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タイトル:公開特許公報(A)_油系分散剤及び油性化粧料
出願番号:2012134737
年次:2013
IPC分類:A61K 8/86,A61K 8/37,A61K 8/06,A61K 8/89,A61K 8/19


特許情報キャッシュ

岡田 幸可 柳 正明 JP 2013121940 公開特許公報(A) 20130620 2012134737 20120614 油系分散剤及び油性化粧料 太陽化学株式会社 000204181 岡田 幸可 柳 正明 JP 2011246962 20111110 A61K 8/86 20060101AFI20130524BHJP A61K 8/37 20060101ALI20130524BHJP A61K 8/06 20060101ALI20130524BHJP A61K 8/89 20060101ALI20130524BHJP A61K 8/19 20060101ALI20130524BHJP JPA61K8/86A61K8/37A61K8/06A61K8/89A61K8/19 8 OL 14 4C083 4C083AA082 4C083AB00 4C083AB212 4C083AB232 4C083AB242 4C083AB382 4C083AB432 4C083AB442 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC122 4C083AC261 4C083AC342 4C083AC421 4C083AC422 4C083AD041 4C083AD172 4C083BB21 4C083CC02 4C083CC12 4C083CC19 4C083DD31 4C083DD39 4C083EE06 4C083EE07 4C083EE17 本発明は特定の組成を有するポリグリセリン分岐脂肪酸エステルからなる油系分散剤及びそれを含有する油系分散組成物及びそれを含有する化粧料に関するものである。 無機粉体は化粧品において顔料や紫外線防御効果など重要な役割を果たしている。無機粉体には、酸化チタンや酸化亜鉛に代表される白色顔料や酸化鉄などの有色顔料、タルクなどの体質顔料、パール顔料など様々な種類があり、化粧品に広範に用いられている。顔料以外にはベントナイトなどの多孔体などもある。無機粉体の分散媒には水系のものと油系のものがあるが、化粧品には、多くが油系分散で用いられ、化粧料の形態としては、ファンデーションや口紅、サンスクリーン等が挙げられる。無機粉体が油系分散で多く用いられる理由は、水相に分散させた状態であると皮膚に塗布した際に汗や色つきなどで無機粉体が落ちやすい、また皮膚に塗布した際に粉体の濡れ特性が変わり色味を変化させるなどの問題に起因する。無機粉体は総じて比重が高く、また微粒子であればあるほど粉体同士の凝集が生じ易いため、油剤中に安定に分散させることは困難である。分散状態が悪いと無機粉体スラリーの粘度が高くなりハンドリング性が悪い、ケーキングする、化粧料の使用感が悪い、メイク塗布時の顔料の色ムラが発生する、サンスクリーン塗布時の白浮きが発生するなどの問題が生じる。そのため、油剤中に無機粉体を凝集がなく、かつ経時安定に分散させる技術が望まれている。無機粉体の分散には一般にはサイドグラインダーミルなど強力な分散装置が用いられるが機械的手段のみでは十分な分散性は得られず、また経時的な凝集は防げない。無機粉体に予めシランカップリング剤などで表面処理を施し、分散効果を高める技術は多数知られている(例えば、特許文献1参照。)が、表面処理剤だけでは分散性は十分でない事も多い。また、低HLBの界面活性剤を配合し、分散効果を高める事も周知の技術である(例えば、特許文献2〜4参照。)。特許文献2には、界面活性剤としてジグリセリンのテトラ脂肪酸エステルを配合することが開示されているが、ジグリセリンのテトラ脂肪酸エステルは、臭気が強く、また耐熱性や経時変化臭に劣るなどの問題があった。特許文献3には、グリセリン脂肪酸エステル及びヒドロキシ脂肪酸縮合物などを配合する技術の開示が、特許文献4にはポリグリセリン分岐脂肪酸エステルを配合するとの技術開示があるが、何れも、無機粉体に対する界面活性剤の配合量は多く、化粧料の使用感や臭気に影響が出てしまう問題があった。また、その分散性向上効果は十分なものではなかった。 一方、ポリグリセリンの平均重合度が10以上であり、且つポリグリセリン中の環状体の占める割合が30%以下であるポリグリセリンを原料としたポリグリセリン脂肪酸エステルは、環状体が30%を超えるポリグリセリンを原料としたものに比べて親水性に優れるため、化粧料において乳化や可溶化などの機能に優れることは既に知られていた(例えば、特許文献5参照。)が、油中での無機粉体の分散性において、親水部の環状体の少ない構造が有効に働くことは、当該関係者にとっても想定外にあり、また、その優れた油系での粉体分散効果について報告された例もなかった。特開2008−37995号公報特開平10−251126号公報特開2006−1886号公報特開2005−239591号公報特開2008−106012号公報 本発明の目的は、特定の組成を有するポリグリセリン分岐脂肪酸エステルからなり、少量の添加でも油剤中における無機粉体の分散性を向上せしめる分散剤を提供することにある。本油系分散剤を無機粉体が分散した油系分散スラリー若しくは化粧料に配合することで油剤中における無機粉体の分散性を高め、無機粉体スラリーのハンドリング向上やケーキング防止、化粧料の使用感の改善及びメイク塗布時の無機顔料の色ムラ低減、サンスクリーン塗布時の白浮きを低減した化粧料等を提供することを可能とする。 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、請求項に示す特定の組成を有するポリグリセリン分岐脂肪酸エステルが、油剤中で無機粉体を分散させた分散スラリー、若しくは化粧料に配合することで、油剤中での無機粉体の分散性を著しく向上せしめることを見出し、本発明の完成に至った。 本発明の油系分散剤を用いることにより、無機粉体を配合した化粧料において使用感の改善及びサンスクリーン等の塗布時の白浮き低減や無機顔料の色ムラの少ない化粧料を提供することが可能となる。本発明における油系分散剤は、少量の添加で油剤中の無機粉体の分散性を向上させることができ、化粧料への使用感や臭気にあたえる影響が少ないという利点がある。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明における油系分散剤は、脂肪酸とポリグリセリンをエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする。脂肪酸には炭素数8〜22の分岐脂肪酸が用いられる。具体的には2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキジン酸、イソベヘン酸などが挙げられる。好ましくは炭素数18のイソステアリン酸、炭素数9のイソノナン酸が挙げられる。 ポリグリセリンには水酸基価から算出した平均重合度が3から100量体であり、且つポリグリセリン中の環状体の占める割合が30%以下であるポリグリセリンが用いられる。ポリグリセリン中の環状体の占める割合が30%を超えるポリグリセリンを用いた場合、少量の添加で十分な分散効果は得られない。ポリグリセリンの重合度は好ましくは6から20量体であり、さらに好ましくは10から15量体のポリグリセリンである。 ここで言うポリグリセリンの平均重合度とは、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度である。詳しくは、(式1) 及び(式2) から算出した平均重合度である。 (式1)平均重合度=(112.2×103−18×水酸基価)/(74×水酸基価−56.1×103) (式2)水酸基価=(a−b)×28.05/試料の採取量(g) a:空試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml) b:本試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml) 上記(式1)中の水酸基価は社団法人日本油化学会編「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法(I)1996年度版」に準じて(式2)で算出される。 ポリグリセリン中の環状物はLC/MSによって算出された値のことをいう。その分析条件は例えばイオン化モードについてはAPCI、negative、測定範囲は90から2000、カラムはTSKgel α−2500(7.8×300nm)、温度は40℃、溶離液は水:アセトニトリル=7:3、流量は0.8mL/分、注入量は10μL、100ppm、分析時間は20分間である。 本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは1.0〜6.0である。HLBが1.0未満のポリグリセリン脂肪酸エステルはエステル反応が平衡状態となるため、合成自体が困難である。また、HLBが6.0を超えると油剤への溶解性が悪くなり、十分な分散効果は得られない。 HLBとは親水性と親油性のバランスを示すものであり、本発明においては(式3)に示したアトラス法から算出したHLBを指す。 (式3)HLB=20×(1−S/A) S:ポリグリセリン脂肪酸エステルのけん化価 A:原料脂肪酸の中和価 本発明におけるポリグリセリン分岐脂肪酸エステルの製造法は特に限定するものではないが、例えば、原料となるポリグリセリンと分岐脂肪酸にアルカリ等の触媒を加え、常圧もしくは減圧下においてエステル化反応を行うことで製造することが可能である。 本発明の分散剤の添加量は、好ましくは分散組成物若しくは化粧料の0.1〜15重量%である。0.1重量%より少ない量では分散効果が発揮できない。15重量%より多い量ではそれ以上の分散効果は期待できず、また過剰量の界面活性剤が化粧料の使用感や安定性等に悪影響を及ぼすため、適当ではない。 本発明品における油剤としては、化粧品原料として使用される油剤の範疇であれば特に限定されるものではない。本発明品を添加することで分散効果が高まる油剤として好ましくはシリコーン油類や炭化水素油類である。シリコーン油類としてはジメチコン、ジフェニルジメチコン、シクロペンタシロキサン、トリシロキサン、PEG−11メチルエーテルジメチコン等の変性シリコーン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、アクリルシリコーン等、炭化水素油類としてはイソドデカン、スクワラン、セレシン、パラフィン、プリスタン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリン等である。化粧品原料として使用されるその他の油剤としては例えば、油脂としてはアボガド油、アマニン油、アーモンド油、オリーブ油、オレンジラフィー油、カカオ脂、カロット油、キューカンバー油、牛脂、ククイナッツ油、グレープシード油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シア脂、ダイズ油、タートル油、チョウジ油、茶油、月見草油、ツバキ油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、パーシック油、ハトムギ油、パーム油、パーム核油、ピーナッツ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、メドウフォーム油、綿実油、ヤシ油、ローズヒップ油、ナタネ油、乳脂、ハトムギ油、ホホバ油、ラベンダー油、卵黄油、ラノリン、ローズマリー油等、ロウ類としては、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ、ミツロウ、モンタンロウ、ライスワックス、ラノリンワックス等、脂肪酸類としてはアラキドン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、エルカ酸、オレイン酸、カプリン酸、カプリル酸、ステアリン酸、セバシン酸、パーム核脂肪酸、パルミチン酸、ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸、ヤシ油脂肪酸、ラノリン脂肪酸、リノール酸、リノレン酸等、高級アルコール類としてはイソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、オクチルアルコール、キミルアルコール、ステアリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、デシルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、ラノリンアルコール等、エステル油類としてはアジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジヘプチルウンデシル、アボカド油脂肪酸エチル、安息香酸アルキル、イソステアリルグリセリル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸コレステリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸トリデシル、イソパルミチン酸オクチル、イソペラルゴン酸オクチル、エチルヘキサン酸セチル、エルカ酸オクチルドデシル、エチルヘキサン酸セトステアリル、エチレングリコール脂肪酸エステル、エルカ酸オクチルドデシル、オクタン酸アルキル(C14,C16,C18)、オクタン酸イソセチル、オクタン酸セテアリル、オクタン酸ステアリル、オクタン酸セチル、オクタン酸イソステアリル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、オレイン酸フィトステリル、カプリン酸セチル、カプリル酸セチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ポリプロピレングリコールオリゴエステル、酢酸ラノリン、ジイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、ジペラルゴン酸プロピレングリコール、ステアリン酸ヘキシルデシル、炭酸ジアルキル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリオレイン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリオクタノイン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、乳酸ラウリル、乳酸オクチルドデシル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸イソステアリル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、リノール酸トコフェロール、リシノール酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル等、精油等が例示できる。 本発明の油系分散組成物において油剤は、シリコーン又は/及び無極性油の合計が全油剤の50重量%以上を含有することが望ましい。また、上記全油剤は油系分散組成物中に20〜94.9重量%であることが好ましい。油剤成分中でシリコーン又は/及び無極性油の合計が50重量%未満では分散効果が低い。油剤成分中でシリコーン又は/及び無極性油の合計が50重量%以上含有する油剤が20重量%未満では無機粉体に対して油剤が少ないため、分散剤が無機粉体へ吸着し難くなり、十分な分散効果は得られない。油剤成分中でシリコーン又は/及び無極性油の合計が50重量%以上含有する油剤が94.9重量%を超える場合では無機粉体に対して油剤が多く、油系分散組成物の粘度が低いため十分な分散効果が得られない。 本発明の化粧料において油剤は、シリコーン又は/及び無極性油の合計が全油剤の10重量%以上を含有することが望ましい。また、上記全油剤は油系分散組成物中に20〜94.9重量%であることが好ましい。油剤成分中でシリコーン又は/及び無極性油の合計が10重量%未満では分散効果が低い。油剤成分中でシリコーン又は/及び無極性油の合計が10重量%以上含有する油剤が20重量%未満では無機粉体に対して油剤が少ないため、分散剤が無機粉体へ吸着し難くなり、十分な分散効果は得られない。油剤成分中でシリコーン又は/及び無極性油の合計が10重量%以上含有する油剤が94.9重量%を超える場合では無機粉体に対して油剤が多く、十分な分散効果が得られない。 本発明における無機粉体としては、化粧品原料として使用される無機粉体の範疇であれば特に限定されるものではない。例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、カオリン、セリサイト、タルク、マイカ、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)および粒子径に特に制限はないが、一次粒子径が100nm以下の粒子が分散性向上の観点から好ましく用いられる。なおこれらの粉体は、従来公知の表面処理法によって事前に処理されていてもされていなくても構わない。例えば、表面処理法としては油剤処理、ポリアクリル酸処理、金属セッケン処理、アミノ酸処理、レシチン処理、無機化合物処理等が挙げられる。 本発明における無機粉体の量は油系分散組成物もしくは化粧料中に5〜65重量%であることが好ましい。5重量%より少ないと十分な分散効果が得られない。また、65重量%より多いと無機粉体に対して油剤が少ないため、分散剤が無機粉体へ吸着し難くなり、十分な分散効果は得られない。 本発明における油系分散組成物もしくは化粧料には、本発明の分散剤以外にも分散効果を有する界面活性剤を配合することができる。配合される界面活性剤としては、特に限定するものではないが、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが好ましく用いられる。本発明の分散剤とポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの併用により、多種油剤に対し、優れた分散効果を得ることができる。 本発明に使用するポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、ポリグリセリンと縮合リシノレイン酸とのエステル化物である。縮合リシノレイン酸とは、リシノレイン酸の脱水縮合物であり一般には2量体、3量体,4量体,5量体,6量体,7量体,8量体等が例示できる。本発明で使用するポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのHLBは7以下であることが好ましく、より好ましくは3以下である。市販品としては太陽化学(株)製の「サンソフトNo.818R−C」などが例示できる。HLBが7を超える場合は、本発明の分散剤と併用した際の分散効果は弱いものとなる。 本発明における分散剤を含有する化粧料の範疇は無機粉体と油剤を含むものであればよく、他に限定されるものではない。例えば、メイクアップ化粧品や皮膚洗浄剤、スキンケア製品、毛髪化粧品など幅広く適用が可能である。例えばサンスクリーン剤、下地化粧料、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、スティックファンデーション、コンシーラー、ルースパウダー、プレストパウダー、チーク、口紅、リップグロス、リップライナー、リップクリーム、リップバーム、リップスティック、アイブロウペンシル、アイブロウパウダー、ペンシルアイライナー、リキッドアイライナー、マスカラ、マスカラ下地、アイシャドウ、ネイルカラー、ネイルケア化粧品、パック、ピールオフパック、ふき取り・洗い流しパック、アイケア化粧品、リップケア化粧品、ヘアスタイリング剤、ヘアカラー、パーマ液等の毛髪化粧料等が例示できる。 また、本発明における化粧料に配合できる原料としては、本発明の効果が損なわれない範囲内で化粧品に通常用いられる成分を適宜任意に配合することができる。例えば、界面活性剤、多価アルコール、増粘剤、被膜形成剤、オイルゲル化剤、高分子樹脂粉末、色素、防腐剤、美白剤、紫外線吸収剤類、アミノ酸類、ビタミン類、pH調整剤、植物エキス類、香料、精油等を挙げる事が出来る。 本発明品であるポリグリセリン分岐脂肪酸エステルからなる分散剤の使用方法は、油剤に分散剤を溶解させた後、無機粉体を添加しミル等で分散させる方法、若しくは無機粉体の表面処理剤として使用する方法、本発明品を含んだ分散スラリーを化粧料に配合する方法、無機粉体を含有する化粧料を調製する際に添加する方法等があるが、特に限定されるものではない。 以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 平均重合度が10、環状物を9%含むポリグリセリン119.0gとイソステアリン酸581.0gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB2.5のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル645.2g(本発明品1)を得た。 実施例2 平均重合度が10、環状物を9%含むポリグリセリン149.1gとイソステアリン酸550.9gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB3.5のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル642.9g(本発明品2)を得た。 実施例3 平均重合度が10、環状物を9%含むポリグリセリン231.0gとイソステアリン酸469.0gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB6.0のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル634.8g(本発明品3)を得た。 実施例4 平均重合度が3、環状物を4%含むポリグリセリン150.5gとイソステアリン酸549.5gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB3.5のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル642.1g(本発明品4)を得た。 実施例5 平均重合度が6、環状物を11%含むポリグリセリン154.0gとイソステアリン酸546.0gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB3.5のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル641.1g(本発明品5)を得た。 実施例6 平均重合度が6、環状物を18%含むポリグリセリン152.6gとイソステアリン酸547.4gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB3.5のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル642.2g(本発明品6)を得た。 実施例7 平均重合度が12、環状物を9%含むポリグリセリン149.1gとイソステアリン酸550.9gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB3.5のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル640.9g(本発明品7)を得た。 実施例8 平均重合度が20、環状物を18%含むポリグリセリン157.5gとイソステアリン酸542.5gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB3.5のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル639.5g(本発明品8)を得た。 実施例9 平均重合度が100、環状物を24%含むポリグリセリン157.5gとイソステアリン酸542.5gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB3.5のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル638.9g(本発明品9)を得た。 実施例10 平均重合度が10、環状物を9%含むポリグリセリン171.5gとイソノナン酸528.5gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB3.5のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル637.2g(本発明品10)を得た。 比較例1 平均重合度が10、環状物を9%含むポリグリセリン262.5gとイソステアリン酸437.5gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB7.0のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル645.2g(比較品1)を得た。 比較例2 平均重合度が10、環状物を9%含むポリグリセリン353.5gとイソステアリン酸346.5gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB9.7のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル643.5g(比較品2)を得た。 比較例3 平均重合度が10、環状物を34%含むポリグリセリン151.9gとイソステアリン酸548.1gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB3.5のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル641.9g(比較品3)を得た。 比較例4 平均重合度が2、環状物を4%含むポリグリセリン154.0gとイソステアリン酸546.0gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB3.5のポリグリセリン分岐脂肪酸エステル645.2g(比較品4)を得た。 比較例5 平均重合度が10、環状物を9%含むポリグリセリン150.5gとカプリル酸412.3gとカプリン酸137.2gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB3.5のポリグリセリン直鎖脂肪酸エステル639.4g(比較品5)を得た。 比較例6 平均重合度が10、環状物を9%含むポリグリセリン150.5gとステアリン酸549.5gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB3.5のポリグリセリン直鎖脂肪酸エステル639.4g(比較品6)を得た。 比較例7 平均重合度が10、環状物を9%含むポリグリセリン150.5gとオレイン酸549.5gを反応フラスコに入れ、水酸化ナトリウム0.35gを加えた後、260℃でエステル化反応を行うことにより、HLB3.5のポリグリセリン直鎖脂肪酸エステル639.4g(比較品7)を得た。 試験例1 300mlのステンレスビーカーに本発明品1〜10及び比較品1〜7のいずれかを0.5gとシクロペンタシロキサンを66.5g秤量し、60℃で加熱混合後、30℃まで冷却した。そこに親油性表面処理微粒子酸化チタン(MT−100TV、テイカ(株)製)を33.0g添加し、ディスパーミキサーを用いて5000rpm、10分間分散させて分散スラリーを得た。 粘度の測定は(株)レオテック製のB型粘度計を用い、30秒後の粘度(mPa・s)を測定した。その結果を表1及び2に示す。 表1及び2の結果から明らかなように本発明品1〜10を添加した分散液の粘度は、総じて比較品を添加した分散液の粘度に比べて低く、本発明品が油剤中の無機粉体の分散性向上に優れた効果を示した。 試験例2 300mlのステンレスビーカーに本発明品1〜10及び比較品1〜7のいずれかを5gと、流動パラフィンを55.0g秤量し、80℃で加熱混合後、30℃まで冷却した。そこに親油性表面処理微粒子酸化チタン(MT−100TV、テイカ(株)製)を40g添加し、ディスパーミキサーを用いて5000rpm、10分間分散させて分散スラリーを得た。 粘度の測定は(株)レオテック製のB型粘度計を用い、30秒後の粘度(mPa・s)を測定した。その結果を表3及び4に示す。 表3及び4の結果から明らかなように本発明品1〜10を添加した分散液の粘度は、総じて比較品を添加した分散液の粘度に比べて低く、本発明品が油剤中の無機粉体の分散性向上に優れた効果を示した。 試験例3〜5 試験例1、2と同様に無機粉体に親油性表面処理微粒子酸化チタン(MT−100TV、テイカ(株)製)を用い、本発明の分散剤とポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを併用し、各種油剤を分三倍とする分散液を調製し、粘度測定を実施した。詳細の分散液組成と分散液の粘度の結果は表5の通りである。 ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルには、太陽化学(株)製「サンソフトNo.818R−C」を、油剤には、試験例3として、シクロペンタシロキサン、試験例4に流動パラフィン、試験例5にエステル油として、パルミチン酸エチルヘキシルを用いた。 表5の結果から明らかなように本発明品1とポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを併用した系では、全ての油剤で分散液の粘度が低く、本発明品とポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの併用が種々の油剤において無機粉体の分散性向上に優れた効果を示した。 実施例11 サンスクリーンクリームの調製 本発明品2の分散剤を配合して、下記組成のサンスクリーンクリームを調製した。 (A) 1.本発明品2 3.0g 2.ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−5 0.6g 3.シクロペンタシロキサン 30.0g 4.ミリスチン酸イソプロピル 30.0g 5.軽質流動イソパラフィン 19.5g 6.親油性表面処理微粒子酸化チタン 15.0g 7.親油性表面処理微粒子酸化亜鉛 15.0g (B) 8.1,3−ブチレングリコール 15.0g 9.硫酸マグネシウム 1.5g 10.精製水 170.4g (B)を量り込み、70〜75℃まで加熱撹拌を行った。(A)の成分6、7以外を量り込み、70℃〜75℃まで加熱撹拌を行った後、成分6、7を入れ、手撹拌で軽くなじませた後ディスパーミキサーで撹拌した。ディスパーミキサーで撹拌しながら(A)に(B)を加え撹拌した。手撹拌で30℃付近まで水冷し本発明品11を得た。この本発明品11は伸びが良く、肌に塗り伸ばした際の白浮きも少なかった。 比較例8 発明品2の代わりに比較品1を用い、同様の方法で上記組成のサンスクリーンクリームを調製した。その使用感は伸びが悪く、肌に塗り伸ばした際の白浮きが目立った。 実施例12 油性ファンデーションの調製 本発明品7の分散剤を配合して、下記組成の油性ファンデーションを調製した。 (A) 1.本発明品7 3.0g 2.流動パラフィン 69.0g 3.パルミチン酸イソプロピル 30.0g 4.ワセリン 30.0g 5.マイクロクリスタリンワックス 18.0g 6.ミツロウ 6.0g 7.固形パラフィン 9.0g (B) 8.二酸化チタン 67.0g 9.カオリン 23.0g 10.タルク 30.0g 11.ベンガラ 3.0g 12.黄酸化鉄 9.0g 13.黒酸化鉄 0.6g (A)を量り込み、85℃まで加熱して溶解した。そこに十分に混合粉砕した(B)を攪拌しながら添加した。これをディスパーミキサーで分散した。脱気後70℃で平底のアルミシャーレ容器に流し込み冷却することで本発明品12を得た。この本発明品12は伸びが良く、使用後の感触も良いものであった。 比較例9 発明品7の分散剤の代わりに比較品6を用い、同様の方法で上記組成の油性ファンデーションを調製した。その使用感は伸びが悪く、使用後の感触も悪かった。 本発明を添加することにより、油剤中の無機粉体の分散性を向上させることができる。そのため本発明の油系分散剤を用いることにより無機粉体スラリーのハンドリング向上やケーキング防止、化粧料の使用感の改善、サンスクリーン塗布時の白浮き低減や無機顔料の色ムラの少ない化粧料を提供することが可能となる等、産業上貢献大である。 ポリグリセリンの平均重合度が3〜100であり、且つポリグリセリン中の環状体の占める割合が30%以下であることを特徴とするポリグリセリンと炭素数8〜22の分岐脂肪酸をエステル化したHLB1.0〜6.0のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする油系分散剤。 ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの平均重合度が10〜15である請求項1記載の油系分散剤。 ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸がイソステアリン酸及び/又はイソノナン酸である請求項1又は2記載の油系分散剤。 請求項1〜3いずれか記載の油系分散剤が0.1〜15重量%、油剤成分中でシリコーン又は/及び無極性油の合計が50重量%以上を含有する油剤成分が20〜94.9重量%、無機粉体が5〜65重量%を含有する油系分散組成物。 請求項1〜3いずれか記載の油系分散剤を0.1〜7.5重量%とポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル0.1〜7.5重量%を含有し、油剤成分が20〜94.8重量%、無機粉体が5〜65重量%を含有する油系分散組成物。 請求項4記載の油系分散組成物を含有する化粧料。 請求項1〜3いずれか記載の油系分散剤が0.1〜15重量%、油剤成分中でシリコーン又は/及び無極性油の合計が10重量%以上を含有する油剤成分が20〜94.9重量%、無機粉体が5〜65重量%を含有することを特徴とする化粧料。 請求項1〜3いずれか記載の油系分散剤を0.1〜7.5重量%とポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル0.1〜7.5重量%を含有し、油剤成分が20〜94.8重量%、無機粉体が5〜65重量%を含有することを特徴とする化粧料。 【課題】無機粉体は比重が高く、粉体同士の凝集等の問題が生じるため、油剤中に無機粉体を安定に分散させることは困難であり、少量の添加で無機粉体を安定に分散させる油系分散剤が望まれている。すなわち、本発明では、少量の添加で高い分散効果を有する分散剤及び、使用感の改善された化粧料、塗布時の白浮きを低減したサンスクリーンや無機顔料の色ムラの少ない化粧料を提供することを目的とする。【解決手段】ポリグリセリンの平均重合度が3〜100であり、且つポリグリセリン中の環状体の占める割合が30%以下であることを特徴とするポリグリセリンと炭素数8〜22の分岐脂肪酸をエステル化したHLB1.0〜6.0のポリグリセリン分岐脂肪酸エステルを含有することを特徴とする油系分散剤を化粧料に添加することにより上記課題を解決する。【選択図】なし


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