生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_α−リポ酸含有組成物
出願番号:2012087568
年次:2013
IPC分類:A61K 31/385,A61K 47/38,A61K 9/10


特許情報キャッシュ

小山 高広 畑中 順也 JP 2013216604 公開特許公報(A) 20131024 2012087568 20120406 α−リポ酸含有組成物 横浜油脂工業株式会社 592007612 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 島村 直己 100101904 小山 高広 畑中 順也 A61K 31/385 20060101AFI20130927BHJP A61K 47/38 20060101ALI20130927BHJP A61K 9/10 20060101ALI20130927BHJP JPA61K31/385A61K47/38A61K9/10 8 OL 10 4C076 4C086 4C076AA29 4C076BB01 4C076CC10 4C076CC11 4C076CC21 4C076DD38 4C076DD67 4C076EE32Q 4C076EE59Q 4C076FF36 4C076FF65 4C086AA01 4C086AA02 4C086BB04 4C086MA02 4C086MA05 4C086MA43 4C086MA52 4C086NA03 4C086ZA33 4C086ZA45 4C086ZC35 本発明はα−リポ酸およびセルロース誘導体を含み、α−リポ酸とセルロース誘導体が複合化している、α−リポ酸含有組成物およびその製造方法に関する。 本発明はまたα−リポ酸とセルロース誘導体を組み合わせる、α−リポ酸の安定化方法に関する。 α−リポ酸(チオクト酸)は、多くの動植物細胞のミトコンドリア中に存在し、ピルビン酸塩および他のα−ケト酸の酸化的脱炭酸の際に補酵素(コエンザイム)として作用する物質であり、糖代謝のために必要不可欠な物質である。α−リポ酸は、生体内において極めて強力な抗酸化力を有し、種々の過酸化物質を抑制し、ビタミンCやビタミンE等の抗酸化物質を再活性化させるなどの機能や重金属排出に効果的なキレート剤としての機能を有することが知られている。α−リポ酸は糖尿病の治療・予防薬、動脈硬化症および白内障の治療薬として用いられている。α−リポ酸は、国内においては、近年の規制緩和によって医薬品だけでなく、食品および化粧品への使用が認められ、これらの分野でのさらなる応用が期待されている。 α−リポ酸は水に対する溶解性が極めて低いため、そのまま摂取することは困難であり、サプリメント等により摂取することが望ましいとされているが、酸性水溶液中で重合物を生じるため、サプリメントとして経口摂取した際に胃酸中での重合物の発生による生体利用率の低下が懸念される。また、α−リポ酸は熱や光によっても重合物を生じる。このため、食品や化粧品用途等での利用において汎用性が低く、特に清涼飲料水や化粧料等に添加する際には大きな制限を受けるという欠点がある。 α−リポ酸を含む組成物の例としては、これまでにα−リポ酸を含有する飲料用O/W型乳化組成物(特許文献1)や、α−リポ酸、乳化剤、アルコールを含有するα−リポ酸水溶性組成物(特許文献2)、α−リポ酸がシクロデキストリン包接体に取り込まれた組成物(特許文献3)、α−リポ酸を、水溶性セルロース誘導体を主成分とするフィルムに充填したカプセル剤(特許文献4)が知られている。 また、α−リポ酸にはR型とS型の2種類の光学異性体が存在するが、生体内ではR−α−リポ酸のみが合成されている。糖代謝促進による糖尿病予防を目的とした場合にはラセミ体や(S)−α−リポ酸と比較して(R)−α−リポ酸を摂取することが効果的であることが判明している(非特許文献1)。また、白内障に対しても(R)−α−リポ酸は非常に高い効果を有することも知られている。しかし、(R)−α−リポ酸の安定性はラセミ体と比較して極端に低いため、市販のα−リポ酸含有サプリメントや栄養補助食品にはラセミ体が使用されている。特許第4451345号公報特開2006−257010号公報特開2008−106041号公報特開2008−189585号公報Diabetes.,45(12), 1798−1804 (1996) 本発明の課題は、安定性が改善されたα-リポ酸含有組成物を提供することである。 本発明は上記課題の解決手段として以下の発明を提供する。(1)α-リポ酸およびセルロース誘導体を含み、α-リポ酸とセルロース誘導体が複合化している、α-リポ酸含有組成物。(2)固体状である、(1)の組成物。(3)α-リポ酸が(R)−α−リポ酸である、(1)または(2)の組成物。(4)セルロース誘導体がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、(1)〜(3)のいずれか1項の組成物。(5)α−リポ酸を含む有機溶媒と、セルロース誘導体を含む水相を混合する工程を含む、(1)〜(4)のいずれか1項の組成物の製造方法。(6)(1)〜(4)のいずれかの組成物および食品または医薬品に許容される成分を含む食品または医薬品。(7)(1)〜(4)のいずれか1項の組成物および食品または医薬品に許容される成分を混合する工程を含む食品または医薬品の製造方法。(8)α−リポ酸とセルロース誘導体を組み合わせる、α−リポ酸の安定化方法。 本発明により提供されるα-リポ酸組成物はα-リポ酸の安定性を改善することができる。I.材料1.α-リポ酸 本発明において、α−リポ酸は別名チオクト酸(1,2−dithiolane−6−pentanoicacid:分子量206.32)とも呼ばれる物質であり、融点約60℃、淡黄色〜黄色の粉末で、特異なにおいがあり、クロロホルムやエタノールに溶けやすく、水に難溶性であるものを指す。本発明において、α−リポ酸は(R)−α−リポ酸、(S)−α−リポ酸およびこれらの混合物、ラセミ体のα−リポ酸を含み、好ましくは、(R)−α−リポ酸が使用される。2.セルロース誘導体 本発明において、セルロース誘導体はα-リポ酸を安定化する成分として好適に用いることができる。 本発明において、セルロース誘導体とはセルロースの水酸基の水素原子の一部をメチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシプロピル基またはヒドロキシエチル基等のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換することにより、水素結合を消失させた水溶性高分子である。本発明において使用されるセルロース誘導体は、好ましくは水溶性セルロース誘導体である。また、セルロース誘導体は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。使用されるセルロース誘導体としては、特に限定されるものではなく、医薬品もしくは食品として使用され、または将来使用されるものが含まれ、例えば、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。II.本発明の組成物 本発明の組成物はα-リポ酸およびセルロース誘導体を含み、α−リポ酸とセルロース誘導体が複合化している組成物である。本発明において、「複合化」とは分子レベルで互いが均一に分散していること、あるいは分子間相互作用によって複合体を形成していることを指す。また、本発明の組成物はα-リポ酸の安定化製剤ということもできる。該組成物は、それ自体が直接摂取される医薬品または飲食品等の最終製品であってもよいし、他の素材と組み合わされて後述する各種形態の医薬品または飲食品等を製造するための中間製品であってもよい。実施例に示す通り、本発明の組成物は胃酸中での安定性が高まるため、本発明の組成物は医薬品または飲食品等として経口摂取される経口摂取用組成物であることが特に好ましい。 本発明の組成物の形態は特に限定されず、常温で液状、固体状または半固体状の組成物であり、固体状の組成物であることが特に好ましい。固体状とは、液状成分を一部に用いたとしても組成物自体が固体状であればよい。固体状の本発明の組成物の形状は、固体状である限りどのような形状であってもよく、典型的には粉末、ペレット、フレーク、ビーズ等の形状であることができる。粉末状の組成物は水分散性に優れているため特に好ましい。 本発明の組成物における各必須成分の含有量は特に限定されない。 本発明の組成物におけるα-リポ酸の含有量は、目的とする作用が奏される量であれば特に限定されないが、組成物の全重量に対して0.1〜65重量%であることが好ましく、1〜25重量%であることがより好ましい。0.1重量%以上の場合には、α-リポ酸を十分に摂取できる商品設計が容易となり、65重量%以下の場合にはセルロース誘導体との複合化によるα-リポ酸の安定性効果を得ることが容易となるからである。また、α-リポ酸とセルロース誘導体の重量比は、セルロース誘導体1対してα-リポ酸が0.01〜2であることが好ましく、0.1〜0.5であることがより好ましい。 セルロース誘導体の含有量は、組成物の全重量に対して0.5〜90重量%であることが好ましく、10〜60重量%であることがより好ましい。0.5重量%以上の場合には、複合化によるα-リポ酸の安定化効果を得ることが容易となり、90重量%以下の場合にはセルロース誘導体の溶解性が良好であるため、二次加工性に優れるからである。 本発明の組成物は、他の成分として賦形剤を含むことができる。 本発明において使用される賦形剤は、特に限定されるものではなく、医薬品、化粧品もしくは食品として使用され、または将来使用されるものが含まれ、例えば、糖類、糖アルコール類、増粘多糖類、澱粉類、界面活性剤、好ましくは乳糖、トレハロース、エリスリトール、マンニトール、シクロデキストリンである。本発明の組成物における賦形剤の含有量は、他の成分の残分であることから特に限定されないが、典型的には、組成物の全重量に対して10〜99重量%である。III.本発明の組成物の製造方法 本発明の組成物は、α−リポ酸とセルロース誘導体が複合化しているような方法で製造される。本発明の組成物は、例えば、α-リポ酸を含む有機溶媒と、セルロース誘導体を含む水相を混合する工程を含む方法により製造することができる。α-リポ酸およびセルロース誘導体を含む上記混合物は、これらの各成分を、好ましくは上記IIにおいて詳述した割合となるように含む。前記混合物は、α-リポ酸を溶解した有機溶媒と、セルロース誘導体を溶解した水を混合することにより形成することができる。本発明において、α-リポ酸を溶解する有機溶媒は、α-リポ酸を溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば、エタノール、メタノール、アセトンであり、特に食品用途では有機溶媒の使用は残留溶媒の問題を生じるという観点からエタノールが望ましい。α-リポ酸を溶解するための有機溶媒の量は特に限定されないが、典型的には、有機溶媒の量はα-リポ酸を溶解し得る量以上であることが好ましく、α-リポ酸の重量の10〜100倍の重量であることが特に好ましい。セルロース誘導体を溶解するための水の量は特に限定されないが、典型的には、セルロース誘導体を溶解し得る量以上であることが好ましく、セルロース誘導体の重量の10〜500倍の重量であることが特に好ましい。本発明において、前記混合物中の有機溶媒と水相の重量比は、水相1に対して有機溶媒0.1〜10であることが好ましい。 混合方法は、有機溶媒系と水系とが、均一な混合物を形成する手法であれば何ら限定されないが、例えば、アンカーミキサーなどの撹拌機、ホモミキサーやコロイドミルなどの乳化機、ペイントシェイカーやディスパーなどの粉体分散機、ニーダーやエクストルーダーなどの混練機などが挙げられ、水および有機溶媒への分散効率の観点からとくに粉体分散機が好ましい。 前記混合物は、それ自体が上記IIにおいて詳述した本発明の組成物として利用することが可能である。前記混合物から、該混合物中の水系溶媒等の揮発性成分を全部又は一部を除去した乾燥物又は濃縮物や、前記混合物又は前記乾燥物又は濃縮物に、更なる他の成分を更に加えた組成物等も、上記IIにおいて詳述した本発明の組成物として用いることができる。 混合方法は、液体状または粉末状の、前記混合物又は前記乾燥物と更なる他の成分とが均一な混合物を形成する手法であれば何ら限定されないが、例えば、リボンブレンダーやナウターミキサーなどの粉末混合機、ニーダーやエクストルーダーなどの混練機、バーチカルグラニュレーターなどの混練造粒機、フローコーターなどの流動層造粒機などが挙げられる。 本発明の組成物は、上記の各種組成物の形態で提供されてもよく、これらの組成物を乾燥して提供されてもよく、好ましくは、前記組成物を乾燥して固体状の組成物として提供される。ここで、「固体状の組成物」とは、前記混合物に含まれる有機溶媒や水を実質上完全に乾燥させた組成物を指す。 前記組成物を乾燥する方法としては、有機溶媒および水を十分に除去し、乾燥できる方法であれば限定されないが、例えば、真空乾燥法、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、凍結乾燥法などが挙げられる。安全性や作業性の観点から真空乾燥法が特に望ましい。IV.本発明の組成物の使用形態・用途 本発明の組成物は、食品または医薬品に許容される成分と一緒に飲食品組成物又は医薬品組成物、特に飲食品(特定保健用食品を含む)、医薬品(医薬部外品に分類されるものを含む。以下同じ)等である組成物に添加して利用することができる。本発明の組成物が配合された飲食品組成物または医薬品組成物としては、具体的には糖尿病の治療・予防、白内障の治療、食欲抑制用途の飲食品、医薬品等が挙げられる。 前記飲食品の態様は特に限定されず、健康食品、栄養補助食品、栄養機能食品、特定保健用食品等の態様であることができる。飲食品は、例えば、飲料類、菓子類、調味料類、スープ類、加工食品、乳製品等であることができる。本発明の組成物と一緒に添加される食品に許容される成分は、ビタミン類、ミネラル類、キレート剤、防腐剤、pH調整剤、酸化防止剤、香料等であることができる。 前記医薬品の態様は特に限定されず、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、細粒剤、散在、ドライシロップ剤、注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤および吸入剤であることができる。本発明の組成物と一緒に添加される医薬品に許容される成分は、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、矯味剤、矯臭剤、界面活性剤、香料、着色剤、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、流動化剤、湿潤剤、溶出補助剤等であることができる。 本発明の組成物が配合された飲食品の摂取量、または医薬品の摂取もしくは投与量は、特に限定されないが、α−リポ酸として1日当り10〜200mgである。V.α−リポ酸の安定化方法 本発明は、α−リポ酸とセルロース誘導体とを組み合わせることにより、α-リポ酸を安定化する方法を提供する。ここで「α−リポ酸とセルロース誘導体を組み合わせる」とは、α−リポ酸とセルロース誘導体とを共存させることを意味し、特に限定されない。本発明のα-リポ酸安定化方法では、好適には、α−リポ酸がセルロース誘導体を含有する系中に複合化するように両成分を共存させることにより安定化を達成する。本発明のα-リポ酸安定化方法の好適な第一の実施形態では、本発明のα−リポ酸含有組成物の状態でα-リポ酸とセルロース誘導体とを共存させることを特徴とする。本発明のα-リポ酸安定化方法の好適な第二の実施形態では、調製された本発明のα−リポ酸含有組成物を、飲食品又は医薬品として許容される他の素材とともに配合することにより、飲食品組成物又は医薬品組成物の形態でα-リポ酸とセルロース誘導体とを共存させることを特徴とする。本発明のα-リポ酸安定化方法の好適な第三の実施形態では、本発明のα−リポ酸含有組成物の状態を経由することなく、α−リポ酸とセルロース誘導体とを飲食品組成物、医薬品組成物等の所望の形態の系中に配合して共存させ、α−リポ酸を安定化させることを特徴とする。いずれの実施形態であるかに関係なく、本発明の安定化方法では、好ましくは、α−リポ酸とセルロース誘導体とを上記IIにおいて詳述した割合となるように添加することにより組み合わせる。 以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。 [実施例1] 粉末状の(R)−α−リポ酸(フィトファーマ株式会社製)1gを無水エタノール50mLに加え、40℃まで加熱して溶解していることを確認した後に室温まで放冷した。別に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズSE−06、信越化学工業株式会社製)2gおよびトレハロース(商品名:トレハ、株式会社林原製)2gをイオン交換水50mLに加え40℃まで加熱して溶解していることを確認した後に室温まで放冷した。これら二液を混合して均一になるまで撹拌した後に、圧力制御型エバポレーター(日本ビュッヒ株式会社製)を用いて、40℃、10mbarの減圧下で溶媒を留去し、半固形になったところでバキュームオーブン(東京理化器械株式会社製)に移し、40℃で一昼夜乾燥させた後に粉砕することで、微黄色粉末状の組成物を得た。HPLC法により(R)−α−リポ酸を定量したところ、含有量は21%であった。[実施例2] 粉末状の(R)−α−リポ酸(フィトファーマ株式会社製)5gを無水エタノール500mLに加え、40℃まで加熱して溶解していることを確認した後に室温まで放冷した。別に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズSE−06、信越化学工業株式会社製)15g、エリスリトール(三菱化学フーズ株式会社製)およびβ−シクロデキストリン(商品名:セルデックスB−100、日本食品化工株式会社製)5gをイオン交換水500mLに加え40℃まで加熱して溶解していることを確認した後に室温まで放冷した。これら二液を混合して均一になるまで撹拌した後に、ミニスプレードライヤーB−290(日本ビュッヒ株式会社製)を用いて入口温度140℃、送液量0.6kg/h、噴霧空気0.5kg/hの条件で噴霧乾燥し、微黄色粉末状の組成物を得た。HPLC法により(R)−α−リポ酸を定量したところ、含有量は21%であった。[比較例1] 粉末状の(R)−α−リポ酸(フィトファーマ株式会社製)1gを無水エタノール50mLに加え、40℃まで加熱して溶解していることを確認した後に室温まで放冷した。圧力制御型エバポレーター(日本ビュッヒ株式会社製)を用いて、40℃、10mbarの減圧下で溶媒を留去し、半固形になったところでバキュームオーブン(東京理化器械株式会社製)に移し、40℃で一昼夜乾燥させたが、半固形のガム状組成物となり粉末組成物は得られなかった。[比較例2] 粉末状の(R)−α−リポ酸(フィトファーマ株式会社製)1gを無水エタノール50mLに加え、40℃まで加熱して溶解していることを確認した後に室温まで放冷した。別に、アラビアガム(商品名:アラビックコールSS、三栄薬品貿易株式会社製)2gおよびトレハロース(商品名:トレハ、株式会社林原製)2gをイオン交換水50mLに加え40℃まで加熱して溶解していることを確認した後に室温まで放冷した。これら二液を混合して均一になるまで撹拌した後に、圧力制御型エバポレーター(日本ビュッヒ株式会社製)を用いて、40℃、10mbarの減圧下で溶媒を留去し、半固形になったところでバキュームオーブン(東京理化器械株式会社製)に移し、40℃で一昼夜乾燥させた後に粉砕することで、微黄色粉末状の組成物を得た。HPLC法により(R)−α−リポ酸を定量したところ、含有量は20%であった。[比較例3] 粉末状の(R)−α−リポ酸(フィトファーマ株式会社製)5gを無水エタノール50mLに加え、40℃まで加熱して溶解していることを確認した後に室温まで放冷した。別に、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム(商品名:ピュリティガムBE、日本エヌエスシー株式会社製)10gおよびマルトース(商品名:サンマルト,株式会社林原製)10gをイオン交換水50mLに加え40℃まで加熱して溶解していることを確認した後に室温まで放冷した。これら二液を混合して均一になるまで撹拌した後に、ミニスプレードライヤーB−290(日本ビュッヒ株式会社製)を用いて入口温度140℃、送液量0.6kg/h、噴霧空気0.5kg/hの条件で噴霧乾燥し、微黄色粉末状の組成物を得た。HPLC法により(R)−α−リポ酸を定量したところ、含有量は19%であった。[実施例3]胃酸安定性試験 実施例1、2および比較例2、3の組成物ならびに(R)−α−リポ酸原末の胃酸安定性試験を行った。(R)−α−リポ酸含有粉末状組成物および(R)−α−リポ酸原末を日本薬局方第一液(pH1.2)に1,000mg/Lとなるように希釈し、37℃で60分加熱し外観を観察したところ、実施例1および2の組成物を溶解した液は良好な外観安定性を示した。一方、比較例2および3の組成物はガム状にはならなかったものの微少な黄色い塊を経時で形成し、沈殿を生じた。また、(R)−α−リポ酸原末は不溶性のガム状物質を生じて沈殿した。[実施例4]飲料安定性試験 実施例1、2および比較例2、3の組成物ならびに(R)−α−リポ酸原末の飲料安定性試験を行った。下記処方にて、(R)−α−リポ酸として1,000mg/Lとなるように実施例1、2および比較例2、3の組成物、(R)−α−リポ酸原末を希釈し、ガラス製バイアルに充填した後に、80℃の温浴で30分加熱殺菌を行ない、水冷により30℃まで冷却した。(R)−α−リポ酸原末は希釈するとガム状物質を生成した。得られた飲料は、40℃に保管し、1ヶ月後および3ヶ月後に外観を確認した。結果を表3に示す。 α−リポ酸およびセルロース誘導体を含み、α−リポ酸とセルロース誘導体が複合化している、α−リポ酸含有組成物。 固体状である、請求項1の組成物。 α−リポ酸が(R)−α−リポ酸である、請求項1または2の組成物。 セルロース誘導体がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項1〜3のいずれか1項の組成物。 α−リポ酸を含む有機溶媒と、セルロース誘導体を含む水相を混合する工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項の組成物の製造方法。 請求項1〜4のいずれか1項の組成物および食品または医薬品に許容される成分を含む食品または医薬品。 請求項1〜4のいずれか1項の組成物および食品または医薬品に許容される成分を混合する工程を含む食品または医薬品の製造方法。 α−リポ酸とセルロース誘導体を組み合わせる、α−リポ酸の安定化方法。 【課題】本発明の課題は、安定性が改善されたα-リポ酸含有組成物を提供することである。【解決手段】本発明は上記課題の解決手段として、α−リポ酸およびセルロース誘導体を含み、α−リポ酸がセルロース誘導体に複合化している、α−リポ酸含有組成物を提供する。【選択図】なし


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