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タイトル:公開特許公報(A)_Nrf2活性化剤およびその用途
出願番号:2012100236
年次:2013
IPC分類:A61K 35/74,A61P 43/00,A61P 39/06,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

渡辺 哲 遠藤 整 田中 守 JP 2013227250 公開特許公報(A) 20131107 2012100236 20120425 Nrf2活性化剤およびその用途 ミヤリサン製薬株式会社 000114282 学校法人東海大学 000125369 八田国際特許業務法人 110000671 渡辺 哲 遠藤 整 田中 守 A61K 35/74 20060101AFI20131011BHJP A61P 43/00 20060101ALI20131011BHJP A61P 39/06 20060101ALI20131011BHJP A23L 1/30 20060101ALI20131011BHJP JPA61K35/74 AA61K35/74 GA61P43/00 111A61P39/06A23L1/30 Z 5 1 OL 15 4B018 4C087 4B018LB08 4B018LB10 4B018MD80 4B018ME14 4B018MF01 4B018MF06 4B018MF13 4C087AA01 4C087BC69 4C087CA09 4C087CA10 4C087NA14 4C087ZC37 4C087ZC41 本発明は、Nrf2活性化剤およびその用途に関する。 生体内のフリーラジカルや活性酸素(ROS;酸化ストレス因子)が増加すると、癌、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、肝機能障害、糖尿病などを引き起こすことが知られている。酸化ストレス因子としては、ヒドロキシラジカル、スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロペルオキシルラジカル、アルコキシルラジカル、アルキルペルオキシルラジカル、一酸化窒素、ペルオキシナイトライト、脂質ペルオキシド、次亜塩素酸、オゾンなどが知られている。酸化ストレス因子は、タンパク質、核酸、脂質などと反応しやすく、これらと反応すると、タンパク質の変性、酵素の不活性化、DNAの翻訳異常、DNAの分解、過酸化脂質の生成、不飽和脂肪酸の酸化変性などを引き起こし、これにより上記の疾患が引き起こされる。 このような酸化ストレス因子に対し生体は生来的に防御機構を備えており、近年、転写因子としてのNrf2(NF−E2 related factor−2)が主要な役割を果たすことが報告されている(例えば、特許文献1を参照)。Nrf2は通常、Keap1(Kelch like ECH associated protein 1)を介してアクチンと結合した状態で細胞質に存在する。一方、核内には、第二相異物代謝酵素や抗酸化タンパク質などをコードした抗酸化遺伝子が存在する。細胞が酸化ストレスにさらされると、Keap1がこれを感知し、Nrf2が核内に移行する。核内に移行したNrf2はsmall Mafと複合体を形成し、抗酸化遺伝子のARE領域(抗酸化剤応答配列;Antioxidant response element)に結合して、各種の第二相異物代謝酵素や抗酸化タンパク質の発現を亢進する。 Nrf2により発現が増強される抗酸化タンパク質としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、ヘムオキシゲナーゼ(HO−1)、NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ−1(NQO1)、チオレドキシン還元酵素1(TXNRD1)、グルタメート−システインリガーゼ(GCL−c;グルタチオン合成酵素)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、グルタチオン還元酵素、カタラーゼなどが知られている。これらの抗酸化タンパク質は酸化ストレス因子を直接低減するか、低減するタンパク質を生成し、酸化ストレス因子による障害から細胞を保護する。 ところで、酪酸菌と呼ばれるクロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)は、腸内細菌の1種であり、他の腸内細菌と同様に体内から糞便中に生きたまま出てくる菌である。また、クロストリジウム・ブチリカムは、酪酸発酵により糖質から多量の酪酸を生成するために工業的な酪酸の製造においても利用されている有用な菌であり、その培養液中に抗腐敗菌有効因子を産生することが知られていることから、従来、整腸効果を有する生菌剤として腹部症状の改善を目的とした医薬品あるいは飼料成分などにおいて広く利用されている。ただし、クロストリジウム・ブチリカムがNrf2の活性化作用(およびそれを介した抗ストレス作用)を示すことは、従来技術においては知られていない。特開2008−208038号公報 本発明は、従来公知のNrf2活性化剤に代替しうる新規なNrf2活性化剤、およびその用途を提供することを目的とする。 本発明者らは、上述したような従来技術の現状に鑑み、鋭意検討を行なった。その過程で、驚くべきことに、クロストリジウム・ブチリカムがNrf2に対して活性化作用を示し、よって抗酸化ストレス作用を示すことを見出した。そしてこの知見に基づき、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明の一形態によれば、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)を培養した培養液または前記培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣または前記残渣の乾燥物を有効成分として含有する、Nrf2活性化剤が提供される。ここで、当該クロストリジウム・ブチリカムは、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP−2789)であることが好ましい。 また、本発明の他の形態によれば、上記Nrf2活性化剤を含有する、Nrf2の活性化が治療に有効な組織障害または病態の予防および/または治療剤が提供される。 さらに、本発明のさらに他の形態によれば、上記Nrf2活性化剤を含有する飲食品であって、Nrf2の活性化が治療に有効な組織障害または病態を予防および/または改善する機能を有し、その機能表示が付された、飲食品が提供される。当該飲食品は、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、疾病リスク低減表示が付された食品、または病者用食品であることが好ましい。 本発明によれば、従来のNrf2活性化剤に代替しうる新規なNrf2活性化剤、およびその用途が提供されうる。実施例において、ラットの肝組織由来の組織切片に対して4−HNE(4−ヒドロキシ−2−ノネナール)の組織染色を行うことにより、過酸化脂質の挙動を検討した結果を示す顕微鏡写真である。実施例において、ラットの肝組織由来の組織切片を用いてジヒドロエチジウム(DHE)染色を行うことにより、活性酸素種(ROS)の1種であるスーパーオキサイドの産出を検出した結果を示す顕微鏡写真である。実施例において、ラットの肝組織における各種タンパク質の発現をウエスタンブロットにより確認した結果を示す電気泳動写真である。実施例において、ラットの大腸組織における各種タンパク質の発現をウエスタンブロットにより確認した結果を示す電気泳動写真である。 以下、本発明を実施するための具体的な形態について詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の具体的な形態のみに限定されるわけではない。 本発明の一形態は、クロストリジウム・ブチリカムを培養した培養液または前記培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣または前記残渣の乾燥物を有効成分として含有する、Nrf2活性化剤である。 当該形態に係るNrf2活性化剤は、その有効成分として、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)を培養した培養液または前記培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣または前記残渣の乾燥物を含有する点に特徴を有する。 クロストリジウム・ブチリカムとは、栄養のバランスがとれている間は分裂増殖を繰り返す(栄養細胞)が、そのバランスが崩れると菌体内に胞子を生じる芽胞形成性かつ嫌気性のグラム陽性桿菌である。嫌気性細菌に限らず、多くの細菌は、栄養細胞の形態を有する際には、乾燥状態で放置されると容易に死滅する。しかしながら、芽胞は休止細胞であるため、乾燥、熱や化学薬品などの様々な外的環境に対して強い抵抗性を有し、保存には好都合である。 また、上述したように、クロストリジウム・ブチリカムは芽胞形成性であり、芽胞の状態にある際には、様々な外的環境に対して抵抗性を有する。このため、クロストリジウム・ブチリカムが芽胞の形態で人や動物に経口投与されると、胃酸、腸液や胆汁酸などの消化液と接しても、クロストリジウム・ブチリカムは完全には死滅せずに小腸下部から大腸に至るまでの発酵部位にも到達し増殖することが可能となる。 さらに、クロストリジウム・ブチリカムは、生菌剤、飼料添加物や食品として広く市販されており、人や家畜などの哺乳動物に長期間にわたって投与しても全く副作用を認めず、高い安全性が保証されている。 クロストリジウム・ブチリカムのなかでも、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ、クロストリジウム・ブチリカム・NIP1020(Clostridium butyricum NIP1020)、クロストリジウム・ブチリカム・NIP1021(Clostridium butyricum NIP1021)、クロストリジウム・ブチリカム(FERM P−11868)、クロストリジウム・ブチリカム(FERM P−11868)、クロストリジウム・ブチリカム(FERM P−11869)、及びクロストリジウム・ブチリカム(FERM P−11870)、クロストリジウム・ブチリカム・ATCC859(Clostridium butyricum ATCC859)、クロストリジウム・ブチリカム・NBRC3315(Clostridium butyricum NBRC3315)、クロストリジウム・ブチリカム・ATCC860(Clostridium butyricum ATCC860)またはクロストリジウム・ブチリカム・ATCC19398(Clostridium butyricum ATCC19398)が好ましい。より好ましくは、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP−2789)、クロストリジウム・ブチリカム ミヤイリ585(FERM BP−06815)、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ595(FERM BP−06816)及びクロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ630(FERM BP−06817)からなる群より選択される1種以上であり、さらに好ましくはクロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP−2789)である。 クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリは生菌剤としてミヤリサン製薬(株)から市販されており、人や動物に長期に投与しても全く副作用の無いものであるため、本発明における使用にとって特に好適である。なお、有効成分であるクロストリジウム・ブチリカムとしては、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。 本発明において、クロストリジウム・ブチリカムの培養物、すなわち「クロストリジウム・ブチリカムを培養した培養液、前記培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣および前記残渣の乾燥物」は、既知の微生物の培養方法、例えば、特願平08−252088号に開示された方法により得られる。その一実施態様を下記に示す:クロストリジウム・ブチリカムを1.0(w/v)% ペプトン、1.0(w/v)% 酵母エキス、1.0(w/v)% コーンスターチおよび0.2(w/v)% 沈降炭酸カルシウムからなる培地に105〜106個/mLになるように接種し、37℃にて48時間静置培養することにより、「クロストリジウム・ブチリカムの培養液」を得る。次に、得られた培養液を遠心分離(2,000〜6,000g×10〜30分)して、「培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣」を分離し、この残渣を、0〜80℃、好ましくは10〜20℃で、1〜24時間、好ましくは5〜18時間風乾等による乾燥処理または0〜80℃、好ましくは10〜20℃、0.05〜500Torr、好ましくは1〜100Torrで、1〜24時間、好ましくは2〜15時間減圧乾燥処理することなどにより、「残渣の乾燥物」を得る。 本発明のクロストリジウム・ブチリカムの培養に使用する培地は、使用する菌株の種類等によっても異なるが、使用するクロストリジウム・ブチリカムが資化しうる炭素源、適量の窒素源、無機塩およびビタミン類などのその他の栄養素を含有する培地であれば、合成培地または天然培地のいずれでもよい。 例えば、本発明による培地中で使用される炭素源の例として、使用する菌株が資化できる炭素源であれば特に制限されない。炭素源としては、必ずしも糖に制限されないが、菌体の増殖を考慮すると、使用する細菌が利用可能な糖または糖を含むものが好ましく使用される。使用できる炭素源の具体例としては、資化性を考慮して、セロビオース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、マンノース、メリビオース、ラフィノース、サリシン、スターチ、スクロース、トレハロース、キシロース、デキストリン、および糖蜜等が挙げられる。これらの炭素源のうち、スターチ、グルコース、フルクトース、スクロースおよび糖蜜が好ましく使用される。上記した炭素源を、使用するクロストリジウム・ブチリカムを考慮して、1種または2種以上選択して使用してもよい。この際、炭素源の添加濃度は、使用するクロストリジウム・ブチリカムや炭素源の種類および使用する培地の炭素源以外の培地組成等によっても異なるが、通常0.5〜5(w/v)%、好ましくは2〜4(w/v)%である。 また、窒素源およびビタミン類としては、例えば、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、味液等の大豆および小麦の加水分解物、大豆粉末、ミルクカゼイン、カザミノ酸、各種アミノ酸、コーンスティープリカー、その他の動物、植物、微生物の加水分解物等の有機窒素化合物および硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩が挙げられる。これらの窒素源のうち、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーンスティープリカーおよび味液が好ましく使用される。上記した窒素源およびビタミン類を、使用するクロストリジウム・ブチリカムの生育を向上させるために、1種または2種以上選択して使用してもよい。この際、上記窒素源の添加濃度は、使用する菌株や窒素源の種類および使用する培地の窒素源以外の培地組成等によっても異なるが、窒素源を多く含むペプトンを使用する際には、通常0.5〜4(w/v)%、好ましくは1〜3(w/v)%であり、窒素源およびビタミン類を多く含む味液やコーンスティープリカーを使用する際には、通常0.5〜5(w/v)%、好ましくは1〜4(w/v)%であり、さらに、ビタミン類を多く含む酵母エキスあるいは肉エキスを使用する際には、通常0.5〜4(w/v)%、好ましくは1〜3(w/v)%である。 さらに、無機塩としては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、モリブデン、ストロンチウム、ホウ素、銅、鉄、スズおよび亜鉛などのリン酸塩、塩酸塩、硫酸塩、酪酸塩、プロピオン酸塩および酢酸塩等から選ばれた1種または2種以上を使用することができる。また、培地中に、必要に応じて、消泡剤、植物油、界面活性剤、血液および血液成分、抗生物質などの薬剤、植物または動物ホルモンなどの生理活性物質等を適宜添加してもよい。 本発明において行われる培養の条件は、本発明に使用するクロストリジウム・ブチリカムの生育の範囲(pHや温度等)等の生理学的性質によって異なるが、クロストリジウム・ブチリカムは偏性嫌気性であるため、通気しない、または窒素もしくは炭酸ガスを通気しながら、または培地中に還元剤を加えることにより酸化還元電位を下げるなどによって嫌気的条件下培養されることが必要である。その際の培養条件は、使用される菌株の生育の範囲、培地の組成や培養法によって適宜選択され、本菌株が増殖できる条件であれば特に制限されない。具体的には、培養温度は、通常20〜42℃、好ましくは35〜40℃である。 また、本発明において、クロストリジウム・ブチリカムの培養は、培養中に産生される酸をアルカリで中和することにより増殖が促進されるため、予め培地に炭酸カルシウムを添加することが好ましい。この際、炭酸カルシウムの添加量は、通常0.1〜4(w/v)%、好ましくは0.2〜2.5(w/v)%である。または、上記中和工程を、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムおよび炭酸カリウム等のアルカリ水溶液によって培地のpHを設定pHの範囲内に抑えながら行うことも好ましい。なお、アルカリ水溶液を使用する場合には、「設定pH」とは、培養期間中に予め設定されている培地のpHを意味し、「設定pHの範囲」とは、培養期間中に許容されるpHの範囲であり、一般的には、設定pH±許容差で表わす。本発明によると、設定pHは、通常5.0〜7.5、好ましくは5.5〜6.5の範囲内で設定され、設定pHの範囲は、設定pH±0.5、望ましくは設定pH±0.2である。 なお、本発明において、培養を行う間の培地のpHは、菌の接種時では中性付近、より好ましくは6.5〜7.5とする。なお、アルカリ水溶液を使用する場合には、酸素が混入しないように緩やかに攪拌しながら設定pHの範囲内に入るよう維持することが好ましい。このように菌の接種時および菌の増殖時のpHを制御することによって、菌密度を飛躍的に増大させることができる。 本発明による培養において、クロストリジウム・ブチリカムの初期培養濃度は、クロストリジウム・ブチリカムが生育できる範囲であれば特に制限されず、通常、クロストリジウム・ブチリカムの培養で行われるものと同様である。具体的には、通常104〜107個/mL、好ましくは105〜106個/mLである。 このようにして得られたクロストリジウム・ブチリカムの培養物、特にクロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP−2789)の培養物は、強いNrf2活性化作用を有するのである(Nrf2活性化剤)。 後述の実施例に記載されるように、本形態に係るNrf2活性化剤の有効成分であるクロストリジウム・ブチリカムにより、転写因子であるNrf2、およびNrf2により発現が制御される遺伝子群の発現が促進される。そして、かようなNrf2活性化作用およびNrf2制御遺伝子群の発現促進作用は、生体内の抗酸化能および解毒作用を増強させる。これらの作用は、従来公知であったクロストリジウム・ブチリカムの作用とは明確に区別できる作用である。すなわち、クロストリジウム・ブチリカムは酸化ストレスや化学物質などの生体異物に対する生体内での防御機構を増強させる作用を有しており、これらの作用は、従来公知のクロストリジウム・ブチリカムの作用とは無関係である。 本発明によれば、Nrf2の活性化が治療に有効な組織障害または病態が予防または改善される。すなわち、本発明の他の形態によれば、上記Nrf2活性化剤を含有する、Nrf2の活性化が治療に有効な組織障害または病態の予防および/または治療剤が提供される。活性酸素や生体異物により障害を受ける組織は、生体内の任意の組織でありえ、例えば、眼、神経、筋、上皮、血液、リンパ、消化管、血管、脳、骨、関節、皮膚、心臓、腎臓、肝臓、膵臓、脾臓、甲状腺等が挙げられる。組織障害および病態の例としては、慢性炎症、癌、動脈硬化、高血圧症、脳神経変性疾患、皮膚疾患、喘息、肝機能障害、角結膜障害、緑内障性網膜症、視神経障害、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、光網膜症、糖尿病、紫外線応答性皮膚損傷、好中球減少症、細胞性免疫不全、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側策硬化症、肺気管支炎、リウマチ性関節炎、肝炎、膵炎、血管炎、食道炎、潰瘍性大腸炎等が挙げられる。 さらに、本発明の他の形態によれば、「クロストリジウム・ブチリカムを培養した培養液または前記培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣または前記残渣の乾燥物」の有効量を哺乳動物に投与するかまたは摂取させることを含む、当該哺乳動物における「Nrf2の活性化が治療に有効な組織障害または病態」を予防および/または治療する方法が提供される。なお、「有効量」とは、Nrf2活性化や、これによる上記組織障害・病態の予防および/または治療といった所望の効果を発揮する上で少なくとも必要とされる有効成分の量を意味する。 本発明に係るNrf2活性化剤は、それ単独でも使用することができるが、医薬、飲食品などの種々の組成物の形態として提供されることができる。 本発明に係る「Nrf2の活性化が治療に有効な組織障害または病態の予防および/または治療剤」として用いられうる医薬組成物は、上述したように、本発明に係るNrf2活性化剤を含むことを特徴とする。ここで、当該医薬組成物において、Nrf2活性化剤の有効成分を有効量含むように、医薬組成物は、当該活性化剤を適切な量で含むことが好ましい。 したがって、本発明による医薬組成物は、所望の効果を発揮するのに充分な量(すなわち、有効量)の「クロストリジウム・ブチリカムを培養した培養液または前記培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣または前記残渣の乾燥物」を含有するものであって、製剤化のために許容されうる添加剤を併用して、常法に従い、経口製剤または非経口製剤として調製したものである。このような製剤化のために許容されうる添加剤としては、例えば、賦形剤、安定剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、滑沢剤、甘味料、着色料、香料、緩衝剤、酸化防止剤、pH調整剤、結合剤、増粘剤、分散剤、懸濁化剤、崩壊剤などを挙げることができる。本発明において、医薬組成物が経口製剤の場合には、食品、食品添加剤、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、徐放剤などの固形製剤、溶液、懸濁液、乳濁液などの液状製剤の形態をとることができる。また、非経口製剤の場合には、注射剤、点滴剤、外用剤や坐剤の形態をとることができる。簡易性の点からは、経口製剤であることが好ましい。 本発明に係る医薬組成物は、必要に応じて、他の補助成分をさらに含んでいてもよい。このような併用可能な他の補助成分としては、例えば、ビタミン成分(例えば、ビタミンC、ビタミンE)、抗生物質、アミノ酸類、ペプチド類、ミネラル類(例えば、亜鉛、鉄、銅、マンガンなど)、核酸、多糖類、脂肪酸類、生薬などが挙げられる。 さらに製剤化にあたって、本発明に係る有効成分以外の1種以上の医療上有効な有効成分(活性成分)をさらに添加し配合してもよい。また本発明に係る有効成分の投与にあたっては、本発明に係る有効成分以外の1種以上の医療上有効な有効成分を組み合わせて投与してもよい。 本発明によれば、上述したNrf2活性化剤を含有する飲食品もまた、提供される。ここで、当該飲食品は、Nrf2活性化剤の有効成分を有効量含むように、当該活性化剤を適切な量で含むことが好ましい。ここで「有効成分を有効量含む」とは、個々の飲食品を通常喫食される量摂取した結果、有効成分としての効果を発揮しうるような量で有効成分を含有することを意味する。本発明に係る飲食品には、本発明に係る有効成分をそのまま、または上述したような活性化剤の形態で、飲食品に配合してもよい。また、本発明に係る飲食品は、本発明に係る有効成分に安定剤等の慣用の添加成分を加えて飲食品として調製したもの、各種タンパク質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類等を、それらにさらに配合して調製したもの、液状、半液体状もしくは固体状にしたもの、ペースト状にしたもの、または、一般の飲食品へ有効成分を添加したものであってもよい。 本発明において、「飲食品」は、医薬以外のものであって、哺乳動物が経口摂取可能な形態のものであれば特に制限はなく、その形態も液状物(溶液、懸濁液、乳濁液など)、半液体状物、粉末、または固体成形物のいずれのものであってもよい。このため飲食品は、例えば飲料の形態であってもよく、また、サプリメントのような栄養補助食品の錠剤形態であってもよい。 飲食品として具体的には、例えば、即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそ汁類、フリーズドライ食品などの即席食品類;清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料などの飲料類;パン、パスタ、麺、ケーキミックス、唐揚げ粉、パン粉などの小麦粉製品;飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子などの菓子類;ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレー・シチューの素類などの調味料;加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズなどの油脂類;乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類などの乳製品;魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品などの水産加工品;畜肉ハム・ソーセージなどの畜産加工品;農産缶詰、ジャム・マーマレード類、漬け物、煮豆、シリアルなどの農産加工品;冷凍食品;栄養食品などが挙げられる。 本発明に係る飲食品は、Nrf2の活性化が治療に有効な組織障害または病態に罹患しているか、または罹患していることが疑われる者、あるいはかような組織障害または病態への罹患のリスクが高い者に対して好適に使用することができる。ここで、罹患のリスクが高い者としては、例えば、体組成や食生活をはじめとする各種の指標を考慮して、または、健康診断等の診断・診察から、当該リスクが高いと判断された者や、そのようなリスクが高いと本人または周囲の者から認識されるに至った者が含まれる。 本発明において「飲食品」には、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、疾病リスク低減表示が付された食品、または、病者用食品のような分類のものも包含される。さらに「飲食品」という用語は、ヒト以外の哺乳動物を対象として使用される場合には、飼料を含む意味で用いられうる。ここでいう特定保健用食品とは、高血圧症の予防および/または改善等を目的として食品の製造または販売等を行う場合に、保健上の観点から、各国(例えば我が国)において法上の何らかの制限を受けることがある食品をいう。このような食品は、食品が疾病リスクを低減する可能性があること表示した食品、すなわち、疾病リスク低減表示を付した食品であってもよい。ここで、疾病リスク低減表示とは、疾病リスクを低減する可能性のある食品の表示であって、FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)の定める規格に基づいて、またはその規格を参考にして、定められた表示または認められた表示でありうる。 本発明の飲食品においては、上述した有効成分に加えて、他の機能を有する成分をさらに添加してもよい。また例えば、日常生活で摂取する食品、健康食品、機能性食品、サプリメント(例えば、カルシウム、マグネシウム等のミネラル類、ビタミンK等のビタミン類を1種以上含有する食品)に本発明の有効成分を配合することにより、本発明による効果に加えて、他の成分に基づく機能を併せ持つ飲食品を提供することができる。 本発明の他の形態によれば、上述したNrf2活性化剤の有効成分である「クロストリジウム・ブチリカムを培養した培養液または前記培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣または前記残渣の乾燥物」を有効量含有する飲食品であって、Nrf2の活性化が治療に有効な組織障害または病態を予防および/または改善する機能を有し、その機能表示が付された飲食品が提供される。ここで飲食品に付される機能表示は、例えば、製品の本体、容器、包装、説明書、添付文書、または宣伝物のいずれかに付することができる。 本発明による飲食品の製造にあたっては、通常の飲食品の処方設計に用いられている糖類、香料、果汁、食品添加剤、安定剤などを適宜添加することができる。飲食品の製造は、当該技術分野に公知の製造技術を参照して実施することができる。本発明に係る飲食品は様々な形態を取ることができ、公知の医薬品の製造技術に準じて本発明に係る飲食品を製造してもよい。その場合には、本発明に係る阻害剤や医薬組成物の製造の項目において述べたような担体や添加剤を用いて製造することができる。また、製造段階において、本発明における機能以外の機能を発揮する他の成分または他の機能性食品と組み合わせることによって、多機能性の飲食品としてもよい。 本発明に係る医薬組成物および飲食品を投与または摂取する場合、本発明に係る有効成分の投与量または摂取量は、受容者、受容者の年齢および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、薬剤の組み合わせ等に依存して決定されうる。本発明においては、少なくともNrf2活性化効果を得るために必要な1日あたりの有効成分の量を投与または摂取できるように、1日あたりの組成物または飲食品の投与量または摂取量を考慮し、組成物または飲食品中の含有量を適宜設定することが好ましい。 したがって、本発明による医薬組成物または飲食品は、好ましくは、有効成分である「クロストリジウム・ブチリカムを培養した培養液または前記培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣または前記残渣の乾燥物」を、当該有効成分の固形分換算で成人一人に1日あたり好ましくは20〜360mg、より好ましくは40〜200mg、さらに好ましくは60〜120mgの範囲で提供される量含む。 以下、実施例を用いて本発明の好適な実施形態についてより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲が下記の実施例のみに限定して解釈されるべきではない。 <実験動物> Fischer系ラット(F344、日本クレア株式会社)を酸化ストレスに曝露する目的で、このラットにコリン欠乏アミノ酸置換食(choline-deficient L-amino acid defined diet; CDAA、Dyets社製)を8週間自由摂取させた。 また、実験群として、コリン欠乏アミノ酸置換食(choline-deficient L-amino acid defined diet; CDAA、Dyets社製)100質量%に対して10質量%(菌質量換算)のクロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588の菌末(菌数:109〜1010/g)を添加した食餌を同様に摂取させた。 一方、対照群としては、コリン添加アミノ酸置換食(choline-supplemented, L-amino-acid-defined diet; CSAA、Dyets社製)100質量%に対して10質量%の賦形剤(コーンスターチ、乳糖等)を添加した食餌を同様に摂取させた。 次いで、上述した3群のラットから肝組織および大腸組織を摘出し、以下の実験に用いた。 <4−HNEの染色> 上記で摘出した肝組織から常法に従って組織切片を調製し、この組織切片に対して4−HNE(4−ヒドロキシ−2−ノネナール)の組織染色を行うことにより、過酸化脂質の挙動を検討した。ここで、4−HNEは、生体脂質のうちアラキドン酸のようなω6系高度不飽和脂肪酸が酸化ストレスをうけて生成する酸化二次生成物(アルデヒド)である。生体においては多種多様の過酸化脂質分解物が生成するが、4−HNEはその生成量、反応性、生理作用などから最も代表的な酸化ストレス産物として知られている。 具体的には、固定した肝組織の切片を調製し、4−HNE修飾蛋白質に対する一次抗体として抗4−HNEモノクローナル抗体(日研ザイル社製)を用い、二次抗体としてビオチン標識抗マウスIgGを用い、染色キットとしてVECTOR社製VECTASTAIN ABC-AP Kitを用い、発色キットとして同社製のVECTOR Red Alkaline Phosphatase Substrate kit Iを用いて、肝組織の4−HNE修飾蛋白質を免疫染色した。この際、参考文献(T. Tanaka, Y. Nishiyama, K. Okada, K. Hirota, M. Matsui, J. Yodoi, H. Hiai, S.Toyokuni: Induction and nuclear translocation of thioredoxin by oxidative damage in the mouse kidney: independence of tubular necrosis and sulfhydryl depletion. Lab. Invest. 77(2), p145-155 (1997))を参照して、実験を行った。 結果を図1に示す。図1において、(a)は対照群(CSAA摂取群)の結果を示し、(b)はCDAA摂取群の結果を示し、(c)は実験群(10質量%クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ588含有CDAA摂取群)の結果を示す。 図1に示すように、(b)(CDAA摂取群)のラット肝組織においては、脂質過酸化酵素4−HNEの陽性部位が増加し、(c)(実験群)では当該陽性部位の著明な減少が見られた。これは、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ588の投与が、肝組織内で発生したフリーラジカルなどの酸化ストレスを減少させることで、脂質の過酸化を抑制したためと考えられる。 <DHEの染色> 続いて、上記で摘出した肝組織由来の組織切片を用いてジヒドロエチジウム(DHE)染色を行うことにより、活性酸素種(ROS)を検出した。ここで、DHE蛍光染色は、活性酸素種の1種であるスーパーオキサイド(O2−)の産生を検出する目的で行った。DHEはO2−の存在により酸化されてエチジウムブロマイドとなり、DNAに結合する。このため、DHEは酸化ストレスマーカーとして知られているのである。 具体的には、肝組織の未固定新鮮凍結切片を調製し、5〜20μmol/Lのジヒドロエチジウム(DHE、Molecular Probe社製)の存在下で肝組織切片を30分間インキュベートし、染色を行った。ここで、DHEは細胞膜を自由に透過でき、酸素の存在下ではエチジウムへと酸化されるが、ここでDNAに挿入されることにより核内に捕捉される。また、エチジウムは励起波長488nmで励起され、発光波長610nmの発光スペクトルを有している。本実験では、共焦点レーザー顕微鏡によって得た画像をspectro analysis systemを用いて可視化した。この際、参考文献(Rhian M. Touyz, Chantel Mercure, Ying He, Danesh Javeshghani, Guoying Yao, Glaucia E. Callera, Alvaro Yogi, Nadheige Lochard and Timothy L. Reudelhuber: Angiotensin II-Dependent Chronic Hypertension and Cardiac Hypertrophy Are Unaffected by gp91phox-Containing NADPH Oxidase. Hypertension 2005;45;530-537)を参照して、実験を行った。 結果を図2に示す。図2において、(a)は対照群(CSAA摂取群)の結果を示し、(b)はCDAA摂取群の結果を示し、(c)は実験群(10質量%クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ588含有CDAA摂取群)の結果を示す。 図2に示すように、(b)(CDAA摂取群)のラット肝組織においては、DHE陽性細胞数が増加し、(c)(実験群)ではDHE陽性細胞数の著明な減少が見られた。これは、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ588の投与が抗酸化能を発揮し、肝組織内で発生したフリーラジカルなどの酸化ストレス(特にスーパーオキサイド(O2−)を減少させたためと考えられる。 <ラットの肝組織における各種タンパク質の発現のウエスタンブロットによる確認> 上記で摘出した肝組織を、プロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma社製)を添加した0.05% Tween 20含有トリス緩衝液(TBS-T)(20mM Tris, 137mM NaCl, 0.05% Tween-20, pH7.6)で溶解し、15,000×g、4℃、30 minで遠心分離後、その上清を組織溶解タンパク試料とした。 この組織溶解タンパク試料各60μgを常法に従ってSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により展開した。ゲルのアクリルアミド濃度は7.5%とした。展開後のゲルから、セミドライ型転写装置を用いてタンパク質をPVDF膜に転写し、常法に従ってウエスタンブロッティングを行った。洗浄液としては0.05% Tween 20含有トリス緩衝液(TBS-T)を用い、ブロッキング液には5%スキムミルクTBS-T溶液を用いた。Nrf2発現の検出には、一次抗体としてはウサギ由来抗Nrf2ポリクローナル抗体(Santa Cruz社製)を300倍希釈したものを用い、二次抗体としては抗ウサギIgG抗体(HRP標識、Dako社製)を2000倍希釈したものを用いた。また、HO−1発現の検出には、一次抗体としてはウサギ由来抗HO−1ポリクローナル抗体(Enzo Life Sciences社製)を800倍希釈したものを用い、二次抗体としては抗ウサギIgG抗体(HRP標識、Dako社製)を2000倍希釈したものを用いた。さらに、NQO1発現の検出には、一次抗体としてはウサギ由来抗NQO1ポリクローナル抗体(ProteinTech Group社製)を500倍希釈したものを用い、二次抗体としては抗ウサギIgG抗体(HRP標識、Dako社製)を2000倍希釈したものを用いた。また、β−アクチン発現の検出には、一次抗体としてはマウス由来抗β−アクチンモノクローナル抗体(Sigma社製)を8000倍希釈したものを用い、二次抗体としては抗マウスIgG抗体(HRP標識、Dako社製)を8000倍希釈したものを用いた。検出はECL Plus Western Blotting Detection System(GE HealthCare社製)を用いた化学発光法で行った。 結果を図3に示す。図3に示すように、実験群(図3に示す「CDAA+C.Butyricum」)においては、Nrf2タンパク質のみならず、Nrf2の標的遺伝子であり、酸化ストレス応答において抗酸化プロセスに重要な役割を担うHO−1およびNQO1のタンパク発現が劇的に誘導されることが示された。なお、β−アクチンタンパク質はハウスキーピング遺伝子として知られており、本実験では内部標準として用いた。 以上の結果から、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ588の投与が、肝組織においてNrf2を誘導し、Nrf2の標的タンパク質を同時に誘導することで酸化ストレス抑制に貢献していることが示された。 <ラットの大腸組織における各種タンパク質の発現のウエスタンブロットによる確認> 肝組織に代えて上記で摘出した大腸組織を用いたこと以外は同様の手法により、ラットの大腸組織におけるNrf2タンパク質およびβ−アクチンタンパク質の発現をウエスタンブロッティングにより確認した。 結果を図4に示す。図4に示すように、実験群(図4に示す「CDAA+C.Butyricum」)においては、Nrf2が著明に誘導されることがわかる。すなわち、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ588の投与は肝における酸化ストレス抑制効果を示すだけでなく、大腸組織においても酸化ストレス抑制機構が活性化されることが示唆された。 以上に示す結果から、クロストリジウム・ブチリカムはNrf2に対して活性化作用を示し、よって抗酸化ストレス作用を示すことが立証された。この事実に基づき、本発明の一形態では、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)を培養した培養液または前記培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣または前記残渣の乾燥物を有効成分として含有するNrf2活性化剤を提供するものである。そして、このNrf2活性化剤は、Nrf2の活性化が治療に有効な組織障害または病態の予防および/または治療に非常に有用であると考えられ、今後の医療の発展に多大な貢献をもたらす可能性を秘めたきわめて優位性の高い技術である。 クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)を培養した培養液または前記培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣または前記残渣の乾燥物を有効成分として含有する、Nrf2活性化剤。 前記クロストリジウム・ブチリカムが、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP−2789)である、請求項1に記載のNrf2活性化剤。 請求項1または2に記載のNrf2活性化剤を含有する、Nrf2の活性化が治療に有効な組織障害または病態の予防および/または治療剤。 請求項1または2に記載のNrf2活性化剤を含有する飲食品であって、 Nrf2の活性化が治療に有効な組織障害または病態を予防および/または改善する機能を有し、その機能表示が付された、飲食品。 健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、疾病リスク低減表示が付された食品、または病者用食品である、請求項4に記載の飲食品。 【課題】従来公知のNrf2活性化剤に代替しうる新規なNrf2活性化剤、およびその用途を提供する。【解決手段】本発明のいくつかの形態によれば、以下のものが提供される:クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)を培養した培養液または前記培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣または前記残渣の乾燥物を有効成分として含有する、Nrf2活性化剤;上記Nrf2活性化剤を含有する、Nrf2の活性化が治療に有効な組織障害または病態の予防および/または治療剤;並びに、上記Nrf2活性化剤を含有する飲食品であって、Nrf2の活性化が治療に有効な組織障害または病態を予防および/または改善する機能を有し、その機能表示が付された、飲食品。【選択図】図1


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