タイトル: | 公開特許公報(A)_植物油を精製する方法および植物油からリゾリン脂質を製造する方法 |
出願番号: | 2012128617 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C12P 9/00,C12P 7/64,C12N 15/09,C12N 9/16,A23J 7/00 |
椎原 美沙 JP 2013252077 公開特許公報(A) 20131219 2012128617 20120606 植物油を精製する方法および植物油からリゾリン脂質を製造する方法 ナガセケムテックス株式会社 000214250 進藤 卓也 100163647 椎原 美沙 C12P 9/00 20060101AFI20131122BHJP C12P 7/64 20060101ALI20131122BHJP C12N 15/09 20060101ALN20131122BHJP C12N 9/16 20060101ALN20131122BHJP A23J 7/00 20060101ALN20131122BHJP JPC12P9/00C12P7/64C12N15/00 AC12N9/16 DA23J7/00 4 OL 14 4B024 4B050 4B064 4B024AA01 4B024AA05 4B024BA11 4B024CA03 4B024DA06 4B024EA04 4B050CC03 4B050DD02 4B050LL05 4B064AD85 4B064AE63 4B064CA21 4B064CB04 4B064CD07 4B064CD15 4B064CD22 4B064DA01 4B064DA10 本発明は、植物油を精製する方法および植物油からリゾリン脂質を製造する方法に関する。 油原料植物から圧搾した油、または抽出し、溶剤を除去した油(本明細書中では、これらをまとめて「粗油」という)にはリン脂質、脂肪酸、色素、臭気化合物のような不純物が含まれるので、植物油の製造方法には、これらの不純物を除去する精製工程がある。精製工程では、粗油からリン脂質を水和析出させてガム質として取り除く(「脱ガム」)。脱ガム油は、その後、脱色(色素を活性白土などに吸着させて除去する)および脱臭(臭気化合物を蒸留除去する)に供し得る。精製工程には、化学的精製と物理的精製とがある。 化学的精製においては、粗油を水で処理し(「水脱ガム」)、次いでアルカリで処理してガム質と遊離脂肪酸とに分解する(「脱酸」)。アルカリは、油および水中に存在する遊離脂肪酸と反応して石鹸を生成し、中和油を吸蔵する大量のエマルジョンを形成し、結果として油の大きな損失を招く。このプロセスにより生成される石鹸ストックは、重大な廃棄問題を引き起こす。このプロセスでは大量の水を必要とし、排水および廃棄物が多い。 物理的精製は、脱ガム油から水蒸気ストリッピングにより脱臭と共に遊離脂肪酸を取り除く処理を含む。結果として、油の損失は小さく、遊離脂肪酸は蒸留により取り除かれ、最終的に得られる製品の品質が改良される。しかし、ガム質が脱色工程前に完全に取り除かれないと、最終製品の品質が低下し得る。したがって、脱色工程前のガム質除去の処理が重要であり、このような処理として、酵素による処理(「酵素脱ガム」)が挙げられる。 例えば、粗油または水脱ガム後の油を、ホスホリパーゼA活性を有する酵素で処理する方法(特許文献1)、水脱ガム後の油をホスホリパーゼA1、A2またはBで処理する方法(特許文献2)、および未精製大豆油をブタ膵臓由来ホスホリパーゼA2で処理する方法(特許文献3)が報告されている。また、酵素脱ガムに用いられる酵素として、Novozymes社製のLecitase 10L(ブタ膵臓由来ホスホリパーゼA2)、Lecitase Novo(フサリウム・オキシスポリウム(Fusarium oxysporium)由来ホスホリパーゼA1)、およびLecitase Ultra(サーモマイセス・ラヌギノスス(Thermomyces lanuginosus)/フサリウム・オキシスポリウム由来ホスホリパーゼA1)が知られている(非特許文献1)。ブタ膵臓由来ホスホリパーゼA2については、大量生産が難しく工業的に利用し難い、ブタ由来物を忌避する宗教の国では使用できないなどの問題がある。 ところで、リゾリン脂質は、リン脂質のアシル基におけるエステル結合1個所が加水分解され、OH基になったものである。リゾリン脂質は、通常のリン脂質より高い界面活性を有するため、食品の乳化安定性、食感、弾力性などをリン脂質以上に改善でき、他の乳化剤の使用量を節約することができる。また、食品用途の他に、化粧品用乳化剤としても利用価値がある。 このようなリゾリン脂質の調製法として、リン脂質にホスホリパーゼA2を作用させる方法が知られている。ホスホリパーゼA2はリン脂質の2−アシル基に作用し、その結果、1−アシルリゾリン脂質を生じる。 また、粗油または粗油に水を加えてガム質を除去した脱ガム油をホスホリパーゼA活性を有する酵素で処理して水和ガム質を得ることにより、リゾレシチンを製造する方法が報告されている(特許文献4)。特開平2−153997号公報米国特許第5264367号明細書特開平7−11283号公報特開平2−49593号公報J.-G. Yangら、Food Technol. Biotechnol., 44(1), 101-104 (2006)D. Adlercreutzら、JAOCS, 78(10), 1007-1011 (2001) 本発明は、植物油を効率的に精製できる方法、およびリゾリン脂質を効率的に製造できる方法を提供することを目的とする。 本発明は、植物油を精製する方法を提供し、この方法は、 該植物油を、水およびホスホリパーゼA2活性を有する酵素で処理する工程、および 該処理後の植物油から脱ガム油を分離回収する工程を含み、 該ホスホリパーゼA2活性を有する酵素は、 ホスホリパーゼA2活性に対するホスホリパーゼA1活性が5%以下であり、そして ホスホリパーゼA活性に対し、リゾホスホリパーゼ活性が5%以下、かつ、リパーゼ活性が2%以下である。 本発明はまた、植物油からリゾリン脂質を製造する方法を提供し、この方法は、 該植物油を、水およびホスホリパーゼA2活性を有する酵素で処理する工程、および 該処理後の植物油からリゾリン脂質を分離回収する工程を含み、 該ホスホリパーゼA2活性を有する酵素は、 ホスホリパーゼA2活性に対するホスホリパーゼA1活性が5%以下であり、そして ホスホリパーゼA活性に対し、リゾホスホリパーゼ活性が5%以下、かつ、リパーゼ活性が2%以下である。 本発明はさらに、植物油を精製し、かつ該植物油からリゾリン脂質を製造する方法を提供し、この方法は、 該植物油を、水およびホスホリパーゼA2活性を有する酵素で処理する工程、 該処理後の植物油を油相および水相に分離する工程、 該油相を回収する工程、および 該水相からリゾリン脂質を回収する工程を含み、 該ホスホリパーゼA2活性を有する酵素は、 ホスホリパーゼA2活性に対するホスホリパーゼA1活性が5%以下であり、そして ホスホリパーゼA活性に対し、リゾホスホリパーゼ活性が5%以下、かつ、リパーゼ活性が2%以下である。 1つの実施形態では、上記ホスホリパーゼA2活性を有する酵素は、放線菌由来酵素である。 本発明によれば、植物油を効率的に精製できる方法、およびリゾリン脂質を効率的に製造できる方法が提供される。さらに、植物油を精製すると共に、リゾリン脂質もまた製造できる方法が提供される。本発明によれば、特にブタ由来酵素を使用することなく、高いトリグリセリド収率で効率的に植物油を精製することができ、さらに植物油精製過程で発生するガム質から1−アシルリゾリン脂質を多く含むリゾリン脂質を効率的に製造できる。 本発明の植物油を精製する方法および植物油からリゾリン脂質を製造する方法ともに、植物油を、水およびホスホリパーゼA2活性を有する酵素で処理する工程を含む。 本明細書中では、ホスホリパーゼA活性、リゾホスホリパーゼ活性およびリパーゼ活性は、以下のように決定される: ホスホリパーゼA活性:大豆レシチンを基質にpH8.0、37℃で反応した際に、1分間に1μmolの脂肪酸を遊離する活性を1ユニットとする; リゾホスホリパーゼ活性:リゾホスファチジルコリン(Sigma, L0906)を基質にpH8.0、37℃で反応した際に、1分間に1μmolの脂肪酸を遊離する活性を1ユニットとする; リパーゼ活性:リパーゼキットS(DSファーマバイオメディカル株式会社)を使用して、以下の手順で測定する。5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)を含む発色液1mL、検体50μLを混和後、フェニルメチルスルホニルフルオリドを含むエステラーゼ阻害液20μLを添加する。混和後、恒温槽で30℃にて5分間予熱する。予熱終了後、三酪酸ジメルカプロール、ドデシル硫酸ナトリウムを含む基質液100μLを加え、混和後30℃にて30分間インキュベーションする。反応停止液2mLを加え、反応を停止させる。吸光度412nmを測定する。 「ホスホリパーゼA2活性を有する酵素」は、ホスホリパーゼA2活性に対するホスホリパーゼA1活性が5%以下、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下である酵素である。「ホスホリパーゼA2」(以下、「PLA2」ともいう)は、水の存在下、グリセロリン脂質(例えば、レシチン)の2位のエステル結合を加水分解し、1−アシル−2−リゾリン脂質(以下、単に「1−アシルリゾリン脂質」ともいう:例えば、1−アシルリゾレシチン)と脂肪酸とを生成する触媒作用を有する酵素をいう。「ホスホリパーゼA1」(以下、「PLA1」ともいう)は、水の存在下、グリセロリン脂質(例えば、レシチン)の1位のエステル結合を加水分解し、2−アシル−1−リゾリン脂質(以下、単に「2−アシルリゾリン脂質」ともいう:例えば、2−アシルリゾレシチン)と脂肪酸とを生成する触媒作用を有する酵素をいう。2−アシルリゾリン脂質は次いで1−アシルリゾリン脂質に転位し得、ホスホリパーゼA1は、この1−アシルリゾリン脂質をさらに分解し得る。各酵素のPLA1活性またはPLA2活性は、公知の方法に従って測定し得、PLA2活性に対するPLA1活性は、得られた活性測定値に基づいて算出し得る。酵素のPLA2活性に対するPLA1活性は、10%レシチン溶液(Ultralec P(ADM社)を水に分散)0.2mLに、酵素を300U/gとなるように添加し、37℃にて60分反応させた後、クロロホルム:メタノール(2:1(v/v))10mLを添加して、脂質を抽出し、遠心した上清を高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析(例えば、非特許文献2に記載のHPLC法に従う。溶離液はエタノール(95%(v/v)):20mMシュウ酸=92:8(v/v)を使用)に供し、1−アシルリゾリン脂質および2−アシルリゾリン脂質のピーク面積を求め、それぞれのリゾリン脂質を定量し、これらのそれぞれの定量値からPLA1活性とPLA2活性との比を算出することにより決定し得る。「ホスホリパーゼA2活性に対するホスホリパーゼA1活性」は、PLA2活性を100としたときのPLA1活性を%として表す。 本発明の方法で使用される酵素は、ホスホリパーゼA活性に対し、リゾホスホリパーゼ活性が5%以下、かつ、リパーゼ活性が2%以下である。該酵素は、ホスホリパーゼA活性に対するリゾホスホリパーゼ活性が5%以下、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下である。該酵素は、ホスホリパーゼA活性に対するリパーゼ活性が2%以下、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、さらにより好ましくは0.3%以下である。ホスホリパーゼA活性に対するリゾホスホリパーゼ活性(%)およびホスホリパーゼA活性に対するリパーゼ活性(%)は、上記の測定法による活性測定値に基づいて算出することにより決定される。 本発明の方法で使用される酵素は、上で説明した活性を満たす限り、酵素の起源および調製方法は問わない。酵素の起源は、特に限定されないが、一般的には微生物起源の酵素が用いられる。このような微生物は、特に限定されず、例えば、放線菌(例えば、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、アクチノマヂューラ属(Actinomadura)、またはフランキア属(Frankia)に属する放線菌)が挙げられる。また、微生物は、天然に存在する野生型あるいは形質転換体のいずれであってもよい。酵素は、一般的には、微生物から単離または抽出された精製酵素または粗精製酵素として用いられる。酵素を固定化して用いてもよく、あるいは微生物菌体自体をそのまま用いてもよい。好ましくは、ストレプトマイセス属に属する放線菌由来酵素であり、このような酵素としては、例えば、ストレプトマイセス・ビオラセルバー(Streptomyces violaceoruber)NBRC15146株由来ホスホリパーゼA2(商品名「PLA2ナガセ」、ナガセケムテックス株式会社製)、ストレプトマイセス・エバミチルス(Streptomyces avermitilis)NBRC14893株由来ホスホリパーゼA2などが好適に用いられる。 ストレプトマイセス・ビオラセルバーNBRC15146株由来ホスホリパーゼA2は、上で説明した活性を満たし、好ましくは下記の理化学的性質を有する:(a)作用および基質特異性:1,2−ジアシルリン脂質の2位のアシル基がグリセロール骨格と結合する部位を加水分解し、2−アシル基を遊離する。(b)至適pH:7〜9(c)安定pH:4〜10(d)至適温度:50℃(e)安定温度:30−60℃(f)分子量:SDS−PAGEによる測定で14kDaである。 ストレプトマイセス・エバミチルスNBRC14893株由来ホスホリパーゼA2は、例えば、以下の調製例1に記載のようにして調製され得る。 ストレプトマイセス・ビオラセルバーNBRC15146株由来ホスホリパーゼA2は、例えば配列番号2に記載のアミノ酸配列を有し、ストレプトマイセス・エバミチルスNBRC14893株由来ホスホリパーゼA2は、例えば配列番号4に記載のアミノ酸配列を有する。本酵素は、上で説明した活性を満たす限り、天然型酵素のアミノ酸配列(例えば、配列番号2または4に記載のアミノ酸配列)に対して1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列を有する酵素であってもよい。当業者であれば、例えば、当業者が通常用いる部位特異的変異導入法などを用いて、適宜置換、欠失、挿入、および/または付加変異を導入することにより、タンパク質の構造を改変することができる。本発明において、置換、欠失、挿入、および/または付加することができるアミノ酸残基数は、通常45以下、例えば30以下、あるいは20以下、好ましくは16以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは0〜3アミノ酸残基である。また、アミノ酸の変異は自然界において生じることもあるので、人工的にアミノ酸を変異した酵素のみならず、自然界においてアミノ酸が変異した酵素も、上で説明した活性を満たす限り、本発明において用いられ得る。 上記天然型酵素のアミノ酸配列(例えば、配列番号2または4に記載のアミノ酸配列)に対して相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質も、上で説明した活性を満たす限り、本発明において用いられ得る。好ましくは、配列番号2または4に記載のアミノ酸配列と少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、なおより好ましくは少なくとも95%、さらになおより好ましくは少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質であり得る。タンパク質の相同性(ホモロジー)検索は、例えばSWISS-PROT、PIR、DADなどのタンパク質のアミノ酸配列に関するデータベース、またはDDBJ、EMBL、あるいはGene-BankなどのDNA配列に関するデータベース、DNA配列を元にした推定アミノ酸配列に関するデータベースなどを対象に、BLAST、FASTAなどのプログラムを利用して、例えば、インターネットを通じて行うことができる。タンパク質の活性の確認は、上記に記載の手順を利用して行い得る。 本発明で用いられ得る酵素は、例えば、配列番号1または3に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドまたは遺伝子によってコードされ得る。配列番号1および3に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドまたは遺伝子はそれぞれ、配列番号2および4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、すなわち、ストレプトマイセス・ビオラセルバーNBRC15146株由来ホスホリパーゼA2およびストレプトマイセス・エバミチルスNBRC14893株由来ホスホリパーゼA2をコードする。 本発明で用いられ得る酵素はまた、例えば、配列番号1または3に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドに相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズできるポリヌクレオチドによってコードされ、かつ上で説明した活性を満たす酵素であり得る。ストリンジェントな条件でハイブリダイズできるポリヌクレオチドとは、配列番号1または3に記載の塩基配列中の任意の少なくとも20個、好ましくは少なくとも30個、例えば40個、60個または100個の連続した配列を一つまたは複数選択してプローブを設計し、例えばECL direct nucleic acid labeling and detection system(Amersham Biosciences社製)を用いて、マニュアルに記載の条件において、ハイブリダイズするポリヌクレオチドを指す。より具体的には、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、通常、42℃、2×SSC、0.1% SDSの条件であり、好ましくは50℃、2×SSC、0.1% SDSの条件であり、さらに好ましくは、65℃、0.1×SSCおよび0.1% SDSの条件であるが、これらの条件に特に制限されない。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては、温度や塩濃度など複数の要素があり、当業者であればこれら要素を適宜選択することで最適なストリンジェンシーを実現することが可能である。 本発明の方法で使用される植物油は、未精製の植物油(以下、「未精製油」ともいう)である。植物油としては、食用として使用され得る植物油が好ましく、例えば、大豆油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、紅花油、落花生油、米油などが挙げられる。未精製油は、粗油、または予備的に水脱ガムした油であり得る。水脱ガムは、粗油に水を添加してまたは粗油に酸性水溶液(好ましくはpH3〜6の酸性水溶液)を添加して、加温(例えば、30〜90℃)下で攪拌(通常、0.5〜9時間)することによって行われ得る。酸性水溶液として、有機酸またはリン酸あるいはそれらの塩が使用され得る。有機酸あるいは有機酸塩は、好ましくは、酢酸、クエン酸あるいはそれらの塩である。より好ましくは、酢酸、リン酸、クエン酸などを1〜100mM含みpHを3〜6の範囲に調整したものである。 植物油を水および酵素で処理する工程については、未精製油に対して添加された水および酵素が未精製油中のリン脂質(ガム質)に作用できる限り、水および酵素の添加の順序または様式は問わない。植物油を水および酵素で処理する工程は、通常の植物油の製造における「脱ガム工程」(すなわち、粗油からリン脂質を水和析出させてガム質として取り除く工程)の間に行うことができる。植物油を水および酵素で処理する工程としては、例えば、酵素を水もしくは適当な水溶液に分散溶解して添加するか、または、酵素および水もしくは適当な水溶液を個々に添加し、これらを油中に分散させ、ガム質を水和させる;予め粗油に水もしくは適当な水溶液を添加してガム質を予備的に水和させ、次いで酵素(好ましくは水と共に)を添加するなどが挙げられる。本明細書中において、植物油を水および酵素で処理する工程における酵素添加後の処理を単に「酵素処理」という。 酵素処理は、好ましくはpH3〜10、より好ましくはpH4〜9、さらにより好ましくはpH5〜9の範囲内で行う。上記pHになるように、酵素を添加する前、同時、もしくは後に、アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム)が添加され得る。 酵素処理は、当該酵素の至適温度にもよるが、通常25〜80℃、好ましくは30〜60℃の条件下で、通常0.5〜8時間、好ましくは0.5〜5時間、行われ得る。 添加される酵素の量は、好ましくは、未精製油1kg当たり100〜5000ユニット、より好ましくは300〜3000ユニットである。添加される酵素の量はまた、好ましくは、酵素処理あたり1〜1000ppm、より好ましくは10〜500ppmである。 酵素処理に添加される水の量は、好ましくは、未精製油100質量部当たり0.5〜10質量部、より好ましくは0.5〜7.5質量部、さらにより好ましくは0.5〜5質量部である。 「脱ガム工程」において添加される水の量は、植物油中のガム質を水和させるのに必要な量である限り、特に制限はないが、好ましくは、粗油100質量部に対して0.5〜10質量部、より好ましくは0.5〜7.5質量部、さらにより好ましくは0.5〜5質量部である。「脱ガム工程」において添加される水は、予備的な水脱ガムに用いる水、酵素処理に用いられる水の合計であり得る。 植物油に添加される成分(例えば、酸性水溶液、アルカリ、酵素、および水)は、植物油に添加した後、適宜の乳化機(例えば、高速撹拌機、ホモミキサー、コロイドミル、パイプラインミキサー、超音波分散装置、高圧ホモジナイザー、バイブレーター、膜乳化装置など)を用いて乳化され得る。 酵素処理後、酵素を失活させるために加熱処理することが望ましい。 酵素処理は、バッチ式、多段バッチ式、あるいは連続式で行い得る。 植物油の精製方法では、酵素処理の後、ガム質が除去された植物油(すなわち、「脱ガム油」)を分離回収する。例えば、遠心分離機などの適宜手段によって、油相と水相とを分離し、分離後、油相を回収する。油相は、脱ガム油を含む。回収した油相をさらに上記の水脱ガムに供してもよい。 脱ガム油は、常法による脱色工程(色素を活性白土などに吸着させて除去する)および脱臭工程(臭気化合物を蒸留除去する)にさらに供され得る。脱臭工程において、脂肪酸もまた揮発除去され得る。 リゾリン脂質の製造方法では、酵素処理の後、リゾリン脂質を分離回収する。リゾリン脂質の分離回収のために、例えば、上述の水相を回収する。この水相をアセトン洗浄し、減圧乾燥することによって、リゾリン脂質が分離回収され得る。 また、リゾリン脂質の分離回収は、酵素処理後の液への水の添加によるガム質の水和析出;溶媒系(例えばn−ヘキサンと80(v/v)%エタノール水溶液)を用いる液々抽出;超臨界二酸化炭素による分別抽出などの公知の方法によっても行われ得る。 分離回収したリゾリン脂質は、さらにシリカゲル、セルロースイオン交換体などの担体を用いた液体クロマトグラフィーなどの適宜手段によって精製することができる。 本発明では、上記のように植物油を精製しながら、該植物油からリゾリン脂質を製造し得る。 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。 (調製例1) ストレプトマイセス・エバミチルスNBRC14893株からゲノムDNAを調製し、このゲノムDNAを鋳型として、配列番号5のフォワードプライマーおよび配列番号6のリバースプライマーを用いてPCR増幅し、遺伝子断片を得た。この遺伝子断片の塩基配列およびアミノ酸配列はそれぞれ、配列番号3および4に記載のとおりである。 pTONA5(特開2009−65837号公報)を制限酵素NdeIおよびHindIIIで処理し、上記遺伝子断片をNdeIおよびHindIIIで処理し、得られた2つの断片をライゲーションした後、大腸菌JM109に導入した。カナマイシンを選択マーカーにして、遺伝子断片含有pTONA5プラスミドを得た。得られた遺伝子断片含有プラスミドを接合性大腸菌S17−1に導入し、その形質転換された大腸菌から接合形質転換によりストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)1326株を形質転換した。なお、接合形質転換法については、以下のように行った: 1)遺伝子断片含有pTONA5プラスミドを保持する接合大腸菌(S17−1)をカナマイシン50μg/mL入りLB培地2〜5mL中で37℃にて終夜振とう培養した; 2)培養液1mLを遠心分離(8,000rpm、5分間、4℃)後、上清をデカンテーションで捨てた; 3)菌体ペレットをLB培地1mLに懸濁した後、上記操作2)と同様にして菌体を洗浄した。この操作を2回繰り返した; 4)洗浄した菌体ペレットを500μLのLB培地を添加し、ピペットで穏やかに懸濁させた; 5)上記操作4で得た大腸菌懸濁液から100μLを分取し、放線菌ストレプトマイセス・リビダンス1326株の胞子懸濁液(1010個/mL)10μLとピペッティングで混合した; 6)ISP4培地平板培地(DifcoTM ISP Medium 4:3.7%)に混合液の全量を塗布し、30℃にて18時間培養した;そして 7)カナマイシン50μg/mLおよびナリジキシン酸ナトリウム67μg/mLを含むNBソフトアガー(DifcoTM Nutrient broth:0.8%、寒天:0.5%)3mLを重層し、30℃にて5日間培養して、形質転換株を得た。 形質転換株を、グルコース2%、K2HPO4 0.8%、ポリペプトン(日本製薬製)0.5%、イーストエキストラクト(Difco製)0.5%、カナマイシン50μg/mL、pH7.0の培地において、28℃にて160rpmで72時間振盪培養した。培養培地は、500mL容バッフル付三角フラスコに25mLをそれぞれ分注し、121℃にて20分間の蒸気滅菌を予め行った(カナマイシンは滅菌後添加した)。菌体を除去した培養上清を酵素溶液として得た。 (酵素活性の測定) 以下の実施例および比較例でそれぞれ使用した酵素であるPLA2ナガセ(ナガセケムテックス株式会社製のホスホリパーゼA2)、調製例1の酵素、およびLecitase Ultra(非特許文献1)ならびに他のPLA2製品(Maxapal A2;DSM社製;ブタ膵臓由来PLA2コードポリペプチドをアスぺルギルス・ニガー(Aspergillus niger)で発現させた)について、ホスホリパーゼA活性、リゾホスホリパーゼ活性、リパーゼ活性、およびPLA2活性に対するPLA1活性を調べた: ホスホリパーゼA活性:大豆レシチンを基質にpH8.0、37℃で反応した際に、1分間に1μmolの脂肪酸を遊離する活性を1ユニットとする; リゾホスホリパーゼ活性:リゾホスファチジルコリン(Sigma, L0906)を基質にpH8.0、37℃で反応した際に、1分間に1μmolの脂肪酸を遊離する活性を1ユニットとする; リパーゼ活性:リパーゼキットS(DSファーマバイオメディカル株式会社)を使用して、以下の手順で測定した。5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)を含む発色液1mL、検体50μLを混和後、フェニルメチルスルホニルフルオリドを含むエステラーゼ阻害液20μLを添加した。混和後、恒温槽で30℃にて5分間予熱した。予熱終了後、三酪酸ジメルカプロール、ドデシル硫酸ナトリウムを含む基質液100μLを加え、混和後30℃にて30分間インキュベーションした。反応停止液2mLを加え、反応を停止させた。吸光度412nmを測定した; PLA2活性に対するPLA1活性:10%レシチン溶液(Ultralec P(ADM社)を水に分散)0.2mLに、酵素を300U/gとなるように添加し、37℃にて60分反応させた後、クロロホルム:メタノール(2:1(v/v))10mLを添加して、脂質を抽出し、遠心した上清を、HPLC法(カラム:Spherisorb Amino(Waters)(4.6μm, 250×150mm)、溶離液:エタノール(95%(v/v)):20mMシュウ酸=92:8(v/v)、流速1.0mL/分、カラム温度 室温、検出RI)に供し、1−アシルリゾリン脂質および2−アシルリゾリン脂質のピーク面積を求め、それぞれのリゾリン脂質を定量し、これらのそれぞれの定量値からPLA1活性とPLA2活性との比を算出することにより決定した。「ホスホリパーゼA2活性に対するホスホリパーゼA1活性」は、PLA2活性を100としたときのPLA1活性を%として表す。 上記測定により得られた活性に基づき、ホスホリパーゼA活性に対するリゾホスホリパーゼ活性(%)およびホスホリパーゼA活性に対するリパーゼ活性(%)を算出した。それぞれの酵素について、ホスホリパーゼA活性に対するリゾホスホリパーゼ活性(%)、ホスホリパーゼA活性に対するリパーゼ活性(%)、PLA2活性に対するPLA1活性の結果を以下の表1に示す。 PLA2活性に対するPLA1活性は、表1では「PLA2/PLA1」および「%」で表す。例えば、PLA2/PLA1=100/0.2は、PLA2活性に対するPLA1活性が0.2%であることを表す。PLA2ナガセ、調製例1の酵素、およびMaxapal A2は、PLA2活性に対するPLA1活性が5%以下であり、PLA2活性を有する酵素であることが確認できた。Lecitase Ultraは、PLA2/PLA1=0/100であり、これは、PLA1活性のみが測定され、PLA2活性が全くみられなかったことを表す。 PLA2ナガセ、調製例1の酵素、およびMaxapal A2は、ホスホリパーゼA活性に対するリゾホスホリパーゼ活性が5%以下であり、Lecitase Ultraは、6.4%であった。リゾホスホリパーゼ活性の割合が高くなれば、生成したリゾリン脂質が分解してしまう。 PLA2ナガセおよび調製例1の酵素はリパーゼ活性がほとんどなく、ホスホリパーゼA活性に対するリパーゼ活性が2%以下であるのに対し、Maxapal A2は、ホスホリパーゼA活性に対するリパーゼ活性が3.4%であり、Lecitase Ultraは、7115%であった。酵素処理では、処理対象である粗油中の主成分はトリグリセリド(約95%)であり、その粗油中に含まれる微量のリン脂質(約2%)を特異的に分解することが必要であり、そのためリパーゼ活性が少しでも副活性として含まれていると、粗油の主成分であるトリグリセリドに作用してしまい、精製油の収量が下がってしまう。 (精製油およびリゾリン脂質の評価方法) 以下の実施例および比較例で用いた測定法は以下の通りである: リンの定量には、ICP発光分析法を用いた; トリグリセリドの定量には、HPLC法(カラム:Inertsil SIL 100A (5μm, 250×150mm)、溶離液:ヘキサン/2−プロパノール(996/4)、流速1.0mL/分、カラム温度 40℃、検出RI)を用いた; リゾレシチンに含まれるリゾリン脂質の種類の決定は、リゾレシチンをクロロホルム/メタノール混合溶液(2/1(v/v))に溶解して、上記PLA2活性に対するPLA1活性の決定に用いたのと同じHPLC法に供し、ピーク位置から1−アシルリゾリン脂質または2−アシルリゾリン脂質を決定した。 (実施例1) 100gの大豆粗油(リン含量650ppm)を50℃に加温し、次いでこれに50質量%クエン酸水溶液0.13mLを添加し、これをホモミキサーを用いて13,000rpmにて1分間処理し、その後、50℃にて1時間緩やかに撹拌した。これに4N NaOH 315μLを添加し、これをホモミキサーを用いて13,000rpmにて1分間処理し、次いでこれにPLA2ナガセを30ppm添加し、さらに水を添加して系内の水相の量を2.5mLに調整した。これをホモミキサーを用いて13,000rpmにて1分間処理し、その後、37℃にて2時間緩やかに撹拌した。80℃にて30分間加熱して酵素を失活させた後、3,500rpmにて10分間遠心分離し、上層の油相(脱ガム油)および下層の水相をそれぞれ回収した。 油相中のリン量を定量した。また、油相中のトリグリセリド量を定量し、事前に定量していた粗油中のトリグリセリド量を用いてトリグリセリドの収率を算出した。 水相をアセトンで洗浄した後、減圧乾燥し、リゾレシチンを得た。リゾレシチン量を定量し、リゾレシチンに含まれるリゾリン脂質の種類を決定した。 (実施例2) 37℃にて2時間の撹拌条件を50℃にて2時間に変更した以外は、実施例1と同様の手順を行った。 (実施例3) 37℃にて2時間の撹拌条件を50℃にて2時間に変更し、そしてPLA2ナガセの添加量を30ppmから300ppmに変更した以外は、実施例1と同様の手順を行った。 (実施例4) PLA2ナガセを調製例1の酵素に変更し、その添加量を36Uに変更した以外は、実施例1と同様の手順を行った。 (比較例1) PLA2ナガセをLecitase Ultraに変更し、4N NaOHの添加量を315μLから110μLに変更した以外は、実施例1と同様の手順を行った。 (比較例2) 37℃にて2時間の撹拌条件を50℃にて2時間に変更した以外は、比較例1と同様の手順を行った。 (比較例3) 37℃にて2時間の撹拌条件を50℃にて2時間に変更し、そしてLecitase Ultraの添加量を30ppmから300ppmに変更した以外は、比較例1と同様の手順を行った。 実施例1〜4および比較例1〜3について、油相(脱ガム油)中のリン量、トリグリセリドの収率、得られたリゾレシチン量およびリゾレシチンに含まれるリゾリン脂質の種類を以下の表2に示す。 表2の結果から、PLA2ナガセを用いた実施例1〜3によれば、脱ガム油中のリン含量は全て25ppm未満であり、十分に精製されていることが分かった。実施例1〜3のいずれにおいてもトリグリセリド収率は約95%以上であり、37℃および50℃の両反応とも優れていた。調製例1の酵素を用いた実施例4によっても、脱ガム油中のリン含量は25ppm未満であり、十分に精製され、そして96%という高いトリグリセリド収率が得られた。 Lecitase Ultraを用いた比較例では、脱ガム油中のリン含量は全て25ppm未満であり、十分に精製されていたが、トリグリセリド収率に関しては、比較例2の50℃反応では、約95%の高い収率が得られたが、比較例1の37℃反応ではトリグリセリドが分解し、結果としてトリグリセリドの収率は低かった。50℃反応であっても酵素量を増大した比較例3では、リン脂質以外のトリグリセリドも分解してしまい、トリグリセリドの収率は低かった。 Lecitase Ultraはリパーゼ活性を含む(表1)ため、37℃程度の温度ではリパーゼ活性によりトリグリセリドを分解する。リパーゼ活性を抑制するためには、高温(例えば50℃)にする必要があり、これは、エネルギー効率的に好ましくない。高温下であっても酵素量を増大させると、リパーゼ活性によりトリグリセリドを分解する。一般的に粗油に含有されるリン脂質にはロット差があるので、酵素の添加量を粗油ロットごとに調節する必要が生じ、望ましくない。 実施例1〜4で得られたリゾリン脂質は1−アシルリゾリン脂質であり、これは、保存安定性が高い。他方、比較例1〜3で得られたリゾリン脂質は2−アシルリゾリン脂質であり、これは、保存安定性が低く分解されやすい。 さらに、比較例3では、リゾレシチン量が低くなり、得られたリゾリン脂質の純度が下がった。これは、Lecitase Ultraのリゾホスホリパーゼ活性によって、生成したリゾリン脂質がさらに分解されたことによる。 本発明によれば、植物油を効率的に精製できる方法、およびリゾリン脂質を効率的に製造できる方法が提供される。さらに、本発明によれば、植物油を精製すると共に、リゾリン脂質もまた製造できる方法が提供される。よって、本発明は、植物油の製造、ならびに食品および化粧品用乳化剤として有用なリゾリン脂質の製造に役立つ。 植物油を精製する方法であって、 該植物油を、水およびホスホリパーゼA2活性を有する酵素で処理する工程、および 該処理後の植物油から脱ガム油を分離回収する工程を含み、 該ホスホリパーゼA2活性を有する酵素が、 ホスホリパーゼA2活性に対するホスホリパーゼA1活性が5%以下であり、そして ホスホリパーゼA活性に対し、リゾホスホリパーゼ活性が5%以下、かつ、リパーゼ活性が2%以下である、 方法。 植物油からリゾリン脂質を製造する方法であって、 該植物油を、水およびホスホリパーゼA2活性を有する酵素で処理する工程、および 該処理後の植物油からリゾリン脂質を分離回収する工程を含み、 該ホスホリパーゼA2活性を有する酵素が、 ホスホリパーゼA2活性に対するホスホリパーゼA1活性が5%以下であり、そして ホスホリパーゼA活性に対し、リゾホスホリパーゼ活性が5%以下、かつ、リパーゼ活性が2%以下である、 方法。 植物油を精製し、かつ該植物油からリゾリン脂質を製造する方法であって、 該植物油を、水およびホスホリパーゼA2活性を有する酵素で処理する工程、および 該処理後の植物油を油相および水相に分離する工程、 該油相を回収する工程、および 該水相からリゾリン脂質を回収する工程を含み、 該ホスホリパーゼA2活性を有する酵素が、 ホスホリパーゼA2活性に対するホスホリパーゼA1活性が5%以下であり、そして ホスホリパーゼA活性に対し、リゾホスホリパーゼ活性が5%以下、かつ、リパーゼ活性が2%以下である、 方法。 前記ホスホリパーゼA2活性を有する酵素が、放線菌由来酵素である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。 【課題】植物油を効率的に精製できる方法、および植物油から効率的にレゾリン脂質を製造できる方法を提供すること。【解決手段】本発明は、植物油を精製する方法および植物油からリゾリン脂質を製造する方法を提供し、これらの方法は、該植物油を、水およびホスホリパーゼA2活性を有する酵素で処理する工程を含む。該ホスホリパーゼA2活性を有する酵素は、ホスホリパーゼA2活性に対するホスホリパーゼA1活性が5%以下であり、そしてホスホリパーゼA活性に対し、リゾホスホリパーゼ活性が5%以下、かつ、リパーゼ活性が2%以下である。本発明によれば、植物油を精製すると共に、リゾリン脂質もまた製造できる。【選択図】なし配列表