生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物の製造方法
出願番号:2012114461
年次:2013
IPC分類:C07D 307/60,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

藤本 泰佑 樋田 幸三 JP 2013241349 公開特許公報(A) 20131205 2012114461 20120518 4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物の製造方法 帝人株式会社 000003001 為山 太郎 100169085 藤本 泰佑 樋田 幸三 C07D 307/60 20060101AFI20131108BHJP C07B 61/00 20060101ALN20131108BHJP JPC07D307/60 ZC07B61/00 300 5 OL 5 4C037 4H039 4C037KA06 4H039CA19 4H039CA42 4H039CF10 本発明はパラトルイル酸メチルと無水マレイン酸をジターシャリーブチルペルオキサイドの存在下で4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物を高収率で合成する方法に関するものである。 この化合物は後に環化、水添、脱水素反応を経て2,6−ナフタレンジカルボン酸を得ることができる。2,6−ナフタレンジカルボン酸はエンジニアリングプラスチックの原料として工業的に重要である。例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールより得られるPEN樹脂は、耐熱性、強度に優れており、工業的に多くの重要な用途がある。パラトルイル酸メチルと無水マレイン酸を出発物質とし、2,6−ナフタレンジカルボン酸を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。しかしながら上記の方法ではパラトルイル酸メチルと無水マレイン酸の付加反応の収率が低いという欠点がある。特開昭51−105045号公報特開昭51−136659号公報 本発明では上記の従来の技術の問題点を解決し、パラトルイル酸メチルと無水マレイン酸を付加反応させ、4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物を高収率で製造する方法を提供するものである。 本発明者らは上記従来技術に鑑み、鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、パラトルイル酸メチルと無水マレイン酸を、ラジカル開始剤の存在下、190℃〜220℃の温度で付加反応させることを特徴とする4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物の製造方法に関するものである。 本発明の効果により2,6−ナフタレンジカルボン酸の原料となる4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物について高収率で製造することができる。 本発明の化学反応式を示せば、下記の通りである。 本発明において出発原料として用いられるパラトルイル酸メチルは、例えば工業的にキシレンの酸化反応における中間体として容易に入手することができる。また、無水マレイン酸は不飽和ポリエステル等の素原料として大量に生産されており、容易に入手することができる。本願発明の付加反応においては、ラジカル開始剤を用いるので当該開始剤を有効に付加反応に対して働かせるために、双方の原料とも十分に精製して脱水処理をしておくことが好ましい。脱水方法としては活性アルミナ、シリカゲル、モレキュラーシーブ、による吸着分離処理、金属ナトリウム、金属カリウム、水素化ナトリウムなどの化合物と予め接触させて脱水処理を挙げることができる。脱水処理後のこれらの原料中の水分率は1000ppm以下、好ましくは500ppm以下である。 本発明においてはパラトルイル酸メチルと無水マレイン酸とを190〜220℃の温度下で付加反応させて目的化合物を製造する。その際、反応器中にラジカル開始剤としてパーオキサイド、例えばジターシャリーブチルペルオキサイド、ジクルミルペルオキシド、ジメチルジオキシラン、過酸化アセトン、メチルエチルケトンペルオキシド、ヘキサメチレントリペルオキシドアミン等を存在させることが好ましい。中でもラジカル開始剤としてジターシャリーブチルペルオキサイドを用いることが好ましい。このラジカル開始剤の使用量は無水マレイン酸1モルに対し0.04〜0.09モルの範囲であることが好ましい。ラジカル開始剤の使用量が0.04モル未満であると、付加反応が十分に進行しない場合があり、0.09モルを超えると副反応が起こりやすくなり、目的化合物の収率が減少することがあり好ましくない。 該付加反応は常圧下190℃〜220℃の温度下で、好ましくは190〜210℃、より好ましくは190〜205℃の温度下で行われる。また、反応器内の雰囲気は、特に制限はないが不活性ガス例えば窒素ガスまたはヘリウム、ネオン、アルゴンその他の希ガス等の雰囲気としておくことが好ましく用いられる。 パラトルイル酸メチルと無水マレイン酸のモル比は、化学量論的には1:1でよいが、副反応例えば無水マレイン酸の重合等を避けるために、出来るだけパラトルイル酸メチルを過剰とするのが望ましい。反応開始時には、反応容器内にはラジカル開始剤も存在するので、上記した無水マレイン酸同士がラジカル重合する可能性が高まるものと考えられるからである。更に無水マレイン酸のみをパラトルイル酸メチル中に滴下した場合は、滴下直後の滴下地点においては無水マレイン酸が過剰に含まれていることになり、上記の懸念が起こる可能性があると考えられる。よって無水マレイン酸をパラトルイル酸メチルまたはパラトルイル酸メチル以外の溶媒に溶解した溶液を滴下し付加反応を行うことが好ましい。また上記の操作を行う時に、当該無水マレイン酸と、パラトルイル酸メチルまたはパラトルイル酸メチル以外の溶媒の重量比率が1:1〜1:4であることが好ましい。このような操作を採用することにより、滴下直後の滴下地点における無水マレイン酸濃度を下げることができることだけでなく、無水マレイン酸を溶解しているパラトルイル酸メチルまたは溶媒の存在により、また更に反応容器中において攪拌操作を伴うことにより、無水マレイン酸が反応容器内にあるパラトルイル酸メチル中へすばやく拡散されることになる。そして、上記懸念事項の発生を抑制することができるものと考えられる。この結果、目的化合物を収率良く製造することができる。 別の方法として、無水マレイン酸濃度を可及的に小さくし、副反応を抑制する反応方法としては例えばパラトルイル酸メチルと無水マレイン酸を含むことがある反応液中に、無水マレイン酸(上記のようなパラトルイル酸メチルまたはパラトルイル酸メチル以外の適切な溶媒に溶解した溶液であっても良い。)と、ジターシャリーブチルペルオキサイド等のラジカル開始剤を別々に滴下しながら付加反応させる方法を採用することもできる。原料とラジカル開始剤を一括で反応容器に仕込む場合と対比して、多量のラジカル開始剤と無水マレイン酸が反応容器中で接触することを避けることができるからである。また、パラトルイル酸メチルに無水マレイン酸を0.004〜0.005モル/分の速度で滴下し、付加反応を行うことが好ましい。このような操作を行うことにより、目的化合物を収率良く製造することができる。 上記付加反応の終了後の反応生成物は圧力30〜70mmHg(4.00〜9.33kPa)、温度150〜200℃の条件下で減圧蒸留を行うことにより精製することが好ましい。より好ましくは40〜60mmHg(5.33〜8.00kPa)、170〜190℃の条件下で減圧蒸留を行うことである。 以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。 [実施例1] パラトルイル酸メチル600gをセパラブルフラスコへ入れ、30分間系内を窒素で置換した。その後、200℃に加熱し、撹拌しつつ、パラトルイル酸メチル300gに無水マレイン酸100g、ジターシャリーブチルペルオキサイド12g(無水マレイン酸1モルに対して0.0805モルに相当する。)を溶解したものを3時間30分かけて滴下しつつ加えた。このときの無水マレイン酸の滴下速度は0.00486モル/分に相当する。合計反応時間を4時間とし、反応終了後過剰のパラトルイル酸メチルを180℃、50mmHg(6.66kPa)の条件下で減圧蒸留し、精製した。その結果4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物222.3gを得た。無水マレイン酸基準の付加物単離収率は89.6%であった。 [実施例2] 反応温度を190℃とした以外は実施例1と同じ方法で反応を行った。反応終了後過剰のパラトルイル酸メチルを減圧下、実施例1と同様の条件により蒸留し、精製した。その結果4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物188.6gを得た。無水マレイン酸基準の付加物単離収率は76.1%であった。 [比較例1] 反応温度を180℃とした以外は実施例1と同じ方法で反応を行った。反応終了後過剰のパラトルイル酸メチルを減圧下、蒸留し、精製した。その結果4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物86.1gを得た。無水マレイン酸基準の付加物単離収率は34.7%であった。 本発明の製造方法により2,6−ナフタレンジカルボン酸の原料となる4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物を高収率で製造することができる。 パラトルイル酸メチルと無水マレイン酸を、ラジカル開始剤の存在下、190℃〜220℃の温度で付加反応させることを特徴とする4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物の製造方法。 パラトルイル酸メチルに無水マレイン酸を0.004〜0.005モル/分の速度で滴下し、付加反応を行うことを特徴とする請求項1に記載の4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物の製造方法。 付加反応後、圧力30〜70mmHg(4.00〜9.33kPa)、温度150〜200℃の条件下で減圧蒸留にて精製することを特徴とする請求項1または2に記載の4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物の製造方法。 ラジカル開始剤としてジターシャリーブチルペルオキサイドを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物の製造方法。 パラトルイル酸メチルに、パラトルイル酸メチルまたはパラトルイル酸メチル以外の溶媒に無水マレイン酸を溶解した溶液を滴下し付加反応を行い、当該無水マレイン酸と、溶媒またはパラトルイル酸メチルの重量比率が1:1〜1:4であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物の製造方法。 【課題】パラトルイル酸メチルと無水マレイン酸より高収率で4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物を製造する方法を提供する。【解決手段】パラトルイル酸メチルと無水マレイン酸をラジカル開始剤ジターシャリーブチルペルオキサイドを用いて付加反応させることで4−カルボアルコキシベンジルコハク酸無水物を製造する。【選択図】なし


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