タイトル: | 公開特許公報(A)_キシリトールジアセタールの製造方法 |
出願番号: | 2012079120 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C07D 317/20,C07B 61/00 |
飯塚 宗明 手塚 洋二 阿部 哲志 JP 2013209307 公開特許公報(A) 20131010 2012079120 20120330 キシリトールジアセタールの製造方法 日油株式会社 000004341 細田 益稔 100097490 青木 純雄 100097504 飯塚 宗明 手塚 洋二 阿部 哲志 C07D 317/20 20060101AFI20130913BHJP C07B 61/00 20060101ALN20130913BHJP JPC07D317/20C07B61/00 300 1 OL 15 4H039 4H039CA42 4H039CA61 4H039CD30 4H039CD40 4H039CH10 4H039CL25 本発明は、キシリトールジアセタールの製造方法に関する。 キシリトールの末端水酸基の水素原子1個のみをアリル基及び、ポリアルキレングリコールに置換したキシリトール誘導体として、これまで、共重合体原料や変性材料、及び、界面活性剤としての用途が提案されてきた(例えば、特許文献1及び2)。末端が水酸基以外の官能基を有したこれらキシリトール誘導体は、4つの水酸基が隣接していることで、優れた機能を発現すると開示されている。そのため、これらの前駆体となる、末端が水酸基のキシリトールジアセタールを、高純度、高収率で得ることは、極めて重要な技術となる。 さらに、キシリトールジアセタールは、酸によって分解しやすいことが知られており、アリルハライド、もしくは、アルキレンオキシドで誘導化する場合は、アルカリ存在下で反応することが一般的である。したがって、アルカリ存在下において、キシリトールジアセタールが着色しないことも重要である。 すなわち、アルカリ存在下においても着色しないキシリトールジアセタールを、高純度、かつ、高収率で得る技術が求められている。 これまでに、グリセリン、キシリトールなど多価アルコールのアセタールの製造方法に関しては、いくつか提案がなされている。 最も一般的な方法としては、酸触媒存在下、アセトンと反応する方法である。しかし、この反応は平衡反応であり、さらに、副生成する水を効率よく除去することが困難であるため、キシリトールに適用すると、モノアセタールの収量が高く、高純度でジアセタールを得るのが困難であった。 水を効率よく除去する方法として、無水硫酸銅の使用が挙げられる(例えば、特許文献3)。しかし、この場合、無水硫酸銅の使用量がキシリトールより多く、ろ別による硫酸銅水和物の除去を必要とするため、ジアセタールを高収量で得るのは困難であった。 反応を効率よく進行させるために、水が副生成するアセトンではなく、メタノールが副生成する2,2−ジメトキシプロパンを用いた提案もなされている(例えば、特許文献2)。この提案では、目的のキシリトールジアセタールを効率よく得ることができる。しかし、キシリトールのような糖アルコールは、高極性で結晶性が高く、2,2−ジメトキシプロパンとキシリトールとの反応初期には、キシリトールが懸濁しており、不均一系となっている。2,2−ジメトキシプロパンは酸触媒により、変性する傾向にあり、さらに、不均一系ではその傾向が強くなる。そのため、その後のアルカリ存在下での反応の際に、色相の良好な誘導体を得るのが困難であった。 この問題を解決するために、均一系で反応させる場合、溶媒を用いる方法が考えられるが、キシリトールを溶解することができる溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルスルホキシド(DMSO)など高沸点の溶媒に限定される。これら溶媒と併用してアセトンや2,2−ジメトキシプロパンと反応させることにより、高収率で目的化合物を得る方法もあるが、高温で溶媒を除去する過程で、着色が生じてしまうため、溶媒を併用する方法も困難であった。特開2008−247819号公報特開2011−157466号公報特表2003−501519号公報 本発明は、前述のような従来技術の課題に鑑みて行われたものであり、その目的は、アルカリ存在下においても着色しないキシリトールジアセタールを、高純度、かつ、高収率で得る製造方法を提供することである。 本発明者らは、このような課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、下記(A)、(B)、(C)及び(D)の各工程を順次行うことを特徴とする式(1)で示される、キシリトールジアセタール体の製造方法を見出した。 下記(A)、(B)、(C)及び(D)の各工程を順次行うことを特徴とする式(1)で示される、キシリトールジアセタールの製造方法。(A): キシリトール1.0モルに対し、酸触媒下に4.0〜6.0モルのモル比率で式(2)で示されるカルボニル化合物を仕込んで反応させる工程(B): 前記酸触媒1モルに対して理論当量の1.1〜1.5倍量のアルカリを用いて中和し、過剰の式(2)で示される前記カルボニル化合物及び副生成する水を除去する工程(C): 工程(A)で用いたキシリトール1.0モルに対し、酸触媒下に式(3)で示される化合物を1.1〜1.4モルのモル比率で仕込んで反応させる工程(D): 未反応の式(3)で示される前記化合物、R3OHで表される副生成物およびR4OHで示される副生成物を除去する工程(式(1)において、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示す)(式(2)において、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示す)(式(3)において、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R3及びR4は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示す) 本発明によって、高純度、高収率でキシリトールジアセタールを得ることができ、さらに、得られたキシリトールジアセタールは、アルカリ存在下でも着色が見られないため、極めて有用である。 本発明の式(1)で示されるキシリトールジアセタールの製造方法について、以下に詳細に説明する。なお、本発明では、多価アルコールの隣接水酸基と、式(2)もしくは(3)の反応によって形成される五員環部位をアセタールと総称する。(工程(A)、(C)における各アセタール化剤) 本発明において、アセタール化剤として、式(2)、(3)で表される各化合物が用いられる。 式(2)(3)において、R1は、水素原子もしくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜4のアルキル基である。R1及びR2を構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−イソプロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−メチルー1−プロピル基、2−メチル−2−プロピル基が挙げられ、これらは単独でも2種類以上が混合したものでもよく、好ましくは、メチル基、エチル基であり、より好ましくはメチル基である。 式(3)において、R3及びR4は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す。R3及びR4としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−イソプロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−メチルー1−プロピル基、2−メチル−2−プロピル基が挙げられ、これらは単独でも2種類以上が混合したものでもよく、好ましくは、メチル基、エチル基であり、より好ましくはメチル基である。〔工程(A)〕 工程(A)において、キシリトールと式(2)で示される化合物を用いてアセタール化を行う。式(2)で示される化合物の仕込み量のモル比率は、キシリトール1.0モルに対して4.0〜6.0モルである。言い換えると、キシリトール1.0モルに対して式(2)の化合物を4.0〜6.0モル加えることを意味する。 式(2)で示される化合物の仕込み量がモル比率で4.0モルより少ない場合、未反応の原料キシリトールの残存量が高くなることがある。そのため、工程(C)で、残存したキシリトールにより不均一系となり、アルカリによる着色の原因となり好ましくない。この観点からは、式(2)で示される化合物の仕込み量のモル比率は、4.5モル以上が更に好ましい。 一方、式(2)で示される化合物の仕込み量のモル比率が6.0モルより多いと、工程(D)終了後に得られるキシリトールジアセタールの純度が低下する恐れがある。この観点からは、仕込み量のモル比率は、5.5モル以下であることが更に好ましい。 温度条件は特に制限はなく、状況に応じて適宜選定すればよいが、通常、反応温度は30〜90℃の範囲内で設定され、特に好ましくは60〜80℃である。反応温度が30℃未満になると、反応速度が遅くなり、90℃を超えると、着色の原因となる場合がある。 使用する酸触媒としては、酢酸、塩酸、塩化亜鉛、塩化アンモニウム、リン酸、硝酸、硫酸、硫酸銅、パラトルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素エーテラート、五酸化2リン等の酸触媒が挙げられ、パラトルエンスルホン酸が特に好ましい。パラトルエンスルホン酸は無水物でも一水和物でもよい。 酸触媒の使用量は、好ましくはキシリトール1.0モルに対してモル比率で5.0×10−6〜5.0×10−4モル、より好ましくは7.0×10−6〜4.0×10−4モル、特に好ましくは1.0×10−5〜3.0×10−4モルである。酸触媒の使用量のモル比率を5.0×10−6モル以上とすることによって、アセタール化反応の進行を促進できる。また、これを5.0×10−4モル以下とすることによって、着色の抑制という観点からは、更に有利である。〔工程(B)〕 工程(A)の酸触媒をアルカリで中和し、さらに、過剰の式(2)で示される化合物及び、工程(A)で副生成した水を除去する工程である。 アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムアルコキシドなどを用いることできる。好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。 アルカリの使用量は、工程(A)で使用した酸触媒に対し、理論当量の1.1〜1.4倍量を用いる。これが1.1倍量より少ないと、中和が不十分であるため、過剰の式(2)で示される化合物及び副生成する水を除去するときに、逆反応が進行し、キシリトールが多量に残存する。そのため、工程(C)で逆反応によって残存したキシリトールによって、次の工程(C)で、不均一系となり、式(3)で示される化合物が酸触媒により変性する傾向にあり、アルカリによる着色の原因になることや、工程(D)終了後、未反応のキシリトールやキシリトールモノアセタールにより純度が低下する可能性がある。また、これが1.4倍量より多い場合、式(2)で示される化合物が変性し、着色の原因となる恐れがある。 過剰の式(2)で示される化合物、及び、副生する水の除去方法は通常、常圧、不活性ガス気流下で行なわれるが、これらの化合物を完全に留去するには、減圧状態にした後、留去を行なうのが好ましい。〔工程(C)〕 工程(B)の後、酸触媒を新たに添加して、式(3)で示される化合物とアセタール化反応を行う工程である。 式(3)で示される化合物の仕込み量のモル比率は、工程(A)で使用したキシリトール1.0モルに対して、1.1〜1.4モルである。これが1.1モルより少ない場合、未反応のキシリトールやキシリトールモノアセタール体の割合が多くなり純度が低下する恐れがある。この観点からは、この仕込み量のモル比率を1.2モル以上とすることが更に好ましい。また、これが1.4モルより多い場合、二量体の量が多くなり純度が低下する恐れがある。この観点からは、この仕込み量を1.3モル以下とすることが更に好ましい。 温度条件は工程(A)と同様に、特に制限はなく、状況に応じて適宜選定すればよいが、60〜80℃が好ましい。 使用する酸触媒としては、工程(A)で列挙した酸触媒を用いることができる。ただし、一連の反応において、工程(A)と工程(C)とで、同じ酸触媒を用いて良いが、異なる酸触媒を用いてもよい。特に好ましいものは、パラトルエンスルホン酸無水物もしくはパラトルエンスルホン酸一水和物である。 酸触媒の使用量のモル比率は、工程(A)と同様に、キシリトール1.0モルに対して5.0×10−6〜5.0×10−4モルが好ましく、7.0×10−6〜4×10−4モルが更に好ましく、1.0×10−5〜3.0×10−4モルが特に好ましい。〔工程(D)〕 工程(C)の反応後、過剰の式(3)で示される化合物及び、副生するR3OHおよびR4OHの除去を行う工程である。 この工程は、通常、常圧、不活性ガス気流下で行なわれるが、これらの化合物を完全に留去するには、減圧状態にした後、留去を行なうことが好ましい。また、工程(D)を行なう前に、酸触媒の中和を行なっても、行なわなくてもよい。酸触媒の中和に用いるアルカリ中和剤は、工程(B)と同様のアルカリ中和剤を用いることができる。(キシリトールジアセタール) なお、得られる水酸基を1個有するキシリトールジアセタール誘導体は、下記に示す化合物(4)、(5)のように、残った水酸基の位置が異なる構造異性体や立体異性体の混合物として得られる。例えば、キシリトールを用いて上記のアセタール化を行った場合、1,2,3,4−ジ−O−イソプロピリデン−DL−キシリトール(4)及び1,2,4,5−ジ−O−イソプロピリデン−DL−キシリトール(5)が、おおよそ(4):(5)=90:10(モル比)の混合物で得られる。 また、上記の方法により得られた式(1)で示されるキシリトールジアセタールは、蒸留などによりさらに純度を向上させることも可能である。 以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、合成品の分析は下記に記す方法で行なった。(実験方法) (ガードナー色数): JIS K−6901 5.2 (ガスクロマトグラフィー(以下、GCと省略する)測定による純度測定方法): サンプル:0.1wt%メタノール溶液 サンプル注入量:1μL カラム:J&W 123−7033 DB−WAX(30m×320μm×0.5μm) キャリヤーガス:He 3mL/min カラム温度:160℃で30分後、240℃まで5℃/minで昇温 検出器:FID 純度:アセタール化後の純度については、保持時間10minおよび、17minに観測される前記に示す化合物(4)と(5)の混合物の合計であり、その積分比はいずれの場合も(4):(5)=90:10であった。二量体は保持時間49minに観測された。(実施例1) 温度計、窒素ガス吹き込み管、攪拌装置、冷却管および油水分離管を付した500ミリリットル容量の四ツ口フラスコにキシリトール(和光純薬工業(株)試薬)152.2g、アセトン(式(2)の化合物)261.4g(関東化学(株)試薬)とパラトルエンスルホン酸一水和物4.8mg(関東化学(株)試薬)を仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後60〜90℃に保持し、2時間反応を行った。次に、10%水酸化カリウム水溶液17.0mgを入れ、パラトルエンスルホン酸を中和した後、副生した水および過剰のアセトンを常圧窒素気流下で加熱留去させ、留出物は冷却管、油水分離管を経由して凝縮後、回収した。留出物が止まったことを確認して、80〜100℃、−0.097MPa(ゲージ圧力)で1時間微量の副生物および過剰原料を除去した。次に、2,2−ジメトキシプロパン(式(3)の化合物)(関東化学(株)試薬)135.4gとパラトルエンスルホン酸一水和物4.8mg(関東化学(株)試薬)を仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後60〜90℃に保持し、2時間反応を行った。反応終了後、副生したメタノールおよび過剰分の2,2−ジメトキシプロパンを常圧窒素気流下で加熱留去させ、留出物は冷却管、油水分離管を経由して凝縮後、回収した。留出物が止まったことを確認して、80〜100℃、−0.097MPa(ゲージ圧力)で1時間微量の副生物および過剰原料を除去し、ジイソプロピリデンキシリトール245.0gを得た。得られたジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1、GC測定による純度は96%であり、二量体は1%以下であった。 次に、得られたジイソプロピリデンキシリトール100gを200ミリリットルのビーカーに入れ、48%水酸化カリウム水溶液1g添加し、60℃で12時間保持した。ジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1であった。(実施例2) 実施例1と同様にして、アセトン319.4gを用いて反応を行った。得られたジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1、GC測定による純度は95%であり、二量体は1%以下であった。 次に、得られたジイソプロピリデンキシリトール100gを200ミリリットルのビーカーに入れ、48%水酸化カリウム水溶液1g添加し、60℃で12時間保持した。ジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1であった。(実施例3) 実施例1と同様にして、2,2−ジメトキシプロパン125.0gを用いて反応を行った。得られたジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1、GC測定による純度は95%であり、二量体は1%以下であった。 次に、得られたジイソプロピリデンキシリトール100gを200ミリリットルのビーカーに入れ、48%水酸化カリウム水溶液1g添加し、60℃で12時間保持した。ジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1であった。(実施例4) 実施例1と同様にして、2,2−ジメトキシプロパン145.8gを用いて反応を行った。得られたジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1、GC測定による純度は96%であり、二量体は1%以下であった。 次に、得られたジイソプロピリデンキシリトール100gを200ミリリットルのビーカーに入れ、48%水酸化カリウム水溶液1g添加し、60℃で12時間保持した。ジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1であった。(実施例5) 実施例1と同様にして、10%水酸化カリウム水溶液20mgを用いて反応を行った。得られたジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1、GC測定による純度は96%であり、二量体は1%以下であった。 次に、得られたジイソプロピリデンキシリトール100gを200ミリリットルのビーカーに入れ、48%水酸化カリウム水溶液1g添加し、60℃で12時間保持した。ジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1であった。(比較例1) 実施例1と同様にして、2,2−ジメトキシプロパン187.5gを用いて反応を行った。得られたジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1、GC測定による純度は82%であり、二量体は14%以下であった。 次に、得られたジイソプロピリデンキシリトール100gを200ミリリットルのビーカーに入れ、48%水酸化カリウム水溶液1g添加し、60℃で12時間保持した。ジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は5であった。(比較例2) 実施例1と同様にして、アセトン174.2gを用いて反応を行った。得られたジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1、GC測定による純度は84%であり、二量体は1%以下であった。 次に、得られたジイソプロピリデンキシリトール100gを200ミリリットルのビーカーに入れ、48%水酸化カリウム水溶液1g添加し、60℃で12時間保持した。ジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は5であった。(比較例3) 温度計、窒素ガス吹き込み管、かき混ぜ装置、冷却管および油水分離管を付した500ミリリットル容量の四ツ口フラスコにキシリトール152.2g、2,2−ジメトキシプロパン291.6とパラトルエンスルホン酸一水和物4.8mg(関東化学(株)試薬)を仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後60〜90℃に保持し、2時間アセタール化反応を行った。アセタール化反応終了後、副生したメタノールおよび過剰分の2,2−ジメトキシプロパンを常圧窒素気流下で加熱留去させ、留出物は冷却管、油水分離管を経由して凝縮後、回収した。留出物が止まったことを確認して、80〜100℃、−0.097MPa(ゲージ圧力)で1時間微量の副生物および過剰原料を除去し、ジイソプロピリデンキシリトールを得た。得られたジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1、GC測定による純度は96%であり、二量体は1%以下であった。 次に、得られたジイソプロピリデンキシリトール100gを200ミリリットルのビーカーに入れ、48%水酸化カリウム水溶液1g添加し、60℃で12時間保持した。ジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は7であった。(比較例4) 温度計、窒素ガス吹き込み管、攪拌装置、冷却管および油水分離管を付した500ミリリットル容量の四ツ口フラスコにキシリトール(和光純薬工業(株)試薬)152.2g、アセトン(式(2)の化合物)261.4g(関東化学(株)試薬)とパラトルエンスルホン酸一水和物4.8mg(関東化学(株)試薬)を仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後60〜90℃に保持し、2時間反応を行った。次に、10%水酸化カリウム水溶液17.0mgを入れ、パラトルエンスルホン酸を中和した後、副生した水および過剰のアセトンを常圧窒素気流下で加熱留去させ、留出物は冷却管、油水分離管を経由して凝縮後、回収した。留出物が止まったことを確認して、80〜100℃、−0.097MPa(ゲージ圧力)で1時間微量の副生物および過剰原料を除去し、ジイソプロピリデンキシリトールを得た。得られたジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1、GC測定による純度は45%であり、二量体は1%以下であった。 得られたジイソプロピリデンキシリトール100gを200ミリリットルのビーカーに入れ、48%水酸化カリウム水溶液1g添加し、60℃で12時間保持した後のガードナー色数は1であった。(比較例5) 実施例1と同様にして、10%水酸化カリウム水溶液11mgを用いて反応を行った。得られたジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は1、GC測定による純度は68%であり、二量体は1%以下であった。 次に、得られたジイソプロピリデンキシリトール100gを200ミリリットルのビーカーに入れ、48%水酸化カリウム水溶液1g添加し、60℃で12時間保持した。ジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は3であった。(比較例6) 実施例1と同様にして、10%水酸化カリウム水溶液35mgを用いて反応を行った。得られたジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は4、GC測定による純度は93%であり、二量体は1%以下であった。 次に、得られたジイソプロピリデンキシリトール100gを200ミリリットルのビーカーに入れ、48%水酸化カリウム水溶液1g添加し、60℃で12時間保持した。ジイソプロピリデンキシリトールのガードナー色数は7であった。 実施例では、アルカリと接触しても着色しない、ジイソプロピリデンキシリトールが、高純度で得られた。 比較例1は、2,2−ジメトキシプロパンの仕込み量が多いために二量体の生成量が多くなった。比較例2では、アセトンの量が少ないため、工程(C)で2,2−ジメトキシプロパンとの反応時に不均一系となり、アルカリとの接触で着色した。比較例3では、2,2−ジメトキシプロパン単独での反応であり、ジイソプロピリデンキシリトールの純度は高いものの、アルカリとの接触で着色した。比較例4では、アセトン単独での反応であり、純度が低かった。比較例5では、工程(B)でのアルカリの倍量が少ないため、逆反応が進行し、純度が低くなっただけでなく、工程(C)で不均一系となり、アルカリとの接触により着色した。比較例6では、工程(B)でのアルカリの倍量が多いため、着色した。 下記(A)、(B)、(C)及び(D)の各工程を順次行うことを特徴とする、式(1)で示されるキシリトールジアセタールの製造方法。(A): キシリトール1.0モルに対し、酸触媒下に4.0〜6.0モルのモル比率で式(2)で示されるカルボニル化合物を仕込んで反応させる工程(B): 前記酸触媒1モルに対して理論当量の1.1〜1.5倍量のアルカリを用いて中和し、過剰の式(2)で示される前記カルボニル化合物及び副生成した水を除去する工程(C): 工程(A)で用いたキシリトール1.0モルに対し、酸触媒下に式(3)で示される化合物を1.1〜1.4モルのモル比率で仕込んで反応させる工程(D): 未反応の式(3)で示される前記化合物、R3OHで示される副生成物およびR4OHで示される副生成物を除去する工程(式(1)において、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示す)(式(2)において、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示す)(式(3)において、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R3及びR4は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示す) 【課題】アルカリ存在下においても着色しないキシリトールジアセタールを、高純度、かつ、高収率で得る製法を提供する。【解決手段】(A)、(B)、(C)及び(D)の各工程を順次行うことで、式(1)で示されるキシリトールジアセタール誘導体を製造する。(A): キシリトール1.0モルに対し、酸触媒下にモル比率で4.0〜6.0モルの式(2)で示されるカルボニル化合物を加えて反応させる工程 (B): 前記酸触媒1モルに対して理論当量の1.1〜1.5倍量のアルカリを用いて中和し、過剰の式(2)で示される前記カルボニル化合物及び副生成する水を除去する工程 (C): 工程(A)で用いたキシリトール1.0モルに対し、酸触媒下に式(3)で示される化合物をモル比率で1.1〜1.4モル添加して反応させる工程 (D): 未反応の式(3)で示される前記化合物、R3OHで表される副生成物およびR4OHで表される副生成物を除去する工程【選択図】 なし