タイトル: | 公開特許公報(A)_タンパク質吸着の評価方法 |
出願番号: | 2012090340 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | G01N 21/64,G01N 33/00,G01N 33/543 |
池本 一人 JP 2013217848 公開特許公報(A) 20131024 2012090340 20120411 タンパク質吸着の評価方法 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 池本 一人 G01N 21/64 20060101AFI20130927BHJP G01N 33/00 20060101ALI20130927BHJP G01N 33/543 20060101ALN20130927BHJP JPG01N21/64 FG01N33/00 DG01N33/543 501J 3 OL 5 1.WINDOWS 2G043 2G043AA01 2G043BA16 2G043CA03 2G043DA01 2G043EA01本発明は、例えば、臨床診断や生化学実験等において使用する部品・器具・容器等への各種タンパク等の生体関連物質の吸着を計測する方法に関する。近年、タンパク質を有効成分とする治療薬は増えてきており、その有効利用が求められている。しかし、容器への吸着により有効成分の減少がみられ、その対策が求められている。また、疾病の早期発見等の目的のため、検査の高感度化が求められており、診断薬の感度向上が求められているが、十分な感度が得られていない。その原因は、血清などの生体分子混在下で特定の物質を検出する診断では、共存する生体分子や2次抗体、発光基質などが器具・容器などへ非特異的に吸着し、その結果、ノイズが増加して高感度化の妨げとなるからである。これらの対策を行うには吸着量の計測技術が必要で、簡便な方法が求められている。しかしながら、容器内のタンパク量の計測は感度が悪く、また、液体クロマトグラフィーを使用する等、時間が必要である。酵素活性を有する蛋白を吸着させ、その酵素反応を使用して吸着量を求める方法が提案されている(特許文献1)。この方法は感度が高い利点を有するが、酵素反応を行うために作業と時間を必要で、また、その反応を行うために試薬が必要である。このため、ランニングコストが高くなる欠点がある。直接的にタンパク質を計測する方法としてX線光電子分光分析法(以下、XPSと略す)を使用する方法が提案されている(特許文献2)。XPSは装置自体が高価である欠点とともに高真空化で分析する方法で作業の高速化できない欠点がある。また、窒素原子を指標に分析しているが、吸着評価する物質に窒素原子が含まれる場合、その解析が困難になる欠点がある。特開2009−216572号公報特表2008−526377号公報本発明者は特別な装置を必要とせず簡単で安価にタンパク質が吸着する量の評価を可能とする方法を提供することを課題とした。[1]蛍光ラベルにより蛍光ラベル化したタンパク質を材料に接触させた後、該材料の蛍光を測定するタンパク質吸着測定法。[2]蛍光ラベルがフルオロセイン基を有することを特徴とする[1]記載の吸着測定法。[3]蛍光ラベルにより蛍光ラベル化したタンパク質を材料に接触させた後、該蛍光ラベル化タンパク質溶液の濃度を測定する[1]又は[2]記載の測定法。本発明により簡便で迅速なタンパクの吸着評価が可能になり、タンパク質の吸着を抑えた容器、材料の開発が迅速に進めることができる。タンパクは医薬品、研究用試薬に使用されるため、吸着による濃度減少や定量性の面で改良が望まれている。本発明の評価方法は、対象の材料に蛍光ラベル化したタンパク質を接触させた後、当該材料に吸着したタンパク質成分を蛍光測定する方法である。材料に接触させた後、吸着した後の上澄みを別にとっておき、その中に含まれるタンパク質量を測定することも可能である。蛍光ラベル化したタンパク質と接触した材料はそのまま、蛍光測定してもよいし、バッファーや水で洗い、余分な蛍光タンパクを落とし、吸着したタンパク質成分を検出することもできる。接触させる時の条件はタンパク質の溶液組成に合わせて行えばよく、pH、塩濃度等は自由に選択できる。接触する温度も評価項目であり、自由に設定できるが、60℃を超える場合はタンパク質の変性が起きていることを考慮しなければならない。また、−20℃以下では溶液が凍結して物質移動起こりにくいことから、−10℃〜60℃で行うことが好ましい。使用するタンパク質は特に制限がなく、分子量3000から30万のものが容易に使用できる。タンパク質の種類は吸着させたいものを選べばよく、インシュリン、免疫グロブリン、アルブミン、コラーゲン、グロブリン、フィブリノーゲン等がよく使用され、入手も容易であることから好ましい。また、これらの混合物を使用してもよく、血清中を混合物のまま使用してもよい。また、食品として使用される乳タンパク、大豆タンパク等も使用できる。タンパク質の蛍光ラベル化は一般的な方法で作ることができる。例えばキットを使用することも可能である。より具体的には(株)同仁化学研究所製のフルオロセインラベリングキット、HiLyte Fluor 555 Labelling Kit-NH2, HiLyte Fluor 647 Labelling Kit-NH2, HiLyte Fluor 750 Labelling Kit-NH2を使用することも可能である。蛍光化させる置換基の構造については特に制限がない。励起光、検出光については使用する目的に合わせて選択すればよい。蛍光化剤としてはフルオロセインイソチオシアネート、5- or 6-(N-スクシンイミジロキシカルボニル)−フルオロセイン3’,6’-ジアセテート, N-エチル-N’-[5-(N”-スクシンイミジロキシカルボニル)ペンチる]インドカルボシアニン クロライド, N-エチル-N’-[5-(N”- スクシンイミジロキシカルボニル)ペンチル]-3,3,3’,3’-テトラメチル-2,2’-インドカルボシアニン クロライド, 1H,5H,,11H,15H-キセンゼノール[2,3,4-i]:5,6,7-i’j’]ジキノリジン-18-ニウム,9-(2-スルホ-4-クロロスルホフェニル)-2,3,6,7,12,13,16,17-オクタハイドロ-分子内塩等が代表的な物質としてあげられる。特によく使用されるフルオロセインイソチオシアネートが好ましい。蛍光ラベル化したタンパク質は、精製することなく使用することも可能であるし、蛍光性の低分子分(蛍光剤、もしくはその反応物)を除去する精製を行ってから使用することも可能である。精製はカラム、吸着材、透析、凍結乾燥、塩析等を使用することが出来る。蛍光の検出は目視、蛍光スペクトロメーター、蛍光顕微鏡、蛍光スキャナ、蛍光フィルターつきカメラ等で測定すればよい。蛍光に使用する波長は制限がないが、フィルター等が普及しているフルオロセインと同じ495nmの励起、520nmの蛍光検出が容易であるため好ましい。また、同時に吸着されなかったタンパク質の吸光度、または蛍光を測定することで精度よく調べることが可能になる。評価対象となる材料はガラス、プラスチック、金属、それらの複合材料等を使用でき、表面処理等で吸着性の変化を調べることもできる。ガラス、プラスチック等へのタンパク質が吸着するのを抑制ために、別のタンパク質としてスキムミルクやアルブミン、グロブリン、コラゲーゲン、血清を用いることが可能である。更に低分子化合物としてピロロキノリンキノンを用いることが可能である。ピロロキノリンキノンはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩としても使用することができる。 実施例及び比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例にのみ限定されるものではない。実施例1 蛍光ラベル化タンパク質(FITCーインシュリン)の合成シグマーアルドリッチ製インシュリン50mgを2.8%NaHCO3、1.7%Na2CO3を溶かした水0.5mlに溶かす。ここに(株)同仁化学研究所製フロオロセインイソチオシアネート(FITC)11mgをジメチルスルホキシドに溶解したものを加える。これを室温で1日反応させた。この溶液をサーモ社の透析装置Slide LyzerMz 3000に入れ、1週間透析した。低分子を除去した溶液を凍結乾燥して水で再溶解してFICTーインシュリン溶液を作製した。実施例2 ガラス容器ホウケイ酸ガラス製シャーレ9cm直径にインビロジェン製リン酸バッファー(PBS pH7.4)を10ml加えた。実施例1で作製したFICT-インシュリンをリン酸バッファーで0.5mg/MLに希釈した溶液を1ml加えた。これを30℃で2日置いておいた。上澄みをとり、容器をリン酸バッファー10mlで3回洗浄した。この容器をTE-2000S蛍光顕微鏡(NIKON)を使用し、光源は高圧水銀ランプに蛍光フィルターGFPブロック(NIKON)を取り付け、10倍の対物レンズで観察した。この時の蛍光写真を撮影した。これをWindows XP付属のペイントソフトで色分析を行い、緑色の数値(G成分)を吸着量として数値化した。また、上澄みはHITACHI U−2000 Spectrophotometerを使用して490nmの吸収測定した。これより回収率を測定した。結果を表1に示す。本発明により容易にタンパクの吸着が測定できる。実施例3 スキムミルクによる表面処理ガラスタンパクの吸着を抑制するために別のタンパク質、DIFCO製スキムミルクで表面コートしてインシュリンの吸着を抑制することにした。DIFCO製スキムミルク0.5gを水50mlに懸濁した。この溶液5mlを実施例2と同じシャーレに入れ、37℃で1.5時間処理した。溶液を取り除きリン酸バッファー5mlで洗った。このシャーレに実施例2と同様にFITC−インシュリンを加え、吸着量の測定を行った。結果を表1に示す。タンパクの吸着ブロッキングとして知られるスキムミルクは蛍光ラベル化したインシュリンの吸着を抑制していた。実施例4 ピロロキノリンキノンによる表面処理ガラスピロロキノリンキノン0.1gを水50mlに懸濁した。この溶液5mlを実施例2と同じシャーレに入れ、37℃で1.5時間処理した。溶液を取り除きリン酸バッファー5mlで洗った。このシャーレに実施例2と同様にFITC−インシュリンを加え、吸着量の測定を行った。その結果を表1に示す。ピロロキノリンキノンがタンパクの吸着を抑える効果があった。比較例1、2 ガラス容器表面処理していないガラスとして実施例2の実験をFICTーインシュリンを加えず行った。これを比較例1とする。また、表面処理ガラスとして実施例3の条件でFICTーインシュリンを加えず行った実験を比較例2とする。本発明により、タンパク質の吸着を抑制する材料又は促進する材料の開発が容易になり、食料用等の容器材料、人工臓器等の生体適合性材料、各種製造装置材料、実験器具材料等の開発分野に有効である。蛍光ラベルにより蛍光ラベル化したタンパク質を材料に接触させた後、該材料の蛍光を測定するタンパク質吸着測定法。蛍光ラベルがフルオロセイン基を有することを特徴とする請求項1記載の吸着測定法。蛍光ラベルにより蛍光ラベル化したタンパク質を材料に接触させた後、該蛍光ラベル化タンパク質溶液の濃度を測定する請求項1又は2記載の測定法。 【課題】特別な装置を必要とすることなく簡便で安価なタンパク質吸着の評価方法を提供する。【解決手段】蛍光ラベルにより蛍光ラベル化したタンパク質を材料に接触させた後、対象材料に吸着したタンパクの蛍光強度を測定する。蛍光ラベルがフルオロセイン基を有する。蛍光ラベルにより蛍光ラベル化したタンパク質を材料に接触させた後、該蛍光ラベル化タンパク質溶液の濃度を測定する。【選択図】なし