タイトル: | 公開特許公報(A)_球状油性固形化粧料 |
出願番号: | 2012152234 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 8/81,A61K 8/25,A61K 8/02,A61Q 19/00,A61K 8/31 |
武井 直子 端 晃一 JP 2014015410 公開特許公報(A) 20140130 2012152234 20120706 球状油性固形化粧料 株式会社コーセー 000145862 特許業務法人 小野国際特許事務所 110000590 武井 直子 端 晃一 A61K 8/81 20060101AFI20131227BHJP A61K 8/25 20060101ALI20131227BHJP A61K 8/02 20060101ALI20131227BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20131227BHJP A61K 8/31 20060101ALI20131227BHJP JPA61K8/81A61K8/25A61K8/02A61Q19/00A61K8/31 5 OL 14 4C083 4C083AA082 4C083AA122 4C083AB171 4C083AB172 4C083AB432 4C083AC011 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC352 4C083AC392 4C083AC422 4C083AC432 4C083AC472 4C083AD021 4C083AD022 4C083AD042 4C083AD152 4C083AD221 4C083AD222 4C083AD492 4C083BB12 4C083BB25 4C083CC05 4C083DD21 4C083DD30 4C083DD31 4C083EE01 4C083EE06 本発明は球状油性固形化粧料に関し、さらに詳細には、成型性や金型等からの離型性に優れ、冷却時の収縮が少なく、ひび割れやはがれが抑制されて、均一で滑らかな球状の外観を有し、使用時の溶けや後肌の保湿感に優れる球状油性固形化粧料に関する。 従来より、油性固形化粧料は、使用性や携帯性等に優れるため、口紅やリップクリーム、ファンデーション等において汎用されている剤型の一つであり、一般に、原料成分を加熱溶解したバルクを筒状の金型や繰り出し容器、あるいは金皿に充填、固化することにより、棒状や平板状の形状に成型される(特許文献1および2)。 一方、直径数cm程度の球状のものについては、従来、油中水乳化型化粧料では開示されているが(特許文献3)、油性固形化粧料においてはこれまで全く知られていなかった。特開2008−239578号公報国際公開第2004/032893号特表2007−0503417号公報 本発明者は、油性固形化粧料において、球状の形状とするために種々検討を行っていたところ、直径2〜10cm程度の球状に成型する場合、従来の棒状などの形状と比較して、金型に充填して冷却、固化する際に、体積が収縮して空隙やひび割れが生じたり、また金型から離型する際に、はがれが生じる傾向が強いという知見を得た。また、棒状の口紅や平板状のファンデーションでは、一定の力を加えながら塗布したり容器から化粧料を取るため、一定の力以上が加わると変形し始める降伏値などがその使用性に与える影響が大きいが、球状の油性固形化粧料では、口紅等とは異なって、ただ手のひらで包みこんだ状態で体温で溶かしながら擦り取れるような物性とする必要があることを認識した。そこで、本発明は、冷却時の収縮を抑制するとともに、離型性を向上して、ひび割れやはがれがなく、均一で滑らかな球状の外観を呈し、使用時の溶けが良好な油性固形化粧料を提供することを課題とする。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ワックス、半固形油および疎水化処理煙霧状無水ケイ酸を特定の含有量で組み合わせることにより、製造時に成型性や離型性が著しく向上するとともに、使用時においては、手のひらで包んだ状態で体温で溶かしながら擦り取ることができ、さらに優れた保湿感が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、次の成分(A)〜(C): (A)ワックス 5〜15質量% (B)半固形油 40〜80質量% (C)疎水化処理煙霧状無水ケイ酸 3〜10質量%を含有することを特徴とする直径2〜10cmの球状油性固形化粧料である。 本発明の球状油性固形化粧料は、バルクの流動性が高く充填性に優れるものであり、また冷却時の収縮が小さく、離型性も良好であるため、均一で滑らかな球状の優れた外観を有するものである。またこの化粧料は、使用時には、手のひらで包んだ状態で体温で溶かしながら擦り取ることができ、これを塗布することにより優れた後肌の保湿感を得ることができる。 本発明の球状油性固形化粧料は、成分(A)ワックス、成分(B)半固形油および成分(C)疎水化処理煙霧状無水ケイ酸を必須成分として含有するものである。 上記成分(A)ワックスとしては、固体パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、フィッシャートロプシュワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、モクロウ、ゲイロウ、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、モンタンワックス、オゾケライトワックス、ライスワックス、シリコーンワックス等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。 これらの中でも、融点90〜110℃のワックス(A1)と融点60〜80℃のワックス(A2)を併用することにより、充填時の流動性が向上し、また冷却時の収縮やひび割れが抑えられ、使用時の溶けや後肌の保湿感にさらに優れたものが得られる。セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、オゾケライトワックスなどは、分子量等によって融点90〜110℃のワックス(A1)に含まれるものと融点60〜80℃のワックス(A2)に含まれるものとが存在する。その他の、融点90〜110℃のワックスとしては、エチレン・プロピレンコポリマー、フィッシャートロプシュワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられ、融点60〜80℃のワックスとしては、固体パラフィンワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、モクロウ、モンタンワックス、ライスワックス、シリコーンワックス、カルナウバワックス等が挙げられる。 成分(A)の化粧料中の含有量は、5〜15質量%(以下、単に「%」で示す)であり、7〜13%がより好ましい。5%未満では、離型性が悪くなり、15%よりも多いと収縮が大きく、また使用時の溶けが悪くなり、後肌の保湿感も劣る場合がある。また、融点90〜110℃のワックス(A1)と融点60〜80℃のワックス(A2)を併用する場合は、これらの含有質量比((A1):(A2))を、1:10〜10:1とすることが好ましく、3:2〜2:3とすることがさらに好ましい。 成分(B)半固形油としては、通常化粧料に用いられる常温(25℃)で半固形状の油剤であれば特に限定されず、炭化水素系半固形油、エステル系半固形油、エーテル系半固形油、シリコーン系半固形油等が使用できる。具体的には、ワセリン等の炭化水素系半固形油;ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチルなどのジペンタエリトリット脂肪酸エステル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油などの硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリルなどのコレステロール脂肪酸エステル、オレイン酸フィトステリル、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリルなどのフィトステロール脂肪酸エステル、水添ヤシ油、水添パーム油などの水添植物油、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)等のエステル系半固形油;ヒドロキシアルキルダイマーシリノレイルエーテル等のエーテル系半固形油;ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーなどのシリコーン系半固形油等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、炭化水素系半固形油(B1)とエステル系半固形油(B2)を併用することにより、充填時の流動性が向上し、ひび割れが抑制されるとともに、使用時の溶けや後肌の保湿感に優れたものが得られる。 成分(B)の化粧料中の含有量は、40〜80%であり、好ましくは50〜70%である。40%未満では、使用時の溶けが悪く、後肌の保湿感が劣るために好ましくなく、80%よりも多いと、離型性が悪くなる。また炭化水素系半固形油(B1)とエステル系半固形油(B2)とを併用する場合は、これらの含有質量比((B1):(B2))を、10:1〜1:10とすることが好ましく、4:1〜2:3とすることがより好ましい。なお、成分(B)半固形油は、25℃において半固形状であり、針入荷重値として5〜1000の範囲にあるものを指し、10〜500であることがより好ましい。針入荷重値は、レオメーター(FUDOH RHEOMETER NRM−2002D:不動工業社製)により、25℃、針径15.0mmφ、針入速度2cm/min、針入深度3.0mmの条件によって測定される値である。 また成分(C)疎水化処理煙霧状無水ケイ酸としては、例えば、四塩化ケイ素を水素と酸素炎中で加水分解して得られた煙霧状無水ケイ酸を反応性オルガノシランやオルガノシラザン等で処理した疎水化処理したものを使用できる。疎水化処理の方法としては、ジメチルジクロルシランによるジメチルシリル化処理、トリメチルクロルシランやヘキサメチルジシラザンによるトリメチルシリル化処理、オクチルトリクロルシランによるオクチルシリル化処理、ジメチルポリシロキサンやメチルハイドロジェンポリシロキサンによるシリコーン処理、金属セッケン化合物によるコーティング処理等が挙げられる。市販品としては、AEROSIL R104、AEROSIL R106、AEROSIL R202、AEROSIL RX200、AEROSIL RX300、AEROSIL R805、AEROSIL R812、AEROSIL R816、AEROSIL R972、AEROSIL R974、AEROSIL R976S、AEROSIL RX50(日本アエロジル社製)等が挙げられる。これらの疎水化処理煙霧状無水ケイ酸は、一次粒径が1〜50nmのものが好ましく、5〜20nmのものがより好ましい。尚、本発明において、一次粒径は、電子顕微鏡写真により測定した300〜500個の粒子の平均の値とする。 成分(C)の化粧料中の含有量は、3〜10%であり、好ましくは5〜8%である。3%未満では、冷却時の収縮やひび割れが発生し、また離型性が悪くなってはがれが生じる。一方、10%よりも多いと、充填時の流動性が悪くなり、また使用時の溶けが悪くなって後肌の保湿感も劣る。 本発明の球状油性固形化粧料には、さらに成分(D)ショ糖脂肪酸エステルを含有することにより、充填時の流動性や離型性が向上し、また冷却時の収縮が抑えられ、ひび割れやはがれが抑制されるとともに、使用時の溶けや後肌の保湿感に優れたものが得られる。ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖状、分岐鎖状、あるいは、飽和、不飽和のいずれのものでも良く、脂肪酸の炭素数は12〜22のものが好ましく、14〜20のものがより好ましい。また、平均置換率は、25〜100%であることが好ましく、70〜100%がより好ましい。ショ糖脂肪酸エステルの具体例としては、ポリラウリン酸スクロース、ポリミリスチン酸スクロース、ポリパルミチン酸スクロース、ポリステアリン酸スクロース、ポリオレイン酸スクロース、ポリリノール酸スクロース、ポリリノレン酸スクロース、ポリイソステアリン酸スクロース、ポリイソ酪酸酢酸スクロース等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリパルミチンサン酸スクロース、ポリステアリン酸スクロース、ポリオレイン酸スクロース、ポリリノール酸スクロース等がワックスの結晶性を阻害することによって、収縮が抑えられ、保湿感が増すことから好適に用いられる。成分(D)の化粧料中の含有量は、0.1〜5%が好ましく、0.5〜3%がより好ましい。この範囲であると離型性が向上する。 本発明の球状油性固形化粧料に使用できるその他の任意成分としては、液状油、グリコール類、顔料、粉体類、繊維類、界面活性剤、紫外線吸収剤、アルコール類、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料、清涼剤などが挙げられる。 液状油としては、極性油、非極性油または合成油、半合成油、動植物油等の極性や由来を問わず、常温で液状であればよく、具体的に例示すると、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテンなどの炭化水素油、トリイソステアリン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、2−エチルヘキサン酸トリグリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、トリ(カプリル・カプリン)酸グリセリルなどのエステル油、小麦胚芽油、米胚芽油、コメヌカ油、メドウフォーム油、ローズマリー油、オリーブ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油、ベニバナ油、アボカド油、アルモンド油などの植物油、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどのシリコーン油等が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。化粧料中の液状油の含有量は、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。なお、液状油とは、例えば25℃においてB型回転粘度計で測定した粘度の範囲が10〜10000mPa・sにあるものである。 本発明の球状油性固形化粧料は、上記成分(A)〜(C)と必要に応じ成分(D)などその他の任意成分を常法に従って加熱融解、混合したバルクを、球形を型取った金型に充填して冷却した後、金型から離型することにより製造することができる。本発明において、球状とは、真球状だけでなく、略球状、楕円球状、偽球状などを包含し、長径/短径の比が好ましくは1.5/1〜1/1、より好ましくは、1.2/1〜1/1の範囲のものである。本発明の球状油性固形化粧料は、バルクの流動性が高いため、金型の充填口からバルクを注入する際の充填性が良好であり、また充填後冷却する際の化粧料の体積収縮が少なく、離型性にも優れるため、ひび割れやはがれ等がなく、均一かつ滑らかで優れた球状の外観を有するものである。 本発明の球状油性固形化粧料は、ハンドクリーム、リップクリーム、ボディークリームなどとして利用することができ、これらの中でも手のひらで包み、温めながら擦り取って塗るという使用方法をとれる点でハンドクリームが好適である。この球状油性固形化粧料は、両方の手のひらで包み、体温で溶かしながら表面を擦りとり、それを塗り伸ばして使用される。球状油性固形化粧料の融点は、手のひらで包み体温で温めながら擦り取ることができるように、30〜70℃であることが好ましく、35〜50℃であることがより好ましい。融点の測定は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm)とする。また、この球状油性固形化粧料は、使用感の点から適度に柔らかいことが好ましく、針入荷重値として50〜300の範囲にあることが好ましく、100〜200であることがより好ましい。針入荷重値は、レオメーター(FUDOH RHEOMETER NRM−2002D:不動工業社製)により、35℃、針径3.0mmφ、針入速度2cm/min、針入深度2.0mmの条件によって測定される値である。なお、本発明の球状油性固形化粧料には、少量の水などの水性成分が含まれていてもよいが、水性成分が実質的に含まれていないことが好ましく、具体的には1%未満であることが好ましい。 以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。実施例1〜9および比較例1〜4 油性固形ハンドクリームの調製(1): 下記表1に示す組成および下記製法により、直径6cmの真球状の油性固形ハンドクリームを調製した。得られた油性固形ハンドクリームについて、下記評価方法により、充填時の流動性、収縮、離型(はがれ)、ワレ、使用時の溶けのよさ、後肌の保湿感について評価した。結果を併せて表1に示す。 ※1:EPSワックス(日本ナチュラルプロダクツ社製) ※2:PERFORMALENE 655(ニューフェーズテクノロジー社製) ※3:OZOKERITE WAX SP−273P(STRAHL&PITSCH INC社製) ※4:PARACERA P(PARAMELT社製) ※5:精製カルナウバワックスNo.1(セラリカ野田社製) ※6:LUVAX 2191(日本精蝋社製) ※7:レオパール TL2(千葉製粉社製) ※8:コスモール 168ARV(日清オイリオグループ社製) ※9:キャストライド MS(ナショナル美松社製) ※10:AEROSIL R972(日本アエロジル社製) ※11:AEROSIL RX300(日本アエロジル社製) ※12:AEROSIL 200(日本アエロジル社製) ※13:BENTONE 38V BC(エレメンティス社製) ※14:シュガーワックスS−10E(第一工業製薬社製) (製法)A:成分1〜10及び15、16を110℃まで加熱し、混合溶解する。B:Aに成分11〜14を加え、均一に混合する。C:Bを110℃まで加熱して型に流し込み、冷却した後、型から外し、直径6cmの真球状の油性固形ハンドクリームを得た。(充填時の流動性) 各試料110℃で加熱融解し、100ml試験用ビーカーにあふれるまで入れて、以下の基準により充填時の流動性を評価した。[評価基準]◎:試験用ビーカーを5度傾けると連続的に流れる。〇:試験用ビーカーを15度傾けると連続的に流れる。△:試験用ビーカーを30度傾けると連続的に流れる。×:試験用ビーカーを30度傾けても非連続的にしか流れない。(収縮) 以下の式より冷却後の化粧料の直径の収縮率を求め、下記基準により評価した。 収縮率(%)=A’/A×100 A :金型の直径 A’:冷却後の化粧料の直径[評価基準] ◎:0%〜1%未満〇:1%以上〜2.5%未満△:2.5%以上〜5%未満×:5%以上(離型(はがれ)) 離型時における金型へのはがれが認められる不良品の率を確認し、下記基準により評価した。[評価基準]◎:0%〜1%未満〇:1%以上〜2%未満△:2%以上〜5%未満×:5%以上(ワレ) 成型後のワレが認められる不良品の率を確認し、下記基準により評価した。[評価基準]◎:0%〜1%未満〇:1%以上〜2%未満△:2%以上〜5%未満×:5%以上(使用時の溶けのよさ)および(後肌の保湿感) 化粧品評価専門パネル20名に、実施例および比較例の油性固形ハンドクリームを使用してもらい、使用時の溶けのよさ、後肌の保湿感を以下の(イ)の5段階官能評価基準にて官能評価し、更に全パネルの評点の平均点を(ロ)4段階判定基準を用いて判定した。(イ)5段階官能評価基準 (評価) :(評点) 非常に良好 : 5点 良好 : 4点 普通 : 3点 やや不良 : 2点 不良 : 1点(ロ)4段階判定基準◎:4.5点以上〜5点〇:3.5点以上〜4.5点未満△:2.5点以上〜3.5点未満×:1〜2.5点 表1の結果から明らかなように、実施例1〜9の油性固形ハンドクリームは、充填時の流動性に優れ、成型時の収縮が少なく、離型性に優れ、ワレによる不良が少なく、使用時の溶けのよさ、後肌の保湿感に優れたものであった。それに対して、ワックスを含まない比較例1は、離型性が悪く、またワレによる不良率が高いものであった。ワックスの代わりにパルミチン酸デキストリンを含有する比較例2は、ワックスと比較するとべたつきが出てしまい離型性が悪く、また使用時の溶けや後肌の保湿感が劣るものであった。ワックスの量が少ない比較例3は離型性が悪く、またワレによる不良率が高いものであった。一方、ワックスの量が多い比較例4は、充填時の流動性が悪く、また成型時の収縮が大きく、ワレによる不良率も高くなり、使用時の溶けや後肌の保湿感にも劣るものであった。実施例10〜14および比較例5〜6 油性固形ハンドクリームの調製(2): 下記表2に示す組成で、上記実施例1等と同様にして、油性固形ハンドクリームを調製し、充填時の流動性等の品質を評価した。その結果を併せて表2に示す。また実施例1および9の結果も示す。 表2の結果から明らかなように、実施例9〜14の油性固形ハンドクリームは、充填時の流動性に優れ、成型時の収縮が少なく、離型性に優れ、ワレによる不良が少なく、使用時の溶けのよさ、後肌の保湿感に優れたものであった。それに対して半固形油の含有量が40%未満である比較例5は、使用時の溶けが悪く、後肌の保湿感が劣るものであった。半固形油の含有量が80%よりも多い比較例6は、ワックスの構造形成を阻害してべたつきが出てしまうため、成型時の離型性が非常に悪く、ワレによる不良も多いものであった。実施例15〜18および比較例7〜10 油性固形ハンドクリームの調製(3): 下記表3に示す組成で、上記実施例1等と同様にして、油性固形ハンドクリームを調製し、充填時の流動性等の品質を評価した。その結果を併せて表3に示す。また実施例1および14の結果も示す。 表3の結果から明らかなように、実施例15〜18の油性固形ハンドクリームは、充填時の流動性に優れ、成型時の収縮が少なく、離型性に優れ、ワレによる不良が少なく、使用時の溶けのよさ、後肌の保湿感に優れたものであった。それに対して、煙霧状ジメチルシリル化シリカの含有量が3%未満である比較例7は、ゲル形成が足りないため離型性が悪く、収縮は大きくなり、ワレも起きやすいものであった。一方、煙霧状ジメチルシリル化シリカの含有量が10%よりも多い比較例8は、充填時のバルクの流動性が低下し、また使用時の溶けのよさや後肌の保湿感が損なわれているものであった。煙霧状ジメチルシリル化シリカの代わりに疎水化されていない煙霧状無水ケイ酸を含有する比較例9は無水ケイ酸によるゲル形成が不十分なため離型性が悪く、収縮は大きくなる結果となった。煙霧状ジメチルシリル化シリカの代わりにジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトを含有する比較例10は、充填時の流動性が著しく低下し、また使用時の溶けのよさや後肌の保湿感も大きく損なわれる結果となった。実施例19:油性固形ハンドクリーム(直径8cm、真球状)(成分) (%)1.エチレン/プロピレンコポリマー ※1 52.マイクロクリスタリンワックス ※6 83.ワセリン 454.水添ヤシ油/水添パーム油 ※15 45.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル 106.ジメチルシリル化シリカ ※10 87.α−オレフィンオリゴマー ※16 残量8.スクワラン ※17 59.ホホバ油 ※18 510.ジブチルヒドロキシトルエン 0.0511.香料 0.1※15:スーパーヌーコアH(日油社製)※16:ノムコート HP−100(日清オイリオグループ社製)※17:SQUALANE(岸本特殊肝油工業所社製)※18:精製ホホバ油(高級アルコール工業社製) (製法)A:成分1〜5及び7〜9を110℃まで加熱し、混合溶解する。B:Aに成分6、10、11を加え、均一に混合する。C:Bを110℃まで加熱して型に流し込み、冷却した後型から外し、直径8cmの真球状の油性固形ハンドクリームを得た。 実施例19のハンドクリームは、充填時の流動性に優れ、成型時の収縮が少なく、離型性に優れ、ワレによる不良が少なく、使用時の溶けのよさ、後肌の保湿感に優れたものであった。実施例20:油性固形ボディクリーム(長径7cm、短径5cm、楕円球状)1.セレシンワックス ※3 4.52.カルナウバワックス ※5 3.53.ミツロウ ※19 34.ワセリン 405.ヒドロキシステアリン酸コレステリル ※20 56.ステアリン酸硬化ヒマシ油 ※9 157.トリメチルシリル化シリカ ※21 58.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量9.メドウフォーム油 ※22 310.マカデミアンナッツ油 ※23 311.ジプロピレングリコール 1.512.メチルポリシロキサン 0.513.ジブチルヒドロキシトルエン 0.0114.香料 0.3※19:SUPER REFINED BEESWAX−PA−(JP)(クローダジャパン社製)※20:サラコス HS(日清オイリオグループ社製)※21:AEROSIL R812(日本アエロジル社製)※22:ニッコール メドウホーム油(日光ケミカルズ社製)※23:マカデミアンナッツ油(日光ケミカルズ社製) (製法)A:成分1〜6及び8〜12を110℃まで加熱し、混合溶解する。B:Aに成分7、13、14を加え、均一に混合する。C:Bを110℃まで加熱して型に流し込み、冷却した後型から外し、長径7cm、短径5cmの楕円球状の油性固形ボディクリームを得た。 実施例20のボディクリームは、充填時の流動性に優れ、成型時の収縮が少なく、離型性に優れ、ワレによる不良が少なく、使用時の溶けのよさ、後肌の保湿感に優れたものであった。実施例21:油性固形ハンドクリーム(直径4.5cm、真球状)1.ポリエチレンワックス ※2 52.キャンデリラワックス ※24 33.ワセリン 554.ジメチルシリル化シリカ ※10 8.55.ミリスチン酸イソプロピル 残量6.イソノナン酸イソノニル 87.イソノナン酸トリデシル 88.ジブチルヒドロキシトルエン 0.059.香料 0.05※24:精製キャンデリラワックス SR−3(日本ナチュラルプロダクツ社製) (製法)A:成分1〜3及び5〜7を110℃まで加熱し、混合溶解する。B:Aに成分4、8、9を加え、均一に混合する。C:Bを110℃まで加熱して型に流し込み、冷却した後型から外し、直径4.5cmの真球状の油性固形ハンドクリームを得た。 実施例21のハンドクリームは、充填時の流動性に優れ、成型時の収縮が少なく、離型性に優れ、ワレによる不良が少なく、使用時の溶けのよさ、後肌の保湿感に優れたものであった。 本発明の球状油性固形化粧料は、均一で滑らかな球状の優れた外観を有し、両方の手のひらで包み、体温で溶かしながら表面を擦りとり、それを塗り伸ばして使用することにより、優れた後肌の保湿感が得られるものであり、新規な形態のハンドクリーム等として有用なものである。 次の成分(A)〜(C): (A)ワックス 5〜15質量% (B)半固形油 40〜80質量% (C)疎水化処理煙霧状無水ケイ酸 3〜10質量%を含有することを特徴とする直径2〜10cmの球状油性固形化粧料。 成分(A)が、(A1)融点90〜110℃のワックス及び(A2)融点60〜80℃のワックスを含有するものである請求項1記載の球状油性固形化粧料。 成分(B)が、(B1)炭化水素系半固形油及び(B2)エステル系半固形油を含有するものである請求項1または2記載の球状油性固形化粧料。 さらに成分(D)ショ糖脂肪酸エステルを含有するものである請求項1ないし3のいずれかの項記載の球状油性固形化粧料。 ハンドクリームである請求項1ないし4のいずれかの項記載の球状油性固形化粧料。 【課題】 冷却時の収縮を抑制するとともに離型性を向上して、ひび割れやはがれがなく、均一で滑らかな優れた球状の外観を有し、使用時の溶けが良好な球状の油性固形化粧料を提供すること。【解決手段】 次の成分(A)〜(C): (A)ワックス 5〜15質量% (B)半固形油 40〜80質量% (C)疎水化処理煙霧状無水ケイ酸 3〜10質量%を含有することを特徴とする直径2〜10cmの球状油性固形化粧料。【選択図】なし