タイトル: | 公開特許公報(A)_バイオマスからの酢酸の製造方法 |
出願番号: | 2012157085 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C12P 7/54,C13K 1/02 |
仲亀 誠司 内田 洋介 JP 2014018100 公開特許公報(A) 20140203 2012157085 20120713 バイオマスからの酢酸の製造方法 王子ホールディングス株式会社 000122298 仲亀 誠司 内田 洋介 C12P 7/54 20060101AFI20140107BHJP C13K 1/02 20060101ALI20140107BHJP JPC12P7/54C13K1/02 3 1 OL 15 4B064 4B064AD04 4B064CA02 4B064CC03 4B064CD09 4B064DA16 4B064DA20本発明は、バイオマスの連続的な一次加水分解処理で得られる単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類を含有する加水分解処理液から効率的に酢酸を製造する方法に関する。バイオマス資源は、水と炭酸ガスと太陽エネルギーから光合成により生産される有機資源であり、エネルギー源または化学原料として利用可能である。バイオマス資源は、バイオマス資源から生産される生産物の生産量と生産物の利用量を調和させることができれば、炭酸ガスの排出量を増加させないで利用できる再生可能資源である。バイオマスとは、生活や産業活動を営む過程で不要物として排出される有機性廃棄物である「廃棄物系バイオマス」、農地にすき込まれたり、山林に放置されたりする農作物の非食用部(例えば、トウモロコシの茎・葉など)や間伐材などの「未利用バイオマス」、食料や木材の生産を目的とせず、物質・エネルギー資源を得ることを目的として、現在の休耕地や未利用地などで栽培される植物である「資源作物」、従来からの手法による品種改良や遺伝子組換技術によって生産性などの機能が改善された資源作物である「新作物」などを指す。バイオマスは、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、細胞内含有成分等の成分により構成されており、成分比はバイオマスの種類によって異なっている。例えば、木質系バイオマスは、約50%のセルロース、20−25%のヘミセルロース、20−25%のリグニン、約5%の細胞内含有成分から構成されている。これらの成分は工業的な利用が可能である。バイオマスに含まれるセルロースや糖類(オリゴ糖、グルコース、キシロース)を酢酸生産菌を用いて酢酸を生産することができる。酢酸は工業用途として重要であり、合成樹脂や接着剤等の原料として用いられている。また、酢酸を原料として化学変換によりエタノールを生産することもできる。バイオマスを加圧熱水処理することによりバイオマスを構成する成分を分解、抽出することができる。加圧熱水とは、温度が100−374℃であり、飽和蒸気圧以上に加圧した高温高圧の液体状態の水のことである。加圧熱水に対するバイオマス構成成分の反応性の違いを利用することで、バイオマスの構成成分の分離を行うことが可能である。例えば、加圧熱水の温度が100−140℃においては、細胞内有用成分(タンニン、テルペン、有機酸)や水溶性リグニンを回収できることが報告されている。また、加圧熱水の温度が140−230℃においては、ヘミセルロースに由来するオリゴ糖や、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトースなどの単糖類を回収できることが報告されている(特許文献1、特許文献2、非特許文献1〜3)。上記の加圧熱水処理のうち、溶解パルプ製造時にクラフト蒸解法の前工程として用いられる加圧熱水処理は、前加水分解工程と呼ばれる。バイオマスから溶解パルプを製造するには、バイオマス中のヘミセルロースとリグニンを選択的に除去し、セルロース純度を高める必要がある。パルプ製造時の前加水分解は、セルロースの分解を抑制し、ヘミセルロースのみを分解する条件で実施される。前加水分解工程では、バイオマスに水を加えて加熱するだけで、ヘミセルロース中のアセチル基が脱離して酢酸を生成し、酸性となり酸加水分解が進む。ヘミセルロースには、六炭糖であるマンノース、グルコース、ガラクトース、五炭糖であるキシロース、アラビノースが構成糖として含まれている。前加水分解工程において、ヘミセルロースが加水分解されると上記の糖から構成されるオリゴ糖類が生成される。また、オリゴ糖の加水分解がさらに進むと単糖が生成される。これらの糖の中で、五炭糖であるキシロース、アラビノースは、3分子の水の脱水反応によりフルフラールに変換される(非特許文献4)。バイオマスを前加水分解処理した後の加水分解物(固形分)は、後段のクラフト蒸解工程で加水分解物中に残存するリグニン及びヘミセルロースが除去され、更に次工程で漂白処理を行うことで高純度のセルロース(溶解パルプ)が得られる。通常、前加水分解工程は連続的に行われ、前加水分解工程で連続的に得られるオリゴ糖類、単糖類等を含む加水分解液(ろ液)を取り出して、取り出した加水分解液に含まれるオリゴ糖類、単糖類を効率的な方法で酢酸に変換するこができれば、製造コストが低減でき工業的規模での酢酸の生産が可能となる。炭水化物を原料としてClostridium thermoaceticum(酢酸生成菌)により酢酸を生産する方法(特許文献3)、グルコース、メタノール及び炭酸ガス源を主成分として含む培地でClostridium thermoaceticumを培養し酢酸を製造する方法(特許文献4)、リグノセルロースの加水分解物にCystein・HCl・H2Oを0.05〜0.1g/L添加した培地でClostridium thermoaceticumを培養し酢酸を製造する方法(特許文献5)が報告されている。しかし、工業的規模での酢酸の生産を目指す場合、連続的な方法で効率的に酢酸を生産する必要があり、さらに効率的な酢酸の製造方法の開発が望まれている。特開平10−327900号公報特開2002―59118号公報特開昭62−171689号公報特開平6−165685号公報特開2012―50345号公報柴田 昌男、「バイオマス利用技術の開発を目指して−加圧熱水による処理技術−」、平成13年度産業技術総合研究所九州センター研究講演会要旨集坂木 剛、「加圧熱水によるバイオマスの成分分離」Vol.7、 ページ245−248、日本エネルギー学会講演要旨集、1998年安藤 浩毅、外5名、「加圧熱水を用いた木質バイオマスの分解挙動」、鹿児島県工業技術センター研究報告 No.14,ページ、2000Furfural:Hemicellulose/xylosederived biochemical, Ajit Singh Mamman, Biofuels Bioproducts and Biorefining, Volume 2,Issue 5,p.p.438−454 (2008)本発明の課題は、バイオマスを連続的に一次加水分解処理して得られる単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類を含有する加水分解処理液から効率的に酢酸を生産する方法を提供することにある。本発明者らは、バイオマスの原料懸濁液を連続一次加水分解装置の供給口より連続的に供給して装置内を移動させつつ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧・加熱条件でバイオマスを一次加水分解処理し、加水分解処理懸濁液を一次加水分解装置の排出口より連続的に排出するとともに、一次加水分解装置の前記供給口と前記排出口の中間位置における固−液分離装置を備えた中間取出口より、装置内の加水分解処理懸濁液から分離した一次加水分解処理液を加水分解処理の温度及び圧力を保った状態で取り出し、取り出した一次加水分解処理液を培養槽に移送し前記培養槽内で酢酸生成菌を用いて酢酸を製造する方法において、前記培養槽へ供給される一次加水分解処理液に含まれるフルフラール濃度を0.5質量%以下に維持して酢酸を製造することにより効率的に酢酸を生産できることを見出し、下記の発明を完成するに至ったものである。(1)バイオマスの原料懸濁液を連続一次加水分解装置の供給口より連続的に供給して装置内を移動させつつ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧・加熱条件でバイオマスを一次加水分解処理し、加水分解処理懸濁液を一次加水分解装置の排出口より連続的に排出するとともに、一次加水分解装置の前記供給口と前記排出口の中間位置における固−液分離装置を備えた中間取出口より、装置内の加水分解処理懸濁液から分離した一次加水分解処理液を加水分解処理の温度及び圧力を保った状態で取り出し、取り出した一次加水分解処理液を培養槽に移送し前記培養槽内で酢酸生成菌を培養して酢酸を製造する方法において、前記培養槽へ供給される一次加水分解処理液に含まれるフルフラール濃度を0.5質量%以下に維持して酢酸生成菌を培養することを特徴とするバイオマスからの酢酸の製造方法。(2)前記一次加水分解装置の前記排出口の近傍から水性洗浄液を一次加水分解処理装置内に供給して前記固−液分離装置を備えた中間取出口と前記排出口との間で加水分解処理懸濁液と向流接触させることを特徴とする(1)項に記載のバイオマスからの酢酸の製造方法。(3)前記酢酸生成菌がClostridium属細菌であることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載のバイオマスからの酢酸の製造方法。本発明により、バイオマスを連続的に一次加水分解処理して得られる単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類を含有する加水分解処理液から効率的に酢酸を生産することが可能となる。本発明のバイオマスからの酢酸の製造方法を実施するための装置の一例を示す図である。 以下、本発明の酢酸の製造方法をさらに詳しく説明する。(バイオマスの種類)本発明で用いるバイオマスとしては、六炭糖及び(又は)五炭糖を構成糖として含む材料であれば、特に制限なく使用することができる。例えば、木質系原料であれば、樹木、林地残材、間伐材、廃材等のチップ又は樹皮、製材工場等から発生するおが屑、街路樹の剪定枝葉、建築廃材等が挙げられ、広葉樹、針葉樹共に用いることができる。草本系として、ケナフ、稲藁、麦わら、コーンコブ、バガス等の農産廃棄物、油用作物やゴム等の工芸作物の残渣及び廃棄物(例えば、EFB: Empty Fruit Bunch)、草本系エネルギー作物のエリアンサス、ミスカンサスやネピアグラス等のリグノセルロース系バイオマスが挙げられる。また、バイオマスとしては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジ、スラッジ、下水汚泥等、食品廃棄物、等を原料として利用することができる。これらのバイオマスは、単独、あるいは複数を組み合わせて使用することができる。また、バイオマスは、乾燥固形物であっても、水分を含んだ固形物であっても、スラリーであっても用いることができる。バイオマスが乾燥固形物または水分を含んだ固形物であれば、水と混合させスラリー状態にした後に、加水分解反応装置に供給することが好ましい。(一次加水分解装置)本発明の方法で用いる一次加水分解装置は、連続的にバイオマスを加圧・加熱条件下に加水分解処理することができると共に、加水分解処理されたバイオマスと単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類及びその他の有機酸等の加水分解生成物を含む水溶液とよりなる加水分解処理懸濁液から、加水分解処理温度と圧力を維持した状態の加水分解生成物を含む水溶液よりなる加水分解処理液を連続的に分離して取り出すことができる加圧、加熱加水分解処理装置である。上記一次加水分解装置としては、図1に示すように、バイオマスと水よりなる原料懸濁液供給管路1が接続されている供給口Aと加水分解処理されたバイオマスを含有する加水分解処理液の排出管路2が接続されている排出口Bと、該原料懸濁液の供給口と加水分解処理懸濁液の排出口との中間部において、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する圧力及び温度条件下で懸濁液中のバイオマスが加水分解処理されている加水分解処理懸濁液から、水溶性の加水分解生成物を含有する水溶液からなる加水分解処理液部分を連続的に分離して取り出すことができる固−液分離装置Sを備えた中間取出口を持つ塔式の加水分解装置R1が挙げられる。図1の装置においては、原料バイオマスは、原料懸濁液供給管路1が接続されている供給口Aより水性懸濁液の状態で加圧・加熱加水分解装置R1内に連続的に供給され、加水分解処理を受けながら装置内を移動し、他方の加水分解処理懸濁液排出管路2が接続されている排出口Bから加水分解処理されたバイオマスを含有する加水分解処理懸濁液として連続的に排出されるとともに、供給口Aから排出口Bに至る装置の中間部に設置されている固−液分離装置Sにより装置内を移動する加水分解処理懸濁液から水溶性の加水分解生成物を含有する加水分解処理液の部分が分離され、加水分解処理の圧力と温度を維持したまま該装置中間部から連続的に取出管路3に取り出されて、取り出された加水分解処理液は冷却器で酢酸生成菌の培養に適した温度まで冷却された後、培養槽REに送られる。図1の加水分解装置R1において、中間部取出口Gから加水分解処理液の一部が取り出された後の装置内の加水分解処理懸濁液に、原料懸濁液に使用されている水性液と同種の水性液を補給するために、中間部取出口Gの下方位置に水性液を供給するための水性液供給口を設けることもできる。水性液を供給することにより、原料からのオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類が溶出され易くなりオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の収率が向上する。図1の加水分解装置R1においては、加水分解装置R1の円筒部の側面に中間部取出口Gが一箇所だけ設けられているが、この中間部取出口Gは1箇所に限定されず、2箇所以上の位置に設けることもできる。例えば、中間部取出口Gの下方の位置に、加水分解処理液部分のみを分離して装置外に取り出すことができる第二の中間部取出口Sが設けられている加水分解装置であってもよい。また、たとえば、第三の中間部取出口を更に設ける場合には、第二の中間部取出口と第三の中間部取出口の間にも水性液供給口を設けて、必要に応じて水性液を加水分解装置R1内に供給できるようにすることができる。このように2箇所以上の中間取出口を設け、各々の中間取出口から加水分解処理液を取り出すと同時に水性液供給口から水性液を一次加水分解装置内へ供給することにより合計量としてオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の収率が向上する。固−液分離装置Sとしては、メッシュ(網目)が10μm〜5cmの範囲のストレーナーやフィルターが採用される。ストレーナーとしては、目詰まりのトラブルの回避と分離される水溶液中への懸濁物質の随伴を極力避けるために40〜500μmの範囲のストレーナーが好適に採用される。図1に示されているように、洗浄液供給装置Wから洗浄液供給管路6により加水分解装置R1の底部に洗浄液を供給して、加水分解装置R1の中間取出口Gから底部排出口に移動する加水分解処理懸濁液と向流接触させることができる。洗浄液供給管路6からの洗浄液は、連続的に供給しても良いし、断続的に供給しても良い。洗浄液供給管路6からの洗浄液としては、水や酸を含む水溶液を用いることが望ましいが、中間取出口Gから取出管路3に取り出される加水分解処理液に悪影響を及ぼさない水溶液であれば特に制限なく用いることができる。底部に供給された洗浄液は、加水分解物の移動方向とは逆に下部から上部へ移動し、装置中間の固−液分離装置Sを備えた中間取出口Gから加水分解処理液と混合状態で取出管路3に取り出される。上記のような向流洗浄操作を採用することによって、上部から下部へ移動する加水分解処理されたバイオマスを含有する水性懸濁液であって、前記固−液分離装置Sで加水分解処理液の一部分が除かれている、加水分解処理懸濁液中の加水分解生成物(単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類)を洗浄液中に移行させて前記移送管路3に取り出される加水分解処理液として回収できるので、加水分解処理バイオマスに随伴されて加水分解装置R1の底部の加水分解処理懸濁液とともに管路2から排出される加水分解物の損失が抑制されるというメリットがある。(一次加水分解条件)本発明の方法において、一次加水分解装置R1内での加水分解処理は、加圧下における熱水処理、酸処理、アルカリ処理等の方法を用いて行うことができるが、生成する単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を効率的に回収するためには、加圧、加熱状態の水又は酸水溶液を用いた処理が望ましい。加圧、加熱状態の水による処理の場合、バイオマスを水と混合し、加圧、加熱して加水分解を行う。酸水溶液処理の方法としては、バイオマスを酸を含む水と混合し、加圧、加熱して加水分解を行う。酸水溶液処理で用いる酸は特に限定されないが、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等を用いることができる。加水分解処理に供するバイオマスを含有する水性懸濁液のpHは0.5〜5.0の範囲が好ましい。加水分解処理の温度としては、120〜250℃で行うことができるが、140〜230℃が好ましく、150〜180℃がより好ましい。加水分解処理の圧力は、0.35MPa〜2.8MPaであることが好ましい。バイオマスと混合する水性液体とバイオマスの質量比(水性液体/バイオマス)は2〜8の範囲が好ましい。バイオマスと水性液体を混合して水性懸濁液原料を調製し、加水分解装置に供給して加水分解装置内で所定の温度と圧力で加水分解処理する。バイオマスの加水分解処理時間は、バイオマスの種類や一次加水分解装置R1内の温度等に応じて適宜選択できる。例えば、140〜230℃で加水分解処理する場合、加水分解処理時間は0.5〜180分の範囲で適宜選択される。以上の条件下での加水分解処理により、セルロースを主体とする加水分解処理バイオマスと、バイオマス由来の加水分解生成物であるフルフラール、オリゴ糖類、単糖類などを含有する加水分解処理液よりなる加水分解処理懸濁液が得られる。生成するフルフラール類としては、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール等が挙げられる。生成するオリゴ糖類としては、キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等が挙げられ、前記オリゴ糖にアラビノース、マンノース、グルコース、キシロース、グルクロン酸、4−O―メチルグルクロン酸等が側鎖として付加したオリゴ糖も含まれる。生成する単糖類としては、キシロース、アラビノース、グルコース、ガラクトース、マンノース等が挙げられる。一次加水分解装置R1内で加水分解処理されたバイオマスを含有する加水分解処理懸濁液は、一次加水分解装置R1の中間位置に設置されている固−液分離装置Sで水溶性の加水分解生成物を含有する水溶液からなる加水分解処理液の一部が分離されて取出管路3に取り出された後の懸濁液として一次加水分解装置R1の排出口に接続されている加水分解処理懸濁液排出管路2から装置外に排出される。一次加水分解装置R1の中間位置の固−液分離装置Sから排出口に移動する加水分解処理されたバイオマスを含有する加水分解処理懸濁液を、洗浄液供給装置Wから洗浄液供給管路6により一次加水分解装置R1内に供給する洗浄液と向流接触させることによって洗浄して排出口から排出することもできる。一次加水分解装置R1から排出管路2に排出された加水分解処理懸濁液中のバイオマスよりなる固形分は、バイオマス由来の有用成分の製造原料として再利用することができる。 また、管路7によって蒸解工程に送られてパルプの製造原料として用いることができるので、本発明の加水分解方法は、溶解パルプ製造工程でクラフト蒸解の前工程である前加水分解工程とすることもできる。一次加水分解装置R1から一次加水分解処理液取出管路3により取り出された一次加水分解処理液を、培養槽REに供給する。一次加水分解処理液を培養槽REへ供給する前に冷却器で一次加水分解処理液を冷却してもよい。酢酸生成菌の培養を開始する時点で培養槽RE内の培地(加水分解処理液、栄養源を含む)の温度が酢酸生成菌の培養に適した温度にする必要があるため、冷却器で冷却することが望ましい。(培養装置)本発明の方法で用いる培養装置は、連続的あるいは断続的に酢酸生成菌を培養することができる連続式あるいはバッチ式の培養装置であれば制限なく使用することができる。培養装置の形態は特に限定されない。前記培養装置は、複数の装置を並列で設置することもでき、複数の装置で同時に酢酸生成菌を培養することもできる。また、複数の培養槽を直列に連結して設置することもでき、異なる種類の酢酸生産菌を別々に異なる培養槽で培養することもできる。図1の装置においては、一次加水分解処理液は、一次加水分解処理液取出管路3が接続されている一次加水分解装置R1の固液分離装置Sを備えた中間取出口Gより水溶液の状態で培養槽REに供給される。培養槽REへの一次加水分解処理液の供給は、連続的であっても良いし断続的でも良い。培養槽REは、培養中に雑菌の増殖を防止するために予め殺菌しておくことが望ましい。(培養条件)本発明の方法において、前記一次加水分解処理液を酢酸生産菌の基質として用いる。前記一次加水分解処理液への栄養源の添加は必須ではないが、必要に応じて酢酸生成菌の生育に必要な栄養源を添加することが望ましい。前記栄養源は、酢酸生成菌が生育し酢酸の生産に適した栄養源であれば特に制限なく用いることができる。 酢酸生成菌としてはクロストリジウム(Clostridium)属の微生物を用いることができる。クロストリジウム(Clostridium)属の微生物としては、クロストリジウム サーモセラム(Clostridium thermocellum)、クロストリジウム サーモアセチカム(Clostridium thermoaceticum)、クロストリジウム フォルミコアセチカム(Clostridium formicoaceticum)、クロストリジウム アセチカム(Clostridium aceticum)、等が挙げられるが、クロストリジウム サーモセラム(Clostridium thermocellum)、クロストリジウム サーモアセチカム(Clostridium thermoaceticum)を用いることが酢酸の生産効率が高いため好ましい。前記クロストリジウム属の微生物は1種を用いても良いし、2種以上のクロストリジウム属の微生物を混合して用いても良い。酢酸生成菌を培養する培地(培養液)のpHは5.0〜8.0の範囲が好ましく、6.5〜7.5の範囲がさらに好ましい。培養中に酢酸が生成すると培養液のpHが低下するが、アルカリ水溶液を添加し培養液のpHが前記pHの範囲になるように制御することが望ましい。 酢酸生成菌を培養する培地(培養液)の温度は、50〜70℃で行うことが望ましく、55〜65℃で行うことがさらに好ましい。 バッチ式で培養を行う場合の培養時間は0.5〜72時間が好ましく、1〜48時間がさらに好ましい。連続式で培養を行う場合の培養槽内での培養液の滞留時間は0.5〜72時間が好ましく、1〜48時間がさらに好ましい。 酢酸生成菌は嫌気性細菌であるため、培養槽内を嫌気状態にして培養を行う。例えば、二酸化炭素、窒素等のガスを培養槽内に吹き込み培養を行うことができる。本発明では、図1に示すように、培養槽REの供給口4から培養槽RE内へ供給する一次加水分解処理液(オリゴ糖、単糖、フルフラールを主成分として含有)に含まれるフルフラール濃度を0.5質量%以下になるように制御する。 培養槽REの供給口4から供給する一次加水分解処理液に含まれるフルフラール濃度を0.5質量%以下になるように制御することにより、フルフラールが酢酸生産菌に対して及ぼす阻害作用が抑制されて、酢酸生成菌によるオリゴ糖、単糖等からの酢酸への変換が促進される。また、フルフラールを低濃度に維持することにより、フルフラールと糖類(オリゴ糖、単糖)の副反応が抑制されて、酢酸の収率が向上する。前記、培養槽REの供給口4から供給する一次加水分解処理液に含まれるフルフラール濃度を0.5質量%以下になるように制御するための方法としては、一次加水分解条件(温度、滞留時間、原料の供給量、一次加水分解処理液の取出口の位置)の最適化、一次加水分解処理液からのフルフラールの除去、等の方法が挙げられる。一次加水分解処理液からのフルフラールを除去するための方法としては、例えば、培養槽REの供給口4へ一次加水分解処理液を供給する前に減圧蒸留装置、フラッシュタンク、フラッシュサイクロン等の装置により予め一次加水分解処理液からフルフラール(気相)を除去(分離)しておくことができる。フルフラールは工業用途として利用されているため、酢酸の生産と同時にフルフラールも同時に分離して生産することもできる。連続式で培養を行う場合、培地の栄養源を必要に応じて適宜添加することができる。添加の方法としては、例えば、滅菌した栄養源の濃縮液を、断続的、あるいは連続的に添加する方法が挙げられる。前記の方法により、一次加水分解処理液に含まれるオリゴ糖、単糖が主に酢酸生成菌により酢酸に変換されて、リグノセルロース原料より効率的に酢酸を生産することができる。前記培養槽REの前工程として、一次加水分解処理液に含まれる糖類(単糖類、オリゴ糖)の濃度を高めたり、一次加水分解処理液に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の比率をコントロールするために二次加水分解処理を行うこともできる。また、二次加水分解処理の前工程、あるいは後工程として、例えば、加水分解処理液(オリゴ糖、単糖、フルフラールを主成分として含む)に含まれるフルフラールを減圧蒸留装置、フラッシュタンク、フラッシュサイクロン等の装置により加水分解処理液からフルフラール(気相)を除去(分離)しておくこともできる。 前記の方法により生産された酢酸を含む培養液は、さらに酢酸の純度を高めるために蒸留装置に移送し培養液を蒸留することにより酢酸の濃度を高めることができる。また、得られた酢酸(又は酢酸を含む水溶液)を水素添加、エステル化等の方法により、酢酸からエタノールに変換することもできる。以下、本発明の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。製造例1ユーカリ・ペリータのチップ(厚さ2mm)とイオン交換水とを、チップ(乾燥)1質量部に対してイオン交換水5質量部の割合で混合して原料バイオマスを含有する原料懸濁液を調製した。図1に示す一次加水分解装置R1(木村化工機製)の頂部供給口に接続している原料懸濁液供給管路1から上記原料懸濁液を連続的に400質量部/時で供給し、一次加水分解装置R1で140℃、0.36MPaで加水分解処理を行い、加水分解処理された原料懸濁液を加水分解装置の底部排出口より減圧バルブVPを開いて加水分解処理懸濁液排出管路2に連続的に排出した。加水分解装置内の滞留時間は3時間に設定した。装置底部の洗浄液供給装置Wから洗浄水供給管路6により洗浄水を400質量部/時で供給して、加水分解装置の中央部における目開き80μmのステンレス製金網(固液分離装置S)が設置されている一次加水分解装置R1の中央部の中間取出口Gから下方に移動する加水分解処理懸濁液と向流接触させた。原料懸濁液の供給開始3時間後から、中間取出口G(加水分解処理時間1.5時間の位置)より、加水分解装置内の温度及び圧力を維持した状態で加水分解処理懸濁液から一次加水分解処理液(260質量部/時)を一次加水分解処理液取出管路3の減圧バルブVPを開いて取り出し、冷却器COへ移送し一次加水分解処理液の温度が60℃になるまで冷却した。冷却した一次加水分解処理液を培養槽REへ移送し、一次加水分解処理液に培地A(下記)を添加し、培養槽RE内の培地(一次加水分解処理液を含む)の最終液量が50Lになるように調製した。液量を調製した時点で管路3の減圧バルブVPを閉じた。培地A(1L当り):KH2PO4 、1.5g、Na2HPO4・12H2O 4.2g、NH4Cl 0.5g、MgCl2・6H2O、酵母エキス2g、レサズリン(0.1%溶液)1ml、NaOH(0.2N)200ml、Na2S・9H2O 2.5g、Cysteine・H2O、ビオチン20mg、p−アミノ安息香酸50mg、葉酸20mg、パントテン酸カルシウム50mg、ニコチン酸50mg、ビタミンB12 1.0mg、塩酸チアミン5mg、塩酸ピリドキシン100mg、チオクト酸50mg、リボフラビン5mg、ニトリロ三酢酸1.5g、MgSO4・7H2O 3g、MnSO4・H2O 500mg、NaCl 1g、FeSO4・7H2O 100mg、Co(NO3)2・6H2O 100mg、CaCl2 100mg、ZnSO4・7H2O 100mg、CuSO4・5H2O 10mg、AlK(SO4)210mg、ホウ酸10mg、Na2MoO4・2H2O 10mg、Na2SeO3 1mg。次に、培養槽RE内を窒素ガスで置換し嫌気状態にした後、予め前培養したClostridium thermocellum(ATCC27405)、及びClostridium thermoaceticum(ATCC35608)を各々密度が1x108/mlになるように前記培地に添加し、60℃で培養を開始した。24時間培養後、一次加水分解処理液(260質量部/時)を培養槽REの供給口4から連続的に添加した。また、培地Aの10倍濃縮液(20質量部/時)を培養槽RE内に連続的に供給した。一方、培養槽RE内の培養液(280質量部/時)を培養槽REの排出口5から連続的に排出した。培養槽REの供給口4へ供給される一次加水分解処理液、及び培養槽REの排出口5から排出される培養液に含まれるフルフラール類、全糖、酢酸、ギ酸の含有量を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。[全糖量の分析]試料溶液に最終濃度が4質量%となるように硫酸を添加し、120℃で1時間加水分解を行った後、糖分析を実施し、試料中の各単糖の含有量を求め、その合計値を全糖量とした。[フルフラール類の定量]フルフラール類の定量にはAgilent Technоlоgies社製HPLCシステムを用いた。カラムは、Bio−Rad社製Aminex HPX87P(7.8 X 300mm)を用い、5mM硫酸を溶離液とし、1ml/minの流速でフルフラール類を溶出させた。検出にはUV−Vis検出器を用いた。フルフラール類の標品として、フルフラールを用い、検量線を作成し、試料中の含有量を求めた。[有機酸(酢酸、ギ酸)の定量]酢酸及びギ酸の定量にはAgilent Technоlоgies社製HPLCシステムを用いた。カラムは、Bio−Rad社製Aminex HPX87P(7.8 X 300mm)を用い、5mM硫酸を溶離液とし、1ml/minの流速で酢酸、ギ酸を溶出させた。検出にはUV−Vis検出器を用いた。酢酸、ギ酸を標品として検量線を作成し、試料中の含有量を求めた。製造例2一次加水分解装置R1で150℃、0.48MPaで加水分解処理を行なった以外は全て製造例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。製造例3一次加水分解装置R1で160℃、0.62MPaで加水分解処理を行なった以外は全て製造例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。製造例4一次加水分解装置R1で170℃、0.79MPaで加水分解処理を行なった以外は全て製造例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。製造例5一次加水分解装置R1で180℃、1.00MPaで加水分解処理を行なった以外は全て製造例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。製造例6一次加水分解装置R1で190℃、1.26MPaで加水分解処理を行なった以外は全て製造例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。製造例7一次加水分解装置R1で200℃、1.56MPaで加水分解処理を行なった以外は全て製造例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。製造例8一次加水分解装置R1で230℃、2.80MPaで加水分解処理を行なった以外は全て製造例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。製造例9一次加水分解装置R1で250℃、3.98MPaで加水分解処理を行なった以外は全て製造例1と同様の方法で実施した。結果を表1に示す。培養槽REの供給口4から供給される一次加水分解処理液に含まれるフルフラール濃度が0.12〜0.48質量%(製造例1〜8)では、一次加水分解処理液に含まれるフルフラール類の濃度が0.57質量%(製造例9)と比較し、培養槽REの排出口5から排出される培養液に含まれる酢酸及びギ酸の濃度が高かった。以上の結果から、培養槽REの供給口4から供給される一次加水分解処理液に含まれるフルフラール濃度を低濃度に維持することによりClostridium thermocellum及びClostridium thermoaceticumで有機酸の生産を行った場合、酢酸及びギ酸の生産が高まることが判明した。製造例10製造例1において、酢酸生成菌としてClostridium thermocellum(ATCC27405)を単独で用いた以外は全て製造例1と同様の方法で実施した。結果を表2に示す。製造例11製造例2において、酢酸生成菌としてClostridium thermocellum(ATCC27405)を単独で用いた以外は全て製造例2と同様の方法で実施した。結果を表2に示す。製造例12製造例3において、酢酸生成菌としてClostridium thermocellum(ATCC27405)を単独で用いた以外は全て製造例3と同様の方法で実施した。結果を表2に示す。製造例13製造例4において、酢酸生成菌としてClostridium thermocellum(ATCC27405)を単独で用いた以外は全て製造例4と同様の方法で実施した。結果を表2に示す。製造例14製造例5において、酢酸生成菌としてClostridium thermocellum(ATCC27405)を単独で用いた以外は全て製造例5と同様の方法で実施した。結果を表2に示す。製造例15製造例6において、酢酸生成菌としてClostridium thermocellum(ATCC27405)を単独で用いた以外は全て製造例6と同様の方法で実施した。結果を表2に示す。製造例16製造例7において、酢酸生成菌としてClostridium thermocellum(ATCC27405)を単独で用いた以外は全て製造例7と同様の方法で実施した。結果を表2に示す。製造例17製造例8において、酢酸生成菌としてClostridium thermocellum(ATCC27405)を単独で用いた以外は全て製造例8と同様の方法で実施した。結果を表2に示す。製造例18製造例9において、酢酸生成菌としてClostridium thermocellum(ATCC27405)を単独で用いた以外は全て製造例9と同様の方法で実施した。結果を表2に示す。培養槽REの供給口4から供給される一次加水分解処理液に含まれるフルフラール類の濃度が0.12〜0.48質量%(製造例10〜17)では、一次加水分解処理液に含まれるフルフラール類の濃度が0.57質量%(製造例18)と比較し、培養槽REの排出口5から排出される培養液に含まれる酢酸及びギ酸の濃度が高かった。以上の結果から、培養槽REの供給口4から供給される一次加水分解処理液に含まれるフルフラール濃度を低濃度に維持することによりClostridium thermocellumを単独で用いて有機酸の生産を行った場合、酢酸及びギ酸の生産が高まることが判明した。製造例19製造例1において、酢酸生成菌としてClostridium thermoaceticum(ATCC35608)を単独で用いた以外は全て製造例1と同様の方法で実施した。結果を表3に示す。製造例20製造例2において、酢酸生成菌としてClostridium thermoaceticum(ATCC35608)を単独で用いた以外は全て製造例2と同様の方法で実施した。結果を表3に示す。製造例21製造例3において、酢酸生成菌としてClostridium thermoaceticum(ATCC35608)を単独で用いた以外は全て製造例3と同様の方法で実施した。結果を表3に示す。製造例22製造例4において、酢酸生成菌としてClostridium thermoaceticum(ATCC35608)を単独で用いた以外は全て製造例4と同様の方法で実施した。結果を表3に示す。製造例23製造例5において、酢酸生成菌としてClostridium thermoaceticum(ATCC35608)を単独で用いた以外は全て製造例5と同様の方法で実施した。結果を表3に示す。製造例24製造例6において、酢酸生成菌としてClostridium thermoaceticum(ATCC35608)を単独で用いた以外は全て製造例6と同様の方法で実施した。結果を表3に示す。製造例25製造例7において、酢酸生成菌としてClostridium thermoaceticum(ATCC35608)を単独で用いた以外は全て製造例7と同様の方法で実施した。結果を表3に示す。製造例26製造例8において、酢酸生成菌としてClostridium thermoaceticum(ATCC35608)を単独で用いた以外は全て製造例8と同様の方法で実施した。結果を表3に示す。製造例27製造例9において、酢酸生成菌としてClostridium thermoaceticum(ATCC35608)を単独で用いた以外は全て製造例9と同様の方法で実施した。結果を表3に示す。培養槽REの供給口4から供給される一次加水分解処理液に含まれるフルフラール類の濃度が0.12〜0.48質量%(製造例19〜26)では、一次加水分解処理液に含まれるフルフラール類の濃度が0.57質量%(製造例27)と比較し、培養槽REの排出口5から排出される培養液に含まれる酢酸及びギ酸の濃度が高かった。以上の結果から、培養槽REの供給口4から供給される一次加水分解処理液に含まれるフルフラール濃度を低濃度に維持することによりClostridium thermoaceticumを単独で用いて有機酸の生産を行った場合、酢酸及びギ酸の生産が高まることが判明した。本発明で得られる有機酸は、工業原料(合成樹脂や接着剤等の原料)として用いられる。1:原料懸濁液供給管路2:加水分解処理懸濁液排出管路3:一次加水分解処理液取出管路4:培養槽の供給口5:培養槽の排出口6:洗浄液供給管路7:固形分移送管路A:原料懸濁液供給口B:加水分解処理懸濁液排出口R1:連続式の一次加水分解装置G:中間取出口S:固液分離装置RE:培養槽W:洗浄液供給装置V:バルブVP:減圧バルブバイオマスの原料懸濁液を連続一次加水分解装置の供給口より連続的に供給して装置内を移動させつつ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧・加熱条件でバイオマスを一次加水分解処理し、加水分解処理懸濁液を一次加水分解装置の排出口より連続的に排出するとともに、一次加水分解装置の前記供給口と前記排出口の中間位置における固−液分離装置を備えた中間取出口より、装置内の加水分解処理懸濁液から分離した一次加水分解処理液を加水分解処理の温度及び圧力を保った状態で取り出し、取り出した一次加水分解処理液を培養槽に移送し前記培養槽内で酢酸生成菌を培養して酢酸を製造する方法において、前記培養槽へ供給される一次加水分解処理液に含まれるフルフラール濃度を0.5質量%以下に維持して前記酢酸生成菌を培養することを特徴とするバイオマスからの酢酸の製造方法。前記一次加水分解装置の前記排出口の近傍から水性洗浄液を一次加水分解処理装置内に供給して前記固−液分離装置を備えた中間取出口と前記排出口との間で加水分解処理懸濁液と向流接触させることを特徴とする請求項1に記載のバイオマスからの酢酸の製造方法。前記酢酸生成菌がClostridium属細菌であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバイオマスからの酢酸の製造方法。 【課題】バイオマスの加水分解液より酢酸を効率的に製造する方法を提供する。【解決手段】バイオマスの原料懸濁液を連続一次加水分解装置の供給口より連続的に供給して装置内を移動させつつ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧・加熱条件でバイオマスを一次加水分解処理し、加水分解処理懸濁液を一次加水分解装置の排出口より連続的に排出するとともに、一次加水分解装置の前記供給口と前記排出口の中間位置における固−液分離装置を備えた中間取出口より、装置内の加水分解処理懸濁液から分離した一次加水分解処理液を加水分解処理の温度及び圧力を保った状態で取り出し、取り出した一次加水分解処理液を培養槽に移送し前記培養槽内で酢酸生成菌を用いて酢酸を製造する方法において、培養槽へ供給される一次加水分解処理液に含まれるフルフラール濃度を0.5質量%以下に維持して酢酸を製造する。【選択図】 図1