タイトル: | 公開特許公報(A)_頭髪用洗浄剤組成物 |
出願番号: | 2012161781 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 8/44,C11D 1/10,C11D 1/90,C11D 3/37,A61Q 5/02,A61K 8/42,A61K 8/73 |
山本 晃弐 上岡 千明 JP 2014019682 公開特許公報(A) 20140203 2012161781 20120720 頭髪用洗浄剤組成物 新日本理化株式会社 000191250 山本 晃弐 上岡 千明 A61K 8/44 20060101AFI20140107BHJP C11D 1/10 20060101ALI20140107BHJP C11D 1/90 20060101ALI20140107BHJP C11D 3/37 20060101ALI20140107BHJP A61Q 5/02 20060101ALI20140107BHJP A61K 8/42 20060101ALI20140107BHJP A61K 8/73 20060101ALI20140107BHJP JPA61K8/44C11D1/10C11D1/90C11D3/37A61Q5/02A61K8/42A61K8/73 1 OL 12 4C083 4H003 4C083AC581 4C083AC582 4C083AC642 4C083AC662 4C083AC711 4C083AC712 4C083AD132 4C083AD352 4C083BB04 4C083BB05 4C083BB07 4C083BB34 4C083CC38 4C083EE06 4C083EE07 4H003AB09 4H003AB10 4H003AC13 4H003AD04 4H003BA12 4H003DA02 4H003EB42 4H003EB46 4H003ED02 4H003FA21 本発明は、頭髪用洗浄剤組成物に関する。 N−アルキルアスパラギン酸及びその塩は、低刺激性且つ泡特性に優れ、濯ぎ時に皮膚に対してさっぱりした使用感を与えることから、特にボディシャンプー、ハンドソープ、洗顔料等の皮膚用洗浄剤組成物の主剤としての使用が推奨されてきた。 一方、N−アルキルアスパラギン酸塩は、頭髪洗浄に用いた場合、石けんで洗浄した場合と類似した濯ぎ時の強いきしみ感を与え、且つ水中の硬度成分と結合した水不溶性塩を形成して凝集するという欠点があった。このため、従来頭髪用洗浄剤組成物の主剤として汎用されてきた陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤、非イオン界面活性剤を主剤とし、N−アルキルアスパラギン酸及びその塩を前記欠点が発現せぬように第二剤的に使用することが推奨されてきた。 特開2000−136172号公報特開2001−26795号公報 本発明は、N−アルキルアスパラギン酸又はその塩を使用した、洗髪時の優れた泡特性や指通り性を生かし、同時に濯ぎ時の強いきしみと水不溶性塩の形成・凝集を抑制できる頭髪用洗浄剤組成物を提供することにある。 本発明者らは、鋭意検討した結果、(A)特定のアスパラギン酸誘導体(B)、ベタイン型両性界面活性剤、(C)陰イオン界面活性剤、半極性界面活性剤及び非イオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤、及び(D)カチオン化ポリマーを特定の割合で配合した組成物は、特定のアスパラギン酸誘導体の洗髪時の優れた泡特性や指通り性を発揮しつつ、濯ぎ時の強いきしみと水不溶性塩の形成・凝集を抑制できることを見出した。 すなわち本発明は、以下の項目の頭髪用洗浄剤組成物を提供するものである。(項1)(A)一般式(1)[式中、Rは炭素数8〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表し、2つのMは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]で表されるアスパラギン酸誘導体、(B)ベタイン型両性界面活性剤、(C)陰イオン界面活性剤、半極性界面活性剤及び非イオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤、及び(D)カチオン化ポリマーを含有する頭髪用洗浄剤組成物であって、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の組成比が、重量比で、((A)+(C))/(B)=85/15〜50/50、(A)/((B)+(C))=80/20〜20/80であり、且つ、(D)成分の組成比が頭髪用洗浄剤組成物に対して0.25〜1重量%であることを特徴とする頭髪用洗浄剤組成物。 なお、本明細書及び本特許請求の範囲おいて、(A)成分であるアスパラギン酸誘導体を、N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸、N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸塩、或いはN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩、という表現をすることがある。 本発明によれば、頭髪洗浄用途において、アスパラギン酸誘導体の洗髪時の優れた泡特性や指通り性を発揮しつつ、濯ぎ時の強いきしみと水不溶性塩の形成・凝集を抑制することができる。 本発明の頭髪用洗浄剤組成物は、(A)上記一般式(1)で表されるアスパラギン酸誘導体、(B)ベタイン型両性界面活性剤、(C)陰イオン界面活性剤、半極性界面活性剤及び非イオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤、及び(D)カチオン化ポリマーを特定の組成比で含有することを特徴とする。(A)アスパラギン酸誘導体 本発明に係るアスパラギン酸誘導体は、上記一般式(1)で表される化合物である。一般式(1)において、Rは炭素数8〜22の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。具体的には、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、イソステアリル基、リノール基、ベヘニル基、ヤシ油アルキル基、パーム核油アルキル基、パーム油アルキル基、大豆油アルキル基等が例示される。 また該誘導体を構成する2つのMは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンである。アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンが例示される。有機アンモニウムイオンとしては、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、イソプロパノールアンモニウムイオン、塩基性アミノ酸のアンモニウムイオン等が例示される。 アスパラギン酸誘導体としては、頭髪用洗浄剤組成物の起泡性及び泡質の観点から、好ましくはN−ラウリルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一カリウム、N−ラウリルアスパラギン酸トリエタノールアミン、N−ミリスチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一カリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸トリエタノールアミン、N−パルミチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パルミチルアスパラギン酸一カリウム、N−パルミチルアスパラギン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸トリエタノールアミン、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸トリエタノールアミンが推奨される。 また、頭髪用洗浄剤組成物の低温保存安定性の観点から、一般式(1)におけるMがカリウムイオンで表される誘導体が推奨される。 本発明に係るアスパラギン酸誘導体において、一般式(1)における2つのMが水素原子と水素原子以外のイオンとの組み合わせで表される誘導体が実質的に単一成分として含有する態様であるとき又は主成分として含有する態様であるとき、洗浄に適した中性に近いpHとなる点と適度な水溶性及び低温保存安定性を得やすい点から、好ましい態様として推奨される。 主成分として含有する態様とは、2つのMの比率、即ち水素原子と水素原子以外のイオンとの比率が、好ましくは水素原子:水素原子以外のイオン(当量比)=3:1〜1:3、より好ましくは2:1〜1:2、特に好ましくは1.5:1〜1 :1.5の範囲にある態様である。この範囲にあるときのアスパラギン酸誘導体の態様は、2つのMの一方が水素原子で他方が水素原子以外のイオンで表される誘導体と、2つのMが両方とも水素原子で表される誘導体と、2つのMが両方とも水素原子以外のイオンで表される誘導体とが混在していると推定される。 本発明に係るアスパラギン酸誘導体の製造方法は特に限定はなく、市販されているものや公知の方法で製造されたものを使用することができる。製造方法としては、例えば特開平5−140059、特開2000−136172、特開2001−26795に記載の方法で製造することができる。一例として、マレイン酸又はその塩と水及び/又は水と親和性を示す有機溶媒とを混合して比較的高濃度の状態とし、次いで所望する脂肪族第一級アミンを加えてから加熱して付加反応させ、反応終了後に反応溶媒を減圧留去して乾燥し、この乾燥粗物を粉砕して残存する未反応の脂肪族第一級アミンを溶媒で加熱洗浄除去して、最後に減圧乾燥して製造する方法が例示される。 本発明に係るアスパラギン酸誘導体は、本発明の頭髪用洗浄剤組成物に、1種のみを配合しても良いし、2種以上を組み合わせて配合しても良い。(B)ベタイン型両性界面活性剤 本発明に係る(B)成分のベタイン型両性界面活性剤は、頭髪洗浄用途において一般に配合されるベタイン型両性界面活性剤であれば何でも良く、例えばラウリルベタイン、ミリスチルベタイン、オレイルベタイン、ヤシ油アルキルベタイン、パーム核油アルキルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等が例示される。 ベタイン型両性界面活性剤は、1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。(C)陰イオン界面活性剤,半極性界面活性剤,非イオン界面活性剤 本発明に係る(C)成分の界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、半極性界面活性剤及び非イオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤である。該(C)成分は、頭髪洗浄用途に一般に配合される陰イオン界面活性剤、半極性界面活性剤、非イオン界面活性剤であれば何でも良い。 陰イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩類、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二塩類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩類、ラウロイルサルコシン塩類、ココイルサルコシン塩類、ラウロイルグリシン塩類、ココイルグリシン塩類、ラウロイルメチルアラニン塩類、ココイルメチルアラニン塩類、ラウロイルグルタミン酸塩類、ココイルグルタミン酸塩類、ラウロイルアスパラギン酸塩類、ココイルアスパラギン酸塩類などが例示される。また低温保存安定性の観点から、好ましくは対イオンがカリウムイオンである陰イオン界面活性剤が推奨される。 半極性界面活性剤としては、例えばラウリルアミンオキシド、ヤシ油アルキルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルアミンオキシド、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルアミンオキシド等が例示される。 非イオン界面活性剤としては、例えば脂肪酸のアルカノールアミド類、高級アルコールのEO付加物類、アルキルポリグルコシド類、多価アルコール類のアルキルエーテル類、多価アルコール類の脂肪酸エステル類等が例示される。それらの中でも、低温保存安定性の観点から、好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等からなるアルカノールアミド類が推奨される。好ましいアルカノールアミド類としては、ラウリン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、パーム核油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ミリスチン酸イソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸イソプロパノールアミド、パーム核油脂肪酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸ポリオキシエチレン(平均付加モル数;1〜6)モノエタノールアミド、ミリスチン酸ポリオキシエチレン(平均付加モル数;1〜6)モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(平均付加モル数;1〜6)モノエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ポリオキシエチレン(平均付加モル数;1〜6)モノエタノールアミド等が推奨される。(D)カチオン化ポリマー 本発明に係る(D)成分であるカチオン化ポリマーは、頭髪洗浄用途に一般に配合されるカチオン化ポリマーであれば何でも良く、例えばポリクオタニウム−5、同6、同7、同10(カチオン化セルロース)、同11、同16、同22、同28、同32、同33、同37、同39、同43、同44、同46、同47、同48、同51、同52、同53、同55、同57、同61、同64、同65、同68、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(カチオン化グアガム)等を例示することができる。それらの中でもコンディショニング性が特に優れることからカチオン化セルロース、カチオン化グアガムが好ましい。 カチオン化ポリマーは、1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。 本発明の頭髪用洗浄剤組成物に係る(A)成分〜(D)成分の組成比の範囲は、本発明の効果を発揮する上で重要である。発明者らは、当該組成比を調整することによって2つの役割を果たして、本発明の効果に寄与しているものと考えている。 1つ目の役割は、濯ぎ時のきしみ感を抑制する役割である。 (B)成分であるベタイン型両性界面活性剤は、(D)成分であるカチオン化ポリマーとの間で低水溶性である会合物を形成する(なお(B)成分には通常副生塩を数%含む)。(A)成分であるアスパラギン酸誘導体((A)成分はアルキルアミノ酸型両性界面活性剤に分類されるが、等電点以上即ち中性〜アルカリ性領域では陰イオン界面活性剤の1種として作用する。)と(C)成分である陰イオン界面活性剤、半極性界面活性剤及び非イオン界面活性剤は、頭髪用洗浄剤組成物(原液)にこの会合物を可溶化させる役割を果たしている。 従って、洗髪時、頭髪用洗浄剤組成物は頭髪に付着した水分で適度に希釈される(通常10倍前後に希釈される。)ことにより、(A)成分と(C)成分による前記会合物の可溶化ができなくなり、(B)成分と(D)成分との会合物が不溶物として系外に析出する。この析出した会合物が毛髪表面に吸着することによって、濯ぎ時のきしみ感が抑制される。 この可溶化及び析出作用を効果的に発揮させる為には、(B)成分と、(A)成分と(C)成分との組成比の範囲が、重量基準で、((A)+(C))/(B)=85/15〜50/50の範囲が肝要であり、好ましくは80/20〜55/45の範囲が推奨される。 ((A)+(C))成分の割合が高いと洗髪時の前記会合物の析出が進まず、濯ぎ時にきしみ感の抑制が不十分となる。一方(B)成分の配合比率が高いと、前記会合物が頭髪用洗浄剤組成物(原液)に可溶化され難くなり、また低温保存安定性も低下する原因にもなる。 2つ目の役割は、水不溶性塩の形成・凝集を抑制する役割である。 頭髪洗浄後(シャンプー後)の濯ぎ時に(A)成分と水中の硬度成分とが結合して生じる水不溶性塩(Ca塩,Mg塩)の凝集が起きる。この凝集は、(B)成分と(C)成分とによって濯ぎ水に効果的に分散させることができる。即ち、水不溶性塩の形成・凝集が抑制されることとなる。 この分散作用を効果的に発揮させる為には、(A)成分と、(B)成分と(C)成分との組成比の範囲が、重量基準で、(A)/((B)+(C))=80/20〜20/80の範囲であることが肝要であり、好ましくは70/30〜30/70の範囲が推奨される。(A)成分の割合が高いと水不溶性塩の凝集の抑制が不十分となる。一方((B)+(C))成分の割合が多い場合は、(A)成分による洗髪時の優れた泡特性や指通り性を十分に発現し難くなる。 (D)成分の組成比の範囲は、頭髪用洗浄剤組成物に対して0.25〜1重量%の範囲であり、好ましくは0.3〜0.8重量%が推奨される。0.25%より少ない場合、頭髪洗浄後(シャンプー後)の濯ぎ時にきしみが感じられ、1%を超える場合、必要以上にぬめり感が残り、使用感を悪くする傾向があり、また経済的にも好ましくない。 また(A)成分〜(C)成分の合計含有量としては、頭髪用洗浄剤組成物に対して、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%が推奨される。 本発明の頭髪用洗浄剤組成物の調製方法としては、本発明の組成物が得られれば特に限定はなく、本技術分野でこれまで使用されてきた調製方法を採用することができる。 例えば、(D)成分を効果的に含有させるための方法としては、予め冷水に(D)成分を十分に分散した後に加温して均一に溶解させる方法が推奨される。(A)成分を含有せしめる方法としては、前記(D)成分を溶解した水溶液にN−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸(一般式(1)おける2つのMが水素原子に相当する化合物である。)を中和するに必要となる等モル程度の適当な塩基化合物(一般式(1)におけるMを形成するもの)を均一混合した後、N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸を加えて溶解させる方法が推奨される。 本発明の頭髪用洗浄剤組成物には、上記成分の他、ポリオール類、無機塩類、増粘剤(例えばポリオキシエチレン(平均付加モル数:60)セチルステアリルジエーテル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、キレート剤、防腐剤、殺菌剤、エキス類、色素、香料等を本発明の効果を奏する限り適宜配合することができる。 かくして得られた頭髪用洗浄剤組成物は、シャンプーとして極めて優れたものである。 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例における分析・評価は以下の方法で行った。実施例で使用した化合物は、市販品、試薬又は下記製造例で得た化合物を用いた。[濁度] 頭髪用洗浄剤組成物を用いて頭髪を洗浄する際に、頭髪に付着した水分により前記組成物が希釈されることにより、(B)ベタイン型両性界面活性剤と(D)カチオン化ポリマーとの会合物(コアセルベート)が系外に析出する。この析出する会合物の多寡について分光光度計を用いて評価した。希釈倍率10倍における濁度が80%以上で、頭髪洗浄後のカチオン化ポリマーの頭髪への付着量(残存量)が高いと評価される。コアセルベート形成能の評価方法 評価方法は、日本化粧品技術者会誌,38,211-219(2004)を参考にした。即ち、30mL試験管に頭髪用洗浄剤組成物を2.50g、1.00g、0.40g、0.20g、0.10gずつ秤取り、次いでイオン交換水を合計10.00gになるまで加えた後、ゴム栓をして静かに倒立を繰り返して均質になるように希釈した。試料液は、それぞれ4倍、10倍、25倍、50倍、100倍の希釈倍率となる。紫外可視分光光度計UV−2550(島津製作所)により420nmでの透過率(%、光路長1cm、温度20℃)を測定した。透過率(%)から下記式を用いて濁度(%)を求めた。 希釈倍率10倍での濁度の値が大きいほど、実際の頭髪洗浄操作(シャンプー操作)での指通り性に優れ、一般的にその後の濯ぎ時にきしみ感が抑制されるという関係があり、濁度80%以上で良好と判断される。 濁度(%)=100−透過率(%)[使用感] 頭髪用洗浄剤組成物の使用感について、20名のパネラーによる官能評価を行った。評価方法は、各パネラーが実際に頭髪用洗浄剤組成物を使用したときの、洗髪時の泡量、泡質及び指通り性、並びに濯ぎ時のきしみ感、指通り性及び水不溶性塩の凝集抑制の良否を集計し、下記基準に基づいて判定した。判定基準が◎でそれぞれの性能について高いと評価される。<評価基準> ◎:20名中、16名以上が良いと評価 ○:20名中、11〜15名が良いと評価 △:20名中、6〜10名が良いと評価 ×:20名中、5名以下が良いと評価[粘度] 頭髪用洗浄剤組成物の粘度は、TV-10形粘度計(東機産業(株)製)を用いて測定温度25℃で測定した。[低温保存安定性] 頭髪用洗浄剤組成物の低温保存安定性は、試料液を恒温槽に入れ、設定温度5.0℃から2.5℃間隔で温度を下げ、各設定温度で3日間保存した後に試料液の外観を観察した。外観が均一透明液体状を維持している最低温度を「最低透明維持温度」として判定した。[実施例1〜8] 表1に示す配合組成(何れも数値は純分換算値である。)の本発明の頭髪用洗浄剤組成物(何れも原液pHをクエン酸で7.2〜7.4に調整した。)を調製した。得られた組成物の濁度、使用感、粘度及び低温保存安定性の評価結果は表1に示した。[比較例1] 表2に示す配合組成の本発明外の洗浄剤組成物の調製を試みたが、(B)成分と(D)成分の会合体と思われる多量のゼリー状不溶性物が容器下部に沈降した。そのために濁度や使用感などの評価はできなかった。[比較例2〜6] 表2に示す配合組成の本発明外の頭髪用洗浄剤組成物(何れも原液pHをクエン酸で7.2〜7.4に調整した。)を調製した。得られた組成物の濁度、使用感、粘度及び低温保存安定性の評価結果は表2に示した。 表1及び表2で使用した化合物は以下の通りである。i)N−ラウリルアスパラギン酸一カリウム:N−ラウリルアスパラギン酸(製品名「エヌジェボンASP−12H」,新日本理化(株)製)を等モルの水酸化カリウムで中和し、イオン交換水で25%水溶液として調製した後、クエン酸で原液pHを7.5に調整した。ii)N−ミリスチルアスパラギン酸一カリウム:N−ミリスチルアスパラギン酸(製品名「エヌジェボンASP−14H」,新日本理化(株)製)を等モルの水酸化カリウムで中和し、イオン交換水で25%水溶液として調製した後、クエン酸で原液pHを7.5に調整した。iii)ラウリン酸アミドプロピルベタイン:リカビオンB−300(製品名,新日本理化(株)製)iv)ラウリルベタイン:リカビオンA−100(製品名,新日本理化株式社製)v)ラウロイルサルコシンカリウム:ソイポンSLA(製品名,川研ファインケミカル(株)製)を水酸化カリウムで中和し、イオン交換水で25%水溶液として調製した後、クエン酸で原液pHを7.5に調整した。vi)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド:アミゾールFDE(製品名,川研ファインケミカル(株)製)vii)ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム:アミライトGCK−11(製品名,味の素(株)製)viii)カチオン化セルロース:カチナールHC−200(製品名,東邦化学工業(株)製)ix)カチオン化グアガム:JAGUAR EXCEL(製品名,Rhodia Inc.製)x)水酸化カリウム,クエン酸;試薬特級 本発明の頭髪用洗浄剤組成物は、洗髪時の泡特性や指通り性が良好で、同時に濯ぎ時の強いきしみと水不溶性塩の形成・凝集が抑制されているので、シャンプー用途に最適である。(A)一般式(1)[式中、Rは炭素数8〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表し、2つのMは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]で表されるアスパラギン酸誘導体、(B)ベタイン型両性界面活性剤、(C)陰イオン界面活性剤、半極性界面活性剤及び非イオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤、及び(D)カチオン化ポリマーを含有する頭髪用洗浄剤組成物であって、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の組成比が、重量比で、((A)+(C))/(B)=85/15〜50/50、(A)/((B)+(C))=80/20〜20/80であり、且つ、(D)成分の組成比が頭髪用洗浄剤組成物に対して0.25〜1重量%であることを特徴とする頭髪用洗浄剤組成物。 【課題】N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩を使用した、洗髪時の優れた泡特性や指通り性を生かしたまま、同時に濯ぎ時の強いきしみと水不溶性塩の形成・凝集を抑制した頭髪用洗浄剤組成物の提供。【解決手段】(A)N−アルキル(又はアルケニル)アスパラギン酸又はその塩、(B)ベタイン型両性界面活性剤、(C)陰イオン界面活性剤、半極性界面活性剤、非イオン界面活性剤から選ばれた一種又は二種以上、及び(D)カチオン化ポリマーを特定の組成比の範囲で含有させた洗浄剤組成物。【選択図】なし