生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_プレロータスエリンギの品種識別
出願番号:2012129448
年次:2013
IPC分類:C12Q 1/68,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

原田 慎嗣 山崎 眞希 稲冨 聡 JP 2013252095 公開特許公報(A) 20131219 2012129448 20120607 プレロータスエリンギの品種識別 ホクト株式会社 390034142 稲冨 聡 100177275 原田 慎嗣 山崎 眞希 稲冨 聡 C12Q 1/68 20060101AFI20131122BHJP C12N 15/09 20060101ALN20131122BHJP JPC12Q1/68 AC12N15/00 A 8 21 OL 15 4B024 4B063 4B024AA07 4B024CA04 4B024CA20 4B063QA01 4B063QQ42 4B063QR08 4B063QR62 4B063QS25 本発明は、複数のプレロータスエリンギの品種を識別するにあたり、任意の遺伝子座のSSR配列を増幅するためのプライマーセットの作成方法、当該作成方法により作成されたプライマーセット及び当該プライマーセットを利用したプレロータスエリンギの品種識別方法に関するものである。 プレロータスエリンギ(学名Pleurotus eryngii (Dcex Fr.) Quel:以下エリンギと呼ぶ)は、セリ科の2年生草本の根に寄生して発生する特徴を有し、東ヨーロッパ、中央アジアなどに分布するヒラタケ属のきのこである。エリンギは、日本には自生していないが、平成5年ごろから日本国内でも栽培が開始され、現在では主要な特用林産物の一つに成長した。実用的な品種も増加したことから適正な品種の流通を確保するため品種識別の確立が必要である。 きのこのゲノム配列を利用した品種識別は、例えばシイタケの品種識別が知られている(特許文献1)が、この方法は、rRNA遺伝子のスペーサー領域の高頻度重複配列や短い繰り返し配列等の菌株間差について、その塩基配列のシーケンスをすることで品種を識別する方法であって、シーケンスをしなければならないことで品種識別までに時間がかかり、また、シーケンスをするまでの過程が煩雑なため、別のテンプレートDNAが混入してしまい、試験結果に影響が出てしまうことが頻繁にあるという問題があった。 一方、エリンギの品種識別については、2塩基の繰り返し配列のSSRをマーカーにした技術が確立されている(特許文献2、特許文献3、非特許文献1)が、2塩基の繰り返し配列であると、フラグメント解析において誤差を生じることがあり、識別したい複数の品種が近縁である場合には、品種識別の精度が低下するという欠点があった。最近では、幾つかの植物で好ましい品種識別方法として4塩基以上のSSRマーカーを利用した品種識別方法が開発されてきている(例えば、特許文献4、特許文献5)。しかし、これらのマーカーはその植物のゲノムを利用するため、植物種によって特異的であり、エリンギに利用できないという問題があった。特開2000−325084号公報特開2005−261228号公報特開2008−167761号公報特開2011−211944号公報特開2012−55253号公報北村眞希ら、エリンギにおける品種識別のためのSSRマーカー、日本きのこ学会誌、18(1)、7−12(2010) 本発明が解決しようとする課題は、エリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた塩基配列から4塩基ないし6塩基のSSRを見いだし、そのSSRを含む70塩基ないし600塩基の領域を増幅するためのプライマーを設計することにより、エリンギの品種識別を迅速かつ高精度に行うことができる技術を提供することである。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、エリンギのオルガネラを含む全ゲノムを解読し、4塩基ないし6塩基の反復配列のSSRを見いだして、当該SSRの両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列から相補的な塩基配列によりプライマーセットを作成する方法、当該作成方法により作成したプライマーセット及び当該プライマーセットを用いることでエリンギを識別する品種識別方法を発明した。 すなわち、請求項1に記載の発明は、エリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた4塩基ないし6塩基のSSRの両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列を選択してなるプライマーセットの設計方法である。 請求項2に記載の発明は、エリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた4塩基ないし6塩基のSSRの両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列を選択するにあたり、Tmが52ないし70になるか又は、最適アニーリング温度が52℃ないし70℃になるように塩基配列の連続数を決定するという特徴がある。 請求項3に記載の発明は、エリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた4塩基ないし6塩基のSSRの両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列を選択してなるプライマーセットの設計方法により設計されたプライマーセットであるか又は、エリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた4塩基ないし6塩基のSSRの両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列を選択するにあたり、Tmが52ないし70になるか又は、最適アニーリング温度が52℃ないし70℃になるように塩基配列の連続数を決定する方法により設計されたプライマーセットであって、エリンギのオルガネラを含む全ゲノムのうち、4塩基ないし6塩基の反復配列のSSR領域を増幅することができるという特徴を有するプライマーセットである。 請求項4に記載の発明は、エリンギのオルガネラを含む全ゲノムのうち、塩基配列がAAAG、AACC、ATCC、CTTT、AAGG、GAGT、CTGT又はCCCGからなる4塩基反復配列のSSR領域を増幅することができるプライマーセットであって、エリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた当該4塩基反復配列のSSRの両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列を選択してなるプライマーセットの設計方法により設計されたプライマーセットであるか又は、エリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた当該4塩基反復配列のSSRの両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列を選択するにあたり、Tmが52ないし70になるか又は最適アニーリング温度が52℃ないし70℃になるように塩基配列の連続数を決定する方法により設計することでエリンギの品種識別に使用することができる特徴を有する。請求項5に記載の発明は、エリンギのオルガネラを含む全ゲノムのうち塩基配列がAGATG、CTTTT、ATGGT又はATTTTからなる5塩基反復配列のSSR領域を増幅することができるプライマーセットであって、エリンギの、オルガネラを含む全ゲノム上にコードされた当該5塩基反復配列のSSRの両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列を選択してなるプライマーセットの設計方法により設計されたプライマーセットであるか又は、エリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた当該5塩基反復配列のSSRの両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列を選択するにあたり、Tmが52ないし70になるか又は最適アニーリング温度が52℃ないし70℃になるように塩基配列の連続数を決定する方法により設計することでエリンギの品種識別に使用することができる特徴を有する。 請求項6に記載の発明は、エリンギのオルガネラを含む全ゲノムのうち、塩基配列がCGTGTT、AACGCC、ACCACG、GCCGTT、AAACCC、GCTGGT、AGCAGG又はCTGCGTからなる6塩基反復配列のSSR領域を増幅することができるプライマーセットであって、エリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた当該6塩基反復配列のSSRの両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列を選択してなるプライマーセットの設計方法により設計されたプライマーセットであるか又は、エリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた当該6塩基反復配列のSSRの両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列を選択するにあたり、Tmが52ないし70になるか又は最適アニーリング温度が52℃ないし70℃になるように塩基配列の連続数を決定する方法により設計することでエリンギの品種識別に使用することができる特徴を有する。 請求項7に記載の発明は、エリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた4塩基ないし6塩基の反復配列の両端からそれぞれ外側へ500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列であって、その反復配列の前及び後から各1配列ずつを選択して設計されたプライマーセットを使用して、識別対象のエリンギの全ゲノムに対してPCR法によりDNAの増幅を行い、その増幅産物の多型を比較することでエリンギの品種の識別ができるという特徴を有する。 請求項8に記載の発明は、エリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた4塩基ないし6塩基のSSRの両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列を選択するにあたり、Tmが52ないし70になるか又は最適アニーリング温度が52ないし70℃になるように塩基配列の連続数を決定する方法により得られたプライマーセットを使用して、識別対象のエリンギの全ゲノムに対してPCR法によりDNAの増幅を行い、その増幅産物の多型を比較することでエリンギの品種の識別ができるという特徴を有する。 本発明によれば、エリンギのSSRマーカー領域を増幅することができるプライマーセット及びそのプライマーセットを用いてエリンギのSSRマーカーを比較してなる品種識別方法が提供される。さらに、エリンギの品種ごとにおいてSSRマーカーの増幅断片長の多型との関連づけを行うことで、多数のエリンギ品種の品種識別を網羅的かつ容易にすることができる。そのため、優良な新品種の保護、コピー品種の不正な輸入の防止及び品種の適正な流通の確保のための有効な手段となり、エリンギのブランド化やエリンギを利用した産業の発達に貢献する。 請求項1にかかる発明は、エリンギの全ゲノム上にコードされた塩基配列からSSR領域を特定したことにより、エリンギの品種識別に適したプライマーセットを容易に設計できることを可能とした。なお、エリンギの全ゲノムのうち、4塩基ないし6塩基の反復配列を本明細書の図1ないし図20に開示した。また、SSRの塩基配列を4塩基ないし6塩基の反復配列としたことで、そのマーカー領域について当該プライマーセットを使用して増幅した場合の増幅産物において誤差が生じることがほとんどなく、精度の高いエリンギの品種識別を可能とした。 請求項2にかかる発明は、プライマーの設計段階でアニーリング温度が決まるので、PCRを行うときの温度条件を設定するための試行錯誤をする必要がほとんどなくなる。また、複数のプライマーセットのアニーリング温度条件を同一にすることができるため、本願のプライマーセットを用いてエリンギの全DNAに対してPCRを行うときに、複数のプライマーセットを同時に使用して効率よくPCRを行うこともできる。 請求項3ないし請求項6にかかる発明のプライマーを用いれば、エリンギの品種識別が高い精度で行うことができる。また、請求項3ないし請求項6にかかる発明のプライマーセットのうち複数のプライマーセットを用いることでより精度を高めたエリンギの品種識別も可能となる。また、請求項4ないし請求項6にかかる発明は、SSR領域を具体的に特定したことにより、品種識別が可能なマーカーの領域が特定され、それに対応したプライマーセットも開示されているため、特にプライマーセットを設計する必要がないという利便性がある。 請求項7及び請求項8にかかる発明は、エリンギの品種識別をより効率よくさらに精度が向上されたという効果がある。SSRマーカーPleMS1の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS2の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS3の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS4の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS5の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS6の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS7の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS8の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS9の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS10の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS11の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS12の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS13の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS14の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS15の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS16の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS17の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS18の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS19の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。SSRマーカーPleMS20の周辺領域の塩基配列を示す図である(太文字は反復配列、下線はプライマーの設計のための塩基配列を示す。)。エリンギ30品種におけるSSRマーカーの増幅断片長の違いを示す図である。 本発明は、エリンギの品種識別方法、当該方法に用いるプライマーセット及び当該プライマーセットの作成方法を提供するものである。 本願の発明を実施する形態として以下に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。 エリンギのオルガネラを含む全ゲノムの塩基配列を解読し、4塩基ないし6塩基の反復配列のSSR領域を含む塩基配列を抽出する方法について例示する。 本実施例では、農林水産省で品種登録されているホクトPLE−2号(品種登録番号:第10615号)の菌糸体を使用した。当該菌糸体を凍結乾燥させホモジナイザーで粉末にしたのち、当該粉末5gをDNA抽出キット(Plant Geno DNA Template Kit : Geno Technology社製)を使用してDNAを抽出した。 抽出したDNAのうち2本鎖のDNAを500μg使用して、シーケンサー(Genome Sequencer FLX+System : Roche社製)を用いて、ロシュGSFLX解析を行った。その結果、39メガ塩基対の塩基配列を解読した。解読した塩基配列の中から品種識別に利用可能と考えられる4塩基ないし6塩基の反復配列のSSRを含む周辺領域を図1ないし図20に示した。 次にプライマーセットの設計について、図1に示したSSRマーカー名PleMS1を例に挙げて説明する。 図1に太字で示したSSRマーカーの反復モチーフは、(AAAG)が10回の反復であり、配列表1の196番から235番に該当する。次にそのモチーフの前後において連続した15塩基以上の配列を任意に選択した。当該任意に選択した配列はプライマーがアニーリングする位置に該当する。任意に連続した15塩基以上の配列の位置を選択するにあたり、当該任意の塩基配列間の塩基数が600塩基対以内にすることが好ましく、より好ましくは300塩基対以内にするのがよい。これは、品種識別を実施するにあたり、PCR産物の蛍光発色をDNAシーケンサーで解析するときに反復モチーフの繰り返し回数の差が確認しやすく、大幅に断片長が異なる品種間でも300塩基対以内の差であれば検出が可能となるからである。本実施例では、SSRマーカーの反復モチーフの前側(フォワード)から配列表1の150番から169番目までの20塩基配列を選択し、SSRマーカーの反復モチーフの後ろ側(リバース)は配列表1の286番から305番まで20塩基配列を選択した。そして、配列表の150番からモチーフ配列に向かって169番までの塩基配列及び305番からモチーフ配列に向かって286番までの塩基配列に相補的な配列のプライマーセットを設計した。 次にTm又はアニーリング温度の値を設定してプライマーセットを設計する方法について具体的に説明する。 Tmとは、Melting temperatureの略であり、DNAの二本鎖が熱変性して一本鎖になる温度のことをいう。また、アニーリング温度とは、鋳型DNAとオリゴヌクレオチドが2本鎖を形成してプライミング反応が起こるときの温度のことをいう。そして、一般的にはTmの値はアニーリング温度の値として扱われている。Tm又はアニーリング温度の値は数1の計算方法で与えることができる。 (式中、G、C、A、Tは、15塩基以上の任意の連続した塩基配列中に含まれるG、C、A又はTの個数であり、nはG、C、A及びTの総数を表す。) 本実施例ではjPCRソフト(PrimerDigital Ltd)を用い、Tmを52ないし70に設定して、G、C、A又はTの値を計算しプライマーを設計するための配列を選択した。なお、Tmを設定するためのソフトは、他にも多数存在し、インターネット上で検索してダウンロードすることもできる。 本発明者らは、実施例2及び3の方法により20セットのプライマーの設計を行った。上記実施例に沿って設計したプライマーとTmとを表1に示した。 表1に示したTmは、56.1から59の値であるが、このようにしたのはPCRを行うときにTmの値が近似していれば、同じ温度サイクルの条件で良いという利点があり、すなわち複数のプライマーセットを用いて同時にPCRを行うことができるからである。そして、PCRにおいて所望の温度サイクルがある場合には、任意にTmを変更したプライマーセットを図1ないし図20に示した領域内で設計することができる。 例えば、図2に示す領域においてTmを67.3と66.9に設定するとフォワードは262番から289番までの塩基配列及びリバースは439番から464番までの塩基配列に相補的な配列でプライマーセットを設計することができ、また同領域においてTmを52.3と51.9に設定するとフォワードは50番から66番までの塩基配列及びリバースは332番から347番までの塩基配列に相補的な配列でプライマーセットを設計することができる。 次に、配列表25ないし配列表34に示した6種類のプライマーセットを用いてエリンギの品種識別について具体的に説明する。なお、本実施例においては、6種類のSSRマーカーを使用し30種類のエリンギの識別を行ったが、本願で開示された他のSSRマーカーも組み合わせてPCRを行えば、さらに増幅産物の多型が多様化しより多くのエリンギの品種を識別することや品種識別の精度を向上させることも可能である。 本実施例では30品種のエリンギの菌糸体を使用した。これらの30品種のエリンギの菌糸体からDNAを抽出した。DNAの抽出は、菌糸体以外にも子実体からも抽出することができる。また、抽出されたDNAの損傷が激しくなければ、品種識別に利用が可能なため、子実体の加工品などからも抽出をすることができる。例えば、エリンギの漬け物や、惣菜、瓶詰め、缶詰、水煮等が挙げられる。DNAの抽出は、実施例1で説明した方法と同様に行った。 本発明でのPCR条件を以下に説明する。なお、本実施例におけるそれぞれプライマーセットのPCR条件はすべて同一であり、下記の具体例において、本実施例で用いたすべてのプライマーセットを使用してDNA増幅産物を得ることができるが、PCR条件は、本実施例の条件に限定されるものではない。 使用した試薬は、AmpliTaq Gold 360 Master Mix(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)(以下、PCR試薬と呼ぶ)を使用した。また、エリンギから抽出したDNA(以下、DNA溶液と呼ぶ)は50〜100μg/mlの濃度に調整した。6種類のプライマーセットはライフテクノロジーズジャパン株式会社に合成を依頼し、10μMに調製したフォワードプライマー及びリバースプライマーが混合されたSSRプライマー溶液を使用した。30品種のエリンギから抽出されたそれぞれのDNA溶液は、それぞれPCR試薬12.5μl、DNA溶液1μl、SSRプライマー溶液1μl及び滅菌超純水10.5μlで混合した後、サーマルサイクラー(BioRad社 CFX96)で94℃で10分間DNAを変性させた。その直後、PCR操作として、94℃で30秒その後連続的に58℃で30秒さらに連続的に72℃で30秒のサイクルを40回繰り返し、その後72℃で7分間最終伸長反応をさせ、PCR産物を得た。 上記PCR操作により得られたPCR産物は、キャピラリー電気泳動法により増幅断片長を確認した。3130ジェネティックアナライザ(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いて、50cmのキャピラリー及びポリマーはPOP7を使用し、フラグメント解析を行った。フラグメント解析の結果から増幅断片長の違いを確認した。30品種におけるそれぞれのSSRマーカーの増幅断片長の違いを図21に示した。 図21に示したようにSSRマーカーごとに品種特有の多型がみられ、6種類のSSRマーカーをくみあわせて多型を品種ごとに比較した場合には、品種間でSSRマーカーがすべて一致する品種は一つもなかった。つまり、本実施例ので用いた6種類のSSRマーカーによって、30品種のエリンギを識別することができた。 なお、エリンギの品種のうちMH006062は受託番号FERM P−15292として、MH006074は受託番号FERM P−15293として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センターに寄託してある。また、MH006062及びMH006074は、ホクトPLE−2号の親品種であり、MH006381及びMH006380は同じ親から交配により作出された菌株である。図21の他の菌株は野生種である。つまり、本実施例によれば、親子関係にあっても兄弟関係にあっても品種を識別することが可能であり、野生種を考慮すれば増幅断片長に多型が存在することで広範囲のエリンギ種において品種識別が可能であることが示された。 本発明は、農業及び食品分野において、エリンギの品種識別方法として有用である。 MH006062 FERM P−15292 MH006074 FERM P−15293プレロータスエリンギの、オルガネラを含む全ゲノム上にコードされた4塩基ないし6塩基の反復配列の両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列であって、その反復配列の前及び後から各1配列ずつを選択したプライマーセットを設計する事を特徴とするプレロータスエリンギの品種識別に使用するプライマーセットの設計方法。プレロータスエリンギの、オルガネラを含む全ゲノム上にコードされた4塩基ないし6塩基の反復配列の両端からそれぞれ外側へ約500塩基以内にある15塩基以上の任意の連続した塩基配列が、数1においてTmが52ないし70の間に収まるように設計されたことを特徴とする請求項1記載のプライマーセットの設計方法。 (ただしG、C、A又はTは、15塩基以上の任意の塩基配列中に含まれる各々の個数を示し、nはG、C、A及びTの総数とする。)プレロータスエリンギの品種識別に使用するプライマーセットであって、エリンギのオルガネラを含む全ゲノムのうち、4塩基ないし6塩基反復配列のSSR領域を増幅することができる請求項1又は請求項2に記載された方法で設計されたプライマーセット。プレロータスエリンギの品種識別に使用するプライマーセットであって、エリンギのオルガネラを含む全ゲノムのうち、4塩基反復配列がAAAG、AACC、ATCC、CTTT、AAGG、GAGT、CTGT又はCCCGのSSR領域を増幅することができる請求項1又は請求項2に記載された方法で設計されたプライマーセット。プレロータスエリンギの品種識別に使用するプライマーセットであって、エリンギのオルガネラを含む全ゲノムのうち、5塩基反復配列がAGATG、CTTTT、ATGGT又はATTTTの SSR領域増幅することができる請求項1又は請求項2に記載された方法で設計されたプライマーセット。プレロータスエリンギの品種識別に使用するプライマーセットであって、エリンギのオルガネラを含む全ゲノムのうち、6塩基反復配列がCGTGTT、AACGCC、ACCACG、GCCGTT、AAACCC、GCTGGT、AGCAGG又はCTGCGT のSSR領域を増幅することができる請求項1又は請求項2に記載された方法で設計されたプライマーセット。プレロータスエリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた4塩基ないし6塩基の反復配列の両端からそれぞれ外側へ500塩基以内にある15塩基以上の連続した任意の塩基配列であって、その反復配列の前及び後から各1配列ずつを選択して設計されたプライマーセットを使用して、識別対象のプレロータスエリンギの全ゲノム上からPCR法によりDNAの増幅を行い、その増幅産物の多型を確認することで品種の識別を行うエリンギの品種識別方法。請求項2に記載された方法で設計されたプライマーセットを使用して、プレロータスエリンギの品種ごとにそのオルガネラを含む全ゲノムに対してPCR法によりDNAの増幅を行い、その増幅産物の多型を比較することで品種の識別を行うプレロータスエリンギの品種識別方法。 【課題】プレロータスエリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた塩基配列から4塩基ないし6塩基のSSRを見出し、そのSSRをマーカーとしてプレロータスエリンギの品種識別を迅速かつ高精度に行うことができる技術を提供すること。【解決手段】プレロータスエリンギのオルガネラを含む全ゲノム上にコードされた塩基配列のうち4塩基ないし6塩基のSSRマーカーを増幅できるプライマーセットを複数用いて、検査対象のプレロータスエリンギの全ゲノムに対してPCRによりSSRマーカーを増幅し、品種間での多型を比較することでプレロータスエリンギの品種を識別する。【選択図】図21配列表


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