タイトル: | 公開特許公報(A)_ペット用嗜好性向上剤 |
出願番号: | 2012151330 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 47/36,A61K 47/44,A61K 47/46,A61P 43/00,A61K 9/14,A61K 9/48 |
橋本 絢乃 平尾 栄志 JP 2014012652 公開特許公報(A) 20140123 2012151330 20120705 ペット用嗜好性向上剤 日本製粉株式会社 000231637 辻居 幸一 100092093 熊倉 禎男 100082005 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 山崎 一夫 100119013 市川 さつき 100123777 秋澤 慈 100156982 橋本 絢乃 平尾 栄志 A61K 47/36 20060101AFI20131220BHJP A61K 47/44 20060101ALI20131220BHJP A61K 47/46 20060101ALI20131220BHJP A61P 43/00 20060101ALI20131220BHJP A61K 9/14 20060101ALI20131220BHJP A61K 9/48 20060101ALI20131220BHJP JPA61K47/36A61K47/44A61K47/46A61P43/00 171A61K9/14A61K9/48 3 OL 11 4C076 4C076AA29 4C076BB01 4C076BB36 4C076DD67 4C076EE31 4C076EE38 4C076EE51 4C076EE56 4C076EE57 4C076EE58 4C076FF52 本発明はペット用嗜好性向上剤及びその使用方法に関する。詳細には、粉薬・錠剤の両方に対応することができる粉末状の嗜好性向上剤に関する。 犬や猫等のペットに薬やサプリメントを投与することは、ペットがそれらを異物として認識して抵抗することが多く、きわめて困難である。 その為、薬やサプリメントの嗜好性を上げるためのペット用嗜好性向上剤が提案されている。 従来、薬やサプリメント用に開発されている嗜好性向上剤はジャーキータイプが主であった。しかしながら、ジャーキータイプのものは物性が硬いためサイズの大きな錠剤を埋め込むと割れてしまう、また粉薬などの粉末状のものについては使用できないなどの問題があった。 また、食用材料で作成された固体状の担持体に、錠剤やカプセルを埋め込んで錠剤の嗜好性を向上させる試みが提案されている。例えば特許文献1にはペットフードと同様な材料で製造され、ペットフードと同様の形状をした、薬剤収容部を備える食用薬剤担持体が記載されている。しかしながら、このような食用薬剤担持体を使用する方法についても、使用できる錠剤の形状や大きさに制限がある、粉薬などの粉末状のものについては使用できないなどの問題があった。特開2011−224000 そこで本発明者等は上記課題を解決する為鋭意研究を重ねた結果、粉末エキスなどの嗜好性原料にα化澱粉及び油脂を配合することで錠剤・粉薬の両方に対応できる粉末状の嗜好剤を開発し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は以下を提供する。(1)(i)澱粉性原材料、(ii)粉末油脂及び固形油脂から選択される油脂並びに(iii)粉末エキスを含むペット用嗜好性向上剤であって、(i)澱粉性原材料がペット用嗜好性向上剤の全量に対し15〜50質量%含まれ、上記澱粉性原材料の60〜100質量%がα化澱粉であり、(ii)油脂が粉末油脂である場合に澱粉性原料100質量部に対して油脂が10〜200質量部含まれるかまたは油脂が固体油脂である場合に澱粉性原料100質量部に対して5〜100質量部含まれ、及び(iii)粉末エキスが、澱粉性原料100質量部に対して10〜250質量部含まれることを特徴とする、前記ペット用嗜好性向上剤。(2)粉薬をペット(人間を除く)に投与する方法であって、粉薬および前記(1)に記載のペット用嗜好性向上剤を、粉薬の質量aと嗜好性向上剤の質量bの割合a:b=1:1〜3で混合したもの投与することを特徴とする、前記方法。(3)固形剤をペット(人間を除く)に投与する方法であって、水及び前記(1)に記載のペット用嗜好性向上剤を、水の質量cと嗜好性向上剤の質量dの割合c:d=1:2〜5で混合して粘土状組成物を形成し、前記組成物で固形剤を包み込んでペット(人間を除く)へ投与することを特徴とする、前記方法。 本発明は油脂を配合することで粉末のままでもむせにくく、口腔内に付着しにくい物性を有し、粉薬の嗜好性向上に効果的である。また本発明はα化澱粉を配合することで加水すると伸びのある粘土状になることから、あらゆるサイズの錠剤を包み込むことができ、錠剤の嗜好性向上に効果的である。 本発明においてペットとは、愛玩動物のことで、楽しみの対象として飼育される動物をいう。ペットにはヒトは含まれない。動物は好ましくは哺乳類である。ペットの例としてはイヌやネコが挙げられる。 本発明において嗜好性とはペットが好んで食べるかどうかの指標であり、例えば限られた時間でペットが自発的に食べるかどうかで判断することができる。 本発明において粉薬とは粉末状の薬剤及びサプリメントを意味する。粉薬には散剤や顆粒、錠剤や丸薬及び食品等一定の形があるものを粉砕し粉末状にしたもの等も含まれる。 本発明において固形剤とは固形状の薬剤及びサプリメントを意味する。固形剤には錠剤、カプセル、丸薬及び食品等一定の形があるもの等も含まれる。 本発明で使用する澱粉性原材料は、澱粉を主成分とするものであれば特に限定なく使用でき、小麦粉、大麦粉、とうもろこし粉、はと麦粉、ライ麦粉、カラス麦粉末、米粉等の穀粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ等の澱粉類、およびこれらを原料とする加工澱粉類が使用でき、このうち1〜3種を組み合わせて使用することが好ましい。 本発明のペット用嗜好性向上剤において、澱粉性原材料はペット用嗜好性向上剤の全量に対し15〜50質量%、好ましくは23〜47質量%含まれる。15質量%未満では加水したときに固形剤を包みにくく不適である。50質量%を超えると粉薬と混合して投与する場合に口腔内に張り付いて飲み込みにくく不適である。 また、上記澱粉性原材料の60〜100質量%、好ましくは80〜100質量%がα化澱粉である。60質量%未満では加水した時に生地に伸展性がでにくいため、不適である。 本発明で使用する油脂としては、パーム油、菜種油、大豆油、コーン油のような植物油、牛脂、鶏脂、豚脂のような動物油を使用することができ、粉末油脂または固形油脂の形状で使用できる。粉末油脂とは油脂にたんぱく質や糖、乳化剤を加えて噴霧して粉末状にしたものであり、脂質含有量が50〜80%のものを使用することができる。また固形油脂とは常温で固体の油脂であり、例えばショートニングやマーガリンなどが挙げられる。1〜3種類の油脂を組み合わせて使用することが好ましい。 本発明のペット用嗜好性向上剤において、油脂類の配合比率は、粉末油脂では、澱粉性原料100質量部に対して10〜200質量部、好ましくは澱粉性原料100質量部に対して60〜120質量部である。10質量部未満では、粉薬と混合して投与する場合に口腔内に張り付いて飲み込みにくく不適である。200質量部を超えると加水した時に固形剤を包み込みにくく不適である。固形油脂では、澱粉性原料100質量部に対して5〜100質量部、好ましくは澱粉性原料100質量部に対して20〜40質量部である。5質量部未満では、粉薬と混合して投与する場合に口腔内に張り付いて飲み込みにくく不適であり、100質量部を超えると他の原料と均一に混合することができず、不適である。 本発明で使用する粉末エキスは、従来のペットフードに使用されている粉末状のエキスであれば特に限定はなく、例えば、鶏、カモ、うずら、七面鳥などの鳥類、牛、豚、馬、羊、ウサギなどを原料とした粉末状の畜類エキス、イワシ、マグロ、カツオ、サバ、タイ、ヒラメ、サケ、マス、カニ、エビ、イカ、タコなどを原料とした粉末状の魚介エキス、パン酵母、ビール酵母、トルラ酵母などを原料とした粉末状の酵母エキスなどを使用することが出来る。 本発明のペット用嗜好性向上剤において、粉末エキスの配合比率は、澱粉性原料100質量部に対して10〜250質量部である。10質量部未満では嗜好性が向上しないため不適であり、250質量部を超えると加水した時にべたついて固形剤を包み込みにくく不適である。 本発明のペット用嗜好性向上剤はその他の原料として、糖類、セルロース類、デキストリンおよび野菜粉末、果物粉末、粉乳等が使用でき、このうち1〜3種類の成分を組み合わせて使用することが好ましい。 本発明のペット用嗜好性向上剤において、その他の原料の配合比率は、澱粉性原料100質量部に対して0〜200質量部である。200質量部を超えると加水した時に錠剤を包み込みにくく不適である。 本発明のペット用嗜好性向上剤は、粉薬に使用する場合は、粉薬の質量aと嗜好性向上剤の質量bの割合a:b=1:1〜3で混合したものを投与することができる。 本発明のペット用嗜好性向上剤は、固形剤に使用する場合は、水の質量cと嗜好性向上剤の質量dの割合c:d=1:2〜5で混合して粘土状組成物を形成し、前記組成物で固形物を包み込んで投与することができる。 本発明のペット用嗜好性向上剤は、原料を計量、混合し、流動層造粒機等の造粒機を用いて水をバインダーとして造粒した後、乾燥することにより製造する。 流動層造粒装置については、一般的に見られる流動層造粒装置、攪拌流動層造粒装置、転動流動層造粒装置のいずれでも特に限定なく使用できる。 具体的には、以下の造粒条件で造粒を行う。流動層造粒装置としてフローコーターFLO−30型(フロイント産業(株)製)に水以外の全原料30kgを投入して4〜10分の前混合を行う。前混合終了後、スプレー時間20〜60秒、シェーキング時間2〜10秒を繰り返し行い、目標の水全量(10l)を少しずつ噴霧する。場合により、中間乾燥を数分設定する。このとき、給気温度は60〜85℃、水の添加速度は40〜350ml/分である。得られた造粒物を90℃で10分間乾燥した。 以下本発明を具体的に説明する為に実施例を示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。試験例1[嗜好性向上剤の製造] 各実施例及び比較例の原料の組成は添付の表1の通りである。なお、表1内の数値は質量部を示す。α化澱粉としては松谷化学工業(株)のマツノリンMまたはマツノリンAを使用した。デキストリンにはパインデックス#2やパインデックス#100などDE10以下のデキストリンを、セルロースは日本製紙ケミカル(株)のKCフロックW-200Gを使用した。 各原料を計量し、粉体混合した。次いで、粉体混合物を、流動層造粒機(フローコーターFLO−30型(フロイント産業(株)製))に投入して4〜10分の前混合を行った。前混合終了後、目標の水全量(10l)を添加速度40〜350ml/分で噴霧し、スプレー時間20〜60秒、シェーキング時間2〜10秒を繰り返し行い、給気温度60〜85℃で60分間造粒した。得られた造粒物を90℃で10分間乾燥した。試験例2[嗜好性向上剤の物性(口溶け)及び加水時の作業性の評価] 試験例1で得られた実施例1〜10および、比較例1〜8の嗜好性向上剤について、A.人が粉のまま摂取した場合の口溶け、B.加水して粘度状にする時の作業性(加水量は下記の表2の通りである)を、表3に示す評価基準により、実施例1を基準として10名の熟練のパネラーで評価し平均点を求めた。得られた結果を下記の表4に示す。 上記表4の結果から、実施例1〜10では、粉末での物性、加水時の作業性ともに優れた嗜好性向上剤が得られることが確認された。 一方、α化澱粉の割合が澱粉性原材料の60質量%よりも低い比較例1、澱粉性原材料100質量部に対し固形油脂の割合が100質量部より高い比較例2、及び粉末エキスの割合が200質量部より高い比較例6では粉末での口溶け及び加水時の作業性、特に加水時の作業性が劣っていた。また油脂の割合が低い比較例3及び粉末油脂の割合が200質量部より多い比較例4では粉末での口溶け及び加水時の作業性、特に粉末での口溶けが劣っていた。さらに澱粉性原材料の割合がペット用嗜好性向上剤の全量に対し50質量%より高い比較例7では粉末での口溶けが劣っており、15質量%より低い比較例8では加水時の作業性が劣っていた。試験例3[動物を用いた嗜好性試験] 嗜好性試験は、上記試験例2において嗜好性向上剤の粉末での物性(口溶け)及び加水時の作業性の評価の結果が総合的に良かった実施例5並びに実施例6及び比較例5について行った。 嗜好性試験はイヌ10頭、ネコ15頭を使用し、1日1回、テストサンプルを給与して10分間で食べるかどうかを評価した。試験は2日間実施し、述べ回数をカウントした。テストサンプルには、A.粉薬のみ、B.粉薬と発明品を質量比1:2の割合で混ぜたもの、C.錠剤のみ、D.嗜好剤を水で練って粘土状にして錠剤を包み込んだものの4種類を使用した。なお、粉薬・錠剤ともに、コンドロイチン配合サプリメントを使用した。結果を以下に示す。試験結果(イヌ)・粉薬と混合し、粉末状のまま与えた場合・加水して粘土状にし、錠剤を包み込んで与えた場合試験結果(ネコ)・粉薬と混合し、粉末状のまま与えた場合・加水して粘土状にし、錠剤を包み込んで与えた場合 上記表4の結果から、実施例の嗜好性向上剤についてはイヌ及びネコのいずれにおいても優れた嗜好性が得られることが確認された。 (i)澱粉性原材料、(ii)粉末油脂及び固形油脂から選択される油脂並びに(iii)粉末エキスを含むペット用嗜好性向上剤であって、(i)澱粉性原材料がペット用嗜好性向上剤の全量に対し15〜50質量%含まれ、上記澱粉性原材料の60〜100質量%がα化澱粉であり、(ii)油脂が粉末油脂である場合に澱粉性原料100質量部に対して油脂が10〜200質量部含まれるかまたは油脂が固体油脂である場合に澱粉性原料100質量部に対して5〜100質量部含まれ、及び(iii)粉末エキスが、澱粉性原料100質量部に対して10〜250質量部含まれることを特徴とする、前記ペット用嗜好性向上剤。 粉薬をペット(人間を除く)に投与する方法であって、粉薬および請求項1に記載のペット用嗜好性向上剤を、粉薬の質量aと嗜好性向上剤の質量bの割合a:b=1:1〜3で混合したもの投与することを特徴とする、前記方法。 固形剤をペット(人間を除く)に投与する方法であって、水及び請求項1に記載のペット用嗜好性向上剤を、水の質量cと嗜好性向上剤の質量dの割合c:d=1:2〜5で混合して粘土状組成物を形成し、前記組成物で固形剤を包み込んでペット(人間を除く)へ投与することを特徴とする、前記方法。 【課題】錠剤・粉薬の両方に対応できる、粉末状の新規ペット用嗜好性向上剤及びその使用方法を提供する。【解決手段】粉末エキスなどの嗜好性原料にα化澱粉を含有する澱粉性原材料及び粉末油脂又は固形油脂から選択される油脂を配合することで錠剤・粉薬の両方に対応できる粉末状の嗜好剤を開発し、本発明を完成するに至った。【選択図】なし