生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_化粧料含有物品
出願番号:2012129008
年次:2013
IPC分類:A61K 8/49,A61K 8/34,A61K 8/86,A61Q 7/00,A61J 1/05


特許情報キャッシュ

青野 恵 廣島 俊輔 柿澤 恭史 廣畠 利江 JP 2013253028 公開特許公報(A) 20131219 2012129008 20120606 化粧料含有物品 ライオン株式会社 000006769 志賀 正武 100064908 高橋 詔男 100108578 鈴木 三義 100094400 川越 雄一郎 100152272 加藤 広之 100153763 青野 恵 廣島 俊輔 柿澤 恭史 廣畠 利江 A61K 8/49 20060101AFI20131122BHJP A61K 8/34 20060101ALI20131122BHJP A61K 8/86 20060101ALI20131122BHJP A61Q 7/00 20060101ALI20131122BHJP A61J 1/05 20060101ALI20131122BHJP JPA61K8/49A61K8/34A61K8/86A61Q7/00A61J1/00 311 3 OL 24 4C047 4C083 4C047AA05 4C047BB12 4C047BB16 4C047BB17 4C047CC04 4C047CC30 4C047GG02 4C047GG40 4C083AC101 4C083AC102 4C083AC182 4C083AC302 4C083AC442 4C083AC851 4C083AC852 4C083AD042 4C083AD532 4C083BB48 4C083CC37 4C083DD23 4C083EE01 4C083EE06 4C083EE22 本発明は、ピロクトンオラミンを含む化粧料が容器に充填された化粧料含有物品に関する。 従来、ピロクトンオラミンや6−ベンジルアミノプリン等の有効成分を含む育毛剤や育毛シャンプー、コンディショナーなど化粧料は、ガラス製やポリエチレンテレフタレート(PET)製の容器に充填され、化粧料含有物品として流通している。 しかし、ガラス製やPET製の容器では、形状の自由度や高級感などの風合いが十分に得られず、また、コスト面においても改善の余地があった。さらに、6−ベンジルアミノプリンを含む化粧料をPET製の容器に充填すると、経時的に6−ベンジルアミノプリンが容器に吸着されやすかった。しかも、PET製の容器は水分透過率が高い傾向にあるため、経時的に化粧料中の水分が揮発するという問題もあった。 そのため、化粧料中の水分が揮発しにくく、6−ベンジルアミノプリンを含む化粧料を充填する場合であっても6−ベンジルアミノプリンが容器に吸着されにくく、しかも低コストで製造でき、高級感などの風合いも得られる容器が望まれていた。 このような理由から、近年ではポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂製の容器が注目されている。 例えば特許文献1、2には、ポリエチレン製容器に充填された、ピロクトンオラミン等の有効成分を含む化粧料が開示されている。特開平9−48708号公報特開2001−354514号公報 しかしながら、ピロクトンオラミンを含む化粧料をポリオレフィン樹脂製の容器に充填した場合、ピロクトンオラミンが容器に吸着するという新たな問題があった。特に40℃以上の高温で保存すると、ピロクトンオラミンの容器への吸着や、ピロクトンオラミンの分解が起こりやすく、保存安定性を満足できなかった。 ところで、ピロクトンオラミンを含む化粧料は主に育毛剤として使用されるが、直接頭皮に塗布して指などで擦り込むため、使用時のベタつきは使用者の不快感につながる。 また、ピロクトンオラミンは水に溶けにくいため、特に低温で保存するとピロクトンオラミンが析出することがあった。 このように、ピロクトンオラミンを含む化粧料含有物品には、高温で保存してもピロクトンオラミンの容器への吸着や、ピロクトンオラミンの分解が起こりにくく、しかも低温で保存してもピロクトンオラミンが析出しにくいといった保存安定性に優れ、かつ使用感にも優れることが求められる。 本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、ピロクトンオラミンを含む化粧料をポリオレフィン樹脂製の容器に充填し、高温や低温で保存してもピロクトンオラミンの保存安定性に優れるとともに、使用感にも優れる化粧料含有物品を提供することを目的とする。 本発明者らは鋭意検討した結果、一般的に、ポリオレフィン樹脂製の容器には帯電防止剤が含まれていることに着目した。そして、帯電防止剤の中でも、窒素含有帯電防止剤がポリオレフィン樹脂製の容器に含まれていると、ピロクトンオラミンの容器への吸着の原因となることを突き止めた。さらに、化粧料の組成がピロクトンオラミンの析出や分解、使用感の改善につながることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は以下の態様を有する。[1]ピロクトンオラミンと、ノニオン界面活性剤と、エタノールとを含む化粧料が樹脂製の容器に充填された化粧料含有物品であって、前記樹脂がポリオレフィン樹脂であり、かつ前記容器は窒素含有帯電防止剤を実質的に含有しないことを特徴とする化粧料含有物品。[2]200〜400nmの波長における前記容器の光透過率が0〜2%であり、かつ、500nmの波長における前記容器の光透過率が5〜40%であることを特徴とする[1]に記載の化粧料含有物品。[3]前記化粧料が育毛剤であることを特徴とする[1]または[2]に記載の化粧料含有物品。 本発明によれば、ピロクトンオラミンを含む化粧料をポリオレフィン樹脂製の容器に充填し、高温や低温で保存してもピロクトンオラミンの保存安定性に優れるとともに、使用感にも優れる化粧料含有物品を提供できる。本発明の化粧料含有物品に用いられる容器の一例を示す正面図である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の化粧料含有物品は、ピロクトンオラミンと、ノニオン界面活性剤と、エタノールとを含む化粧料が、特定の容器に充填されたものである。<化粧料>(ピロクトンオラミン) ピロクトンオラミンは、抗菌・抗酸化作用を有し、頭皮の脂が過剰に分泌するのを抑制する有効成分である。ピロクトンオラミンを含むことで、頭皮を清潔に保ち、フケやカユミ、汗などの不快な臭いを防ぐことができる。 ピロクトンオラミンの含有量は、化粧料100質量%中、0.001〜3質量%が好ましく、0.01〜1.0質量%がより好ましく、特に育毛剤やヘアトニックなどの洗い流さないタイプの化粧料の場合には、0.01〜0.5質量%がさらに好ましい。ピロクトンオラミンの含有量が0.001質量%以上であれば、十分な抗菌・抗酸化作用が得られる。一方、ピロクトンオラミンの含有量が3質量%以下であれば、低温で保存してもピロクトンオラミンが析出しにくくなり、保存安定性がより向上する。(他の有効成分) 化粧料には、ピロクトンオラミン以外の他の有効成分が含まれていてもよい。他の有効成分としては、発毛促進作用を有する6−ベンジルアミノプリン、抗炎症作用を有するβ−グリチルレチン酸、血流促進作用を有するニコチン酸アミド、アポトーシスを抑制するt−フラバノン、細胞増殖作用を有するアデノシン、桐葉エキス、センブリ、血管拡張作用を有するミノキシジル、塩化カルプロニウム、エネルギー供給作用を有するペンタデカン酸グリセリドなどが挙げられる。 これら他の有効成分の含有量は、化粧料100質量%中、0.1〜5質量%程度であり、特に6−ベンジルアミノプリンは0.1〜2.0質量%であることが好ましく、β−グリチルレチン酸は0.001〜0.2質量%であることが好ましく、ニコチン酸アミドは0.001〜1.0質量%であることが好ましい。これら他の有効成分の含有量が0.1質量%未満であると育毛効果が十分に得られにくくなる場合があり、5質量%を超えると低温安定性が低下する場合がある。 特に化粧料が育毛剤である場合には、6−ベンジルアミノプリンが含まれていることが好ましい。(ノニオン界面活性剤) ノニオン界面活性剤は、低温で保存してもピロクトンオラミンが析出しにくくなるように、低温保存安定性を図る成分である。 ノニオン界面活性剤としては、エーテル型界面活性剤、エステル型界面活性剤、エーテル・エステル型界面活性剤などが挙げられる。 エーテル型界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン(2〜30)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜50)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜40)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10〜50)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(15〜30)イソセチルエーテル、ポリオキシエチレン(10〜30)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5〜30)オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(5〜30)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(5〜30)デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(12〜30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(5〜30)コレステリルエーテルなどが挙げられる。なお、「エチレン」、「プロピレン」の後のカッコ内の数値は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの平均付加モル数である。 エステル型界面活性剤としては、例えばパルミチン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル等のモノ脂肪酸グリセリン;ステアリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル;ステアリン酸グリコール、ジラウリン酸グリコール等のエチレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。 エーテル・エステル型界面活性剤としては、例えばステアリン酸ポリエチレングリコール(2〜40)、ポリオキシエチレン(30〜100)硬化ひまし油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(5〜40)、ポリオキシエチレン(20〜50)ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシエチレン(3〜10)セチルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレン(4〜12)ステアリルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレン(3〜15)ラウリルエーテル、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(2〜150)、トリステアリン酸ポリオキシエチレン(3〜20)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(40〜60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(3〜10)トリステアリン酸トリメチロールプロパンポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(6〜60)ソルビット、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンアルキルグリセリルエーテルなどが挙げられる。なお、「ポリエチレングリコール」の後のカッコ内の数値は、エチレンオキサイドの平均付加モル数である。 ノニオン界面活性剤としては、上述した中でもピロクトンオラミンの安定性の点から、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルが好ましい。 これらノニオン界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 ノニオン界面活性剤の含有量は、化粧料100質量%中、0.01〜5質量%が好ましく、ピロクトンオラミンの低温での保存安定性、使用感の点から、0.05〜3質量%がより好ましく、0.05〜2質量%がさらに好ましい。ノニオン界面活性剤の含有量が0.01質量%以上であれば、後述するエタノールの含有量が少ない場合であっても、ピロクトンオラミンの低温での保存安定性の効果が十分に得られる。一方、ノニオン界面活性剤の含有量が5質量%以下であれば、使用時のベタつきが感じられにくく、使用感を良好に維持できる。(エタノール) エタノールは、優れた使用感を与えるとともに、ピロクトンオラミンの保存安定性を図る成分である。従って、低温で保存してもピロクトンオラミンが析出しにくく、また、高温で保存してもピロクトンオラミンが分解しにくい。 エタノールの含有量は、化粧料100質量%中、50〜96質量%が好ましく、75〜96質量%がより好ましい。エタノールの含有量が50質量%以上であれば、ピロクトンオラミンの低温や高温での保存安定性の効果が十分に得られる。また、抗菌効果も得られる。一方、エタノールの含有量が96質量%を超えても、ピロクトンオラミンの保存安定性の効果は頭打ちとなるばかりか、エタノールの含有量が増えるとアルコール臭や刺激が強くなる傾向にある。従って、エタノールの含有量は96質量%以下が好ましい。(他の成分) 化粧料には、上述したピロクトンオラミン、ノニオン界面活性剤、エタノール、および他の有効成分以外にも、必要に応じて他の成分が含まれていてもよい。 他の成分としては、経皮吸収促進剤、清涼剤、香料、界面活性剤(ただし、ノニオン界面活性剤を除く)、高分子化合物、アミノ酸類、蛋白加水分解物、金属封鎖剤、増粘剤、ポリオール類、油剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、酸化防止剤、酸化剤、還元剤、アルカリ剤、色素などが挙げられる。 経皮吸収促進剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、オレイン酸エチル、乳酸オクチルドデシル等の脂肪酸エステルなどが挙げられる。 経皮吸収促進剤の含有量は、化粧料100質量%中、0.5〜10.0質量%が好ましく、0.5〜5.0質量%がより好ましい。 清涼剤としては、例えばメントール、メンチルグリセリルエーテル、メンチルカルボキサミド、バニリルブチルエーテル、メントン、カンファー、ボルネオール、シネオールメントン、サリチル酸メチル、マロン酸メンチル、グリコシル−モノメンチル−O−アセテート、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、l−メンチル−3−ヒドロキシブチレート、スペアミント油、ペパーミント油、ハッカ油、ユーカリプタス油などが挙げられる。これらの中でも、メントール、メンチルグリセリルエーテル、メンチルカルボキサミド、バニリルブチルエーテル、カンファー、スペアミント油、ペパーミント油、ハッカ油、ユーカリプタス油が好ましい。 清涼剤の含有量は、化粧料100質量%中、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。 香料としては、特開2003−95895号公報に記載されている香料や香料組成物を例示することができる。 香料の含有量は、化粧料100質量%中、0.00001〜2質量%が好ましく、0.0001〜1質量%がより好ましい。 ノニオン界面活性剤以外の界面活性剤としては、例えば、両性界面活性剤が挙げられ、具体的には、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン系界面活性剤が挙げられる。特に、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン及びアルキルヒドロキシスルホベタインが好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタイン及びアルキルヒドロキシスルホベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアルキル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が好ましい。 ノニオン界面活性剤以外の界面活性剤の含有量は、100質量%中、0.1〜5.0質量%が好ましく、0.1〜3.0質量%がより好ましい。(化粧料の物性) 化粧料のpHは特に限定されないが、2.5〜10.0が好ましく、3.0〜7.0がより好ましい。 化粧料(25℃に調温)のpHは、pHメーター等により測定される値である。(化粧料の製造方法) 化粧料の製造方法は特に制限されず、常法に準じて製造することができる。 例えば、ピロクトンオラミンや他の有効成分、ノニオン界面活性剤、エタノールと、必要に応じて他の成分とを、各成分の純分換算量で所望の含有量になるように水(例えば精製水など)等の溶媒に混合して溶解し、pH調整剤を用いて所定のpHになるように調整することにより、製造することができる。(用途) 化粧料は、育毛剤、ヘアトニック、ヘアクリーム、セット剤、トリートメント剤、染毛剤、ヘアジェル等の毛髪用組成物、育毛シャンプー、育毛リンス等の毛髪用洗浄剤などとして用いられ、特に、育毛剤、ヘアトニックとして好適である。<容器> 上述した化粧料を充填する容器は樹脂製であり、窒素含有帯電防止剤を実質的に含有しない。 樹脂はポリオレフィン樹脂であり、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンが好ましく、強度およびコストの点から高密度ポリエチレン(密度0.92〜0.97g/cm−3)が特に好ましい。 これらポリオレフィン樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 本発明の化粧料含有物品は、化粧料を充填する容器がポリオレフィン樹脂製であるため、ガラス製やPET製の容器に比べて、低コストであり、形状の自由度が高く、高級感などの風合いも得られる。また、化粧料中の水分が揮発しにくく、しかも、化粧料が6−ベンジルアミノプリンを含む場合であっても6−ベンジルアミノプリンが容器に吸着しにくい。 ところで、上述したように、ピロクトンオラミンを含む化粧料をポリオレフィン樹脂製の容器に充填した場合、ピロクトンオラミンが容器に吸着するという問題があった。特に40℃以上の高温で保存すると、ピロクトンオラミンが容器に吸着しやすく、保存安定性を満足できなかった。 しかし、本発明であれば、窒素含有帯電防止剤を実質的に含有しないポリオレフィン樹脂製の容器に化粧料を充填するので、高温で保存してもピロクトンオラミンが容器に吸着しにくく、保存安定性を満足できる。ピロクトンオラミンが容器に吸着しにくい理由は定かではないが、以下のように考えられる。 一般的に、ポリオレフィン樹脂製の容器には帯電防止剤が含まれている。帯電防止剤の中でも、窒素含有帯電防止剤がポリオレフィン樹脂製の容器に含まれていると、窒素含有帯電防止剤の窒素と化粧料中のピロクトンオラミンが相互作用し、窒素含有帯電防止剤がピロクトンオラミンを取り込むことで、ピロクトンオラミンが容器に吸着するものと考えられる。よって、窒素含有帯電防止剤実質的に含有しないポリオレフィン樹脂製の容器であれば、ピロクトンオラミンが容器に吸着するのを抑制できるものと考えられる。 窒素含有帯電防止剤としては、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。 アルキルジエタノールアミンとしては、例えばラウリルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、オレイルジエタノールアミンなどが挙げられる。 ポリオキシエチレンアルキルアミンとしては、例えば花王株式会社製の「アミート102」、「アミート105」、「アミート302」、「アミート320」などが挙げられる。 なお、本発明において「実質的に含有しない」とは、窒素含有帯電防止剤が影響を及ぼさない程度には含んでいても構わないということである。具体的には、窒素含有帯電防止剤の含有量がポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.2質量ppm以下であることが好ましく、0.1質量ppm以下であることがより好ましく、全く含まないことがさらに好ましい。 ところで、ピロクトンオラミンは紫外光や可視光に曝されること(日光曝露)により分解することがある。従って、容器は、紫外線吸収剤や顔料を含有することが好ましい。 紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアジン系、シアノアクリレート系、有機ニッケル系、ヒンダートピペリジン系などが挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂との相溶性が良好である点で、ベンゾトリアゾール系が好ましい。 ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えばチヌビンP(2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール)、チヌビン234(2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール)、チヌビン326(2−(3−t− ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、チヌビン329(2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール)、チヌビン213(メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート-ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物)、チヌビン571(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体)などが挙げられる。これらの中でも、特にポリオレフィン樹脂との相溶性に優れる点で、チヌビン326が好ましい。 紫外線吸収剤の含有量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部が好ましく、0.03〜0.3質量部がより好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.01質量部以上であれば、400nm以下の紫外領域における紫外線吸収効果が十分に得られるので、化粧料が光(特に紫外光)に曝されてもピロクトンオラミンが分解されにくく、保存安定性がさらに向上する。一方、紫外線吸収剤の含有量が0.5質量部を超えても、紫外線吸収効果は頭打ちとなるばかりか、容器の透明性が低下する傾向にあり、内容物(化粧料)の残量が確認しにくくなることがある。従って、紫外線吸収剤の含有量は0.5質量部以下が好ましい。 容器に顔料を含有させることで、容器の調色や、紫外線等の遮蔽効果が得られる。 顔料としては、有機顔料、無機顔料が挙げられる。 有機顔料の色調には、赤色のパーマネントレッド、黄色のファーストイエロー、緑色のフタロシアニングリーンなどがある。 有機顔料としては、アゾ系顔料、多環系顔料が挙げられる。 アゾ系顔料としては、色調別に、ベンジジンイエロー(;Pigment Yellow 14)等の黄色;ブリリアントカーミン6B(;Pigment Red 57:1)等の青色などが挙げられる。 多環系顔料としては、色調別に、イソインドリノン、キノフタロン、イソインドリン、アントラキノン、アントロン、キサンテン等の黄色;ジケトピロロピロール、ペリレン、アントラキノン(アントロン)、ペリノン、キナクリドン、インジゴイド等の橙色;アントラキノン、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ペリレン、ペリノン、インジゴイド等の赤色;ジオキサジン、キナクリドン、ペリレン、インジゴイド、アントラキノン、アントロン、キサンテン等の紫色;フタロシアニン、アントラキノン、インジゴイド等の青色;フタロシアニン、アゾメチン、ペリレン等の緑色などが挙げられる。 一方、無機顔料の色調には、白色の二酸化チタン、黒色のカーボンブラック、茶色のベンガラ、朱色のクロムバーミリオン、青色の紺青、黄色の黄鉛、赤色の酸化鉄などある。 無機顔料としては、色調別に、亜鉛華、鉛白、リトポン、二酸化チタン、沈降性硫酸バリウム、バライト粉等の白色;鉛丹、酸化鉄赤等の赤色;黄鉛、亜鉛黄等の黄色;ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)等の青色;カーボンブラック等の黒色などが挙げられる。 容器の色は、無機顔料のみ、もしくは有機顔料のみで調色してもよいし、無機顔料と有機顔料を組み合わせてもよい。 さらに、外観の美しさを付与する目的で、上述した無機顔料や有機顔料にパール顔料を併用してもよい。 顔料の含有量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.03〜0.4質量部が好ましく、0.04〜0.2質量部がより好ましい。顔料の含有量が0.03質量部以上であれば、400nm以上の可視領域における遮蔽効果が十分に得られるので、化粧料が光(特に可視光)に曝されてもピロクトンオラミンが分解されるのを抑制でき、保存安定性がさらに向上する。顔料の含有量が多くなるほど、ピロクトンオラミンの日光曝露による分解は抑制される一方で、内容物(化粧料)が見えにくくなる。顔料の含有量が0.4質量部以下であれば、ピロクトンオラミンの分解を抑制しつつ、内容物(化粧料)の可視化が可能となり、残量を確認しやすくなる。よって、残量に応じて内容物(化粧料)の詰め替えや、商品の購入のタイミングを容易に計れる。 容器には、上述した紫外線吸収剤や顔料以外にも必要に応じて他の成分が含まれていてもよい。 他の成分としては、トルマリン、チタン等の鉱物、抗菌剤、香料、帯電防止剤(ただし、窒素含有帯電防止剤を除く)などが挙げられる。 窒素含有帯電防止剤以外の帯電防止剤(すなわち、窒素を含有しない帯電防止剤)としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。 グリセリン脂肪酸エステルとしては、具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテート等のモノグリセライド系;グリセリンジアセトモノラウレート等のアセチル化モノグリセライド系などが挙げられ、ポリオレフィン樹脂との相溶性の点から、グリセリンモノステアレートが好ましい。その含有量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.05〜1質量部が好ましく、0.1〜0.5質量部がより好ましい。 上述したように、ピロクトンオラミンは、紫外光、可視光のいずれでも分解が進行するため、日光曝露によるピロクトンオラミンの分解抑制効果を得るには、200〜600nmの波長の光を容器が吸収することが望ましい。容器に紫外線吸収剤が含まれていれば、400nm以下の紫外領域における光遮蔽効果は十分に得られるが、容器が紫外線吸収剤を含むだけでは400〜600nmの可視領域における光遮蔽効果は得られない。 そのため、500nmの波長における光透過率が5〜40%である容器を用いることが好ましい。光透過率が5%以上であれば、内容物(化粧料)の可視化を良好に維持できる。一方、光透過率が40%以下であれば、化粧料が光(特に可視光)に曝されてもピロクトンオラミンが分解しにくく、保存安定性がさらに向上する。 なお、400〜600nmの可視領域における容器の光透過率も、5〜40%であることが好ましい。ここで、「400〜600nmの可視領域における光透過率が5〜40%である」とは、400〜600nmの波長において光透過率が最小となる値(最小光透過率)が5%以上、光透過率が最大となる値(最大光透過率)が40%以下であることを意味する。 400〜600nmの波長における容器の光透過率は、容器中の顔料の含有量と後述する容器の平均肉厚との組み合わせなどにより調整できる。 一方、200〜400nmの紫外領域における容器の光透過率は、ピロクトンオラミンの分解抑制の点から、0〜2%であることが好ましい。この値は、容器中の紫外線吸収剤の含有量により調整できる。ここで、「200〜400nmの紫外領域における光透過率が0〜2%である」とは、200〜400nmの波長において光透過率が最大となる値(最大光透過率)が2%以下であることを意味する。 このように、ピロクトンオラミンが紫外光、可視光のいずれに曝されても分解を抑制するためには、200〜400nmの波長における光透過率が0〜2%であり、かつ500nmの波長における光透過率が5〜40%である容器を用いることが好ましく、紫外線吸収剤と顔料の両方を含有する容器を用いることが特に好ましい。 なお、各波長における容器の光透過率は、積分球つき分光光度計を用いて測定できる。 容器は単層構造でもよいし多層構造でもよいが、コスト面や成形性を考慮すると、単層が好ましい。 容器の平均肉厚は500〜1200μmが好ましく、700〜1000μmがより好ましい。容器の平均肉厚が500μm以上であれば、化粧料が光に曝されてもピロクトンオラミンが分解しにくく、保存安定性がさらに向上する。一方、容器の平均肉厚が1200μm以下であれば、内容物(化粧料)の可視化を良好に維持できる。 ここで、「容器の平均肉厚」とは、化粧料が充填される容器本体部分の平均肉厚のことである。 容器の形状については特に制限されず、育毛剤等の毛髪用組成物や育毛シャンプー等の毛髪用洗浄剤などが充填されている一般的な容器の形状を採用できる。ここで、図1に化粧料が充填される容器の一例を示す。 図1に示す容器1は、化粧料が充填される有底円筒状の容器本体10と、有蓋円筒状のキャップ部20とを備え、容器本体10の口部10aの外周にネジ部が形成され、キャップ部20の側壁の内面に、容器本体10の口部10aの外周に形成されたネジ部と螺合するネジ部が形成されたシリンダーボトルである。 図1に示す容器1の場合、少なくとも容器本体10がポリオレフィン樹脂製であり、窒素含有帯電防止剤を実質的に含有しなければよいが、容器本体10の口部10aに螺合されるキャップ部20についても、容器本体10と同じ材質であることが好ましい。また、少なくとも容器本体10の光透過率や平均肉厚が上記範囲内であれば、化粧料が光に曝されてもピロクトンオラミンが分解するのを抑制できるが、キャップ部20についても容器本体10と同じ物性であることが好ましい。 なお、図1に示す容器1は、容器本体10が有底円筒状であり、キャップ部20有蓋円筒状であるが、例えば容器本体10が有低角筒状であってもよいし、キャップ部20が有蓋角筒状であってもよく、容器の形状は限定されない。<作用効果> 以上説明した本発明の化粧料含有物品は、ポリオレフィン樹脂製の容器に化粧料が充填されているので、ガラス製やPET製の容器に比べて、低コストであり、高級感などの風合いも有する。また、化粧料中の水分が揮発しにくく、しかも、化粧料が6−ベンジルアミノプリンを含む場合であっても6−ベンジルアミノプリンが容器に吸着されにくい。 また、本発明の化粧料含有物品は、容器が窒素含有帯電防止剤を実質的に含有しないので、高温で保存しても化粧料中のピロクトンオラミンが容器に吸着されにくい。 また、本発明の化粧料含有物品は、化粧料中にノニオン界面活性剤およびエタノールを含むので、高温で保存してもピロクトンオラミンが分解しにくく、また、低温で保存してもピロクトンオラミンが析出しにくい。加えて、使用感にも優れる。 特に、200〜400nmの波長における容器の光透過率が0〜2%であり、500nmの波長における光透過率が5〜40%であれば、化粧料が紫外光や可視光などの光に曝されてもピロクトンオラミンの分解を抑制しつつ、内容物(化粧料)を可視化できる。<他の実施形態> 本発明の化粧料含有物品は上述したものに限定されない。上述した化粧料含有物品では、日光曝露によるピロクトンオラミンの分解を抑制するために、化粧料が充填される容器に紫外線吸収剤や顔料を含有させ、特定の波長における容器の光透過率や容器の平均肉厚を規定しているが、例えば、200〜600nmの波長の光を遮断できるような遮断フィルムで容器の外表面を被覆することでも、日光曝露によるピロクトンオラミンの分解を抑制できる。この場合、200〜600nmの波長の光は遮断フィルムによって容器に充填された化粧料にまで到達しないので、容器が紫外線吸収剤や顔料を含有していなくても、また、特定の波長における容器の光透過率や容器の平均肉厚が上述した範囲から外れていても、日光曝露によるピロクトンオラミンの分解を抑制できる。 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。[実施例1−1〜1−31、比較例1−1〜1−3] 表1〜4に示す配合組成に従って、以下に示す製造方法により、各実施例および比較例の化粧料をそれぞれ調製した。また、表1〜4に示す配合組成に従って、以下に示す製造方法により、各実施例および比較例の容器を製造した。各例で調製した化粧料を容器に充填し、化粧料含有物品を得た。得られた化粧料含有物品について、以下に示す方法により評価した。結果を表1〜4に示す。 なお、表1〜4中の化粧料の配合量の単位は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。また、表1〜4中の容器の配合量の単位は「質量部」である。 また、各例の化粧料は、表に記載の各成分の合計が100質量%となるように精製水でバランスして調製した。<化粧料の調製> ビーカーに、エタノールと、ピロクトンオラミンと、その他の有効成分と、ノニオン界面活性剤と、経皮吸収剤とを表1〜4の記載に則して入れ、マグネチックスターラーで十分に撹拌して溶解した後、バランス成分である精製水を添加し、マグネチックスターラーで十分に撹拌した。その後、クエン酸を適量添加してpHが5になるように調整し、全体量が100質量%になるように残りの精製水を加えてバランスし、各例の化粧料を調製した。 pH測定は、化粧料を25℃に調整し、pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、「HM−30G」)を用いて測定した。測定方法は、JIS K3362−1998に準拠して行った。 なお、精製水の配合量を示す「バランス」は、化粧料に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように加えられた残部を意味する。 表1〜4中の有効成分、ノニオン界面活性剤、エタノール、経皮吸収剤、およびクエン酸は以下の通りである。・ピロクトンオラミン:クラリアントジャパン株式会社製、「オクトピロックス」・6−ベンジルアミノプリン:三省製薬株式会社製、「CTP」・β−グリチルレチン酸:丸善製薬株式会社製、「β−グリチルレチン酸」・ニコチン酸アミド:DSM ニュートリジャパン社製、「ニコチン酸アミド」・GO−440V:テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット(日光ケミカルズ株式会社製、「NIKKOL GO−440V」)・E−202S:ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル(日油株式会社製、「ノニオン E−202S」)・PEN4630:ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル(日光ケミカルズ株式会社製、「NIKKOL PEN4630」)・エタノール:日本アルコール販売株式会社製、「95%合成アルコール」・PEG300K:平均分子量300のポリエチレングリコール(ライオン株式会社製)・クエン酸:扶桑化学工業株式会社製、「結晶クエン酸」<容器の製造>(樹脂組成物の調製) 顔料を含まない高密度ポリエチレン(密度:0.956)と、任意の顔料を予め分散させた高密度ポリエチレンとを混合し、各色に着色されたマスターバッチを準備した。 ついで、樹脂組成物中の顔料および帯電防止剤の含有量が、高密度ポリエチレン100質量部に対して表1〜4に記載の量となるように、また、容器となったときの500nmの波長における光透過率が表1〜4に記載の値となるように、マスターバッチを高密度ポリエチレン(密度:0.956)で希釈して、樹脂組成物を調製した。(成形) 得られた樹脂組成物を用い、ブロー成形機にて図1に示す容器本体10を製造した。得られた容器本体10について、平均肉厚および500nmの波長における光透過率を以下のようにして求めた。結果を表1〜4に示す。 なお、容器本体10形状は、外径が31mm、高さ(口部10aを除く部分)が84mm、口部10aの外径が20mm、口部10aの内径が15mm、口部10aの高さが15mmであった。 また、外径が31mm、内径が24mm、高さが15mmであるキャップ部20を別途準備した。 表1〜4中の帯電防止剤は以下の通りである。・グリセリンモノステアレート:窒素を含有しない帯電防止剤・ラウリルジエタノールアミン:窒素含有帯電防止剤(平均肉厚の測定) 容器本体10の任意の箇所10点について、ハンディ超音波厚さ計(オリンパス社製、「35DL」)を用いて測定し、その平均値を求めた。(光透過率の測定) 容器本体10の任意の波長における光透過率は、積分球つき分光光度計(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。 なお、200〜400nmの波長における光透過率を測定した場合は、200〜400nmの波長における最大光透過率を表に示す。[評価]<保存安定性の評価>(1)低温保存 化粧料50mLを容器本体10に充填し、口部10aにキャップ部20を螺合して密閉し、化粧料含有物品に光が当らない状態で、−5℃の恒温槽で1ヶ月間保存した。その後、室温に戻したときの化粧料の外観について目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。なお、点数が高いほど、低温で化粧料を保存しても、化粧料中のピロクトンオラミンが析出しにくいことを意味する。 5点:−5℃でも、室温に戻しても析出物を確認できない。 4点:−5℃では析出物がごくわずかに確認されるが、室温に戻すと溶解する。 3点:−5℃では析出物が確認されるが、室温に戻すと溶解する。 2点:−5℃で析出物が確認され、室温に戻しても一部は溶解しない。 1点:−5℃で析出物が確認され、室温に戻しても溶解しない。(2)高温保存 化粧料50mLを容器本体に充填し、口部10aにキャップ部20を螺合して密閉し、化粧料含有物品に光が当らない状態で、40℃の恒温槽で6ヶ月間保存した。保存後の化粧料中のピロクトンオラミンの含有量を以下のようにして測定した。 まず、保存後の化粧料約0.2gを精密に量り、内標準溶液5mLを正確に加え分散させた。その後、移動相15mLをさらに加えて分散させ、液体クロマトグラフ用フィルター(0.45μm)でろ過したものを試料溶液とした。 別途、標準ピロクトンオラミン約0.1gを精密に量り、メタノールを加えて正確に50mLとした。この液5mLを正確に量り、メタノールをさらに加えて正確に50mLとした。この液5mLを正確に量り、内標準溶液5mLを正確に加えた。その後、移動相10mLをさらに加えて混和し、標準溶液とした。 なお、内標準溶液としては、メチルパラベンのメタノール溶液を用いた。 試料溶液および標準溶液10μLにつき、以下の条件で液体クロマトグラフ法により試験を行い、試料溶液における内標準物質に対するピロクトンオラミンのピーク面積の比QT、および標準溶液における内標準物質に対するピロクトンオラミンのピーク面積の比QSを求め、下記式より化粧料中のピロクトンオラミン含有量を算出した。 ピロクトンオラミン含有量(%) =標準ピロクトンオラミンの量(g)×(5/50)×(5/50)×(QT/QS)×(1/試料の量(g))×100 =標準ピロクトンオラミンの量(g)×(QT/QS)×(1/試料の量(g))測定機器;・電子天秤:Mettler AJ−180(メトラー社製)・ポンプ:LC−20AD(株式会社島津製作所製)・デガッサー:DGU−20A3(株式会社島津製作所製)・オートサンプラー:SIL−20A(株式会社島津製作所製)・カラムオーブン:CO630(株式会社島津製作所製)・検出器:SPD−M20A(株式会社島津製作所製)・データ処理装置:Lab Solutions(株式会社島津製作所製)液体クロマトグラフィー測定条件;・注入量:10μL・フォトダイオードアレイ検出器(モニター波長:270nm、測定波長:220〜300nm)・カラム:Inertsil ODS−2(φ4.6mm×150mm、ジーエルサイエンス社製)・カラム温度:40℃・移動相:メタノール/水/エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物溶液/リン酸混液(40:8:1:1) 保存前の化粧料についても、同様にして化粧料中のピロクトンオラミン含有量を算出し、これを初期値とした。保存後の化粧料中のピロクトンオラミン含有量が初期値の何%に相当するか求め、下記評価基準にて評価した。なお、点数が高いほど、高温で化粧料を保存しても、化粧料中のピロクトンオラミンが容器に吸着しにくく、また、ピロクトンオラミンが分解しにくいことを意味する。 5点:対初期値90%以上 4点:対初期値80%以上90%未満 3点:対初期値50%以上80%未満 2点:対初期値30%以上50%未満 1点:対初期値30%未満<使用感の評価> 化粧料1mLを手の平でのばしたときのベタつき感を官能評価した。具体的には、男女10人のモニターにより、下記評価基準による5段階絶対評価したときの平均点を算出した。 5点:全くベタつかない。 4点:ベタつかない。 3点:ややベタつかない。 2点:ベタつく。 1点:非常にベタつく。 表1〜4から明らかなように、実施例1−1〜1−31で得られた化粧料含有物品は、高温で保存しても化粧料中のピロクトンオラミンが容器に吸着しにくく、分解もしにくい。また、低温で保存してもピロクトンオラミンが析出しにくく、保存安定性に優れていた。しかも、使用感にも優れていた。 一方、窒素含有帯電防止剤を含有する容器に化粧料を充填した比較例1−1の化粧料含有物品は、高温で保存すると化粧料中のピロクトンオラミンが容器に吸着しやすかった。なお、窒素含有帯電防止剤以外の帯電防止剤を含有する容器に化粧料を充填した実施例1−22の場合は、容器へのピロクトンオラミンの吸着は見られない。従って、容器に含まれる窒素含有帯電防止剤が、容器へのピロクトンオラミンの吸着の原因であることが示された。 エタノールを含まない化粧料を容器に充填した比較例1−2の化粧料含有物品は、高温で保存すると化粧料中のピロクトンオラミンが分解しやすく、かつ、低温で保存するとピロクトンオラミンが析出しやすく、保存安定性に劣っていた。また、比較例1−2の化粧料とエタノール以外は同じ配合組成である実施例1−1、1−7〜1−15、1−19〜1−22、1−27〜1−31の化粧料と比較すると、使用感にも劣っていた。 ノニオン界面活性剤を含まない化粧料を容器に充填した比較例1−3の化粧料含有物品は、低温で保存するとピロクトンオラミンが析出しやすく、保存安定性に劣っていた。[実施例2−1〜2−19] 表5〜7に示す配合組成に従って、以下に示す製造方法により、各実施例の化粧料をそれぞれ調製した。また、表5〜7に示す配合組成に従って、以下に示す製造方法により、各実施例の容器を製造した。各例で調製した化粧料を容器に充填し、化粧料含有物品を得た。得られた化粧料含有物品について、実施例1−1と同様にして低温保存および高温保存における保存安定性と、使用感を評価した。さらに、以下に示す方法により、日光曝露による保存安定性と、化粧料の見え具合を評価した。これらの結果を表5〜7に示す。 なお、表5〜7中の化粧料の配合量の単位は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。また、表5〜7中の容器の配合量の単位は「質量部」である。 また、各例の化粧料は、表に記載の各成分の合計が100質量%となるように精製水でバランスして調製した。<化粧料の調製> 表5〜7に示す配合組成に変更した以外は、実施例1−1と同様にして各例の化粧料を調製した。<容器の製造> 樹脂組成物中の顔料、紫外線吸収剤、および帯電防止剤の含有量が、高密度ポリエチレン100質量部に対して表5〜7に記載の量となるように、また、容器となったときの500nmの波長における光透過率が表5〜7に記載の値となるように、マスターバッチを高密度ポリエチレン(密度:0.956)で希釈して、樹脂組成物を調製した。 得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例1−1と同様にして容器本体を製造し、平均肉厚、200〜400nmの波長における光透過率、および500nmの波長における光透過率を求めた。結果を表5〜7に示す。 なお、表5〜7中の紫外線吸収剤は以下の通りである。・チヌビン326:2−(3−t− ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール[評価]<保存安定性の評価>(3)日光曝露 40℃×6ヶ月の保存条件に代えて、日光曝露の積算量が15MJ/sm2になるまで化粧料含有物品に日光を照射しながら保存した以外は、(2)の高温保存の場合と同様にして保存前後のピロクトンオラミン含有量を測定し、評価した。なお、点数が高いほど、化粧料を光に曝しても、ピロクトンオラミンが分解しにくいことを意味する。<化粧料の見え具合の評価> 化粧料50mLを容器本体に充填し、口部10aにキャップ部20を螺合して密閉し、蛍光灯の下で内容物(化粧料)の見え具合を評価した。具体的には、男女10人のモニターにより、下記評価基準による5段階絶対評価したときの平均点を算出した。 5点:化粧料の液面がはっきり見える。 4点:化粧料の液面が見える。 3点:化粧料の液面がやや見える。 2点:化粧料の液面がわずかに見える。 1点:化粧料の液面が全く見えない。 表5〜7から明らかなように、実施例2−1〜2−19で得られた化粧料含有物品は、高温で保存しても化粧料中のピロクトンオラミンが容器に吸着しにくく、分解もしにくい。また、低温で保存してもピロクトンオラミンが析出しにくく、保存安定性に優れていた。しかも、使用感にも優れていた。 また、実施例2−1〜2−19で得られた化粧料含有物品は、200〜400nmの波長における光透過率が0〜2%であり、500nmの波長における光透過率が5〜40%である容器に化粧料を充填したので、化粧料が光に曝されてもピロクトンオラミンの分解を抑制でき、保存安定性にさらに優れるとともに、内容物(化粧料)を可視化できた。 1:容器、10:容器本体、10a:口部、20:キャップ部。 ピロクトンオラミンと、ノニオン界面活性剤と、エタノールとを含む化粧料が樹脂製の容器に充填された化粧料含有物品であって、 前記樹脂がポリオレフィン樹脂であり、かつ前記容器は窒素含有帯電防止剤を実質的に含有しないことを特徴とする化粧料含有物品。 200〜400nmの波長における前記容器の光透過率が0〜2%であり、かつ、500nmの波長における前記容器の光透過率が5〜40%であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料含有物品。 前記化粧料が育毛剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料含有物品。 【課題】ピロクトンオラミンを含む化粧料をポリオレフィン樹脂製の容器に充填し、高温や低温で保存してもピロクトンオラミンの保存安定性に優れるとともに、使用感にも優れる化粧料含有物品を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の化粧料含有物品は、ピロクトンオラミンと、ノニオン界面活性剤と、エタノールとを含む化粧料が樹脂製の容器に充填され、前記樹脂がポリオレフィン樹脂であり、かつ前記容器は窒素含有帯電防止剤を実質的に含有しないことを特徴とする。【選択図】なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る