生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_イマチニブメシル酸塩経口投与製剤
出願番号:2012101802
年次:2013
IPC分類:A61K 31/506,A61K 47/02,A61K 47/22,A61P 35/00,A61P 35/02


特許情報キャッシュ

木村 直 山極 大輔 JP 2013216644 公開特許公報(A) 20131024 2012101802 20120411 イマチニブメシル酸塩経口投与製剤 高田製薬株式会社 000169880 木村 直 山極 大輔 A61K 31/506 20060101AFI20130927BHJP A61K 47/02 20060101ALI20130927BHJP A61K 47/22 20060101ALI20130927BHJP A61P 35/00 20060101ALI20130927BHJP A61P 35/02 20060101ALI20130927BHJP JPA61K31/506A61K47/02A61K47/22A61P35/00A61P35/02 4 書面 7 4C076 4C086 4C076AA30 4C076AA31 4C076AA36 4C076AA53 4C076BB01 4C076CC27 4C076DD24 4C076DD59 4C076EE31 4C076FF63 4C086AA10 4C086BC50 4C086GA07 4C086GA08 4C086GA12 4C086MA02 4C086MA05 4C086MA35 4C086MA36 4C086MA37 4C086MA41 4C086MA43 4C086MA52 4C086NA03 4C086ZB26 4C086ZB27 本発明は、イマチニブメシル酸塩(以下、単に「イマチニブ」と記載することもある。)を含有する経口投与製剤に関する。詳しくは、保管期間の長期化および治療方法の改善を可能とする安定なイマチニブ経口投与製剤に関する。より具体的には、本発明は、安定化剤として抗酸化剤を用いて、経口投与製剤とすることにより、より安定したイマチニブ経口投与製剤に関する。 イマチニブは、米国特許第5521184号により公知な4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]−ベンズアミドである化学構造を有する、例えば欧州特許出願第0564409号に開示されている化合物であり、慢性骨髄性白血病、KIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍ならびにフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に使用されている医薬品である。 イマチニブは通常、適切な塩の形で、例えばイマチニブメシル酸塩(モノメタンスルホン酸塩)の形で経口投与され、多くの国で、商標名GLIVECまたはGLEEVECとして市販されている。 イマチニブメシル酸塩には、数種類の結晶多形が知られている。例えば、WO99/03854には、αおよびβ結晶形の2種類の結晶形が記載されている。また、WO2005/77933には、α2型の結晶形の記載がされている。WO99/03854には、β型と命名された結晶形が、錠剤およびカプセル投与形のような固体経口医薬投与形の製造のために有利な物理的特性を有すると記載されている。 イマチニブはその強力な薬理作用から医療上よく使われている薬剤である。しかし、上述の通り、イマチニブメシル酸塩のα型はβ型に比べて不安定であることが知られている。本発明者らによっても、α型はβ型に比べて酸化されやすい実験結果が得られている。 α型は不安定であることから、医薬品製剤として用いる場合、β型に比べて不利な点を有するという実用上の問題があった。 これまでイマチニブを含有する製剤について幾つか知られている。 イマチニブを30〜80%重量部含有する錠剤(特許文献1・特開2010−31019)。 放出遅延剤を含むイマチニブ医薬組成物(特許文献2・特表2008−540531)。 イマチニブに表面安定化剤を含む安定なナノ粒子組成物(特許文献3・特表2008−542397)などがある。 しかしながら、特許文献1は、結晶セルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース等を用いて錠剤の小型化を実現したものであるが、安定化剤に関する記載はない。明細書の記載からα型結晶の検討はされていないと考えられる。 特許文献2は、ポリマーによる放出遅延を図った医薬用製剤であるが、安定化剤を含むことができるとの記載があるものの、用いられている結晶形や安定化剤についての記載はない。 特許文献3は、イマチニブメシル酸塩の接触/絶食吸収性の変動を克服することを目的としている組成物に関するものであり、用いられるイマチニブメシル酸塩の有効平均粒度が2000nm未満に限定されており、また、用いられている結晶形や表面安定化剤はイオン性表面安定剤に限定されており、さらに、結晶形の記載はない。 よって、抗酸化剤を添加することにより、安定なイマチニブ経口投与製剤が得られるという知見は、従来報告されていない。 特開2010−31019号公報 特表2008−540531号公報 特表2008−542397号公報 一般に、医薬品を臨床に供する場合には、製剤中における医薬品が長期間に亘って安定であること、更に、過酷な条件下においても安定であることが望ましい。イマチニブ経口投与製剤についても、製剤中においても安定化されていることが好ましいが、特に安定化についての詳細な研究は未だなされていないのが実情である。従って、本発明の課題は、イマチニブ経口投与製剤の安定化方法を提供することにある。更に本発明の他の目的は、イマチニブ経口投与製剤が安定化された経口投与用医薬組成物を提供することにある。 本発明者らは、イマチニブ経口投与製剤を検討したところ、意外にも、イマチニブを医薬品製剤に用いた場合、抗酸化剤を添加することにより、安定なイマチニブ経口投与製剤が得られること、特に、イマチニブの結晶形のうち、不安定であるα型結晶に抗酸化剤を添加することにより、安定なイマチニブ経口投与製剤が得られることを見出した。また、本発明者らは、抗酸化剤の添加による安定化効果を見出したことのみならず、中でも特定の抗酸化剤を選択することにより予想し得る範囲を大きく超えた安定化効果をも見出した。これにより、類縁物質の生成がさらに良好に抑制でき、したがって、イマチニブ経口投与製剤の安定化が充分に図れることをも見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は以下に示す通りである。 1)安定化剤として抗酸化剤を含有することを特徴とするイマチニブメシル酸塩経口投与製剤。 2)イマチニブメシル酸塩がα型結晶であることを特徴とする1)記載のイマチニブメシル酸塩経口投与製剤。 3)抗酸化剤がアスコルビン酸または亜硫酸塩であることを特徴とする1)乃至2)記載のイマチニブメシル酸塩経口投与製剤。 4)抗酸化剤を、イマチニブメシル酸塩に対して0.001重量%〜10重量%使用する1)乃至3)のいずれかの安定化方法。 イマチニブメシル酸塩の類縁物質の生成が抑制され、それによって、イマチニブメシル酸塩の長期間に亘る安定化が達成され、また、過酷な条件下においても安定化が達成される。従って、本発明により、長時間にわたって保存可能な安定性の向上したイマチニブ経口投与製剤を得ることができる。すなわち、本発明の経口製剤によれば、イマチニブ経口投与製剤の経時的安定性がよく、製剤中に分解物を生じることのないイマチニブメシル酸塩経口投与製剤を得ることができ、医薬品として極めて有用である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明に用いるイマチニブメシル酸塩としては、いずれの結晶形も用いることができるが、特に安定性が劣るα型結晶のイマチニブメシル酸塩を用いた場合に、本発明の効果が最大限に発揮される。本発明によるイマチニブ経口投与製剤は、少なくとも6か月間、好ましくは少なくとも約1年間、より好ましくは少なくとも約18か月間、そして最も好ましくは少なくとも約2年間、所定の条件下に保管した後で活性成分を分析したときに、ゼロ時の組成物中に当初存在していた活性成分の約95%以上が残存しているイマチニブ経口投与製剤である。 本発明で用いる抗酸化剤としては、ピロ亜硫酸塩;亜硫酸水素塩;亜硫酸塩;エリソルビン酸もしくはその塩;エデト酸(EDTA)もしくはその塩;塩酸システイン;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT);ブチルヒドロキシアニソール(BHA);没食子酸プロピル;アスコルビン酸もしくはその塩;パルミチン酸アスコルビル等のアスコルビン酸エステル類;アルファチオグリセリン;クエン酸もしくはその塩;α−トコフェロール、天然トコフェロール等のトコフェロール類;トコフェロールエステル類;フェニル−α−ナフチルアミン;レシチン;チオグリコール酸もしくはその塩;およびチオリンゴ酸もしくはその塩から選ばれる1種もしくは2種以上の抗酸化剤を用いることができる。特に、本発明においては、アスコルビン酸または亜硫酸塩が望ましい。 本発明で用いる抗酸化剤の量は、それぞれの抗酸化剤として薬理学的に許容される量であればよいが、医薬組成物全体に対して、0.001重量%〜10重量%が好ましく、0.005重量%〜5重量%がより好ましく、更には、0.01重量%〜1重量%が好ましい。配合量が0.001重量%未満であると、充分な安定化効果が得られず、10重量%を超えても、安定化効果に差がないことから増量する意義がない。 本発明で用いる抗酸化剤の量は、それぞれの抗酸化剤として薬理学的に許容される量であればよいが、イマチニブメシル酸塩に対して、0.001重量%〜50重量%が好ましく、0.01重量%〜30重量%がより好ましく、更には、0.01重量%〜10重量%が好ましい。配合量が0.001重量%未満であると、充分な安定化効果が得られず、50重量%を超えても、安定化効果に差がないことから増量する意義がない。 本発明者らは、イマチニブメシル酸塩が医薬品添加物の種類によっては配合変化を起こすことを確認している。何の工夫も施さない場合は、これらの配合変化を起こす医薬品添加物は、イマチニブメシル酸塩製剤に用いることができない。しかしながら、本発明を用いることにより、イマチニブメシル酸塩の医薬組成物を製造するに当たり、このような影響を排除することができることから、種々の医薬品添加物を利用することができ、したがって、種々の医薬品剤形に用いることができる利点を有することになる。 本発明によれば、このような医薬組成物を通常採用される環境下で、あるいは過酷な条件下で長期間保存した場合にも、イマチニブメシル酸塩が安定に維持される。このような医薬組成物としては、以後において、詳細に説明する経口投与用医薬組成物が好ましい。経口投与製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、カプセル剤などの経口投与に適した形態にあるのが好ましい。これらの製剤は、通常使用される賦形剤、結合剤、崩壊剤などを用いて、通常の周知慣用の方法により容易に調製することができる。 本発明のイマチニブ経口投与製剤は、錠剤、顆粒剤の形態にあるのが好ましく、特に、フィルムコーティング錠の形態にあるのが好ましい。 本発明のイマチニブ経口投与製剤は、抗酸化剤以外に、その他の医薬品添加物を含有してもよい。 その他の医薬品添加物としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、トウモロコシデンプン、粉末セルロース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムなどの賦形剤;低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、部分アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチなどの崩壊剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン(ポリビニルピロリドン)、キサンタンガムなどの結合剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマーLD、エチルセルロース水分散液などのコーティング剤;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート60などの乳化剤;タルク、ステアリン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化チタン、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース・カルメロースナトリウムなどのその他の添加物が挙げられる。 本発明に含まれる錠剤、フィルムコーティング錠、顆粒剤などの形態にある経口投与用医薬組成物を製造するには通常の方法を利用することができる。また、抗酸化剤は、製造途中の何時でも添加することができるが、錠剤の場合はイマチニブメシル酸塩と充分に混合されうるように添加されることが望ましい。 本発明は、上述のようにして得られる錠剤を、更に必要によりフィルムコーティングすることでフィルムコーティング錠を製造することができる。コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等の基材と、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール等の可塑剤とを組み合わせたもの等が挙げられる。必要に応じて酸化チタン、マンニトール等の添加剤を加えてもよい。また、コーティング剤のプレミックス品を用いてフィルムコーティング液を調製することもできる。この場合、例えば商品名オパドライとして、カラコン社から入手することができる。コーティング装置としては、例えばドリアコーター((株)パウレック社製)等が挙げられる。 コーティングに用いる液体には、静電気防止剤、可塑剤、界面活性剤、滑沢剤、甘味料、着色料、香味料およびこれらの混合物からなる群より選択される一以上の成分をさらに含むことができる。 可塑剤は、トリアセチン、トリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリブチルシトレート、ジエチルフタレート、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、モノアセチル化グリセリド、ジアセチル化グリセリド、またはこれらの混合物からなる群より選択される。可塑剤は、コーティングポリマーの多くとも約40重量%、好ましくは15から30重量%の割合で用いられる。 界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群より選択される。界面活性剤は、コーティングポリマーの多くとも約20重量%、好ましくは5から15重量%の割合で用いられる。 静電気防止剤は、微粉または非微粉タルク、コロイド状シリカ(Aerosil 200)、加工シリカ(Aerosil R972)、沈降シリカ(Syloid FP244)、およびこれらの混合物からなる群より選択される。静電気防止剤は、コーティングポリマーの多くとも約10重量%、好ましくは0から3重量%、さらに好ましくは1重量%未満の割合で用いられる。 滑沢剤は、マグネシウムステアレート、ステアリン酸、ナトリウムステアリルフマレート、微粉ポリオキシエチレングリコール、ナトリウムベンゾエートおよびこれらの混合物からなる群より選択される。滑沢剤は、コーティングポリマーの多くとも約10重量%、好ましくは0から3重量%、さらに好ましくは1重量%未満の割合で用いられる。 以下に実施例及び比較例ならびに試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。 実施例1 イマチニブメシル酸塩、結晶セルロース、その他添加物および亜硫酸ナトリウムから成る錠剤を、造粒・打錠工程を経ることにより得た。 比較例1(抗酸化剤無添加錠剤) 実施例1で用いた亜硫酸ナトリウムを除き、その他添加物を増量した他は、実施例1同様の操作で錠剤を得た。 試験例 試験例1 安定性試験 イマチニブ塩酸塩経口投与製剤の安定性試験を行った。即ち、実施例1記載の製剤および比較例1記載の製剤を、それぞれシャーレ開放状態で、60℃、75%で保管した。保存開始時および2週間後における、イマチニブ塩酸塩の類縁物質(イマチニブ酸化物)の量を測定した。 測定方法 本品を粉末とし、表示量に従いイマチニブ塩酸塩25mgに対応する量をとり、pH2.0のリン酸水溶液/アセトニトリル混液(1:1)を加えて50mLとし、振り混ぜる。この液を遠心分離し、上澄液を試料溶液とする。この液1mLを正確に量り、H2.0のリン酸水溶液/アセトニトリル混液(1:1)を加えて正確に100mLとする。この液1mLを正確に量り、移動相を加えて正確に100mLとし、標準溶液とする。試料溶液及び標準溶液10μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行う。それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定する。 試験条件 検出器:紫外吸光光度計(測定波長:267nm) カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に3.5μmの液体クロマトグラフィー用オクチル化シリカゲルを充てんする。 カラム温度:25℃付近の一定温度 移動相A:1−オクタンスルホン酸ナトリウム2.16gを水1000mLに溶かし、トリエチルアミン10mLを加え、薄めたリン酸(1→5)を加えてpH7.0に調整する。 移動相B:アセトニトリル 流量:1.0mL/min 面積測定時間:60分 グラジエント条件(移動相Aの割合):75%(0〜35分)、75→60%(35〜40分)、60%(40〜50分)、60→75%(50〜55分)、75%(55〜60分) 結果 表1から明らかなように、本発明品は安定であることが判明した。 本発明により、安定性が向上したイマチニブ経口投与製剤を提供することができる。 安定化剤として抗酸化剤を含有することを特徴とするイマチニブメシル酸塩経口投与製剤。 イマチニブメシル酸塩がα型結晶であることを特徴とする請求項1記載のイマチニブメシル酸塩経口投与製剤。 抗酸化剤がアスコルビン酸または亜硫酸塩であることを特徴とする請求項1乃至2記載のイマチニブメシル酸塩経口投与製剤。 抗酸化剤を、イマチニブメシル酸塩に対して0.001重量%〜10重量%使用する請求項1乃至3のいずれかの安定化方法。 【課題】 本発明は、イマチニブまたはその生理学的に許容される塩(以下、単に「イマチニブ」と記載する。)を含有する経口製剤に関する。本発明の目的は、安定性の向上したイマチニブ経口製剤を提供することである。すなわち、製剤の経時的安定性がよく、製剤中に分解物を生じることなく、さらに、医薬品として優れた製剤であることを提供することである。【解決手段】 本発明のイマチニブ経口製剤は、イマチニブ経口製剤に特定の抗酸化剤を含有させたイマチニブ経口製剤である。【選択図】なし


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