生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B1)_イオン電極
出願番号:2012163164
年次:2013
IPC分類:G01N 27/404,G01N 27/416,G01N 27/403


特許情報キャッシュ

石井 章夫 小林 一星 JP 5144829 特許公報(B1) 20121130 2012163164 20120723 イオン電極 株式会社堀場製作所 000155023 西村 竜平 100121441 佐藤 明子 100113468 齊藤 真大 100154704 石井 章夫 小林 一星 20130213 G01N 27/404 20060101AFI20130124BHJP G01N 27/416 20060101ALI20130124BHJP G01N 27/403 20060101ALI20130124BHJP JPG01N27/30 341BG01N27/46 346G01N27/30 371Z G01N 27/404 G01N 27/403 G01N 27/416 特開昭62−148648(JP,A) 特開平01−295158(JP,A) 特開平01−209352(JP,A) 4 15 20120724 大竹 秀紀 この発明は、環境水等のイオン濃度の低いサンプルを測定対象とする場合に好適なイオン電極に関するものである。 河川、湖沼、海水等の環境水や、上下水道、工場排水等をサンプルとしてアンモニウムイオン等のイオンの濃度を電気化学的に測定するための電極として、液膜式のイオン電極が知られている(引用文献1)。 この種のイオン電極の応答膜としては半透膜の性質を有するものが用いられているが、内部液の溶質合計のイオン濃度がサンプルのイオン濃度より遥かに高いと、サンプルと内部液との浸透圧差により、サンプル側の水分子が内部液側へと浸透するため指示値が変動したり、場合によっては図7に示すように、応答膜が膨張し、最終的には破裂することがある。例えば、イオン電極の内部液の塩成分のイオン濃度(イオン電極や比較電極に用いる内部液はほぼ塩成分で構成されていると考える。)とサンプルの溶質合計のイオン濃度の差が6.55Mであると、計算上の浸透圧差は16.4MPaにも上る。 一方、内部液の塩成分のイオン濃度を低くすると、通常行われているイオン電極の内部液に含まれるハロゲン化物イオン濃度と比較電極の内部液に含まれるハロゲン化物イオン濃度(これらの内部液に用いられる塩成分はハロゲン化金属塩、例えばKClであることが一般的である。)の一致をさせることができず、温度が変化しても膜電位に変動がないいわゆる等温交点が測定可能な範囲からずれて、温度変化に伴う測定誤差が大きくなるという問題点がある。特開2000−146899号公報 そこで本発明は、応答膜が半透膜の性質を有するものであって、かつ、溶質の合計イオン濃度の低いサンプルを測定対象とする場合であっても、内部液への水分子の浸透が起こらず、更に、温度変化に伴う測定誤差が小さいイオン電極を提供すべく図ったものである。 すなわち本発明に係るイオン電極は、応答膜によって外部から仕切られた空間内に内部液と当該内部液に接触する内部極とを備え、測定対象イオンの測定可能な濃度範囲が比較電極の内部液中のハロゲン化物イオン濃度よりも低いイオン電極であって、前記内部液は、測定対象イオンとハロゲン化物イオンとを含有しており、前記内部液中の測定対象イオンの濃度とハロゲン化物イオンの濃度とを変動させることにより、内部液の浸透圧と等温交点とが所望の値になるように調整されており、前記等温交点は、前記測定可能な濃度範囲内に含まれていることを特徴とする。 下記式(1)は、比較電極に接続されたアンモニウムイオン等のイオン電極の応答膜の膜電位を算出するための式である。ここで、当該アンモニウムイオン電極及び合わせて用いられる比較電極の構成は以下のとおりである。<アンモニウムイオン電極>内部極:Ag/AgCl電極内部液:NH4Cl水溶液<比較電極>内部極:Ag/AgCl電極内部液:KCl飽和液 なお、式(1)中の各パラメータはそれぞれ以下のとおりである。E:アンモニウムイオン電極の応答膜の膜電位(mV)EOIon:アンモニウムイオン電極の標準電極電位(mV)R:気体定数F:ファラデー定数T:絶対温度(K)aN,Sample:サンプル中のNH4+のイオン活量(moL/L)aN,Ion:アンモニウムイオン電極の内部液中のNH4+のイオン活量(moL/L)aCl,Ref:比較電極の内部液中のCl−のイオン活量(moL/L)aCl,Ion:アンモニウムイオン電極の内部液中のCl−のイオン活量(moL/L) 従来は、Ag/AgCl電極の温度による測定誤差を少なくするために、比較電極の内部液中のCl−のイオン活量(イオン濃度)とイオン電極の内部液中のCl−のイオン活量(イオン濃度)とは等しくする必要があると考えられていた。このため、式(1)中の破線で囲まれたA項かつC項が1になるように内部液を調製していた。電位を安定させるためにKCl等を大量に入れているため比較電極の塩化物(ハロゲン化物)イオン活量が大きく、溶質のイオン濃度が低いサンプルを測定すると水分子がイオン電極内部へと浸透していた。しかし、本発明者らは、式(1)中の実線で囲まれたB項全体が1になるように各イオンのイオン活量(イオン濃度)を調整すれば、比較電極とイオン電極の内部液中の塩化物(ハロゲン化物)イオン活量が異なっていても等温交点が得られることに想到した。この結果、イオン電極の内部液中の電解質の濃度を下げながらも所望の濃度範囲内に等温交点を得ることに成功した。 このため本発明によれば、内部液中の測定対象イオンの濃度とハロゲン化物イオンの濃度とを変動させることにより、内部液の浸透圧をサンプルの浸透圧と同程度になるように調製しながら、測定対象イオンの測定レンジ内で等温交点を得ることができるので、応答膜が半透膜であって、かつ、イオン濃度の低いサンプルを測定対象とする場合であっても、内部液への水分子の浸透が起こらず、更に、温度変化に伴う測定誤差を小さくすることができる。 本発明に係るイオン電極の内部極としては、例えば、Ag/AgCl電極が用いられる。 本発明に係るイオン電極の測定対象イオンとしては特に限定されないが、例えば、河川、湖沼、海水等の環境水や、上下水道、工場排水等をサンプルとして、その汚染度を評価する際の指標となるアンモニウムイオン等が挙げられる。 このように本発明によれば、応答膜が半透膜であって、かつ、イオン濃度の低いサンプルを測定対象とする場合であっても、内部液への水分子の浸透が起こらず、更に、温度変化に伴う測定誤差が小さいイオン電極を得ることができる。本発明の一実施形態に係るアンモニア計の模式的斜視全体図。同実施形態におけるアンモニア計の仕様態様を示す模式図。同実施形態におけるアンモニア計の押圧機構を外した状態の先端面を示す模式図。同実施形態におけるアンモニア計の模式的A−A線断面部分拡大図。同実施形態におけるアンモニア計の模式的B−B線断面、C−C線断面部分拡大図。実施例の試験結果を示すグラフ。従来のアンモニウムイオン電極の応答膜を示す写真。 以下に本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。 本実施形態の液体分析計は例えば排水処理工程において微生物によりアンモニア態窒素の処理が行われる曝気槽において処理中の排水を分析対象液Lとし、その排水中に含まれるアンモニウムイオン濃度を把握するために用いられるアンモニア計100である。前記曝気槽中の排水は一般的に溶質の濃度が低いものである。 より具体的には前記アンモニア計100は、3つのセンサS1、S2、S3が一体となったものであって、センサS1、S2、S3として基準電位を測定するための基準電極(比較電極)S3と、アンモニウムイオンによる電位を測定するためのアンモニウムイオン電極S1と、アンモニウムイオンに対するカリウムイオンの干渉を補正するために用いられるカリウムイオンによる電位を測定するためのカリウムイオン電極S2とを備えている。 図1の斜視図に示すように前記アンモニア計100は、概略細円筒状の筐体を有し、その基端側に持ち運び用の鎖が設けてあり、先端面に3つのセンサS1、S2、S3のセンサ面SP1、SP2、SP3が外側へ露出するように構成してある。なお、本実施形態においてセンサ面SP1、SP2、SP3とは、各電極の応答膜S11、S21や液絡部S31が形成されている面のことを指す。 そして図2の模式図に示すように前記アンモニア計100の先端面が分析対象液L中において鉛直下向きとなるように浸され、各センサS1、S2、S3のセンサ面SP1、SP2、SP3が分析対象液L中に浸された状態で各電位の測定を行い、分析対象液L中のアンモニウムイオン濃度を測定するものである。図1及び図2からも分かるように、3つのセンサS1、S2、S3のうち2つについては分析中にセンサ面SP1、SP2に気泡が溜まるのを防ぐためにセンサ面SP1、SP2を筐体の軸方向に対して傾斜して設けてある。さらに、傾斜している2つのセンサ面SP1、SP2についてはその向きが同じ所定方向を向くように構成してある。 さらに各部について説明する。 図3に前記アンモニア計100の先端面の平面図を示す。アンモニア計100の先端面は円形状をなすものであり、図面視において左右方向に延びる先端面の一方の中心線上に基準電極S3のセンサ面SP3と、後述する温度計保護管Pとが並んで配置してある。また、図面視において上下方向に延びるもう一方の中心線よりもややずれた位置に一列に並んで前記アンモニウムイオン電極S1の先端部と、前記カリウムイオン電極S2の先端部とが並んで配置してある。以下の説明では、図3に示すA−A線で切断した断面図である図4、B−B線又はC−C線で切断した切断した断面図である図5も参照しながら説明する。なお、B−B線、C−C線で切断した断面は略対称に表れるので図5の一図で代表させて記載している。 各断面図に示すように前記アンモニア計100は、基端側に中空部を有し、先端側に中実部が形成された概略円筒形状をしたボディ1と、前記ボディ1に差し込まれた3つのセンサS1、S2、S3と、前記ボディ1の先端側を覆うように設けられているキャップ状の前記3つのセンサS1、S2、S3を前記ボディ1に対して押圧して固定する押圧機構2とから構成してある。 前記ボディ1には軸方向に延びる4つの差し込み穴PH1、PH2、PH3、PH4が形成してあり、概略円筒状をなす3つのセンサS1、S2、S3と前記温度計保護管Pがそれぞれ対応する差し込み穴PH1、PH2、PH3、PH4に差し込んである。また、この差し込み穴PH1、PH2、PH3にはめねじは形成されておらず、各センサS1、S2、S3が単に差し込まれるだけである。なお、温度計保護管Pについては外れないように差し込み穴PH4に対して固定してある。また、温度計保護管Pの内部には、前記各センサS1、S2、S3の測定値に対して温度補償をする際に用いられる温度を測定する温度センサTSが収容してある。 3つのセンサS1、S2、S3について共通している部分について説明すると、各図からも分かるように各センサS1、S2、S3は概略円筒形状に形成された樹脂製の支持管S12、S22、S32を有し、当該支持管S12、S22、S32の内部には内部液S13、S23、S33と、当該内部液S13、S23、S33に浸漬された内部電極S1E、S2E、S3Eとが収容されている。前記支持管S12、S22、S32の先端には開口部が形成されており、この開口部を塞ぐように応答膜S11、S21又は液絡部S31が設けてある。また、支持管S12、S22、S32の外周面にOリングが設けてあり、前記差し込み穴PH1、PH2、PH3との間で軸シールをなすように構成してある。さらに、各センサS1、S2、S3の基端は前記差し込み穴PH1、PH2、PH3の最奥において電極端子Dと接触し、取得された各電位がその電極端子Dから外部の演算装置へと伝達されるようにしてある。また、支持管S12、S22、S32の外観形状について共通している部分についてさらに詳述すると、各センサS1、S2、S3の支持管S12、S22、S32は、先端部が基端部側よりも直径の大きい太円筒部S14、S24、S34を有し、この太円筒部S14、S24、S34の基端側端面が前記差し込み穴PH1、PH2、PH3に形成された段部に係合して前記ボディ1と接触するボディ接触面S17、S27、S37としての機能を果たす。また太円筒部S14、S24、S34の外周面中央部には半径方向に突出したリング状の突出部S15、S25、S35が形成してあり、この突出部S15、S25、S35の先端側平面が前記押圧機構2と係合する係合部S16、S26、S36として構成してある。すなわち、この係合部S16、S26、S36が前記押圧機構2により前記ボディ1側へと押されることにより、前記ボディ接触面S17、S27、S37がボディ1へと押しつけられ、各センサS1、S2、S3がボディ1に対して所定の力で固定されることになる。 3つのセンサS1、S2、S3のうちセンサ面SP3が延伸軸線に対して垂直な方向に形成されている前記基準電極S3は、図4に示すように液絡部S31が支持管S32の先端から着脱可能に構成してあり、連続使用による汚れ等により液絡部S31としての機能が低下してきた場合には交換できるようにしてある。 応答膜S11、S21が設けられておりセンサ面SP1、SP2がセンサS1、S2、S3の延伸軸線に対して傾斜して設けてあるアンモニウムイオン電極S1、及び、カリウムイオン電極S2はその形状は略同じ形状をしている。 前記押圧機構2は、全てのセンサS1、S2、S3を一括して前記ボディ1に対して押圧するものである。断面図においてはアンモニア計100の先端面において概略コの字状の部材として示されるものであり、前記ボディ1の先端部を略覆うものである。また、前記ボディ1の先端部を覆った状態において各センサS1、S2、S3のセンサ面SP1、SP2、SP3と前記温度計保護管Pの先端とを外部へと露出させるための貫通孔TH1、TH2、TH3、TH4を4つ備えている。 本実施形態のアンモニウムイオン電極S1の内部液S13には、塩化アンモニウムが含まれており、内部電極S1EとしてはAg/AgCl電極が用いられている。また、応答膜S11は、選択的にアンモニウムイオンに応答する膜であり、半透膜としての性質を有する。このような各イオンに対応する膜としては、具体的には、例えば有機溶媒とそれらを担持するポリ塩化ビニル樹脂やシリコーンゴム等からなるものが挙げられる。一方、基準電極S3の内部液S33としては過飽和の塩化カリウム溶液が用いられ、内部電極S3EとしてはAg/AgCl電極が用いられている。 当該アンモニウムイオン電極S1の応答膜S11の膜電位(mV)は下記式(1)で表すことができる。 ここで、式(1)中の各パラメータはそれぞれ以下のとおりである。E:アンモニウムイオン電極S1の応答膜S11の膜電位(mV)EOIon:アンモニウムイオン電極S1の標準電極電位(mV)R:気体定数F:ファラデー定数T:絶対温度(K)aN,Sample:分析対象液L中のNH4+のイオン活量(moL/L)aN,Ion:アンモニウムイオン電極S1の内部液S13中のNH4+のイオン活量(moL/L)aCl,Ref:基準電極S3の内部液S33中のCl−のイオン活量(moL/L)aCl,Ion:アンモニウムイオン電極S1の内部液S13中のCl−のイオン活量(moL/L) 本実施形態においては、式(1)中の実線で囲まれたB項全体が1になる点が測定可能な濃度範囲内に入るように各イオンのイオン活量(イオン濃度)が調整されていることにより、分析対象液L中のアンモニウムイオンの濃度範囲内、すなわち測定レンジ内で、等温交点を得ることができる。更に、本実施形態では、内部液S13の浸透圧が分析対象液Lの浸透圧と同程度になるように、内部液S13中のアンモニウムイオンの濃度と塩化物イオンの濃度とが調整されている。なお、式(1)に基づいてシミュレーションを行い、等温交点が測定レンジ内に入るように内部液を調製してもよい。 このように構成した本実施形態のアンモニウム計100によれば、アンモニウムイオン電極S1の内部液S13中のアンモニウムイオンの濃度と塩化物イオンの濃度とを変動させることにより、内部液S13の浸透圧を分析対象液Lの浸透圧と同程度になるように調製しながら、分析対象液L中のアンモニウムイオンの濃度範囲内で等温交点が得られるので、応答膜S11が半透膜であって、かつ、アンモニウムイオンの低い分析対象液Lを測定対象とする場合も、内部液S13への水分子の浸透が起こらず、更に、温度変化に伴う測定誤差を小さくすることができる。 なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。 例えば、内部液S13の浸透圧は、アンモニウムイオンの濃度と塩化物イオンの濃度だけでなく、溶質の全イオン濃度に依存するので、内部液S13にCaCl2等の他の電解質を加えることにより、浸透圧の微調整を行ってもよい。 本発明に係るイオン電極に用いる内部極としては、Ag/AgCl電極に限定されず、特定のイオン濃度によって電位が決定される他の電極を使用することもできる。このような他の電極としては、例えば、Ag/AgBr電極、Ag/AgI電極、Hg/HgBr電極等の各種ハロゲン化銀電極やハロゲン化水銀電極等が挙げられる。 また、本発明に係るイオン電極に用いる内部液としては、NH4Cl水溶液に限定されず、イオン電極の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、カリウムイオン電極であればKCl水溶液を用いることができ、カルシウムイオン電極であればCaCl2水溶液を用いることができ、ナトリウムイオン電極であればNaClやNaBr、NaI等の水溶液を用いることができる。 その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてもよく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。 本発明の効果を確認するために、以下のような試験を行った。<試験条件> 比較電極として、内部極がAg/AgCl電極であり、内部液が3.33Mの塩化カリウム溶液であるものを使用した。一方、アンモニウムイオン電極の内部液は、等温交点が0.0000714M(1ppm・N)で、浸透圧が塩濃度0.03Mの水溶液と同一になるように調製した。 上記の構成を有する比較電極とアンモニウムイオン電極とを用いて、温度を変化させながら電極の応答が計算式に従っているかどうかを確認した。結果を図6のグラフに示す。 図6のグラフに示すとおり、アンモニウムイオン濃度0.0000714M(1ppm・N)に等温交点を持つことが確認された。なお、等温交点が測定可能な濃度範囲からずれると、測定可能な濃度範囲内の測定値Eが式(1)に完全に従わない場合には、式(1)から予想されるEと、実際の測定値Eとの間にずれが大きくなるので測定誤差が大きくなる。S1・・・アンモニウムイオン電極S11・・・応答膜S13・・・内部液 液絡部を介して外部と連通する空間内にハロゲン化物イオンを含有する内部液と当該内部液に接触する内部極とを備えた比較電極と、 応答膜によって外部から仕切られた空間内に内部液と当該内部液に接触する内部極とを備え、測定対象イオンの測定可能な濃度範囲が前記比較電極の内部液中のハロゲン化物イオン濃度よりも低いイオン電極と、を具備し、 前記イオン電極の内部液は、測定対象イオンとハロゲン化物イオンとを含有しており、 前記イオン電極の内部液は、前記イオン電極の内部液の浸透圧と等温交点とが所望の値になり、かつ、当該等温交点が前記測定可能な濃度範囲内に含まれているように、前記イオン電極の内部液中の測定対象イオンの濃度とハロゲン化物イオンの濃度が調整されたものであり、当該ハロゲン化物イオンの濃度が、前記比較電極の内部液中のハロゲン化物イオンの濃度とは異なっていることを特徴とする液体分析計。 前記イオン電極の応答膜は、半透膜の性質を有する請求項1記載の液体分析計。 前記イオン電極の内部極は、Ag/AgCl電極である請求項1又は2記載の液体分析計。 応答膜によって外部から仕切られた空間内に内部液と当該内部液に接触する内部極とを備え、測定対象イオンの測定可能な濃度範囲が比較電極の内部液中のハロゲン化物イオン濃度よりも低いイオン電極の内部液の調製方法であって、 前記イオン電極の内部液は、測定対象イオンとハロゲン化物イオンとを含有しており、 前記イオン電極の内部液中のハロゲン化物イオンの濃度が、前記比較電極の内部液中のハロゲン化物イオンの濃度とは異なるように規定した、前記イオン電極の内部液中の測定対象イオンの濃度とハロゲン化物イオンの濃度とに基づいて、前記イオン電極の内部液の浸透圧と等温交点とが所望の値になり、かつ、当該等温交点が前記測定可能な濃度範囲内に含まれるように前記イオン電極の内部液を調製することを特徴とするイオン電極の内部液の調製方法。【課題】応答膜が半透膜の性質を有するものであって、かつ、イオン濃度の低いサンプルを測定対象とする場合であっても、内部液への水分子の浸透が起こらず、更に、温度変化に伴う測定誤差が小さいイオン電極を提供する。【解決手段】応答膜S11によって外部から仕切られた空間内に内部液S13と当該内部液S13に接触する内部極とを備え、測定対象イオンの測定可能な濃度範囲が比較電極の内部液中のハロゲン化物イオン濃度よりも低いイオン電極S1であって、前記内部液S13は、測定対象イオンとハロゲン化物イオンとを含有しており、前記内部液S13中の測定対象イオンの濃度とハロゲン化物イオンの濃度とを変動させることにより、内部液S13の浸透圧と等温交点とが所望の値になるように調整されており、前記等温交点は、前記測定可能な濃度範囲内に含まれているようにした。【選択図】図6


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公開特許公報(A)_イオン電極

生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_イオン電極
出願番号:2012163164
年次:2014
IPC分類:G01N 27/333,G01N 27/416


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石井 章夫 小林 一星 JP 2014021076 公開特許公報(A) 20140203 2012163164 20120723 イオン電極 株式会社堀場製作所 000155023 西村 竜平 100121441 佐藤 明子 100113468 齊藤 真大 100154704 石井 章夫 小林 一星 5144829 20130213 G01N 27/333 20060101AFI20140107BHJP G01N 27/416 20060101ALI20140107BHJP JPG01N27/30 331KG01N27/46 351A 4 6 OL 15 この発明は、環境水等のイオン濃度の低いサンプルを測定対象とする場合に好適なイオン電極に関するものである。 河川、湖沼、海水等の環境水や、上下水道、工場排水等をサンプルとしてアンモニウムイオン等のイオンの濃度を電気化学的に測定するための電極として、液膜式のイオン電極が知られている(引用文献1)。 この種のイオン電極の応答膜としては半透膜の性質を有するものが用いられているが、内部液の溶質合計のイオン濃度がサンプルのイオン濃度より遥かに高いと、サンプルと内部液との浸透圧差により、サンプル側の水分子が内部液側へと浸透するため指示値が変動したり、場合によっては図7に示すように、応答膜が膨張し、最終的には破裂することがある。例えば、イオン電極の内部液の塩成分のイオン濃度(イオン電極や比較電極に用いる内部液はほぼ塩成分で構成されていると考える。)とサンプルの溶質合計のイオン濃度の差が6.55Mであると、計算上の浸透圧差は16.4MPaにも上る。 一方、内部液の塩成分のイオン濃度を低くすると、通常行われているイオン電極の内部液に含まれるハロゲン化物イオン濃度と比較電極の内部液に含まれるハロゲン化物イオン濃度(これらの内部液に用いられる塩成分はハロゲン化金属塩、例えばKClであることが一般的である。)の一致をさせることができず、温度が変化しても膜電位に変動がないいわゆる等温交点が測定可能な範囲からずれて、温度変化に伴う測定誤差が大きくなるという問題点がある。特開2000−146899号公報 そこで本発明は、応答膜が半透膜の性質を有するものであって、かつ、溶質の合計イオン濃度の低いサンプルを測定対象とする場合であっても、内部液への水分子の浸透が起こらず、更に、温度変化に伴う測定誤差が小さいイオン電極を提供すべく図ったものである。 すなわち本発明に係るイオン電極は、応答膜によって外部から仕切られた空間内に内部液と当該内部液に接触する内部極とを備え、測定対象イオンの測定可能な濃度範囲が比較電極の内部液中のハロゲン化物イオン濃度よりも低いイオン電極であって、前記内部液は、測定対象イオンとハロゲン化物イオンとを含有しており、前記内部液中の測定対象イオンの濃度とハロゲン化物イオンの濃度とを変動させることにより、内部液の浸透圧と等温交点とが所望の値になるように調整されており、前記等温交点は、前記測定可能な濃度範囲内に含まれていることを特徴とする。 下記式(1)は、比較電極に接続されたアンモニウムイオン等のイオン電極の応答膜の膜電位を算出するための式である。ここで、当該アンモニウムイオン電極及び合わせて用いられる比較電極の構成は以下のとおりである。<アンモニウムイオン電極>内部極:Ag/AgCl電極内部液:NH4Cl水溶液<比較電極>内部極:Ag/AgCl電極内部液:KCl飽和液 なお、式(1)中の各パラメータはそれぞれ以下のとおりである。E:アンモニウムイオン電極の応答膜の膜電位(mV)EOIon:アンモニウムイオン電極の標準電極電位(mV)R:気体定数F:ファラデー定数T:絶対温度(K)aN,Sample:サンプル中のNH4+のイオン活量(moL/L)aN,Ion:アンモニウムイオン電極の内部液中のNH4+のイオン活量(moL/L)aCl,Ref:比較電極の内部液中のCl−のイオン活量(moL/L)aCl,Ion:アンモニウムイオン電極の内部液中のCl−のイオン活量(moL/L) 従来は、Ag/AgCl電極の温度による測定誤差を少なくするために、比較電極の内部液中のCl−のイオン活量(イオン濃度)とイオン電極の内部液中のCl−のイオン活量(イオン濃度)とは等しくする必要があると考えられていた。このため、式(1)中の破線で囲まれたA項かつC項が1になるように内部液を調製していた。電位を安定させるためにKCl等を大量に入れているため比較電極の塩化物(ハロゲン化物)イオン活量が大きく、溶質のイオン濃度が低いサンプルを測定すると水分子がイオン電極内部へと浸透していた。しかし、本発明者らは、式(1)中の実線で囲まれたB項全体が1になるように各イオンのイオン活量(イオン濃度)を調整すれば、比較電極とイオン電極の内部液中の塩化物(ハロゲン化物)イオン活量が異なっていても等温交点が得られることに想到した。この結果、イオン電極の内部液中の電解質の濃度を下げながらも所望の濃度範囲内に等温交点を得ることに成功した。 このため本発明によれば、内部液中の測定対象イオンの濃度とハロゲン化物イオンの濃度とを変動させることにより、内部液の浸透圧をサンプルの浸透圧と同程度になるように調製しながら、測定対象イオンの測定レンジ内で等温交点を得ることができるので、応答膜が半透膜であって、かつ、イオン濃度の低いサンプルを測定対象とする場合であっても、内部液への水分子の浸透が起こらず、更に、温度変化に伴う測定誤差を小さくすることができる。 本発明に係るイオン電極の内部極としては、例えば、Ag/AgCl電極が用いられる。 本発明に係るイオン電極の測定対象イオンとしては特に限定されないが、例えば、河川、湖沼、海水等の環境水や、上下水道、工場排水等をサンプルとして、その汚染度を評価する際の指標となるアンモニウムイオン等が挙げられる。 このように本発明によれば、応答膜が半透膜であって、かつ、イオン濃度の低いサンプルを測定対象とする場合であっても、内部液への水分子の浸透が起こらず、更に、温度変化に伴う測定誤差が小さいイオン電極を得ることができる。本発明の一実施形態に係るアンモニア計の模式的斜視全体図。同実施形態におけるアンモニア計の仕様態様を示す模式図。同実施形態におけるアンモニア計の押圧機構を外した状態の先端面を示す模式図。同実施形態におけるアンモニア計の模式的A−A線断面部分拡大図。同実施形態におけるアンモニア計の模式的B−B線断面、C−C線断面部分拡大図。実施例の試験結果を示すグラフ。従来のアンモニウムイオン電極の応答膜を示す写真。 以下に本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。 本実施形態の液体分析計は例えば排水処理工程において微生物によりアンモニア態窒素の処理が行われる曝気槽において処理中の排水を分析対象液Lとし、その排水中に含まれるアンモニウムイオン濃度を把握するために用いられるアンモニア計100である。前記曝気槽中の排水は一般的に溶質の濃度が低いものである。 より具体的には前記アンモニア計100は、3つのセンサS1、S2、S3が一体となったものであって、センサS1、S2、S3として基準電位を測定するための基準電極(比較電極)S3と、アンモニウムイオンによる電位を測定するためのアンモニウムイオン電極S1と、アンモニウムイオンに対するカリウムイオンの干渉を補正するために用いられるカリウムイオンによる電位を測定するためのカリウムイオン電極S2とを備えている。 図1の斜視図に示すように前記アンモニア計100は、概略細円筒状の筐体を有し、その基端側に持ち運び用の鎖が設けてあり、先端面に3つのセンサS1、S2、S3のセンサ面SP1、SP2、SP3が外側へ露出するように構成してある。なお、本実施形態においてセンサ面SP1、SP2、SP3とは、各電極の応答膜S11、S21や液絡部S31が形成されている面のことを指す。 そして図2の模式図に示すように前記アンモニア計100の先端面が分析対象液L中において鉛直下向きとなるように浸され、各センサS1、S2、S3のセンサ面SP1、SP2、SP3が分析対象液L中に浸された状態で各電位の測定を行い、分析対象液L中のアンモニウムイオン濃度を測定するものである。図1及び図2からも分かるように、3つのセンサS1、S2、S3のうち2つについては分析中にセンサ面SP1、SP2に気泡が溜まるのを防ぐためにセンサ面SP1、SP2を筐体の軸方向に対して傾斜して設けてある。さらに、傾斜している2つのセンサ面SP1、SP2についてはその向きが同じ所定方向を向くように構成してある。 さらに各部について説明する。 図3に前記アンモニア計100の先端面の平面図を示す。アンモニア計100の先端面は円形状をなすものであり、図面視において左右方向に延びる先端面の一方の中心線上に基準電極S3のセンサ面SP3と、後述する温度計保護管Pとが並んで配置してある。また、図面視において上下方向に延びるもう一方の中心線よりもややずれた位置に一列に並んで前記アンモニウムイオン電極S1の先端部と、前記カリウムイオン電極S2の先端部とが並んで配置してある。以下の説明では、図3に示すA−A線で切断した断面図である図4、B−B線又はC−C線で切断した切断した断面図である図5も参照しながら説明する。なお、B−B線、C−C線で切断した断面は略対称に表れるので図5の一図で代表させて記載している。 各断面図に示すように前記アンモニア計100は、基端側に中空部を有し、先端側に中実部が形成された概略円筒形状をしたボディ1と、前記ボディ1に差し込まれた3つのセンサS1、S2、S3と、前記ボディ1の先端側を覆うように設けられているキャップ状の前記3つのセンサS1、S2、S3を前記ボディ1に対して押圧して固定する押圧機構2とから構成してある。 前記ボディ1には軸方向に延びる4つの差し込み穴PH1、PH2、PH3、PH4が形成してあり、概略円筒状をなす3つのセンサS1、S2、S3と前記温度計保護管Pがそれぞれ対応する差し込み穴PH1、PH2、PH3、PH4に差し込んである。また、この差し込み穴PH1、PH2、PH3にはめねじは形成されておらず、各センサS1、S2、S3が単に差し込まれるだけである。なお、温度計保護管Pについては外れないように差し込み穴PH4に対して固定してある。また、温度計保護管Pの内部には、前記各センサS1、S2、S3の測定値に対して温度補償をする際に用いられる温度を測定する温度センサTSが収容してある。 3つのセンサS1、S2、S3について共通している部分について説明すると、各図からも分かるように各センサS1、S2、S3は概略円筒形状に形成された樹脂製の支持管S12、S22、S32を有し、当該支持管S12、S22、S32の内部には内部液S13、S23、S33と、当該内部液S13、S23、S33に浸漬された内部電極S1E、S2E、S3Eとが収容されている。前記支持管S12、S22、S32の先端には開口部が形成されており、この開口部を塞ぐように応答膜S11、S21又は液絡部S31が設けてある。また、支持管S12、S22、S32の外周面にOリングが設けてあり、前記差し込み穴PH1、PH2、PH3との間で軸シールをなすように構成してある。さらに、各センサS1、S2、S3の基端は前記差し込み穴PH1、PH2、PH3の最奥において電極端子Dと接触し、取得された各電位がその電極端子Dから外部の演算装置へと伝達されるようにしてある。また、支持管S12、S22、S32の外観形状について共通している部分についてさらに詳述すると、各センサS1、S2、S3の支持管S12、S22、S32は、先端部が基端部側よりも直径の大きい太円筒部S14、S24、S34を有し、この太円筒部S14、S24、S34の基端側端面が前記差し込み穴PH1、PH2、PH3に形成された段部に係合して前記ボディ1と接触するボディ接触面S17、S27、S37としての機能を果たす。また太円筒部S14、S24、S34の外周面中央部には半径方向に突出したリング状の突出部S15、S25、S35が形成してあり、この突出部S15、S25、S35の先端側平面が前記押圧機構2と係合する係合部S16、S26、S36として構成してある。すなわち、この係合部S16、S26、S36が前記押圧機構2により前記ボディ1側へと押されることにより、前記ボディ接触面S17、S27、S37がボディ1へと押しつけられ、各センサS1、S2、S3がボディ1に対して所定の力で固定されることになる。 3つのセンサS1、S2、S3のうちセンサ面SP3が延伸軸線に対して垂直な方向に形成されている前記基準電極S3は、図4に示すように液絡部S31が支持管S32の先端から着脱可能に構成してあり、連続使用による汚れ等により液絡部S31としての機能が低下してきた場合には交換できるようにしてある。 応答膜S11、S21が設けられておりセンサ面SP1、SP2がセンサS1、S2、S3の延伸軸線に対して傾斜して設けてあるアンモニウムイオン電極S1、及び、カリウムイオン電極S2はその形状は略同じ形状をしている。 前記押圧機構2は、全てのセンサS1、S2、S3を一括して前記ボディ1に対して押圧するものである。断面図においてはアンモニア計100の先端面において概略コの字状の部材として示されるものであり、前記ボディ1の先端部を略覆うものである。また、前記ボディ1の先端部を覆った状態において各センサS1、S2、S3のセンサ面SP1、SP2、SP3と前記温度計保護管Pの先端とを外部へと露出させるための貫通孔TH1、TH2、TH3、TH4を4つ備えている。 本実施形態のアンモニウムイオン電極S1の内部液S13には、塩化アンモニウムが含まれており、内部電極S1EとしてはAg/AgCl電極が用いられている。また、応答膜S11は、選択的にアンモニウムイオンに応答する膜であり、半透膜としての性質を有する。このような各イオンに対応する膜としては、具体的には、例えば有機溶媒とそれらを担持するポリ塩化ビニル樹脂やシリコーンゴム等からなるものが挙げられる。一方、基準電極S3の内部液S33としては過飽和の塩化カリウム溶液が用いられ、内部電極S3EとしてはAg/AgCl電極が用いられている。 当該アンモニウムイオン電極S1の応答膜S11の膜電位(mV)は下記式(1)で表すことができる。 ここで、式(1)中の各パラメータはそれぞれ以下のとおりである。E:アンモニウムイオン電極S1の応答膜S11の膜電位(mV)EOIon:アンモニウムイオン電極S1の標準電極電位(mV)R:気体定数F:ファラデー定数T:絶対温度(K)aN,Sample:分析対象液L中のNH4+のイオン活量(moL/L)aN,Ion:アンモニウムイオン電極S1の内部液S13中のNH4+のイオン活量(moL/L)aCl,Ref:基準電極S3の内部液S33中のCl−のイオン活量(moL/L)aCl,Ion:アンモニウムイオン電極S1の内部液S13中のCl−のイオン活量(moL/L) 本実施形態においては、式(1)中の実線で囲まれたB項全体が1になる点が測定可能な濃度範囲内に入るように各イオンのイオン活量(イオン濃度)が調整されていることにより、分析対象液L中のアンモニウムイオンの濃度範囲内、すなわち測定レンジ内で、等温交点を得ることができる。更に、本実施形態では、内部液S13の浸透圧が分析対象液Lの浸透圧と同程度になるように、内部液S13中のアンモニウムイオンの濃度と塩化物イオンの濃度とが調整されている。なお、式(1)に基づいてシミュレーションを行い、等温交点が測定レンジ内に入るように内部液を調製してもよい。 このように構成した本実施形態のアンモニウム計100によれば、アンモニウムイオン電極S1の内部液S13中のアンモニウムイオンの濃度と塩化物イオンの濃度とを変動させることにより、内部液S13の浸透圧を分析対象液Lの浸透圧と同程度になるように調製しながら、分析対象液L中のアンモニウムイオンの濃度範囲内で等温交点が得られるので、応答膜S11が半透膜であって、かつ、アンモニウムイオンの低い分析対象液Lを測定対象とする場合も、内部液S13への水分子の浸透が起こらず、更に、温度変化に伴う測定誤差を小さくすることができる。 なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。 例えば、内部液S13の浸透圧は、アンモニウムイオンの濃度と塩化物イオンの濃度だけでなく、溶質の全イオン濃度に依存するので、内部液S13にCaCl2等の他の電解質を加えることにより、浸透圧の微調整を行ってもよい。 本発明に係るイオン電極に用いる内部極としては、Ag/AgCl電極に限定されず、特定のイオン濃度によって電位が決定される他の電極を使用することもできる。このような他の電極としては、例えば、Ag/AgBr電極、Ag/AgI電極、Hg/HgBr電極等の各種ハロゲン化銀電極やハロゲン化水銀電極等が挙げられる。 また、本発明に係るイオン電極に用いる内部液としては、NH4Cl水溶液に限定されず、イオン電極の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、カリウムイオン電極であればKCl水溶液を用いることができ、カルシウムイオン電極であればCaCl2水溶液を用いることができ、ナトリウムイオン電極であればNaClやNaBr、NaI等の水溶液を用いることができる。 その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてもよく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。 本発明の効果を確認するために、以下のような試験を行った。<試験条件> 比較電極として、内部極がAg/AgCl電極であり、内部液が3.33Mの塩化カリウム溶液であるものを使用した。一方、アンモニウムイオン電極の内部液は、等温交点が0.0000714M(1ppm・N)で、浸透圧が塩濃度0.03Mの水溶液と同一になるように調製した。 上記の構成を有する比較電極とアンモニウムイオン電極とを用いて、温度を変化させながら電極の応答が計算式に従っているかどうかを確認した。結果を図6のグラフに示す。 図6のグラフに示すとおり、アンモニウムイオン濃度0.0000714M(1ppm・N)に等温交点を持つことが確認された。なお、等温交点が測定可能な濃度範囲からずれると、測定可能な濃度範囲内の測定値Eが式(1)に完全に従わない場合には、式(1)から予想されるEと、実際の測定値Eとの間にずれが大きくなるので測定誤差が大きくなる。S1・・・アンモニウムイオン電極S11・・・応答膜S13・・・内部液 応答膜によって外部から仕切られた空間内に内部液と当該内部液に接触する内部極とを備え、測定対象イオンの測定可能な濃度範囲が比較電極の内部液中のハロゲン化物イオン濃度よりも低いイオン電極であって、 前記内部液は、測定対象イオンとハロゲン化物イオンとを含有しており、 前記内部液中の測定対象イオンの濃度とハロゲン化物イオンの濃度とを変動させることにより、内部液の浸透圧と等温交点とが所望の値になるように調整されており、 前記等温交点は、前記測定可能な濃度範囲内に含まれていることを特徴とするイオン電極。 前記応答膜は、半透膜である請求項1記載のイオン電極。 前記内部極が、Ag/AgCl電極である請求項1又は2記載のイオン電極。 【課題】応答膜が半透膜の性質を有するものであって、かつ、イオン濃度の低いサンプルを測定対象とする場合であっても、内部液への水分子の浸透が起こらず、更に、温度変化に伴う測定誤差が小さいイオン電極を提供する。【解決手段】応答膜S11によって外部から仕切られた空間内に内部液S13と当該内部液S13に接触する内部極とを備え、測定対象イオンの測定可能な濃度範囲が比較電極の内部液中のハロゲン化物イオン濃度よりも低いイオン電極S1であって、前記内部液S13は、測定対象イオンとハロゲン化物イオンとを含有しており、前記内部液S13中の測定対象イオンの濃度とハロゲン化物イオンの濃度とを変動させることにより、内部液S13の浸透圧と等温交点とが所望の値になるように調整されており、前記等温交点は、前記測定可能な濃度範囲内に含まれているようにした。【選択図】図620121101A16333全文3 液絡部を介して外部と連通する空間内にハロゲン化物イオンを含有する内部液と当該内部液に接触する内部極とを備えた比較電極と、 応答膜によって外部から仕切られた空間内に内部液と当該内部液に接触する内部極とを備え、測定対象イオンの測定可能な濃度範囲が前記比較電極の内部液中のハロゲン化物イオン濃度よりも低いイオン電極と、を具備し、 前記イオン電極の内部液は、測定対象イオンとハロゲン化物イオンとを含有しており、 前記イオン電極の内部液は、前記イオン電極の内部液の浸透圧と等温交点とが所望の値になり、かつ、当該等温交点が前記測定可能な濃度範囲内に含まれているように、前記イオン電極の内部液中の測定対象イオンの濃度とハロゲン化物イオンの濃度が調整されたものであり、当該ハロゲン化物イオンの濃度が、前記比較電極の内部液中のハロゲン化物イオンの濃度とは異なっていることを特徴とする液体分析計。 前記イオン電極の応答膜は、半透膜の性質を有する請求項1記載の液体分析計。 前記イオン電極の内部極は、Ag/AgCl電極である請求項1又は2記載の液体分析計。 応答膜によって外部から仕切られた空間内に内部液と当該内部液に接触する内部極とを備え、測定対象イオンの測定可能な濃度範囲が比較電極の内部液中のハロゲン化物イオン濃度よりも低いイオン電極の内部液の調製方法であって、 前記イオン電極の内部液は、測定対象イオンとハロゲン化物イオンとを含有しており、 前記イオン電極の内部液中のハロゲン化物イオンの濃度が、前記比較電極の内部液中のハロゲン化物イオンの濃度とは異なるように規定した、前記イオン電極の内部液中の測定対象イオンの濃度とハロゲン化物イオンの濃度とに基づいて、前記イオン電極の内部液の浸透圧と等温交点とが所望の値になり、かつ、当該等温交点が前記測定可能な濃度範囲内に含まれるように前記イオン電極の内部液を調製することを特徴とするイオン電極の内部液の調製方法。


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