タイトル: | 公開特許公報(A)_イヌリンの精製方法 |
出願番号: | 2012088708 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C12P 19/04,C12P 19/18,G01N 30/46,G01N 30/88 |
岡田 一夫 増田 隆之 JP 2013215138 公開特許公報(A) 20131024 2012088708 20120409 イヌリンの精製方法 オルガノ株式会社 000004400 宮崎 昭夫 100123788 石橋 政幸 100106138 緒方 雅昭 100127454 岡田 一夫 増田 隆之 C12P 19/04 20060101AFI20130927BHJP C12P 19/18 20060101ALI20130927BHJP G01N 30/46 20060101ALI20130927BHJP G01N 30/88 20060101ALI20130927BHJP JPC12P19/04 ZC12P19/18G01N30/46 AG01N30/88 N 5 OL 17 4B064 4B064AF11 4B064BJ10 4B064CA21 4B064CB30 4B064CC15 4B064CD09 4B064CE10 4B064CE20 本発明は、擬似移動層方式のクロマトグラフィーによるイヌリンの精製方法に関する。 低分子糖類と混合状態にあるイヌリンを低分子糖類と分離して精製するための方法として、限外ろ過膜や逆浸透膜などの分離膜を用いた方法や、ゲルろ過やイオン交換樹脂を分離用の担体とするクロマトグラフィーを用いた方法が知られている。 引用文献1には、グルコース、フルクトース、短鎖成分及び長鎖イヌリンを含む水性粗イヌリン懸濁液をヒドロラーゼにより処理して短鎖成分を更に単糖及び二糖に分解して得られた混合物から長鎖イヌリンを単糖及び二糖と分離して乾燥することによる長鎖イヌリンの製造方法が開示されている。この引用文献1には、長鎖イヌリンを単糖及び二糖と分離する方法として、限外ろ過や、Ca2+を負荷した強酸性カチオン交換樹脂の固定層を用いたクロマトグラフィーによる分離方法が記載されている。 なお、イヌリンは、チコリ、キクイモ等に含まれる多糖類であり、スクロースのフラクトース残基に、1〜60個のフラクトースがβ−2,1結合で直鎖状につながった分子構造を有する。自然界では鎖長分布は広く、鎖長の異なるイヌリンの集合体として分布している。イヌリンは水溶性食物繊維としての機能を有し、整腸作用や血糖上昇抑制効果などの生理機能についての検討が行われている。また、水と混合すると脂肪状のクリームを形成する。従って、イヌリンは、化粧料成分、健康食品の成分、医薬品の成分として利用することができる。また、イヌリンは酵素を用いた合成方法により製造可能であり、特許文献2には、スクロースをイヌリン合成酵素に接触させてイヌリンを製造する方法が開示されている。 イヌリンを、単糖類や二糖類の低分子量糖類と分離して精製する場合に、工業的な規模での精製を行うために処理量を増加させると、限外ろ過膜や逆浸透膜などの分離膜を用いた方法では、処理装置における反応槽(リアクタ)の数を増加させなければならず、それに伴う設備投資や運転経費の増大を考慮するとスケールメリットが少ない場合が多い。 これに対して、クロマトグラフィーを利用する方法では、原液の処理量の増加は、クロマトグラフィー用のカラムのサイズアップで対応できるため、原液の処理量を増加させた場合でもスケールメリットが得やすいという利点がある。 一方、クロマトグラフィーにより分子分画を行うための装置としては、固定層方式や擬似移動層方式等が知られている。 固定層方式による精製では、カラム中に固定した充填材層に供給した処理対象としての原液を溶離液の通液によって展開し、各成分に特有の溶出時間(滞留時間)の差により、目的とする成分と他の成分とが分離される。 擬似移動層方式による精製では、溶離液が通液されているカラム中の充填材層に対する処理対象としての原液の供給位置を順次変えて供給し、目的とする成分と他の成分とが分離される。擬似移動層方式では、固定層方式と比較して、充填材や溶離液使用量を抑えつつ、精製された成分の純度や回収率を上げることもでき、大量の原液の精製処理に適した方法である。特許文献3には、吸着剤を充填した複数の単位充填塔を直列に連結して無端状の溶離液の循環系を形成し、循環系に対する原液の供給位置と循環系からの溶出液の取り出し位置を順次変化させることによる擬似移動層方式クロマトグラフィーによる目的成分の分離方法が開示されている。特開平7−51083号公報特開2003−93090号公報特公昭42−15681号公報 単糖及び二糖などの低分子糖類とイヌリンとの分離に、擬似移動層方式のクロマトグラフィーを用いることにより、充填材や溶離液使用量を抑えつつ、イヌリン画分での純度やその回収率を上げることができ、原液の大量処理においても効率的なイヌリンの分離精製が期待される。 しかし、水への溶解度が比較的低いイヌリンを多く含む原液では、処理温度によっては、イヌリンが擬似移動層方式のクロマトグラフィーカラム内の溶離液中で析出してしまう場合があることが判明した。 例えば、特許文献2に記載されるような糖分組成のイヌリンを含む原液(固形分組成イヌリン45%、ショ糖7.6%、グルコース44.0%、フルクトース2.2%)のBx40の濃度であると、65℃の温度ではイヌリンの析出が生じることがわかった。従って、65℃の温度条件において擬似移動層方式のクロマトグラフィーによる装置を運転すると、差圧上昇や流路閉塞が生じるおそれがある。イヌリンの析出速度は遅いため、運転条件によっては、例えば溶離液の流速を上げてイヌリンの溶出時間を短く、すなわち装置内での滞留時間を短くすることで析出による問題を回避することができる。しかし、精製対象成分の純度の向上や回収率の向上、あるいは原液の大量処理を行う場合、擬似移動層方式では装置内での精製対象成分の滞留時間は比較的長くなり、また、長時間連続運転を行うため、上述したイヌリンの装置内での析出の問題を考慮した運転条件の設定が必要となる。 一方、装置内でのイヌリンの析出を抑えるために装置内温度を高くすると、イヌリンの分解が促進される傾向にある。固定層方式に比べて滞留時間を長く設定することの多い擬似移動層方式では、高温運転によるイヌリンの分解が起きやすくなり、回収率の低下などの問題が起こる場合がある。 本発明の目的は、イヌリン及び低分子糖類を含む原液からイヌリンを精製するために擬似移動層方式のクロマトグラフィーを用いる場合に、イヌリンの析出や分解などの特有の問題を解決して、効率良い精製を行うことができる擬似移動層方式のクロマトグラフィーによるイヌリンの精製方法を提供することにある。 本発明にかかるイヌリンの精製方法は、 イヌリン及び低分子糖類を含む原液を、水を含む溶離液を用いた擬似移動層方式のクロマトグラフィーによって処理し、イヌリンを精製する方法であって、 前記イヌリンの精製を、前記原液中の成分が析出しない温度で行うとともに、 前記原液及び前記溶離液の少なくとも一方に塩基を添加して前記イヌリンの分解を抑制することを特徴とするイヌリンの精製方法である。 本発明によれば、イヌリン及び低分子糖類を含む原液を擬似移動層方式のクロマトグラフィーによる装置で処理してイヌリンを低分子糖類と分画して精製する際に、原液及び水を含む溶離液の少なくとも一方に塩基を添加し、かつ装置内の処理温度を原液中の成分が析出せず、かつ、イヌリンの分解が生じない温度とすることにより、擬似移動層方式のクロマトグラフィーによるイヌリンの精製における析出や分解などの特有の問題を解決して、効率良い精製を行うことが可能となる。擬似移動層方式によるクロマトグラフィーでの成分Aと成分Cの分画処理の一例を模式的に説明するための図である。擬似移動層方式によるクロマトグラフィーでの成分Aと成分Cの分画処理の一例を模式的に説明するための図である。本発明の実施形態にかかる擬似移動層方式によるクロマトグラフィー装置の構成を示す図である。 本発明にかかるイヌリンの精製方法は、低温における水溶性が低い一方で、高温で分解を生じやすいイヌリンと、低分子糖類(単糖類及び二糖類)との分画に好適に用いることができる。 イヌリンは、スクロースのフラクトース残基に、1〜60個のフラクトースがβ−2,1結合で直鎖状につながった以下の式(1)で表される分子構造を有する。(n=1〜60) イヌリンは、化粧料成分、健康食品の成分、医薬品の成分として利用することができる。 本発明において処理する原液中のイヌリンは特に限定されないが、上記式(1)のnが10以上、好ましくは10〜20程度のものを用いることができる。なお、原液に重合度の異なるイヌリンが含まれる場合も、平均重合度が10〜20程度のイヌリンを含む原液を用いることができる。 イヌリンを含む原液としては、チコリ、キクイモ、タマネギ、ニラ、ニンニク、ゴボウ、バナナなどのイヌリンを含有する植物からの抽出液や、酵素法を用いた合成方法により得られる反応生成物あるいはその調整物を用いることができる。 酵素を用いたイヌリンの合成方法としては、特許文献2に記載されるイヌリン合成酵素などの糖転移酵素を用いる方法が利用できる。特許文献2に記載されるイヌリン合成酵素を用いた方法では、スクロースを基質としてイヌリン合成酵素を作用させて、スクロースのフラクトース残基にフラクトース残基をβ−2,1結合で直鎖状に結合させることによりイヌリンを合成することができる。 得られる反応生成物は、イヌリンと低分子糖類(スクロース、グルコース及びフラクトース)とを含む。この反応生成物のようにイヌリンと低分子糖類(スクロース、グルコース及びフラクトース)とを含むものを処理対象の原液とする。 処理対象の原液の糖分濃度に対応する固形分濃度は高いほうが望ましい。その理由としては、(1)原液中に含まれる固形分の処理量で見ると処理効率が高い。したがって、時間当りの固形分処理量が同じなら、より小さなカラムでの処理が可能となる、(2)出口液の固形分濃度も高くなるため、製品画分の濃縮費用、廃液画分の廃棄費用を節約できる、等の理由を挙げることができる。 しかし、原液の固形分濃度が高すぎると、装置内での原液成分の析出や、溶離液の粘度上昇などの問題を生じる可能性が高くなる場合がある。このような観点から処理対象の原液の糖分濃度を確認あるいは調整しておくことが好ましい。 イヌリンの場合においては、例えば、固形分組成が、イヌリン45.1質量%、ショ糖7.6質量%、グルコース44.0質量%、フルクトース2.2質量%である原液の場合には、固形物濃度(w/w%)が45以上では、75℃で析出する可能性があるため、安定な装置運転のためには、処理温度を80℃以上に高くしなければならない。装置内の温度を必要以上に高くすることは、熱量を加えるためのコストの上昇やイヌリンの分解に対する対応をより確実に行う必要があるので、イヌリンの場合には、原液の固形分濃度は35以上45以下範囲、好ましくは35を超えて、45未満から選択することが好ましい。 このイヌリン及び低分子糖類を含む原液の固形物濃度は、屈折計(ブリックス計)によって得られるBx(Brix:ブリックス)の値によって管理することができる。Bxは、屈折率計で測定される屈折率の値とショ糖水溶液100g(20℃)に含まれるショ糖のg数に基づいた目盛り(スケール)であり、屈折率を、20℃のショ糖溶液の重量百分率濃度(W/W%)に換算した目盛(スケール)である。 擬似移動層方式のクロマトグラフィーを行うための充填材としては、ゲルろ過機能を少なくとも有し、分子分画を可能とするものであり、イヌリンと低分子糖類との分離に利用できるものであればよい。そのような充填材としてはイオン交換樹脂を挙げることができる。化粧品、医薬品または食品用途としてのイヌリンを処理する場合は、アルカリ金属形またはアルカリ土類金属形の陽イオン交換樹脂が好ましい。 アルカリ金属形またはアルカリ土類金属形の陽イオン交換樹脂としては、アンバーライト(商品名、オルガノ株式会社) CR−1310Na、CR−1320Na、CR−1310Ca、CR−1320Ca;ダイアイオン(商品名、三菱化学株式会社) UBK510L、UBK530、UBK550、UBK535、UBK555;ならびにDOWEX(商品名、ダウ・ケミカル) 50W×2、50W×4、50W×8などを挙げることができる。これらの中では、スケールの発生を効果的に防止するという観点からは、アルカリ金属形の陽イオン交換樹脂が好ましい。 擬似移動層方式のクロマトグラフィーによる分画の原理について図1及び図2を用いて説明する。なお、図1及び図2は、各成分の動きを単純化することでクロマトグラフィーによる分画の原理を簡略化して模式的に表したものである。 図1に示す擬似移動層方式のクロマトグラフィー装置は、カラム内に、ゲルろ過機能を有する充填材が充填された流路を設け、流路の上流側から下流側へ等間隔で原液の供給口F1〜F4(●)を設けた構成を有する。溶離液はカラム内の流路を⇒方向に流れるように供給される。 まず、図1(1)に示すように、供給口F1のみを利用してからA成分とC成分(A成分の分子量>C成分の分子量)を含む原液の第一回目の投入分(A1、C1)をカラム内に供給する。A1、C1は充填材中の溶離液の流れと、充填材との相互作用に基づいて移動速度(滞留時間)が異なり、所定時間経過後には2つの画分A1とC1に分画される。図示した例ではA成分の移動速度をAv、C成分の移動速度をCvとすると、Av>Cvとなるように処理条件が設定されている。 所定時間(t)経過後、原液の供給口を供給口F2のみに切り替えて、原液の第二回目の投入分(A2、C2)をカラム内に供給する。この第二回目の原液供給までの時間tを、画分A1が供給口F2を通過し、かつ画分C1が供給口F2よりも上流側となるように、設定する。こうすることによって、原液の供給口は、t時間経過時に供給口F1とF2の距離(L)をみかけ上移動したことになる。すなわち、原液の供給口のみかけの移動速度Fv(L/t)を得ることができる。ここで、A成分の移動速度Av、C成分の移動速度Cv、原液供給口のみかけの移動速度Fvを、Cv<Fv<Avとの関係となるように設定することによって、図1(2)に示しように、供給口F2からの原液のカラム内への供給時に、原液の供給口F2の下流側に第一回目の供給による画分A1が位置し、上流側に第一回目の供給による画分C1が位置する状態を得ることができる。 更に所定時間(t)経過後、図1(3)に示すように、原液の供給口を供給口F3のみに切り替えて、原液の第三回目の投入分(A3、C3)をカラム内に供給する。移動速度に関する上記の関係(Cv<Fv<Av)が保持されているので、先に第二回目の原液の供給時と同じように、原液の第三回目の投入によって、原液の供給口F3の下流側に画分A1及び画分A2が位置し、上流側に画分C1及び画分C2が位置することになる。同様に、次の所定時間(t)経過後、図1(4)に示すように、原液の供給口をF4のみに切り替えて原液の第四回目の投入分(A4、C4)をカラム内に供給し、同様の処理を行うことができる。こうして順次分画されたA成分(A1〜A4)は、C成分(C1〜C4)と分画され、カラムの下流側の出口Rから回収することができる。 以上のとおり、充填材を充填した流路中への原液の供給口を上流側から下流側へ順次所定の間隔で移動させ、原液の供給口のみかけの移動速度と、分画すべき成分の移動速度との関係を制御することにより、原液の供給口に対してみかけ上互いに逆方向に各成分を移動させて効果的な分画を行うことができる。 更に、図2に示す擬似移動層方式のクロマトグラフィー装置によれば、連続運転を行うことが可能となる。図2に示す装置は、図1に示した装置と同様に、カラム内に、ゲルろ過機能を有する充填材が充填された流路を設け、流路の上流側から下流側へ等間隔で原液の供給口F1〜F4を設けた構成を有する。溶離液はカラム内の流路を⇒方向に流れるように供給され、カラム出口からカラム入口へ返送されて、循環経路を形成する。 この装置には、カラム内の溶離液の出し入れが可能となる出入り口(●)が4か所設けられており、溶離液の流れの方向において原液の供給口をF1〜F4まで順次切り替えることができ、これにより図1で示した原液の供給とA成分とC成分の分画を行うことができる。図2の装置では、4つの出入り口を、原液供給口(F1〜F4)、画分Aの抜出口RA、画分Cの抜出口RC、溶離液の供給(補充)口SEとして順次切り替えて使用できるようになっている。 図2の装置におけるA成分(A1〜A4)は、C成分(C1〜C4)は図1の装置と同様に行われるが、図2の装置では、抜出口RAに到達した成分Aをカラム外に順次抜出し、また抜出口RCに到達した成分Cもカラム外に順次抜き出すことができるようになっている。このような構成により、装置の連続運転が可能となる。 本発明における擬似移動層方式のクロマトグラフィーとは、そのもっとも広義の意味のものを指す。その基本的な形式は、たとえば、橋本健治編著「クロマト分離工学 回分から擬似移動層へ」(培風館 2005年)に説明されているが、それを発展させたものも本発明に含まれる。例えば、本発明において利用可能な擬似移動方式によるクロマトグラフィーには、例えば、以下の各特許文献に開示された各方式による方法が含まれる。・特開平04−227804公報:新JO方式・特開平02−49159号公報:I−SMB方式(Improved SMB)・特開昭63−158105号公報:新MCI方式・特開2007−64944号公報:A−SMB方式(Advanced SMB)(新JO方式との組み合わせについても記述されている) これらは以下のような共通した特徴をもつ。ある1本のカラムの出口液を、その少なくとも一部を同じカラムまたは他のカラムに通液するという特徴をもっており、この特徴は固定層クロマトにはないものである。それにより1本のカラムでは分離が不十分であった画分をさらに分離することで、高純度高回収率を得ることができる。反面、原液成分の少なくとも一部は装置内での滞留時間が長くなるため、過冷却状態にある糖液が析出や粘度上昇する可能性や、高温で長時間保持されることにより分解の可能性が高まる。そのため本発明が効果的である。 また、とくに、「新JO方式」、「A−SMB方式」及び「A−SMB方式(新JO方式との組み合わせ)」では、原液が他のカラムの出口液と混合することなく直接に(すなわち高濃度で)カラムに注入されるという特徴をもっており、析出や粘度上昇が発生する可能性が高く、本発明が特に効果的である。 溶離液としては、目的とするイヌリンの分離を可能とし、装置内に塩基を投入することによる本発明における目的効果を得ることができる、水を含む溶離液(水性溶離液)であれば特に限定されない。溶離液は目的とするイヌリンの分離のための水分含有量を有していればよく、水を主成分として溶離液を調製することができる。溶離液に含まれる水分含有量は、例えば、90質量%以上とすることができる。溶離液としては、取扱い性や分離したイヌリンの用途を考慮した場合、水が好ましい。また、溶離液には、製品画分の純度に悪影響を及ぼさない範囲内でアルコール類、中性の塩類などを適宜添加しても良い。 本発明においては、イヌリンを含む原液及び溶離液の少なくとも一方に塩基が添加される。また、イヌリンを含む原液及び溶離液の少なくとも原液に塩基を添加しておくことがより好ましい。 塩基の種類は、本発明の目的効果が得られるものであれば特に限定されない。塩基を添加することで、高温条件において流路内を流れる溶離液中のイヌリンの分解を促進すると考えられるH+の量を低減して、イヌリンの分解を抑制し、効率良い分離処理が可能となる。 塩基としては、例えば、NaOH、KOH、Ca(OH)2、NH3水、NaHCO3、KHCO3、これらの2種以上の混合物を挙げることができ、イヌリンの用途に応じて適宜選択することができる。食品、化粧品または医薬品の製造用途であれば、NaOHを塩基として好ましく用いることができる。 塩基は、装置に供給する原液または溶離液中へ添加した塩基が、カラムを含む装置内で混合された際の平均濃度として3×10−4N以上となるように添加される。塩基濃度がこの値より少ないと、イヌリンの分解を促進するH+濃度の抑制効果を十分に得ることができない場合がある。一方、塩基濃度が高すぎると逆にOH−の濃度が上昇し、メイラード反応等によりイヌリンが劣化する可能性が生じるので、塩基濃度は10−2N以下とすることが好ましい。 添加した塩基は、分離処理後にイヌリンを含む画分中に含まれた状態で装置から回収され、必要に応じて脱塩工程により回収品から除去することができる。 なお、カラムを含む装置内に投入した塩基のカラムを含む装置内での平均濃度は、投入した塩基の量、カラムを含む装置内の溶離液の量、投入した原液および溶離液の量、目的とする成分を含む画分の取出し量などの運転条件に基づいて算出することができる。 装置内での精製温度は、イヌリン等の原液中の成分が溶解した状態が得られる温度以上とすることが好ましい。更に、装置内の溶離液の滞留個所など温度が低下する個所での析出の可能性をなくしておくには、余裕をみてイヌリンが溶解した状態となる温度+5℃以上にすることがさらに望ましい。 精製温度を必要以上に高くすることは、熱量を加えるためのコストの上昇を生じる要因となる。このような観点からは、精製温度の上限は、原液中の成分が溶解した状態が得られる温度+10℃以下の温度から選択することが好ましい。 一方、装置内の溶離液の滞留個所など温度が低下する個所での原液成分の析出やカラム内を流れる液体の粘度上昇の可能性をなくしておくには、ある程度の温度を上げて精製処理を行うことが好ましい。このような観点から、精製温度は60℃以上とすることが好ましく、70℃以上とすることがより好ましい。また、熱量を加えるためのコストの上昇を抑える上では、80℃以下の温度から精製温度を選択することが好ましい。 なお、この原液中の成分が溶解した状態を得るための温度は、原液の状態で測定した際に、「原液に含まれる成分が溶解している状態が得られる温度」として設定される。 以下、本発明の分離処理に用いる擬似移動層方式のクロマトグラフィーによるイヌリンの処理装置及びそれを用いたイヌリンの分離方法の実施態様について説明する。 (実施形態) 図3は、本発明の実施形態に係る擬似移動層方式を用いたクロマトグラフィーによる分離方法(以下クロマト分離方法という)を実施するに適した装置(クロマト分離装置)の構成を示す図である。クロマト分離装置1は、4つの単位充填塔4(No.1〜No.4充填塔)を備えており、各充填塔4内には、ゲルろ過の機能を有する充填材が充填されている。各充填塔4は、配管6により、各充填塔4の出口から隣接する充填塔4の入口へと連結されて、全体として直列に連結されており、最後部の単位充填塔4(たとえば、図3におけるNo.4充填塔4)の出口から最前部の単位充填塔4(たとえば、図3におけるNo.1充填塔4)の入口へと配管6で連結されることにより、全単位充填塔4が無端状に連結されている。したがって、この全単位充填塔4が無端に連結された充填層は、流体が矢印方向に循環可能な系7として形成されている。 循環系7内の各隣接充填塔4間には、各充填塔間を遮断することが可能な遮断弁R1、R2、R3、R4が設けられている。各遮断弁R1〜R4と、その上流側に位置する各充填塔4の出口との間には、充填層内を移動する速度が大きい画分の抜き出しを目的としたA画分抜き出し弁A1、A2、A3、A4が設けられている。各A画分抜き出しライン8は、合流されて一つのA画分合流管9にまとめられている。また、同様に、充填層内を移動する速度が小さい画分の抜き出しを目的としたC画分抜き出し弁C1、C2、C3、C4が設けられている。各C画分抜き出しライン10は、合流されて一つのC画分合流管11にまとめられている。このほかに循環工程において全量抜き出しを行うことを目的とした2方弁Z1、Z2、Z3、Z4が設けられている。各循環抜出しライン12は、合流されて循環抜出し合流管13にまとめられ、溶離液供給ポンプPDの上流側で溶離液供給ライン20に合流されている。 循環系7には、原液タンク2に収容された原液3と、溶離液タンク15に収容された溶離液16が供給可能となっている。原液3は、本実施態様では、供給流量の制御が可能な原液供給ポンプPFにより、原液供給ライン17を介して供給される。原液供給ライン17は、各原液分岐供給ライン18に分岐され、原液は各原液分岐供給ライン18を介して各単位充填塔4の入口側に供給可能となっている。各原液分岐供給ライン18には、開閉可能な原液供給弁F1、F2、F3、F4が設けられており、開弁された原液供給弁のラインを介して対応する単位充填塔に原液が供給される。なお、原液供給ポンプPFの安定運転のために原液が供給されない工程でも原液供給ポンプPFを作動させておきたい場合は、原液供給弁の手前に弁F0および原液循環ライン19を設けて原液タンク2に戻すようにしてもよい。 循環流体は、本実施態様では全量抜き出し弁Z1〜Z4のいずれかにおいて全量引き抜かれ、循環抜出し合流管13を通して溶離液タンク15と溶離液供給ポンプPDの間の溶離液供給ポンプPDの上流部に合流し、供給流量の制御が可能な溶離液供給ポンプPDにより、溶離液供給ライン20を介して再び循環系7に供給されるようになっている。溶離液供給ライン20は、各溶離液分岐供給ライン21に分岐され、溶離液は各溶離液分岐供給ライン21を介して各単位充填塔4の入口側に供給可能となっている。各溶離液分岐供給ライン21には、開閉可能な溶離液供給弁D1、D2、D3、D4が設けられており、開弁された溶離液供給弁のラインを介して対応する単位充填塔4に溶離液が供給される。なお、溶離液供給ポンプPDの安定運転のために溶離液が供給される工程と循環工程以外の工程でも溶離液供給ポンプPDを作動させておきたい場合は、溶離液供給弁の手前に溶離液循環ラインを設けて溶離液タンク15に戻すようにしてもよい。 このように構成されたクロマト分離装置1において分離処理は次のように行われる。すなわち、クロマト分離装置1では、原液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程、溶離液を供給するとともに全量をC画分抜き出し位置より抜き出す工程、溶離液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程、および一切の供給、抜き出し、遮断を行わずに循環系内の液を循環させる工程の4つの工程の運転が可能となっており、これらの工程を組み合わせることで分離を行うことができる。 原液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程(F−A工程)では、いずれかの原液供給弁を開き、原液を対応する単位充填塔4の入口側から循環系7内に供給し、A画分の抜き出し位置に相当するA画分抜き出し弁A(A1〜A4のいずれか)を開き、そのすぐ下流側にある遮断弁R(R1〜R4のいずれか)を閉め、A画分抜き出しライン8を通してA画分の全量を抜き出す。 溶離液を供給するとともに全量をC画分抜き出し位置より抜き出す工程(D−C工程)では、いずれかの溶離液供給弁を開き、溶離液を対応する単位充填塔4の入口側から循環系7内に供給し、C画分の抜き出し位置に相当するC画分抜き出し弁C(C1〜C4のいずれか)を開き、そのすぐ下流側にある遮断弁R(R1〜R4のいずれか)を閉め、C画分抜き出しライン10を通してC画分の全量を抜き出す。 溶離液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程(D−A工程)では、いずれかの溶離液供給弁を開き、溶離液を対応する単位充填塔4 の入口側から循環系7内に供給し、A画分の抜き出し位置に相当するA画分抜き出し弁A(A1〜A4のいずれか)を開き、そのすぐ下流側にある遮断弁R(R1〜R4のいずれか)を閉め、A画分抜き出しライン8を通じてA画分の全量を抜き出す。 一切の供給、抜き出しを行わずに循環系内の液を移動させる工程(循環工程:R工程)では、いずれかの循環流体抜き出し弁Z(Z1〜Z4のいずれか)を開き、そのすぐ下流にある遮断弁R(R1〜R4のいずれか)を閉め、循環抜出しライン12より全量を循環系7外に抜き出し、溶離液供給ポンプPDと介し、溶離液の供給位置に相当する溶離液供給バルブD(D1〜D4のいずれか)より供給する。 次に、各バルブ開閉サイクルについて説明する。この運転の一例を表1に示す。表1においては、F、D弁の開閉制御状態を示し、表中の数字は各弁の番号を示し(たとえば、Fの項で1はF1の弁を示している)、その番号が記入されている弁が開弁されることを表している。空欄の場合には、閉弁の状態を示している。また、A、C弁および循環流体抜き出し弁Zの項では、全量抜き出しを行う弁の番号を示している。空欄の場合にはその弁での抜き出しは行わない。R弁については、その番号が記入されている弁が閉弁されることを表している。空欄の場合には、開弁の状態を示している。さらに、原液供給ポンプPFと溶離液供給ポンプPDの項では、丸印は運転状態を示しており、空欄の場合には、停止状態を示している。この表1において、工程No.1−1〜1−5から工程No.4−1〜No.4−5までが、本クロマト装置1における分離処理の1サイクルを示している。 (工程1−1について) 表1に示した工程No.1−1〜1−5についてみるに、工程1−1では、溶離液供給弁D3を開き溶離液を循環系7内に供給するとともに、A画分抜き出し弁A1を開き、そこからA画分の全量を抜き出す。したがって、この工程1−1は本発明で言う溶離液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出すD−A工程に相当している。このとき、原液はF0弁を通して原液タンクに戻している。 (工程1−2について) 工程1−2では、原液供給弁F1を開き原液を循環系7内に供給するとともに、A画分抜き出し弁A1を開き、そこからA画分の全量を抜き出す。したがって、この工程1−2は本発明で言う原液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出すF−A工程に相当している。 (工程1−3について) 工程1−3では、循環流体抜き出し弁Z2を開き、そこから循環流体を循環系7から全量抜き出す。抜き出された循環流体を循環ポンプとしての溶離液供給ポンプPDによって溶離液供給弁D3から再度、循環系7内に供給する。したがって、この工程1−3は本発明で言う一切の供給、抜き出し、遮断を行わずに循環系内の液を移動させる工程(第2工程:循環工程R)に相当している。このとき、原液はF0弁を通して原液タンクに戻している。 (工程1−4について) 工程1−4では、溶離液供給弁D3を開き溶離液を循環系7内に供給するとともに、C画分抜き出し弁C3を開き、そこからC画分の全量を抜き出す。したがって、この工程1−4は本発明で言う溶離液を供給するとともに全量をC画分抜き出し位置より抜き出すD−C工程に相当している。このとき、原液はF0弁を通して原液タンクに戻している。 (工程1−5について) 工程1−5では、循環流体抜き出し弁Z2を開き、そこから循環流体を循環系7から全量抜き出す。抜き出された循環流体を循環ポンプとしての溶離液供給ポンプPDによって溶離液供給弁D3から再度、循環系7内に供給する。したがって、この工程1−5は本発明で言う一切の供給、抜き出し、遮断を行わずに循環系内の液を移動させる工程(第2工程:循環工程R)に相当している。このとき、原液はF0弁を通して原液タンクに戻している。 以上の一連の工程1−1〜1−5では、原液、溶離液の供給位置、A画分、C画分の抜き出し位置、および循環工程における循環流体抜き出し弁の位置は、ある特定の位置関係に保って実行され、これら一連の工程1−1〜1−5が終了すると、その特定の位置関係を維持しつつ、各制御対象弁の位置を下流側に一つ移行し、次の一連の工程2−1〜2−5を実行する。この移行を順次行うことにより、周知の擬似移動層式クロマト分離装置の運転操作と同等の機能を達成できる。 一連の工程1−1〜1−5に続く工程2−1〜2−5、工程3−1〜3−5、工程4−1〜4−5では、上記の如く各弁の位置を一つずつ移行した状態にて、上記工程1−1〜1−5と同様の運転を実行する。工程1−1〜4−5までが実行されると、分離処理の1サイクルが終了する。 なお、上記分離操作においては、原液供給ポンプPFおよび溶離液供給ポンプPDは、定流量吐出設定としてもよいし、流量制御を行ってもよい。 以下に本発明に関する比較例、実施例及び参考例を挙げる。なお、「%」は質量基準である。 (実施例1) 先に説明した図3を用いて説明した実施形態にかかるクロマト分離装置を用いた擬似移動層クロマトを以下の条件で行った。 カラム 内径2.2cm、長さ150cm×4本 充填材 アンバーライトCR−1310Na 溶離液 NaOH 水溶液10−4 N 原液 イヌリン・低分子糖類混合液(Bx40)温度 75℃ 分析 HPLC(カラム:信和化工 ULTRON PS−80N 8×300mm、溶媒:水、流速:0.5mL/min、温度:50℃、検出器:示差屈折計) なお、この条件下でのカラム内における原液と溶離液の混合液の平均塩基濃度は、7×10−5Nであった。(結果) 原液中の糖分組成、クロマト装置から得られた各画分の糖分組成及び回収率を表2に示す。装置には閉塞や過度の差圧上昇が発生せず長期安定運転することができた。 イヌリンの回収率は、製品画分で94.1%、廃液画分で0.8%、合計94.9%であった。 (実施例2) 溶離液を蒸留水とし、原液にNaOHを10−3N相当加える以外は比較例1と同様にして、擬似移動層クロマトを行った。なお、この条件下でのカラム内における原液と溶離液の混合液の平均塩基濃度は、3×10−4Nであった。 (結果) 原液中の糖分組成、クロマト装置から得られた各画分の糖分組成及び回収率を表3に示す。装置には閉塞や過度の差圧上昇が発生せず長期安定運転することができた。 イヌリンの回収率は、製品画分で98.5%、廃液画分で0.8%、合計99.3%であった。実施例1の合計回収量94.9%と比較すると、塩基の添加の効果、特に原液に一定濃度以上の塩基を添加したことによる効果でイヌリンの分解を大幅に抑制できていることが分かる。 (実施例3) 溶離液としてNaOH水溶液(濃度10−3N)を用いるとともに、原液にもNaOHを10−3N相当加える以外は比較例1と同様にして、擬似移動層クロマトを行った。 (結果) 原液中の糖分組成、クロマト装置から得られた各画分の糖分組成の変化及び回収率を表4に示す。装置には閉塞や過度の差圧上昇が発生せず長期安定運転することができた。 イヌリンの回収率は、製品画分で98.7%、廃液画分で0.8%、合計99.5%であった。比較例1の合計回収量94.9%と比較すると、塩基の添加の効果、特に原液および溶離液に一定濃度以上の塩基を添加したことによる効果でイヌリンの分解を大幅に抑制できていることが分かる。 (参考例1)(原液中成分の溶解性の検討) 上述の組成で各Bxの液を調製し、約10mLをスクリュー管にとり、分解防止のため10−3N相当のNaOHを加え、恒温槽に浸して一晩放置する。透明になったかどうかを見て、溶解したかどうか判断する。得られた結果を表5に示す。 表5に示すとおり、Bxが35を超えた場合は50℃においても原液中の成分の析出の可能性を考慮する必要がある。 (参考例2)(イヌリン原液中でのイヌリンの分解の検討) Bx40の原液約10mLをスクリュー管にとり、NaOHを添加せずまたは添加して、恒温槽に浸して一晩放置する。放置処理の前後でHPLCで分析し、イヌリンの減少率を求める。得られた結果を表6に示す。1 クロマト分離装置2 原液タンク3 原液4 単位充填層5 吸着剤6 配管7 循環系8 A画分抜出しライン9 A画分合流管10 C画分抜出しライン11 C画分合流管12 循環抜出しライン(溶離液供給ポンプを循環ポンプとして用いる場合)13 循環抜出し合流管(溶離液供給ポンプを循環ポンプとして用いる場合)14 逆止弁15 溶離液タンク16 溶離液17 原液供給ライン18 原液分岐供給ライン19 原液戻りライン20 溶離液供給ライン21 溶離液分岐供給ライン イヌリン及び低分子糖類を含む原液を、水を含む溶離液を用いた擬似移動層方式のクロマトグラフィーによって処理し、イヌリンを精製する方法であって、 前記イヌリンの精製を、前記原液中の成分が析出しない温度で行うとともに、 前記原液及び前記溶離液の少なくとも一方に塩基を添加して前記イヌリンの分解を抑制することを特徴とするイヌリンの精製方法。 前記擬似移動層方式のクロマトグラフィーを行う装置内における前記原液及び前記溶離液の混合溶液中の塩基濃度が3×10−4〜10−2Nの範囲となるように前記装置内に供給する原液及び/または溶離液に塩基を添加することを特徴とするイヌリンの精製方法。 前記精製温度が、70〜80℃から選択される請求項1または2に記載のイヌリンの精製方法。 前記原液の固形分濃度が35〜45質量%である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のイヌリンの精製方法。 前記原液が、低分子糖類に糖転移酵素を作用させて得られるイヌリンを含む反応生成物である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のイヌリンの精製方法。 【課題】イヌリン及び低分子糖類を含む原液からイヌリンを精製するために擬似移動層方式のクロマトグラフィーを用いる場合に、イヌリンの析出や熱分解などの特有の問題を解決して、効率良い精製を行うことができる擬似移動層方式のクロマトグラフィーによるイヌリンの精製方法を提供することにある。【解決手段】イヌリン及び低分子糖類を含む原液を、水を含む溶離液を用いた擬似移動層方式のクロマトグラフィーによって処理し、イヌリンを精製する際に、イヌリンの精製を原液中の成分が析出しない温度で行うとともに、原液及び溶離液の少なくとも一方に塩基を添加してイヌリンの分解を抑制する。【選択図】なし