タイトル: | 公開特許公報(A)_半導体装置の耐湿信頼性評価方法 |
出願番号: | 2012065124 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | G01N 27/22,G01N 17/00,G01R 31/30 |
岩重 朝仁 JP 2013195329 公開特許公報(A) 20130930 2012065124 20120322 半導体装置の耐湿信頼性評価方法 日立化成株式会社 000004455 西藤 征彦 100079382 岩重 朝仁 G01N 27/22 20060101AFI20130903BHJP G01N 17/00 20060101ALI20130903BHJP G01R 31/30 20060101ALI20130903BHJP JPG01N27/22 CG01N17/00G01R31/30 6 OL 13 2G050 2G060 2G132 2G050AA02 2G050BA05 2G050BA06 2G050BA10 2G050CA01 2G050EA01 2G050EA02 2G050EB02 2G050EC01 2G050EC05 2G060AA09 2G060AE40 2G060AF06 2G060AF11 2G060EA07 2G060EB09 2G060KA16 2G132AA00 2G132AB15 2G132AD15 2G132AL09 本発明は、半導体装置の耐湿信頼性評価方法に関するものであり、詳しくは、従来の評価方法に比べ短時間で評価が可能な、半導体装置の耐湿信頼性評価方法に関するものである。 従来から、トランジスタ,IC,LSI等の各種半導体素子は、外部環境からの保護および半導体素子のハンドリングを可能にするという観点から、例えば、熱硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて樹脂封止(プラスチックパッケージ)され、半導体装置化されている。 このような半導体封止用の樹脂組成物の重要な要求特性の一つとして、高温高湿信頼性があげられる。すなわち、高温または多湿下では、樹脂に含まれる塩素イオン等のイオン性不純物が動きやすくなることから、半導体素子上の配線の腐食が進み易いためである。 そして、上記のような耐湿信頼性の評価は、従来、HAST試験(不飽和加圧蒸気試験)により行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。特開2004−311527号公報特開2000−136995号公報WO2010/005086公報 HAST試験による耐湿信頼性の評価では、130℃、湿度85%の雰囲気下で、半導体装置に断線不良が発生する(顕著な抵抗値の上昇が生じる)まで試験を行い、その時間を計測する必要がある。 しかしながら、上記計測は非常に長時間を要する(数百時間から千時間超)ことから、短時間での耐湿信頼性の評価方法が求められている。 本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、短時間で耐湿信頼性の評価を行うことができる半導体装置の耐湿信頼性評価方法の提供を、その目的とする。 上記の目的を達成するために、本発明の半導体装置の耐湿信頼性評価方法は、半導体素子をエポキシ樹脂組成物で封止してなる半導体装置の耐湿信頼性評価方法であって、上記エポキシ樹脂組成物を用いて下記(X)に示す熱硬化条件および寸法条件で円板状樹脂硬化体サンプルを作製し、上記サンプルに対して、下記(Y)に示す吸湿処理条件で吸湿させた後、誘電緩和測定装置を用いてイオン分極起因の誘電損失ピークを測定し、ピーク上の誘電損失が0.81±0.05となる周波数を読み取り、その周波数から上記半導体装置の耐湿信頼性を評価するという構成をとる。(X)熱硬化条件:175±10℃×120±40秒間の加熱硬化の後、175±10℃×3±2時間のアフターキュア。 寸法条件:誘電緩和測定装置の電極の直径以上で、厚み1±0.6mm。(Y)吸湿処理条件:130℃、湿度85%の雰囲気下で、80±30時間。 すなわち、本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、本発明者は、まず、半導体装置の封止用樹脂に含まれるイオン性不純物が断線の要因であるとの知見に基づき、封止用樹脂中のイオン性不純物濃度が、HAST試験特性と高い相関関係があるのではないかと予想し、それを検証するため実験を行った。しかしながら、上記実験の結果、そのような相関関係はあまり認められなかったことから、本発明者は別の評価方法を模索した。その過程で、本発明者は、封止用樹脂が吸湿すると、樹脂中のイオン性不純物のイオン易動度が高くなることに着目し、実験を進めた。その結果、半導体素子上の配線の腐食スピードは、封止用樹脂中のイオン性不純物濃度にも当然ながら関与するが、それよりも、封止用樹脂中のイオン性不純物のイオン易動度のほうが上記腐食スピードに実効的に関与する因子であることを突き止めた。また、本発明者は、封止用樹脂中のイオン性不純物のイオン易動度を定量評価するために、HAST試験の環境条件と同等の条件下で吸湿処理を施した封止用樹脂のサンプルに対し、誘電緩和測定装置による測定を行い、その際に得られるイオン分極による誘電損失ピークの位置、すなわち樹脂中での平均イオン易動度と、HAST試験特性との間に、非常に高い相関関係があることを突き止めた。そして、誘電緩和測定装置による測定結果と、HAST試験特性との対比により、HAST試験評価において最低限要求される測定時間(200時間)に対応する指標として、誘電損失ピークの位置(発現周波数)を利用できることを突き止めた。具体的には、誘電緩和測定装置によって得られた、イオン直流電導成分起因の誘電損失ピーク上において、その縦軸の値(誘電損失)が0.81±0.05(0.76〜0.86)となる横軸の値(周波数)が25Hzであると、HAST試験評価の200時間に相当することを突き止めた。しかも、上記誘電緩和測定装置による測定は数分で行うことができることから、従来のHAST試験よりも短時間で耐湿信頼性の評価を行うことができる。これらのことから、誘電緩和測定装置よって得られた誘電損失ピーク上の誘電損失が0.81±0.05(0.76〜0.86)となる周波数を読み取り、その周波数から上記半導体装置の耐湿信頼性を評価すると、HAST試験と同様の信頼性を保持しつつ、従来のHAST試験よりも短時間で耐湿信頼性の評価を行うことができることを本発明者は見いだし、本発明に到達した。 このように、本発明の半導体装置の耐湿信頼性評価方法は、半導体素子をエポキシ樹脂組成物で封止してなる半導体装置の、上記封止に用いられるエポキシ樹脂組成物から、特定条件で円板状樹脂硬化体サンプルを作製し、上記サンプルを特定条件で吸湿処理した後、上記サンプルに対して、誘電緩和測定装置を用い、誘電損失ピーク上の誘電損失が0.81±0.05となる周波数を読み取り、その周波数から上記半導体装置の耐湿信頼性を評価するものである。そのため、短時間で、従来のHAST試験と同様の耐湿信頼性の評価を行うことができる。また、本発明の半導体装置の耐湿信頼性評価方法は、半導体装置そのものを測定評価せずとも、上記サンプルに対して試験を行えばよいことから、従来よりも容易に評価を行うことができる。 特に、誘電緩和測定装置による測定を、誘電緩和測定装置の電極間に載置された上記サンプルに対し電極を押圧しながら行うと、より正確な測定結果を得ることができる。 また、誘電緩和測定装置による測定を、125〜135℃雰囲気下で行うと、より正確な測定結果を得ることができる。 また、誘電緩和測定装置による測定を、2〜6分間行うと、短時間でかつ正確な測定結果を得ることができる。 さらに、誘電緩和測定装置が、誘電率測定用インターフェースを有するインピーダンス測定装置と動的粘弾性測定装置との組み合わせからなると、より適正な測定を行うことができる。 そして、誘電緩和測定装置による発現周波数の測定結果が25Hz以下のものに対し、耐湿信頼性が良好であるとの評価を行うと、より適正な評価結果を下すことができる。本発明の評価方法に用いられる誘電緩和測定装置の一例を示す概略図である。誘電緩和測定での既定の周波数K(Hz)の逆数1/Kと、Cu−HAST信頼性(時間)との関係を示すグラフである。 つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。 本発明の半導体装置の耐湿信頼性評価方法は、先に述べたように、半導体素子をエポキシ樹脂組成物で封止してなる半導体装置の、上記封止に用いられるエポキシ樹脂組成物から、円板状樹脂硬化体サンプル(以下、必要に応じ、単に「サンプル」と略記する)を作製し、上記サンプルを特定条件で吸湿処理した後、上記サンプルに対して、誘電緩和測定装置を用い、誘電損失ピーク上の誘電損失が0.81±0.05となる周波数を読み取り、その周波数から上記半導体装置の耐湿信頼性を評価するものである。 上記エポキシ樹脂組成物としては、半導体素子の封止用に用いられるものであればよく、エポキシ樹脂の他、フェノール樹脂、無機質充填剤(シリカ等)、硬化促進剤等を適宜含むものである。また、必要に応じ、シリコーン化合物、シランカップリング剤、難燃剤、難燃助剤、離型剤、イオントラップ剤、カーボンブラック等の顔料や着色料、低応力化剤、粘着付与剤等の他の添加剤を適宜配合することもできる。 上記エポキシ樹脂組成物は、例えば、エポキシ樹脂をはじめとする上記各材料を配合し混合した後、ミキシングロール機等の混練機にかけ加熱状態で溶融混練し、ついで、これを室温に冷却固化させた後、公知の手段によって粉砕し、必要に応じて打錠するという一連の工程により、製造することができる。 上記エポキシ樹脂組成物を用いてなるサンプルの作製条件は、熱硬化条件が、175±10℃×120±40秒間の加熱硬化の後、175±10℃×3±2時間のアフターキュア(後硬化)の条件で行われ、寸法条件が、誘電緩和測定装置の電極の直径以上、厚み1±0.6mmの条件で行われる。なお、上記寸法条件は、誘電緩和測定装置の電極間距離および電極の直径に依存するものであり、電極の直径以上の直径を有するサンプルが必要であるということを意味する。 上記のようにして作製されたサンプルの吸湿処理条件は、130℃、湿度85%の雰囲気下で、80±30時間行われる。すなわち、本発明の評価方法が、HAST試験の代替方法であることから、HAST試験の環境条件と同等の条件下で吸湿処理を施す必要があるからである。 そして、本発明では、上記吸湿処理後のサンプルに対する、誘電緩和測定装置を用いて誘電損失が0.81±0.05となるイオン分極起因の誘電損失ピークの発現周波数を測定し、その周波数から上記半導体装置の耐湿信頼性を評価する。 特に、誘電緩和測定装置による測定において、誘電緩和測定装置の電極間に載置された上記サンプルに対し電極を押圧しながら行うことにより、サンプルと電極との接触が良好となり、より正確な測定結果を得ることができる。なお、上記押圧は、例えば、100〜500gの荷重で行われる。 また、正確な測定結果を考慮した場合、誘電緩和測定装置による測定は、125〜135℃雰囲気下で行うことが好ましい。より好ましくは、129〜131℃雰囲気下での測定である。 そして、HAST試験と同様の信頼性を保持しつつ、短時間でかつ正確な測定結果が得られるという点から、誘電緩和測定装置による測定は、2〜6分間にて行うことが好ましい。 さらに、誘電緩和測定装置としては、例えば、誘電率測定用インターフェースを有するインピーダンス測定装置と動的粘弾性測定装置との組み合わせからなる構成があげられ、このような構成により適正な測定を行うことができる。図1は、本発明の評価方法に用いられる誘電緩和測定装置の一例を示す概略図であり、1aが誘電率測定用インターフェース、1bがインピーダンス測定装置、2が動的粘弾性測定装置、2aが測定用電極を示す。すなわち、この誘電緩和測定装置においては、インピーダンス測定装置1b上に接続され配置された誘電率測定用インターフェース1aが動的粘弾性測定装置2に接続されており、動的粘弾性測定装置2に測定用電極2aが取り付けられている。そして、上記測定用電極2a間に、測定対象となるサンプルを挟持させ測定に供する。なお、誘電率測定用インターフェース1aとしては、例えば、英国ソーラトロン社製の1296型誘電率測定インターフェースが用いられ、インピーダンス測定装置1bとしては、例えば、英国ソーラトロン社製の1255B型インピーダンスアナライザーが用いられる。また、動的粘弾性測定装置2としては、例えば、TAインスツルメント社製のARESが用いられる。 そして、誘電緩和測定装置による上記既定したところの周波数の測定結果が25Hz以下のものに対し、耐湿信頼性が良好であるとの評価を行うことにより、HAST試験と同様の信頼性を保持しつつ、より適正な評価結果を下すことができる。すなわち、上記エポキシ樹脂組成物の硬化物が、上記物性(誘電緩和測定装置を用いてイオン分極起因の誘電損失ピーク上の誘電損失が0.81±0.05となる周波数が25Hz以下)を備えることが、従来の高温高湿信頼性特性(HAST特性)における同等の吸湿処理を施して評価試験を行なった際に200時間を超える評価結果と同等となる。なお、上記周波数の下限は、通常、0.01Hzである。 つぎに、実施例について説明する。ただし、本発明は、その要旨を超えない限り、これら実施例に限定されるものではない。 まず、実施例に先立ち、下記に示す各材料を準備した。〔エポキシ樹脂a1〕 ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製、YX4000H)〔エポキシ樹脂a2〕 トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(日本化薬社製、EPPN−501HY)〔フェノール樹脂b1〕 フェノールビフェニレン樹脂(明和化成社製、MEH−7851SS)〔フェノール樹脂b2〕 フェノールノボラック樹脂(三井化学社製、VR8210)〔フェノール樹脂b3〕 トリフェニルメタン型フェノール樹脂(明和化成社製、MEH−7500)〔フェノール樹脂b4〕 フェノールノボラック樹脂(群栄化学工業社製、GS180)〔硬化促進剤c1〕 2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、2P4MHZ)〔硬化促進剤c2〕 リン系硬化促進剤(北興化学工業社製、TPP−MK)〔硬化促進剤c3〕 リン系硬化促進剤(北興化学工業社製、TPP)〔硬化促進剤c4〕 リン系硬化促進剤(北興化学工業社製、TPP−S)〔添加剤e1〕 アルコキシ基非含有シラノール基含有シリコーン化合物(東レ・ダウコーニング社製、217FLAKE)〔添加剤e2〕 アルコキシ基非含有シラノール基含有シリコーン化合物(東レ・ダウコーニング社製、SH6018FLAKE)〔添加剤e3〕 アルコキシ基非含有シラノール基含有シリコーン化合物(東レ・ダウコーニング社製、220FLAKE)〔添加剤e4〕 アルコキシ基非含有シラノール基含有シリコーン化合物(東レ・ダウコーニング社製、255FLAKE)〔添加剤e5〕 シラノール基非含有アルコキシ基含有シリコーン化合物(東レ・ダウコーニング社製、3074INTERMEDIATE)〔添加剤e6〕 シラノール基非含有アルコキシ基含有シリコーン化合物(東レ・ダウコーニング社製、SR2402)〔添加剤e7〕 シラノール基非含有アルコキシ基含有シリコーン化合物(東レ・ダウコーニング社製、AY42−163)〔添加剤e8〕 シラノール基非含有アルコキシ基含有シリコーン化合物(東レ・ダウコーニング社製、3037INTERMEDIATE)〔添加剤e9〕 シラノール基非含有アルコキシ基含有シリコーン化合物(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSR165)〔添加剤e10〕 シラノール基非含有アルコキシ基含有シリコーン化合物(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、XR31−B2733)〔添加剤e11〕 シラノール基非含有アルコキシ基含有シリコーン化合物(信越化学工業社製、KR−500)〔添加剤e12〕 シラノール基非含有アルコキシ基含有シリコーン化合物(信越化学工業社製、KR−9218)〔添加剤e13〕 シラノール基非含有アルコキシ基含有シリコーン化合物(小西化学工業社製、SR−23)〔無機質充填剤〕 球状溶融シリカ粉末(平均粒径13μm)〔顔料〕 カーボンブラック〔難燃剤〕 水酸化マグネシウム〔シランカップリング剤〕 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン〔離型剤〕 酸化ポリエチレンワックス(酸価10〜70mgKOH/g)〔エポキシ樹脂組成物の調製〕 上記各材料を、後記の表1〜表3に示す各成分を同表に示す割合で配合し、ミキサーにて充分混合した後、2軸混練機を用い100℃にて2分間溶融混練した。つぎに、この溶融物を冷却した後、固体状になったものを粉末状に粉砕することにより目的とする粉末状エポキシ樹脂組成物(No,1〜28)を調製した。 このようにして得られた各エポキシ樹脂組成物(No,1〜28)を用い、下記に示す方法に従って、測定,評価した。これらの結果を後記の表1〜表3に併せて示す。〔誘電緩和測定における周波数物性(本発明の測定評価方法)〕1)サンプルの作製 上記調製の各エポキシ樹脂組成物を用い、金型を用いて175℃で120秒間のプレス成型を行い、さらに175℃で3時間の後硬化を行うことにより、直径50mmで厚み1mmの円板状樹脂硬化体サンプルを作製した。2)吸湿処理 上記サンプルに、130℃×85%RHでの80時間の吸湿処理条件にて吸湿処理を施した。3)誘電緩和測定 ソーラトロン社製の1296型誘電率測定インターフェースを、ソーラトロン社製の1255B型インピーダンスアナライザーに接続した。つぎに、動的粘弾性測定装置であるTAインスツルメント社製のARESに測定用電極(電極直径30mm)を取り付けた後、動的粘弾性測定装置を上記誘電率測定インターフェースに接続した。このようにして誘電緩和測定装置を完成させた(図1参照)。そして、上記動的粘弾性測定装置の恒温槽の設定温度を130℃にし、ギャップゼロ設定を行った後、恒温槽の扉を開け、測定用電極間に上記作製のサンプルをセットし、恒温槽の扉を閉めた。測定用電極間には荷重を400g程度かけ、サンプルと電極とを充分に接触させた。このようにサンプルをセットしてから5分後、誘電緩和測定を開始した。また、上記サンプルと同一測定ギャップ(1mm)で、別途、空気の誘電率測定も行った。なお、誘電緩和測定条件は、以下の条件で行った。 ・AC電圧:1V ・周波数範囲:1000000Hz〜0.01Hz ・積算時間:1秒4)データ解析 空気の誘電率測定結果から、空気の平均の誘電率を算出した。つぎに、サンプルの誘電緩和測定結果(capacitance realと、capacitance imagenary)から、これらを空気の平均の誘電率で割り算規格化し、サンプルの誘電率と誘電損失を算出した。そして、サンプルの誘電損失を測定周波数に対してプロットし、イオン分極由来のシグナルを確認し、上記シグナルの中で、誘電損失の値が0.812となっているところの周波数(誘電緩和測定での既定の周波数K)(Hz)を読み取った。〔銅ワイヤーに対する高温高湿信頼性の指標(従来の測定評価方法)〕 前記調製の各エポキシ樹脂組成物を用い、半導体素子のトランスファー成形を、成形温度175℃,成形時間120秒間の条件にて行い、後硬化を175℃で3時間の条件にて行う(前記サンプルと同じ熱硬化条件)ことにより、片面樹脂封止型パッケージを作製した。詳しくは、半導体素子搭載基板であるBTレジン(JCI社製)(大きさ:49mm×49mm×厚み0.21mm)上に、半導体素子であるSiチップ(大きさ:30mm×30mm×厚み0.2mm)を搭載して固定し、この搭載面側のみを上記トランスファー成形により樹脂封止(封止樹脂サイズ:49mm×49mm×厚み0.7mm)することにより片面封止タイプの半導体装置を作製した。なお、SiチップとBTレジン上の回路部分との接続には銅製のボンディングワイヤーを用いた。 このようにして得られた片面樹脂封止型パッケージ(半導体装置)に対し、高温高湿環境下(130℃×85%RH)でのHAST試験(不飽和加圧蒸気試験:バイアス無し)を行った。その後、高温高湿処理後の片面樹脂封止型パッケージの抵抗値測定を行い、抵抗値の上昇率が10%以上となった場合を断線不良(銅ワイヤーに対する)と判断して、この断線不良が発生する高温高湿処理時間を高温高湿信頼性の不良発生時間(Cu−HAST信頼性)(時間)として測定した。 上記表の結果をもとに、誘電緩和測定での既定の周波数K(Hz)の逆数である1/Kと、Cu−HAST信頼性(時間)との関係をグラフに示すと、図2のようになる。図より、1/Kと、Cu−HAST信頼性(時間)とは比例関係にあることから、誘電緩和測定での既定の周波数K(Hz)と、Cu−HAST信頼性(時間)には相関関係が認められる。そして、上記表および図2のグラフの結果より、Cu−HAST信頼性において最低限要求される測定時間(200時間以上)に対応する、誘電緩和測定での既定の周波数K(Hz)は、25Hz以下であると認められることから、誘電緩和測定装置による発現周波数の測定結果が25Hz以下のものに対し、耐湿信頼性が良好であるとの評価を行うと、短時間で、従来のHAST試験と同様の耐湿信頼性の評価を行うことができることがわかった。 本発明の半導体装置の耐湿信頼性評価方法は、封止用樹脂の硬化体サンプルから、短時間で耐湿信頼性の評価を行うことができ、しかも、半導体装置そのものを測定評価せずとも、上記サンプルに対して試験を行えばよいことから、従来よりも容易に評価を行うことができる。そのため、半導体装置の品質評価の迅速化に大いに活用することができる。 1a 誘電率測定用インターフェース 1b インピーダンス測定装置 2 動的粘弾性測定装置 2a 測定用電極 半導体素子をエポキシ樹脂組成物で封止してなる半導体装置の耐湿信頼性評価方法であって、上記エポキシ樹脂組成物を用いて下記(X)に示す熱硬化条件および寸法条件で円板状樹脂硬化体サンプルを作製し、上記サンプルに対して、下記(Y)に示す吸湿処理条件で吸湿させた後、誘電緩和測定装置を用いてイオン分極起因の誘電損失ピークを測定し、ピーク上の誘電損失が0.81±0.05となる周波数を読み取り、その周波数から上記半導体装置の耐湿信頼性を評価することを特徴とする半導体装置の耐湿信頼性評価方法。(X)熱硬化条件:175±10℃×120±40秒間の加熱硬化の後、175±10℃×3±2時間のアフターキュア。 寸法条件:誘電緩和測定装置の電極の直径以上で、厚み1±0.6mm。(Y)吸湿処理条件:130℃、湿度85%の雰囲気下で、80±30時間。 誘電緩和測定装置による測定を、誘電緩和測定装置の電極間に載置された上記サンプルに対し電極を押圧しながら行う、請求項1記載の半導体装置の耐湿信頼性評価方法。 誘電緩和測定装置による測定を、125〜135℃雰囲気下で行う、請求項1または2記載の半導体装置の耐湿信頼性評価方法。 誘電緩和測定装置による測定を、2〜6分間行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の耐湿信頼性評価方法。 誘電緩和測定装置が、誘電率測定用インターフェースを有するインピーダンス測定装置と動的粘弾性測定装置との組み合わせからなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の耐湿信頼性評価方法。 誘電緩和測定装置によりイオン分極起因の誘電損失ピークを測定し、その周波数の測定結果が25Hz以下のものに対し、耐湿信頼性が良好であるとの評価を行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置の耐湿信頼性評価方法。 【課題】短時間で耐湿信頼性の評価を行うことができる半導体装置の耐湿信頼性評価方法を提供する。【解決手段】半導体素子をエポキシ樹脂組成物で封止してなる半導体装置の耐湿信頼性評価方法であって、上記エポキシ樹脂組成物を用いて、特定の熱硬化条件および寸法条件で円板状樹脂硬化体サンプルを作製し、上記サンプルに対して、特定の吸湿処理条件で吸湿させた後、誘電緩和測定装置を用いてイオン分極起因の誘電損失ピークを測定し、ピーク上の誘電損失が0.81±0.05となる周波数を読み取り、その周波数から上記半導体装置の耐湿信頼性を評価する。【選択図】なし