タイトル: | 再公表特許(A1)_界面活性剤水溶液の濃縮回収方法 |
出願番号: | 2012070380 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | B01D 1/16,C07C 53/21,C07C 59/135 |
二川 典史 永野 重行 JP WO2013024790 20130221 JP2012070380 20120809 界面活性剤水溶液の濃縮回収方法 旭硝子株式会社 000000044 棚井 澄雄 100106909 志賀 正武 100064908 鈴木 三義 100094400 柳井 則子 100106057 二川 典史 永野 重行 JP 2011178859 20110818 B01D 1/16 20060101AFI20150206BHJP C07C 53/21 20060101ALN20150206BHJP C07C 59/135 20060101ALN20150206BHJP JPB01D1/16C07C53/21C07C59/135 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN 再公表特許(A1) 20150305 2013528997 19 4D076 4H006 4D076AA04 4D076AA24 4D076BA24 4D076BA37 4D076BC01 4D076CA11 4D076CD22 4D076EA12Z 4D076EA14Z 4D076EA20Z 4D076HA03 4D076JA03 4H006AA02 4H006AD11 4H006BC51 4H006BC52 4H006BP10 4H006BS10 本発明は、界面活性剤水溶液の濃縮回収方法に関する。 界面活性剤の存在下に乳化重合して得られる重合体の水性分散液から重合体を除去した水溶液等、界面活性剤と水性溶媒を含有する界面活性剤水溶液から、界面活性剤を回収して再利用する技術が知られている。 界面活性剤を回収する方法としては、例えば、界面活性剤水溶液中の界面活性剤をイオン交換樹脂(以下、「IER」という。)により吸着して回収する方法が挙げられる。しかし、該方法は、界面活性剤を高効率で吸着できるが、その後にIERから界面活性剤を充分な脱着率で脱着させることが難しい場合には、界面活性剤の回収には適さない。 また、界面活性剤水溶液を蒸発濃縮し、界面活性剤を高濃度化して回収する方法も知られている。しかし、該方法においては、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩等の状態で界面活性剤を回収しようとすると、界面活性剤が発泡しやすく、蒸発濃縮器中に起泡して回収効率が低下する。 蒸発濃縮中の発泡を抑制する方法としては、界面活性剤水溶液に二価金属と三価金属を添加し、層状複水酸化物を生成させることによって、発泡し難くした状態で蒸発濃縮することで、界面活性剤を高濃度化して回収する方法が知られている。しかし、該方法は、前記層状複水酸化物から界面活性剤を再生することが難く、界面活性剤の回収には適さない。 界面活性剤水溶液の発泡を抑制しつつ、界面活性剤を効率的に再利用できる形態で高濃度化して回収する方法としては、例えば、以下に示す方法が提案されている。 (1)蒸発缶内に界面活性剤水溶液を収容し、前記蒸発缶から界面活性剤水溶液の一部を抜き出して加熱し、前記蒸発管内の上部に設けられている出口側が一旦狭くなった形状のノズル(スプレーノズル)から蒸発管内に噴霧し、水性媒体をフラッシュ蒸発させ、界面活性剤水溶液を循環させつつ水性溶媒を除去して濃縮する方法(特許文献1参照)。 該方法では、界面活性剤水溶液は、前記ノズル内において、蒸発缶内の圧力よりも高圧で、かつ蒸発缶内の圧力における水性溶媒の沸点よりも高い温度の液体となる。これにより、界面活性剤水溶液が前記ノズルから噴霧され、蒸発缶内の圧力(前記ノズル内の圧力よりも低い圧力)に開放された際、蒸発缶内の圧力における水性溶媒の沸点まで温度を下げるために、保有熱量を蒸発潜熱として放出して水性溶媒の一部が気化し、濃縮液と水性溶媒の蒸気が生じる。該方法では、蒸発管内の界面活性剤水溶液に泡が発生しても、前記ノズルから噴霧された濃縮液によって破泡され、発泡が抑えられる。 (2)界面活性剤水溶液を、水性溶媒の一部が気化した気液二相流(間欠流または環状流)となるように過熱して、蒸発管内の上部に設けられた複数の直管を通じて蒸発管内に供給し、水性溶媒の蒸気を除去して濃縮液を得る方法(特許文献2参照)。特開昭63−54901号公報特開2005−131616号公報 しかし、前記方法(1)では、ノズルから噴霧された濃縮液により、発泡を抑える効果を充分に得ることは困難である。 また、前記方法(2)では、各々の直管に過熱した界面活性剤水溶液の気液二相流を均一に供給することが難しく、過熱した界面活性剤水溶液が一部の直管に偏流し、該直管から蒸発缶内に供給される濃縮液が、該蒸発管内に溜まっている濃縮液の液面に落下する際に空気を巻き込んで発泡が生じる問題がある。 方法(1)または方法(2)において、消泡剤を使用して発泡を抑える方法も考えられるが、界面活性剤を再生利用する場合、濃縮後に消泡剤を除く工程が必要となり、作業が煩雑になる。 本発明は、発泡を抑えつつ界面活性剤水溶液を蒸発濃縮し、界面活性剤を高濃度化した界面活性剤水溶液を、高効率で簡便に得ることができる界面活性剤の濃縮回収方法の提供を目的とする。 本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。[1]ガス化可能な界面活性剤と水性溶媒を含有する界面活性剤水溶液を蒸発濃縮して、界面活性剤を高濃度化する界面活性剤水溶液の濃縮回収方法であって、 蒸発缶内に前記界面活性剤水溶液を収容し、 前記蒸発缶内の界面活性剤水溶液の温度を、前記蒸発缶内の圧力下における前記水性溶媒の沸点より低い温度とし、 前記界面活性剤水溶液の一部を前記蒸発缶から抜き出し、界面活性剤と水性溶媒全体を環状流または環状噴霧流とする条件で過熱して、出口側が一旦狭くなった後に広がった形状のノズルにより、前記界面活性剤水溶液を前記ノズル内で一旦加圧凝縮してから前記蒸発缶内に噴霧し、 前記水性溶媒を蒸発させて除去することを特徴とする界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。[2]前記界面活性剤が、炭素原子数4〜10の含フッ素界面活性剤である前記[1]に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。[3]前記界面活性剤水溶液中の前記界面活性剤の含有量が、1〜30質量%である前記[1]または[2]に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。[4]前記蒸発缶内の圧力が、101kPa以下である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。[5]前記蒸発缶内の界面活性剤水溶液の温度が、99℃以下である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。[6]前記ノズルが、流路の内径が徐々に小さくなる加圧部と、流路の内径が徐々に大きくなる開放部と、加圧部と開放部を連結する流路の内径が一定の連結部とを有している前記[1]〜[5]のいずれかに記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。[7]前記ノズルの開放部における内壁面の開く角度が90〜150°である前記[6]に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。[8]前記含フッ素界活性剤が、下式(1)で表される化合物および下式(2)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上のフッ素系界面活性剤である、前記[2]に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。 RF1O(CF2CF2O)aCF2COOX1 ・・・(1) CF3(CF2)bCOOX2 ・・・(2)(ただし、式中、RF1は炭素原子数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、X1は水素原子、アルカリ金属またはNH4であり、aは1〜3の整数である。また、X2は水素原子、アルカリ金属またはNH4であり、bは3〜7の整数である。)[9]前記式(1)で表されるフッ素系界面活性剤が、C2F5OCF2CF2OCF2COOHのアンモニウム塩である前記[8]に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。[10]前記式(2)で表されるフッ素系界面活性剤が、ペルフルオロオクタン酸アンモニウム、またはペルフルオロノナン酸アンモニウムである前記[8]に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。[11]前記界面活性剤水溶液が、前記界面活性剤の存在下に少なくとも1種の含フッ素単量体を乳化重合または懸濁重合して得られた含フッ素重合体の水性分散液から、含フッ素重合体を分離した水溶液、前記含フッ素重合体の乾燥または熱処理時に排出される排ガスを吸収させた水溶液、および前記フッ素重合体を洗浄に用いた水溶液からなる群より選ばれる1種以上の水溶液である、前記[1]〜[10]のいずれかに記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。 本発明の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法によれば、発泡を抑えつつ、界面活性剤水溶液を蒸発濃縮し、高濃度化した界面活性剤水溶液を高効率で簡便に得て、界面活性剤を回収することができる。本発明の製造方法に使用する濃縮回収装置の一例を示した概略構成図である。図1の濃縮回収装置のノズルを示した断面図である。過熱流体の流動状態を示すグラフである(改定六版 化学工学便覧、化学工学会編、299頁、図5・20引用)。過熱流体の流動状態を説明する図である。 本発明の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法は、ガス化可能な界面活性剤(以下、界面活性剤(a)ということがある。)と水性溶媒を含有する界面活性剤水溶液を蒸発濃縮して、界面活性剤を高濃度化して回収する方法である。本発明の方法により、界面活性剤を高効率で再利用できる形態で濃縮して回収できる。 本発明における界面活性剤(a)としては、ガス化可能な界面活性剤であれば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、および非イオン界面活性剤のいずれも採用できる。また、炭化水素系界面活性剤、および含フッ素界面活性剤のいずれも採用できる。 界面活性剤(a)としては、価格あるいは製造コストが高く、再生が求められる界面活性剤が好ましい。また、環境への排出の抑制が求められている界面活性剤が好ましい。 界面活性剤(a)としては、含フッ素界面活性剤が挙げられるが、含フッ素界面活性剤を構成する炭素原子数が4〜10である含フッ素界面活性剤が好ましく、炭素原子数が4〜8である含フッ素界面活性剤がより好ましく、炭素原子数が4〜7である含フッ素界面活性剤が最も好ましい。炭素原子数が上記範囲にある含フッ素界面活性剤は、含フッ素重合体の製造時に、重合安定性に優れる。また、炭素原子数が4〜7である含フッ素界面活性剤は生体蓄積性が低い。 含フッ素界面活性剤としては、分子中に1〜4個のエーテル性酸素原子を含有する含フッ素カルボン酸およびその塩、ペルフルオロアルキルカルボン酸およびその塩、ならびに、含フッ素スルホン酸およびその塩からなる群から選ばれる一種以上がより好ましい。上記分子中に1〜4個のエーテル性の酸素原子を有する含フッ素カルボン酸の具体例としては、CF3OCF2CF2OCF2COOH、C2F5OCF2CF2OCF2COOH、C3F7OCF2CF2OCF2COOH、C4F9OCF2CF2OCF2COOH、C5F11OCF2CF2OCF2COOH、C6F13OCF2CF2OCF2COOH、CF3O(CF2CF2O)2OCF2COOH、C2F5O(CF2CF2O)2OCF2COOH、C3F7O(CF2CF2O)2CF2COOH、C4F9O(CF2CF2O)2CF2COOH、CF3O(CF2CF2O)3OCF2COOH、C2F5O(CF2CF2O)3OCF2COOH、CF3OC(CF3)CF2OCF(CF3)COOH、CF3CF2OC(CF3)CF2OCF(CF3)COOH、CF3CF2O(CF2)5COOH、CF3OC3F6OCF(CF3)COOH、C3F7OC3F6OCF(CF3)COOH、C3F7OCF(CF3)CF2OCHFCOOH、C4F9OCF2COOH、CF3OCF2CF2COOH、C2F5OCF2CF2COOH、C3F7OCF2CF2COOH、CF3O(CF2)3OCHFCOOH、CF3OCF2OCF2OCF2COOH、C4F9OCF(CF3)COOH、C4F9OCF2CF2COOH、CF3OCF2CF2CF2OCF2COOH、CF3CFHO(CF2)5COOH、CF3O(CF2)3OCHFCF2COOH、CF3OCF2OCF2OCF2OCF2COOH、C3F7OCHFCF2COOH、CF3CFHO(CF2)3COOH、C3F7OCHFCOOH等が挙げられる。また、塩を形成するアルカリ金属としては、Li、Na、K等が好ましい。また、分子中に1〜4個のエーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸の塩としては、上記化合物のLi、Na、K、NH4等の塩が挙げられる。 上記ペルフルオロアルキルカルボン酸の具体例としては、ペルフルオロヘキサン酸、ペルフルオロヘプタン酸、ペルフルオロオクタン酸、ペルフルオロノナン酸、ω−ハイドロペルフルオロオクタン酸等が挙げられる。また、ペルフルオロアルキルカルボン酸の塩としては、上記化合物のLi、Na、K、NH4等の塩が挙げられる。 含フッ素界面活性剤としては、下式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)という。)および下式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)という。)からなる群から選ばれる1種以上のフッ素系界面活性剤がより好ましい。 RF1O(CF2CF2O)aCF2COOX1 ・・・(1) CF3(CF2)bCOOX2 ・・・(2) ただし、式中、RF1は炭素原子数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、X1は水素原子、アルカリ金属またはNH4であり、aは1〜3の整数である。 また、X2は水素原子、アルカリ金属またはNH4であり、bは3〜7の整数である。 X1およびX2のアルカリ金属としては、いずれの場合も、例えば、Li、Na、K等が挙げられる。 化合物(1)としては、CF3OCF2CF2OCF2COOH、C2F5OCF2CF2OCF2COOH、C3F7OCF2CF2OCF2COOH、C4F9OCF2CF2OCF2COOH、C5F11OCF2CF2OCF2COOH、C6F13OCF2CF2OCF2COOH、CF3O(CF2CF2O)2OCF2COOH、C2F5O(CF2CF2O)2OCF2COOH、C3F7O(CF2CF2O)2CF2COOH、C4F9O(CF2CF2O)2CF2COOH、CF3O(CF2CF2O)3OCF2COOH、C2F5O(CF2CF2O)3OCF2COOHおよびそれらのアンモニウム塩がより好ましく、C2F5OCF2CF2OCF2COOHのアンモニウム塩(以下、「EEA」という。)が最も好ましい。 化合物(2)としては、ペルフルオロヘキサン酸、ペルフルオロヘプタン酸、ペルフルオロオクタン酸、ペルフルオロノナン酸およびそれらのアンモニウム塩が好ましく、ペルフルオロオクタン酸アンモニウム(以下、「APFO」という。)、ペルフルオロノナン酸アンモニウム(以下、「APFN」という。)がより好ましい。 なかでも、熱安定性が良いことから、APFO、APFNがより好ましく、APFNが特に好ましい。 炭化水素系界面活性剤としては、ドデカン酸、ステアリン酸脂肪酸等のナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤が好ましい。 本発明における水性溶媒とは、水を必須成分として含み、必要に応じて有機溶媒を含む溶媒である。 水性溶媒に含まれる有機溶媒としては、炭化水素系溶媒であってもよく、フッ素系溶媒であってもよい。また、水溶性であってもよく、非水溶性であってもよい。有機溶媒の沸点(標準沸点)は、50〜90℃が好ましく、50〜70℃がより好ましく、50〜65℃が最も好ましい。 炭化水素系溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられる。 フッ素系溶媒の具体例としては、1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3,3−ジクロロプロパン等のクロロヒドロフルオロカーボン類、CF3(CF2)5H、CF3(CF2)3CH2CH3等のヒドロフルオロカーボン類、CF3CH2OCF2CF2H、CF3CH2OCF2CFHCF3、HCF2CF2CH2OCF2CFHCF3、C4F9OCH3等のヒドロフルオロエーテル等が挙げられる。 水性溶媒が水よりも高い沸点の有機溶媒を含む場合、水による液面下沸騰を防止することから、水性溶媒(100質量%)中の有機溶媒の含有量は、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。なお、この場合の有機溶媒の含有量は、99質量%以下が好ましい。 また、水よりも低沸点の有機溶媒が含まれる場合、液面下沸騰を防止することから、前記有機溶媒の含有量は、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。なお、この場合の有機溶媒の含有量は1質量%以上が好ましい。 また、気化する溶媒量が充分になることで、界面活性剤(a)が気化して除去されることを抑制でき、界面活性剤(a)の高濃度化が容易なことから、濃縮前の界面活性剤水溶液中の界面活性剤(a)の含有量は、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。また、蒸発濃縮がより効率的に行えることから、濃縮前の界面活性剤水溶液中の界面活性剤(a)の含有量は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。 なお、界面活性剤(a)の含有量が低い場合は、本発明の濃縮回収方法を行う前に、公知の濃縮方法等で、ある程度まで濃縮してから本発明の濃縮方法を行なってもよい。公知の濃縮方法としては、例えば、ササクラ社のVVCC濃縮装置による濃縮方法等が挙げられる。 界面活性剤水溶液としては、界面活性剤(a)の存在下に少なくとも1種の含フッ素単量体を乳化重合または懸濁重合して得られた含フッ素重合体の水性分散液から、含フッ素重合体を分離した水溶液(A1)、前記含フッ素重合体の乾燥または熱処理時に排出される排ガスを吸収させた水溶液(A2)、および前記フッ素重合体を洗浄に用いた水溶液(A3)からなる群より選ばれる1種以上の水溶液が好ましく、水溶液(A1)がより好ましい。 水溶液(A1)としては、含フッ素単量体を重合して得られる単独重合体もしくは共重合体、または含フッ素単量体と含フッ素単量体以外の他の単量体を重合して得られる共重合体の溶液から、得られた重合体を分離した水溶液が特に好ましい。 重合体の水性分散液から得られた重合体を分離する方法としては、例えば、該重合体を塩析、あるいは高いせん断力下の撹拌、またはその双方を同時に行うことで凝集させ、上澄み液を回収して重合体を分離する方法が挙げられる。 水溶液(A1)には、含フッ素単量体の重合時に使用された界面活性剤(a)に加えて、未凝集の含フッ素重合体等の浮遊固形物および浮遊固形物になりうる物質(以下、「SS分」という。)も含まれる。 浮遊固形物になりうる物質としては、例えば、含フッ素重合体の塩析凝集に使用された金属塩、水溶液(A1)のpHの変化によって析出する物質、水溶液(A1)の温度の低下もしくは上昇によって析出する物質等が挙げられる。 水溶液(A1)(100質量%)中のSS分の含有量は、装置内部にSS分が付着して蒸発効率を低下させることを抑制しやすいことから、0.2質量%以下が好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。 水溶液(A1)からSS分を除去する方法としては、例えば、多価金属カチオンを含有する金属塩(塩析剤)を添加して、SS分を凝集させる塩析が挙げられる。 前記金属塩の具体例としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化アルミニウム六水和物、塩化マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化第二鉄六水和物、ポリ塩化アルミニウム等の金属塩化物等が挙げられる。中でも、塩化アルミニウム、塩化アルミニウム六水和物が好ましい。 SS分を除去する場合、界面活性剤(a)が層状複水酸化物を形成して再生処理が困難となることを抑制しやすいことから、水溶液(A1)に塩酸をpHが2以下となるまで添加し、塩化アルミニウムを水溶液(A1)に対して100〜120質量ppm添加した後、高いせん断力を有する撹拌装置により撹拌混合することが好ましい。但し、少量の塩化アルミニウムの添加であっても、その後のアルカリ水溶液による化合物(1)の再溶解の工程において、水酸化アルミニウムを生成し、その後の濃縮過程において、濃縮液中の水分が除去されることで、例えば加熱器14で蒸発管に難除去性の酸化アルミニウムを生じて伝熱効果を著しく低下させる懸念があるため、塩化アルミニウムに代わってポリシリカ鉄を1質量%以下の範囲で添加する方法もある。 また、前記塩析により得られる凝集物は、界面活性剤(a)を内包した状態で沈殿することがあるため、水溶液(A1)中に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を添加してpHを3以上に調整し、内包された界面活性剤(a)を水性媒体中に再溶解させることが好ましい。 前記塩析により凝集させたSS分の凝集物を除去する方法としては、公知の固液分離方法を採用できる。なかでも、濾過、デカンテーション(decantation)、遠心分離および重力沈降からなる群より選ばれる1種以上の方法が好ましい。 濾過は、加圧下に実施することが好ましい。また、凝集物を含む水溶液(A1)を静置し、凝集物を沈降させて、上澄み液を濾過することにより凝集物を除去することも好ましい。 水溶液(A2)としては、例えば、前記含フッ素重合体の水性分散液から分離された含フッ素重合体を、オーブン等の熱処理装置を用いて乾燥および/または熱処理する際に、熱処理装置から排出される微量の固体の飛沫を含む排ガスを吸収させた水溶液が挙げられる。 水溶液(A3)としては、例えば、前記含フッ素重合体の水性分散液から分離された含フッ素重合体を、水により洗浄した水溶液等が挙げられる。 以下、本発明の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法の一例として、図1に例示した濃縮回収装置1を用いた方法について説明する。 濃縮回収装置1は、図1に示すように、濃縮前の界面活性剤水溶液(以下、原液ということがある。)を収容する原液貯留槽10と、界面活性剤水溶液を蒸発濃縮させる蒸発缶12と、蒸発缶12から抜き出した界面活性剤水溶液を過熱する過熱器14と、蒸発缶12で発生した蒸気を凝縮する凝縮器16と、を有している。 原液貯留槽10と蒸発缶12は、配管18で接続されており、原液貯留槽10から蒸発缶12に原液が供給される。 また、蒸発缶12の底部と過熱器14は、途中に、循環ポンプ20と弁22が設けられた配管24により接続されている。配管24における循環ポンプ20と弁22の間からは、途中に弁26が設けられた配管28が分岐している。さらに、過熱器14と蒸発缶12の上部は、配管30により接続され、配管30の先端に、出口側が一旦狭くなった後に広がった形状のノズル32が設けられている。これにより、蒸発缶12の底部から抜き出した界面活性剤水溶液を過熱器14で過熱し、ノズル32から蒸発缶12内に噴霧してフラッシュ蒸発させ、界面活性剤水溶液を循環させつつ蒸発濃縮することができる。 また、蒸発缶12の上部と凝縮器16は、配管34により接続されており、また、凝縮器16には、途中に真空ポンプ36が設けられた配管38と、途中に凝縮水ポンプ40が設けられた配管42が接続されている。これにより、蒸発缶12内で発生した蒸気を凝縮器16に回収し、冷却して凝縮水を得た後、配管38を通じて排ガスを排気し、配管42を通じて凝縮水を排水できる。 蒸発缶12の材質は、特に限定されず、例えば、SS400の表面が樹脂コーティングされたもの等が挙げられる。 蒸発缶12の形状および大きさは、特に限定されない。 過熱器14は、蒸発缶12から送液される界面活性剤水溶液を充分に過熱できるものであればよく、例えば、蒸気との熱交換により界面活性剤水溶液を過熱する過熱器等が挙げられる。特に、省エネルギーの点から、蒸発缶12の上部からエジェクター(Vapor jet vacuum pump)により水性溶媒の蒸気を回収し、該エジェクターにおいて回収した水性溶媒の蒸気を加熱して過熱器14に送り、過熱器14における界面活性剤水溶液の過熱に利用することが好ましい。 凝縮器16は、蒸発缶12から回収された水性溶媒の蒸気を充分に凝縮できるものであればよく、例えば、一般的なシェル&チューブ方式の熱交換器(Shell & tube type heat exchanger)等が挙げられる。 図2(A)は、上記のノズル32を流路軸に沿って切断した断面図であり、図2(B)は、ノズル32を流路軸に垂直な面で切断した断面図である。 ノズル32は、流路の内径が徐々に小さくなる加圧部32aと、流路の内径が徐々に大きくなる開放部32bと、加圧部32aと開放部32bを連結する流路の内径が一定の連結部32cを有している。つまり、ノズル32は、流路の出口側が一旦狭くなった後、広がった形状をしている。これにより、過熱器14で過熱され環状流または環状噴霧流となった界面活性剤水溶液が、ノズル32内で加圧されて一旦凝縮され、その後にノズル32から噴霧される。 また、ノズル32は、出口近傍に内壁から流路軸方向に延びる突起部32dが複数設けられている。突起部32dが設けられていることで、過熱流体を偏流させずに、より均一に噴霧させることができる。 ノズル32は、開放部32bにおける内壁面の開く角度θが90°以上であることが好ましい。これにより、噴霧する界面活性剤水溶液の噴射角が90°以上とすることができる。 ノズル32から噴霧された界面活性剤水溶液が、過熱熱量の放出が完了しない状態で蒸発缶12内に収容された界面活性剤水溶液の液面に到達すると、その到達点において界面活性剤水溶液が沸騰し、発泡するおそれがある。ノズル32から噴霧する界面活性剤水溶液の噴射角を90°以上とすることで、噴霧した界面活性剤水溶液が蒸発缶12内に収容した界面活性剤水溶液の液面に到達するまでに、噴霧された界面活性剤水溶液中の水性溶媒が充分に蒸発しやすくなる。 前記角度θは、蒸発缶12内に収容した界面活性剤水溶液が沸騰して発泡することを抑制しやすいことから、100°以上がより好ましく、120°以上が特に好ましい。また、前記角度θは、過熱流体を蒸発缶内の液面に高速で噴霧し、破泡することが容易になることから、180°以下が好ましく、150°以下が特に好ましい。 なお、ノズル32の本数はこの例では1本であるが、特に限定されない。 蒸発缶内に過熱した界面活性剤水溶液を噴霧するノズルの本数は、1〜10本が好ましく、2〜8本がより好ましく、3〜6本がより好ましい。 前述したように、特許文献2のような複数の直管を用いる方法では、過熱した界面活性剤水溶液が一部の直管に偏流することで、該直管から供給された濃縮液が蒸発缶内に溜まっている濃縮液の液面に到達する際に発泡が生じる問題がある。この問題は、リングヘッダー(Ring-shaped header)等のような特殊な装置を用いなければ防止できないと考えられる。 一方、本発明における濃縮回収装置1では、ノズル32の出口側の加圧部32で過熱した界面活性剤水溶液が加圧されるため、複数のノズルを有していても、それぞれのノズルから均一に噴霧することができる。 濃縮回収装置1としては、蒸発缶内を減圧状態として濃縮操作が行える装置が好ましい。また、エネルギー効率が高いことから、エジェクターを備えたフラッシュ型濃縮装置が好ましい。具体的には、例えば、ササクラ社製のFTC濃縮装置、RHC−F濃縮装置、VVCC−F濃縮装置、STC−F濃縮装置等が挙げられる。これらの装置は、蒸発缶内で蒸発させた蒸気をエジェクターで吸引し、エジェクターの駆動蒸気とともに過熱器に送り、蒸発缶から抜き出した界面活性剤水溶液の加熱源として利用するなど、省エネルギーの点でも好ましい。 濃縮回収装置1を用いる本発明の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法は、以下に示すように実施される。 原液貯留槽10から蒸発缶12に界面活性剤水溶液を供給し、蒸発缶12内に該界面活性剤水溶液を収容する。蒸発缶12内に収容する界面活性剤水溶液の温度(T1、単位:℃)は、蒸発缶12内の圧力下における水性媒体の沸点(bp1、単位:℃)よりも低い温度(T1<bp1)とする。すなわち、蒸発缶12内に収容する界面活性剤水溶液は、沸騰させない状態で収容する。 蒸発缶12内に収容する界面活性剤水溶液を沸騰させないことで、蒸発濃縮中の蒸発缶12内での界面活性剤水溶液の発泡を抑制できる。 蒸発缶内の界面活性剤水溶液の温度T1は、(bp1−2)℃以下が好ましく、(bp1−5)℃以下がより好ましく、(bp1−10)℃以下が最も好ましい。 温度T1は、99℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、50〜70℃が特に好ましい。 蒸発缶12内の圧力条件は、減圧下が好ましく、水性溶媒が水であり、水蒸気あるいは温水として処理できる場合、また凝縮器16、真空ポンプ36、エジェクター等の能力が高い場合等は、過熱器14の負荷を低減できることから、101kPa以下がより好ましく、50kPaが最も好ましい。また、蒸発缶12内を減圧条件とした場合、ポンプなしで原液貯留槽10から蒸発缶12に原液である界面活性剤水溶液を供給できるため、設備費低減の点でも好ましい。 また、ノズル32から蒸発缶12内に収容された界面活性剤水溶液の液面までの距離を遠くすることにより、噴霧した界面活性剤水溶液が蒸発缶12内に収容した界面活性剤水溶液の液面に到達するまでに、噴霧した界面活性剤水溶液中の水性溶媒が充分に蒸発しやすくできることから、蒸発缶12内に収容する界面活性剤水溶液の液量は、蒸発缶12の容量に対して20%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。また、液量は10%以上が好ましい。 また、濃縮回収装置1では、弁26を閉じ、弁22を開いた状態で、循環ポンプ20によって、蒸発缶12の底部から配管24を通じて界面活性剤水溶液を抜き出して過熱器14に送液し、過熱器14において界面活性剤水溶液を過熱し、配管30を通じて蒸発缶12へと送液し、ノズル32から蒸発缶12内に噴霧する。 配管内を流動する液体は、過熱することで、図3および図4に示すように、環状流または環状噴霧流となる領域I、間欠流、チャーン流(Churn flow)またはプラグ流(plug flow)となる領域II、気泡流(bubbly flow)となる領域III、分散流となる領域IVのいずれかの状態とすることができる。流体の流速は、領域IIIおよびIVよりも領域IIの方で、また領域IIよりも領域Iの方で、気相の割合が高いために速くなる。 本発明における過熱器14による界面活性剤水溶液の過熱は、界面活性剤水溶液中の界面活性剤(a)と水性溶媒全体を、領域Iの環状流または環状噴霧流(過熱液噴霧状態)とする条件、すなわち「垂直配管における気液二層流の遷移式」から算出した下式(3)および下式(4)の条件を満たすように行う。下式(3)は、図3のグラフにおける領域Iと領域IIの境界線の上側であることを意味し、下式(4)は、図3のグラフにおける領域Iと領域IVの境界線の左側であることを意味する。(改定六版 化学工学便覧、化学工学会編、298〜299頁参照) ただし、前記式中、u(G)は配管30内のガス空塔速度(m/s)、u(L)は配管30内の液体空塔速度(m/s)、Ku(G)はクヌーゼン数、Fr(G)はフルード数、ρLは界面活性剤水溶液の液密度(kg/m3)、ρGは界面活性剤水溶液を気化したガスのガス密度(kg/m3)、dはノズル32の上流側の配管30の内径(m)、gは重力加速度(m/s2)、σは界面活性剤水溶液の表面張力(N/m)を示す。また、fLは摩擦係数であり、層流の場合はfL=16/Re、乱流の場合はfL=0.079×Re−1/4(ただし、Reはレイノルズ数である。)である。 また、図3における領域Iの補正係数Φ1、Φ2は、以下の通りである。 Φ1=(ρG0/ρG)0.23×(△ρ/△ρ0)0.11×(σ/σ0)0.11×(d/d0)0.415 Φ2=1 ただし、d0=2.54(cm)、ρG0=1.3(kg/m3)、ρL0=1000(kg/m3)、σ0=0.07(N/m)、△ρ=ρL−ρG、△ρ0=ρL0−ρG0である。 過熱器14において前記条件を満たすように過熱することで、ノズル32に送られる界面活性剤水溶液の気相の割合が高くなり、ノズル32から蒸発缶12内に噴霧された界面活性剤水溶液中の水性溶媒が、蒸発缶12内に収容された界面活性剤水溶液の液面に到達する前に充分に蒸発する。そのため、過熱熱量の放出が完了していない濃縮液が、蒸発缶12内に収容された界面活性剤水溶液の液面に到達し、その到達点で界面活性剤水溶液が沸騰して発泡することを抑制できる。 また、例えば、前述したように、蒸発缶12から水性溶媒の蒸気をエジェクターで回収して過熱器14における界面活性剤水溶液の過熱に利用する場合、エジェクターを駆動する蒸気の圧力が低下すること等の外的要因により、蒸発缶12内の圧力が変動し、蒸発缶12内に収容した界面活性剤水溶液の液面に泡が発生するおそれがある。しかし、前記条件を満たすように過熱することで、ノズル32から噴霧される界面活性剤水溶液の速度が、界面活性剤水溶液を領域II〜IVとなるように過熱した場合の速度に比べて劇的に速くなり、蒸発缶12内に収容している界面活性剤水溶液の液面に泡が生じたとしても、噴霧流体によって破泡する効果が優れているため、発泡を充分に抑制できる。 過熱器14による界面活性剤水溶液の過熱は、過熱に用いる蒸気の温度を一定とし、蒸発缶12内の圧力、界面活性剤水溶液の物性、蒸発缶12内の界面活性剤水溶液の温度T1等に応じて、過熱器14に供給する界面活性剤水溶液の流速を、循環ポンプ20によって調節することで、前記条件を満たすように調節することが好ましい。 界面活性剤水溶液の過熱に用いる蒸気の温度は、120〜179℃が好ましく、143〜158℃がより好ましい。 過熱器14を通過後の界面活性剤水溶液の温度は、(T1+2)℃以上が好ましく、(T1+5)℃以上がより好ましく、(T1+10)℃以上が最も好ましい。また、温度は100℃以下が好ましい。蒸発缶内の気相部の圧力は、101kPa以下が好ましく、50kPa以下がより好ましく、20kPa以下が最も好ましい。また、圧力は10kPa以上が好ましい。 前記条件を満たすように過熱した界面活性剤水溶液を、出口が一旦狭くなった後に広がった形状のノズル32により、一旦凝縮させた後、蒸発缶12内に噴霧することで、水性媒体の一部をフラッシュ蒸発させる。そして、濃縮液と気液分離された水性媒体の蒸気を、真空ポンプ36による吸引により蒸発缶12の上部に接続された配管34を通じて除去する。 蒸発缶12内で発生した水性溶媒の蒸気は、真空ポンプ36により、配管34を通じて凝縮器16に送って凝縮させる。凝縮により生じた凝縮水は凝縮水ポンプ40によって、配管42を通じて排水し、排ガスは配管38を通じて排気する。 濃縮回収装置1を連続運転し、界面活性剤(a)が所望の含有量となるまで高濃度化した濃縮液を得た後、弁22を閉じ、弁26を開いて濃縮液を回収する。 本発明では、濃縮液(100質量%)中の界面活性剤(a)の含有量が2〜50質量%以上となるまで濃縮を行うことが好ましく、8〜20質量%以上となるまで濃縮を行うことがより好ましい。前記界面活性剤(a)の含有量が2質量%以上であれば、高い効率で蒸発濃縮できる。また、前記界面活性剤(a)の含有量が50質量%以下であれば、界面活性剤成分の揮散ロスを少なくすることができる。 以上説明した本発明の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法によれば、発泡を抑えつつ界面活性剤水溶液を蒸発濃縮して、高濃度化した界面活性剤水溶液を高効率で簡便に得ることができ、界面活性剤を回収することができる。 なお、本発明の方法では、発泡を充分に抑制できる範囲であれば、蒸発濃縮中に過熱した界面活性剤水溶液の流動形態が、一時的にプラグ流、チャーン流、間欠流等の領域IIの状態となってもよい。 以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定して解釈されない。例1〜4が実施例であり、例5が比較例である。[SS分の測定方法] アルミカップに測定対象の溶液の0.7gを入れた試験液を2つ用意し、それぞれの試験液を、200℃と650℃で、それぞれ質量が変化しなくなるまで乾燥させ、200℃で乾燥させたときの蒸発残分(無機塩とPTFEの合計)から、650℃で乾燥させたときの蒸発残分(無機塩)を差し引いたものをSS分とした。[例1]<界面活性剤水溶液の調製> 界面活性剤としてC2F5OC2F4OCF2COONH4(以下、EEAという。)とCF3(CF2)6COONH4(以下、APFOという。)を使用し、テトラフルオロエチレン(TFE)を乳化重合して、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の水性分散液を製造した。得られた水性分散液を凝集し、析出したPTFEを分離し、凝集廃水(SS分が2300質量ppm。以下、凝集廃水1という。)を得た。凝集廃水1中の界面活性剤の含有量は400質量ppmであり、EEAとAPFOは、それぞれ、360質量ppmと40質量ppmであった。次いで、凝集廃水1に35質量%の工業用塩酸を、pHが2になるまで加え、該凝集廃水1に対して120質量ppmの塩化アルミニウム六水和物を添加し、5分間撹拌して、凝集廃水1中の未凝集のPTFEを凝集させた。その後、20質量%水酸化ナトリウム水溶液を、凝集廃水1のpHが10.5となるまで添加し、5分間撹拌した。その後、1時間静置し、凝集廃水1の上澄み液を界面活性剤水溶液Aとして回収した。界面活性剤水溶液Aは無色透明であり、SS分は40質量ppmであり、界面活性剤の含有量(EEAとAPFOの合計。以下、同じ。)は398質量ppmであった。 次いで、予備濃縮として、界面活性剤水溶液Aに対し、ヒートポンプを備えた加熱管面蒸発型濃縮装置(ササクラ社製、商品名:VVCC濃縮装置)を用いて減圧濃縮した。前記VVCC濃縮装置への界面活性剤水溶液Aの供給量は4000L/時とし、VVCC濃縮装置内部を20kPaに保った。また、VVCC濃縮装置の内部の循環液の温度を55±2℃に保った。30時間かけて界面活性剤水溶液Aの120,000Lを60倍に濃縮して、界面活性剤の含有量が2.4質量%の界面活性剤水溶液Bを2,000L得た。VVCC濃縮装置から排出される凝縮水について1時間ごとに界面活性剤の含有量をメチレンブルーによる比色分析により測定したところ、最大で5質量ppmであり、平均で3質量ppmであった。 メチレンブルーによる比色測定方法について記載する。メチレンブルー試薬は、水約500mlに硫酸12gを徐々に加え、冷却後これにメチレンブルー0.03g、無水硫酸ナトリウム50gを溶解し、水を加えて1Lとし得る。次に、スクリュー管瓶に、メチレンブルー試薬5ml、クロロホルム5mlを入れ、試料(濃縮液)を0.1gを加えて激しく振とうし、静置分離させる。下層のクロロホルム層をスポイト(dropper)で吸光度測定用のセルに回収し、分光光度計により波長630nmの吸光度を測定する。これを、予め測定しておいた既知濃度の試料より得られた検量線を参照することで、化合物(1)の濃度を得るという方法である。<蒸発濃縮試験> エジェクターを備えたフラッシュ型濃縮装置(ササクラ社製、商品名:FTC濃縮装置)を用いて、界面活性剤水溶液Bをさらに濃縮した。該装置は、蒸発缶内で発生した蒸気を回収するエジェクターを備え、回収した蒸気を蒸発缶から抜き出した界面活性剤水溶液の過熱に利用している。また、該装置は、過熱した界面活性剤水溶液Bを蒸発缶内に噴霧する、図2に例示したノズルを4本備えている以外は、図1に例示した濃縮回収装置1と同様の構成である。 運転初期は、蒸発缶内での水溶液の発泡を抑制する目的で、工業用水を用いて運転を開始した。具体的には、FTC濃縮装置における蒸発缶に、蒸発缶の容量に対して40%まで工業用水を仕込んだ後、蒸発缶内を17kPaまで減圧し、かつ蒸発缶内の工業用水の温度が55℃となるように循環液量を調節した。その後、蒸発缶内の圧力が17kPaで、液相温度が55℃であり、かつ気相温度が65℃となったところで、蒸発缶内の工業用水の量を、蒸発缶の容量に対して20%に下げ、界面活性剤水溶液Bの供給を開始した。 濃縮操作中は蒸発缶内の圧力を17kPaに保った。また、蒸発缶内の液相温度は55℃に保った。なお、圧力17kPaにおける水の沸点は57℃である。 蒸発缶から抜き出した界面活性剤水溶液Bを過熱し、ノズルから蒸発缶内に噴霧してフラッシュ蒸発させ、発生した蒸気を除去し、12時間かけて3,500Lの界面活性剤水溶液Bを250Lまで濃縮した濃縮液を得た。過熱に使用した蒸気の温度は158℃であり、蒸発缶から抜き出した界面活性剤水溶液Bの過熱器への流速は1.0m/秒とし、過熱した界面活性剤水溶液Bの流動状態は表1に示す通りとした。 FTC濃縮装置から排出された凝縮水について、1時間ごとにEEA濃度をメチレンブルーによる比色分析により測定したところ、濃度は最大で12質量ppmであり、平均で7質量ppmであった。 蒸発缶内における発泡を抑制しつつ蒸発濃縮操作を行うことにより、界面活性剤の含有量が32.4質量%の濃縮液が得られた。[例2〜4] 蒸発缶内の圧力を100kPa(例2)、50kPa(例3)、または20kPa(例4)とした以外は、例1と同様にして濃縮液を得た。 いずれの場合も蒸発缶内における発泡を抑制しつつ蒸発濃縮することができた。それぞれ、界面活性剤の含有量が33質量%(例2)、31質量%(例3)、および35質量%(例4)の濃縮液が得られた。[例5] 例1の条件で、1質量%の濃縮液を5質量%まで蒸発濃縮した。その後、循環液量を増加させたところ、スプレーノズルから噴霧される流体の流れの状態が「間欠流(intermittent flow)」となり、すぐに蒸発缶内における液面下で発泡を生じた。 本発明の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法は、発泡を抑えつつ界面活性剤水溶液を蒸発濃縮して、高濃度化した界面活性剤水溶液を高効率で簡便に得ることができ、界面活性剤を回収し、再生利用することが可能となり、産業上有用である。 なお、2011年8月18日に出願された日本特許出願2011−178859号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。 1 濃縮回収装置 10 原液貯留槽 12 蒸発缶 14 過熱器 16 凝縮器 18、24、28、30、34、38、42 配管 20 循環ポンプ 22、26 弁 32 ノズル 36 真空ポンプ 40 凝縮水ポンプ ガス化可能な界面活性剤と水性溶媒を含有する界面活性剤水溶液を蒸発濃縮して、界面活性剤を高濃度化する界面活性剤水溶液の濃縮回収方法であって、 蒸発缶内に前記界面活性剤水溶液を収容し、 前記蒸発缶内の界面活性剤水溶液の温度を、前記蒸発缶内の圧力下における前記水性溶媒の沸点より低い温度とし、 前記界面活性剤水溶液の一部を前記蒸発缶から抜き出し、界面活性剤と水性溶媒全体を環状流または環状噴霧流とする条件で過熱して、出口側が一旦狭くなった後に広がった形状のノズルにより、前記界面活性剤水溶液を前記ノズル内で一旦加圧凝縮してから前記蒸発缶内に噴霧し、 前記水性溶媒を蒸発させて除去することを特徴とする界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。 前記界面活性剤が、炭素原子数4〜10の含フッ素界面活性剤である請求項1に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。 前記界面活性剤水溶液中の前記界面活性剤の含有量が、1〜30質量%である請求項1または2に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。 前記蒸発缶内の圧力が、101kPa以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。 前記蒸発缶内の界面活性剤水溶液の温度が、99℃以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。 前記ノズルが、流路の内径が徐々に小さくなる加圧部と、流路の内径が徐々に大きくなる開放部と、加圧部と開放部を連結する流路の内径が一定の連結部とを有している請求項1〜5のいずれか一項に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。 前記ノズルの開放部における内壁面の開く角度が90〜150°である請求項6に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。 前記含フッ素界活性剤が、下式(1)で表される化合物および下式(2)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上のフッ素系界面活性剤である、請求項2に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。 RF1O(CF2CF2O)aCF2COOX1 ・・・(1) CF3(CF2)bCOOX2 ・・・(2)(ただし、式中、RF1は炭素原子数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、X1は水素原子、アルカリ金属またはNH4であり、aは1〜3の整数である。また、X2は水素原子、アルカリ金属またはNH4であり、bは3〜7の整数である。) 前記式(1)で表されるフッ素系界面活性剤が、C2F5OCF2CF2OCF2COOHのアンモニウム塩である請求項8に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。 前記式(2)で表されるフッ素系界面活性剤が、ペルフルオロオクタン酸アンモニウム、またはペルフルオロノナン酸アンモニウムである請求項8に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。 前記界面活性剤水溶液が、前記界面活性剤の存在下に少なくとも1種の含フッ素単量体を乳化重合または懸濁重合して得られた含フッ素重合体の水性分散液から、含フッ素重合体を分離した水溶液、前記含フッ素重合体の乾燥または熱処理時に排出される排ガスを吸収させた水溶液、および前記フッ素重合体を洗浄に用いた水溶液からなる群より選ばれる1種以上の水溶液である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。 発泡を抑えつつ界面活性剤水溶液を蒸発濃縮し、界面活性剤を高濃度化した界面活性剤水溶液を高効率で簡便に得ることができる界面活性剤水溶液の濃縮回収方法の提供。 ガス化可能な界面活性剤と水性溶媒を含有する界面活性剤水溶液を蒸発濃縮して、界面活性剤を高濃度化する界面活性剤水溶液の濃縮回収方法であって、蒸発缶12内に前記界面活性剤水溶液を収容し、蒸発缶12内の界面活性剤水溶液の温度を、蒸発缶12内の圧力下における前記水性溶媒の沸点より低い温度とし、前記界面活性剤水溶液の一部を蒸発缶12から抜き出し、過熱器14で界面活性剤と水性溶媒全体を環状流または環状噴霧流とする条件で過熱して、出口側が一旦狭くなった後に広がった形状のノズル32から蒸発缶12内に噴霧し、前記水性溶媒を蒸発させて除去する界面活性剤水溶液の濃縮回収方法。