タイトル: | 公開特許公報(A)_睡眠の質改善剤 |
出願番号: | 2012164926 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 31/05,A61K 31/7034,A61K 36/18,A61K 36/00,A61K 31/352,A61K 31/7048,A61P 25/20 |
裏出 良博 鎌田 育子 五木田 智夫 鈴木 究 上林 博明 村越 倫明 JP 2014024774 公開特許公報(A) 20140206 2012164926 20120725 睡眠の質改善剤 ライオン株式会社 000006769 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所 390000745 酒井 宏明 100089118 寺崎 直 100113398 裏出 良博 鎌田 育子 五木田 智夫 鈴木 究 上林 博明 村越 倫明 A61K 31/05 20060101AFI20140110BHJP A61K 31/7034 20060101ALI20140110BHJP A61K 36/18 20060101ALI20140110BHJP A61K 36/00 20060101ALI20140110BHJP A61K 31/352 20060101ALI20140110BHJP A61K 31/7048 20060101ALI20140110BHJP A61P 25/20 20060101ALI20140110BHJP JPA61K31/05A61K31/7034A61K35/78 CA61K35/78 BA61K31/352A61K31/7048A61P25/20 16 OL 20 4C086 4C088 4C206 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA08 4C086EA08 4C086EA11 4C086MA01 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA08 4C086MA52 4C086NA14 4C086ZA05 4C088AB04 4C088AB56 4C088AB64 4C088AC01 4C088AC03 4C088AC04 4C088AC05 4C088AC06 4C088CA05 4C088CA06 4C088CA07 4C088CA08 4C088MA02 4C088MA07 4C088NA14 4C088ZA05 4C206AA01 4C206AA02 4C206CA20 4C206MA01 4C206MA02 4C206MA04 4C206MA13 4C206MA72 4C206NA14 4C206ZA05 本発明は、睡眠の質改善剤に関する。 睡眠は、大脳の活動がほとんど停止しているノンレム睡眠と全身は脱力状態にあるが脳の一部は活発に活動し夢を見ているレム睡眠の2種に大別される。この2種の眠りが一定の間隔で繰り返され、眠りが形成される(図1)。良質な睡眠には、就寝からノンレム睡眠出現までの時間(入眠潜時)が短く、十分なノンレム睡眠時間と深いノンレム睡眠、特に睡眠初期の十分に深いノンレム睡眠の確保が必要である。 しかしながら、近年、24時間社会化が進むにつれ、日本人の平均睡眠時間は大きく減少し、それと共に、睡眠への不満を訴える患者数が増加している。平成8年の健康づくりに関する意識調査によれば、21.4%の人が何らかの睡眠への不満を訴えていることが報告されている。また、加齢による睡眠の変化に着目すると、ノンレム睡眠時間が大きく減少し、睡眠の質が低下していることが報告されている。 睡眠に対する不満として、寝つきが悪い、悪夢を見る、朝起きたとき眠気がする、ぐっすり眠った感じがしない、朝起きても疲労が残っている、昼間に眠気を感じる、等がある。これらにより仕事の効率が低下したり、思わぬ事故につながったりする。これらの原因として、睡眠時間が短いことだけではなく、良質の睡眠が得られていないことが挙げられる。すなわち、就寝からノンレム睡眠出現までの時間(入眠潜時)が長かったり、ノンレム睡眠の時間が短かったり、深いノンレム睡眠が得られていないためである。これらに対し医薬品の睡眠薬の利用が考えられる。しかし、睡眠薬利用する際には医師の診断が必要であったり、副作用として目覚めの悪さ、記憶障害、依存性などがあり、手軽に安全に利用できるものではない。また、医薬品の中には、ベンゾジアゼピン系睡眠薬、バルビルツール酸系睡眠薬のように、ノンレム睡眠を減少させるものもあり、正しく使用しなければかえって睡眠の質が低下することもある。 医薬品以外では、天然成分や飲食品からの睡眠改善剤の研究開発が盛んに行われており、種々のものが提案されている。このような睡眠改善剤の有効成分としては、例えば、ナス科ウィザニア属植物由来成分(特許文献1)、アキノワスレグサの発酵処理物(特許文献2)、茶葉由来のテアミン(特許文献3)、高麗人参エキス(非特許文献1)などが提案されている。しかしながら、入眠潜時やノンレム睡眠の時間と深さに対するこれらの成分の効果は明らかではなく、睡眠の質を改善する作用は十分ではない。特開2006−28051号公報特開2006−62998号公報国際公開第2005/097101号Young Ho Rhee,et al.,Psychopharmacology,101,p.486−488(1990) 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、睡眠の質改善効果を十分に奏し、投与形態を問わず経口投与によっても効果が発揮され、かつ、身体への安全性が保証されている睡眠の質改善剤を提供することを目的とする。 本発明者らは上記目的を達成すべく検討を重ねた。その結果、スチルベン系化合物および/またはオリーブエキスに睡眠の質改善効果を見出し、本発明に到達した。 本発明は、以下の発明を提供する。〔1〕スチルベン系化合物および/またはオリーブエキスを有効成分とする睡眠の質改善剤。〔2〕スチルベン系化合物が、スチルベン系化合物を含有する植物抽出エキスである、上記〔1〕に記載の睡眠の質改善剤。〔3〕スチルベン系化合物を含有する植物抽出エキスが、スチルベン系化合物を含むブドウ科植物抽出エキスまたはスチルベン系化合物を含むグネツム科植物抽出エキスである、上記〔2〕に記載の睡眠の質改善剤。〔4〕オリーブエキスが、オリーブの果実から分離されるエキスである、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。〔5〕オリーブエキスが、ヒドロキシチロソール、チロソールおよびオレウロペインからなる群から選ばれる1種以上のポリフェノールを含むオリーブエキスである、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。〔6〕睡眠時間全体に占めるノンレム睡眠時間の割合を増加する上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。〔7〕睡眠初期のノンレム睡眠を深くする上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。〔8〕起床時の眠気のなさを改善する上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。〔9〕寝つきと熟眠感を改善する上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。〔10〕夢見を改善する上記〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。〔11〕疲労感を改善する上記〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。〔12〕睡眠時間の満足感を改善する上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。〔13〕経口剤である、上記〔1〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。〔14〕上記〔1〕〜〔13〕のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤を含有する睡眠の質改善組成物。〔15〕経口剤である、上記〔14〕に記載の睡眠の質改善組成物。〔16〕スチルベン系化合物および/またはオリーブエキスを睡眠の質改善のために使用する方法。 本発明によれば、睡眠の質改善効果を十分に奏し、投与形態を問わず経口投与によっても効果が発揮され、かつ、身体への安全性が保証されている睡眠の質改善剤が提供される。図1は、一般的な睡眠のパターンを示す図である。 本発明においては、スチルベン系化合物および/またはオリーブエキスを有効成分とする。(1)スチルベン系化合物 スチルベン系化合物とは、スチルベン骨格を有する化合物である。スチルベン骨格を式(I)に示す。 スチルベン骨格は、官能基で置換されていてもよい。官能基による置換部位は特に限定されないが、通常は、芳香環である。係る官能基としては、例えば、水酸基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノ基、スルホン基、リン酸基などが挙げられる。中でも、水酸基およびヒドロキシアルキル基が好ましい。 スチルベン系化合物は、スチルベン骨格を有していれば、単量体、多量体、単量体の配糖体および多量体の配糖体であってもよい。中でも、官能基が水酸基、ヒドロキシアルキル基からなる単量体、多量体やこれらの配糖体が好ましい。単量体としては、例えば、レスベラトロール(Resveratrol)、ピセアタンノール(Piceatannol)、アストリンジン(Astringin)、プテロスチルベン(Pterostilbene)などが挙げられる。単量体の配糖体としては、例えば、ピセイド(Piceid)などが挙げられる。多量体としては例えば、δ−ビニフェリン(δ−viniferin)、ε−ビニフェリン(ε−viniferin)、グネチンC(Gnetin C)、グネチンL(Gnetin L)、α−ビニフェリン(α−viniferin)、アンペロプシンA(Ampelopsin A)などが挙げられる。多量体の配糖体としては、例えば、グネモノサイドA(Gnemonoside A)、グネモノサイドC(Gnemonoside C)、グネモノサイドD(Gnemonoside D)などが挙げられる。 上記の化合物はレスベラトロール類として分類される。レスベラトロール類は、抗虚血性心疾患効果(Lancet,338,1523−1526,1992)、抗がん効果(Br.J.cancer,86,774−778,2002)、認知症発症低下効果(Am.J.Epidemiol,167,648−691,2008)、高血圧抑制効果(Eur.J.Pharmacol.,667,258−264,2011)、および、寿命延長効果(Nature,444,337−342,2006)を有することが知られている。スチルベン系化合物は、レスベラトール類から選ばれる1種以上の化合物であることが好ましい。 本発明において、スチルベン系化合物は、化学合成により得られるスチルベン系化合物、天然由来の(例えば、菌体、植物由来の)スチルベン系化合物であってもよい。これらのうち、天然由来のスチルベン系化合物が好ましく、植物由来のスチルベン系化合物が好ましい。 天然由来のスチルベン系化合物は、純粋なスチルベン系化合物である必要はなく、他の化合物との混合物であってもよい。該混合物としては、例えば、植物抽出エキス、植物体の一部または全部、菌体培養物などが挙げられる。これらのうち植物抽出エキスが好ましい。 スチルベン系化合物として植物抽出エキスを用いる場合、スチルベン系化合物を含有する植物の植物抽出エキスを用いることができる。スチルベン系化合物を含有する植物としては例えば、ブドウ科植物、フタバガキ科植物、マメ科植物、カヤツリグサ科植物、グネツム科植物等が挙げられる。中でもブドウ科植物またはグネツム科植物が好ましい。 ブドウ科植物は、スチルベン系化合物を含有していればよく、レスベラトロール類を含有することが好ましい。ブドウ科植物としては例えば、ビティス・ビニフェラ(Vitis vinifera)、ビティス・ラブルスカ(Vitis labrusca)、ビティス・カリフォルニア(Vitis california)、ビティス・アムレンシス(Vitis amurensis)、ビティス・コワネティー(Vitis coignetiae)、ビティス・シラガイ(Vitis shiragai)などの種が挙げられる。ブドウ科植物としては、例えば、カベルネソーヴィニオン、メルロー、ピノノワール、ガメイ、シラー、ネッビオーロ、サンジョヴェーゼ、テンプラニーリョ、ジンファンデル、カルメネール、マルベック、マスカットベリーA、甲州、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、シャルドネ、ミュスカデ、リースリング、ミュスカ、ヴィオニエ、トレッビアーノ、ピノ・グリージョ、フルミント、バロミノなどの品種が挙げられる。 グネツム科植物としてはレスベラトロール類を含有する種類であれば特に限定されない。グネツム科植物としては、例えば、グネモンノキ(Gnetum gnemon、メリンジョ)、ヒメグネモン(Gnetum brunonianum)、ヒロハグネモン(Gnetum latifolium)、ホソバグネモン(Gnetum tenuifolium)などが挙げられる。これらのうちグネモンノキが好ましい。 植物の抽出部位は、特に限定されず、植物体の全部であってもよいし、一部(例えば葉、茎、蔓、葉、果実、種子)であってもよい。ブドウ科植物の場合は、茎、蔓、葉または果実(果皮、種子を含む)が好ましい。グネツム科植物の場合は、実、種子、実の胚乳、花または葉が好ましく、実、種子または実の胚乳がより好ましく、実の胚乳が更に好ましい。 植物体の一部を用いる場合は、植物体から分離した該当部分をそのまま用いてもよいし、天日、機械などにより乾燥して用いてもよい。 抽出方法は特に限定されないが、例えば、溶媒を用いて抽出する方法、二酸化炭素等による超臨界抽出法を用いて抽出する方法が挙げられる。溶媒を用いて抽出する方法において、抽出溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸、プロピオン酸などが挙げられる。これらの抽出溶媒は1種で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて混合液として使用してもよい。抽出溶媒は、水、エタノールまたはこれらの混合液(含水エタノール)が好ましい。含水エタノールを使用する場合、アルコール濃度は、限定されないが、20〜90容量%が好ましく、40〜80容量%がより好ましい。 なお、植物抽出エキスを用いてもよいし、上記植物抽出エキスを精製して得られるスチルベン系化合物を用いてもよい。 ブドウ抽出エキスおよびメリンジョ抽出エキスは市販されており、本発明においては市販品を使用することができる。ブドウ抽出エキスの市販品としては、例えば、「VINEATROL20M(商品名)」(ACTICHEM社製)などがある。メリンジョ抽出エキスの市販品としては、例えば、「メリンジョレスベラトロール−20(商品名)」(株式会社ルナYBF社製)などがある。 本発明の睡眠の質改善剤がスチルベン系化合物を有効成分とする場合、睡眠の質改善剤の投与量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限は無く、適応される被投与生体の年齢、状態などの要因により適宜変えることができる。被投与生体が目的の効果を得る1日あたりの投与量としては、スチルベン系化合物の1日あたりの摂取量として、通常0.1〜1000mgであり、1〜500mgが好ましく、10〜200mgがより好ましく、20〜120mgがさらに好ましい。(2)オリーブエキス オリーブエキスは、オリーブ(Olea europea L.)の植物体の全部または一部から分離されるエキスである。オリーブの植物体の全部または一部から、抽出溶媒を用いて分離してもよいし、圧搾により分離してもよい。 オリーブエキスの分離部位は特に限定されず、植物体の全部であってもよいし、一部(例えば葉、花、果実)であってもよいが、果実が好ましい。 抽出溶媒としては例えば、水、有機溶媒(例えば、アルコール、アセトンなどから選ばれる1種の溶媒、または2種以上の混合溶媒)、水および有機溶媒の混合液を使用できる。中でも水、水とアルコールとの混合液、およびアルコールが好ましい。アルコールとしては、エタノール、メタノールが好ましい。抽出時間および温度は、オリーブエキスの抽出部位、溶媒の種類などによって適宜定めることができる。オリーブエキスは、オリーブから抽出された粗抽出物であってもよいし、粗抽出物に濃縮、乾燥、粉砕などの加工を施したものであってもよい。さらに、分配法による処理、精製処理(例えば、イオン交換樹脂、カラムなどを利用して吸着処理後、溶媒による溶出、その後必要によりさらに濃縮処理)により不純物を除去したものも使用することができる。 オリーブエキスを圧搾により分離する場合には、分離の対象は果実であることが好ましく、オリーブの完熟した果実であることがより好ましい。例えば、果実を圧搾して得られる果汁をろ過および/または濃縮してオリーブエキスを得ることができる。これらのろ過物および濃縮物は、必要に応じて遠心分離してもよいし、噴霧乾燥などにより粉末化してもよい。遠心分離を行うことによりオリーブエキス中のヒドロキシチロソール、チロソール、オレウロペインなどのポリフェノール含量を高めることができる。 オリーブエキスの形態は特に限定されず、粉末、ペーストであってもよい。 オリーブは、通常、オレイン酸のグリセリド、リノール酸のグリセリド、パルミチン酸のグリセリド等の脂肪酸のグリセリド、脂溶性ビタミン類に富み、カリウム、リン、マグネシウムなどのミネラルを含む。オリーブオイルには不飽和脂肪酸、β−カロテン、ビタミンD、E、スクアレンジヒドロケルセチンなどの脂溶性成分、ヒドロキシチロソール、チロソール、オレウロペインなどのポリフェノールが含まれている。本発明においてオリーブ本来のパルプとオイル分は、圧搾、濃縮(遠心分離など)などの操作により、オリーブエキスからは除かれていることが好ましい。 本発明において、オリーブエキスはポリフェノールを含むことが好ましく、ヒドロキシチロソール、チロソールおよびオレウロペインからなる群から選ばれる1以上のポリフェノールを含むことがより好ましい。オリーブエキスのポリフェノールの含量は高いことが好ましく、ヒドロキシチロソール、チロソールおよびオレウロペインからなる群から選ばれる1以上のポリフェノールの含量が高いことがより好ましい。 オリーブエキスは市販されており、市販品を用いることができる。オリーブエキスの市販品としては例えば、「Olivex(商品名)」(GROUPE GRAP’SUD社;フランス)などが挙げられる。 本発明の睡眠の質改善剤がオリーブエキスを有効成分とする場合、睡眠の質改善剤の投与量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限は無く、適応される被投与生体の年齢、状態などの要因により適宜変えることができる。被投与生体が目的の効果を得る1日あたりの投与量は、オリーブエキスの1日あたりの投与量として、通常0.1〜1000mgであり、1〜500mgが好ましく、10〜200mgがより好ましく、20〜180mgがさらに好ましい。 本発明の睡眠の質改善剤は、そのままの形態で製剤化し、最終製品(例えば、飲食品、医薬品、医薬部外品など)として用いることもできる。また、飲食品用の添加剤、医薬用の添加剤、医薬部外品用の添加剤として用いることができる。これにより、飲食品、医薬品、医薬部外品に、睡眠の質改善効果を付与することができる。 本発明においては、スチルベン系化合物および/またはオリーブエキスを有効成分としていればよい。すなわち、スチルベン系化合物およびオリーブエキスの両方を有効成分としていてもよい。有効成分であるスチルベン系化合物は、構造などが異なる2種類以上のスチルベン系化合物の組み合わせであってもよい。有効成分であるオリーブエキスは、抽出方法などが互いに異なる2種類以上のオリーブエキスであってもよい。 本発明の睡眠の質改善剤は有効成分以外の成分を有していてもよい。有効成分以外の成分の一例としては、主に貯蔵および流通における安定性を確保する成分(例えば保存安定剤など)が挙げられる。その他、目的の最終製品(例えば、飲食品、医薬品、医薬部外品など)を構成する諸成分から選ばれる1または2以上の種類の成分(好ましくは1〜3種類程度、より好ましくは1種類程度)を予め含有しておくことも可能である。 本発明の睡眠の質改善剤は、スチルベン系化合物およびオリーブエキス以外の成分と組み合わせて睡眠の質改善組成物としてもよい。 本発明の睡眠の質改善組成物に含まれる、スチルベン系化合物およびオリーブエキス以外の成分は、本発明の目的を損なわない限り、特に限定されない。例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、発色剤、矯味剤、着香剤、酸化防止剤、防腐剤、呈味剤、酸味剤、甘味剤、強化剤、ビタミン剤、膨張剤、増粘剤、界面活性剤などの中から、睡眠の質改善効果、製剤に必要な諸特性(例えば、製剤安定性)を損なわないものであって、最終製品の剤形に応じたものを1種または2種以上選択することができる。また、スチルベン系化合物およびオリーブエキス以外の成分は、スチルベン系化合物およびオリーブエキス以外の、睡眠の質改善効果を有する成分であってもよい。 本発明の睡眠の質改善組成物の投与量は、上記本発明の睡眠の質改善剤の投与量の説明中で示した、スチルベン系化合物および/またはオリーブエキスの量の範囲となるように調整すればよい。 本発明の睡眠の質改善組成物は、そのままの形態で、最終製品(例えば、飲食品、医薬品、医薬部外品など)として用いることができる。また、飲食品用の添加剤、医薬用の添加剤、医薬部外品用の添加剤として用いることができる。これにより、飲食品、医薬品、医薬部外品に、睡眠の質改善効果を付与することができる。 本発明の睡眠の質改善剤および睡眠の質改善組成物の投与形態は特に限定されない。例えば、経口投与(例えば、口腔内投与、舌下投与など)、非経口投与(静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、経鼻投与、経肺投与など)などが挙げられる。これらの中でも侵襲性の少ない投与形態が好ましく、経口投与であることがより好ましい。 本発明の睡眠の質改善剤および睡眠の質改善組成物の剤形は、特に限定されない。飲食品、医薬品および医薬部外品のいずれとするかによって適宜決定することができ、特に限定されない。経口投与する場合の剤形の例としては、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、固形状(錠剤、タブレット)、カプセル状(カプセル剤)、粉末状(顆粒、細粒)、ソフトカプセル状(ソフトカプセル剤)、半液体状、クリーム状、ペースト状が挙げられる。非経口投与する場合の剤形の例としては、液剤(注射剤、点鼻剤)、霧状(噴霧剤、吸入剤)などが挙げられる。 本発明の睡眠の質改善剤および睡眠の質改善組成物の投与時期は特に限定されないが、通常は就寝前に投与され、就寝3時間前から就寝までの間に投与されることが好ましく、就寝2時間前から就寝の間に投与されることがより好ましく、就寝1時間前から就寝の間に投与されることがさらに好ましく、就寝1時間前に投与されることが特に好ましい。 本発明において有効成分であるスチルベン系化合物および/またはオリーブエキスは、顕著な睡眠の質改善作用を有する。 本発明における「睡眠の質」とは、睡眠により疲れた身体および脳を休めることができることを意味する。睡眠時間が長くても睡眠の質が伴わなければ、疲れを十分に取ることはできない。睡眠の質を測る指標としては、例えば、就寝からノンレム睡眠出現までの時間(以下、入眠潜時という。)、睡眠初期のノンレム睡眠の深さ、睡眠時間全体に占めるノンレム睡眠時間の割合、起床時の眠気のなさ、寝つき並びに熟眠感、夢見、睡眠時間の満足感、疲労感、入眠潜時および睡眠初期のノンレム睡眠の深さが挙げられる。このうち、睡眠時間全体に占めるノンレム睡眠時間の割合、起床時の眠気のなさ、寝つき並びに熟眠感、夢見、疲労感および睡眠初期のノンレム睡眠の深さが好ましい。睡眠初期のノンレム睡眠とは、就寝直後からレム睡眠の出現前に出現するノンレム睡眠を意味する。デルタ波パワー値が大きくなると睡眠の深さは深くなる。睡眠時間全体に占めるノンレム睡眠時間の割合も、実施例に示すとおり、就寝中の脳波を測定して得られる脳波記録により確認できる。起床時の眠気のなさ、寝つき並びに熟眠感、夢見、睡眠時間の満足感および疲労感は、実施例に示すとおり、OSA睡眠調査票MA版(山本由華吏,田中秀樹,高瀬美紀,山崎勝男,阿住一雄,白川修一郎:中高年・高齢者を対象としたOSA睡眠調査票(MA版)の開発と標準化.脳と精神の医学 10:401−409,1999.)を用いて評価できる。疲労感は、実施例に示すとおり、日本疲労学会が特定保健用食品の抗疲労臨床評価における疲労感の評価方法のガイドラインに示している日本疲労学会推奨のVisual Analogue Scale(VAS)検査用紙を用いて評価できる。入眠潜時は、就寝中の脳波を測定して得られる脳波記録により確認できる。睡眠初期のノンレム睡眠の深さは、睡眠中の脳波のデルタ波パワー値により確認できる。 本発明における「睡眠の質を改善する」とは、上記の睡眠の質が改善または向上したことを意味する。睡眠の質が改善されていることは、例えば、睡眠時間全体に占めるノンレム睡眠時間の割合が増加していること、起床時の眠気のなさが改善されていること、寝つきと熟眠感が改善されていること、夢見が改善されていること(例えば、頻繁に夢を見ることや悪夢を見ることがなくなる)、疲労回復感の増加(疲労感の軽減)、入眠潜時が短縮されること、睡眠初期のノンレム睡眠が深いことから判断できる。睡眠の質が改善されていることは、実施例の条件にて確認することができる。 本発明によれば、効果的に睡眠の質を改善することができる。また、スチルベン系化合物およびオリーブエキスは、元来飲食品として食されてきた物質であるから、これを有効成分とする本発明の睡眠の質改善剤は、生体に対し安全であり、利用者は安心して使用できる。さらに、本発明の睡眠の質改善剤は、下記の実施例に示すように、睡眠中の中途覚醒時間を減少させ睡眠時間を持続することができるので、疲労回復にいっそう顕著な効果が発揮されうる。よって、睡眠の質低下が関連する疾病、例えば、糖尿病、心疾患、高血圧、高脂血症、アルツハイマー等の疾病の予防・治療への応用が期待される。従って、本発明の睡眠の質改善剤は、飲食品、医薬品、医薬部外品等の最終製品として有用である。 本発明の睡眠の質改善剤または睡眠の質改善組成物の摂取対象者は特に限定されない。例えば、眠りが浅いと感じている対象者、起床時に眠気が残っていると感じている対象者、寝つきが悪いと感じている対象者、熟眠感が足りない(深く眠れない)と感じている対象者、夢見が悪いと感じている対象者、疲労感を感じている対象者、睡眠後にも疲れが取れないと感じている対象者などが挙げられる。また、特段の問題のない対象者であっても、睡眠の質改善または維持を目的として日常的に摂取することができる。 本発明の睡眠の質改善剤は、各種飲食品として利用することが好ましい。例えば、飲料(清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、粉末飲料、果実飲料、乳飲料、ゼリー飲料など)、菓子類(クッキー、ケーキ、ガム、キャンディー、タブレット、グミ、饅頭、羊羹、プリン、ゼリー、アイスクリーム、シャーベットなど)、水産加工品(かまぼこ、ちくわ、はんぺんなど)、畜産加工品(ハンバーグ、ハム、ソーセージ、ウィンナー、チーズ、バター、ヨーグルト、生クリーム、マーガリン、発酵乳など)、スープ(粉末状スープ、液状スープなど)、主食類(ご飯類、麺(乾麺、生麺)、パン、シリアルなど)、調味料(マヨネーズ、ショートニング、ドレッシング、ソース、たれ、しょうゆなど)が挙げられる。本発明の睡眠の質改善剤は、健康食品、機能性食品、栄養補助食品(サプリメント)、特定保健用食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品等の飲食品として利用することができる。中でも、健康食品、機能性食品とすることが好ましく、健康食品とすることがより好ましい。 以下、本発明を実施例により説明する。1−1.睡眠誘発効果の評価(実施例1〜3および比較例1〜3:マウス行動量測定) ブドウ抽出エキス、メリンジョ抽出エキスおよびオリーブエキスのそれぞれの睡眠誘発効果を確認するために、表1〜3に示す各サンプルを用いて以下の試験を行った。ブドウ抽出エキスおよびメリンジョ抽出エキスはいずれも、スチルベン系化合物及びその多量体を含有している。 ブドウ抽出エキス(ACTICHEM社製、商品名「VINEATROL20M」)を0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁して実施例1のサンプル溶液を調製した。メリンジョ抽出エキス(株式会社ルナYBF製、商品名「メリンジョレスベラトロール−20」)を0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁して実施例2のサンプル溶液を調製した。オリーブエキス(La Gardonnenque S.C.A社製、商品名「Olivex HT6」)を0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁して実施例3のサンプル溶液を調製した。コントロール溶液としては、それぞれ0.5%メチルセルロース水溶液を用いた(比較例1、2および3)。なお、本明細書中の各実施例および各処方例においても、ブドウ抽出エキス、メリンジョ抽出エキスおよびオリーブエキスとして、それぞれ上記の市販品を用いた。 サンプルが睡眠を誘発する機能を有する場合、サンプルを被験体に投与すると必ず行動量が低下する。そのため、サンプル溶液をマウスに投与して行動量が低下するか否かを確認することにより、サンプルの睡眠誘発効果を評価した。 8週齢または9週齢雄性C57BL/6マウスを日本SLC株式会社より購入し、3〜6日馴化した。馴化中の行動量より、投与群分けを実施した。暗期開始直前に、サンプル溶液またはコントロール溶液をそれぞれ体重当たり10mL/kg経口投与し、投与後24時間行動量を測定した。各投与群は6匹とした(n=6)。 行動量は以下の条件で測定した。ケージにマウスを個別に飼い、その上方に赤外線カメラを設置した。赤外線カメラの撮影範囲を64区画に分け、この区画を横切った回数を測定した。この回数を30分毎に集計した。 表1に、実施例1および比較例1のサンプルの種類、サンプル溶液の経口投与量、および、投与後5時間の累積行動量(回/5時間)を示す。表2に、実施例2および比較例2のサンプルの種類、サンプル溶液の経口投与量、および、投与後6時間の累積行動量(回/6時間)を示す。表3に、実施例3および比較例3のサンプルの種類、サンプル溶液の経口投与量、および、投与後8時間の累積行動量(回/8時間)を示す。 表1から明らかな通り、サンプルとしてブドウ抽出エキスを用いた実施例1は、コントロール溶液を投与した比較例1に比べ、投与後5時間の累積行動量が有意に低下していた。 表2から明らかな通り、サンプルとしてメリンジョ抽出エキスを用いた実施例2は、コントロール溶液を投与した比較例2に比べ、投与後6時間の累積行動量が有意に低下していた。 表3から明らかな通り、サンプルとしてオリーブエキスを用いた実施例3は、コントロール溶液を投与した比較例3に比べ、投与後8時間の累積行動量が有意に低下していた。 これらの結果は、ブドウ抽出エキス、メリンジョ抽出エキスおよびオリーブエキスは睡眠誘発効果を発揮することを示している。1−2.睡眠の質改善効果の評価1(実施例4〜6および比較例4〜6:マウスの脳波測定) ブドウ抽出エキス、メリンジョ抽出エキスおよびオリーブエキスのそれぞれが睡眠の質に与える効果を確認するために、以下の試験を行い脳波を測定した。 日本SLCより購入した8週齢雄性C57BL/6マウスに、脳波および筋電用の電極を装着した。電極装着後、回復チャンバーにて10日間回復させた。その後、記録用チャンバーに移し、ケーブルを接続した。脳波解析ソフトであるSleepSign(登録商標) Ver 3.0(キッセイコムテック株式会社)にて脳波判別可否を確認後、3日間馴化させた。その後、脳波を24時間測定し、睡眠覚醒リズムが維持されているかどうかを確認し、投与群分けを実施した。各投与群は6匹とした(n=6)。暗期開始直前に、ブドウ抽出エキス3g/kg(実施例4)、メリンジョ抽出エキス3g/kg(実施例5)、オリーブエキス3g/kg(実施例6)、またはコントロール溶液(比較例4、5および6)10mL/kgを、それぞれ経口投与し、24時間脳波を記録した。コントロール溶液は、0.5質量%メチルセルロース水溶液である。記録後、脳波をSleepSign(登録商標) Ver 3.0により自動解析を行い、評価実施者がその自動解析の結果を確認して、覚醒、レム睡眠およびノンレム睡眠の各睡眠ステージに分類し、各ステージの時間を算出した(表4〜6)。 表4から明らかな通り、サンプルとしてブドウ抽出エキスを用いた実施例4は、コントロール溶液を投与した比較例4に比べ、覚醒時間が有意に減少し、ノンレム睡眠時間が有意に増加していた。 表5から明らかな通り、サンプルとしてメリンジョ抽出エキスを用いた実施例5は、コントロール溶液を投与した比較例5に比べ、覚醒時間が有意に減少し、ノンレム睡眠時間が有意に増加していた。 表6から明らかな通り、サンプルとしてオリーブエキスを用いた実施例6は、コントロール溶液を投与した比較例6に比べ、覚醒時間が有意に減少し、ノンレム睡眠時間が有意に増加していた。 これらの結果は、ブドウ抽出エキス、メリンジョ抽出エキスまたはオリーブエキスの投与により、睡眠時間全体に占めるノンレム睡眠時間の割合が増加しているので、睡眠の質が改善されることを示している。また、中途覚醒を減少し、睡眠時間を持続することができることも示している。1−3.睡眠の質改善効果の評価2(実施例7〜9および比較例7〜9:ヒトの脳波測定および睡眠感調査) ブドウ抽出エキス、メリンジョ抽出エキスおよびオリーブエキスがヒトの睡眠の質に与える効果を確認するために、表7〜9に示す各サンプルを用いて以下の試験を行った。 実施例7のサンプルとして、ブドウ抽出エキスを配合したカプセル剤(1カプセル中のスチルベン系化合物およびその多量体の含有量:14mg)を用意した。実施例8のサンプルとして、メリンジョ抽出エキスを配合したカプセル剤(1カプセル中のスチルベン系化合物およびその多量体の含有量:14mg)を用意した。実施例9のサンプルとして、オリーブエキスを配合したカプセル剤(1カプセル中のポリフェノールの含有量:30mg)を用意した。比較例7〜9の各サンプルとして、プラセボのカプセルを用意した。各組成の詳細は、表7〜9に示すとおりである。 あらかじめピッツバーグ睡眠調査表で調査し、比較的睡眠状態の良くない成人男女6名をパネラーにした。これら6名のパネラーに実施例7のサンプルを就寝1時間前に経口摂取してもらい、2電極方式の携帯型脳波測定器を装着し、就寝中の脳波を測定した。また、同様にして、同じパネラー6名に比較例7のサンプルを就寝1時間前に経口摂取してもらい、2電極方式の携帯型脳波測定器を装着し、就寝中の脳波を測定した。翌朝、睡眠感調査票および疲労感VAS検査用紙に回答してもらった。各サンプルの投与および測定の実施回数は、パネラー各一人につきそれぞれ4回とした。 実施例7のサンプルを実施例8のサンプルに、比較例7のサンプルを比較例8のサンプルに替えたほかは、同様の測定を行った。実施例7のサンプルを実施例9のサンプルに、比較例7のサンプルを比較例9のサンプルに替えたほかは、同様の測定を行った。 なお、各パネラーの平均睡眠時間は、6.5時間であり、最も睡眠時間の短いパネラーの睡眠時間と最も睡眠時間が長いパネラーの睡眠時間の差は、2時間であり、大差はなかった。(脳波解析) 脳波はスリープウェル(株)に依頼して解析した。睡眠の深さは睡眠中脳波のデルタ波パワー値によって知ることができ、デルタ波パワー値が大きいほど睡眠の深さは深い。就寝直後にノンレム睡眠が出現し、その後レム睡眠が出現する。就寝直後からレム睡眠が出現するまでのノンレム睡眠中のデルタ波パワー値を、睡眠初期のデルタ波パワー値とした。 デルタ波パワー値は、個々人により異なる。そこで、デルタ波パワー値をパネラーごとに4回測定し、4回の測定値の平均値を算出し、パネラーごとのプラセボ摂取に対するデルタ波パワー値の変化率(%)を下式(1)により算出した。この変化率について、パネラー6名の平均値を算出した(表10〜12)。〔式(1)〕 デルタ波パワー値の変化率(%)={(各実施例のサンプル摂取後のデルタ波パワー値の平均値)/(プラセボ摂取後のデルタ波パワー値の平均値)}×100−100(睡眠感調査) 睡眠感の調査には、OSA睡眠調査票MA版(山本由華吏,田中秀樹,高瀬美紀,山崎勝男,阿住一雄,白川修一郎:中高年・高齢者を対象としたOSA睡眠調査票(MA版)の開発と標準化.脳と精神の医学 10:401−409,1999.)を用いた。OSA睡眠調査票MA版は、20項目の質問から構成されており、因子I:起床時眠気(すなわち起床時の眠気のなさ)、因子II:入眠と睡眠維持(すなわち良い寝つきと熟眠感のよさ)、因子III:夢見(すなわち夢見のよさ)、因子IV:疲労回復(すなわち疲労感のなさ)、因子V:睡眠時間(すなわち睡眠時間の満足感)を評価するものである。 各因子の点数を計算し、各パネラーについて、摂取サンプルごとにそれぞれ4回の平均値を算出した。パネラーごとのプラセボ摂取に対する各因子の点数の変化率(%)を下式(2)により算出した。この変化率について、パネラー6名の平均値を算出した(表13〜15)。〔式(2)〕 各因子の点数の変化率(%)={(各実施例のサンプル摂取後の値の平均値)/(プラセボ摂取後の値の平均値)}×100−100(疲労感調査) 疲労感の調査には、日本疲労学会が特定保健用食品の抗疲労臨床評価における疲労感の評価方法のガイドラインに示している日本疲労学会推奨のVisual Analogue Scale(VAS)検査用紙を用いた。すなわち、一定の長さの水平な直線の左端を「疲れをまったく感じない最良の感覚」、右端を「何もできないほど疲れきった最悪の感覚」とし、パネラーが朝起きたときの感覚を、直線の左右両端に示した感覚表現を参考にこの直線上に×印で回答した。 直線の左端から×印までの距離を測り、距離の数値が小さいほうが疲労を感じていないと判断した。この値を、各パネラーについて、摂取サンプルごとに4回の平均値を算出し、パネラーごとのプラセボ摂取に対する疲労感の変化率(%)を下式(3)により算出した。この変化率について、パネラー6名の平均値を算出した(表16〜18)。〔式(3)〕 疲労感の変化率(%)={(各実施例のサンプル摂取後の値の平均値)/(プラセボ摂取後の値の平均値)}×100−100 ・・・(4)(脳波解析の結果) 表10より、実施例7のサンプル(ブドウ抽出エキスのカプセル剤)を経口摂取させると、プラセボを経口摂取させた場合(比較例7)に比べ、睡眠初期のデルタ波パワー値が大きく、睡眠初期のノンレム睡眠が十分深くなったことが分かる。 表11より、実施例8のサンプル(メリンジョ抽出エキスのカプセル剤)を経口摂取させると、プラセボを経口摂取させた場合(比較例8)に比べ、睡眠初期のデルタ波パワー値が大きく、睡眠初期のノンレム睡眠が十分深くなったことが分かる。 表12より、実施例9のサンプル(オリーブエキスのカプセル剤)を経口摂取させると、プラセボを経口摂取させた場合(比較例9)に比べ、睡眠初期のデルタ波パワー値が大きく、睡眠初期のノンレム睡眠が十分深くなったことが分かる。 これらの結果は、ブドウ抽出エキス、メリンジョ抽出エキスまたはオリーブエキスの投与により、睡眠初期のノンレム睡眠が深くなり、睡眠の質が効果的に改善されることを示している。(睡眠感調査の結果) 表13から、以下のことが分かる。実施例7のサンプル(ブドウ抽出エキスのカプセル剤)を経口摂取させると、プラセボを経口摂取させた場合(比較例7)よりも因子I(起床時眠気)、因子II(入眠と睡眠維持)、因子III(夢見)、因子IV(疲労回復)、および因子V(睡眠時間)の各点数が向上し、各点数の変化率がいずれも高く、改善されていた。 表14から、以下のことが分かる。実施例8のサンプル(メリンジョ抽出エキスのカプセル剤)を経口摂取させると、プラセボを経口摂取させた場合(比較例8)よりも因子I(起床時眠気)、因子II(入眠と睡眠維持)、因子III(夢見)、因子IV(疲労回復)、および因子V(睡眠時間)の各点数が向上し、各点数の変化率がいずれも高く、改善されていた。 表15から、以下のことが分かる。実施例9のサンプル(オリーブエキスのカプセル剤)を経口摂取させると、プラセボを経口摂取させた場合(比較例9)よりも因子I(起床時眠気)、因子II(入眠と睡眠維持)、因子III(夢見)、因子IV(疲労回復)、および因子V(睡眠時間)の各点数が向上し、各点数の変化率がいずれも高く、改善されていた。 これらの結果は、ブドウ抽出物、メリンジョ抽出物またはオリーブエキスの投与により、睡眠の質改善効果が発揮され、起床時の眠気のなさを改善したことを示している。また、睡眠の質改善効果が発揮され、寝つきと熟眠感を改善したことを示している。また、睡眠の質改善効果が発揮され、夢見の状態を改善したことを示している。また、睡眠の質改善効果が発揮され、疲労回復感を改善させたことを示している。さらに、睡眠の質改善効果が発揮され、睡眠時間の満足感を改善させたことを示している。(疲労感調査の結果) 表16より、実施例7のサンプル(ブドウ抽出エキスのカプセル剤)を経口摂取させると、プラセボを経口摂取させた比較例7よりも疲労感が減少していたことが分かる。 表17より、実施例8のサンプル(メリンジョ抽出エキスのカプセル剤)を経口摂取させると、プラセボを経口摂取させた比較例8よりも疲労感が減少していたことが分かる。 表18より、実施例9のサンプル(オリーブエキスのカプセル剤)を経口摂取させると、プラセボを経口摂取させた比較例9よりも疲労感が減少していたことが分かる。 この結果は、ブドウ抽出物、メリンジョ抽出物またはオリーブエキスの投与により、睡眠の質改善効果が発揮され、疲れを感じなくなった(疲労感が軽減した)ことを示している。 本発明の睡眠の質改善剤および睡眠の質改善組成物の処方例を以下に示す。(処方例1:ブドウ抽出エキスまたはメリンジョ抽出エキスを配合した錠剤) ブドウ抽出エキスまたはメリンジョ抽出エキス140mg、結晶セルロース155mg、ショ糖脂肪酸エステル5mgを常法どおり打錠し錠剤を製造した。(処方例2:オリーブエキスを配合した錠剤(1)) オリーブエキス100mg、結晶セルロース190mg、カルボキシメチルセルロース−Ca5mg、ショ糖脂肪酸エステル5mgを常法どおり打錠し錠剤を製造した。(処方例3:オリーブエキスを配合した錠剤(2)) 以下の原料を用いて、常法により錠剤を製造した: 造粒品108mg;オリーブエキス100mg;ソルビトール110mg;部分α化でんぷん15mg;リン酸マグネシウム75mg;ステアリン酸カルシウム3mg;メントール粒子40mg;アスパルテーム5mg。 上記造粒品は、エリスリトール1935gおよびコーンスターチ300gに、ヒドロキシプロピルセルロース6質量%水溶液4000gを加えて製造した。造粒品の平均粒径は290μmであった。(処方例4:ブドウ抽出エキスまたはメリンジョ抽出エキスを配合したソフトカプセル) 以下の原料を配合し、内容物を作製した: ブドウ抽出エキスまたはメリンジョ抽出エキス140mg;植物油脂110mg;グリセリン脂肪酸エステル10mg;蜜蝋10mg。 上記内容物と豚ゼラチンとを用いて、常法に従いソフトカプセルを製造した。(処方例5:オリーブエキスを配合したソフトカプセル) 以下の原料を配合し、内容物を作製した: オリーブエキス100mg;植物油脂110mg;グリセリン脂肪酸エステル10mg;蜜蝋10mg。 上記内容物と豚ゼラチンとを用いて、常法に従いソフトカプセルを製造した。 スチルベン系化合物および/またはオリーブエキスを有効成分とする睡眠の質改善剤。 スチルベン系化合物が、スチルベン系化合物を含有する植物抽出エキスである、請求項1に記載の睡眠の質改善剤。 スチルベン系化合物を含有する植物抽出エキスが、スチルベン系化合物を含むブドウ科植物抽出エキスまたはスチルベン系化合物を含むグネツム科植物抽出エキスである、請求項2に記載の睡眠の質改善剤。 オリーブエキスが、オリーブの果実から分離されるエキスである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。 オリーブエキスが、ヒドロキシチロソール、チロソールおよびオレウロペインからなる群から選ばれる1種以上のポリフェノールを含むオリーブエキスである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。 睡眠時間全体に占めるノンレム睡眠時間の割合を増加する請求項1〜5のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。 睡眠初期のノンレム睡眠を深くする請求項1〜6のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。 起床時の眠気のなさを改善する請求項1〜7のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。 寝つきと熟眠感を改善する請求項1〜8のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。 夢見を改善する請求項1〜9のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。 疲労感を改善する請求項1〜10のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。 睡眠時間の満足感を改善する請求項1〜11のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。 経口剤である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤。 請求項1〜13のいずれか一項に記載の睡眠の質改善剤を含有する睡眠の質改善組成物。 経口剤である、請求項14に記載の睡眠の質改善組成物。 スチルベン系化合物および/またはオリーブエキスを睡眠の質改善のために使用する方法。 【課題】本発明は、睡眠の質改善効果を十分に奏し、投与形態を問わず経口投与によっても効果が発揮され、かつ、身体への安全性が保証されている睡眠の質改善剤を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、スチルベン系化合物および/またはオリーブエキスを有効成分とする睡眠の質改善剤、および、前記睡眠の質改善剤を含有する睡眠の質改善組成物を提供する。【選択図】なし