タイトル: | 公開特許公報(A)_プロピレンの製造方法 |
出願番号: | 2012117662 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C07C 1/24,C07C 11/06,C07B 61/00 |
吉岡 真人 横井 俊之 辰巳 敬 瀬戸山 亨 JP 2013245163 公開特許公報(A) 20131209 2012117662 20120523 プロピレンの製造方法 国立大学法人東京工業大学 304021417 三菱化学株式会社 000005968 重野 剛 100086911 吉岡 真人 横井 俊之 辰巳 敬 瀬戸山 亨 C07C 1/24 20060101AFI20131112BHJP C07C 11/06 20060101ALI20131112BHJP C07B 61/00 20060101ALN20131112BHJP JPC07C1/24C07C11/06C07B61/00 300 2 1 OL 13 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC25 4H006BA71 4H006DA15 4H039CA22 4H039CL25 本発明はメタノールおよび/またはジメチルエーテルを含む原料からプロピレンを製造する方法に関するものである。 プロピレンを製造する方法としては、従来からナフサのスチームクラッキングや減圧軽油の流動接触分解が一般的に実施されており、近年ではエチレンと2−ブテンを原料としたメタセシス反応やメタノールおよび/またはジメチルエーテルを原料としたMTO(メタノール to オレフィン)プロセスが知られている。 例えば特許文献1では、 MFI型アルミノシリケートであるZSM−5を活性成分とする触媒を用い、メタノールからプロピレンを製造している。 また特許文献2では、CHA型シリコアルミノフォスフェートであるSAPO−34を活性成分とする触媒を用いて、メタノールからプロピレンを製造している。 しかし、これら現在知られているMTO法では、エチレンとプロピレンが主生成物であり、かつエチレンがプロピレンと同量程度生成する。 一方で、エチレンを製造する方法としては、天然ガスに含まれるエタンを原料としたスチームクラッキング(以下、エタンクラッキング)が知られている。近年の天然ガス価格低下によって、エタンクラッキングは、ナフサのスチームクラッキングに対して著しくエチレン製造コストが低下してきていることから、エタンクラッキングによるエチレン生産が急激に拡大している。しかしながら、エタンクラッキングではナフサのスチームクラッキングとは異なり、炭素数3以上の炭化水素であるプロピレン、ブタジエンやブテン等がほとんど生成しないことから、炭素数3以上の炭化水素、特にプロピレンとブタジエンが不足するという状況が顕在化しつつある。 そこで、MTO法により、プロピレン等の炭素数3以上のオレフィンを選択的に製造することができ、かつエチレンの生成量が抑制された製造方法が求められている。尚、ブテンはブタジエンの原料となる有用物質であることから、特にプロピレンとブテンを効率よく製造することが重要である。USP4,148,835特開昭59−084829号公報 本発明は、メタノールおよび/またはジメチルエーテルを含む原料を、触媒と接触させて、効率良くプロピレンを製造する方法を提供することを課題とする。 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ある特定の構造を有するゼオライトを触媒活性成分として使用することにより、プロピレンを効率良く製造することができることを見出し本発明に至った。 すなわち、本発明の第1の要旨は、メタノールおよび/またはジメチルエーテルを含む原料を、触媒と接触させてプロピレンを製造する方法であって、前記触媒が、International Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでCON型構造であるゼオライトを活性成分として含むことを特徴とするプロピレンの製造方法、に存する。 本発明の第2の要旨は、上記方法において、ゼオライトが、ホウ素、ガリウムおよびアルミニウムより選ばれるいずれか1種以上を含むものであることを特徴とするプロピレンの製造方法、に存する。 本発明によれば、メタノールおよび/またはジメチルエーテルを原料として、CON型構造を有するゼオライトを活性成分として含む触媒を使用することにより、高収率でプロピレンを製造することができ、また、プロピレンと共にブテンを高収率で製造することができる。 また、本発明によれば、プロピレン製造時のエチレンの副生を抑制することができ、さらに反応による触媒のコーキングが少なく、触媒寿命が長いという効果も得ることができる。実施例1で用いたCON型ゼオライト粉末(調製例1)のXRDパターンを表すものである。実施例2で用いたCON型ゼオライト粉末(調製例2)のXRDパターンを表すものである。実施例3で用いたCON型ゼオライト粉末(調製例3)のXRDパターンを表すものである。実施例4で用いたCON型ゼオライト粉末(調製例4)のXRDパターンを表すものである。 以下に、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の態様に限定されるものではない。[触媒] 本発明においては、触媒として、International Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでCON型構造であるゼオライト(以下、「CON型ゼオライト」という)を触媒活性成分として含む触媒を用いる。 CON型ゼオライトは、その構成単位として、2つの12員環構造と、1つの10員環構造が交差した形状を有する3次元細孔構造を有するゼオライトである。この12員環構造を有するCON型ゼオライトは、8員環構造のみで構成されるCHA型ゼオライトや、10員環構造のみで構成されるMFI型ゼオライトと比較して、反応生成物の細孔内拡散が有利となり、炭素数3以上のオレフィン選択性に優れた触媒となる。また上記の通り、CON型ゼオライトは、12員環構造と10員環構造がジグザグに交差する構造をとり、3方向の細孔が1箇所で交差しないため、インターセクションのスペースが小さく、反応によるコークが生成しにくく、反応活性の顕著な低下を招きにくいと考えられ、触媒寿命が長いという利点もある。 本発明で用いられるCON型ゼオライトは、特に限定されるものではないが、好ましくは結晶性メタロシリケートである。前記メタロシリケートを構成する元素としては、特に限定はされないが、例えばアルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、錫(Sn)から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。 具体的に好ましくは、構成元素としてAlを含有する結晶性アルミノシリケートや、Gaを含有する結晶性ガロシリケートが挙げられる。これらのゼオライトは、ゼオライト骨格内のAlやGaが酸点となり、触媒反応の活性点として働くため、触媒活性に優れる。 また、本発明で用いられるCON型ゼオライトは、後述する原料ゲル中にホウ素化合物を添加することによって得られやすくなることから、Bを構成元素として含んでいてもよい。このような例としては、構成元素としてAlとBを含む結晶性ボロアルミノシリケートや、構成元素がGaとBを含む結晶性ガロボロシリケート等が挙げられる。 CON型ゼオライトとして好ましくは、Bを含むメタロシリケートであり、ボロアルミノシリケート、ガロボロシリケートが挙げられる。これらは、プロピレンおよびブテンの合計収率が高く、エチレン選択率が低いため、本発明に好適である。また、Gaを含むものは、芳香族化合物の副生もほとんど見られない点でも好ましい。 前記結晶性アルミノシリケート、結晶性ガロシリケートの場合、その構成元素の比率としては特に限定されるものではないが、そのSi/Alモル比、またはSi/Gaモル比は、通常5以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは25以上、特に好ましくは50以上、とりわけ好ましくは100以上であり、通常5000以下、好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下である。 これら結晶性アルミノシリケートや結晶性ガロシリケートの製造には、構成元素としてBのみを含む結晶性ボロシリケートを合成した後、ゼオライト骨格内のBを除去し、除去した箇所にAlやGa等の金属を導入する方法(ポスト処理)を採用しても良い。ゼオライト骨格内のBは酸処理や水蒸気処理等によって除去することが可能である。 また、前記結晶性ボロアルミノシリケート、結晶性ガロボロシリケートの場合、その構成元素の比率としては特に限定されるものではないが、結晶性アルミノシリケート、結晶性ガロシリケートと同様、そのSi/Alモル比、またはSi/Gaモル比は、通常5以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは25以上、特に好ましくは50以上、とりわけ好ましくは100以上であり、通常5000以下、好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下である。また、Si/Bモル比は、通常0.1以上、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、特に好ましくは15以上であり、通常5000以下、好ましくは1000以下、さらに好ましくは100以下である。 本発明で用いるCON型ゼオライトのイオン交換サイトは、特に限定されず、H型であっても、金属イオンで交換されたものであってもよい。ここで、金属イオンとは、具体的にはアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオン等である。 本発明において用いられるCON型ゼオライトのBET比表面積は、特に限定されるものではなく、通常200m2/g以上、好ましくは250m2/g以上、より好ましくは300m2/g以上であって、通常2000m2/g以下、好ましくは1500m2/g以下、より好ましくは1000m2/g以下である。 また、本発明において用いられるCON型ゼオライトの細孔容積は、特に限定されるものでなく、通常0.1ml/g以上、好ましくは0.2ml/g以上であって、通常3ml/g以下、好ましくは2ml/g以下である。 CON型ゼオライトは、J.Am.Chem.Soc.,117,3766−3779(1995)に記載の方法など公知の方法で合成したものなどを用いることができる。 CON型ゼオライトは一般的に水熱合成法によって調製することが可能である。例えば水にホウ素源、アルミニウム源、ガリウム源およびシリカ源等を加えて均一なゲルを生成させ、これに構造規定剤、好ましくはN,N,N−トリメチル−(−)−cis−ミルタニルアンモニウムハイドロキサイドを加えて攪拌し、得られた原料ゲルを加圧加熱容器中で120〜200℃に保持して結晶化させる。結晶化の際に、必要に応じて種結晶を添加してもよく、製造性の面では種結晶を添加する方が、操作性が向上する点で好ましい。次いで結晶化した原料ゲルを濾過および洗浄した後、固形分を100〜200℃で乾燥し、引続き400〜900℃で焼成することによって、ゼオライト粉末として得ることができる。 ここで、ホウ素源としてはホウ酸、ホウ酸ナトリウム、酸化ホウ素等の1種または2種以上を用いることができる。アルミニウム源としては硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、擬ベーマイト、アルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミン酸ナトリウム等の1種または2種以上を用いることができる。ガリウム源としては硝酸ガリウム、硫酸ガリウム、リン酸ガリウム、塩化ガリウム、臭化ガリウム、水酸化ガリウム等の1種または2種以上を用いることができる。シリカ源としては、フュームドシリカ、シリカゾル、シリカゲル、二酸化珪素、水ガラスなどのシリケートやテトラエトキシオルソシリケートやテトラメトキシシランなどの珪素のアルコキシド、珪素のハロゲン化物等の1種または2種以上を用いることができる。 本発明において用いられるCON型ゼオライトは、合成時に構成元素の量(Al,Ga,B等)を調節することで、含有金属量を調節することができる。また、構成元素の一部をスチーミングや酸処理等により除去して含有量を調整したものを用いることもできる。 CON型ゼオライトは、そのまま本発明における触媒として反応に用いても良いし、反応に不活性な物質やバインダーを用いて、造粒ないし成形して反応に用いても良い。該反応に不活性な物質やバインダーとしては、アルミナまたはアルミナゾル、シリカ、シリカゲル、シリケート、石英、および、それらの混合物等が挙げられる。これらの中でも工業触媒として強固な成形体ができるという点でシリケートが好ましい。これらの物質と混合することは、触媒全体のコスト削減、触媒再生時の熱遮蔽補助用熱シンクとしての作用に有効であり、また、触媒の高密度化、触媒強度増加にも効果的である。 本発明における触媒の粒径は合成時の条件により異なるが、通常、平均粒径として0.01〜500μm、好ましくは0.1〜10μmである。触媒の粒径が大き過ぎると、触媒活性を示す表面積が小さくなり、小さ過ぎると取り扱い性が劣る傾向があり、いずれの場合も好ましくない。この平均粒径は、レーザー回折測定によって求めることができる。ただし、レーザー回折法では0.1μm以下は測定できないので、レーザー回折法で測定した結果が0.1μm以下の場合は、走査型電子顕微鏡(SEM)により求めた値を、本発明でいう平均粒径とする。[メタノール、ジメチルエーテル] 次に、本発明で反応原料とするメタノール、ジメチルエーテルについて説明する。 反応原料として用いるメタノールおよび/またはジメチルエーテルの製造由来は特に限定されない。例えば、石炭および天然ガス、ならびに製鉄業における副生物由来の水素/COの混合ガスの水素化反応により得られるもの、植物由来のアルコール類の改質反応により得られるもの、発酵法により得られるもの、再循環プラスチックや都市廃棄物等の有機物質から得られるもの等が挙げられる。このとき各製造方法に起因するメタノールおよびジメチルエーテル以外の化合物が任意に混合した状態のものをそのまま用いても良いし、精製したものを用いても良い。 なお、反応原料としては、メタノールのみを用いてもよく、ジメチルエーテルのみを用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。メタノールとジメチルエーテルを混合して用いる場合、その混合割合に制限はない。[反応操作・条件] 以下に、前述の触媒および反応原料を用いる本発明のプロピレン製造反応の操作・条件について説明する。<反応器> 本発明の製造方法における反応様式としては、メタノールおよび/またはジメチルエーテル供給原料が反応域において気相であれば特に限定されず、流動床反応装置、移動床反応装置または固定床反応装置を用いた公知の気相反応プロセスを適用することができる。固定床反応装置の場合、特に附帯設備を含めた設備費、触媒コスト、運転管理の点で有利である。 また、バッチ式、半連続式または連続式のいずれの形態でも行われ得るが、連続式で行うのが好ましく、その方法は、単一の反応器を用いた方法でも良いし、直列または並列に配置された複数の反応器を用いた方法でもよい。 なお、流動床反応器に前述の触媒を充填する際、触媒層の温度分布を小さく抑えるために、石英砂、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ等の反応に不活性な粒状物を、触媒と混合して充填しても良い。この場合、石英砂等の反応に不活性な粒状物の使用量は特に制限はない。なお、この粒状物は、触媒との均一混合性の面から、触媒と同程度の粒径であることが好ましい。 また、反応器には、反応に伴う発熱を分散させることを目的に、反応基質(反応原料)を分割して供給しても良い。 本発明で用いる触媒は、従来の触媒に比べてコーキングが少なく、触媒劣化の速度は遅いが、長期間の運転を行う場合、例えば1年以上の連続運転を行う場合には運転中に触媒再生を行う必要がある。 従って、例えば、固定床反応器を選択する場合、反応器を少なくとも二つ以上設置し、反応と再生を切り替えながら運転することが望ましい。固定床反応器の形態としては、多管式の反応器または断熱型の反応器が選ばれる。 一方、流動床反応器を選択する場合、触媒を連続的に再生槽に送り、再生槽において再生された触媒を連続的に反応器に戻しながら反応を行うことが好ましい。 ここで、触媒の再生操作としては、反応器から導入された触媒を、酸素を含有した窒素ガス、水蒸気や水素などで処理することにより再生するものが挙げられる。<基質濃度> 反応器に供給する全供給成分中の、メタノールとジメチルエーテルの合計濃度(基質濃度)に関して特に制限はないが、メタノールとジメチルエーテルの和は、全供給成分中、90モル%以下が好ましい。更に好ましくは10モル%以上70モル%以下である。この基質濃度が高すぎると芳香族化合物やパラフィン類の生成が顕著になりプロピレンの選択率が低下する傾向がある。逆に、この基質濃度が低すぎると、反応速度が遅くなるため多量の触媒が必要となり、反応器、さらに生成物の精製コストや反応設備の建設費も大きくなり経済的でない。 従って、このような好ましい基質濃度となるように、必要に応じて以下に記載する希釈剤で反応基質を希釈することが好ましい。<希釈剤> 反応器内には、メタノールおよび/またはジメチルエーテルの他に、ヘリウム、アルゴン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、水、パラフィン類、メタン等の炭化水素類、芳香族化合物類、および、それらの混合物など、反応に不活性な気体を存在させることができるが、この中でもヘリウム、窒素、水(水蒸気)が共存しているのが、分離が良好であることから好ましい。 このような希釈剤としては、反応原料に含まれている不純物をそのまま使用しても良いし、別途調製した希釈剤を反応原料と混合して用いても良い。 また、希釈剤は反応器に入れる前に反応原料と混合しても良いし、反応原料とは別に反応器に供給しても良い。<重量空間速度> ここで言う重量空間速度とは、触媒(触媒活性成分)の重量当たりの反応原料であるメタノールおよび/またはジメチルエーテルの流量であり、ここで触媒の重量とは触媒の造粒・成形に使用する不活性成分やバインダーを含まない触媒活性成分の重量である。また、流量はメタノールおよび/またはジメチルエーテルの合計の流量(重量/時間)である。 重量空間速度は、通常、約0.01時間−1以上、好ましくは約0.05時間−1以上、より好ましくは約0.1時間−1以上、通常、約500時間−1以下、好ましくは約200時間−1以下である。重量空間速度が高すぎると原料のメタノールおよび/またはジメチルエーテルの転化率が低く、また、十分なプロピレン選択率が得られない。また、重量空間速度が低すぎると、一定の生産量を得るのに必要な触媒量が多くなり反応器が大きくなりすぎると共に、芳香族化合物やパラフィン等の好ましくない副生成物が生成し、プロピレン選択率が低下するため好ましくない。<反応温度> 反応温度の下限としては、通常約200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上であり、反応温度の上限としては、通常750℃以下、好ましくは700℃以下である。反応温度が低すぎると、反応速度が低く、未反応原料が多く残る傾向となり、更にプロピレンの収率も低下する。一方で反応温度が高すぎると触媒の安定活性が得られにくくプロピレンの収率が著しく低下する。なお、ここで、反応温度とは、触媒層入口の温度をさす。<反応圧力> 反応圧力の上限は通常5MPa(絶対圧、以下同様)以下、好ましくは2MPa以下であり、より好ましくは1MPa以下、特に好ましくは0.7MPa以下である。また、反応圧力の下限は特に制限されないが、通常0.1kPa以上、好ましくは7kPa以上、より好ましくは50kPa以上である。反応圧力が高すぎるとパラフィン類や芳香族化合物等の好ましくない副生成物の生成量が増え、プロピレンの収率が低下する傾向がある。反応圧力が低すぎると反応速度が遅くなる傾向がある。<反応生成物> 反応器出口ガス(反応器流出物)としては、反応生成物であるプロピレン、副生成物および希釈剤を含む混合ガスが得られる。該混合ガス中のプロピレン濃度は通常5〜95重量%である。 反応条件によっては反応生成物中に未反応原料としてメタノールおよび/またはジメチルエーテルが含まれるが、メタノールおよび/またはジメチルエーテルの転化率が100%になるような反応条件で反応を行うのが好ましい。それにより、反応生成物と未反応原料との分離が容易に、好ましくは不要になる。 副生成物としてはエチレン、炭素数が4以上のオレフィン類、パラフィン類、芳香族化合物および水が挙げられる。<生成物の分離> 反応器出口ガスとしての、反応生成物であるプロピレン、未反応原料、副生成物および希釈剤を含む混合ガスは、公知の分離・精製設備に導入し、それぞれの成分に応じて回収、精製、リサイクル、排出の処理を行えば良い。 この分離・精製方法の一つの態様として、反応器出口のガスを冷却・圧縮し、凝縮した大部分の水分を除去する工程を含み、水分を除去した後の一部水分を含んだ炭化水素流体をモレキュラーシーブ等で乾燥し、その後蒸留により各オレフィンおよびパラフィンを精製する工程を含む方法が適用される。上記方法において、圧縮した炭化水素流体を一つの蒸留塔に供給しても良いが、多段階の圧縮機を設置し、凝縮しやすい炭化水素と凝縮しにくい炭化水素を粗分離し、これらを別々の蒸留塔に供給して蒸留を行っても良い。 プロピレン以外の成分(オレフィン、パラフィン等)、特に炭素数4以上の炭化水素の一部または全ては、上記分離・精製された後に反応原料と混合するか、または直接反応器に供給することでリサイクルするのが好ましい。また、副生成物のうち、反応に不活性な成分は希釈剤として再利用することができる。 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。 なお、以下の調製例において、合成したゼオライトのX線回折(XRD)パターンは、リガク社製のRINT UltimaIIIを用いて得た。X線源はCuKαであり(X線出力:40kV、20mA)、読込幅は0.02°、走査速度は2.0°/minである。また、合成したゼオライトの組成は、ICP分析にて測定した。測定には島津社製ICPE-9000を用いた。[調製例1:CON型ボロアルミノシリケートの合成] 0.5M水酸化ナトリウム水溶液0.92g、0.75M N,N,N−トリメチル−(−)−cis−ミルタニルアンモニウムハイドロキサイド(以下「TMMAOH」と略記する。)水溶液2.1gおよび水7.1gを混合し、これにホウ酸0.011gおよび硫酸アルミニウム0.015gを加えて攪拌した後に、シリカ源としてヒュームドシリカ(Cab−O−Sil M−7D CABOT製)0.54gを加えて十分に攪拌した。さらに種結晶としてBEA型ボロシリケートを0.011g加えて、攪拌することにより反応混合物(以下、「原料ゲル」ということがある。)を調製した。 得られた原料ゲルをオートクレーブに仕込み、静置した状態において170℃、21日間加熱した。生成物を濾過、水洗した後、100℃で一晩乾燥させた。乾燥後に、空気雰囲気下、600℃で6時間焼成し、ナトリウム型ゼオライト粉末(ボロアルミノシリケート)を0.42g得た。 得られた粉末を2N硝酸アンモニウム水溶液中で80℃、1時間のイオン交換を行い、その後濾過した。濾過した粉末を再び2N硝酸アンモニウム水溶液中で80℃、1時間のイオン交換を行い、その後、濾過、乾燥してアンモニウム型ゼオライトを得た。その後空気雰囲気下、600℃で焼成してプロトン型ゼオライトを得た。 得られた粉末のXRDパターンを図1に示す。図1から、生成物はCON型構造を有するゼオライトであることが確認された。 調製例1の原料ゲルの組成および合成したゼオライトの組成を表1に示す。[調製例2:CON型ガロボロシリケートの合成] ホウ酸の量を0.022gに変更し、硫酸アルミニウムの替わりに硝酸ガリウム(III)・n水和物(n=7−9)0.020gを加えた以外は調製例1と同様の方法で合成し、ナトリウム型ゼオライト(ガロボロシリケート)を0.48g得た。その後のイオン交換および焼成を調製例1と同様に行うことによりプロトン型ゼオライトを得た。 得られた粉末のXRDパターンを図2に示す。図2から、生成物はCON型構造を有するゼオライトであることが確認された。 調製例2の原料ゲルの組成および合成したゼオライトの組成を表1に示す。[調製例3:CON型アルミノシリケートの合成] 0.5M水酸化ナトリウム水溶液3.6g、0.75M TMMAOH水溶液4.2gおよび水12.4gを混合し、これにホウ酸0.044gを加えて攪拌した後に、シリカ源としてヒュームドシリカ(Cab−O−Sil M−7D CABOT製)1.08gを加えて十分に攪拌した。さらに種結晶としてBEA型ボロシリケートを0.022g加えて、攪拌することにより反応混合物(以下、「原料ゲル」ということがある。)を調製した。 得られた原料ゲルをオートクレーブに仕込み、静置した状態において170℃、21日間加熱した。生成物を濾過、水洗した後、100℃で一晩乾燥させた。乾燥後に、空気雰囲気下、600℃で6時間焼成し、ナトリウム型ゼオライト粉末(ボロシリケート)を0.82g得た。 得られたボロシリケートのゼオライト骨格内のホウ素を抜き(脱ボロン)、アルミニウムに置換することを目的として、以下の操作(ポスト処理)を行った。 0.01M塩酸水溶液50gに得られたボロシリケート0.5gを加え、還流下100℃で24時間攪拌した。その後、ゼオライトを濾過、水洗した後、100℃で一晩乾燥させ、プロトン型ゼオライト粉末(シリケート)を得た。得られた粉末全量を、硝酸アルミニウム・9水和物1.5gを溶解した水溶液25gに加え、還流下100℃で12時間攪拌した。その後、ゼオライトを濾過、水洗した後、100℃で一晩乾燥させてプロトン型ゼオライト粉末(アルミノシリケート)を0.43g得た。 得られた粉末のXRDパターンを図3に示す。図3から、生成物はCON型構造を有するゼオライトであることが確認された。 調製例3の原料ゲルの組成、ポスト処理の組成および合成したゼオライトの組成を表1に示す。[調製例4:CON型アルミノシリケートの合成] 硝酸アルミニウム・9水和物を0.31gに変更した以外は調製例3と同様の方法で合成し、プロトン型ゼオライト粉末(アルミノシリケート)を0.40g得た。 得られた粉末のXRDパターンを図4に示す。図4から、生成物はCON型構造を有するゼオライトであることが確認された。 調製例4の原料ゲルの組成、ポスト処理の組成および合成したゼオライトの組成を表1に示す。[実施例1〜4] 調製例1〜4で得られたCON型ゼオライト触媒を用いて、プロピレンの製造を行った。 反応には、常圧固定床流通反応装置を用い、内径3mmの石英製反応管に、調製例1〜4で得られたCON型構造を有するゼオライト50mgをそれぞれ充填した。メタノール12.5モル%、ヘリウム87.5モル%の混合ガスをメタノールの重量空間速度が0.29時間−1となるように反応器に供給し、500℃、0.1MPa(絶対圧)で反応を行った。反応開始から1時間後にガスクロマトグラフィーで生成物の分析を行った。結果を表2に示した。[比較例1] 触媒としてMFI型構造を有するゼオライト(JRC−Z5−90H(1)、ゼオライト学会参照触媒)を用いた以外は実施例1〜4と同様の方法で反応を行った。結果を表2に示した。 実施例1〜4の結果から、CON型ゼオライトを用いた場合のプロピレン選択率ならびにプロピレンとブテンの選択率合計値は、比較例1のMFI型ゼオライトを用いた場合と比較して著しく高く、一方で、エチレン選択率は低いことが分かる。これは10員環構造のみで構成されるMFI型ゼオライトと比較して、CON型ゼオライトが12員環構造を有することにより反応生成物の細孔内拡散が有利となり、炭素数3以上のオレフィン選択性が向上したことによるものと推定される。 メタノールおよび/またはジメチルエーテルを含む原料を、触媒と接触させてプロピレンを製造する方法であって、前記触媒が、International Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでCON型構造であるゼオライトを活性成分として含むことを特徴とするプロピレンの製造方法。 前記ゼオライトが、ホウ素、ガリウムおよびアルミニウムより選ばれるいずれか1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの製造方法。 【課題】メタノールおよび/またはジメチルエーテルを含む原料を、触媒と接触させて、効率良くプロピレンを製造する方法を提供する。【解決手段】メタノールおよび/またはジメチルエーテルを含む原料を、触媒と接触させてプロピレンを製造する方法であって、前記触媒が、International Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでCON型構造であるゼオライトを活性成分として含むことを特徴とするプロピレンの製造方法。特定の構造を有するゼオライトを触媒活性成分として使用することにより、プロピレンを効率良く製造することができる。【選択図】図1