タイトル: | 公開特許公報(A)_接着強度評価方法および評価装置 |
出願番号: | 2012080914 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | G01N 19/04 |
小島 基靖 JP 2013210295 公開特許公報(A) 20131010 2012080914 20120330 接着強度評価方法および評価装置 凸版印刷株式会社 000003193 小島 基靖 G01N 19/04 20060101AFI20130913BHJP JPG01N19/04 D 10 6 OL 17 本発明は、グラビア印刷やフレキソ印刷などの印刷方法により、基材となるフィルム上に印刷されたインキの接着強度測定方法および接着強度評価装置に関する。 菓子袋などに使用する軟包装フィルムは、印刷基材となるフィルムに商品名や絵柄を印刷し、別材料のフィルムを貼り合わせて、防湿性、遮光性などの機能性を付与した多層フィルムである。基材となるフィルムへの印刷方法には、グラビア印刷やフレキソ印刷がある。印刷に使用するインキには、意匠性や光沢感のほか、様々な種類のフィルムに対する接着性が必要である。 一般に、印刷したフィルムを食品包装材に用いる場合は、食品にインキが触れないよう、内容物の種類や目的に応じて、フィルムを多層接着したラミネート加工をおこなう。 例えば図1に示すような構成(5層構成)のものの場合のラミネート加工について簡単に説明する。 2軸延伸ポリプロピレンフィルム1(印刷フィルム)の一方の面の上にインキ2で絵柄等を印刷する。このフィルムの印刷面の側に接着剤を塗布後、エクストルーダーラミネート装置を用い、アルミ蒸着フィルム4との間に溶融ポリエチレン樹脂3を押し出しながら、印刷フィルム1とアルミ蒸着フィルム4を接着する。さらに、アルミ蒸着フィルム4のもう一方の面に接着剤を塗布し、無軸延伸ポリプロピレンフィルム6との間に別の溶融ポリエチレン5を押し出し、フィルム同士を接着する。このようにして、ラミネート加工フィルムが完成する。(図1参照) 例えば食品包装では、上記のようにして製造したラミネート加工フィルムを、印刷面を外側にして筒状に形成して所定箇所をヒートシールし、また、食品などを詰める前後の所定のタイミングで袋の下部(底)や上部になる箇所をヒートシールして閉じて、包装が完了する。 このヒートシールは、ラミネート加工フィルムの無軸延伸ポリプロピレンフィルム6同士を対向接触させた状態で、ラミネート加工フィルムをヒートシール機のシールバーで挟んで押圧加熱するものである。これによって、無軸延伸ポリプロピレンフィルム6同士が溶融接着し、ラミネート加工フィルムを袋状に形成したり袋の口を閉じたりすることができる。 このヒートシールの際、すなわちヒートシール機でラミネート加工フィルムを加熱するときに、印刷フィルム1とインキ2の間(図1中の矢印Aの箇所)ではく離が発生することで、ラミネート加工フィルム表面に凹凸が生じ、外観不良となることがあった。 つまり、インキ2は、印刷フィルム1に対して、ラミネート工程やヒートシール工程に耐える接着強度をもつ必要がある。 そのため、従来は、インキと印刷フィルムの接着強度を評価するのにラミネート加工後のフィルムを用い、印刷フィルムとインキの間でT型はく離し、接着強度をラミネート強度として評価していた。(特許文献1参照) また、印刷フィルムとインキの接着力を評価する方法として、クロスカット法(非特許文献1)が知られている。この評価方法は、フィルム上に塗料を塗布した面上に、縦および横方向に等間隔の碁盤目状の切り込み線を形成し、表面に透明感圧付着テープを貼り、テープの一端を持ち所定の角度で引き剥がしたときの塗料のはく離状況によって評価する方法である。 ほかに、インキ樹脂メーカーが用いるフィルムとインキの接着強度試験方法として、印刷物上に粘着テープを貼り、一定速度で180度はく離し、そのときの荷重を接着強度とする方法がある(特許文献2参照)。特開2011−64570号公報特表2011−502185号公報JIS K 5600−5−6 塗料一般試験法-クロスカット法 しかし、ラミネート強度測定法では、印刷フィルムとインキ間の接着強度を測定するために、別のフィルム(図1の例ではアルミ蒸着フィルム4や無軸延伸ポリプロピレンフィルム6)を接着するラミネート加工まで行なった試料を準備しなければならないという問題がある。また、印刷フィルムとインキが同じでも、ラミネート加工で接着する別のフィルムの種類が変わるとラミネート強度が異なるという問題がある。 また、ラミネート加工後のフィルムを用い、フィルムとインキの間でT型はく離し接着強度を測定するためには、T型状の試料の未はく離の部分を人の手や治具で固定し、はく離角度を一定に保たなければならないが、その反力がノイズとなり1.0N/15mm以下の接着強度の測定では、正確な測定ができないという問題がある。 また、クロスカット法は、透明感圧付着テープと塗料間の接着状態に依存するという問題がある。また、規格に「付着性の測定手段とみなしてはならない」とされていて定量評価に使用できないという問題がある。 また、粘着テープによる180度はく離試験では、粘着テープとインキの接着状態により、フィルムとインキの間ではく離せず、粘着テープとインキの間ではく離したり、フィルムが裂けたりし、定量的な測定ができないという問題がある。 本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ラミネート加工なしで、印刷フィルムとインキだけで評価できる定量的な接着強度測定方法および評価装置を提供することを目的とする。 上記課題を解決するために、請求項1の発明は、基材フィルムの面に塗布されたインキの接着強度を評価する方法であって、 前記基材フィルムの一方の面に、前記インキを所定の膜厚となるように塗布するインキ塗布工程と、 前記基材フィルムの一方の面に塗布された前記インキを乾燥させるインキ乾燥工程と、 前記基材フィルムを、インキ塗布面が対向するように2つ折りにして重ねるか、または、2つに切り離してからインキ塗布面が対向するように重ねるかする、インキ塗布面対向工程と、 インキ塗布面が対向するように重ねられた前記基材フィルムの上面および下面を、弾性を有する弾性板で挟み、所定時間の間、所定の温度及び圧力で熱プレスし、インキ塗布面を接着する熱プレス工程と、 前記熱プレス工程を経た前記基材フィルムを短冊状に切ってフィルム試験片とする、フィルム試験片作製工程と、 前記フィルム試験片の2枚の基材フィルムを引張りながらはく離させ、はく離強度を測定するはく離強度測定工程と、を備えることを特徴とする基材フィルムとインキの接着強度評価方法、としたものである。 また、請求項2の発明は、前記基材フィルムが2軸延伸性を有するものである場合、前記インキ塗布面対向工程において前記基材フィルムを重ねる際には、互いに同じ軸方向となるように重ねるようにし、かつ、 前記フィルム試験片作製工程において前記基材フィルムの軸方向に長くなるよう、短冊状のフィルム試験片を作製することを特徴とする、請求項1に記載の基材フィルムとインキの接着強度評価方法としたものである。 また、請求項3の発明は、前記弾性板の形状は長方形状または楕円形状であり、前記基材フィルムはその強度の強い方向と前記弾性板の長手方向が同じ方向となるように配置されて挟まれて、熱プレスされることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の基材フィルムとインキの接着強度評価方法としたものである。 請求項4の発明は、前記熱プレス工程において前記インキ塗布面が対向するように重ねられた前記基材フィルムを1組とし、所定組数を重ねてから、上面および下面を、弾性を有する弾性板で挟み、所定時間の間、所定の温度及び圧力で熱プレスし、インキ塗布面を接着することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の基材フィルムとインキの接着強度評価方法、としたものである。 請求項5の発明は、前記はく離強度測定工程において、短冊状に切ったフィルム試験片を、基材フィルムの剛性別に所定の長さに切断し、2枚の基材フィルムのはく離角度を一定にして、引張りながらはく離させ、はく離強度を測定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の基材フィルムとインキの接着強度評価方法、としたものである。 請求項6の発明は、基材フィルムの面に塗布されたインキの接着強度を評価する方法であって、 前記基材フィルムの一方の面に、前記インキを所定の膜厚となるように塗布するインキ塗布手段と、 前記基材フィルムの一方の面に塗布された前記インキを乾燥させるインキ乾燥手段と、 前記基材フィルムを、インキ塗布面が対向するように2つ折りにして重ねるか、または、2つに切り離してからインキ塗布面が対向するように重ねるかする、インキ塗布面対向手段と、 インキ塗布面が対向するように重ねられた前記基材フィルムの上面および下面を、弾性を有する弾性板で挟み、所定時間の間、所定の温度及び圧力で熱プレスし、インキ塗布面を接着する熱プレス手段と、 前記熱プレス手段を経た前記基材フィルムを短冊状に切ってフィルム試験片とする、フィルム試験片作製手段と、 前記フィルム試験片の2枚の基材フィルムを引張りながらはく離させ、はく離強度を測定するはく離強度測定手段と、 前記はく離強度測定時に、はく離界面をカメラで観察し、はく離形状から、フィルムとインキ間で正常にはく離しているかどうかを判別し、画像と共に記録する手段と、を備えることを特徴とする基材フィルムとインキの接着強度評価装置、としたものである。 請求項7の発明は、前記基材フィルムが2軸延伸性を有するものである場合、 前記インキ塗布面対向手段において前記基材フィルムを重ねる際には、互いに同じ軸方向となるように重ねるようにし、かつ、 前記フィルム試験片作製手段において前記基材フィルムの軸方向に長くなるよう、短冊状のフィルム試験片を作製することを特徴とする、請求項6に記載の基材フィルムとインキの接着強度評価装置、としたものである。 請求項8の発明は、前記弾性板の形状は長方形状または楕円形状であり、前記基材フィルムはその強度の強い方向と前記弾性板の長手方向が同じ方向となるように配置されて挟まれて、熱プレスされることを特徴とする、請求項6〜7に記載の基材フィルムとインキの接着強度評価装置、としたものである。 請求項9の発明は、前記熱プレス手段において前記インキ塗布面が対向するように重ねられた前記基材フィルムを1組とし、所定組数を重ねてから、上面および下面を、弾性を有する弾性板で挟み、所定時間の間、所定の温度及び圧力で熱プレスし、インキ塗布面を接着することを特徴とする、請求項6〜8に記載の基材フィルムとインキの接着強度評価装置、としたものである。 請求項10の発明は、前記はく離強度測定手段において、短冊状に切ったフィルム試験片を、基材フィルムの剛性別に所定の長さに切断し、2枚の基材フィルムのはく離角度を一定にして、引張りながらはく離させ、はく離強度を測定することを特徴とする、請求項6〜9に記載の基材フィルムとインキの接着強度評価装置、としたものである。 本発明の方法および装置によれば、印刷フィルムとインキの接着強度を、接着剤や他のフィルムの影響なく定量的に評価することができる。さらに軟包材印刷物だけでなく、フィルムへの電子回路配線印刷時の接着強度測定や、転写フィルムのインキとフィルム界面の接着強度測定にも使用できる。 また、請求項2に記載の本発明によれば、インキの接着強度とラミネート強度の相関が得られ、ラミネート強度評価試験の代替手段として、定量的な評価をすることができる。 また、請求項3に記載の本発明によれば、熱プレスの際に発生するフィルム面のしわを防止し、基材フィルムを平滑に接着し、定量的な評価をすることができる。 また、請求項4に記載の本発明によれば、インキ塗布面が対向するように重ねられた前記基材フィルムのインキ塗布面を接着することで、フィルムとインキからなるフィルム試験片を作成し、定量的な評価をすることができる。 また、請求項5に記載の本発明によれば、同一のフィルムを、フィルム剛性に応じた長さに制限して、T型はく離試験をするため、支えなしで2枚の基材フィルムのはく離角度を一定にし、安定した定量的な評価をすることができる。 また、請求項6〜10に記載の、本発明の基材フィルムとインキの接着強度評価装置によれば、印刷したフィルムとインキの接着強度を、自動的に測定し、はく離状態を記録することができる。一般的な食品包装材用の5層構成のフィルムの断面模式図本発明の測定対象であるフィルムとインキの塗布事例本発明のフィルムとインキの熱プレス工程本発明のフィルムとインキの接着強度評価方法本発明のフィルムとインキの接着強度評価装置の試験片作成工程本発明のフィルムとインキの接着強度評価装置の評価工程本発明によるインキ樹脂別の接着強度評価の例本発明による改良品インキの接着強度評価の例試験片のはく離状態の模式図(a)従来例、(b)本発明はく離試験時の荷重曲線のグラフの例(a)従来例、(b)本発明本発明によるフィルムとインキの接着強度とラミネート強度の相関グラフの例 以下、本発明にかかるフィルムとインキの接着強度評価方法の形態について、説明する。 まず、測定対象である印刷物(フィルムとインキ)について説明する。図2に示すように、フィルム7は、包装材の印刷に使用するフィルムで、材質は、2軸延伸ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、蒸着フィルムなどを用いる。他に電子回路配線形成用フィルムや、転写フィルムなどを使っても良い。フィルム7は2層以上の積層構造を有していてもよい。 インキ8は、溶剤に顔料を包含したポリウレタン樹脂を分散した液体を乾燥した皮膜を用いるが、顔料を含まないポリウレタン樹脂や、その他の樹脂を主剤とするインキや電子回路配線形成用レジストを乾燥した皮膜でもよい。フィルム7上のインキ8の膜厚は、均一なインキ厚さ(10μm以下。通常1〜2μm)であればよい。フィルム7へのインキ8の塗工方法は、グラビア印刷法のほか、ワイヤーバー、スピンコーター、ダイコーターなど各種の塗工方法を用いることができる。 次に、本発明の接着強度測定方法について、図3、図4を用いて説明する。 まず、インキ8を塗布したフィルム7を2枚用意し、フィルム7の方向(搬送方向と幅方向)を互いにあわせて、図3に示すように、インキ8塗布面が対向するように重ねる。このとき、いったん切り離したフィルム7の2枚を重ねてもよいし、1枚のフィルム7をインキ8塗布面が対向するように2つ折りにして重ねてもよい。 フィルム7を2枚重ねたものを1組とし、最低1組から最大12組までを重ねて1束としたものを用意する。図3には、フィルム7を2枚重ねたもの2組で1束とした場合を示している。 次に、上記の1束を、シリコン系ゴム板11で上下から挟む。ゴム板11は、耐熱性、フィルムからのはく離性、変形量からシリコン系ゴム板が望ましい。ニトリル系ゴムでは、耐熱性が不足し、ゴムが異常変形し、フィルム表面にしわが発生した。 ゴム板11の形状は、フィルム7のしわを防止するため、長方形または楕円とする。円形、正方形のゴム板11では中心から周辺部へフィルムしわが発生するためである。ゴム板11の長辺または長径方向をフィルムの搬送方向に、ゴム板11の短辺または短径方向をフィルムの幅方向にあわせる。これは、測定するフィルム強度の異方性にあわせて変更する。一般的にはゴム板11の長辺または長径方向を、フィルムの強度の強い方向にあわせるようにする。 ゴム板11の厚さは、2〜3mmが望ましい。1mmでは、重ねたときのフィルムのしわが残り、5mmではゴム板の変形で、フィルムにしわが発生する。 ゴム板11に挟んだフィルム7の束を熱プレス装置12に装着し、所定時間の間、所定の圧力と温度をかけると、対向して接触しているインキ8同士は接着し、1組(2枚)のフィルムは、1枚のフィルムとなる。なお、後のはく離試験の際に、フィルム7端部をつかみやすくするため、ゴム板11に挟まれていないフィルム7の端部があるようにそれぞれのサイズや挟む位置を調整しておくことが望ましい。 熱プレス装置12は、一般的な温度調整装置付プレス装置(株式会社 東洋精機製作所製のファインラボプレス M-1等)を使用することが可能である。熱プレス装置12のプレスは、フィルム7の大きさによる。フィルム7に、1〜10MPaの圧力をかけられること、温度を60℃〜120℃で一定で維持できることが必要である。 圧力が1MPaより低いと、インキ8同士が均一に接着せず、高いとフィルム7にしわが発生する。温度が60℃より低いとインキ8が均一に接着せず、120℃以上では、フィルム7が熱で変形し、しわが発生する。 また、熱プレスを行う時間は15〜120分であることが好ましい。熱プレスの時間が15分より短いとインキ8が均一に接着しないことがある。また、熱プレスを120分程度行えば十分に接着するので、それ以上長く熱プレスしてもあまり意味がない。 熱プレスが終了したら、フィルム7の束を熱プレス装置12から取り出す。そしてフィルム強度の強いほうが長手方向となるように、フィルム7の1組を15mm幅の短冊状に切って試験片13を取り出す。試験片13の長手方向となる方向は、フィルム強度の異方性にあわせて変える。1組のフィルム7からは、3つ以上の試験片13を取り出す。T型状の試験片の未はく離の部分(すなわち接着した部分)の長さは、T形はく離試験時にフィルムの水平支持が不要な長さで、フィルム剛性に応じて変更し、目安として50mm以内とする。これ以上長いと、はく離開始時とはく離完了時のはく離角度が一致せず、評価値が安定しない。 図4に示すように、フィルム試験片13のフィルム7の端部の未接着部分を、引張り試験機14に取り付け、T型はく離試験をおこなう。このとき、フィルム試験片13のはく離が、インキ8とどちらか一方のフィルム7との界面で起きていること(図4中の矢印B)を確認してから、T型はく離試験を開始する。 引張り試験機としては、一般的に使用されている万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ製テンシロン万能試験機 RTC−1250等)を用いることが可能である。 引張り試験速度は、1〜100mm/min が望ましい。試験速度が速すぎると、外乱によりはく離界面がインキ8とフィルム7の界面から、フィルム7内へ移行しフィルム7が破断する。 測定時のフィルム試験片13のはく離長さは、15mm以上とする。 測定値は、引張り開始から、初期5mmを除き、引張り長さ10mmあたり出力値変動量が±10%以内の区間を安定区間とする。測定値は、安定区間の凹部の平均値をとる。 次に、本発明にかかるフィルムとインキの接着強度評価装置の実施形態について、図5、図6を用いて説明する。 図5に示すように、ロール状フィルム101から、フィルムを繰り出し、インキ滴下部102から評価インキを滴下する。フィルム101を搬送しながら、バーコーター103をフィルム面に降ろすことにより、滴下したインキのインキ厚が均一になるようにフィルム面に塗布する。 インキを塗布したフィルム101は、フィルム端押さえローラー106で幅方向両端部折を押さえながら、フィルム折り合わせ部105を通して、インキ塗布面が対向するように2つ折りに重ね合わせる。フィルム101の搬送経路には、駆動ニップロール107や搬送ロール108が配置されており、これらによってフィルム101は搬送され、水平移動台109へ載置される。 次に、図6に示すように、水平移動台109に載置されたインキ111の塗布面を対向するように重ね合わせたフィルム101の端を、引張り試験装置116に固定する。 シリコンゴム板113を取り付けた熱プレス装置114を作動させ、所定時間のあいだ、所定の温度と圧力をかける。この際、水平移動台109は退避するなどして、フィルム101とインキ111だけが熱プレスされるようにする。 所定時間経過後、2箇所のロールカッター115で、フィルム110を、15mm幅、接着部分の長さ50mm以内の試験片にカットする。 カット後、引張り試験装置116で評価する。引張り試験装置116の出力とはく離界面監視カメラ117のデータを記録用パソコン118で記録し、はく離界面の位置とそのときの荷重を記録する。(実施例1) 以下に本発明のフィルムとインキの接着強度評価方法の実施例を説明する。 評価フィルムとして、フタムラ化学株式会社製二軸延伸ポリプロピレンフィルムFOR(フィルム厚20μm)に、東洋インキ株式会社製グラビア印刷用汎用ラミネートインキN800LPGTをグラビア印刷法で印刷したフィルムを2枚用意し、2枚のフィルムの流れ方向をあわせて、インキ塗布面が対向するように重ねた。 図3に示した熱プレス装置で、重ねたフィルムの上下を2mm厚のシリコンゴムではさみ、温度60度、フィルム面の圧力2.5MPaで30分保持した。熱プレス工程後、2枚のフィルムのインキ塗布面が接着したことを確認した。フィルムから、幅15mm、接着部分の長さ50mm以内の試験片を4枚切り出し、図4に示した引張り試験機に取り付け、引張り速度50mm/minで、フィルムとインキの接着強度評価方法を行なった。 図7に、複数種類のウレタン樹脂インキについて、本発明のフィルムとインキの接着強度の評価方法を使って、接着強度を評価した結果を示す。 従来品インキでは、0.1N/15mmであった。 従来品インキよりも接着強度を向上すべく試作したウレタン樹脂を用いてインキを作成し、接着強度を評価した。 試作5、試作6、試作7、試作8は0.5N/15mm以上で、従来品インキの5倍以上の強度があることが定量的に評価できた。 図8に、インキのウレタン樹脂を変更して作成した6色のインキを、異なる3種類のフィルムに印刷し、本発明のフィルムとインキの接着強度評価方法を使って、接着強度を評価した結果を示す。 その結果、従来品インキの強度は、0.1〜0.5N/15mmの範囲だったのに対し、改良品1インキは0.25〜1.2N/15mm、改良品2インキは0.6〜1.4N/15mmに改善していることを、定量的に評価できた。 また、図9に、(a)従来のラミネート加工後のフィルムを用いてフィルムとインキの間でT型はく離したときのはく離状態と、(b)本発明の評価方法のはく離状態の様子を模式的に示した。 図9中の点線は、それぞれの場合のT型はく離試験中のはく離角度を示したものである。従来のラミネート加工後のフィルムを用いた場合のはく離角度θaは、はく離するフィルムや測定者によってばらつきがあった。 一方、本発明の評価方法では、はく離角度θbは、ほぼ90°となる。これは、はく離する2枚のフィルムが同じものなので、T型はく離試験時の力のかかり方が2枚のフィルムで均等になるためと、従来例のラミネート加工後のフィルムに比べて、フィルムが2枚とも薄いためである。よって、本発明の評価方法では、フィルムや測定者によらず試験中のはく離角度を一定にすることができる。 図10に、(a)従来のラミネート加工後のフィルムを用いてフィルムとインキの間でT型はく離したときのラミネート強度の荷重グラフと、(b)本発明の評価方法の荷重グラフを示した。従来の方法では、評価中に、はく離角度が変化するため、強度ピークがあり長さ10mm以降で荷重が一定となった。本発明の評価方法では、長さ5mm以内で荷重が一定となり安定した評価ができた。 図11に、本発明の評価方法によるフィルムとインキの接着強度と、同じフィルムと同じインキのラミネート強度を評価した結果を示す。両者の強度の相関係数は0.83となり、強い相関があることがわかった。すなわち、本発明の評価方法による評価結果は、従来のラミネート強度評価方法による評価結果と強い相関があり、従って、本発明の評価方法は、従来のラミネート強度評価方法に置き換え可能であることがわかった。 本発明の接着強度評価方法は、評価対象に評価物以外の他の材料が触れることがないため再現性の高い試験片を作成でき、T型はく離試験での測定安定性も高いため、フィルムとインキの接着強度評価のほか、フィルムと樹脂コーティング膜の接着強度、資材保護用フィルムの接着強度、金属箔に塗工するレジストの接着強度評価などの定量評価に利用できる。1・・・2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)2・・・インキ3・・・第1の溶融ポリエチレン樹脂(押出溶融ポリエチレン)4・・・アルミ蒸着フィルム5・・・第2の溶融ポリエチレン樹脂(押出溶融ポリエチレン)6・・・無軸延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)7・・・フィルム8・・・インキ11・・・シリコン系ゴム12・・・熱プレス装置13・・・フィルム試験片14・・・引張り試験装置101・・・ロール状フィルム、繰り出されたフィルム102・・・インキ滴下部103・・・バーコーター(垂直駆動部)104・・・ヒーター乾燥部105・・・フィルム折り合わせ部106・・・フィルム端押さえローラー107・・・駆動ニップロール108・・・送りロール109・・・水平移動台110・・・フィルム111・・・インキ113・・・シリコンゴム板114・・・熱プレス装置115・・・カッター116・・・引張り試験装置117・・・カメラ118・・・記録用パソコン 基材フィルムの面に塗布されたインキの接着強度を評価する方法であって、 前記基材フィルムの一方の面に、前記インキを所定の膜厚となるように塗布するインキ塗布工程と、 前記基材フィルムの一方の面に塗布された前記インキを乾燥させるインキ乾燥工程と、 前記基材フィルムを、インキ塗布面が対向するように2つ折りにして重ねるか、または、2つに切り離してからインキ塗布面が対向するように重ねるかする、インキ塗布面対向工程と、 インキ塗布面が対向するように重ねられた前記基材フィルムの上面および下面を、弾性を有する弾性板で挟み、所定時間の間、所定の温度及び圧力で熱プレスし、インキ塗布面を接着する熱プレス工程と、 前記熱プレス工程を経た前記基材フィルムを短冊状に切ってフィルム試験片とする、フィルム試験片作製工程と、 前記フィルム試験片の2枚の基材フィルムを引張りながらはく離させ、接着強度を測定する接着強度測定工程と、を備えることを特徴とする、基材フィルムとインキの接着強度評価方法。 前記基材フィルムが2軸延伸性を有するものである場合、 前記インキ塗布面対向工程において前記基材フィルムを重ねる際には、互いに同じ軸方向となるように重ねるようにし、かつ、 前記フィルム試験片作製工程において前記基材フィルムの軸方向に長くなるよう、短冊状のフィルム試験片を作製することを特徴とする、請求項1に記載の基材フィルムとインキの接着強度評価方法。 前記弾性板の形状は長方形状または楕円形状であり、前記基材フィルムはその強度の強い方向と前記弾性板の長手方向が同じ方向となるように配置されて挟まれて、熱プレスされることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の基材フィルムとインキの接着強度評価方法。 前記熱プレス工程において前記インキ塗布面が対向するように重ねられた前記基材フィルムを1組とし、所定組数を重ねてから、上面および下面を、弾性を有する弾性板で挟み、所定時間の間、所定の温度及び圧力で熱プレスし、インキ塗布面を接着することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の基材フィルムとインキの接着強度評価方法。 前記はく離強度測定工程において、短冊状に切ったフィルム試験片を、基材フィルムの剛性別に所定の長さに切断し、2枚の基材フィルムのはく離角度を一定にして、引張りながらはく離させ、はく離強度を測定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の基材フィルムとインキの接着強度評価方法。基材フィルムの面に塗布されたインキの接着強度を評価する方法であって、 前記基材フィルムの一方の面に、前記インキを所定の膜厚となるように塗布するインキ塗布手段と、 前記基材フィルムの一方の面に塗布された前記インキを乾燥させるインキ乾燥手段と、 前記基材フィルムを、インキ塗布面が対向するように2つ折りにして重ねるか、または、2つに切り離してからインキ塗布面が対向するように重ねるかする、インキ塗布面対向手段と、 インキ塗布面が対向するように重ねられた前記基材フィルムの上面および下面を、弾性を有する弾性板で挟み、所定時間の間、所定の温度及び圧力で熱プレスし、インキ塗布面を接着する熱プレス手段と、 前記熱プレス手段を経た前記基材フィルムを短冊状に切ってフィルム試験片とする、フィルム試験片作製手段と、 前記フィルム試験片の2枚の基材フィルムを引張りながらはく離させ、はく離強度を測定するはく離強度測定手段と、 前記はく離強度測定時に、はく離界面をカメラで観察し、はく離形状から、フィルムとインキ間で正常にはく離しているかどうかを判別し、画像と共に記録する手段を備えることを特徴とする、基材フィルムとインキの接着強度評価装置。 前記基材フィルムが2軸延伸性を有するものである場合、 前記インキ塗布面対向手段において前記基材フィルムを重ねる際には、互いに同じ軸方向となるように重ねるようにし、かつ、 前記フィルム試験片作製手段において前記基材フィルムの軸方向に長くなるよう、短冊状のフィルム試験片を作製することを特徴とする、請求項1に記載の基材フィルムとインキの接着強度評価装置。 前記弾性板の形状は長方形状または楕円形状であり、前記基材フィルムはその強度の強い方向と前記弾性板の長手方向が同じ方向となるように配置されて挟まれて、熱プレスされることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の基材フィルムとインキの接着強度評価装置。 前記熱プレス手段において前記インキ塗布面が対向するように重ねられた前記基材フィルムを1組とし、所定組数を重ねてから、上面および下面を、弾性を有する弾性板で挟み、所定時間の間、所定の温度及び圧力で熱プレスし、インキ塗布面を接着することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の基材フィルムとインキの接着強度評価装置。 前記はく離強度測定手段において、短冊状に切ったフィルム試験片を、基材フィルムの剛性別に所定の長さに切断し、2枚の基材フィルムのはく離角度を一定にして、引張りながらはく離させ、はく離強度を測定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の基材フィルムとインキの接着強度評価装置。 【課題】フィルム印刷物のフィルムとインキの間の接着力(接着強度)を、簡便かつ定量的に評価する方法および装置。【解決手段】フィルム印刷物のフィルム101とインキ111の間の接着強度を測定する方法において、前記印刷物2枚をインキ塗布面が対向するように重ね、シリコン系ゴム板113ではさみ、熱プレス装置114で一定圧力、一定時間加熱し、インキ同士を接着した後、はく離する方向に引張り、インクがフィルムからはく離する力を接着強度として評価する方法および装置。【選択図】図6