タイトル: | 公開特許公報(A)_貼付剤 |
出願番号: | 2012114952 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 47/38,A61K 9/70,A61K 47/36,A61K 47/34 |
守長 明伸 柳生 憲宏 中島 進吾 信藤 啓一郎 JP 2013241360 公開特許公報(A) 20131205 2012114952 20120518 貼付剤 株式会社カナエテクノス 302060568 シンワ株式会社 595031775 澤 喜代治 100084630 小川 泰州 100127764 守長 明伸 柳生 憲宏 中島 進吾 信藤 啓一郎 A61K 47/38 20060101AFI20131108BHJP A61K 9/70 20060101ALI20131108BHJP A61K 47/36 20060101ALI20131108BHJP A61K 47/34 20060101ALI20131108BHJP JPA61K47/38A61K9/70 405A61K47/36A61K47/34 7 OL 12 4C076 4C076AA77 4C076BB31 4C076DD38 4C076DD39 4C076EE23A 4C076EE30A 4C076EE32A 本発明は、皮膚表面に貼付して使用される貼付剤に関する。 皮膚表面に貼付して使用される貼付剤は、不織布などのシート状の基材の一面(片側面)にクリームやゲルなどの膏体を担持させたものが一般的であり、医薬品、医薬部外品、化粧品等の多岐の分野において利用されている。 最近では、膏体中に含まれる化粧料などの有効成分が、同じく膏体中に含まれる水分によって酸化したり変性したりすることを防止すべく、高分子化合物のナノファイバーからなる網目状構造体に化粧料或いは化粧料成分を保持させてなる化粧用シートが開発されている(例えば、下記特許文献1参照。)。 前記ナノファイバーは、高分子を電界紡糸法(エレクトロスピニング法)によって繊維化したものであり、繊維化の際に水分が殆ど揮散するため、前記網目状構造体は実質的に乾燥状態となる。そして、前記網目状構造体に化粧料或いは化粧料成分を保持させてなる化粧用シートは、使用時に、水分を含浸させた状態にて皮膚表面に貼着される。即ち、前記網目状構造体に保持された化粧料や化粧料成分は、使用時まで水分と接触することがないため、長期間にわたって酸化や変性が生じない。 又、前記特許文献1には、前記ナノファイバーからなる網目状構造体を基材(ラップ)の表面上に形成すれば、密封効果によって化粧料の皮膚への浸透が促進される旨が記載されている。特開2008‐178629号公報 ところで、皮膚表面に貼着して使用する貼付剤は、通常、皮膚表面に数分〜数十分程度貼着されることによって所望の効果を与えるように設計されている。もちろん、使用者の中には、時計で正確に時間を計りながら貼付剤を使用する者もいるが、多くの使用者は、貼付剤の貼着後、感覚的な判断で貼着を終了しているのが実情であり、所望の効果を十分に得ることなく短時間で貼着を終了してしまう場合もある。 又、前記特許文献1に記載の化粧用シートのように、水分を含浸させた状態にて皮膚表面に貼着されて使用される貼付剤は、使用中に含浸させた水が滴り落ちて、衣服や床、或いは家具などにシミをつける場合がある。更に、係る使用態様の貼付剤は、使用時に含浸させた水の量によって、前記網目状構造体中の化粧成分(薬効成分)の希釈倍率が変化するため、所望の効果が得られない場合がある。 本発明は、前記技術的課題を解決するために完成されたものであり、貼着の終了時点を目視にて確認することができ、且つ、取扱い性に優れる新規な貼付剤を提供することを目的とする。 本発明の貼付剤は、不織布からなる基材と、電界紡糸法によって繊維化された状態にて前記基材の一面に積層されてなる膏体と、を具備してなり、前記基材及び膏体に水分が含浸された状態で、皮膚表面に貼着されて使用される貼付剤であって、前記基材が0.1〜1.0mmの厚みとなされ、且つ、前記膏体が、0.1〜10g/m2の目付量にて、前記基材の一面に積層されてなることを特徴とする。 本発明においては、前記基材として「不織布」を使用する。前記「不織布」は、繊維を熱的、機械的、又は化学的な作用によって接着したり、絡み合わせたりして布状にしたものを意味する。本発明において、前記不織布の製法は、特に限定されない。係る製法としては、例えば、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法等のフリース形成法や、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法(水流絡合法)、ステッチボンド法、スチームジェット法等のフリース結合法などの製法を挙げることができる。 本発明において、前記基材としての不織布を構成する繊維の素材は、特に限定されるものではない。係る素材としては、例えば、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、レーヨン、アセテート、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸等の人工繊維、綿、麻、絹、パルプ繊維等の天然繊維から選ばれた一ないし複数種の素材からなる繊維を用いることができる。 本発明において、前記「膏体」は、電界紡糸法によって繊維化された状態にて前記基材の一面に積層される。更に詳しくは、本発明において、前記「電界紡糸法」とは、水やアルコール等の溶媒に高分子を溶解させた高分子溶液に、高電圧を作用させてナノサイズの繊維径を有する繊維(ナノファイバー)を作る方法(溶液型静電紡糸法)を意味する。現在、100種以上の高分子について、前記電界紡糸法による繊維化が実現されており、本発明において、前記膏体を構成する高分子としては特に限定されない。前記膏体を構成する高分子の好適な例としては、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの他、コラーゲンなどのタンパク質、プルラン、ヒアルロン酸、ポリ‐γ‐グルタミン酸、変性コーンスターチ、β‐グルカン、グルコオリゴ糖、トルナーレ(グルコシルトレハロースと水添デンプン分解物との混合物)などの多糖類を挙げることができる。 ところで、前記電界紡糸法によれば、前記高分子溶液中の前記高分子の含有割合を変更することによって、繊維状となされた膏体の繊維径を調整することができる。本発明においては、繊維状となされた膏体の繊維径を1〜500nm(好ましくは、100〜300nm)とすることが好ましい。 又、本発明においては、前記高分子と共に、油性成分、界面活性剤、保湿剤、防腐剤、抗酸化剤、pH調整剤等の種々の添加剤や、有効成分としての種々の薬剤等を前記高分子溶液中に添加することが好ましい。 前記油性成分としては、例えば、スクワラン、パラフィン、ワセリン等の炭化水素、オリーブ油、アーモンド油、カカオ脂、ホオバ油、マカデミアナッツ油、アボカド油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、月見草油、合成トリグリセライド等の油脂、ミツロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ等のロウ、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、コレステロール等の高級アルコール、IPM、グリセリントリエステル、ペンタエリスリトールテトラエステル、コレステリルエステル等の合成エステル、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シクロメチコン等のシリコーン油などを挙げることができる。 前記界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸石けん、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アシルN‐メチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、N‐アシルアミノ酸塩等のアニオン界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等のカチオン界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタイン、2‐アルキル‐N‐カルボキシ‐N‐ヒドロキシイミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、POEアルキルエーテル、POE・POPブロックポリマー、POE硬化ヒマシ油エステル等の非イオン性界面活性剤などを挙げることができる。 前記保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3‐ブチレングリコール、ジグリセリン、マンニトール、POEメチルグリコシド、クインスシード、ペクチン、セルロース誘導体、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ソアギーナ、カルボキシビニルポリマーなどを挙げることができる。 前記防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノール、チモール等を挙げることができる。 前記抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、EDTA,ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。 前記pH調整剤としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸や乳酸等の有機酸及びその塩などを挙げることができる。 有効成分として添加される前記薬剤としては、例えば、コルチコステロイド類、消炎鎮痛剤、高血圧剤、麻酔剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、降圧剤、抗生物質、抗菌性物質、ビタミン類、抗てんかん剤、冠血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌物質、昇華性結晶、ハッカ油、ユーカリ油、ラベンダー油、ホウ酸水、生理的食塩水、硫苦水、亜麻仁油、石灰水、肝油、リバノール水、過マンガン酸カリ液、メンタ水、クレオソート、カラシ、抗炎症剤、収れん剤、清涼化剤、ビタミン剤、ホルモン剤、抗ヒスタミン剤等の肌荒れ防止用薬剤、皮脂抑制剤、角質剥離・溶解剤等のニキビ用薬剤、アロエエキス、人参エキス、カンゾウエキス等の動植物抽出物、アミノ酸類の如き栄養剤等を挙げることができる。 そして、本発明においては、厚みが0.1〜1mmとなされた前記基材の一面(片側面)に対し、電界紡糸法によって繊維化された前記膏体を、0.1〜10g/m2の目付量にて積層する。 電界紡糸法の実行の際、前記高分子を溶解させた前記溶媒は、そのほとんどが揮散する。そのため、前記膏体は、実質的な乾燥状態にて前記基材の一面に積層されることになる。前記膏体の目付量0.1〜10g/m2は、前記基材1m2あたりに、積層されている実質的な乾燥状態の膏体の質量を意味する。厚みが0.1〜1mmとなされた前記基材の一面に、実質的な乾燥状態、且つ、目付量0.1〜10g/m2にて前記膏体が積層されてなる本発明の貼付剤は、非常に薄いフィルム状となる。 そして、前記構成を有する本発明の貼付剤は、前記基材及び前記膏体に水分が含浸された状態で、皮膚表面に貼着されて使用される。前記膏体に水分が含浸されると、前記膏体が湿潤状態となり、貼着された皮膚表面に潤いを与えたり、膏体に含まれる各種成分に応じた効能を経皮吸収的に投与したりする。 ここで、本発明の貼付剤は、前記基材の厚みが0.1〜1mmと非常に薄くなされているから、前記基材はわずかな水分しか吸収することができない。又、本発明の貼付剤は、前記膏体の目付量が0.1〜10g/m2となされ、薄膜状態にて前記基材の一面に積層されているから、前記膏体の吸収し得る水分量も少ない。 従って、本発明の貼付剤の使用中、前記基材や前記膏体から水分が漏出し、滴り落ちることが好適に防止される。なお、本発明の貼付剤においては、前記基材及び前記膏体に水分を含浸させた後、前記基材の表面をタオル等で軽く押さえて余分な水分を拭き取れば、より一層、水の滴り落ちを防止することができる。 又、本発明の貼付剤は、前記基材に少量の水分しか吸収されないことから、前記膏体中の各種成分の希釈倍率が極端に変化することがない。 更に、前記基材の厚みが0.1〜1mmと非常に薄くなされている本発明の貼付剤は、水分を含浸させると、前記基材中の繊維網間の間隙に水分が充填されて、ほぼ透明な状態で皮膚表面に貼着される。そして、本発明の貼付剤は、前記基材に少量の水分しか吸収されないことから、水分を含浸させて皮膚表面に貼着した後、数分〜数十分(好ましくは、5〜20分の範囲内)で前記基材中の水分が揮散して乾燥する。なお、本発明の貼付剤においては、前記膏体の目付量が0.1〜10g/m2と非常に少量であることから、膏体中に含まれる油性成分等が、前記基材中の水分の揮散を妨げない。 前記基材が乾燥すると、前記基材中の繊維網間の間隙に水分がなくなり、前記基材の透明な状態が喪失される。使用者において、前記基材が乾燥したことは、前記基材の透明な状態が喪失したことをもって容易に把握できる。即ち、本発明の貼付剤においては、水分を含浸させた後の前記基材の乾燥した時点が一応の貼着の完了となるように、前記基材の厚みを0.1〜1mmとし、且つ、前記膏体の目付量を0.1〜10g/m2に設定し、もって、水分の含浸後、数分〜十数分で前記基材中の水分が揮散するように設計している。これより、使用者は、本発明の貼付剤に水分を含浸させて皮膚表面に貼着した後、前記基材が乾燥した時点をもって貼着の終了時点として認識すれば良く、貼着の終了時点を容易に把握することができる。 本発明の貼付剤においては、 前記膏体が積層された一面と前記膏体が積層されていない他面とが視覚的に区別され得るように、前記基材の少なくとも他面側には、黒、又は有彩色から選ばれた一色、或いは複数色による着色若しくは模様が施されてなるものが好ましい態様となる。 前記基材の一面に積層された繊維状の前記膏体は、光を乱反射するため白色を呈する。従って、前記膏体を白色の基材の片側面に積層した場合、使用者は、前記基材のいずれの面に前記膏体が積層されているのかを視覚的に把握することが困難となる。特に本発明の貼付剤のように、前記基材の厚みを0.1〜1mmと非常に薄く設定したり、前記膏体の目付量を0.1〜10g/m2と非常に少なく設定して、前記膏体を薄膜状にしたりすると、係る表裏判断はより困難となる。 この点につき、前記基材の少なくとも他面側に、黒、又は有彩色のいずれかの着色若しくは模様を施せば、白色を呈する前記膏体が積層された一面と、前記膏体が積層されていない他面(着色された基材が露出された面)とが、視覚的に容易に区別されるようになる。 ここで、前記基材の少なくとも他面側に着色若しくは模様を施す手段としては、大きく分けて、顔料を練り込んだ繊維にて不織布を形成する手段と、形成された不織布を着色したり染色したり、印刷したりする手段の二通りがある。本発明においては、前述のいずれの手段を用いても良いが、使用時における色のシミ出しの防止の観点から、油性の顔料を練り込んだ繊維にて不織布を形成する手段によって前記基材に着色を施すことが好ましい。なお、一般的な織布や不織布においては、清潔感や衛生感を向上させることを目的として、前記繊維中に酸化チタン等の白色顔料が練り込まれているものがあるが、白色顔料が練り込まれている繊維によって形成された不織布は、水を含浸させた際に透明性が生じにくくなる。これより、本発明においては、白色顔料が練り込まれていない繊維を用いることが好ましい。 本発明の貼付剤においては、前記基材に、明度95%以下の着色若しくは模様が施されてなるものが好ましい態様となる。 前記基材に施された着色の明度が大きくなれば、前記基材は白色に近くなり、前記膏体を積層した面との区別がつき難くなる。これより、本発明の貼付剤においては、前記基材に、明度95%以下(好ましくは、80%以下)の着色を施すことが好ましい。 本発明の貼付剤においては、前記基材に、エンボス加工が施されてなるものが好ましい態様となる。 エンボス加工が施されてなる基材の片側面に膏体を塗布すれば、白色を呈する前記膏体が積層された一面(膏体によって凹凸模様が埋没した面)と、凹凸模様が露出された他面とを、視覚的に容易に区別することができる。又、触覚的に、前記一面と前記他面とを区別することも可能となる。なお、エンボス加工による凹凸模様の段差は、基材の厚みに対し、20〜80%程度とすることが好ましい。 本発明の貼付剤においては、前記基材に、複数の穿孔が形成されてなるものが好ましい態様となる。 複数の穿孔が形成されてなる基材の片側面に膏体を塗布すれば、白色を呈する前記膏体が積層された一面(膏体によって穿孔が覆われた面)と、穿孔が露出された他面とを、視覚的に容易に区別することができる。又、触覚的に、前記一面と前記他面とを区別することも可能となる。なお、穿孔の径は、0.1〜1mm程度とすることが好ましい。 本発明の貼付剤においては、前記膏体に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、高重合ポリエチレングリコール、又はヒドロキシエチルセルロースから選ばれた少なくとも一種以上が配合されてなるものが好ましい態様となる。 本発明の貼付剤は、貼着の終了時点を目視にて確認することができ、しかも、取扱い性に優れる。[実施例1]‐基材(不織布)の製造‐ 赤色の油性顔料が練り込まれたポリプロピレンのペレットを押出機にて熱をかけて溶かし、ノズルから押し出す。押し出されたポリプロピレンをエジェクター装置にて引っ張り、冷風で冷やすことにより、繊維径20μm以下のポリプロピレン繊維を形成した。次いで、前記繊維をネット状のコンベア(コレクター)に振り落とし、ウェブを形成した。最後に、ヒートロールにて前記ウェブに熱をかけ、繊維同士を融着することにより、厚さ0.3mmの基材(フィルム状のスパンボンド不織布(赤色))を得た。‐膏体の積層‐ 下記表1に記載の成分からなる膏体前駆体を専用の容器に入れ、電極側に供給する。電極から22cm離れた位置には板状のアース電極が配置されており、このアース電極に前記スパンボンド不織布を広げる。この状態で、前記電極とアース電極との間に80kVの電圧を印加したところ、前記基材の一面に繊維径100〜300nmの繊維状となされた膏体が、目付量1g/m2にて積層された。これにより本発明の貼付剤を得た。前記基材上に積層された膏体中の成分を下記表1に併せて示す。 得られた貼付剤は、膏体が積層された一面側が白色を呈し、膏体が積層されていない他面側が赤色を呈しており、膏体が積層されている一面側を視覚的に容易に把握することができるものであった。 この貼付剤を5cm×5cmの正方形に切断し、膏体が積層された一面側を皮膚表面に接触させた状態にて手の甲に乗せ、露出している他面側から水を数滴垂らすことによって、前記基材及び前記膏体に水分を含浸させ、もって皮膚表面に貼着した。水分が含浸された貼付剤は、速やかに皮膚表面に密着した。なお、水分が含浸された状態において、前記貼付剤は、わずかに赤みがかった透明を呈した。 皮膚表面への貼着後、約10分経過したところで、前記基材が乾燥し、その透明性が喪失した。なお、皮膚表面への貼着中、前記貼付剤に含浸させた水が漏出することはなかった。 以上の結果より、本発明の貼付剤によれば、貼着の終了時点を目視にて確認することができ、且つ、取扱い性に優れ、しかも、膏体が積層された一面と前記膏体が積層されていない他面とを容易に区別することができることが確認された。[実施例2、3、比較例1、2] 基材(ポリプロピレン製のスパンボンド不織布)の厚み下記表2に示されたように変え、た以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2及び3に係る本発明の貼付剤と、比較例1及び2に係る本発明の貼付剤を得た。 得られた各種貼付剤を前記実施例1と同様にして、5cm×5cmの正方形に切断し、膏体が積層された一面側を皮膚表面に接触させた状態にて手の甲に乗せ、前記基材及び前記膏体に水分を含浸させて皮膚表面に貼着し、乾燥するまでの時間(透明性を喪失するまでの時間)を測定した。その結果を下記表2に併せて示す。 表2に示す結果より、基材の厚みが厚くなれば、水分の含浸後、前記基材が乾燥状態になるまでの時間が長くなる傾向があることが認められた。そして、基材の厚みが0.1〜1.0mmの範囲にあれば、水分の含浸後、5分〜20分で前記基材中の水分が揮散し、前記基材が乾燥状態となることが確認された。 一方、比較例1に係る貼付剤は、基材の水分保持量が少なすぎ、貼着後、わずか2分で乾燥することが認められた。又、比較例2に係る貼付剤は、基材の水分保持量が多すぎて、貼着後30分以上経過しなければ、乾燥を確認することができなかった。[実施例4、5、比較例3、4] 膏体の目付量を下記表3に示されたように変えた以外は、前記実施例1と同様にして、実施例4及び5に係る本発明の貼付剤と、比較例3及び4に係る本発明の貼付剤を得た。 得られた各種貼付剤を前記実施例1と同様にして、5cm×5cmの正方形に切断し、膏体が積層された一面側を皮膚表面に接触させた状態にて手の甲に乗せ、前記基材及び前記膏体に水分を含浸させて皮膚表面に貼着し、乾燥するまでの時間(透明性を喪失するまでの時間)を測定した。その結果を下記表3に併せて示す。 表3に示す結果より、膏体の目付量が多くなれば、水分の含浸後、前記基材が乾燥状態になるまでの時間が長くなる傾向があることが認められた。これは、膏体の目付量が多くなると、膏体中の油性成分が水分の揮散を抑制するからと考えられる。 そして、膏体の目付量が0.1〜10g/m2の範囲にあれば、水分の含浸後、5分〜15分で前記基材中の水分が揮散し、前記基材が乾燥状態となることが確認された。 一方、比較例3に係る貼付剤は、膏体の目付量が少なすぎて、貼着後、わずか3分で乾燥することが認められた。又、比較例4に係る貼付剤は、膏体の目付量が多すぎて、貼着後20分以上経過しなければ、乾燥を確認することができなかった。 なお、前記実施例1〜5では、いずれも表1に示す組成の膏体前駆体を電界紡糸法にて繊維化することにより、本発明の貼付剤を製造しているが、前記膏体前駆体の成分としては、特に限定されるものではない。例えば、3〜15重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースのみを水に溶かして作成した膏体前駆体、1〜15重量%のプルランのみを水に溶かして作成した膏体前駆体、0.5〜8重量%の高重合ポリエチレングリコールのみを水に溶かして作成した膏体前駆体、及び、1〜5重量%のヒドロキシエチルセルロースのみを水に溶かして作成した膏体前駆体について、電界紡糸法にて繊維化して膏体とした本発明の貼付剤を製造したところ、いずれも、前記実施例1〜5によって確認された事項の範疇に入り得るものとなることが確認されている。 又、前記実施例1〜5では、いずれもポリプロピレン製スパンボンド不織布を基材として本発明の貼付剤を製造しているが、前記基材としては、特に限定されるものではない。例えば、リヨセル、レーヨン、レーヨン/PET混綿、又はPETを素材としたスパンレース不織布や、ポリ乳酸、PET、ナイロン6、ポリプロピレン/ポリエチレン(芯鞘)、又は、親水性ポリプロピレン等を素材としたスパンボンド不織布を基材として用いて本発明の貼付剤を製造したところ、いずれも、前記実施例1〜5によって確認された事項の範疇に入り得るものとなることが確認されている。 このうち、ポリ乳酸やポリプロピレン、或いはPETを素材として形成された不織布は、水分を含浸させた際に特に透明度が高くなることが確認されている。一方、酸化チタンなどの白色顔料を練り込んだ素材から形成された不織布は、水分を含浸させた際に、透明度が低くなることが確認されている。 又、繊維に対し、界面活性剤処理、親水物の練り込み、或いはコロナ放電処理やプラズマ処理等の親水化処理を施してなる不織布については、水分が速やかに浸透することが確認されている。 更に、前記実施例1〜5では、赤色に着色された不織布を基材として用いて本発明の貼付剤を製造しているが、着色される色は赤色に限られず、黒、又は有彩色であれば、膏体が積層されている一面側を視覚的に容易に把握することができることが確認されている。好ましい色の例としては、赤、ピンク等の赤系統、青、水色、緑、黄緑等の青系統、黄色、オレンジ等の黄系統の他、ベージュや灰色、黒等を挙げることができる。[実施例6]‐基材の製造‐ ポリプロピレンのペレット(顔料が練り込まれていないもの)を押出機にて熱をかけて溶かし、ノズルから押し出す。押し出されたポリプロピレンをエジェクター装置にて引っ張り、冷風で冷やすことにより、繊維径20μm以下のポリプロピレン繊維を形成した。次いで、前記繊維をネット状のコンベア(コレクター)に振り落とし、ウェブを形成した。ヒートロールにて前記ウェブに熱をかけ、繊維同士を融着することにより、厚さ0.3mmの基材(フィルム状のスパンボンド不織布(白色))を得た。得られた不織布に対してローラによるエンボス加工を施し、不織布の表裏面に対し、凹凸模様を形成させることによって基材を作成した。‐膏体の積層‐ 前記実施例1と同様にして、前記基材の一面に繊維径100〜300nmの繊維状となされた膏体を、目付量1g/m2にて積層し、本発明の貼付剤を得た。 得られた貼付剤は、積層された膏体によって、一面側の凹凸模様が埋没して平面状となっている一方で、膏体が積層されていない他面側に凹凸模様を有してなり、一面側と他面側とを視覚的に容易に把握することができるものであった。又、凹凸模様によって、膏体が積層されていない他面側を触覚的に把握することもできるものであった[実施例7]‐基材の製造‐ 前記実施例6と同様にして、厚さ0.3mmの基材(フィルム状のスパンボンド不織布(白色))を得た。得られた不織布に対して、ローラによる穿孔加工を施し、不織布の表裏を貫通する複数の穿孔(0.5mm径)を形成させることによって基材を得た。‐膏体の積層‐ 前記実施例1と同様にして、前記基材の一面に繊維径100〜300nmの繊維状となされた膏体を、目付量1g/m2にて積層し、本発明の貼付剤を得た。 得られた貼付剤は、積層された膏体によって、一面側の穿孔が覆われて平面状となっている一方で、膏体が積層されていない他面側に穿孔を有してなり、一面側と他面側とを視覚的に容易に把握することができるものであった。又、穿孔によって、膏体が積層されていない他面側を触覚的に把握することもできるものであった なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態及び実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。 本発明の外用貼付剤は、医薬品、医薬部外品或いは化粧品等の種々の用途に適用することができる。 不織布からなる基材と、電界紡糸法によって繊維化された状態にて前記基材の一面に積層されてなる膏体と、を具備してなり、前記基材及び膏体に水分が含浸された状態で、皮膚表面に貼着されて使用される貼付剤であって、 前記基材が0.1〜1.0mmの厚みとなされ、且つ、前記膏体が、0.1〜10g/m2の目付量にて、前記基材の一面に積層されてなることを特徴とする貼付剤。 請求項1に記載の貼付剤において、 前記膏体が積層された一面と前記膏体が積層されていない他面とが視覚的に区別され得るように、前記基材の少なくとも他面側には、黒、又は有彩色から選ばれた一色、或いは複数色による着色若しくは模様が施されてなることを特徴とする貼付剤。 請求項2に記載の貼付剤において、 前記基材が、黒、又は有彩色のいずれかの顔料が練り込まれた繊維を素材として形成されてなる貼付剤。 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の貼付剤において、 前記基材には、明度95%以下の着色若しくは模様が施されてなる貼付剤。 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の貼付剤において、 前記基材には、エンボス加工が施されてなる貼付剤。 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の貼付剤において、 前記基材には、複数の穿孔が形成されてなる貼付剤。 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の貼付剤において、 前記膏体には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、高重合ポリエチレングリコール、又はヒドロキシエチルセルロースから選ばれた少なくとも一種以上が配合されてなる貼付剤。 【課題】貼着の終了時点を目視にて確認することができ、且つ、取扱い性に優れ、しかも、膏体が積層された一面と前記膏体が積層されていない他面とを容易に区別することができる新規な貼付剤を提供することを目的とする。【解決手段】 水分が含浸された状態で皮膚表面に貼着されて使用される貼付剤において、不織布からなる基材を0.1〜1.0mmの厚みとし、且つ、0.1〜10g/m2の目付量にて、前記基材の一面に膏体を電界紡糸法にて積層する。【選択図】なし