生命科学関連特許情報

タイトル:再公表特許(A1)_ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜、隔壁およびブラックマトリックスとその製造方法、カラーフィルタならびに有機EL素子
出願番号:2012060626
年次:2014
IPC分類:G03F 7/031,G03F 7/029,G03F 7/004,G03F 7/075,C08F 2/48,G02F 1/1335,G02F 1/1339,H01L 51/50,H05B 33/22,H05B 33/12,C07D 209/88


特許情報キャッシュ

高橋 秀幸 JP WO2012147626 20121101 JP2012060626 20120419 ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜、隔壁およびブラックマトリックスとその製造方法、カラーフィルタならびに有機EL素子 旭硝子株式会社 000000044 特許業務法人サクラ国際特許事務所 110001092 高橋 秀幸 JP 2011102039 20110428 G03F 7/031 20060101AFI20140701BHJP G03F 7/029 20060101ALI20140701BHJP G03F 7/004 20060101ALI20140701BHJP G03F 7/075 20060101ALI20140701BHJP C08F 2/48 20060101ALI20140701BHJP G02F 1/1335 20060101ALI20140701BHJP G02F 1/1339 20060101ALI20140701BHJP H01L 51/50 20060101ALI20140701BHJP H05B 33/22 20060101ALI20140701BHJP H05B 33/12 20060101ALI20140701BHJP C07D 209/88 20060101ALI20140701BHJP JPG03F7/031G03F7/029G03F7/004 505G03F7/075 511G03F7/075 521G03F7/004 501C08F2/48G02F1/1335 500G02F1/1339 500H05B33/14 AH05B33/22 ZH05B33/12 BC07D209/88 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN 再公表特許(A1) 20140728 2013512314 63 2H125 2H189 2H191 3K107 4C204 4J011 2H125AC23 2H125AC36 2H125AC38 2H125AC43 2H125AC44 2H125AC47 2H125AC54 2H125AC57 2H125AC60 2H125AD02 2H125AD06 2H125AD14 2H125AE13P 2H125AM09P 2H125AM26P 2H125AM27P 2H125AM32P 2H125AM64P 2H125AN11P 2H125AN38P 2H125AN39P 2H125AN42P 2H125AN47P 2H125AN94P 2H125AP03P 2H125AP11P 2H125BA02P 2H125BA05P 2H125BA16P 2H125BA20P 2H125BA22P 2H125BA35P 2H125CA18 2H125CA24 2H125CB05 2H125CC01 2H125CC13 2H125CD20P 2H125CD31 2H189DA09 2H189DA23 2H189DA32 2H189EA04X 2H189EA06X 2H189EA13X 2H189FA16 2H189FA19 2H189GA06 2H189HA12 2H189LA15 2H191FA16Y 2H191FB04 2H191FB22 2H191FC10 2H191FC32 2H191FC33 2H191FC34 2H191FD25 2H191GA13 2H191LA13 3K107AA01 3K107BB01 3K107BB02 3K107CC31 3K107DD89 3K107FF15 4C204CB25 4C204DB01 4C204EB01 4C204FB03 4C204FB17 4C204FB27 4C204GB24 4J011AA03 4J011AC04 4J011CC10 4J011DB22 4J011QA02 4J011QA03 4J011SA65 4J011UA01 4J011VA01 4J011WA01 本発明は、ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜、隔壁およびブラックマトリックスとその製造方法、カラーフィルタならびに有機EL素子に関する。 レジスト組成物は、カラーフィルタの画素間の隔壁、有機EL(Electro−Luminescence)表示素子の画素間の隔壁、有機EL照明の素子間の隔壁、有機TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)アレイの各TFTを仕切る隔壁、液晶表示素子のITO電極の隔壁、回路配線基板の隔壁等の永久膜を形成する材料として注目されている。 回路配線基板の製造においては、回路配線を形成させる際に、金属分散液を噴射塗布するインクジェット法が提案されている。回路配線パターンの形成はレジスト組成物からフォトリソグラフィにより行われ、レジスト組成物の塗膜硬化物が隔壁として利用されている。 インクジェット法においては、隣り合う画素間におけるインクの混色の発生や、所定の領域以外の部分にインクジェットにて噴射した材料が固まりこびりつくことを防ぐ必要があり、撥インク剤を含むレジスト組成物が提案されている(特許文献1〜3)。国際公開第2008/146855号国際公開第2010/001976号国際公開第2010/013816号 レジスト組成物の露光は露光機を用いて行う。露光機より照射される波長は装置の仕様により異なるが、一般的に、カラーフィルタ用に使用されるプロキシミティ露光方式では、330nm以下の光が照射される。これに対し、ミラープロジェクション(MPA)方式では、330nm以下の光が遮光されて照射される。したがって、レジスト組成物も、MPA方式に対応できる組成が要求されることがある。また、投影型のMPA方式は、シャープな隔壁形状を形成できる等、プロキシミティ露光方式に対する利点もある。MPA方式では、微細なパターニングが要求されることがある。 本発明の目的は、330nm以下の露光光線を遮光しても撥インク性が良好で、マスクの線幅の再現が良好なネガ型感光性樹脂組成物および該組成物を用いて得られる均質な硬化膜、隔壁およびブラックマトリックスならびにその製造方法の提供である。本発明は、また性能が良好な隔壁またはブラックマトリックスを有するカラーフィルタおよび有機EL素子の提供を目的とする。 本発明は、以下の[1]〜[15]である。[1]下式(1)で表される基または下式(2)で表される基を含む側鎖を有する撥インク剤(A)と、 1分子内にニトロ基を有するオキシムエステル化合物である光重合開始剤(B)と、 アルカリ可溶性樹脂(C)と、を含有することを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物。 −CFXRf (1) −(SiR1R2−O)n−SiR3R4R5 (2) 式(1)中、Xは水素原子、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基を示し、Rfはエーテル性酸素原子を有していてもよい水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素原子数20以下のフルオロアルキル基、またはフッ素原子を示す。 式(2)中、R1、R2、R3およびR4は、独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示し、R5は水素原子または炭素原子数1〜10の有機基を示し、nは1〜200の整数を示す。[2]前記光重合開始剤(B)が、下式(3)からなる化合物である、[1]のネガ型感光性樹脂組成物。 式(3)中、R31は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基またはシアノ基を表す。R32は、R41またはOR42を表し、該R41およびR42は、それぞれ炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基または炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表す。R33は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基または炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表す。R34およびR35はそれぞれ独立に、R41、OR42、シアノ基またはハロゲン原子を表す。aおよびbはそれぞれ独立に0〜3の整数、cは1〜3の整数である。[3]黒色着色剤(D)をさらに含む、[1]または[2]のネガ型感光性樹脂組成物。[4]架橋剤(G)をさらに含む、[1]〜[3]のいずれかのネガ型感光性樹脂組成物。[5]撥インク剤(A)が、側鎖に基(1)または基(2)を有し、主鎖が炭化水素鎖である化合物である、[1]〜[4]のいずれかのネガ型感光性樹脂組成物。[6]撥インク剤(A)が酸性基を有する、[5]のネガ型感光性樹脂組成物。[7]撥インク剤(A)が、側鎖に基(1)を有し、主鎖がオルガノポリシロキサン鎖である化合物である、[1]〜[4]のいずれかのネガ型感光性樹脂組成物。[8]撥インク剤(A)がエチレン性二重結合を有する、[5]〜[7]のいずれかのネガ型感光性樹脂組成物。[9]基板上に形成された[1]〜[8]のいずれかのネガ型感光性樹脂組成物の塗膜を硬化させてなる硬化膜。[10]基板上に区画を設けるために形成される隔壁であって、[9]の硬化膜からなる隔壁。[11]基板上に区画を設けるために形成されるブラックマトリックスであって、[3]のネガ型感光性樹脂組成物から形成される[9]の硬化膜からなるブラックマトリックス。[12]前記[1]〜[8]のいずれかのネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し塗膜を形成する工程と、前記塗膜を加熱して膜とした後、該膜の所定部分のみを露光して光硬化させる工程と、前記光硬化した部分以外の膜を除去する工程と、前記光硬化した部分を加熱して隔壁を得る工程と、を順に有する隔壁の製造方法であって、前記膜を除去する前後での前記光硬化した部分の膜厚変化が60nm以下であることを特徴とする、隔壁の製造方法。[13]前記[12]の製造方法において、[3]のネガ型感光性樹脂組成物を用いて前記隔壁をブラックマトリックスとして得る、ブラックマトリックスの製造方法。[14]基板と、基板上の複数の画素と、隣接する画素間に位置する隔壁とを有し、該隔壁が[1]〜[8]のいずれかのネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜からなることを特徴とする、カラーフィルタ。[15]基板と、基板上の複数の画素と、隣接する画素間に位置する隔壁とを有し、該隔壁が[1]〜[8]のいずれかのネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜からなることを特徴とする、有機EL素子。 本発明によれば、露光量を低減したり、330nm以下の露光光線を遮光したりして露光した場合においても、撥インク性が良好で、かつ、マスクの線幅の再現が良好な隔壁を製造できるネガ型感光性樹脂組成物の提供が可能である。本発明によれば、上記本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた、均質な硬化膜、性能が良好な隔壁およびブラックマトリックスならびにその製造方法が提供できる。さらに、本発明によれば、上記本発明の隔壁およびブラックマトリックスを具備する性能が良好なカラーフィルタおよび有機EL素子が得られる。本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた光学素子用隔壁の製造例を模式的に示す断面図である。 本明細書における酸価とは、試料1g中の樹脂酸等を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいい、JIS K 0070の測定方法に準じて測定することができる値である。単位はmgKOH/gである。 本明細書における全固形分とは、ネガ型感光性樹脂組成物が含有する成分のうち、隔壁形成成分をいい、溶媒(H)等の隔壁形成過程における加熱等により揮発する揮発性成分以外の全成分を示す。 本明細書における「(メタ)アクリロイル…」とは、「メタアクリロイル…」と「アクリロイル…」の総称である。(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリル…、(メタ)アクリル樹脂もこれと同様である。 本明細書における炭化水素基とは、炭素と水素のみで構成される有機基を示す。 本明細書においては、ネガ型感光性樹脂組成物を塗布した膜を「塗膜」、それを乾燥させた状態を「膜」、さらに、それを硬化させて得られる膜を「硬化膜」という。 本明細書において、隔壁の「表面」は、隔壁の上面のみを示す用語として用いる。したがって、隔壁の「表面」には、隔壁の側面は含まれない。 本明細書におけるインクとは、乾燥硬化した後に、例えば光学的、電気的に機能を有する液体を総称するものであり、従来から用いられている着色材料に限定されるものではない。また、上記インクを注入して形成される「画素」についても同様に、隔壁で仕切られたそれぞれに光学的、電気的機能を有する区分を表すものとして用いられる。 本明細書における撥インク性とは、上記インクをはじくために、撥水性と撥油性の両方を適度に有する性質をいい、例えば、後述の方法で評価できる。 以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に説明のない場合、%は質量%を表す。[撥インク剤(A)] 本発明の撥インク剤(A)は下式(1)で表される基(以下、基(1)ともいう。)または下式(2)で表される基(以下、基(2)ともいう。)を含む側鎖を有する化合物である。 −CFXRf (1) −(SiR1R2−O)n−SiR3R4R5 (2) 式(1)中、Xは水素原子、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基を示し、Rfはエーテル性酸素原子を有していてもよい水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素原子数20以下のフルオロアルキル基、またはフッ素原子を示す。 式(2)中、R1、R2、R3およびR4は、独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示し、R5は水素原子または炭素原子数1〜10の有機基を示し、nは1〜200の整数を示す。 撥インク剤(A)は、基(1)または基(2)を含む側鎖を有するため、表面移行性を有し、ネガ型感光性樹脂組成物から形成される塗膜を加熱し乾燥して膜とする際に、塗膜表面近傍に移行する。これにより膜を硬化した硬化膜からなる隔壁の表面は、撥インク性を発現し、インクジェット法で注入されるインクはドットと呼ばれる隔壁間開口部(画素となる箇所)からあふれ出ることがなく、隣接画素間での混色が起きにくい。 基(1)または基(2)を含む側鎖は、重合反応によって直接形成しても、重合反応後の化学変換によって形成してもよい。 式(1)中のRfが、エーテル性酸素原子を有していてもよい水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素原子数20以下のフルオロアルキル基である場合、該フルオロアルキル基中の水素原子はフッ素原子以外の他のハロゲン原子に置換されていてもよい。他のハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。また、エーテル性酸素原子は、該フルオロアルキル基の炭素−炭素結合間に存在してもよく、該フルオロアルキル基の末端に存在してもよい。また該フルオロアルキル基の構造は、直鎖構造、分岐構造、環構造、または部分的に環を有する構造が挙げられ、直鎖構造が好ましい。 基(1)としては、ペルフルオロアルキル基または水素原子1個を含むポリフルオロアルキル基であることが好ましく、ペルフルオロアルキル基が特に好ましい(ただし、エーテル性酸素原子を有するものを含む。)。これによって、ネガ型感光性樹脂組成物から形成される隔壁は撥インク性が良好となる。 基(1)の炭素原子数は20以下であり、4〜6が好ましい。この場合、隔壁に充分な撥インク性が付与されるとともに、撥インク剤(A)とネガ型感光性樹脂組成物を構成する他の成分との相溶性が良好であり、ネガ型感光性樹脂組成物を塗布し塗膜を形成したときに撥インク剤(A)同士が凝集することがなく、外観の良好な隔壁が形成できる。 基(1)としては炭素原子数が4〜6のペルフルオロアルキル基、もしくはエーテル性酸素原子を有する炭素原子数が4〜9のペルフルオロアルキル基が好ましい。 基(1)の具体例としては、以下が挙げられる。−CF3、−CF2CF3、−CF2CHF2、−(CF2)2CF3、−(CF2)3CF3、−(CF2)4CF3、−(CF2)5CF3、−(CF2)6CF3、−(CF2)7CF3、−(CF2)8CF3、−(CF2)9CF3、−(CF2)11CF3、−(CF2)15CF3、−CF(CF3)O(CF2)5CF3、−CF2O(CF2CF2O)pCF3(pは1〜8の整数)、−CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)qC6F13(qは1〜4の整数)、−CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)rC3F7(rは1〜5の整数)。 基(1)としては、特に−(CF2)3CF3または−(CF2)5CF3が好ましい。 式(2)において、R1およびR2はシロキサン単位毎に同一でも異なっていてもよい。ネガ型感光性樹脂組成物から形成される隔壁が優れた撥インク性を示すことから、R1、R2は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基であることが好ましく、水素原子、メチル基、またはフェニル基であることがより好ましく、全てのシロキサン単位のR1、R2がメチル基であることが特に好ましい。 式(2)において、R3、R4およびR5はシロキサン結合の末端のケイ素原子に結合する基であり、R3およびR4としては、R1、R2と同様とすることができ、好ましい態様も同様である。また、R5が有機基である場合、窒素原子、酸素原子等が含まれていてもよく、R5は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基であることが好ましい。nは1〜200の整数が好ましく、2〜100の整数が特に好ましい。 基(2)としてはR1、R2、R3、R4およびR5の全てがメチル基であることが好ましい。 撥インク剤(A)は、さらに酸性基を有することが好ましい。撥インク剤(A)が酸性基を有すると、ネガ型感光性樹脂組成物の現像液への溶解性を向上できる点で好ましい。 酸性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基およびスルホン酸基からなる群から選ばれる1種以上の酸性基が好ましい。 酸性基は合成が簡便な点で側鎖に存在することが好ましい。酸性基を有する側鎖は、酸性基を有する単量体の重合反応によって形成してもよいし、重合反応後の化学変換によって形成してもよい。 撥インク剤(A)はポリオキシアルキレン基を有することが好ましい。撥インク剤(A)がポリオキシアルキレン基を有すると、現像工程において圧力を上げた場合でも撥インク性を持続することができる。さらに、現像により除去しきれずにドット部分に残留する残膜の発生を防止することができる点で好ましい。なお、本発明に用いるポリオキシアルキレン基として、具体的には、下式(11)で表される基(以下、基(11)ということもある。)等が挙げられる。 −(R21O)m(R22O)jR23 …(11) 式(11)中、R21およびR22は、それぞれ独立して炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、R23は、水素原子、または、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、mは0〜100、jは0〜100の整数をそれぞれ表し、m+jは4〜100の整数である。 基(11)において、R21およびR22は、それぞれ独立して炭素原子数2〜4のアルキレン基を表す。アルキレン基の構造は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。R21およびR22は同一であっても、異なってもよい。このようなR21およびR22のうちでも、両者がそれぞれ独立して−CH2CH2−または−C3H6−である、もしくは−CH2CH2−と−C4H8−の組み合わせであることが好ましく、両者が−CH2CH2−である、または、−CH2CH2−と−CH2CH(CH3)−の組み合わせであることが特に好ましい。 基(11)中、mは0〜100、jは0〜100の整数をそれぞれ表すが、mとjはそれぞれ0〜50であることが好ましく、0〜30であることが特に好ましい。 また、m+jは、4〜100の整数であるが、6〜50の整数が好ましく、8〜30の整数が特に好ましい。m+jが上記範囲の下限値以上であると、現像工程の後に高圧水を使用したジェットリンス工程を行った場合、撥インク性が低下しにくい。さらに、残膜が発生しにくい。m+jが上記範囲の上限値以下であると、ポストベーク時に開口部に撥インク剤(A)がマイグレートすることなく、隔壁間開口部の親インク性が充分になり、インクジェット法を用いてインクを塗布したとき、開口部にインクが充分に濡れ拡がる。 基(11)は、m個の(R21O)単位とj個の(R22O)単位を有することを表すものであって、(R21O)単位と(R22O)単位の結合の順番については特に制限されるものではない。つまり、基(11)において、m個の(R21O)単位とj個の(R22O)単位は、例えば、交互に、またはランダムに、もしくはブロックで結合していてもよい。 基(11)において、R23が、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基である場合、その構造は、直鎖構造、分岐構造、環構造、部分的に環を有する構造等であってもよい。また、置換基として具体的には、カルボキシル基、水酸基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基等が挙げられる。本発明においては、基(11)中のR23として、炭素原子数1〜5の直鎖、非置換のアルキル基が好ましく、メチル基およびエチル基が特に好ましい。 基(11)における、(R21O)および(R22O)の具体例としては、−CH2C6H10CH2O−(式中C6H10は、シクロヘキシレン基である。)、−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH(CH3)O−、−CH2CH2CH2O−、−C(CH3)2O−、−CH(CH2CH3)O−、−CH2CH2CH2CH2O−、−CH(CH2CH2CH3)O−、−CH2(CH2)3CH2O−、−CH(CH2CH(CH3)2)O−等が挙げられる。基(11)の具体例としては、(R21O)および(R22O)がともに、上に例示したオキシアルキレン基から選ばれ、m+jが4〜100であり、かつR23がCH3である基が挙げられる。 基(11)は1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、撥インク剤(A)への基(11)を有する側鎖の導入は、後述の通り、原料単量体の重合により撥インク剤(A)を製造する際に、基(11)を有する単量体の原料単量体全体に対する配合量を、本発明の効果を損なうことなく、撥インク剤(A)に上記現像性向上の効果を付与できる配合量となるように、適宜調整して行われる。 撥インク剤(A)はエチレン性二重結合を有することが好ましい。撥インク剤(A)がエチレン性二重結合を有すると、乾燥の際に膜表面に移行した撥インク剤(A)が、露光時に該撥インク剤(A)同士または該撥インク剤(A)とアルカリ可溶性樹脂(C)とで反応することにより、隔壁の表面に固定化されやすい点で好ましい。 エチレン性二重結合としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、ビニルエーテル基等の付加重合性の不飽和基等が挙げられる。それらの基の水素原子の一部または全てが、炭化水素基により置換されていてもよい。炭化水素基としては、メチル基が好ましい。 撥インク剤(A)へのエチレン性二重結合を有する側鎖の導入は、後述の通り、撥インク剤(A)を製造する際の原料単量体に、配合量を適宜調整しながら反応性基を有する単量体を加えて共重合を行い、次いで得られた共重合体と前記反応性基と結合し得る官能基とエチレン性二重結合とを有する化合物とを反応させることにより行われる。 撥インク剤(A)としては、側鎖に基(1)または基(2)を有し、主鎖が炭化水素鎖である化合物が好ましい。以下、主鎖が炭化水素鎖である撥インク剤(A)を「撥インク剤(A1)」ともいう。 撥インク剤(A1)は、例えば、基(1)を有する単量体(a1)または基(2)を有する単量体(a2)と、必要に応じて酸性基を有する単量体(a3)、必要に応じてポリオキシアルキレン基を有する単量体(a4)を含む原料単量体を共重合することにより製造できる。 また、撥インク剤(A1)がエチレン性二重結合を有する場合は、上記原料単量体にさらに反応性基を有する単量体(a5)を加えた原料単量体を共重合し、次いで得られた共重合体と前記反応性基と結合し得る官能基とエチレン性二重結合とを有する化合物(z1)とを反応させることにより製造できる。(単量体(a1)) 基(1)を有する単量体(a1)としては、下記単量体(a11)が好ましい。 CH2=CR6COO−Y−CFXRf (a11) 式中、R6は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を示す。Yは単結合または炭素原子数1〜6のフッ素原子を含まない2価有機基を示し、入手の容易さから、炭素原子数2〜4のアルキレン基であることが好ましい。XおよびRfは基(1)と同じ意味を示し、好ましい態様も同様である。 単量体(a11)の例としては、以下が挙げられる。 CH2=CR6COOR7CFXRf CH2=CR6COOR8NR9SO2CFXRf CH2=CR6COOR10NR11COCFXRf CH2=CR6COOCH2CH(OH)R12CFXRf ここで、R6は上述と同じ意味を示し、R7、R8およびR10は炭素原子数1〜6のアルキレン基を示し、R9およびR11は水素原子またはメチル基を示し、R12は単結合または炭素原子数1〜4のアルキレン基を示す。 R7、R8およびR10の具体例としては、それぞれ、−CH2−、−CH2CH2−、−CH(CH3)−、−CH2CH2CH2−、−C(CH3)2−、−CH(CH2CH3)−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH2CH2CH3)−、−CH2(CH2)3CH2−、−CH(CH2CH(CH3)2)−等が挙げられる。 R12の具体例としては、−CH2−、−CH2CH2−、−CH(CH3)−、−CH2CH2CH2−、−C(CH3)2−、−CH(CH2CH3)−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH2CH2CH3)−等が挙げられる。 単量体(a11)の具体例としては、2−(ペルフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(ペルフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。 単量体(a11)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。(単量体(a2)) 基(2)を有する単量体(a2)としては、下記単量体(a21)が好ましい。 CH2=CR13COO−Z−(SiR1R2−O)n−SiR3R4R5 (a21) 式中、R13は水素原子またはメチル基を示し、Zは単結合または炭素原子数1〜6の2価有機基を示す。R1、R2、R3、R4、およびR5ならびにnは基(2)と同じ意味を示し、好ましい態様も同様である。 Zは炭素原子数1〜6の2価炭化水素基が好ましい。具体例としては、−CH2−、−CH2CH2−、−CH(CH3)−、−CH2CH2CH2−、−C(CH3)2−、−CH(CH2CH3)−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH2CH2CH3)−、−CH2(CH2)3CH2−、−CH(CH2CH(CH3)2)−等が挙げられる。 単量体(a21)の具体例としては、CH2=CHCOO−CH2CH2−(Si(CH3)2−O)n−Si(CH3)3、CH2=CCH3COO−CH2CH2−(Si(CH3)2−O)n−Si(CH3)3、CH2=CHCOO−CH2CH2CH2−(Si(CH3)2−O)n−Si(CH3)3、CH2=CCH3COO−CH2CH2CH2−(Si(CH3)2−O)n−Si(CH3)3等が挙げられる。なお、nは、約4、60、160である。 単量体(a21)としては、市販品を用いることが可能である。市販品として、いずれも商品名で、以下のものが挙げられる。X−22−174DX(信越化学社製)、X−22−2426(信越化学社製)、X−22−2475(信越化学社製)。 単量体(a21)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。(単量体(a3)) 撥インク剤(A1)が酸性基を有する場合は、単量体(a1)〜(a2)とともに酸性基を有する単量体(a3)を共重合させることが好ましい。 酸性基を有する単量体(a3)としては、カルボキシル基を有する単量体、フェノール性水酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体等が挙げられる。 カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸およびこれらの塩等が挙げられる。 フェノール性水酸基を有する単量体としては、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。またこれらのベンゼン環の1個以上の水素原子が、メチル基、エチル基、n−ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基等のアルコキシ基、ハロゲン原子、アルキル基の1個以上の水素原子がハロゲン原子に置換されたハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、アミド基に置換された化合物等が挙げられる。 スルホン酸基を有する単量体としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アリルオキシプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸−2−スルホプロピル、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。 単量体(a3)としては、入手容易の点からアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。 単量体(a3)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。(単量体(a4)) 撥インク剤(A1)の製造に用いる基(11)を有する単量体としては、下式(12)で表される化合物(以下、化合物(12)ともいう。)または(13)で表される化合物(以下、化合物(13)ともいう。)であることが好ましい。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。 CH2=CR24−COO−W−(R21O)m(R22O)jR23 (12) CH2=CR25−O−W−(R21O)m(R22O)jR23 (13) 式(12)および(13)中、R24およびR25は、それぞれ水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアリール基で置換されたアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、または炭素原子数3〜20のシクロアルキル基である。Wは、単結合または炭素原子数が1〜10のフッ素原子を有しない2価の有機基である。−(R21O)m(R22O)jR23は基(11)であり、R21、R22、R23、mおよびjは基(11)と同じ意味を示し、好ましい範囲も同様である。 化合物(12)および化合物(13)において、Wが炭素原子数が1〜10のフッ素原子を有しない2価の有機基である場合、R21O、R22O以外の直鎖構造、分岐構造、環構造、部分的に環を有する構造の炭素原子数が1〜10のオキシアルキレン基、単結合等が挙げられる。オキシアルキレン基として具体的には、CH2C6H10CH2O(式中C6H10は、シクロヘキシレン基である。)、CH2O、CH2CH2O、CH2CH(CH3)O、CH(CH3)O、CH2CH2CH2O、C(CH3)2O、CH(CH2CH3)O、CH2CH2CH2CH2O、CH(CH2CH2CH3)O、CH2(CH2)3CH2O、CH(CH2CH(CH3)2)O等が挙げられる。中でも、化合物(12)および(13)におけるWとしては、入手の容易さから、炭素原子数が2〜4のオキシアルキレン基が好ましい。 化合物(12)および(13)においては、R24およびR25は、それぞれ水素原子、塩素原子、メチル基、フェニル基、ベンジル基等が好ましく、水素原子、塩素原子、またはメチル基が特に好ましい。 化合物(12)で表される化合物としては、以下が挙げられる。 CH2=CHOCH2C6H10CH2O(CH2CH2O)mR23、 CH2=CHO(CH2)4O(CH2CH2O)mR23。 化合物(13)で表される化合物としては、以下が挙げられる。 CH2=CHCOO(CH2CH2O)mR23、 CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)mR23、 CH2=CHCOO(CH2CH2O)m(C3H6O)jR23、 CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)m(C3H6O)jR23、 CH2=CHCOO(C2H4O)m(C4H8O)jR23。 式中、mおよびjは基(11)と同じ意味を示し、好ましい範囲も同様である。C6H10は、シクロヘキシレン基である。C2H4、C3H6、C4H8は直鎖構造または分岐構造のいずれかである。R23は、基(11)と同じ意味を示し、好ましい範囲は、炭素原子数1〜10の直鎖、非置換のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。 化合物(12)および(13)としては、市販品を用いることが可能である。市販品として、以下のものが挙げられる。 ブレンマーPME−400(商品名、日本油脂社製、CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)kCH3。式中のkは分子間の平均値を示し、kの値は約9である。以下、各市販品の分子式におけるk、m、jは全て分子間の平均値を示す。)、ブレンマーPME−1000(商品名、日本油脂社製、CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)kCH3。式中のkは分子間の平均値を示し、kの値は23である。)、NKエステルM−230G:(商品名、新中村化学社製、CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)kCH3。式中、kは約9である。)、ニューフロンティアNFバイソマーPEM6E(商品名、第一工業製薬社製、CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)kH:式中、kは約6である。)、ライトエステル130A(商品名、共栄社化学社製、CH2=CHCOO(CH2CH2O)kCH3。式中、kは約9である。)、ブレンマーAE−400(商品名、日本油脂社製、CH2=CHCOO(CH2CH2O)kH:式中、kは約10である。)、ブレンマーPP−800(商品名、日本油脂社製、CH2=C(CH3)COO(C3H6O)kH。式中、kは約13である。)、ブレンマーAP−800(商品名、日本油脂社製、CH2=CHCOO(C3H6O)kH。式中、kは約13である。)、ブレンマー70PEP−350B(商品名、日本油脂社製、CH2=C(CH3)COO(C2H4O)m(C3H6O)jH。式中、mは約5、jは約2である。)、ブレンマー55PET−800(商品名、日本油脂社製、CH2=C(CH3)COO(C2H4O)m(C4H8O)jH。式中、mは約10、jは約5である。)。(単量体(a5)) 反応性基を有する単量体(a5)としては、水酸基を有する単量体、エチレン性二重結合を有する酸無水物単量体、カルボキシル基を有する単量体、エポキシ基を有する単量体等が挙げられる。なお、単量体(a5)は、基(1)および基(2)を実質的に含まないことが好ましい。 酸性基を有する単量体(a3)としてカルボキシル基を有する単量体を用い、上記反応性基を有する単量体(a5)としてもカルボキシル基を有する単量体を用いるときは、最終的にエチレン性二重結合が導入されず、カルボキシル基として残るものを単量体(a3)とみなすこととする。 共重合した後の単量体(a5)の有する反応性基が、当該反応性基と結合し得る官能基とエチレン性二重結合とを有する化合物(z1)と反応することにより、エチレン性二重結合を有する側鎖を有する撥インク剤(A1)が形成されることとなる。 水酸基を有する単量体の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。 さらに、水酸基を有する単量体としては、末端が水酸基であるポリオキシアルキレン基を有する単量体であってもよい。例えば、CH2=CHOCH2C6H10CH2O(C2H4O)hH(ここで、hは1〜100の整数、以下同じ。)、CH2=CHOC4H8O(C2H4O)hH、CH2=CHCOOC2H4O(C2H4O)hH、CH2=C(CH3)COOC2H4O(C2H4O)hH、CH2=CHCOOC2H4O(C2H4O)i(C3H6O)gH(ここで、iは0〜100の整数であり、gは1〜100の整数であり、i+gは1〜100である。以下同じ。)、CH2=C(CH3)COOC2H4O(C2H4O)i(C3H6O)gH等が挙げられる。 エチレン性二重結合を有する酸無水物単量体の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、2−ブテン−1−イルサクシニックアンハイドライド等が挙げられる。 カルボキシル基を有する単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、もしくはそれらの塩が挙げられる。 エポキシ基を有する単量体の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートが挙げられる。(単量体(a6)) 本発明における重合に用いる単量体には、基(1)を有する単量体(a1)または基(2)を有する単量体(a2)と、必要に応じて酸性基を有する単量体(a3)、必要に応じてポリオキシアルキレン基を有する単量体(a4)、さらに撥インク剤(A1)がエチレン性二重結合を有する場合には、反応性基を有する単量体(a5)が含まれるが、これらの単量体以外のその他の単量体(a6)が含まれていてもよい。 単量体(a6)としては、炭化水素系オレフィン類、ビニルエーテル類、イソプロペニルエーテル類、アリルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル化合物、クロロオレフィン類、共役ジエン類が挙げられる。これらの化合物には、官能基が含まれていてもよく、官能基としては、例えば、カルボニル基、アルコキシ基等が挙げられる。特に、隔壁の耐熱性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステル類または(メタ)アクリルアミド類が好ましい。 なお、上記反応性基を有する単量体(a5)として挙げたエポキシ基を有する単量体、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート等は、単量体(a6)としても使用可能である。つまり、本発明における重合にこれらエポキシ基を有する単量体を用いた場合、共重合後にエチレン性二重結合を導入しない場合には、これらエポキシ基を有する単量体はその他の単量体(a6)に分類される。また、エチレン性二重結合を導入した場合においても、最終的にエチレン性二重結合が導入されず、エポキシ基として残るものをその他の単量体(a6)とみなすこととする。(撥インク剤(A1)の製造) 撥インク剤(A1)は、例えば、以下の方法によって合成できる。まず、単量体を溶媒に溶解して加熱し、重合開始剤を加えて共重合させる。共重合反応においては、必要に応じて連鎖移動剤を存在させるのが好ましい。単量体、重合開始剤、溶媒および連鎖移動剤は連続して添加してもよい。 前記溶媒としては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール等のセルソルブ類;2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール等のカルビトール類;メチルアセテート、エチルアセテート、n−ブチルアセテート、エチルラクテート、n−ブチルラクテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、シクロヘキサノールアセテート、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、γ−ブチロラクトン、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、グリセリントリアセテート等のエステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等が挙げられる。 重合開始剤としては、公知の有機過酸化物、無機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。有機過酸化物、無機過酸化物は、還元剤と組み合わせて、レドックス系触媒として使用することもできる。 有機過酸化物としては、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチル−α−クミルペルオキシド等が挙げられる。無機過酸化物としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、過炭酸塩等が挙げられる。アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等が挙げられる。 連鎖移動剤としては、n−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類;クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化アルキルが挙げられる。 また、撥インク剤(A1)がエチレン性二重結合を有する場合は、上記のようにして得られた共重合体と、反応性基と結合し得る官能基とエチレン性二重結合とを有する化合物(z1)とを反応させることにより撥インク剤(A1)が得られる。 反応性基に対する、当該反応性基と結合し得る官能基とエチレン性二重結合とを有する化合物(z1)との組み合わせとして、例えば以下の組み合わせが挙げられる。(1)水酸基に対し、エチレン性二重結合を有する酸無水物、(2)水酸基に対し、イソシアネート基とエチレン性二重結合を有する化合物、(3)水酸基に対し、塩化アシル基とエチレン性二重結合を有する化合物、(4)酸無水物に対し、水酸基とエチレン性二重結合を有する化合物、(5)カルボキシル基に対し、エポキシ基とエチレン性二重結合を有する化合物、(6)エポキシ基に対し、カルボキシル基とエチレン性二重結合を有する化合物。 エポキシ基に対し、カルボキシル基とエチレン性二重結合を有する化合物を反応させた後、生成した水酸基に、1分子中に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物の酸無水物を反応させ、撥インク剤(A1)に酸性基を導入することもできる。 エチレン性二重結合を有する酸無水物の具体例としては、上記した例が挙げられる。イソシアネート基とエチレン性二重結合を有する化合物の具体例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが挙げられる。塩化アシル基とエチレン性二重結合を有する化合物の具体例としては、(メタ)アクリロイルクロライドが挙げられる。水酸基とエチレン性二重結合を有する化合物の具体例としては、上記した水酸基を有する単量体の例が挙げられる。エポキシ基とエチレン性二重結合を有する化合物の具体例としては、上記したエポキシ基を有する単量体の例が挙げられる。カルボキシル基とエチレン性二重結合を有する化合物の具体例としては、上記したカルボキシル基を有する単量体の例が挙げられる。また、1分子中に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物の酸無水物の具体例としては、上記単量体(a5)で示したエチレン性二重結合を有する酸無水物の例が挙げられる。 共重合体と、反応性基と結合し得る官能基とエチレン性二重結合とを有する化合物(z1)を反応させる際は、反応に用いる溶媒としては、上記共重合体の合成において例示した溶媒を使用できる。 また、重合禁止剤を配合することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、t−ブチル−p−ベンゾキノンが挙げられる。 また、触媒や中和剤を加えてもよい。例えば、水酸基を有する共重合体と、イソシアネート基とエチレン性二重結合を有する化合物を反応させる場合、ジブチル錫ジラウレート等の錫化合物等を用いることができる。水酸基を有する共重合体と、塩化アシル基とエチレン性二重結合を有する化合物を反応させる場合、塩基性触媒を用いることができる。 共重合させる単量体全質量に対する各単量体の好ましい割合は以下のとおりである。単量体(a1)または単量体(a2)の割合は20〜80質量%が好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。該割合が上記範囲の下限値以上であると、撥インク剤(A1)は形成される硬化膜からなる隔壁の表面張力を低下させ、隔壁に高い撥インク性を付与できる。上記範囲の上限値以下であると、隔壁と基材との密着性が良好になる。 単量体(a3)を含む場合、その割合は2〜20質量%が好ましく、4〜12質量%が特に好ましい。上記範囲であると、ネガ型感光性樹脂組成物の現像性が良好となる。 単量体(a4)を含む場合、その割合は5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、15〜50質量%が特に好ましい。上記範囲であると、現像工程において圧力を上げた場合でも撥液性を持続することができる。さらに、残膜の発生を防止することができる。 単量体(a5)を含む場合、その割合は20〜70質量%が好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。上記範囲で含まれる単量体(a5)由来の重合単位を介してエチレン性二重結合が導入されると撥インク剤(A1)の隔壁表面への固定化および現像性が良好となる。 その他の単量体(a6)を含む場合、その割合は70質量%以下が好ましく、50質量%以下が特に好ましい。上記範囲であるとアルカリ溶解性、現像性が良好である。 撥インク剤(A1)の製造における単量体の好ましい組み合わせは以下のとおりである。(組み合わせ1) 単量体(a1):2−(ペルフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレートおよび2−(ペルフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種、 単量体(a3):アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種、 単量体(a4):ブレンマーPME−400およびブレンマーPME−1000からなる群より選ばれる少なくとも1種、 単量体(a5):2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート。 上記単量体を共重合させて共重合体を得た後、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートおよび1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種を反応させ、エチレン性二重結合を導入した化合物。(組み合わせ2) 単量体(a1):2−(ペルフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレートおよび2−(ペルフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種、 単量体(a3):アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種、 単量体(a4):ブレンマーPME−400およびブレンマーPME−1000からなる群より選ばれる少なくとも1種、 必要に応じて単量体(a6):グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、(メタ)アクリル酸メチル、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種。(組み合わせ3) 単量体(a1):2−(ペルフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレートおよび2−(ペルフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種、 単量体(a4):ブレンマーPME−400およびブレンマーPME−1000からなる群より選ばれる少なくとも1種、 単量体(a5):グリシジル(メタ)アクリレート 単量体(a6):3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、(メタ)アクリル酸メチル、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種。 上記単量体を共重合させて共重合体を得た後、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を反応させ、続いて、無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸および無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を反応させ、酸性基およびエチレン性二重結合を導入した化合物。(組み合わせ4) 単量体(a1):2−(ペルフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレートおよび2−(ペルフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種、 単量体(a2):X−22−174DX、X−22−2426およびX−22−247からなる群より選ばれる少なくとも1種、 単量体(a3):アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種、 単量体(a4):ブレンマーPME−400およびブレンマーPME−1000からなる群より選ばれる少なくとも1種、 単量体(a5):2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート。 上記単量体を共重合させて共重合体を得た後、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートおよび1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種を反応させ、エチレン性二重結合を導入した化合物。(組み合わせ5) 単量体(a2):X−22−174DX、X−22−2426およびX−22−247からなる群から選ばれる少なくとも1種、 単量体(a3):アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種、 単量体(a4):ブレンマーPME−400およびブレンマーPME−1000らなる群より選ばれる少なくとも1種、 単量体(a5):2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート。 上記単量体を共重合させて共重合体を得た後、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートおよび1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種を反応させ、エチレン性二重結合を導入した化合物。 撥インク剤(A1)がエチレン性二重結合を有する場合、共重合体と化合物(z1)とは、[化合物(z1)の官能基]/[共重合体の反応性基]の当量比の値が0.5〜2.0となるように仕込むことが好ましく、0.8〜1.5が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、撥インク剤(A1)の隔壁への固定化が良好となる。上記範囲の上限値以下であると、未反応の化合物(z1)である不純物が多くなり、塗膜外観が悪化する。なお、単量体(a3)と単量体(a4)の両方としてカルボキシル基を有する単量体を使用する場合は、撥インク剤(A1)の酸価が所定の値となるように、共重合体と化合物(z1)の仕込み量を調節すればよい。 撥インク剤(A1)が基(1)を有する場合、撥インク剤(A1)のフッ素原子の含有率は5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、20〜35質量%が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、撥インク剤(A1)は隔壁の表面張力を下げる効果に優れ、撥インク性に優れた隔壁が得られる。上記範囲の上限値以下であると、隔壁と基材との密着性が良好になる。 撥インク剤(A1)が基(2)を有する場合、撥インク剤(A1)のケイ素原子の含有率は0.1〜25質量%が好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、撥インク剤(A1)は形成される隔壁の表面張力を下げる効果およびインク転落性を上げる効果を付与する。上記範囲の上限値以下であると、隔壁と基材との密着性が良好になる。 撥インク剤(A1)の酸価は150mgKOH/g以下が好ましく、10〜100mgKOH/gが特に好ましい。上記範囲であると、ネガ型感光性樹脂組成物の現像液への溶解性と撥インク性発現の両立が可能である。 撥インク剤(A1)がエチレン性二重結合を含む場合その量は、0.5×10−3〜5×10−3mol/gが好ましく、1×10−3〜4.5×10−3mol/gが特に好ましい。上記範囲であると撥インク剤(A1)の隔壁への固定化および現像性が良好となる。 撥インク剤(A1)の数平均分子量(Mn)は、5×103〜10×104が好ましく、8×103〜9×104がより好ましく、1×104〜7×104が特に好ましい。上記範囲であるとアルカリ溶解性、現像性が良好である。 撥インク剤(A1)の質量平均分子量(Mw)は1.2×104〜20×104が好ましく、2×104〜15×104がより好ましく、3×104〜12×104が特に好ましい。上記範囲であるとアルカリ溶解性、現像性が良好である。 撥インク剤(A)としては、また、側鎖に基(1)を有し、主鎖がオルガノポリシロキサン鎖である化合物も好ましい。以下、主鎖がオルガノポリシロキサン鎖である撥インク剤(A)を「撥インク剤(A2)」ともいう。 該撥インク剤(A2)としては、下式(14)で表される加水分解性シラン化合物(以下、シラン化合物(a7)ともいう。)またはその部分加水分解縮合物と、下式(15)で表される加水分解性シラン化合物(以下、シラン化合物(a8)ともいう。)またはその部分加水分解縮合物とを含む加水分解性シラン化合物混合物、または該混合物の部分加水分解縮合物からなることが好ましい。 Rf−CFX−Q1−SiX13 ・・・(14) RH1p−SiX2(4−p) ・・・(15)(式(14)および(15)中の記号は、以下の通りである。 XおよびRfは上述と同様、 Q1:炭素原子数1〜10のフッ素原子を含まない2価の有機基、 RH1:炭素原子数1〜6の炭化水素基、 X1、X2:加水分解性基、 p:0、1または2、 ただし、式(14)中の3個のX1、式(15)中の(4−p)個のX2、p個のRH1は、それぞれ互いに異なっていても同一であってもよい。) 撥インク剤(A2)のフッ素原子の含有率は10〜55質量%が好ましく、12〜40質量%がより好ましく、15〜30質量%が特に好ましい、フッ素原子の含有率が上記範囲であると、ネガ型感光性樹脂組物から得られる隔壁に、優れた撥インク性および撥インク性の耐紫外線/オゾン性を付与できる。 撥インク剤(A2)は、シラノール基(すなわち、ケイ素原子に結合した水酸基)を有することが好ましい。シラノール基の数としては、ケイ素原子1個当たり、0.2〜3.5個が好ましく、0.2〜2個がより好ましく、0.5〜1.5個が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、ネガ型感光性樹脂組成物を用いて隔壁を形成する際に、基板表面からの撥インク剤(A2)の脱離を防止できる。上記範囲の上限値以下であると、撥インク剤(A2)が、ネガ型感光性樹脂組成物中で溶媒や他の成分との相溶性に優れる。 なお、撥インク剤(A2)中のシラノール基数は、29Si−NMRにより測定されるシラノール基を有するSi基と、シラノール基を有しないSi基とのピーク面積の比により算出される。 前記加水分解性シラン化合物混合物は、シラン化合物(a7)またはその部分加水分解縮合物と、シラン化合物(a8)またはその部分加水分解縮合物とを含む。 加水分解性シラン化合物の部分加水分解縮合物とは、多官能性の加水分解性シラン化合物が加水分解し、次いで脱水縮合することによって生成するオリゴマー(多量体)のうちで、溶媒に溶解する程度の高分子量体をいう。また、加水分解性シラン化合物の2〜4量体等の比較的低分子量の多量体も本発明における部分加水分解縮合物である。部分加水分解縮合物は、加水分解性基が加水分解して生じるシラノール基を有し、未反応の加水分解性基を有することもある。比較的高分子量の部分加水分解縮合物は主としてシラノール基を有し、比較的低分子量の部分加水分解縮合物はさらに加水分解性基を有することもある。 部分加水分解縮合物は、さらなる縮合や加水分解の結果、最終的に溶媒に溶解しない高分子量硬化物になる性質を有する。部分加水分解縮合物は、多量体化の程度の異なるオリゴマーの混合物であってもよい。 部分加水分解縮合物は、例えば、加水分解性シラン化合物を酸触媒と水の存在下、所定の反応温度条件下で所定の時間撹拌する等により製造することができる。得られる部分加水分解縮合物の多量体化の程度は、酸濃度、反応温度、反応時間等により適宜、調整可能である。 なお、下記加水分解性シラン化合物の割合を示すモル比は、下記加水分解性シラン化合物の少なくともいずれかが部分加水分解縮合物である場合には、上記モル比は、各加水分解性シラン化合物に由来するケイ素原子の数の比である。(式(14)で表される加水分解性シラン化合物) 前記式(14)で示されるように、シラン化合物(a7)は基(1)を有する加水分解性シラン化合物である。前記式(14)において、Q1は、基(1)と加水分解性シリル基(−SiX13)とを連結する2価の有機基であり、炭素原子数1〜10のフッ素原子を含まない2価の有機基である。Q1は、右側の結合手にSiが、左側の結合手にRf−CFX−がそれぞれ結合するとして表示した場合に、具体的には、−(CH2)i1−(i1は1〜5の整数。)、−CH2O(CH2)i2−(i2は1〜4の整数。)、−SO2NR1−(CH2)i3−(R1は水素原子、メチル基、またはエチル基、i3は1以上であり、R1の炭素原子数との合計で4以下の整数。)、−(C=O)−NR1−(CH2)i4−(R1は上記同様であり、i4は1以上であり、R1の炭素原子数との合計で4以下の整数。)で表される基が好ましい。Q1としては、i1が2または3である−(CH2)i1−がより好ましく、−(CH2)2−が特に好ましい。 基(1)が炭素原子数1〜6のペルフルオロアルキル基である場合、上記Q1としては、−(CH2)i1−(i1は上記と同様)で表される基が好ましい。i1は2〜4の整数が好ましく、i1が2である−(CH2)2−が特に好ましい。 基(1)がエーテル性酸素原子を含む炭素原子数4〜9のペルフルオロアルキル基である場合、上記Q1としては、−(CH2)i1−、−CH2O(CH2)i2−、−SO2NR1−(CH2)i3−、−(C=O)−NR1−(CH2)i4−で表される基(i1〜i4およびR1は上記と同様)が好ましい。この場合においても、−(CH2)2−が特に好ましい。 式(14)中、X1は、ケイ素原子に結合する加水分解性基を示す。X1としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基、イソシアナート基、アミノ基およびアミノ基の水素がアルキル基で置換された基が挙げられる。炭素原子数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子が特に好ましい。該基は、加水分解反応により水酸基(シラノール基)となり、さらに分子間で縮合反応してSi−O−Si結合を形成する反応が円滑に進みやすい。 シラン化合物(a7)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。 F(CF2)4CH2CH2Si(OCH3)3、F(CF2)4CH2CH2Si(OCH2CH3)3、F(CF2)4CH2CH2SiCl3、F(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3、F(CF2)6CH2CH2Si(OCH2CH3)3、F(CF2)6CH2CH2SiCl3。 CF3OCF3CF2CF2CH2CH2Si(OCH3)3、F(CF2)2OCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2CH2CH2Si(OCH2CH3)3、CF3OCF(CF3)CF2CH2CH2CH2Si(OCH3)3。 F(CF2)2OCF2CF2OCF2CH2CH2CH2Si(OCH3)3、F(CF2)2O(CF2)2O(CF2)2CH2CH2Si(OCH3)3。 F(CF2)3OCF2CF2CH2CH2SiCl3、F(CF2)3OCF(CF3)CF2O(CF2)2CH2CH2Si(OCH3)3。 シラン化合物(a7)として、なかでも、F(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3、F(CF2)6CH2CH2Si(OCH2CH3)3、F(CF2)6CH2CH2SiCl3、F(CF2)3OCF(CF3)CF2O(CF2)2CH2CH2Si(OCH3)3等が特に好ましい。 加水分解性シラン化合物混合物に含まれる加水分解性シラン化合物として、シラン化合物(a7)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。 また、前記加水分解性シラン化合物混合物は、シラン化合物(a7)の部分加水分解縮合物を含有していてもよい。しかし、部分加水分解縮合物であるよりもシラン化合物(a7)単体であることが好ましい。(式(15)で表される加水分解性シラン化合物) 前記式(15)で表されるシラン化合物(a8)は、上記シラン化合物(a7)と共に、加水分解性シラン化合物混合物に含まれる加水分解性シラン化合物として用いられる。 式(15)において、RH1は炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アルキル基以外のRH1としては、ビニル基やアリル基等のアルケニル基、フェニル基やシクロアルキル基等の環を有する炭化水素基が挙げられる。 X2は加水分解性基であり、上式(15)中のX1と好ましい態様を含めて同様である。pは0、1または2である。ただし、pが2の場合の2個のRH1、および(4−p)個のX2は、それぞれ互いに異なっていても同一であってもよい。 シラン化合物(a8)は、pが0である4官能性化合物、またはpが1である3官能性化合物が好ましい。 撥インク剤(A2)において、シラン化合物(a7)由来の基(1)およびシラン化合物(a8)由来のRH1によって撥水性が発現され、主に基(1)によって撥油性が発現される。また、撥インク剤(A2)の硬化物が充分な撥油性を発現するには、撥インク剤(A2)中の基(1)とRH1との合計に対して、基(1)の割合が高いことが好ましい。p=0の場合、撥インク剤(A2)における基(1)の割合が高くなり撥油性が向上し、また造膜性に優れる。p=1または2の場合、RH1がある程度存在することにより、撥インク剤(A2)は炭化水素系の溶媒に溶解しやすくなり、基板の表面にネガ型感光性樹脂組成物の塗膜を形成する際に比較的安価な溶媒を選択できる。 シラン化合物(a8)としては、以下の化合物が好ましい。また、シラン化合物(a8)の代わりにシラン化合物(a8)の部分加水分解縮合物を使用することができる。部分加水分解縮合物としては比較的低分子量の化合物であることが好ましい。部分加水分解縮合物としては例えば下記の物が挙げられる。Si(OCH3)4、Si(OCH2CH3)4、CH3Si(OCH3)3、CH3Si(OCH2CH3)3、CH3CH2Si(OCH3)3、CH3CH2Si(OCH2CH3)3、(CH3)2Si(OCH3)2、(CH3)2Si(OCH2CH3)2、(C6H5)Si(OCH2CH3)3、Si(OCH3)4の部分加水分解縮合物(例えば、コルコート社製のメチルシリケート51(商品名))、Si(OCH2CH3)4の部分加水分解縮合物(例えば、コルコート社製のエチルシリケート40、エチルシリケート48(いずれも商品名))。 本発明の加水分解性シラン化合物混合物に含まれる加水分解性シラン化合物として、シラン化合物(a8)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、4官能性化合物および/または3官能性化合物と共に2官能性化合物を併用することもできる。 加水分解性シラン化合物混合物中のシラン化合物(a8)の含有量は、シラン化合物(a7)の1モルに対してシラン化合物(a8)の0.1〜9モルが好ましく、0.5〜9モルが特に好ましい。さらに、シラン化合物(a7)およびシラン化合物(a8)以外の加水分解性シラン化合物(以下、シラン化合物(a9)ともいう。)やシラン化合物(a9)の部分加水分解縮合物を含んでいてもよい。(シラン化合物(a9)) シラン化合物(a9)としては、加水分解性基を有する2官能性または3官能性のシラン化合物であり、シラン化合物(a7)およびシラン化合物(a8)と共縮合する化合物であれば、公知のシラン化合物を使用できる。 シラン化合物(a9)としては、前記式(15)においてRH1の代わりに炭素原子数7以上の炭化水素基や反応性基で置換された炭化水素基を有する構造のシラン化合物であることが好ましい。ただし、式(15)においてpが2である場合、2つのRH1の1つはRH1であってもよい。反応性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、アミノ基、炭化水素基置換アミノ基、エポキシ基等が好ましい。特に(メタ)アクリロイルオキシ基等のエチレン性二重結合を有する反応性基が好ましい。 好ましいシラン化合物(a9)はエチレン性二重結合を有する反応性基を有する加水分解性シラン化合物であり、(メタ)アクリロイルオキシ基置換アルキル基を有するトリアルコキシシランやジアルコキシシランが特に好ましい。エチレン性二重結合を有するシラン化合物(a9)を使用することによりエチレン性二重結合を有する撥インク剤(A2)が得られる。 特に好ましい化合物シラン化合物(a9)の具体例としては、以下が挙げられる。CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH2CH3)3、CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH2CH3)3、[CH2=C(CH3)COO(CH2)3]CH3Si(OCH3)2、[CH2=C(CH3)COO(CH2)3]CH3Si(OCH2CH3)2、(C6H5)NH(CH2)3Si(OCH3)3。 本発明の加水分解性シラン化合物混合物に含まれる加水分解性シラン化合物として、シラン化合物(a9)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。 本発明の加水分解性シラン化合物混合物中のシラン化合物(a9)の配合量は、シラン化合物(a7)およびシラン化合物(a8)の合計量の1モルに対して5モル以下が好ましく、4モル以下が特に好ましい。 加水分解性シラン化合物混合物には、加水分解性シラン化合物として、1官能性のシラン化合物を配合することができる。1官能性のシラン化合物は加水分解性シラン化合物混合物を加水分解縮合させて部分加水分解縮合物とする際に分子量調整剤として機能する。すなわち、比較的低分子量の部分加水分解縮合物を製造する目的や部分加水分解縮合物が高分子量化しすぎて溶媒不溶性となることを防止する目的等に使用される。目的とする部分加水分解縮合物の分子量により、その使用量を適宜調節することが好ましい。 1官能性のシラン化合物としては、前記式(15)においてpが3である構造の化合物やヘキサアルキルジシロキサンが好ましい。これら化合物におけるアルキル基は炭素数4以下が好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物に用いる撥インク剤(A2)は、上記原料の加水分解性シラン化合物混合物またはその部分加水分解縮合物であり、重合度等の異なる複数の縮合物で構成される部分加水分解縮合物の混合物であることが好ましい。すなわち、撥インク剤(A2)は、シラン化合物(a7)およびシラン化合物(a8)を必須成分として用い、任意にシラン化合物(a9)を用いて製造された部分加水分解縮合物であることが好ましい。この部分加水分解縮合物は、シラン化合物(a7)、シラン化合物(a8)、任意にシラン化合物(a9)を混合し、次いでその混合物を部分加水分解縮合させて製造された物が好ましい。なお、シラン化合物(a7)、シラン化合物(a8)、シラン化合物(a9)の代わりにそれぞれその部分加水分解縮合物を用いてもよい。 シラン化合物(a7)とシラン化合物(a8)とを用いて製造された部分加水分解縮合物は、下式(16)で表される平均組成式の構造を有するものとなる。ただし、実際は加水分解性基またはシラノール基が残存した生成物(部分加水分解縮合物)であるので、この生成物を化学式で表すことは困難である。式(16)で表される平均組成式は、上記のように製造された部分加水分解縮合物において加水分解性基またはシラノール基の全てが完全に加水分解し、縮合してシロキサン結合となった場合の化学式である。 式(16)中、Rf、RH1、Q1およびpの好ましい範囲は上述したものと同様である。s、tは、重合度の異なる複数の部分加水分解縮合物における各単位の平均存在モル数である。 式(16)で表される平均組成式の構造を有する部分加水分解縮合物においては、シラン化合物(a7)およびシラン化合物(a8)にそれぞれ由来する単位は、ランダムに配列していると推測される。なお、シラン化合物(a7)およびシラン化合物(a8)を用いた場合の平均組成式(16)におけるs/t(モル比)は、撥インク剤(A2)全体の平均値として、加水分解性シラン化合物混合物におけるシラン化合物(a8)に対するシラン化合物(a7)の含有量として上述した範囲、すなわち10/1〜90(モル比)が好ましく、10/5〜90(モル比)が特に好ましい。 撥インク剤(A2)をシラン化合物(a7)、シラン化合物(a8)およびシラン化合物(a9)を用いて製造した場合には、式(16)にシラン化合物(a9)に由来する単位がさらに共縮合された平均組成式の構造を有するものとなる。 撥インク剤(A2)としては、下記シラン化合物の混合物の部分加水分解縮合物が好ましい。(組み合わせ6) シラン化合物(a7):2−(ペルフルオロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよび2−(ペルフルオロブチル)エチルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも1種、 シラン化合物(a8):テトラエトキシシランまたはテトラエトキシシランとメチルトリエトキシシラン。(組み合わせ7) シラン化合物(a7):2−(ペルフルオロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよび2−(ペルフルオロブチル)エチルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも1種、 シラン化合物(a8):テトラエトキシシランまたはテトラエトキシシランとメチルトリエトキシシラン、 1官能性のシラン化合物:ヘキサメチルジシロキサンまたはトリメチルメトキシシラン。(組み合わせ8) シラン化合物(a7):2−(ペルフルオロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよび2−(ペルフルオロブチル)エチルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも1種、 シラン化合物(a8):テトラエトキシシランまたはテトラエトキシシランとメチルトリエトキシシラン、 シラン化合物(a9):3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランまたは3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン。(組み合わせ9) シラン化合物(a7):2−(ペルフルオロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよび2−(ペルフルオロブチル)エチルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも1種、 シラン化合物(a8):テトラエトキシシランまたはテトラエトキシシランとメチルトリエトキシシラン、 シラン化合物(a9):3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランまたは3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、 1官能性のシラン化合物:ヘキサメチルジシロキサンまたはトリメチルメトキシシラン。(組み合わせ10) シラン化合物(a7):2−(ペルフルオロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよび2−(ペルフルオロブチル)エチルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも1種、 シラン化合物(a8):テトラエトキシシランまたはテトラエトキシシランとメチルトリエトキシシラン、 シラン化合物(a9):3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、 1官能性のシラン化合物:ヘキサメチルジシロキサンまたはトリメチルメトキシシラン。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物における撥インク剤(A2)は、露光、硬化等の過程においては、含まれるシラノール基がさらに縮合し、紫外線/オゾン照射をしても優れた撥インク性を示す隔壁を形成するものと考えられる。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物における撥インク剤(A2)の数平均分子量(Mn)は、500以上が好ましく、1,000,000未満が好ましく、10,000未満が特に好ましい。数平均分子量(Mn)が上記範囲の下限値以上であると、ネガ型感光性樹脂組成物を用いて隔壁を形成する際に、基板表面からの脱離を防止できる。数平均分子量(Mn)が上記範囲の上限値未満であると、溶媒への溶解性が良好で、作業性に優れる。撥インク剤(A2)の数平均分子量(Mn)は反応条件等を選択することにより調節できる。(撥インク剤(A2)の製造) 本発明のネガ型感光性樹脂組成物における撥インク剤(A2)は、それが部分加水分解縮合物である場合、上述した加水分解性シラン化合物混合物を加水分解し部分縮合させる(以下、反応工程ともいう。)ことで製造できる。加水分解および部分縮合は、上述の通り加水分解性基の加水分解反応によるシラノール基の生成とシラノール基同士の脱水縮合反応によるシロキサン結合を生成する反応である。反応工程には、加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させる反応に通常用いる反応条件を特に制限なく適用することができ、例えば、水、触媒、有機溶媒等を用いることができる。 反応工程において水を用いる場合、その量は、加水分解性シラン化合物混合物の100質量部に対して、25〜9,900質量部が好ましく、100〜1,900質量部が特に好ましい。水の量を上記範囲とすることで、加水分解および縮合反応の制御がし易くなる。 反応工程に用いる触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸等の有機酸を用いることが好ましい。用いる触媒の量は、加水分解性シラン化合物混合物の100質量に対して0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜1質量部が特に好ましい。 上記反応工程には有機溶媒を用いてもよい。該有機溶媒としては、加水分解性シラン化合物を加水分解、縮合反応する際に、通常、用いる有機溶媒、具体的には、(撥インク剤(A1)の製造)で挙げた有機溶媒を使用できる。有機溶媒は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。 反応工程において、有機溶媒の量は、加水分解性シラン化合物混合物の100質量部に対して、25〜9,900質量部が好ましく、100〜1,900質量部が特に好ましい。 得られる部分加水分解縮合物は、反応工程で用いた溶媒と共にネガ型感光性樹脂組成物に配合される。したがって、反応工程に用いる溶媒としては、撥インク剤(A2)中のシラノール基を安定化する溶媒を用いることが好ましい。シラノール基を安定化する溶媒としては、水酸基を有し、25℃における比誘電率(ε)が5〜20の範囲の化合物が挙げられる。 具体的には、炭素原子数2〜8個のグリコール系のモノアルキルエーテルアセテート溶媒、グリコール系のモノアルキルエーテル溶媒、グライム系溶媒、炭素原子数2〜4個の炭化水素系アルコール等が挙げられる。より具体的には、グリコール系のモノアルキルエーテルアセテート溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ε:8.3)、グリコール系のモノアルキルエーテル溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(ε:12.3)、炭化水素系アルコールとして、2−プロパノール(ε:19.92)等が挙げられる。プロピレングリコールモノメチルエーテルは、シラノール基の安定化効果が高い点で特に好ましい。 反応工程は、室温から溶媒の沸点までの温度で、適当な撹拌条件の下で実施することが好ましい。反応時間は、用いる原料成分の量、反応温度、撹拌条件等にもよるが、概ね0.5〜24時間、好ましくは1〜10時間を挙げることができる。反応終了後、得られた撥インク剤(A2)を、有機溶媒を除去することなく、本発明のネガ型感光性樹脂組成物中に含ませることもできる。通常の方法により有機溶媒を除去してから撥インク剤(A2)を単離した後、ネガ型感光性樹脂組成物中に含ませてもよい。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物中の撥インク剤(A)の含有割合は、ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中、0.01〜10質量%が好ましい。 撥インク剤(A)として撥インク剤(A1)を用いる場合には、その含有量は、0.05〜5質量%がより好ましく、0.2〜1質量%が特に好ましい。撥インク剤(A)の含有割合を上記範囲の下限値以上であると、形成される隔壁の表面張力を下げる効果に優れ、撥インク性に優れた隔壁が得られる。上記範囲の上限値以下であると、隔壁と基材との密着性が良好になる。 撥インク剤(A)として撥インク剤(A2)を用いる場合には、その含有量は、0.1〜6質量%がより好ましく、0.2〜3質量%が特に好ましい。撥インク剤(A2)の含有量が上記範囲であると、ネガ型感光性樹脂組成物の貯蔵安定性に優れ、また該ネガ型感光性樹脂組成物から得られる光学素子の隔壁は撥インク性に優れ、滑らかな表面を有する。 本発明における撥インク剤(A)は、基(1)を有する側鎖と基(2)を有する側鎖の両方を1分子内に有していてもよい。また本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、基(1)を有する側鎖を有する撥インク剤(A)と、基(2)を有する側鎖を有する撥インク剤(A)の両方を含んでいてもよい。これらの場合、ネガ型感光性樹脂組成物は、高い撥インク性とインク転落性を発現できる。[光重合開始剤(B)] 本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、1分子内にニトロ基を有するオキシムエステル化合物である光重合開始剤(B)を含む。 光重合開始剤(B)は、下式(3)で表される化合物であることが好ましい。 式(3)中、R31は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基またはシアノ基を表す。R32は、R41またはOR42を表し、該R41およびR42は、それぞれ炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基または炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表す。R33は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基または炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表す。R34およびR35はそれぞれ独立に、R41、OR42、シアノ基またはハロゲン原子を表す。R41およびR42は上記と同様である。aおよびbはそれぞれ独立に0〜3の整数、cは1〜3の整数である。 R31としては、アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基の水素原子は、更にOR43、COR44、SR45、NR46R47、−NCOR48−OCOR49、シアノ基、ハロゲン原子、−CR50=CR51R52または−CO−CR53=CR54R55で置換されていてもよく、R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51、R52、R53、R54およびR55は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基または炭素原子数2〜20の複素環基を表す。 R32としては、アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基の水素原子は、さらにハロゲン原子で置換されていてもよい。 上記R31、R33、R43〜R55で表される置換基のアルキレン部分のメチレン基は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合またはウレタン結合により1〜5回中断されていてもよく、上記置換基のアルキル部分は分岐側鎖があってもよく、環状アルキルであってもよく、上記置換基のアルキル末端は不飽和結合であってもよい。R3は、隣接するベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよい。 本発明におけるオキシムエステル化合物は、オキシムの二重結合による幾何異性体が存在するが、これらを区別するものではなく、式(3)及び後述の例示化合物は、両方の混合物またはどちらか一方を表すものであり、異性体を示した構造に限定するものではない。 上記R41〜R55で表されるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、ビニル、アリル、ブテニル、エチニル、プロピニル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシエチル、ペンチルオキシエチル、オクチルオキシエチル、メトキシエトキシエチル、エトキシエトキシエチル、プロポキシエトキシエチル、メトキシプロピル、2−メトキシ−1−メチルエチル等が挙げられる。 R41〜R55で表されるアリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、クロロフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスレニル、上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等が挙げられる。 R41〜R55で表されるアリールアルキル基としては、ベンジル、クロロベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル、フェニルエチル、フェニルエテニル等が挙げられる。 R43〜R55で表される複素環基としては、ピリジル、ピリミジル、フリル、チエニル、テトラヒドロフリル、ジオキソラニル、ベンゾオキサゾール−2−イル、テトラヒドロピラニル、ピロリジル、イミダゾリジル、ピラゾリジル、チアゾリジル、イソチアゾリジル、オキサゾリジル、イソオキサゾリジル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリニル等の5〜7員複素環が好ましく挙げられる。 R33が隣接するベンゼン環と一緒になって形成しうる環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピペリジン環、モルホリン環、ラクトン環、ラクタム環等の5〜7員環が挙げられる。 R41〜R55を置換してもよいハロゲン原子およびR34、R35で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。 上記置換基のアルキレン部分のメチレン基は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合またはウレタン結合により1〜5回中断されていてもよく、この時中断する結合基は1種または2種以上の基でもよく、連続して中断しうる基の場合は2つ以上連続して中断してもよい。また、上記置換基のアルキル部分は分岐側鎖があってもよく、環状アルキルであってもよく、上記置換基のアルキル末端は不飽和結合であってもよい。 本発明のオキシムエステル化合物の中でも、式(3)において、R31が炭素原子数11〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基であるものや、R33が、エーテル結合またはエステル結合で1〜5回中断されている炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数13〜20のアルキル基であるもの、特に、R31が、炭素原子数11〜20のアルキル基または炭素原子数6〜30のアリール基であるもの、あるいは、R33が、アルキル基のアルキレン部分のメチレン基がエーテル結合またはエステル結合で1〜5回中断されてもよい炭素原子数8以上の分岐アルキル基であるもの;アルキル基のアルキレン部分のメチレン基がエーテル結合またはエステル結合で1〜5回中断されていてもよい炭素原子数13以上のアルキル基であるもの;R33が、エーテル結合により1〜5回中断されているアルキル基であるもの;R33が、エステル結合により1〜5回中断されているアルキル基であるものが、合成が容易で感度も高く、また光重合開始剤として用いた場合、溶媒に1質量%以上溶解し、光重合開始剤としての要求を満たすので好ましい。この溶解度の測定は20〜30℃で行うのが好ましい。上記溶媒としてはプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテートまたはシクロヘキサノンが好ましい。 本発明のオキシムエステル化合物は、下式(4)および下式(5)に示されるように、R31またはR32を介して二量化させることもできる。 式(3)で表されるオキシムエステル化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜71で示される化合物が挙げられる。 式(3)で表されるオキシムエステル化合物は、例えば、下式(6)の反応式に従って、以下の方法により製造することができる。まず、ニトロカルバゾール化合物1と酸クロリド2を塩化亜鉛の存在下に反応させてアシル体3を得る。次いで、アシル体3と塩酸ヒドロキシルアミンとをDMFの存在下に反応させてオキシム化合物4を得る。次いで、オキシム化合物4と酸無水物5あるいは酸クロリド5’を反応させて式(3)で表されるオキシムエステル化合物を得る。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物中の光重合開始剤(B)の含有割合は、ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中、1〜15質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましく、3〜6質量%が特に好ましい。上記範囲であると硬化性が良好で、露光工程、現像工程でマスクパターンに近いパターンや線幅を形成することができる。特に硬化膜の表面は、カットフィルタ等により330nm以下の露光光線を遮光した場合でも、さらに、低露光量でも撥インク性が良好である。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物においては、光重合開始剤(B)以外の光重合開始剤を併用してもよい。 併用できる光重合開始剤としては、ベンジル、ジアセチル、メチルフェニルグリオキシレート、9,10−フェナンスレンキノン等のα−ジケトン類;ベンゾイン等のアシロイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン類;アントラキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類;2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミノ安息香酸類;フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン等のハロゲン化合物;アシルホスフィンオキシド類;ジ−t−ブチルペルオキサイド等の過酸化物;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、n−ブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート等の脂肪族アミン類;2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,4−ブタノールビス(3−メルカプトブチレート)、トリス(2−メルカプトプロパノイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等のチオール化合物等が挙げられる。 中でも、ベンゾフェノン類、アミノ安息香酸類、脂肪族アミン類およびチオール化合物は、その他の光重合開始剤と共に用いると、増感効果を発現することがあり好ましい。 ネガ型感光性樹脂組成物中の光重合開始剤(B)以外の光重合開始剤を含有する場合、その含有割合は、ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中、20質量%以下が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。[アルカリ可溶性樹脂(C)] アルカリ可溶性樹脂(C)としては、特に限定されないが、酸性基を有する側鎖とエチレン性二重結合を有する側鎖とを有する樹脂(C1−1)、エポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂(C1−2)、酸性基を有する側鎖とエチレン性二重結合を有する側鎖とを有する単量体(C1−3)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。 樹脂(C1−1)は、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等の反応性基を有する単量体と酸性基を有する単量体を共重合して得られる、反応性基を有する側鎖と、酸性基を有する側鎖を有する共重合体と、反応性基に対して結合し得る官能基とエチレン性二重結合とを有する化合物を溶媒に溶解させて反応させることにより合成することができる。 水酸基を有する単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。 カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸およびこれらの塩等が挙げられる。なお、これらの単量体は酸性基を有する単量体としても用いられる。 エポキシ基を有する単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート等が挙げられる。 酸性基を有する単量体としては、特に限定されないが、上記カルボキシル基を有する単量体の他に、リン酸基を有する単量体として、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンリン酸等が挙げられる。 上記反応性基を有する単量体と酸性基を有する単量体の共重合は、従来公知の方法で行うことができる。 水酸基を反応性基として有する単量体としては、エチレン性二重結合を有する酸無水物、イソシアネート基とエチレン性二重結合を有する化合物、塩化アシル基とエチレン性二重結合を有する化合物等が挙げられる。 エチレン性二重結合を有する酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、2−ブテン−1−イルサクシニックアンハイドライド等が挙げられる。 イソシアネート基とエチレン性二重結合を有する化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。 塩化アシル基とエチレン性二重結合を有する化合物としては、(メタ)アクリロイルクロライド等が挙げられる。 カルボキシル基を反応性基として有する単量体としては、エポキシ基とエチレン性二重結合を有する化合物が挙げられる。該化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート等が挙げられる。ここで生じたヒドロキシル基とカルボン酸の脱水縮合部分が環状構造の一部をなす酸無水物とを反応させ、樹脂(C1−1)中にカルボキシル基を導入してもよい。 エポキシ基を反応性基として有する単量体としては、カルボキシル基とエチレン性二重結合を有する化合物が挙げられる。該化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸及びこれらの塩等が挙げられる。ここで生じたヒドロキシル基とカルボン酸の脱水縮合部分が環状構造の一部をなす酸無水物とを反応させ、樹脂(C1−1)中にカルボキシル基を導入してもよい。 樹脂(C1−2)は、エポキシ樹脂と、カルボキシル基とエチレン性二重結合を有する化合物とを反応させた後に、多塩基性カルボン酸またはその無水物とを反応させることにより合成することができる。 具体的には、エポキシ樹脂と、カルボキシル基とエチレン性二重結合を有する化合物とを反応させることにより、エポキシ樹脂にエチレン性二重結合が導入される。次に、エチレン性二重結合が導入されたエポキシ樹脂に多塩基性カルボン酸またはその無水物を反応させることにより、カルボキシル基を導入することができる。 エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、下式(C1−2a)で表されるビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、下式(C1−2b)で表されるエポキシ樹脂、下式(C1−2c)で表されるビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。 (式(C1−2a)中、vは、1〜50であり、2〜10が好ましい。またベンゼン環の水素原子はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよいフェニル基で置換されていてもよい。) (式(C1−2b)中、R61、R62、R63およびR64は、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基であり、wは、0〜10である。) (式(C1−2c)中、ベンゼン環の水素原子はそれぞれ独立に炭素原子数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよいフェニル基で置換されていてもよい。uは、0〜10である。) なお、式(C1−2a)〜(C1−2c)で表されるエポキシ樹脂と、カルボキシル基とエチレン性二重結合を有する化合物とを反応させた後に、多塩基性カルボン酸無水物を反応させる場合、多塩基性カルボン酸無水物として、ジカルボン酸無水物およびテトラカルボン酸二無水物の混合物を用いることが好ましい。ジカルボン酸無水物とテトラカルボン酸二無水物の比率を変化させることにより、分子量を制御することができる。 樹脂(C1−2)は、市販品を使用することができる。市販品としては、いずれも商品名で、KAYARAD PCR−1069、K−48C、CCR−1105、CCR−1115、CCR−1159H、CCR−1235、TCR−1025、TCR−1064H、TCR−1286H、ZAR−1535H、ZAR−2002H、ZFR−1491H、ZFR−1492H、ZCR−1571H、ZCR−1569H、ZCR−1580H、ZCR−1581H、ZCR−1588H、ZCR−1642H、ZCR−1664H、ZCR−1761H、ZAR−2001H(以上、日本化薬社製)、EX1010(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。 単量体(C1−3)としては、2,2,2−トリアクリロイルオキシメチルエチルフタル酸(商品名:NKエステル CBX−1、新中村化学工業社製。)等が挙げられる。 アルカリ可溶性樹脂(C)としては、現像時の塗膜剥離が抑制されて、高解像度のパターンを得ることができる点、ラインの直線性が良好である点、ポストベーク工程後の外観が維持され、平滑な塗膜表面が得られやすい点で、樹脂(C1−2)を用いることが好ましい。 樹脂(C1−2)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂、式(C1−2a)〜(C1−2c)で表されるエポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂が特に好ましい。 アルカリ可溶性樹脂(C)の質量平均分子量(Mw)は、1.5×103〜30×103であることが好ましく、2×103〜15×103が特に好ましい。また、数平均分子量(Mn)は、500〜20×103であることが好ましく、1.0×103〜10×103が特に好ましい。質量平均分子量(Mw)および質量平均分子量(Mn)が上記範囲の下限値以上であると、露光時の硬化が充分であり、上記範囲の上限値以下であると、現像性が良好である。 アルカリ可溶性樹脂(C)が1分子内に有するエチレン性二重結合の数は、平均3個以上であることが好ましく、6個以上が特に好ましい。エチレン性二重結合の数が上記範囲の下限値以上であると、露光部分と未露光部分とのアルカリ溶解度に差がつきやすく、より少ない露光量での微細なパターン形成が可能となる。 アルカリ可溶性樹脂(C)の酸価は、10〜200mgKOH/gであることが好ましく、30〜150mgKOH/gがより好ましく、50〜100mgKOH/gが特に好ましい。酸価が上記範囲であると、ネガ型感光性樹脂組成物の貯蔵安定性および現像性が良好になる。 ネガ型感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂(C)は、1種でも2種以上の混合物でもよい。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物中のアルカリ可溶性樹脂(C)の含有割合は、ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中、10〜50質量%が好ましく、12〜40質量%がより好ましく、15〜30質量%が特に好ましい。含有割合が上記範囲であると、現像性が良好である。[ネガ型感光性樹脂組成物] 本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、撥インク剤(A)、光重合開始剤(B)、アルカリ可溶性樹脂(C)、必要に応じて黒色着色剤(D)、高分子分散剤(E)、分散助剤(F)、架橋剤(G)および溶媒(H)を含有する。さらに、以下の熱架橋剤(I)、シランカップリング剤(J)、微粒子(K)、リン酸化合物(L)およびその他の添加剤を含有してもよい。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いることで330nm以下の露光光線を遮光しても撥インク性が良好で、マスクの線幅の再現が良好なネガ型感光性樹脂組成物および該組成物を用いて得られる均質な隔壁が製造できる。したがって、微細なパターニングを要求される場合にも対応できる。その理由を、以下のように考えている。 光重合開始剤としては、330nm超の露光光線を効率的に吸収して活性化される高感度の化合物が必要であり、光重合開始剤(B)が選択できる。 本発明者の知見により、330nm以下の露光光線を遮光すると、隔壁の表面の硬化性が極端に低下して、表面の撥インク部分が削れやすく、撥インク性が低下する傾向にある。光重合開始剤(B)を含むネガ型感光性樹脂組成物であれば、隔壁の表面の硬化性を高くできる。撥インク剤として隔壁表面への移行性が悪い化合物を含むネガ型感光性樹脂組成物では、隔壁表面が硬化する際にはまだ、撥インク剤が隔壁表面に移動しきれていないが、隔壁表面への移行性が良好である撥インク剤を用いることで、撥インク性が良好になる。 撥インク剤と光重合開始剤(B)との組み合わせは、上記硬化性、表面移行性以外にも、ネガ型感光性樹脂組成物が塗工できる粘度であって、安定である組み合わせが必要である。本発明者の検討により、撥インク剤(A)と光重合開始剤(B)との組み合わせを見出した。[黒色着色剤(D)] 本発明のネガ型感光性樹脂組成物は黒色着色剤(D)を含んでいてもよい。 ネガ型感光性樹脂組成物を液晶表示素子のカラーフィルタのR、G、Bの三色の画素を囲む格子状の黒色部分であるブラックマトリックス形成のために用いる場合、黒色着色剤(D)を含むことが好ましい。 黒色着色剤(D)は、カーボンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、具体的には、C.I.ピグメントブラック1、6、7、12、20、31等が挙げられる。赤色顔料、青色顔料、緑色顔料、黄色顔料等の有機顔料やアゾメチン系黒色顔料、無機顔料の混合物を用いることもできる。黒色着色剤(D)としては、価格、遮光性の大きさからカーボンブラックが好ましく、カーボンブラックは樹脂等で表面処理されていてもよい。また、色調を調整するため、青色顔料や紫色顔料を併用することができる。ブラックマトリックス・オン・アレイ型のカラーフィルタや、有機EL素子に関しては、低誘電率や高抵抗な塗膜や隔壁が求められる。前記のような塗膜や隔壁得るためには、上記有機顔料の混合物、アゾメチン系黒色顔料を用いることが好ましい。 カーボンブラックとしては、ブラックマトリックスの形状の観点から、BET法による比表面積が50〜200m2/gであるものが好ましい。比表面積が50m2/g以上であると、ブラックマトリックス形状が劣化しにくい。200m2/g以下であると、カーボンブラックに分散助剤が過度に吸着することなく、諸物性を発現させるために多量の分散助剤を配合する必要がなくなる。 また、カーボンブラックとしては、感度の点から、フタル酸ジブチルの吸油量が120cc/100g以下のものが好ましく、少ないものほどより好ましい。 さらに、カーボンブラックの透過型電子顕微鏡観察による平均1次粒子径は、20〜50nmであることが好ましい。平均1次粒子径が20nm以上であると、ネガ型感光性樹脂組成物で高濃度に分散でき、経時安定性の良好なネガ型感光性樹脂組成物が得られやすい。50nm以下であると、ブラックマトリックス形状が劣化しにくい。また、透過型電子顕微鏡観察による平均2次粒子径としては、80〜200nmが好ましい。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物に黒色着色剤(D)を含有させブラックマトリックス形成等に用いる場合、該ネガ型感光性樹脂組成物中の黒色着色剤(D)の含有割合は、ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中、15〜80質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましく、25〜65質量%が特に好ましい。上記範囲であると得られるネガ型感光性樹脂組成物は感度が良好であり、また、形成される隔壁は遮光性に優れる。[高分子分散剤(E)] ネガ型感光性樹脂組成物が、上記黒色着色剤(D)等の分散性材料を含有する場合、その分散性を向上させるために、高分子分散剤(E)を含有することが好ましい。高分子分散剤(E)としては、特に限定されず、ウレタン系、ポリイミド系、アルキッド系、エポキシ系、ポリエステル系、メラミン系、フェノール系、アクリル系、ポリエーテル系、塩化ビニル系、塩化ビニル酢酸ビニル系共重合体系、ポリアミド系、ポリカーボネート系等が挙げられるが、ウレタン系、またはポリエステル系が好ましい。また、高分子分散剤(E)は、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド由来の構成単位を有していてもよい。 高分子分散剤(E)を黒色着色剤(D)の分散のために用いる場合には、黒色着色剤(D)に対する親和性を考慮して塩基性基を有する高分子分散剤(E)を用いることが好ましい。塩基性基としては、特に限定されないが、1級、2級または3級のアミノ基が挙げられる。 高分子分散剤(E)としては市販品を用いてもよい。市販品としては、ディスパロンDA−7301(商品名、楠本化成社製)、BYK161、BYK162、BYK163、BYK182(以上全て商品名、BYK−Chemie社製)、ソルスパーズ5000、ソルスパーズ17000(以上全て商品名、ゼネカ社製)等が挙げられる。 高分子分散剤(E)の含有割合は、黒色着色剤(D)に対して、5〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、黒色着色剤(D)の分散性が向上し、上記範囲の上限値以下であると、ネガ型感光性樹脂組成物の現像性が良好になる。[分散助剤(F)] ネガ型感光性樹脂組成物は、分散助剤(F)として、フタロシアニン系顔料誘導体や金属フタロシアニンスルホンアミド化合物を含有してもよい。分散助剤(F)は、黒色着色剤(D)等の分散性材料と高分子分散剤(E)に吸着して、分散安定性を向上させる機能を有すると考えられる。[架橋剤(G)] 本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、ラジカル硬化を促進する任意成分として、架橋剤(G)を含んでもよい。架橋剤(G)としては、1分子中に2つ以上のエチレン性二重結合を有し、酸性基を有しない化合物が好ましい。ネガ型感光性樹脂組成物が架橋剤(G)を含むことにより、露光時における上記アルカリ可溶性樹脂(C)の硬化性が向上し、隔壁を形成する際の露光量を低減することができる。 1分子中に2つ以上のエチレン性二重結合を有し酸性基を有しない架橋剤(G)としては、この条件を有する化合物であれば特に限定されないが、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、ウレタンアクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。 架橋剤(G)としては、市販品を使用することができる。市販品としては、KAYARAD DPHA(商品名、日本化薬社製、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物)、NKエステル A−9530(商品名、新中村化学工業社製、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物))、V#802(商品名、大阪有機化学工業社製、ジペンタエリスリトールアクリレート、トリペンタエリスリトールアクリレート、テトラペンタエリスリトールアクリレートの混合物)、NKエステ A−9300(商品名、新中村化学工業社製、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)、NKエステル A−9300−1CL(商品名、新中村化学工業社製、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート)、BANI−M(商品名、丸善石油化学社製、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン)、BANI−X(商品名、丸善石油化学社製、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド))等が挙げられる。ウレタンアクリレートとしては、日本化薬社製のKAYARAD UXシリーズが挙げられ、具体的商品名としては、UX−3204、UX−6101、UX−0937、DPHA−40H、UX−5000、UX−5002D−P20等が挙げられる。 中でも、KAYARAD DPHAおよびNKエステル A−9530はネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の感度を向上させる理由から好ましい。NKエステル A−9300、BANI−MおよびBANI−Xは硬化膜に硬さを付与し、熱垂れを抑制する点から好ましい。NKエステル A−9300−1CLは硬化膜に柔軟性を付与する点から好ましい。ウレタンアクリレートは、適度な現像時間が実現可能となり、現像性が良好になるので好ましい。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物中の架橋剤(G)の含有割合は、ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中、3〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、7〜15質量%が特に好ましい。上記範囲であるとネガ型感光性樹脂組成物のアルカリ現像性が良好となる。[溶媒(H)] 本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて溶媒(H)を含有する。溶媒(H)を含有すると、ネガ型感光性樹脂組成物の粘度が低減するため、ネガ型感光性樹脂組成物の基板上への塗布がしやすい。均一なネガ型感光性樹脂組成物の塗膜が形成できる。なお、ネガ型感光性樹脂組成物が溶媒(H)を含まない場合には、ネガ型感光性樹脂組成物の塗膜が、ネガ型感光性樹脂組成物の膜と同じものとなる。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物が含有する溶媒(H)は、ネガ型感光性樹脂組成物が含有する上記撥インク剤(A)、光重合開始剤(B)、アルカリ可溶性樹脂(C)、必要に応じて黒色着色剤(D)、高分子分散剤(E)、分散助剤(F)および架橋剤(G)、さらには後述する任意成分を均一に溶解または分散させて、隔壁が形成される基材へのネガ型感光性樹脂組成物の塗布を均一かつ簡便にする機能を有し、かつこれら成分との反応性を有しないものであれば特に制限されないが、例えば、撥インク剤(A)の合成時に使用した溶媒と同様の溶媒が使用できる。 ネガ型感光性樹脂組成物に含まれる溶媒(H)の含有割合は、ネガ型感光性樹脂組成物の組成や用途等により異なるが、ネガ型感光性樹脂組成物中、50〜99質量%で配合されるのが好ましく、60〜95質量%がより好ましく、65〜90質量%が特に好ましい。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、撥インク剤(A)、光重合開始剤(B)、アルカリ可溶性樹脂(C)、必要に応じて黒色着色剤(D)、高分子分散剤(E)、分散助剤(F)、架橋剤(G)および溶媒(H)を含有する。さらに、以下の熱架橋剤(I)、シランカップリング剤(J)、微粒子(K)、リン酸化合物(L)およびその他の添加剤を含有してもよい。[熱架橋剤(I)] 熱架橋剤(I)は、カルボキシル基および/または水酸基と反応し得る基を2個以上有する化合物である。熱架橋剤(I)は、アルカリ可溶性樹脂(B)がカルボキシル基および/または水酸基を有する場合、アルカリ可溶性樹脂(B)と反応し、硬化膜の架橋密度を増大させ耐熱性を向上させるという作用を有する。 熱架橋剤(I)としては、アミノ樹脂、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリカルボジイミド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を好ましく挙げることができる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物中の熱架橋剤(I)の含有割合は、ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中、1〜50質量%が好ましく、5〜30質量%が特に好ましい。上記範囲であると得られるネガ型感光性樹脂組成物の現像性が良好となる。[シランカップリング剤(J)] シランカップリング剤(J)を使用すると、得られるネガ型感光性樹脂組成物から形成される硬化膜の基材密着性が向上する。 シランカップリング剤(J)の具体例としては、テトラエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、へプタデカフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、ポリオキシアルキレン鎖含有トリエトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。 シランカップリング剤(J)としては、市販品を使用することができる。市販品としては、KBM5013(商品名、信越化学社製、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物中のシランカップリング剤(J)の含有割合は、ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中、0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、ネガ型感光性樹脂組成物から形成される硬化膜の基材密着性が向上し、上記範囲の上限値以下であると、撥インク性が良好である。[微粒子(K)] ネガ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて、微粒子(K)を含んでいてもよい。微粒子(K)を配合することにより、ネガ型感光性樹脂組成物から得られる隔壁の熱垂れを防止することが可能となる。 微粒子(K)は、特に限定されず、シリカ、ジルコニア、フッ化マグネシウム、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)等の無機系微粒子;ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の有機系微粒子が挙げられるが、耐熱性を考慮すると、無機系微粒子が好ましく、入手容易性や分散安定性を考慮すると、シリカ、またはジルコニアが特に好ましい。また、ネガ型感光性樹脂組成物が、黒色着色剤(G)および高分子分散剤(E)を含有する場合には、該高分子分散剤(E)の吸着能を考慮すれば、微粒子(K)は、負に帯電していることが好ましい。さらに、ネガ型感光性樹脂組成物の露光感度を考慮すると、微粒子は、露光時に照射される光を吸収しないことが好ましく、超高圧水銀灯の主発光波長であるi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を吸収しないことが特に好ましい。 微粒子(K)としてはシリカが好ましい。シリカとしては、コロイダルシリカが好ましい。一般にコロイダルシリカとしては、水に分散されたシリカヒドロゾル、水が有機溶媒に置換されたオルガノシリカゾルがあるが、有機溶媒を分散媒として用いたオルガノシリカゾルが好ましい。 このようなオルガノシリカゾルとしては、市販品を用いることが可能であり、市販品としては、いずれも日産化学工業社製の商品名で、PMA−ST(シリカ粒子径:10〜20nm、シリカ固形分:30質量%、プロピレングリコールモノメチルアセテート:70質量%。)、NPC−ST(シリカ粒子径:10〜20nm、シリカ固形分:30質量%、n−プロピルセロソルブ:70質量%。)、IPA−ST(シリカ粒子径:10〜20nm、シリカ固形分:30質量%、IPA:70質量%。)等を挙げることができる。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物中の微粒子(K)の含有割合は、ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中、3〜40質量%が好ましく、5〜30質量%が特に好ましい。最も好ましくは、7質量%以上25質量%未満である。含有割合が上記範囲であると、撥インク性が良好であり、ネガ型感光性樹脂組成物の貯蔵安定性が良好である。[リン酸化合物(L)] ネガ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて、リン酸化合物(L)を含んでいてもよい。ネガ型感光性樹脂組成物がリン酸化合物(L)を含むことで、基板との密着性を向上させることができる。リン酸化合物(L)しては、モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等が挙げられる。[その他の添加剤] 発明のネガ型感光性樹脂組成物においては、さらに必要に応じて硬化促進剤、増粘剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、ハジキ防止剤、紫外線吸収剤等を含有することができる。[ネガ型感光性樹脂組成物の好ましい組み合わせ] 本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、用途や要求特性に合わせて組成と配合比を選択することが好ましい。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物における各種配合成分の好ましい組成を以下に示す。 撥インク剤(A):前記撥インク剤(A1)の好ましい組み合わせ1〜5または前記撥インク剤(A2)の好ましい組み合わせ6〜10であって、ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中に0.01〜10質量%、 光重合開始剤(B):国際公開第2008/078678号に記載の化合物No.1〜58であって、ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中に0.01〜10質量%、 アルカリ可溶性樹脂(C):(C1−2a)、(C1−2b)、(C1−2c)およびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であって、ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中に12〜40質量%、 溶媒(H):2−プロパノール、γ−ブチロラクトン、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノンおよび乳酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種であって、ネガ型感光性樹脂組成物中に50〜99質量%。[ネガ型感光性樹脂組成物の製造方法] ネガ型感光性樹脂組成物を製造する方法として、撥インク剤(A)、光重合開始剤(B)、アルカリ可溶性樹脂(C)、必要に応じて黒色着色剤(D)、高分子分散剤(E)、分散助剤(F)、架橋剤(G)および溶媒(H)を含有する。さらに、以下の熱架橋剤(I)、シランカップリング剤(J)、微粒子(K)、リン酸化合物(L)およびその他の添加剤と混合する方法が好ましい。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、通常のネガ型感光性樹脂組成物と同様にフォトリソグラフィ等の材料として用いられ、該組成物の塗膜を硬化させて得られる硬化膜は、通常のネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜が用いられる光学素子の部材として、使用することが可能である。[光学素子用隔壁の製造方法] 基板上に複数の画素と隣接する画素間に位置する隔壁とを有する光学素子用の隔壁の製造に適用される。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物を上記基板上に塗布して塗膜を形成し(塗膜形成工程)、次いで、上記塗膜を加熱し(プリベーク工程)、次いで、上記塗膜の隔壁となる部分のみを露光して光硬化させ(露光工程)、次いで、上記光硬化した部分以外の塗膜を除去して上記塗膜の光硬化部分からなる隔壁を形成させ(現像工程)、次いで、上記形成された隔壁を加熱する(ポストベーク工程)ことにより、光学素子用の隔壁が製造できる。 なお、本発明のネガ型感光性樹脂組成物が、黒色着色剤(D)を含有する場合には、光学素子用の隔壁はブラックマトリックスとして形成される。 基板の材質は特に限定されるものではないが、例えば、各種ガラス板;ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル樹脂等の熱可塑性プラスチックシート;エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂の硬化シート等を使用できる。特に、耐熱性の点からガラス板、ポリイミド等の耐熱性プラスチックが好ましい。 図1は、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた光学素子用隔壁の製造例を模式的に示す断面図である。図1(I)は、基板1上に本発明のネガ型感光性樹脂組成物からなる塗膜2が形成された状態の断面を示す図である。(II)は露光工程を模式的に示す図である。(III)は、現像工程後の基板1と基板上に形成された隔壁6を示す断面図である。 以下、図1を用いて本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた光学素子用隔壁の製造方法を具体的に説明する。(塗膜形成工程) 図1(I)に断面を示すように、基板1上に上記本発明のネガ型感光性樹脂組成物を塗布してネガ型感光性樹脂組成物からなる塗膜2を形成する。なお、基板1上にネガ型感光性樹脂組成物の塗膜2を形成させる前に、基板1のネガ型感光性樹脂組成物の塗布面をアルコール洗浄、紫外線/オゾン洗浄等で洗浄することが好ましい。 ネガ型感光性樹脂組成物の塗布方法としては、膜厚が均一な塗膜が形成される方法であれば特に制限されず、スピンコート法、スプレー法、スリットコート法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法等、通常の塗膜形成に用いられる方法が挙げられる。 塗膜2の膜厚は最終的に得られる隔壁の高さを勘案して決められる。塗膜2の膜厚は、最終的に得られる隔壁の高さの100〜3,000%が好ましく、100〜2,000%が特に好ましい。塗膜2の膜厚は0.3〜325μmが好ましく、1.3〜65μmが特に好ましい。(プリベーク工程) 上記塗膜形成工程で基板1上に形成された塗膜2を加熱し、膜2を得る。加熱によって、塗膜を構成するネガ型感光性樹脂組成物に含まれる溶媒を含む揮発成分が揮発、除去され、粘着性のない膜が得られる。また、撥インク剤(A)が塗膜表面近傍に移行する。加熱の方法としては、基板1とともに塗膜2をホットプレート、オーブン等の加熱装置により、50〜120℃で10〜2,000秒間程度加熱処理する方法が挙げられる。 なお、上記のようにプリベーク工程での加熱によって溶媒等の揮発成分を除去することも可能であるが、溶媒等の揮発成分を除去するために加熱(乾燥)以外の真空乾燥等の乾燥工程をプリベーク工程の前に別に設けてもよい。また、塗膜外観のムラを発生させず、効率よく乾燥させるために、上記プリベーク工程による乾燥を兼ねた加熱と真空乾燥を併用することがより好ましい。真空乾燥の条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、好ましくは500〜10Paで10〜300秒間程度の幅広い範囲で行うことができる。(露光工程) 図1(II)に示すように、膜2に所定パターンのマスク4を介して光5を照射する。上記マスク4に切られた所定パターン部分のみを光5が透過し基板1上の膜に到達しその部分のみが光硬化する。したがって、隔壁の形成を行う場合、上記所定パターンは隔壁の形状に適合する形に設けられる。 例えば、ポストベーク工程後に隔壁の幅の平均が、100μm以下であるのが好ましく、20μm以下が特に好ましい。また、隣接する隔壁間の距離の平均が、500μm以下であるのが好ましく、300μm以下が特に好ましい。上記範囲となるようにパターンを形成したマスクを用いることが好ましい。 図1(II)において、光が照射された膜の露光部分3はネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜からなり、一方、未露光部分は未硬化のネガ型感光性樹脂組成物の膜2そのものが残存する状態である。 照射する光5としては、可視光;紫外線;遠紫外線;KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、F2エキシマレーザ、Kr2エキシマレーザ、KrArエキシマレーザ、Ar2エキシマレーザ等のエキシマレーザ;X線;電子線等が挙げられる。また、照射光5としては、波長100〜600nmの電磁波が好ましく、300〜500nmの範囲に分布を有する光線がより好ましく、i線(365nm)、h線(405nm)およびg線(436nm)が特に好ましい。なお、例えば、ミラープロジェクション(MPA)方式での露光方法を用いる場合には、330nm以下の電磁波をカットして露光光線が照射される。このように、本発明の製造方法においては、必要に応じて、330nm以下の電磁波をカットした露光が行われてもよい。 照射装置として、公知の超高圧水銀灯等を用いることができる。露光量は、カットフィルタ等により330nm以下の電磁波をカットした場合のi線基準で、5〜1,000mJ/cm2が好ましく、5〜200mJ/cm2がより好ましく、10〜100mJ/cm2がさらに好ましく、15〜50mJ/cm2が特に好ましい。露光量が上記範囲の下限値以上であると、隔壁となるネガ型感光性樹脂組成物の硬化が充分であり、その後の現像で溶解や基板1からの剥離が生じにくくなる。上記範囲の上限値以下であると、高い解像度が得られる。本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の表面は、カットフィルタ等により330nm以下の電磁波をカットした場合でも、特に撥インク性が良好である。 露光時間は、露光量、ネガ型用感光組成物の組成、塗膜の厚さ等にもよるが、1〜60秒間が好ましく、5〜20秒間が特に好ましい。(現像工程) 現像液を用いて現像を行い、図1(II)に示される基板1上の未露光部分2を除去する。これにより、図1(III)に断面図が示されるような、基板1と上記基板上にネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜により形成された隔壁6の構成が得られる。また、隔壁6と基板1で囲まれた部分は、インク注入等により画素が形成されるドット7と呼ばれる部分である。得られた基板10は、後述のポストベーク工程を経て、インクジェット方式での光学素子の製造に用いることが可能な基板となる。 現像液としては、無機アルカリ類、アミン類、アルコールアミン類、第4級アンモニウム塩等のアルカリ類を含むアルカリ水溶液を用いることができる。また現像液には、溶解性の向上や残渣除去のために、界面活性剤やアルコール等の有機溶媒を添加することができる。 現像時間(現像液に接触させる時間)は、5〜180秒間が好ましい。また現像方法は液盛り法、ディッピング法、シャワー法等が挙げられる。現像後、高圧水洗や流水洗浄を行い、圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、基板1および隔壁6上の水分を除去できる。 また、現像工程の前後での隔壁となる部分の硬化膜の膜厚変化が60nm以下であることが好ましく、50nmであることがより好ましく、45nm以下であることが特に好ましい。膜厚変化が60nm以下であると、露光後の硬化膜表層の撥インク性を発現するための撥インク層が表面に十分残存して、ポストベーク後の硬化膜の撥インク性が良好となる。(ポストベーク工程) 基板1上の隔壁6を加熱する。加熱の方法としては、基板1とともに隔壁6をホットプレート、オーブン等の加熱装置により、150〜250℃で、5〜90分間加熱処理をする方法が挙げられる。加熱処理により、基板1上のネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜からなる隔壁6がさらに硬化し、隔壁6と基板1で囲まれるドット7の形状もより固定化される。なお、上記加熱温度は180℃以上であることが特に好ましい。加熱温度が低すぎると隔壁6の硬化が不充分であるために、充分な耐薬品性が得られず、その後のインクジェット塗布工程でドット7にインクを注入した場合に、そのインクに含まれる溶媒により隔壁6が膨潤したり、インクが滲んでしまうおそれがある。一方、加熱温度が高すぎると、隔壁6の熱分解が起こるおそれがある。 本発明のネガ用型感光性組成物は、隔壁の幅の平均が、100μm以下が好ましく、20μm以下が特に好ましい。また、隣接する隔壁間の距離(ドットの幅)の平均が、500μm以下が好ましく、300μm以下が特に好ましい。また、隔壁の高さの平均が、0.05〜50μmが好ましく、0.2〜10μmが特に好ましい。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物から形成される塗膜硬化膜の撥インク性は、水およびプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(以下、PGMEAともいう。)の接触角で見積もることができ、水の接触角は90度以上が好ましく、95度以上がより好ましい。また、PGMEAの接触角は30度以上が好ましく、35度以上がより好ましく、40度以上が特に好ましい。塗膜硬化膜の撥インク性は、水の接触角が90度以上であり、かつPGMEAの接触角が30度以上であるのが特に好ましい。[光学素子の製造方法] 上記製造方法によって基板上に隔壁を形成した後、上記基板と上記隔壁で囲まれた領域内に露出した基板表面に親インク化処理をし(親インク化処理工程)、次いで、上記領域にインクジェット法によりインクを注入して上記画素を形成する(インク注入工程)。なお、光学素子の製造において親インク化処理工程は必須の工程ではなく、製造される光学素子によっては行わないこともある。(親インク化処理工程) 親インク化処理の方法としては、アルカリ水溶液による洗浄処理、紫外線洗浄処理、紫外線/オゾン洗浄処理、エキシマ洗浄処理、コロナ放電処理、酸素プラズマ処理等の方法が挙げられる。 アルカリ水溶液による洗浄処理は、アルカリ水溶液(水酸化カリウム、テトラメチル水酸化アンモニウム水溶液等)を用いて基板表面を洗浄する湿式処理である。 紫外線洗浄処理は、紫外線を用いて基板表面を洗浄する乾式処理である。 紫外線/オゾン洗浄処理は、185nmと254nmを発光する低圧水銀ランプを用いて基板表面を洗浄する乾式処理である。 エキシマ洗浄処理は、172nmを発光するキセノンエキシマランプを用いて基板表面を洗浄する乾式処理である。 コロナ放電処理は、高周波高電圧を利用し、空気中にコロナ放電を発生させ、基板表面を洗浄する乾式処理である。 酸素プラズマ処理は、主に真空中で高周波電源等をトリガーとして酸素を励起させ、反応性の高い「プラズマ状態」にしたものを用いて基板表面を洗浄する乾式処理である。 親インク化処理の方法としては、簡便である点で、紫外線/オゾン洗浄処理等の乾式処理法が好ましい。紫外線/オゾンは市販の装置を用いて発生させることができる。紫外線/オゾン装置内部に隔壁が形成された基板をおき、空気中、室温で、1〜10分程度、隔壁の撥油性を損なわない範囲で処理をおこなうことにより、親インク化処理を行うことができる。なお、処理時間については、個々の紫外線/オゾン装置にあわせて、隔壁の撥油性を損なわない範囲となる時間に調整すればよい。 この親インク化処理により、上記隔壁の形成後にドットに残る不純物の除去等を充分に行うことでドットの親インク化を充分に図ることができ、得られる光学素子を用いたカラー表示装置等の白抜け現象を防止することが可能となる。(インク注入工程) 親インク化処理工程後のドットにインクジェット法によりインクを注入して画素を形成する工程である。この工程は、インクジェット法に一般的に用いられるインクジェット装置を用いて通常の方法と同様に行うことができる。このような画素の形成に用いられるインクジェット装置としては、特に限定されるものではないが、帯電したインクを連続的に噴射し磁場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等の各種の方法を用いたインクジェット装置を用いることができる。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いて製造する光学素子としては、カラーフィルタ、有機EL表示素子、有機TFTアレイ等が挙げられる。[カラーフィルタの製造] 隔壁の形成、ドットの親インク化処理、インクジェット法によるインク注入は上述の通りである。カラーフィルタにおいて、形成される画素の形状は、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知のいずれの配列とすることも可能である。 画素の形成に用いられるインクは、主に着色成分とバインダー樹脂成分と溶媒とを含む。着色成分としては、耐熱性、耐光性等に優れた顔料および染料を用いることが好ましい。バインダー樹脂成分としては、透明で耐熱性に優れた樹脂が好ましく、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。水性のインクは、溶媒として水および必要に応じて水溶性有機溶媒を含み、バインダー樹脂成分として水溶性樹脂または水分散性樹脂を含み、必要に応じて各種助剤を含む。また、油性のインクは、溶媒として有機溶媒を含み、バインダー樹脂成分として有機溶媒に可溶な樹脂を含み、必要に応じて各種助剤を含む。 またインクジェット法によりインクを注入した後、必要により、乾燥、加熱硬化、紫外線硬化を行うことが好ましい。 画素形成後、必要に応じて、保護膜層を形成する。保護膜層は表面平坦性を上げる目的と隔壁や画素部のインクからの溶出物が液晶層に到達するのを遮断する目的で形成することが好ましい。保護膜層を形成する場合は、事前に隔壁の撥インク性を除去することが好ましい。撥インク性を除去しない場合、オーバーコート用塗布液をはじき、均一な膜厚が得られないため好ましくない。隔壁の撥インク性を除去する方法としては、プラズマアッシング処理や光アッシング処理等が挙げられる。 さらに必要に応じて、カラーフィルタを用いて製造される液晶パネルの高品位化のためにフォトスペーサーを隔壁で構成されるブラックマトリックス上に形成することが好ましい。[有機EL表示素子の製造] 隔壁を形成する前に、ガラス等の透明基材にスズドープ酸化インジウム(ITO)等の透明電極をスパッタ法等によって製膜し、必要に応じて所望のパターンに透明電極をエッチングする。次に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いて隔壁を形成し、ドットの親インク化処理後、インクジェット法を用いてドットに正孔輸送材料、発光材料の溶液を順次塗布、乾燥して、正孔輸送層、発光層を形成する。その後アルミニウム等の電極を蒸着法等によって形成することによって、有機EL表示素子の画素が得られる。[有機TFTアレイの製造] 以下の(i)〜(iii)の工程を経て、有機TFTアレイを製造することができる。(i)ガラス等の透明基材に本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いて隔壁を形成する。ドットの親インク化処理後、インクジェット法を用いてドットにゲート電極材料の溶液を塗布しゲート電極を形成する。(ii)ゲート電極を形成させた後、その上にゲート絶縁膜を形成させる。ゲート絶縁膜上に本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いて隔壁を形成し、ドットの親インク化処理後、インクジェット法を用いてドットにソース・ドレイン電極材料の溶液を塗布しソース・ドレイン電極を形成する。(iii)ソース・ドレイン電極を形成させた後、一対のソース・ドレイン電極を含む領域を囲むように本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いて隔壁を形成し、ドットの親インク化処理後、インクジェット法を用いてドットに有機半導体の溶液を塗布し有機半導体層をソース・ドレイン電極間に形成させる。 なお、(i)〜(iii)は、それぞれ1工程のみにおいて本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた隔壁を利用してもよいし、2つ以上の工程において本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた隔壁を利用してもよい。[有機EL照明素子の製造] 有機EL表示素子の製造と同様にして製造することができる。発光層は、赤、緑、青等の各色を発色するような発光体をインクジェットにより積層しても良いし、前記発光体を平面上に塗り分けても良い。 以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、例1〜21は実施例、例31〜33は比較例である。 各測定は以下の方法で行った。 数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定した。 撥インク剤(A)中のフッ素原子の含有率は、1,4−ジトリフルオロメチルベンゼンを標準物質として、19F NMR測定により算出した。撥インク剤(A)中のエチレン性二重結合の量は、1,4−ジトリフルオロメチルベンゼンを標準物質として、1H NMR測定により算出した。 酸価(mgKOH/g)および1分子中のエチレン性二重結合の数は、原料である単量体の配合割合から算出した理論値である。 合成例および実施例で用いた化合物の略語は以下の通りである。(撥インク剤(A1)の合成に用いた化合物)MEK:2−ブタノン。C6FMA:CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF2)6F。MAA:メタクリル酸。MMA:メタクリル酸メチル。PME400:ブレンマーPME−400(日本油脂社製。α−メチル−ω−メタクリロイルオキシポリ(オキシエチレン)。CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)kCH3:式中のkは分子間の平均値を示し、kの値は約9である。)。PME1000:ブレンマーPME−1000(日本油脂社製。α−メチル−ω−メタクリロイルオキシポリ(オキシエチレン)。CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)kCH3:式中のkは分子間の平均値を示し、kの値は23である。)。V−65:商品名(和光純薬社製。2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル。))。2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート。GMA:グリシジルメタクリレート。AOI:2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、商品名:カレンズAOI。)。DBTDL:ジブチル錫ジラウレート。TBQ:t−ブチル−p−ベンゾキノン。(撥インク剤(A2)の合成に用いた化合物)化合物(a7−1):CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3(旭硝子社製)。化合物(a8−1):Si(OC2H5)4(コルコート社製)。化合物(a9−1):CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3(東京化成工業社製)。TMMS:トリメチルメトキシシラン[(CH3)3Si(OCH3)](東京化成工業社製)。PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル。PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。(光重合開始剤(B)) 上記化合物No.1〜3、化合物No.7、化合物No.10、化合物No.12、化合物No.20、化合物No.33、化合物No.45〜51および化合物No.53〜58で示される化合物。(光重合開始剤(B)以外の光重合開始剤)OXE02:エタノン 1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名:OXE02。)。IR907:商品名;IRGACURE907、BASF社製、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン。EAB:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成工業社製)。(アルカリ可溶性樹脂(C))EX1010:上式(C1−2b)で表されるエポキシ樹脂にエチレン性二重結合と酸性基とを導入した樹脂(ナガセケムテックス社製、商品名:EX−1010。固形分:60質量%、PGMEA:40質量%。)。ZCR1761:上式(C1−2a)で表されるビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂にエチレン性二重結合と酸性基とを導入した樹脂(日本化薬社製、商品名:ZCR−1761H。固形分:60質量%、PGMEA:40質量%。)。ZCR1642:上式(C1−2a)で表されるビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂にエチレン性二重結合と酸性基とを導入した樹脂(日本化薬社製、商品名:ZCR−1642H。固形分:60質量%、PGMEA:40質量%。)。C−1: クレゾールノボラック型エポキシ樹脂をアクリル酸次いで1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸を反応させて、アクリロイル基とカルボキシル基とを導入した樹脂をヘキサンで精製した樹脂、固形分70%、酸価60mgKOH/g、PGMEA:30質量%。ZAR2002:商品名;KAYARAD ZAR−2002、日本化薬社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂にカルボキシル基とエチレン性二重結合を導入した樹脂、固形分70%、酸価60mgKOH/g、PGMEA:30質量%。(黒色着色剤(D))CB:カーボンブラック分散液(平均2次粒径:120nm、カーボンブラック:20質量%、アミン価18mgKOH/gのポリウレタン系高分子分散剤:5質量%、PGMEA:75質量%。)。混合有機顔料:C.I.ピグメントブルー156、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントイエロー139および高分子分散剤の10:5:5:5の混合物(固形分:25質量%、PGMEA:75質量%。)。(架橋剤(G))UX5002:多官能ウレタンアクリレートオリゴマー(日本化薬社製、商品名:KAYARAD UX−5002D−P20。固形分:80質量%、PGMEA:20質量%。)。A9300CL:ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート(新中村化学工業社製、商品名:NKエステル A−9300−1CL。)。A9530:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合品(新中村化学工業社製、商品名:NKエステル A−9530。)。(溶媒(H))PGMEA:プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート。IPA:2−プロパノール。(シランカップリング剤(J))KBM5013:商品名(信越化学社製。3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン。)。(微粒子(K))IPA−ST:商品名(日産化学工業社製。オルガノシリカゾル、固形分:30質量%、IPA:70質量%。)。[合成例1:撥インク剤(A1−1)の合成] 撹拌機を備えた内容積1Lのオートクレーブに、MEK(420g)、C6FMA(90g)、MAA(9g)、PME1000(81g)および重合開始剤V−65(0.2g)を仕込み、窒素ガス中で撹拌しながら、50℃で24時間重合させ、粗重合体を合成した。得られた粗重合体の溶液にヘキサンを加えて再沈精製した後、真空乾燥し、撥インク剤(A−1)(158.6g)を得た。撥インク剤(A1−1)は、数平均分子量(Mn)が64,690、質量平均分子量(Mw)が92,270であった。[合成例2:撥インク剤(A1−2)の合成] 撹拌機を備えた内容積1Lのオートクレーブに、MEK(420g)、C6FMA(85g)、2−HEMA(50g)、PME400(36g)、MAA(9g)および重合開始剤V−65(0.7g)を仕込み、窒素ガス中で撹拌しながら、50℃で24時間重合させ、重合体(1)の溶液を得た。(エチレン性二重結合の導入) 撹拌機を備えた内容積1Lのオートクレーブに上記重合体(1)の溶液(500g)、AOI(45.6g)、DBTDL(0.13g)、TBQ(1.6g)およびMEK(17.1g)を仕込み、撹拌しながら、40℃で24時間反応させ、重合体(1)にエチレン性二重結合を導入した。得られた溶液にヘキサンを加えて再沈精製した後、真空乾燥し、撥インク剤(A1−2)(165.0g)を得た。撥インク剤(A1−2)は、数平均分子量(Mn)が41,200、質量平均分子量(Mw)が110, 800、フッ素原子の含有率が20.6質量%、エチレン性二重結合の量(C=C量、×10−3mol/g)が1.66×10−3mol/g、酸価が25.0mgKOH/gであった。[合成例3〜4:撥インク剤(A1−3)および(A1−4)の合成] 撥インク剤(A1−1)の合成において、原料の配合を表1のように変更した他は同様の共重合反応により、撥インク剤(A1−3)および(A1−4)を得た。得られた撥インク剤(A1−3)および(A1−4)の数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、フッ素原子の含有率(質量%)、酸価(mgKOH/g)を表1に示した。[合成例5:撥インク剤(A1−5)の合成] 重合体(1)の合成において、原料の配合を表1のように変更した他は同様の共重合反応により、重合体(2)を得た。撥インク剤(A1−2)の合成において、原料の配合を表1のように変更した他は同様の反応により、重合体(2)にエチレン性二重結合を導入し、撥インク剤(A1−5)を得た。得られた撥インク剤(A1−5)の重量平均分子量(Mn)、数平均分子量(Mw)、フッ素原子の含有率(質量%)、酸価(mgKOH/g)、エチレン性二重結合の量(C=C量、×10−3mol/g)を表1に示した[合成例6:撥インク剤(A2−1)の製造] 撹拌機を備えた1,000cm3の三口フラスコに、化合物(a7−1)の11.8g、化合物(a8−1)の29.4g、化合物(a9−1)の29.4g、TMMSの29.4gを入れて、加水分解性シラン化合物混合物を得た。次いで、該混合物にPGMEAの564.7gを入れて、溶液(原料溶液)とした。 得られた原料溶液に、40℃で、撹拌しながら、1.0%塩酸水溶液を52.0g滴下した。滴下終了後、40℃で5時間撹拌して、撥インク剤(A2−1)をPGMEA溶液(撥インク剤(A2−1)濃度:10質量%。以下、「(A2−1)液」という。)として得た。なお、反応液をガスクロマトグラフィを使用して測定し、原料としての各化合物が検出限界以下になったことを確認した。 得られた撥インク剤(A2−1)の数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、フッ素原子の含有率を、撥インク剤(A2−1)の仕込み量組成(モル%)とともに表2に示す。[合成例7:撥インク剤(A2−2)の製造] 撹拌機を備えた1,000cm3の三口フラスコに、化合物(a7−1)の16.7g、化合物(a8−1)の41.7g、化合物(a9−1)の41.7gを入れて、加水分解性シラン化合物混合物を得た。次いで、該混合物にPGMEの564.7gを入れて、溶液(原料溶液)とした。 得られた原料溶液に、40℃で、撹拌しながら、1.0%硝酸水溶液を65.7g滴下した。滴下終了後、40℃で5時間撹拌して、撥インク剤(A2−2)をPGME溶液(撥インク剤(A2−2)濃度:10質量%。以下、「(A2−2)液」という。)として得た。なお、反応液をガスクロマトグラフィを使用して測定し、原料としての各化合物が検出限界以下になったことを確認した。 得られた撥インク剤(A2−2)の数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、フッ素原子含有率を、撥インク剤(A2−2)の仕込み量組成(モル%)とともに表2に示す。[例1〜24および例31〜33:ネガ型感光性樹脂組成物の調製、隔壁の形成と評価] 表3および表4に示す割合(質量%)で、撥インク剤(A)、光重合開始剤(B)、アルカリ可溶性樹脂(C)、黒色着色剤(D)、架橋剤(G)、溶媒(H)、シランカップリング剤(J)および微粒子(K)を配合してネガ型感光性樹脂組成物を得た。 ガラス基板上にスピンナーを用いて、ネガ型感光性樹脂組成物を塗布した後、100℃で2分間、ホットプレート上で乾燥させ、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。次に、マスク(遮光部100μm×200μm、光透過部20μmの格子状パターン)を通して、塗膜に超高圧水銀灯(330nm以下の波長をカットフィルタにより遮光した。主にi線、h線およびg線からなる混合線。)により表3および表4に示す所定露光量を照射した。 次いで、未露光部分を無機アルカリタイプ現像液(横浜油脂工業社製、商品名セミクリーンDL−A4の10倍希釈水溶液)に浸漬して現像し、未露光部を水により洗い流し、乾燥させた。 次いで、ホットプレート上、220℃で1時間加熱することにより、パターンが形成されたガラス基板(1)を得た。また、上記のマスクを用いずに露光した以外は上記と同様にして、塗膜硬化膜が形成されたガラス基板(2)を得た。ガラス基板(1)または(2)について、線幅、現像後膜減り、撥インク性(PGMEA接触角)を以下に示す方法で測定、評価した。結果を表3および表4に示す。(線幅) 上記ガラス基板(1)について、光透過部20μmの格子状パターンの線幅を超深度形状測定顕微鏡VK−8500(キーエンス社製)を用いて測定した。線幅が、マスクの光透過部の20μmに近いほど、マスクの線幅を再現できていることを意味する。(現像後膜減り) 上記ガラス基板(1)について、露光部分(硬化膜)の現像前の膜厚(THK1)および現像後の膜厚(THK2)を高精度微細形状測定機SURFCORDER ET4000A(小坂研究所製)を用いて測定した。現像前の膜厚から現像後の膜厚を引いた値を現像後膜減りとする。該値が小さいほど、ネガ型感光性樹脂組成物の光硬化が良好であることを意味する。(撥インク性) 上記ガラス基板(2)の硬化膜表面のPGMEA接触角(度)により評価した。接触角とは、固体と液体が接触する点における液体表面に対する接線と固体表面がなす角で、液体を含む方の角度で定義した。該角度が大きいほど硬化膜の撥インク性が優れることを意味する。 静滴法により、JIS R 3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」に準拠して、基材上の測定表面の3ヶ所にPGMEA滴を載せ、各PGMEA滴について測定した。液滴は2μL/滴であり、測定は20℃で行った。接触角は、3測定値の平均値(n=3)で示す。 例1〜24のネガ型感光性樹脂組成物は、いずれも光硬化が良好であった。また、該組成物から形成された硬化膜は、撥インク性が良好で、かつ、マスクの線幅を再現できていた。 一方、例31〜33のネガ型感光性樹脂組成物は、1分子内にニトロ基を有するオキシムエステル化合物を光重合開始剤として使用しなかったため、露光量が20mJ/cm2および40mJ/cm2共に現像後膜減りが60nm超であり、光硬化が不充分であった。また、形成された硬化膜は、撥インク性が不充分で、かつ、マスクの線幅を再現できなかった。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、露光量を低減したり、330nm以下の露光光線を遮光したりして露光した場合でも、撥インク性が良好で、かつ、マスクの線幅の再現が良好な隔壁を製造できる。 本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、インクジェット記録技術法を利用したカラーフィルタ製造用、有機EL表示素子製造用として隔壁の形成に好適に用いられる。 なお、2011年4月28日に出願された日本特許出願2011−102039号の明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。1…基板、2…ネガ型感光性樹脂組成物の塗膜、3…塗膜露光部分、4…マスク、5…光、6…隔壁、7…ドット、10…インクジェット方式に用いる光学素子用基板 下式(1)で表される基または下式(2)で表される基を含む側鎖を有する撥インク剤(A)と、 1分子内にニトロ基を有するオキシムエステル化合物である光重合開始剤(B)と、 アルカリ可溶性樹脂(C)と、を含有することを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物。 −CFXRf (1) −(SiR1R2−O)n−SiR3R4R5 (2) 式(1)中、Xは水素原子、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基を示し、Rfはエーテル性酸素原子を有していてもよい水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素原子数20以下のフルオロアルキル基、またはフッ素原子を示す。 式(2)中、R1、R2、R3およびR4は、独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示し、R5は水素原子または炭素原子数1〜10の有機基を示し、nは1〜200の整数を示す。 前記光重合開始剤(B)が、下式(3)からなる化合物である、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。 式(3)中、R31は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基またはシアノ基を表す。R32は、R41またはOR42を表し、該R41およびR42は、それぞれ炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基または炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表す。R33は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基または炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表す。R34およびR35はそれぞれ独立に、R41、OR42、シアノ基またはハロゲン原子を表す。aおよびbはそれぞれ独立に0〜3の整数、cは1〜3の整数である。 黒色着色剤(D)をさらに含む、請求項1または2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。 架橋剤(G)をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。 撥インク剤(A)が、側鎖に基(1)または基(2)を有し、主鎖が炭化水素鎖である化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。 撥インク剤(A)が酸性基を有する、請求項5に記載のネガ型感光性樹脂組成物。 撥インク剤(A)が、側鎖に基(1)を有し、主鎖がオルガノポリシロキサン鎖である化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。 撥インク剤(A)がエチレン性二重結合を有する、請求項5〜7のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。 基板上に形成された請求項1〜8のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物の塗膜を硬化させてなる硬化膜。 基板上に区画を設けるために形成される隔壁であって、請求項9に記載の硬化膜からなる隔壁。 基板上に区画を設けるために形成されるブラックマトリックスであって、請求項3に記載のネガ型感光性樹脂組成物から形成される請求項9に記載の硬化膜からなるブラックマトリックス。 請求項1〜8のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し塗膜を形成する工程と、前記塗膜を加熱して膜とした後、該膜の所定部分のみを露光して光硬化させる工程と、前記光硬化した部分以外の膜を除去する工程と、前記光硬化した部分を加熱して隔壁を得る工程と、を順に有する隔壁の製造方法であって、前記膜を除去する前後での前記光硬化した部分の膜厚変化が60nm以下であることを特徴とする、隔壁の製造方法。 請求項12に記載の製造方法において、請求項3に記載のネガ型感光性樹脂組成物を用いて前記隔壁をブラックマトリックスとして得る、ブラックマトリックスの製造方法。 基板と、基板上の複数の画素と、隣接する画素間に位置する隔壁とを有し、該隔壁が請求項1〜8のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜からなることを特徴とする、カラーフィルタ。 基板と、基板上の複数の画素と、隣接する画素間に位置する隔壁とを有し、該隔壁が請求項1〜8のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜からなることを特徴とする、有機EL素子。 撥インク性が良好で、かつ、マスクの線幅の再現が良好なネガ型感光性樹脂組成物および該組成物を用いて得られる均質な隔壁を提供する。 −CFXRf[Xは水素原子、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基、Rfはエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素原子数20以下の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換されたフルオロアルキル基、またはフッ素原子]または、−(SiR1R2−O)n−SiR3R4R5[R1、R2、R3、R4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基、R5は水素原子または炭素原子数1〜10の有機基、nは1〜200の整数]を含む側鎖を有する撥インク剤(A)と、1分子内にニトロ基を有するオキシムエステル化合物である光重合開始剤(B)と、アルカリ可溶性樹脂(C)と、を含有することを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る