持することができる。しかしながら、自然災害や電源設備の故障等に伴う予期せぬ停電、レーザ装置の緊急な電源遮断等が生じた場合には、温度コントローラへの電力供給が遮断され、波長変換光学素子の温度は急速に変化する。 波長変換光学素子におけるレーザ光の入射面及び出射面には、一般的に、レーザ光の反射を防止する反射防止膜や保護膜等の薄膜がコーティングされている。しかし、波長変換光学素子(非線形光学結晶)と反射防止膜等の薄膜材料とは熱膨張係数が異なっている。そのため、波長変換光学素子の温度が急速に変化すると、両者の熱膨張係数の差から反射防止膜にストレスが掛かり、膜が剥離したりクラックが入ったりする場合がある。特に、波長変換光学素子として広く用いられるLBO(LiB3O5)結晶は、結晶の軸方向ごとに熱膨張係数が大きく異なるため、急速な温度変化が生じると反射防止膜に大きなストレスが掛かり、損傷を受けやすいという問題があった。 このような問題に対し、いわゆる無停電電源をレーザ装置内に設けて温度コントローラを接続し、予期せぬ停電や緊急な電源遮断等が生じた場合に、バッテリの電力で結晶温度を徐々に低下させるように制御する手段が考えられる。しかしながら、このような手段では、レーザ装置の構成が複雑化し、高額化するという課題がある。 本発明は、上記のような事情に鑑みて成されたものであり、停電等による予期せぬ電源遮断に対し、簡明な構成で反射防止膜等の損傷を抑制し得る手段を提供することを目的とする。 本発明を例示する第1の態様は、波長変換光学素子ホルダである。この波長変換光学素子ホルダは、波長変換光学素子を保持する第1ホルダ部材と、第1ホルダ部材を介して波長変換光学素子を保持する第2ホルダ部材と、第2ホルダ部材の外側部を覆う第3ホルダ部材と、波長変換光学素子を加熱及び/または冷却するための温度調整器とを有して構成される。第1ホルダ部材は、熱伝導率が高く熱容量密度が低い高熱拡散材料により形成され、第2ホルダ部材は、第1ホルダ材と対比して熱伝導率が低く熱容量密度が高い低熱拡散材料により形成され、第3ホルダ部材は、熱伝導率及び熱容量密度がともに低い断熱材料により形成される。 なお、第2ホルダ部材と第3ホルダ部材との間に気体からなる断熱層を設けて構成することができる。また、温度調整器を第2ホルダ部材に設けることができる。 波長変換光学素子はLBO結晶とすることができる。また、波長変換光学素子における位相整合は非臨界位相整合とすることができる。 本発明を例示する第2の態様は、レーザ光を出力するレーザ光出力部と、レーザ光出力部から出力されたレーザ光を波長変換して出力する波長変換部とを備えたレーザ装置である。このレーザ装置は、波長変換部に、上記いずれかに記載の波長変換光学素子ホルダに保持された波長変換光学素子を備えて構成される。 本発明を例示する第3の態様は露光装置である。この露光装置は、第2の態様のレーザ装置と、所定の露光パターンが形成されたフォトマスクを保持するマスク支持部と、露光対象物を保持する露光対象物支持部と、レーザ装置から出力されたレーザ光をマスク支持部に保持されたフォトマスクに照射する照明光学系と、フォトマスクを透過した光を露光対象物支持部に保持された露光対象物に投影する投影光学系とを備えて構成される。 本発明を例示する第4の態様は検査装置である。この検査装置は、第2の態様のレーザ装置と、被検物を保持する被検物支持部と、レーザ装置から出力されたレーザ光を被検物支持部に保持された被検物に照射する照明光学系と、被検物からの光を検出器に投影する投影光学系とを備えて構成される。 第1の態様の波長変換光学素子ホルダは、第1,第2,第3ホルダ部材と温度調整器とを有して構成される。これらのホルダ部材のうち、波長変換光学素子を直接保持する第1ホルダ部材は高熱拡散材料により形成され、第1ホルダ部材を介して波長変換光学素子を保持する第2ホルダ部材は低熱拡散材料により形成され、その外側部を覆う第3ホルダ部材は断熱材料により形成される。 第1ホルダ部材は、熱伝導率が高く熱容量密度が低い高熱拡散材料により形成されることから、第1ホルダ部材の一部に作用した熱は速やかに部材全体に拡散する。そのため、第1ホルダ部材に直接保持される波長変換光学素子は、結晶部位による温度偏差が小さくなり、第1ホルダ部材は素子全体の温度の均一性を高めるように作用する。一方、第2ホルダ部材は、熱伝導率が低く熱容量密度が高い低熱拡散材料により形成されることから、第2ホルダ部材は熱の拡散に伴う温度変化が少ない。すなわち、第2ホルダ部材は、加熱または冷却が停止されたときの温度変化を緩やかにする作用を発揮する。そのため、第1ホルダ部材を介して第2ホルダ部材に保持された波長変換光学素子は、温度調整器による加熱または冷却が停止されたときの温度変化が緩やかになり、素子全体の温度の均一性が保持された状態で緩やかに変化する。第3ホルダ部材は、熱伝導率及び熱容量密度がともに低い断熱材料により形成される。すなわち、第3ホルダ部材は、第2ホルダ部材による温度変化率の抑制作用をさらに高めるように作用する。また、第2ホルダ部材と波長変換光学素子ホルダ外部との温度差が大きい場合、外部への放熱量(加熱の場合)もしくは外部からの吸熱量(冷却の場合)を減らすことができ、省電力で温度制御を行なえるように作用する。 そのため、このような第1,第2,第3ホルダ部材を有する波長変換光学素子ホルダに保持された波長変換光学素子は、温度調整器による加熱または冷却が停止されたときの温度変化が極めて緩やかになり、素子全体の温度の均一性が保持された状態でゆっくりと変化する。このため、仮に停電等による予期せぬ電源遮断が発生しても、波長変換光学素子の温度が急速に変化するようなことが無く、簡明な構成で反射防止膜等の損傷を抑制可能な手段を提供することができる。なお、波長変換光学素子を加熱及び/または冷却するための温度調整器は、第1ホルダ部材、第2ホルダ部材、あるいはこれらのホルダ部材の間等に設けることができる。 第2の態様のレーザ装置は上記のような波長変換光学素子ホルダに保持された波長変換光学素子を備えて構成される。そのため、停電等による予期せぬ電源遮断が発生しても、波長変換光学素子の温度が急速に変化するようなことが無く、簡明な装置構成で反射防止膜等の損傷を抑制することができる。 第3の態様の露光装置、第4の態様の検査装置は、第2の態様のレーザ装置を備えて構成される。そのため、簡明な構成で反射防止膜等の損傷が抑制されており、レーザ装置を含めたシステムの簡明化、低価格化を図ることができる。本発明の適用例として示すレーザ装置の概要構成図である。本発明を適用した結晶ホルダの構成例として示す、光軸に直交する断面の模式的な断面図である。上記結晶ホルダにおける、光軸に沿った断面の模式的な断面図である。結晶ホルダの他の構成例として示す、光軸に直交する断面の模式的な断面図である。結晶ホルダの実施例として示す、各ホルダ部材を形成する具体的な材料の物性をまとめた図表である。上記レーザ装置を備えたシステムの第1の適用例として示す露光装置の概要構成図である。上記レーザ装置を備えたシステムの第2の適用例として示す検査装置の概要構成図である。 以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。本発明の態様として例示するレーザ装置LSの概要構成図を図1に示す。レーザ装置LSは、レーザ光Laを出力するレーザ光出力部1と、レーザ光出力部1から出力されたレーザ光を波長変換する波長変換部3と、レーザ光出力部1及び波長変換部3の作動を制御する制御部8とを備えて構成される。以降では、レーザ光出力部1から出力されるレーザ光Laを基本波レーザ光と称し、波長変換部3により波長変換されて出力されるレーザ光Lvを変換レーザ光と称して説明する。 レーザ光出力部1や波長変換部3の具体的な構成は、特許文献1にも開示されているように多種多様な形態がある。本実施形態においては、レーザ光出力部1から出力する基本波レーザ光Laの波長を1064nm、波長変換部から出力する変換レーザ光Lvの波長を355nmとした場合を例として説明する。 レーザ光出力部1は、シード光を出射する光源部10と、光源部10から出射されたシード光を増幅する増幅部20とから構成される。 光源部10は、基本波波長のレーザ光を発生する信号光源11を主体として構成される。信号光源11は、発振波長が1064nm近傍のDFB(Distributed Feedback)半導体レーザを好適に用いることができる。DFB半導体レーザは、ペルチェ素子等を利用した温度調整器によって温度制御することにより発振波長を所定範囲で調整設定できるとともに、設定後には狭帯域化された単一波長のシード光を発生させることができる。また、DFB半導体レーザは、励起電流を波形制御することにより任意強度でCW発振またはパルス発振させることができる。 本構成例では、信号光源11の出射端部に、電気光学変調器(EOM:Electro Optic Modulator)等の外部変調器15を設け、パルス発振させた信号光源11の出力光を外部変調器15により切り出して、所要パルス波形のシード光Lsを増幅部20に出力する形態を示す。 増幅部20は、光源部10から出力されたシード光Lsを増幅するファイバ増幅器を主体として構成される。図1には、三つのファイバ増幅器21,22,23を直列に接続した構成例を示す。ファイバ増幅器21,22,23として、イッテルビウム・ドープ・ファイバ増幅器(YDFA)を好適に用いることができる。 ファイバ増幅器21は、コアにイッテルビウム(Yb)がドープされた増幅用ファイバ21aと、増幅用ファイバに励起光を供給してイッテルビウムを励起する励起光源21bとを主体として構成される。ファイバ増幅器22及び23についても同様であり、各々増幅用ファイバ22a,23a、励起光源22b,23bを有して構成される。励起光源21b,22b,23bは、例えば半導体レーザやラマンレーザが用いられる。 イッテルビウム・ドープ・ファイバ増幅器は、波長が1000〜1100nmの帯域に利得を有する。そのため、波長が1064nmのシード光Lsを効率的に増幅することができる。各ファイバ増幅器のゲインは、増幅用ファイバを励起する励起光のパワーを制御すること、具体的には励起光源21b,22b,23bの駆動電力(励起電力)を制御することにより調整することができる。 増幅部20に入射したシード光Lsは、まず1段目のファイバ増幅器21に入射して増幅され、続いて2段目のファイバ増幅器22、3段目のファイバ増幅器23に入射して順次増幅される。これら3段のファイバ増幅器によって増幅されたシード光、すなわち基本波レーザ光Laは、レーザ光出力部1から出力され、波長変換部3に入射する。レーザ光出力部1から出力される基本波レーザ光Laのパワーは50〜100W程度と高く、高出力の基本波レーザ光Laが波長変換部3に入射する。 なお、本構成例では高パワーの基本波レーザ光Laを出力する場合の構成として、増幅部20に3段のファイバ増幅器を設けた構成を例示したが、所要のパワーに応じて単段、2段等適宜な構成にすることができる。また、レーザ光出力部1は、所要パワーの基本波レーザ光を出力可能な構成であれば良く、例えば、ファイバ増幅器の入出射端に共振器を組み込んだファイバレーザ(Ybファイバレーザ)や、YAGレーザ等により構成しても良い。 波長変換部3には、レーザ光出力部1から出力された基本波レーザ光Laが入射して伝播する波長変換光学系30が設けられている。波長変換光学系30は、二つの波長変換光学素子31,32を主体とし、図示省略するレンズやカプラ、波長板等を有して構成される。波長変換部3に入射した基本波レーザ光Laは、レンズを介して波長変換光学素子31に集光入射する。 波長変換光学素子31は、第2高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)により基本波レーザ光Laの第2高調波を発生させる非線形光学結晶である。波長変換光学素子31に入射した波長1064nmの基本波レーザ光Laは、この波長変換光学素子31を透過する過程で波長変換され、基本波レーザ光Laの第2高調波である波長532nmのレーザ光(以下、532nm光という)が発生する。本構成形態においては、波長変換光学素子31としてLBO(LiB3O5)結晶を用いる。LBO結晶を用いた場合には、532nm光発生の波長変換における位相整合を、非臨界位相整合(NCPM:Non-Critical Phase Matching)とすることができる。 具体的には、LBO結晶の入射面に、基本波レーザ光Laを略垂直に入射させ、結晶温度が非臨界位相整合(NCPM)の位相整合条件を満たす温度(例えば146℃)になるように調整設定することで位相整合を取ることができる。そのため、波長変換光学素子31を保持する波長変換光学素子ホルダ(以下、「結晶ホルダ」と称する)100にはヒータが設けられており、ヒータの作動を制御する温度コントローラ150によって結晶温度が常時所定の位相整合温度になるように制御される。結晶ホルダ100の構成については後に詳述する。 位相整合が非臨界位相整合の場合には、発生する532nm光にウォークオフが生じない。そのため、十分な相互作用長を確保して効率的に波長変換を行うことができる。また、出力される532nm光のビーム断面が楕円化するようなことがないため、シリンドリカルレンズ等の整形光学素子を設ける必要がなく、次段の波長変換光学素子32において効率的に波長変換することができる。 なお、532nm光発生用の波長変換光学素子31としては、結晶に入射する基本波レーザ光Laのパワー等に応じて、PPLN(Periodically Poled LiNbO3)結晶や、PPLT(Periodically Poled LiTaO3)結晶、PPKTP(Periodically Poled KTiOPO4)結晶、BBO(β-BaB2O4)結晶などを用いることもできる。波長変換光学素子31で発生した532nm光と、波長変換光学素子31を透過した基本波レーザ光は、不図示の2波長波長板を通して何れか一方のレーザ光のみ偏向面を90℃回転させ、レンズを介して波長変換光学素子32に集光入射する。 波長変換光学素子32は、和周波発生(SFG:Sum Frequency Generation)により基本波レーザ光Laと532nm光との和周波を発生させる非線形光学結晶である。波長変換光学素子32に入射した基本波レーザ光La及び532nm光は、波長変換光学素子32を透過する過程で波長変換され、基本波レーザ光Laの第3高調波である波長354.6nmのレーザ光(変換レーザ光、便宜的に355nm光とも称する)Lvが発生する。波長変換光学素子32としてLBO結晶を好適に用いることができる。LBO結晶による355nm光発生の波長変換における位相整合は、タイプIの臨界位相整合(CPM:Critical Phase Matching)である。 具体的には、波長変換光学素子32の温度を50〜100℃の所定温度(例えば80℃程度)に設定し、当該温度において、結晶の光学軸に対する基本波レーザ光及び532nm光の入射角度が臨界位相整合(CPM)の位相整合条件を満たすように、波長変換光学素子32の角度位置を調整設定することで位相整合を取ることができる。そのため、波長変換光学素子32は、波長変換光学素子31と同様の結晶ホルダ100に保持されて所定温度に温度制御されるとともに、結晶ホルダ100の角度位置を調整設定可能な結晶角度アジャスタを介して波長変換部に設けられている。なお、355nm光発生用の波長変換光学素子32としては、BBO(β-BaB2O4)結晶やCLBO(CsLiB6O10)結晶を用いても良い。 波長変換光学素子32で発生した355nm光は波長変換部3から出射され、変換レーザ光Lvとしてレーザ装置LSから出力される。 制御部8は、信号光源11や外部変調器15、ファイバ増幅器21〜23、温度コントローラ150などを含むレーザ装置全体の作動を制御するコントロールユニットである。制御部8には、詳細図示を省略するが、レーザ装置LSの制御プログラムや各種パラメータが格納された記憶部、制御プログラムに基づいて演算処理を実行する演算処理部、各部を駆動するドライバなどが設けられている。また、レーザ装置のオペレータが操作するキーボードや各種のスイッチ類、制御プログラムの実行状態や各種アラーム等を表示する表示パネルやランプ類などが操作盤に設けられている。 以上のように構成されるレーザ装置LSにあって、波長変換光学素子31,32は、それぞれ所定の温度条件下において適切に動作する。例えば、波長変換光学素子31における532nm光発生の波長変換は、位相整合が非臨界位相整合(NCPM)であり、レーザ光が透過する部位の結晶温度が所定の位相整合温度(146℃)に合致したときに位相整合条件を満たし、当該温度を維持した状態で波長変換効率が最大になる。 そのため、波長変換光学素子31を保持する結晶ホルダ100には、波長変換光学素子31を加熱するヒータ、及び波長変換光学素子31の温度を検出する温度センサが設けられている。そして、温度センサにより検出される温度に基づいて温度コントローラ150によりヒータの作動を制御することによって、波長変換光学素子31の温度が常時所定の位相整合温度に維持されるようになっている。この温度制御は、レーザ装置LSが稼働中であるか否かに拘わらず(すなわち年間を通じて)維持されるようになっている。波長変換光学素子32を保持する結晶ホルダ100についても、設定温度の具体値が異なる点を除いて同様である。 従って、温度コントローラ150に電力が供給されていれば、波長変換光学素子31,32は、常に各々の所定温度に維持される。しかしながら、自然災害や電源設備の故障等に伴う予期せぬ停電やレーザ装置の緊急な電源遮断等が生じ、温度コントローラへの電力供給が遮断されたような場合には、波長変換光学素子31,32の温度を維持することが困難になる。 ここで、波長変換光学素子31,32の入射面及び出射面には、それぞれ入出射するレーザ光の反射を防止する反射防止膜がコーティングされている。波長変換光学素子31,32と反射防止膜の薄膜材料(例えばMgF2)とは熱膨張係数が異なっているため、仮に、波長変換光学素子31,32の温度が急速に変化すると、熱膨張係数の差から反射防止膜にストレスが掛かり、膜が剥離したりクラックが入ったりするおそれがある。特に、波長変換光学素子31,32は共にLBO結晶であり、結晶の軸方向ごとに熱膨張係数が大きく異なるため、急速な温度変化が生じると反射防止膜に大きなストレスが掛かり、損傷を受けやすい。 このとき、無停電電源をレーザ装置内に設けて温度コントローラ150を接続し、予期せぬ停電や緊急な電源遮断等が生じた場合に、バッテリの電力を利用して波長変換光学素子31,32の温度を徐々に低下させる制御を行う手段が考えられる。しかし、このような手段では、レーザ装置が大型化するとともに構成が複雑化し、高額化する。 レーザ装置LSにおいては、より簡明かつ安価な構成で、反射防止膜等の損傷を抑制し得る手段として、以下に説明する結晶ホルダ100が用いられている。波長変換光学素子31を保持する結晶ホルダ100を例として、入出射光の光軸に直交する断面の模式的な断面図を図2に示し、入出射光の光軸CLを含む光軸に沿った断面の模式的な断面図を図3に示す。 図示する構成例の結晶ホルダ100は、概観視において光軸方向(紙面直交方向)に延びる直方体状ないし角柱状をなし、光軸と交差する一方の面に、基本波レーザ光Laを波長変換光学素子31に導入する入射口101、他方の面に波長変換光学素子31から出射した基本波レーザ光La及び532nm光を導出する出射口102が開口している。 結晶ホルダ100は、波長変換光学素子31を直接保持する第1ホルダ部材110と、第1ホルダ部材110を介して波長変換光学素子31を保持する第2ホルダ部材120と、第2ホルダ部材120の外側部を覆う第3ホルダ部材130とを有して構成される。 波長変換光学素子31を保持する第1ホルダ部材110は、波長変換光学素子31における入出射面以外の外側面と面接触して熱伝達可能に構成される。図示する構成例では、波長変換光学素子31は、入出射面が一辺3〜10mm程度、長さが5〜20mm程度の直方体に切り出されており、第1ホルダ部材110は、入出射面を除く4つの外側面(上側面31us、下側面31bs、左側面31ls、右側面31rs)と面接触して、広い接触面積で熱的に接続するように構成される。 波長変換光学素子31の4つの外側面と面接触する構成として、第1ホルダ部材110を複数に分割し、分割された複数の分割ホルダ部材を波長変換光学素子31の各外側面に面接触させる構成が例示される。例えば、第1ホルダ部材110を波長変換光学素子31の対角位置で2分割し、これら2つの分割ホルダ部材で波長変換光学素子31を挟み込むように付勢配設する。これにより、一方の分割ホルダ部材が波長変換光学素子31の2つの外側面(例えば上側面31usと左側面31ls)と面接触し、他方の分割ホルダ部材が波長変換光学素子31の他の2つの外側面(例えば下側面31bsと右側面31rs)と面接触する。なお、第1ホルダ部材110として、全体的に見た外形形状が円柱状の構成を例示したが、第1ホルダ部材の外形形状は、円柱の外側面を内側面と平行に面取りした形状や角柱状などであってもよい。 第2ホルダ部材120は、第1ホルダ部材110の外側面と面接触して第1ホルダ部材を保持し、第1ホルダ部材110を介して波長変換光学素子31と熱伝達可能に構成される。図示する構成例において、第1ホルダ部材110の外側面110osは、全体として円柱の外周面状になっており、第2ホルダ部材120は、その内側面120isが第1ホルダ部材の外側面110osと面接触して熱的に接続するように構成される。このような構成として、第2ホルダ部材120は、第1ホルダ部材110の外径と同一またはそれよりも僅かに大きめの内径を有する円筒状とし、これを周方向に複数に分割した分割ホルダ部材によって構成することができる。 第2ホルダ部材120には、波長変換光学素子31を加熱するヒータ140が光軸方向に延びて配設されるとともに、第1ホルダ部材110に波長変換光学素子31の温度を検出するための温度センサ145が設けられ、これらが温度コントローラ150に接続されている。温度コントローラ150は、温度センサ145により検出される温度に基づいて波長変換光学素子31が所定の位相整合温度になるようにヒータ140の作動を制御する。すなわち、ヒータ140、温度センサ145及び温度コントローラ150は、波長変換光学素子31の温度を所定温度に調整する温度調整装置を構成する。 第3ホルダ部材130は、第2ホルダ部材120の外周を覆い、第1,第2ホルダ部材を保持するように構成される。図示する構成例において、第3ホルダ部材130の内径は、第2ホルダ部材120の外径よりも大きく形成されており、第2ホルダ部材の外側面120osと第3ホルダ部材の内側面130isとの間に、気体からなる断熱層135が形成される。断熱層135を形成する気体は、波長変換光学素子31が配設される領域の雰囲気でよく、例えば空気や窒素などが例示される。 図示する構成例では、第2ホルダ部材120と第3ホルダ部材130とが光軸方向に延びる1本の接線で接触し、この接線上に設けられたねじ等の固定手段により第2ホルダ部材120が第3ホルダ部材130に固定保持される構成を示す。これにより、簡明な構成で第2ホルダ部材120と第3ホルダ部材130との接触面を介した熱伝導を抑制することができる。なお、図4に光軸直交方向の断面図を示すように、ピン、ねじ、あるいは突起等の支持部材132によって第3ホルダ部材130の中央部に第2ホルダ部材120を保持し、厚さが一定の断熱層135を形成するように構成しても良い。このような構成によれば、第2ホルダ部材120と第3ホルダ部材130との接触による熱伝達(伝導伝熱)をさらに抑制することができる。 なお、第2ホルダ部材120及び第3ホルダ部材130の内外側面の形状は、第1ホルダ部材110と同様に、各々保持するホルダ部材の形状等に応じて、角柱状など任意の形状とすることができる。 第3ホルダ部材130は、波長変換光学素子31への基本波レーザ光の入射位置を調整するためのステージ、波長変換光学素子31の角度位置を調整するための結晶角度アジャスタ等を介して波長変換部3に固定保持される。 このような結晶ホルダ100において、第1ホルダ部材110は、熱伝導率が高く熱容量密度が低い高熱拡散材料により形成され、第2ホルダ部材120は、第1ホルダ部材と対比して熱伝導率が低く熱容量密度が高い低熱拡散材料により形成され、第3ホルダ部材130は、熱伝導率及び熱容量密度がともに低い断熱材料により形成される。 まず、波長変換光学素子31の外側面と面接触して波長変換光学素子31を直接保持する第1ホルダ部材110は、熱伝導率が高く熱容量密度が低い高熱拡散材料により形成される。このような特性を有する高熱拡散材料として、例えば、銅やアルミニウム、これらの合金等の金属材料が例示される。波長変換光学素子31に温度ムラができると屈折率分布が発生し、波長変換効率の低下やビーム品質の劣化を引き起こす。第1ホルダ部材110を上記のような低熱容量の高熱拡散材料で形成することにより、波長変換光学素子31の温度を均一化し、波長変換効率及びビーム品質を向上させることができる。 第1ホルダ部材110の外側面と面接触して第1ホルダ部材を保持する第2ホルダ部材120は、第1ホルダ部材110を形成する高熱拡散材料と比較して、熱伝導率が低く熱容量密度が高い低熱拡散材料により形成される。このような特性を有する低熱拡散材料として、例えば、鉄やチタン、これらの合金等の金属材料が例示される。第2ホルダ部材120を上記のような高熱容量の低熱拡散材料で形成することにより、与えられた熱量を保持し熱の拡散による温度変化を抑制することができる。 すなわち、第2ホルダ部材120は、入熱量の変化に伴う温度変化を緩やかにする作用を発揮する。そのため、第1ホルダ部材110を介して第2ホルダ部材120に保持された波長変換光学素子31は、予期せぬ停電等により温度コントローラ150への電力供給が遮断され、ヒータ140による加熱が停止された場合であっても、結晶温度の変化が緩やかになり、第1ホルダ部材110により波長変換光学素子31全体の温度の均一性が保持された状態で緩やかに低下する。 また、本構成例においては、ヒータ140を第2ホルダ部材120に設けている。これにより、ヒータ140がオンになったときの波長変換光学素子31の急激な温度上昇を抑制するとともに、一定体積下で相対的に第2ホルダ部材120の容積(すなわち第2ホルダ部材が有する熱容量)を増大させて、電源遮断時の波長変換光学素子31の温度変化をより緩やかに低減する効果を達成している。 第2ホルダ部材120の外側面を覆う第3ホルダ部材130は、第1,第2ホルダ部材を形成する材料と比較して、熱伝導率及び熱容量密度がともに低い断熱材料により形成される。第3ホルダ部材に好適な断熱材料の例として、ジルコニアやステアタイト等のセラミックやガラスなどの無機材料が例示される。第2ホルダ部材120の外側面を、このような断熱材料製の第3ホルダ部材130で覆うことにより、第2ホルダ部材120から外部への熱の拡散を抑制することができ、第2ホルダ部材120による温度変化率の抑制効果を高めることができる。 さらに、結晶ホルダ100においては、第2ホルダ部材120と第3ホルダ部材130との間に気体からなる断熱層135を設け、第2ホルダ部材120から第3ホルダ部材130への伝導伝熱を抑制した構成としている。そのため、断熱層135を介して第3ホルダ部材130に覆われた第2ホルダ部材120は、熱の出入りが抑制されて結晶ホルダ内で保温された状態になり、これにより第2ホルダ部材120による波長変換光学素子31の温度変化率の抑制効果を大幅に高めることができる。 なお、第2ホルダ部材の外側面120osと対向する第3ホルダ部材の内側面130isに、アルミニウム等の金属材料の膜を蒸着形成する等により、第2ホルダ部材120から第3ホルダ部材130への熱輻射による輻射伝熱を抑制することができ、これにより上記効果をさらに高めることも可能である。 次に、結晶ホルダ100の実施例について、各ホルダ部材を形成する具体的な材料の物性をまとめた図5を参照して説明する。図中に示すA5052,C1020,SUS304等の材質名は、JIS規格に規定するアルミニウム合金、無酸素銅、ステンレス合金等の材料記号である。 第1ホルダ部材110に好適な、熱伝導率が高く熱容量密度が低い高熱拡散材料の例として、アルミニウム合金A5052と無酸素銅C1020を例示する。図示するように、アルミニウム合金A5052は、熱伝導率が138.1[J/(s・m・K)]と高く、熱容量密度が2.47[J/(cm3・K)と低く、これにより熱拡散率が55.9×10-6[m2/s]と高い低熱容量の高熱拡散材料である。無酸素銅C1020は、熱伝導率が385[J/(s・m・K)]と高く、熱容量密度が3.44[J/(cm3・K)と低く、これにより熱拡散率が111.9×10-6[m2/s]と高い低熱容量の高熱拡散材料である。アルミニウム合金A5052は、軽量であり、機械加工性が良好であることから、小型軽量な第1ホルダ部材110を低コストに製作することができる。なお、5000番台のアルミニウム合金と対比すると機械加工性は劣るが、より熱伝導率が高い1000番台のアルミニウム合金(純アルミ)を用いてもよい。 第2ホルダ部材120に好適な、熱伝導率が低く熱容量密度が高い低熱拡散材料の例として、ステンレス合金SUS304とチタン合金Ti−6Al−4Vを例示する。ステンレス合金SUS304は、熱伝導率が16.7[J/(s・m・K)]と比較的低く、熱容量密度が4[J/(cm3・K)と高く、これにより熱拡散率が4.16×10-6[m2/s]と低い高熱容量の低熱拡散材料である。チタン合金Ti−6Al−4Vも、熱伝導率が6.7[J/(s・m・K)]と低く、熱容量密度が2.33[J/(cm3・K)と比較的高く、これにより熱拡散率が2.87×10-6[m2/s]と低い高熱容量の低熱拡散材料である。ステンレス合金SUS304は、市場性が高く、一般的な機械加工性を有することから、所定熱容量の第2ホルダ部材120を低コストに製作することができる。 第3ホルダ部材130に好適な、熱伝導率及び熱容量密度がともに低い断熱材料の例として、マシナブルセラミックと板ガラスを例示する。図中には、マシナブルセラミックの代表例として、コーニング・インコーポレイテッド社のマコール(登録商標)の物性を示す。例示するマシナブルセラミックは、熱伝導率が1.67[J/(s・m・K)]と低く、熱容量密度も1.9[J/(cm3・K)と低く、これによって熱拡散率が0.88×10-6[m2/s]と極めて低い断熱材料である。また、板ガラスも、熱伝導率が0.76[J/(s・m・K)]と低く、熱容量密度も1.9[J/(cm3・K)と低く、これによって熱拡散率が0.4×10-6[m2/s]と極めて低い断熱材料である。マシナブルセラミックは、機械加工性を有するセラミックであることから、所望形状の第3ホルダ部材130を比較的容易に製作することができる。 なお、第3ホルダ部材130の外形形状は任意であり、第2ホルダ部材120と第3ホルダ部材130との間に気体からなる断熱層135を設けたことから、第3ホルダ部材130の内径の寸法精度を低くすることができる。すなわち、結晶ホルダ100においては、第3ホルダ部材130の機械加工面を限定的にすることができるため、ジルコニアやステアタイト等、低熱伝導率及び低熱容量密度のセラミックを用いて第3ホルダ部材を製作することも可能になっている。 このような構成の結晶ホルダ100に保持された波長変換光学素子31,32は、ヒータ140による加熱が停止されたときの温度変化が極めて緩やかになり、素子全体の温度の均一性が保持された状態でゆっくりと変化する。このため、仮に停電等による予期せぬ電源遮断が発生しても、波長変換光学素子31,32の温度が急速に変化するようなことが無く、簡明な構成で反射防止膜等の損傷を抑制することができる。 以上では、波長変換光学素子を所定温度に調整する温度調整器として、ヒータを用いた構成を例示したが、温度調整器は、調整すべき温度や熱量に応じて適宜な機器を用いることができる。例えば、ペルチェ素子を利用した温度調整器によって、波長変換光学素子を加熱及び/または冷却するように構成してもよい。 また、レーザ光出力部1から波長1064nmの基本波レーザ光を出力し、波長変換部3に設けられた二つの波長変換光学素子31,32で波長355nmの変換レーザ光に波長変換して出力する構成を例示したが、基本波レーザ光及び変換レーザ光の波長、波長変換光学素子の個数や配置、何れの波長変換光学素子に本技術の結晶ホルダを適用するか等は任意である。例えば、レーザ光出力部1から波長1.5μm帯の基本波レーザ光を出力し、複数の波長変換光学素子で波長193nmの変換レーザ光に波長変換して出力するようなレーザ装置において、所定温度以上(例えば60℃以上)に加熱される波長変換光学素子や、波長変換光学素子がLBO結晶である部位等に、本技術の結晶ホルダを選択的に適用することもできる。 以上説明したようなレーザ装置LSは、小型軽量であるとともに取り扱いが容易であり、露光装置や光造形装置等の光加工装置、フォトマスクやウェハ等の検査装置、顕微鏡や望遠鏡等の観察装置、測長器や形状測定器等の測定装置、光治療装置などのシステムに好適に適用することができる。 レーザ装置LSを備えたシステムの第1の適用例として、半導体製造や液晶パネル製造のフォトリソグラフィ工程で用いられる露光装置について、その概要構成を示す図6を参照して説明する。露光装置500は、原理的には写真製版と同じであり、石英ガラス製のフォトマスク513に精密に描かれたデバイスパターンを、フォトレジストを塗布した半導体ウェハやガラス基板などの露光対象物515に光学的に投影して転写する。 露光装置500は、上述したレーザ装置LSと、照明光学系502と、フォトマスク513を保持するマスク支持台503と、投影光学系504と、露光対象物515を保持する露光対象物支持テーブル505と、露光対象物支持テーブル505を水平面内で移動させる駆動機構506とを備えて構成される。照明光学系502は複数のレンズ群からなり、レーザ装置LSから出力されたレーザ光を、マスク支持台503に保持されたフォトマスク513に照射する。投影光学系504も複数のレンズ群により構成され、フォトマスク513を透過した光を露光対象物支持テーブル上の露光対象物515に投影する。 このような構成の露光装置500においては、レーザ装置LSから出力されたレーザ光が照明光学系502に入力され、所定光束に調整されたレーザ光がマスク支持台503に保持されたフォトマスク513に照射される。フォトマスク513を通過した光はフォトマスク513に描かれたデバイスパターンの像を有しており、この光が投影光学系504を介して露光対象物支持テーブル505に保持された露光対象物515の所定位置に照射される。これにより、フォトマスク513のデバイスパターンの像が、半導体ウェハや液晶パネル等の露光対象物515の上に所定倍率で結像露光される。 このような露光装置500によれば、簡明な構成で反射防止膜等の損傷が抑制されたレーザ装置LSを備えている。そのため、レーザ装置を含めた露光装置のシステムを簡明化、低価格化することができる。 次に、レーザ装置LSを備えたシステムの第2の適用例として、フォトマスクや液晶パネル、ウェハ等(被検物)の検査工程で使用される検査装置について、その概要構成を示す図7を参照して説明する。図7に例示する検査装置600は、フォトマスク等の光透過性を有する被検物613に描かれた微細なデバイスパターンの検査に好適に使用される。 検査装置600は、前述したレーザ装置LSと、照明光学系602と、被検物613を保持する被検物支持台603と、投影光学系604と、被検物613からの光を検出するTDI(Time Delay Integration)センサ615と、被検物支持台603を水平面内で移動させる駆動機構606とを備えて構成される。照明光学系602は複数のレンズ群からなり、レーザ装置LSから出力されたレーザ光を、所定光束に調整して被検物支持台603に保持された被検物613に照射する。投影光学系604も複数のレンズ群により構成され、被検物613を透過した光をTDIセンサ615に投影する。 このような構成の検査装置600においては、レーザ装置LSから出力されたレーザ光が照明光学系602に入力され、所定光束に調整されたレーザ光が被検物支持台603に保持されたフォトマスク等の被検物613に照射される。被検物613からの光(本構成例においては透過光)は、被検物613に描かれたデバイスパターンの像を有しており、この光が投影光学系604を介してTDIセンサ615に投影され結像する。このとき、駆動機構606による被検物支持台603の水平移動速度と、TDIセンサ615の転送クロックとは同期して制御される。 そのため、被検物613のデバイスパターンの像がTDIセンサ615により検出され、このようにして検出された被検物613の検出画像と、予め設定された所定の参照画像とを比較することにより、被検物に描かれた微細パターンの欠陥が抽出される。なお、被検物613がウェハ等のように光透過性を有さない場合には、被検物からの反射光を投影光学系604に入射してTDIセンサ615に導くことにより、同様に構成することができる。 このような検査装置600によれば、簡明な構成で反射防止膜等の損傷が抑制されたレーザ装置LSを備えている。そのため、レーザ装置を含めた露光装置のシステムを簡明化、低価格化することができる。LS レーザ装置1 レーザ光出力部3 波長変換部31,32波長変換光学素子100 結晶ホルダ(波長変換光学素子ホルダ)110 第1ホルダ部材120 第2ホルダ部材130 第3ホルダ部材135 断熱層140 ヒータ(温度調整器)145 温度センサ150 温度コントローラ500 露光装置502 照明光学系 503 マスク支持台504 投影光学系 505 露光対象物支持テーブル513 フォトマスク 515 露光対象物600 検査装置602 照明光学系 603 被検物支持台604 投影光学系 613 被検物615 TDIセンサ 波長変換光学素子を保持する第1ホルダ部材と、前記第1ホルダ部材を介して前記波長変換光学素子を保持する第2ホルダ部材と、前記第2ホルダ部材の外側部を覆う第3ホルダ部材と、前記波長変換光学素子を加熱及び/または冷却するための温度調整器とを有し、 前記第1ホルダ部材は、熱伝導率が高く熱容量密度が低い高熱拡散材料により形成され、 前記第2ホルダ部材は、第1ホルダ部材と対比して熱伝導率が低く熱容量密度が高い低熱拡散材料により形成され、 前記第3ホルダ部材は、熱伝導率及び熱容量密度が共に低い断熱材料により形成されることを特徴とする波長変換光学素子ホルダ。 前記第2ホルダ部材と前記第3ホルダ部材との間に、気体からなる断熱層を有することを特徴とする請求項1に記載の波長変換光学素子ホルダ。 前記温度調整器は、前記第2ホルダ部材に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の波長変換光学素子ホルダ。 前記波長変換光学素子はLBO結晶であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の波長変換光学素子ホルダ。 前記波長変換光学素子における位相整合は非臨界位相整合であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の波長変換光学素子ホルダ。 レーザ光を出力するレーザ光出力部と、前記レーザ光出力部から出力されたレーザ光を波長変換して出力する波長変換部とを備えたレーザ装置であって、 前記波長変換部に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の波長変換光学素子ホルダに保持された波長変換光学素子を備えることを特徴とするレーザ装置。 請求項6に記載のレーザ装置と、 所定の露光パターンが形成されたフォトマスクを保持するマスク支持部と、 露光対象物を保持する露光対象物支持部と、 前記レーザ装置から出力されたレーザ光を前記マスク支持部に保持されたフォトマスクに照射する照明光学系と、 前記フォトマスクを透過した光を露光対象物支持部に保持された露光対象物に投影する投影光学系とを備えたことを特徴とする露光装置。 請求項6に記載のレーザ装置と、 被検物を保持する被検物支持部と、 前記レーザ装置から出力されたレーザ光を前記被検物支持部に保持された被検物に照射する照明光学系と、 前記被検物からの光を検出器に投影する投影光学系とを備えたことを特徴とする検査装置。 【課題】停電等による予期せぬ電源遮断に対し、簡明な構成で反射防止膜等の損傷を抑制し得る手段を提供する。【解決手段】結晶ホルダ100は、波長変換光学素子31を保持する第1ホルダ部材110と、第1ホルダ部材110を介して波長変換光学素子31を保持する第2ホルダ部材120と、第2ホルダ部材120の外側部を覆う第3ホルダ部材130と、波長変換光学素子31を加熱するヒータ140とを有して構成される。第1ホルダ部材110は、熱伝導率が高く熱容量密度が低い高熱拡散材料により形成され、第2ホルダ部材120は、熱伝導率が低く熱容量密度が高い低熱拡散材料により形成され、第3ホルダ部材130は、熱伝導率及び熱容量密度がともに低い断熱材料により形成される。【選択図】図2