生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_モノカルボン酸無水物の製造方法
出願番号:2012092823
年次:2013
IPC分類:C07C 51/56,C07C 53/126,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

大鑄 直輝 鈴木 叙芳 JP 2013221006 公開特許公報(A) 20131028 2012092823 20120416 モノカルボン酸無水物の製造方法 花王株式会社 000000918 古谷 聡 100087642 溝部 孝彦 100076680 義経 和昌 100098408 大鑄 直輝 鈴木 叙芳 C07C 51/56 20060101AFI20131001BHJP C07C 53/126 20060101ALI20131001BHJP C07B 61/00 20060101ALN20131001BHJP JPC07C51/56C07C53/126C07B61/00 300 5 OL 8 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC47 4H006BA10 4H006BA14 4H006BA28 4H006BA30 4H006BA35 4H006BA36 4H006BA52 4H006BA68 4H006BA71 4H006BB70 4H006BC10 4H006BS10 4H006BS80 4H006DA15 4H039CA65 4H039CD10 4H039CD30 本発明は、モノカルボン酸を原料とするモノカルボン酸無水物の製造方法に関する。更に詳しくは、界面活性剤などの中間原料として好適に用いられるモノカルボン酸無水物の製造方法に関する。 カルボン酸を原料として対応する酸無水物を製造する方法としては、無水酢酸、塩化チオニル、オキシ塩化リン等の脱水剤を用いる方法が良く知られているが、これらの方法は脱水剤を化学量論量で用いる必要があり、また、脱水剤の残渣や中和によって生成する塩等の大量の副生物を除去する必要があるため、経済的ではない。 一方、脱水剤を用いずに、カルボン酸から直接脱水してカルボン酸無水物を得る方法も知られているが、これは一般に高温を必要とするため、多量のエネルギーを消費する。そこでこの問題の解決策として、脱水反応に触媒を用いる方法が提案されている。 例えば特許文献1には、イタコン酸の脱水及び異性化反応によりシトラコン酸無水物を得る反応において、アルカリ金属硫酸塩やアルカリ金属二水素リン酸塩を用いる方法が開示されている。また、特許文献2には同じくイタコン酸から無水シトラコン酸を得る反応において、酸のアミン塩等を触媒として用いる方法が開示されている。さらに非特許文献1には、ジカルボン酸の環状無水物の合成において、触媒としてアルミニウム置換モンモリロナイト等の粘土鉱物を用いる方法が開示されている。 しかしながら、上記の例はすべて、もともと無触媒でも比較的容易に酸無水物が得られるジカルボン酸の分子内脱水による環状酸無水物の製造方法に関するものであり、モノカルボン酸の無水物の製造には適用できない。 他方、特許文献3にはモノカルボン酸の脱水反応に、触媒としてパラジウムやコバルト等の遷移金属の酢酸塩を用いる方法が開示されている。しかしながら、特許文献3で用いる触媒の遷移金属は高価であり、また短鎖のオクタン酸では30%程度の収率があるものの、比較的鎖長の長いラウリン酸においては収率が低く(300mmolのラウリン酸から14-16mmolの酸無水物)、より長鎖の脂肪酸では収率はさらに悪化するものと考えられる。米国特許第2966498号明細書特開平9−132572号公報米国特許第4477382号明細書Richard W. McCABE他, “Clay- and Zeolite-catalysed Cyclic Anhydride Formation”, J. Chem. Research, 1985, 356-357 本発明は、高価な触媒を用いることなしに、モノカルボン酸の酸無水物を経済的に製造可能な方法を提供することを課題としている。 本発明者らはかかる方法の反応条件について種々検討した結果、特定の酸触媒を用いて特定の温度で反応を行うことにより、上記課題を解決し得ることを見出した。 すなわち本発明は、炭素数10〜22のモノカルボン酸を、酸触媒の存在下に、150℃〜300℃の反応温度で無水物化反応させる、モノカルボン酸無水物の製造方法であって、 前記酸触媒が、硫酸、燐酸、燐タングステン酸、パラトルエンスルホン酸、ゼオライト、粘土鉱物、アルミナ、及び硫酸化ジルコニアからなる群から選ばれる1種または2種以上である、モノカルボン酸無水物の製造方法を提供するものである。 本発明の製造方法によれば、界面活性剤等の中間原料として好適に用いられるモノカルボン酸無水物を、従来のように高価な触媒を用いることなく、経済的に製造することができる。また本発明の製造方法においては反応が容易に進行するため、水と沸点の低い共沸混合物を形成するような溶媒を用いなくとも、カルボン酸無水物を製造することができる。また、比較的低温で反応できることから、経済的にも環境的にも有利である。 また特に、触媒として固体触媒を用いた場合の本発明の方法によれば、系中に可溶性の夾雑物がない状態で酸無水物が得られるため、次いで得られた酸無水物を脱カルボニル化して対応するオレフィンを製造するといった、他の反応を組み合わせて実施することができる。 本発明の特定の酸触媒がモノカルボン酸の無水物化反応を促進する理由は明らかではないが、酸触媒による酸無水物化はプロトン付加と脱離が協奏的に進行する反応であり、特に本発明に用いる酸触媒が固体酸触媒の場合は、固体酸点の距離が適当であり、複数のサイトで協奏的にプロトン付加・脱付加が行われることが一因と考えられる。 本発明に用いられる炭素数10〜22のモノカルボン酸の構造は特に限定されず、飽和体でも不飽和体でも、一部環状になったものでも、ヘテロ原子を含むものであってもよいが、飽和モノカルボン酸が好ましく、直鎖飽和モノカルボン酸がより好ましい。 本発明に用いられるモノカルボン酸は、炭素数10以上22以下が好ましく、炭素数14以上20以下がより好ましく、炭素数16以上18以下がさらに好ましい。 モノカルボン酸の具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、10−ウンデセン酸、オレイン酸、2,4−ヘキサデカジエン酸、6−オクタデシン酸、ヒドノカルピン酸、ゴルリン酸、リシノール酸等が挙げられる。 本発明において用いる触媒は、硫酸、燐酸、燐タングステン酸、パラトルエンスルホン酸、ゼオライト、粘土鉱物、アルミナ、及び硫酸化ジルコニアから選ばれる1種または2種以上の酸触媒である。反応速度の観点からは、硫酸、粘土鉱物、アルミナ、硫酸化ジルコニアがより好ましく、活性白土のような粘土鉱物や、硫酸化ジルコニアがさらに好ましい。また、低温における反応性の観点からは、ゼオライトが特に好ましい。 触媒除去等のハンドリング性の観点からは、濾過、遠心分離等で容易に除去できる固体酸触媒が好ましい。なお、ここで固体酸触媒とは、反応系に対して実質的に不溶であるものを指し、ゼオライト、粘土鉱物、アルミナ、硫酸化ジルコニアからなる群から選ばれる1種または2種以上が好ましく用いられる。 硫酸としては濃硫酸が好適に用いられるが、ハンドリング性向上の観点から、適当な濃度に希釈された水溶液を使用し、後で水を除いてもよい。 燐酸としては正リン酸、メタリン酸、ポリリン酸等を用いることができる。この場合もハンドリング性向上の観点から、適当な濃度に希釈された水溶液を使用して、後で水を除いてもよい。 ゼオライトは分子サイズの空孔を多数有するアルミノケイ酸化合物であり、特定の合成ゼオライトはモレキュラーシーブとしても知られている。本発明の方法においては、3A、4A、Y、13X、ZSM−5等のものが好適に用いられるが、反応性の観点からはY型のものが好ましい。ゼオライトの形状としては、1〜100μmの粉体状、100〜1000μmの粒状、あるいはニードル、ペレット等の成形体が好適に用いられる。 粘土鉱物としては、活性白土、モンモリロナイト、ベントナイト等のスメクタイト類、カオリナイト等が挙げられ、反応性の観点から活性白土、モンモリロナイトが好ましい。粘土鉱物の粒径に特に制限はないが、通常0.1μm〜1mmである。触媒活性の向上のために鉱酸等で処理したり、反応系への分散性向上のために有機化処理をしたものであってもよい。 硫酸化ジルコニアは、ジルコニアに適量の硫酸を含浸させた後、焼成して得られる。好ましい硫酸の処理量はジルコニアに対して1〜100質量%であり、焼成温度は300〜800℃である。 本発明において、酸触媒の使用量は、モノカルボン酸に対して0.001〜100質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。 本発明の無水化反応は実質的に溶媒を含まないが、原料を溶解させるなどの観点から、溶媒を用いてもよい。反応効率の観点から、原料/(原料+溶媒)の質量比は、1/26〜1/1が好ましく、1/5〜1/1がより好ましく、1/2〜1/1がさらに好ましい。 溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば任意のものを用いることができる。例えば、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、スクアラン等の脂肪族炭化水素類、シクロデカン等の脂環式炭化水素類、エチレングリコール等のアルコール類、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類などを用いることができる。 本発明において、反応温度は、反応速度向上の観点から150℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましく、200℃以上が更に好ましく、275℃以上が更に好ましい。また、触媒寿命の観点から反応温度は300℃以下が好ましく、275℃以下がより好ましく、250℃以下が更に好ましく、225℃以下が更に好ましい。 反応時間には特に制限はないが、通常0.5時間〜24時間である。また反応は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下に行うことが好ましい。反応時の圧力は、効率的に水を除いて反応速度を向上する観点から0.1〜100kPaが好ましく、0.5〜30kPaがより好ましく、1〜5kPaがさらに好ましい。 上記反応によって得られる酸無水物はそのまま、あるいは適当な精製を行った後、次の反応に用いることができる。精製方法としては、均一系酸触媒の場合は吸着剤等によって酸触媒を除去することができ、固体酸触媒の場合は濾過、遠心分離等によって酸触媒を除去することができる。また、未反応カルボン酸を蒸発留去した後、蒸留や再結晶によって純粋な酸無水物を得ることもできる。 本発明により得られるモノカルボン酸無水物は、界面活性剤などの中間原料として好適に用いることができる。 実施例1−1 攪拌子を入れた50mLナス型フラスコに、ステアリン酸(花王(株)製 LUNAC S98)50g(175mmol)、及び硫酸化ジルコニア(和光純薬工業(株)製)1gを加え、窒素置換した後、2.6kPaを維持しながら、250℃で攪拌し、無水物化反応を行った。6時間後、加熱を止め、固体触媒をろ過して除いた後、1H−NMR(バリアン社製 MERCURY400)測定を行った。原料脂肪酸のα位のメチレンプロトンと脂肪酸無水物のα位のメチレンプロトンの積分比を比較することにより無水物収率を算出したところ、ステアリン酸無水物が収率39.1%で得られていることがわかった。 実施例1−2〜1−9、比較例1−1〜1−2 硫酸化ジルコニアを表1に示す酸触媒1gに変えた以外は実施例1−1と同様に反応を行い、生成物の分析を行った。なお、均一系の酸触媒を用いた場合は触媒の除去はせず、そのままNMR分析を行った。その結果を表1に示す。 実施例2−1〜2−6、比較例2−1〜2−3 表2に示す酸触媒を用い、反応温度を200℃、反応時の圧力を1.3kPaとした以外は実施例1−1と同様に反応を行い、生成物の分析を行った。結果を表2に示す。 以上のように本発明によれば、比較例で用いたような従来の触媒を使用する場合と比べて、モノカルボン酸無水物を経済的に製造できる。特に表2に示すように、無触媒や従来用いられていた触媒を使用する場合には反応が全く進行しない温度、圧力条件においても、比較的長鎖のモノカルボン酸を反応させて対応する酸無水物とすることができる。 炭素数10〜22のモノカルボン酸を、酸触媒の存在下に、150℃〜300℃の反応温度で無水物化反応させる、モノカルボン酸無水物の製造方法であって、 前記酸触媒が、硫酸、燐酸、燐タングステン酸、パラトルエンスルホン酸、ゼオライト、粘土鉱物、アルミナ、及び硫酸化ジルコニアからなる群から選ばれる1種または2種以上である、モノカルボン酸無水物の製造方法。 前記酸触媒が、ゼオライト、粘土鉱物、アルミナ、及び硫酸化ジルコニアからなる群から選ばれる1種または2種以上の固体酸触媒である、請求項1記載のモノカルボン酸無水物の製造方法。 前記固体酸触媒がゼオライトである、請求項2記載のモノカルボン酸無水物の製造方法。 前記反応温度が200℃〜275℃である、請求項1〜3のいずれか1項記載のモノカルボン酸無水物の製造方法。 前記無水物化反応を、実質的に溶媒の存在しない条件下で行う、請求項1〜4の何れか1項記載のモノカルボン酸無水物の製造方法。 【課題】 界面活性剤などの中間原料として好適に用いられるモノカルボン酸無水物の製造方法の提供。【解決手段】 炭素数10〜22のモノカルボン酸を、硫酸、燐酸、燐タングステン酸、パラトルエンスルホン酸、ゼオライト、粘土鉱物、アルミナ、及び硫酸化ジルコニアからなる群から選ばれる1種または2種以上の酸触媒の存在下に、150℃〜300℃の反応温度で無水物化させる。【選択図】なし


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