生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_淋菌の検出方法および検出試薬
出願番号:2012057435
年次:2013
IPC分類:C12Q 1/68,C12Q 1/34,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

中島 直人 大仲 悟 JP 2013188181 公開特許公報(A) 20130926 2012057435 20120314 淋菌の検出方法および検出試薬 東ソー株式会社 000003300 中島 直人 大仲 悟 C12Q 1/68 20060101AFI20130830BHJP C12Q 1/34 20060101ALI20130830BHJP C12N 15/09 20060101ALN20130830BHJP JPC12Q1/68 AC12Q1/34C12N15/00 A 7 OL 22 4B024 4B063 4B024AA13 4B024CA04 4B024CA09 4B024CA11 4B024CA20 4B024HA14 4B063QA01 4B063QA19 4B063QQ50 4B063QR08 4B063QR14 4B063QR56 4B063QR62 4B063QS25 4B063QS34 本発明は、迅速かつ高感度に淋菌を検出する方法、および当該方法を用いた検出試薬に関する。本発明は、臨床検査、公衆衛生の分野に有用である。 淋菌(Neisseria gonorrhoeae)はナイセリア(Neisseria)属に属するグラム陰性の双球菌であり、淋菌感染症の原因微生物である。 淋菌感染症は、性感染症の中では性器クラミジア感染症と並び、頻度の高い感染症である。主に性行為で感染し、男性では尿道炎を、女性では子宮頚管炎や尿道炎を、それぞれ引き起こす。また重症になると、男性では精巣上体炎が、女性では骨盤内炎症性疾患が、それぞれ生じる。 近年、性行動の多様化を反映して、咽頭や直腸感染など、性器外の感染例が増加している。このような場合、症状に乏しい場合が多く、無自覚のうちに他者への感染源となる場合がある(非特許文献1)。 日本において淋菌感染症は、定点把握疾患の一つとして、発生動向調査が行なわれている。それによると、男性では、淋菌感染症の発生件数は性器クラミジア感染症の発生件数とほぼ等しく、それぞれ性感染症全体の約40%を占めている。一方、女性では、淋菌感染症は性感染症全体の約10%程度である(非特許文献2)。 淋菌感染症は、一般的に女性の場合、感染しても無症状の例(無症候性感染)が多い。そのため治療をせず、男性における淋菌感染症の主たる感染源となることが多い。特に淋菌が咽頭に感染した場合の多くは炎症症状が乏しく、検査が実施されない場合が多い。 前述したように、女性の淋菌感染や咽頭への淋菌感染は、比較的症状が軽微であることが多いため、医療機関を受診しない患者が多数存在する。しかしながら、無症候性感染者でも他者への淋菌感染源となり得る。また女性の場合、感染を放置すると子宮外妊娠、不妊症、分娩時の産道感染による新生児結膜炎等、重篤な合併症が生じる可能性もある。そのため、淋菌への感染が判明した時点で、確実に治療することが必要であり、感染が疑われる患者や妊婦に対し、淋菌検査を実施することは大変重要である。特許3241717号公報特開2000−014400号公報特開2001−037500号公報特許2650159号公報特許3152927号公報特開平8−211050号公報特開2001−013147号公報性感染症 診断・治療 ガイドライン、49−56(2008)古屋隆三郎、日本臨牀、67(1)、129−135(2009)Ishiguro T.et al.,Anal.Biochem.,314,77−86(2003)Ishiguro T.et al.,Nucleic Acids Res.,24,4992−4997(1996) 従来より臨床現場で用いられている淋菌感染症の検査法としては、尿道分泌物のグラム染色標本の検鏡検査、分離培養法による検査、核酸増幅検査等があげられる。グラム染色による検鏡検査は、迅速な検査法であるものの、他の雑菌が存在すると淋菌の確認が困難となる問題があった。培養法による検査は、他の雑菌が混入すると淋菌の確認が困難となること、淋菌が熱、乾燥、温度変化に弱く検体輸送中に菌が死滅しやすいこと、操作が繁雑であること、結果に数日間を要するため迅速検査には向かないこと、などの問題があった。一方、核酸増幅検査は、淋菌に特異的な遺伝子(DNAやRNA)を増幅し検出する方法であり、DNAを増幅する方法としてPCR法やSDA法(Strand Displacement Amplification)等が、RNAを増幅する方法としてTMA法(Transcription Mediated Amplification)(特許文献1)等が、それぞれ用いられている。核酸増幅検査は、感度、特異性ともに従来の検査と比較して極めて高く、また非侵襲検体である尿検体が使用できる点で、現在は本検査が主流となりつつある。 核酸増幅を利用した淋菌検査に関しては検査キットが市販されており、一例として、コバスアンプリコアSTD−1(ロシュ社、PCR法を利用)、BDプローブテックET(ベクトン・ディッキンソン社、SDA法を利用)、アプティマコンボ2(ジェン・プローブ社、TMA法を利用)があげられる。しかしながら前記キットによる淋菌検査は、淋菌以外のナイセリア属菌に対する交差反応性の問題や、検査終了まで要する時間が長い(4時間から5時間程度)という問題があった。医師が、医療機関を訪れた患者に対し、淋菌に感染しているか否かを当日中に診断するには、検査結果を少なくとも2時間以内に提示できるシステムが好ましい。そのため、より迅速な淋菌検査法が求められている。 また淋菌が属するナイセリア属菌には、ヒトに細菌性髄膜炎を引き起こす髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)等、ヒトに対して病原性を有する菌の他に、多くの非病原性の菌が存在する。非病原性のナイセリア属菌のいくつかは、常在菌としてヒトの口腔内に普通に見られる。そのため、淋菌の検査において、特に咽頭を検査する際は、淋菌に対する高い感度とともに、高い特異性を有することが必要である。 そこで本発明の目的は、核酸増幅を利用した淋菌検査において、従来のキットと比較し、高感度、高特異性、かつ迅速に結果が得られる方法を提供することにある。 本発明者らは、上記目的に鑑みて鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明の第一の態様は、淋菌16S rRNA中の特定塩基配列の一部と相同的な配列を有する第一のプライマーと、前記特定塩基配列の一部と相補的な配列を有する第二のプライマーとを用いて、前記特定塩基配列を含むポリヌクレオチドを増幅することで、試料中の淋菌16S rRNAを検出する方法であって、前記第一のプライマーが、配列番号14に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドであり、前記第二のプライマーが、配列番号24に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである、前記検出方法である。 また本発明の第二の態様は、前記第一のプライマーが、配列番号11に記載の塩基配列の相補配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドであり、前記第二のプライマーが、配列番号23に記載の塩基配列の相補配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである、前記第一の態様に記載の検出方法である。 また本発明の第三の態様は、前記第一または第二のプライマーのいずれか一方は、その5’末端側にRNAポリメラーゼのプロモーター配列を少なくとも付加している、前記第一または第二の態様に記載の検出方法である。 また本発明の第四の態様は、淋菌16S rRNA中の特定塩基配列を含むポリヌクレオチドの増幅を、(1)第二のプライマーおよびRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素による、淋菌16S rRNAを鋳型とした特定塩基配列に相補的なcDNAを合成する工程、(2)リボヌクレアーゼH(RNase H)活性を有する酵素による、RNA−DNA2本鎖のRNAを分解する工程(1本鎖DNAの生成)、(3)第一のプライマーおよびDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素による、前記1本鎖DNAを鋳型とした特定塩基配列または特定塩基配列に相補的な配列のRNAを転写可能なプロモーター配列を有する2本鎖DNAを生成する工程、(4)RNAポリメラーゼ活性を有する酵素による、前記2本鎖DNAを鋳型とするRNA転写産物を生成する工程、および(5)前記RNA転写産物が、前記(1)の工程におけるcDNA合成の鋳型となることで、連鎖的にRNA転写産物を生成する工程、により行なう、前記第三の態様に記載の検出方法である。 また本発明の第五の態様は、生成したRNA転写産物を、当該転写産物の一部の塩基配列と相補的2本鎖を形成すると、形成前と比較し蛍光特性が変化するプローブを用いて検出し、かつ前記プローブの塩基配列が配列番号30または31に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの塩基配列である、前記第四の態様に記載の検出方法である。 また本発明の第六の態様は、第二のプライマーおよびRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素による、淋菌16S rRNAを鋳型とした特定塩基配列に相補的なcDNAを合成する工程の前に、前記特定塩基配列中の第一のプライマーとの相同領域の5’末端側と重複し、かつ当該重複部位から5’末端側に隣接した領域に相補的な切断用オリゴヌクレオチドと、RNase H活性を有する酵素により、前記特定塩基配列の5’末端側を切断する工程を行ない、かつ前記切断用オリゴヌクレオチドが、配列番号7に記載の塩基配列中の少なくとも連続する15塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである、前記第四または第五の態様に記載の検出方法である。 さらに本発明の第七の態様は、配列番号14に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドと、配列番号24に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドと、を少なくとも含む、淋菌16S rRNAの検出試薬である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の検出方法では、淋菌を高感度に検出するため、細胞当たりの含有量(RNAコピー数)が多い、リボゾーマルRNA(rRNA)を標的に選択した。また淋菌に対する特異性を高めるため、淋菌rRNA配列のうち、淋菌に特異的な配列を探索することで、本発明の検出方法および検出試薬で使用するオリゴヌクレオチド(プライマー、プローブ)を設計した。 本発明における試料の例として、食品、飲料水、環境水、糞便、嘔吐物、鼻腔・咽頭・尿道・子宮頚管等のぬぐい液、うがい液、血液、尿、その他分泌液、体液、組織洗浄液があげられる。 本発明において特定塩基配列とは、淋菌16S rRNAのうち、第一のプライマーとの相同領域の5’末端から第二のプライマーとの相補領域の3’末端までの塩基配列に相同的なRNA配列またはDNA配列のことをいう。すなわち本発明では、前記特定塩基配列またはその相補配列を含むポリヌクレオチドが増幅されることになる。 本発明におけるストリンジェントな条件の例として、42℃において、50%(v/v)ホルムアミド、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%フィコール、0.1%のポリビニルピロリドン、50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)、150mMの塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムが存在する条件や、本明細書の実施例に記載のRNA増幅条件があげられる。 本発明の検出方法で使用するプライマーのうち、第一のプライマーは配列番号14に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の55番目から201番目までの塩基配列の相補配列)中の少なくとも連続した10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドであればよく、第二のプライマーは配列番号24に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の387番目から448番目までの塩基配列)中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドであればよい。すなわち、前述したストリンジェントな条件下で、前記塩基配列と、十分に特異的かつ高効率にハイブリダイゼーション可能であれば、塩基配列の置換、欠失、付加、修飾があってもよい。プライマーの長さは任意に設定できるが、好ましくは10塩基から50塩基までの範囲である。 本発明の検出方法では、淋菌16S rRNA中の特定塩基配列からなるポリヌクレオチドを増幅して検出を行なう。前記ポリヌクレオチドを増幅する方法としては、RT−PCR法、RT−LAMP(Loop−mediated isothermal AMPlification)法、TMA法(特許文献1)、NASBA(Nucleic Acid Sequence−Based Amplification)法(特許文献4および5)法、TRC(Transcription Reverse transcription Concerted reaction)法(特許文献2および3、非特許文献3)があげられ、適宜選択可能である。その中でも、混入するDNAの影響を受けず、かつ一定温度でRNA増幅が可能な、TMA法、NASBA法またはTRC法が好ましい。 TMA法、NASBA法またはTRC法による、淋菌16S rRNA中の特定塩基配列からなるRNAの増幅は、(1)第二のプライマーおよびRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素による、淋菌16S rRNAを鋳型とした特定塩基配列に相補的なcDNAを合成する工程、(2)RNase H活性を有する酵素による、RNA−DNA2本鎖のRNAを分解する工程(1本鎖DNAの生成)、(3)第一のプライマーおよびDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素による、前記1本鎖DNAを鋳型とした特定塩基配列または特定塩基配列に相補的な配列のRNAを転写可能なプロモーター配列を有する2本鎖DNAを生成する工程、(4)RNAポリメラーゼ活性を有する酵素による、前記2本鎖DNAを鋳型とするRNA転写産物を生成する工程、および(5)前記RNA転写産物が、前記(1)の工程におけるcDNA合成の鋳型となることで、連鎖的にRNA転写産物を生成する工程、により行なう。 前記(1)の工程で使用するRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、前記(2)の工程で使用するRNase H活性を有する酵素、および前記(3)で使用するDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素は、それぞれ別個の酵素を用いてもよいし、複数の活性を有する酵素を組み合わせて用いてもよいが、前記3つの活性全てを有する酵素を用いると好ましい。当該好ましい酵素の一例として、AMV(Avian Myeloblastosis Virus)逆転写酵素、MMLV(Molony Murine Leukemia Virus)逆転写酵素、RAV(Rous Associated Virus)逆転写酵素、HIV(Human Immunodeficiency Virus)逆転写酵素といった、分子生物学の分野で通常使用されるレトロウイルス由来の逆転写酵素があげられる。 前記(4)の工程で使用するRNAポリメラーゼ活性を有する酵素は、分子生物学の分野で汎用されるバクテリアファージ由来の、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼなどを使用することができる。第一または第二のプライマーの5’末端側に、前記(4)の工程で使用するRNAポリメラーゼ活性を有する酵素に対応した、プロモーター配列を付加することで、淋菌16S rRNA中の特定塩基配列を含むRNAが転写される。なお、前記プロモーター配列に、転写効率に影響を及ぼすことが知られている転写開始領域をさらに付加してもよい。 前記(1)から(5)の工程による淋菌16S rRNA中の特定塩基配列からなるRNA増幅反応は一定温度で行なうことができる。また反応温度は、前記(1)から(4)で使用する酵素が活性を示す範囲であれば、任意の温度で設定することが可能である。一例として、前記(1)から(3)で使用する酵素がAMV逆転写酵素であり、前記(4)で使用する酵素がT7 RNAポリメラーゼの場合、35℃から65℃の範囲で反応温度を設定すればよく、40℃から50℃の範囲で設定すると好ましい。 前記(4)の工程で生成したRNA転写産物の検出は、従来より知られた核酸検出方法を利用することができ、(A)電気泳動や液体クロマトグラフィーを用いた方法、(B)検出可能な標識で標識された核酸プローブによるハイブリダイゼーション法、(C)当該転写配列の一部の塩基配列とハイブリダイズ(相補結合)することで蛍光特性が変化するように設計された蛍光物質標識プローブを用いた方法、等があげられる。しかし、前記(A)および(B)の方法は、操作が多工程であり、また増幅産物を系外に取り出して分析するため二次汚染の原因となる増幅産物の環境への飛散の危険性が大きい。一方、前記(C)の方法は前記課題を解決可能な方法であるため、RNA転写産物の検出法として好ましい。前記蛍光物質標識プローブの一例として、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を利用した蛍光標識プローブや、インターカレーター標識プローブがあげられる。 インターカレーター標識プローブは、RNA転写産物の一部の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズ(相補結合)可能なオリゴヌクレオチドのリン酸ジエステル部または塩基部分に、適当なリンカーを介してインターカレーター性蛍光色素を結合(標識)させたプローブであり、RNA転写産物と相補的2本鎖を形成するとインターカレーター性蛍光色素部分が前記相補的2本鎖部分にインターカレートすることで蛍光特性が変化するプローブである。本発明の測定方法で用いる試薬にインターカレーター標識プローブをさらに含むことで、前記(1)から(5)に示すRNA増幅反応を行ないつつ、蛍光特性の変化から、増幅したRNA転写産物を検出することができる(特許文献2および非特許文献3)。インターカレーター性蛍光色素としては、従来より知られた色素を用いることができ、一例として、オキサゾールイエロー、チアゾールオレンジ、エチジウムブロマイド、ヘミシアニンおよびこれらの誘導体があげられる。インターカレーター性蛍光色素は相補的2本鎖部分にインターカレートすることによって特定波長における蛍光強度が変化する。例えば、オキサゾールイエローは、2本鎖DNAにインターカレートすることによって510nmの蛍光(励起波長490nm)が顕著に増加する。なお本発明の検出方法でインターカレーター標識プローブを用いる場合、当該プローブの3’末端側の水酸基は適当な基で修飾し、3’末端側からの核酸伸長を防止するとよい(特許文献6および非特許文献4)。オリゴヌクレオチドへのインターカレーター性蛍光色素の標識は、従来より知られた方法で行なうことができ(特許文献6および非特許文献4)、市販のキット(例えばLabel−ON Reagents(Clontech社製))を利用してもよい。本発明の検出方法で使用するインターカレーター標識プローブの塩基配列は、具体的には、配列番号30(GenBank No.AJ239304の146番目から188番目までの領域)または配列番号31(GenBank No.AJ239304の381番目から412番目までの領域)に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの塩基配列であればよい。すなわち、前述したストリンジェントな条件下で、前記塩基配列と、十分に特異的かつ高効率にハイブリダイゼーション可能であれば、塩基配列の置換、欠失、付加、修飾があってもよい。プローブの長さは任意に設定できるが、好ましくは10塩基から30塩基までの範囲である。 第一のプライマーの5’末端側に、前記(4)の工程で使用するRNAポリメラーゼ活性を有する酵素に対応した、プロモーター配列を付加した場合、前記(1)の工程の前に、(0)淋菌16S rRNA中の特定塩基配列中の第一のプライマーとの相同領域の5’末端側と重複し、かつ当該重複部位から5’末端側に隣接した領域に相補的な切断用オリゴヌクレオチドと、RNase H活性を有する酵素により、前記特定核酸配列の5’末端側を切断する工程、を行なうと好ましい。特定塩基配列の5’末端部位で切断されることで、前記(1)の工程により合成したcDNAにハイブリダイズした第一のプライマーの、プロモーター配列に相補的なDNA鎖を、前記(3)の工程で前記cDNAの3’末端側を伸長することにより、効率的に合成することができ、結果として機能的な2本鎖DNAプロモーター構造を形成する。前記(0)の工程で使用するRNase H活性を有する酵素は、前述したレトロウイルス由来の逆転写酵素(例えばAMV逆転写酵素)が有するRNase H活性を利用してもよいし、別途RNase Hを添加してもよい。なお切断用オリゴヌクレオチドの3’末端にある水酸基は、伸長反応を防止するために適当な修飾(例えばアミノ化)を施すと好ましい。本発明の検出方法で使用する切断用オリゴヌクレオチドは、具体的には、配列番号7に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の41番目から189番目までの塩基配列)中の少なくとも連続する15塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドであればよい。すなわち、前述したストリンジェントな条件下で、前記塩基配列と、十分に特異的かつ高効率にハイブリダイゼーション可能であれば、塩基配列の置換、欠失、付加、修飾があってもよい。オリゴヌクレオチドの長さは任意に設定できるが、好ましくは15塩基から50塩基までの範囲である。 本発明の検出試薬は、少なくとも配列番号14に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な第一のプライマーと、配列番号24に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な第二のプライマーと、を含んでいればよい。前記第一のプライマーの好ましい例として、配列番号8、9、10、11、13のいずれかに記載の塩基配列の相補配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドがあげられる。また前記第二のプライマーの好ましい例として、配列番号15から23のいずれかに記載の塩基配列の相補配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドがあげられる。また、前記第一または第二のプライマーのいずれか一方は、その5’末端側にRNAポリメラーゼのプロモーター配列(例えば、配列番号32に記載の配列からなるT7プロモーター配列)を少なくとも付加していると好ましい。 さらに本発明の検出試薬に、配列番号30または31に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドにインターカレーター性蛍光色素を結合(標識)させたインターカレーター標識プローブ、および/または配列番号7に記載の塩基配列中の少なくとも連続する15塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な切断用オリゴヌクレオチド、を含んでいると好ましい。また前記切断用ヌクレオチドのさらに好ましい例として、配列番号1、2、3、4、6のいずれかに記載の塩基配列の相補配列中の少なくとも連続する15塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドがあげられる。なお、前記切断用ヌクレオチドは、前記第一のプライマーの5’末端側と重複し、かつ当該重複部位から5’側に隣接した領域に相補的な配列である必要である。例えば、(i)第一のプライマーが配列番号8に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の67番目から86番目までの塩基配列)からなるオリゴヌクレオチドである場合、切断用ヌクレオチドの一例として配列番号1に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の56番目から75番目までの塩基配列の相補配列)からなるオリゴヌクレオチドがあげられ、(ii)第一のプライマーが配列番号9に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の55番目から74番目までの塩基配列)からなるオリゴヌクレオチドである場合、切断用ヌクレオチドの一例として配列番号2に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の41番目から63番目までの塩基配列の相補配列)からなるオリゴヌクレオチドがあげられ、(iii)第一のプライマーが配列番号10に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の94番目から117番目までの塩基配列)からなるオリゴヌクレオチドである場合、切断用ヌクレオチドの一例として配列番号3に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の78番目から103番目までの塩基配列の相補配列)からなるオリゴヌクレオチドがあげられ、(iv)第一のプライマーが配列番号11に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の107番目から126番目までの塩基配列)からなるオリゴヌクレオチドである場合、切断用ヌクレオチドの一例として配列番号4に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の93番目から115番目までの塩基配列の相補配列)からなるオリゴヌクレオチドがあげられ、(v)第一のプライマーが配列番号13に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の182番目から201番目までの塩基配列)からなるオリゴヌクレオチドである場合、切断用ヌクレオチドの一例として配列番号6に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の170番目から189番目までの塩基配列の相補配列)からなるオリゴヌクレオチドがあげられる。 淋菌16S rRNAを含む試料に、本発明の検出試薬に含まれるオリゴヌクレオチド(プライマー・プローブ・切断用オリゴヌクレオチド)、AMV逆転写酵素、T7 RNAポリメラーゼ、緩衝剤、マグネシウム塩、カリウム塩、ヌクレオシド−三リン酸、リボヌクレオシド−三リン酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む増幅試薬を添加し、反応温度35から65℃(好ましくは40から50℃)の一定温度で反応させると同時に反応液の蛍光強度を経時的に測定することにより、試料中の淋菌16S rRNAの増幅および測定を、30分以内に実施することが可能である。 本発明は、淋菌16S rRNA中の特定塩基配列の一部と相同的な配列を有する第一のプライマーと、前記特定塩基配列の一部と相補的な配列を有する第二のプライマーとを用いて、前記特定塩基配列を含むポリヌクレオチドを増幅することで、試料中の淋菌16S rRNAを検出する方法であって、前記第一のプライマーが、配列番号14に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドであり、前記第二のプライマーが、配列番号24に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである、ことを特徴としている。前記第一および第二のプライマーを用いることで、迅速かつ特異性高く、試料中に微量に含まれる淋菌16S rRNAを増幅させることができる。よって遺伝子群や遺伝子型を問わず、淋菌を迅速かつ特異性高く検出することができる。 なお本発明では、配列番号30または31に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドにインターカレーター性蛍光色素を結合(標識)させたインターカレーター標識プローブを含んでいると好ましい。前記プローブをあらかじめ増幅系に添加することで、前記第一および第二のプライマーにより淋菌16S rRNA中の特定塩基配列を増幅させつつ、前記プローブの蛍光特性の変化により、増幅した前記特定塩基配列を経時的に検出することができる。前記増幅反応および前記検出は、試料および必要成分を添加した後は、途中蓋を開けることなく密閉容器中で実施できるため、コンタミネーション防止という点でも好ましい。 本発明により試料中に含まれる淋菌を高感度に検出することができ、検出時間も従来技術と比較し迅速である。そのため、検査結果を従来よりも迅速に医師に提示することが可能となり、感染拡大防止、および、適切な薬剤の投与による耐性菌の発生の防止に寄与するものと考えられる。実施例2で作製したインターカレーター性蛍光色素標識核酸プローブの構造。B1、B2、B3、B4は塩基を示す。なお、3’末端の水酸基からの伸長反応を防止するために3’末端の水酸基はグリコール酸修飾がなされている。 以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。 実施例1 標準RNAの調製 以降の実施例で使用する淋菌16S rRNA(以降、標準RNAと表記)は下記(1)から(4)に示す方法で調製した。(1)淋菌(ATCC No.19424)のRNA抽出物を用い、16S rRNA塩基配列領域の2本鎖DNAを調製した(なお、当該DNAの5’末端側にはSP6プロモーターを付加している)。(2)(1)で調製した2本鎖DNAを、定法に従い、pUC19プラスミドのマルチクローニングサイトに挿入し、大腸菌JM109株を形質転換した。(3)(2)の形質転換大腸菌の培養物からプラスミドを抽出し、挿入DNAの3’末端側を制限酵素で消化し、直鎖状のDNAを調製した。(4)(3)で調製したDNAを鋳型として、SP6 RNAポリメラーゼを用いてインビトロ(in vitro)転写を実施し、引き続きDNase I処理により前記2本鎖DNAを完全消化した後、RNAを精製し、標準RNAを調製した。当該RNAは260nmにおける吸光度を測定して定量した。 調製した標準RNAは、淋菌の16S rRNAの塩基配列を含み、全長は約1500塩基(当該RNAの5’末端にはSP6プロモーターに由来する8塩基が付加されている)である。 実施例2 インターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(INAFプローブ)の調製 インターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(以下、INAFプローブと表記)を非特許文献4に記載の方法で調製した。具体的には、配列番号25に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の170番目から188番目までの塩基配列の相補配列)のうち5’末端から8番目のシトシンと9番目のアデニンの間、配列番号26に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の176番目から195番目までの塩基配列の相補配列)のうち5’末端から10番目のシトシンと11番目のシトシンの間、配列番号27に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の381番目から402番目までの塩基配列(ただし389番目はシトシンではなくチミン)の相補配列)のうち5’末端から7番目のチミンと8番目のグアニンの間、配列番号28に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の396番目から412番目までの塩基配列の相補配列)のうち5’末端から4番目のシトシンと5番目のグアニンの間、配列番号29に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の146番目から162番目までの塩基配列の相補配列)のうち5’末端から7番目のグアニンと8番目のアデニンの間、のそれぞれリン酸ジエステル部分に、それぞれリンカーを介してオキサゾールイエローを結合させたオキサゾールイエロー標識核酸プローブを調製した(図1)。 実施例3 淋菌16S rRNA検出用プライマーセットの検討(その1) 表1および2に示す、第一のプライマー、第二のプライマー、INAFプローブ、切断用オリゴヌクレオチドの組み合わせ(プライマーセット)を用いて、下記(1)から(4)に示す方法で標準RNAの測定を行ない、検出性能、特異性等について評価した。(1)実施例1で調製した標準RNAを、RNA希釈液(10mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、1mM EDTA、0.25U/μL リボヌクレアーゼインヒビター、5.0mM DTT)を用いて、103コピー/5μLになるように希釈し、RNA試料として用いた。(2)以下の組成の反応液20μLを0.5mL容量PCR用チューブ(Individual Dome Cap PCR Tube、SSI社)に分注し、これに前記RNA試料5μLを添加した。 反応液の組成:濃度は酵素液添加後(30μL中)の最終濃度 60mM Tris−HCl緩衝液(pH8.6) 17mM 塩化マグネシウム 100mM 塩化カリウム 1mM DTT 各0.25mM dATP、dCTP、dGTP、dTTP 各3.0mM ATP、CTP、UTP、GTP 3.6mM ITP 1.0μM 第一のプライマー(当該プライマーは、各配列番号に記載の塩基配列 の5’末端側にT7プロモータ配列(配列番号32)を付加している) 1.0μM 第二のプライマー 25nM INAFプローブ(実施例2で調製) 各0.16μM 切断用オリゴヌクレオチド(当該オリゴヌクレオチドの3’末端 側水酸基はアミノ基で修飾されている) 6U リボヌクレアーゼインヒビター(タカラバイオ社) 13.0% DMSO(3)上記の反応液を、43℃で5分間保温後、以下の組成で、予め43℃で2分間保温した酵素液5μLを添加した。 酵素液の組成:反応時(30μL中)の最終濃度 2.0% ソルビトール 6.4U AMV逆転写酵素 (ライフサイエンス社) 142U T7 RNAポリメラーゼ (インビトロジェン社) 3.6μg 牛血清アルブミン(4)引き続きPCRチューブを直接測定可能な温調機能付き蛍光分光光度計を用い、43℃で反応させると同時に反応溶液の蛍光強度(励起波長470nm、蛍光波長520nm)を経時的に30分間測定した。 酵素添加時を0分として、反応液の蛍光強度比(所定時間の蛍光強度値をバックグラウンドの蛍光強度比で割った値)が1.2を超えた場合を陽性判定とし、そのときの時間を検出時間とした結果を表1および2に示す。表中のNegaとは、標的核酸の代わりに注射用蒸留水を加えて反応させたものである。表中のN.D.とは、酵素を添加して30分後の蛍光強度比が1.2未満(陰性判定)であった試料を意味する。表中の「判定」とは、標準RNAの検出時間、Negaの測定結果、蛍光強度比などから総合的に判断したものであり、良好な組み合わせから順番に「○」「△」「×」と記載している。 表1および2の結果より、切断用オリゴヌクレオチドとして、配列番号7に記載の塩基配列中の少なくとも連続する15塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの一例である、配列番号1に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の56番目から75番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号2に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の41番目から63番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号3に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の78番目から103番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号4に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の93番目から115番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号6に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の170番目から189番目までの塩基配列の相補配列)、のいずれかからなるオリゴヌクレオチドが、第一のプライマーとして、配列番号14に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの一例である、配列番号8に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の67番目から86番目までの塩基配列)、配列番号9に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の55番目から74番目までの塩基配列)、配列番号10に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の94番目から117番目までの塩基配列)、配列番号11に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の107番目から126番目までの塩基配列)、配列番号13に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の182番目から201番目までの塩基配列)、のいずれかからなるオリゴヌクレオチドが、第二のプライマーとして、配列番号24に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの一例である、配列番号15に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の387番目から404番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号16に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の402番目から418番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号17に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の403番目から419番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号18に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の406番目から425番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号19に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の412番目から435番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号20に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の426番目から448番目までの塩基配列の相補配列)、のいずれかからなるオリゴヌクレオチドが、INAFプローブを構成するオリゴヌクレオチドとして、配列番号30または31に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの一例である、配列番号25に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の170番目から188番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号27に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の381番目から402番目までの塩基配列(ただし389番目はシトシンではなくチミン)の相補配列)、配列番号28に記載の塩基配列(GenBank No.AJ239304の396番目から412番目までの塩基配列の相補配列)、のいずれかからなるオリゴヌクレオチドが、それぞれ使用できることが分かった。 実施例4 淋菌16S rRNA検出用プライマーセットの検討(その2) 実施例3の結果、「○」と判定したオリゴヌクレオチドの組み合わせのうち、特に良好な性能であると判断した、以下の組み合わせについて、低濃度領域における標準RNAの測定を行なった。なお実験方法は、RNA試料として102コピー/5μL、300コピー/5μL、103コピー/5μLを用いた他は、実施例3と同じである。(組み合わせA) 切断用オリゴヌクレオチド:配列番号1、第一のプライマー:配列番号8 第二のプライマー:配列番号15、INAFプローブ:配列番号25(組み合わせM) 切断用オリゴヌクレオチド:配列番号2、第一のプライマー:配列番号9 第二のプライマー:配列番号15、INAFプローブ:配列番号25(組み合わせAK) 切断用オリゴヌクレオチド:配列番号4、第一のプライマー:配列番号11 第二のプライマー:配列番号15、INAFプローブ:配列番号25(組み合わせAM) 切断用オリゴヌクレオチド:配列番号4、第一のプライマー:配列番号11 第二のプライマー:配列番号17、INAFプローブ:配列番号25(組み合わせBK) 切断用オリゴヌクレオチド:配列番号6、第一のプライマー:配列番号13 第二のプライマー:配列番号17、INAFプローブ:配列番号27(組み合わせBS) 切断用オリゴヌクレオチド:配列番号6、第一のプライマー:配列番号13 第二のプライマー:配列番号19、INAFプローブ:配列番号28 結果を表3に示す。本実施例で検討した6つの組み合わせのうち、組み合わせA/AK/AM/BK/BSは、低濃度の淋菌16S rRNA検出に特に好ましいことが判明した。 実施例5 淋菌16S rRNA検出用プライマーセットの検討(その3) 実施例4の結果、低濃度の淋菌16S rRNA検出に好ましいとされた5つの組み合わせ(組み合わせA/AK/AM/BK/BS)について、反応特異性(交差反応性)を検討した。なお実験方法は、RNA試料として下記に示す淋菌以外のナイセリア属菌培養物のRNA抽出物を用いた他は、実施例3と同様である。また培養物からのRNA抽出には、RNeasy mini kit(キアゲン社)を使用した。 Neisseria elongata(ATCC No.25295) Neisseria sicca(ATCC No.29256) Neisseria cinerea(ATCC No.14685) Neisseria lactamica(ATCC No.23970) Neisseria subflava(ATCC No.49275) Neisseria flava(ATCC No.14221) Neisseria mucosa(ATCC No.25999) Neisseria flavescens(ATCC No.13120) 結果を表4に示す。本実施例で検討した5つの組み合わせのうち、組み合わせAK/AM/BSは、淋菌16S rRNAに対する反応特異性が特に高い(交差反応性が特に低い)ことが判明した。 また、淋菌16S rRNAに対する反応特異性が特に高かった3つの組み合わせ(組み合わせAK/AM/BS)について、各反応液中のRNA増幅産物の有無をアガロース電気泳動にて確認した。結果を表5に示す。表5において、電気泳動における+の数は、増幅産物に由来するバンドの濃さの程度を示したものであり、+の数が多いほど増幅産物量が多いことを表している。−は増幅産物が生成しなかったことを表している。前記3つの組み合わせのうち、組み合わせAMがRNA増幅段階での特異性が最も高いことが判明した。 実施例6 淋菌16S rRNA検出用プライマーセットの検討(その4) 実施例5で選定したオリゴヌクレオチドの組み合わせ(組み合わせAM)のうち、第二のプライマーを、配列番号21(GenBank No.AJ239304の403番目から418番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号22(GenBank No.AJ239304の395番目から414番目までの塩基配列の相補配列)または配列番号23(GenBank No.AJ239304の395番目から409番目までの塩基配列の相補配列)からなるオリゴヌクレオチドに変更して、Neisseria cinerea(ATCC No.14685)存在下での淋菌16S rRNA検出を検討した。なお実験方法は、RNA試料として、50cfu(colony forming unit)/testの淋菌RNA抽出物と102cfu/testから107cfu/testのNeisseria cinerea(ATCC No.14685)RNA抽出物との混合物を用いた他は、実施例3と同様である。また菌からのRNA抽出には、RNeasy mini kit(キアゲン社)を使用した。 結果を表6に示す。第二のプライマーを配列番号17(組み合わせAM)から配列番号23に変更することで、高濃度のNeisseria cinerea(ATCC No.14685)が存在しても淋菌16S rRNAを検出できることが判明した。 実施例7 淋菌16S rRNA検出用プライマーセットの検討(その5) 実施例6で選定したオリゴヌクレオチドの組み合わせ(切断用オリゴヌクレオチド:配列番号4、第一のプライマー:配列番号11、第二のプライマー:配列番号23、INAFプローブ:配列番号25)のうち、INAFプローブを配列番号28(GenBank No.AJ239304の396番目から412番目までの塩基配列の相補配列)または配列番号29(GenBank No.AJ239304の146番目から162番目までの塩基配列の相補配列)からなるプローブに変更して、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対する交差反応性を検討した。なお実験方法は、RNA試料として下記に示す髄膜炎菌培養物のRNA抽出物を用いた他は、実施例3と同様である。また培養物からのRNA抽出には、RNeasy mini kit(キアゲン社)を使用した。 髄膜炎菌(血清型A)(ATCC No.13077) 髄膜炎菌(血清型B)(ATCC No.BAA−335) 髄膜炎菌(血清型C)(ATCC No.13102) 髄膜炎菌(血清型D)(ATCC No.13113) 髄膜炎菌(血清型Y)(ATCC No.35561) 髄膜炎菌(血清型W135)(ATCC No.35559) 結果を表7に示す。配列番号29に記載の塩基配列からなるINAFプローブを用いたときは髄膜炎菌に対する交差反応性がないことが判明した。 実施例3から7までの検討で得られた、淋菌16S rRNAを増幅検出するのに最適なオリゴヌクレオチドの組み合わせを表8に示す。 実施例8 選定したプライマーセットを用いた淋菌の検出 表8に記載のオリゴヌクレオチドの組み合わせ(プライマーセット)を用い、下記(1)から(3)に示す方法で淋菌の検出を行なった。(1)トリプチケースソイ(Trypticase Soy)培地(ベクトンディッキンソン社)を用い、5%CO2環境下で液体培養した淋菌(ATCC No.19424)をPBSで段階希釈し、希釈系列を調製した。淋菌の段階希釈液は、チョコレートII寒天培地(ベクトンディッキンソン社)に接種し、コロニー数をカウントすることで濃度を決定した。(2)(1)で調製した淋菌希釈系列を、EXTRAGEN II(東ソー社)で抽出し、RNA抽出物を調製した。(3)オリゴヌクレオチドの組み合わせとして表8の組み合わせを、RNA試料として(2)で調製したRNA抽出物を用いた他は、実施例3に記載と同様な方法で測定を行なった。 結果を表9に示す。淋菌0.03cfu/testまで検出可能であり、検出時間も20分以内と、極めて迅速、かつ高感度に測定可能であることが判明した。淋菌16S rRNA中の特定塩基配列の一部と相同的な配列を有する第一のプライマーと、前記特定塩基配列の一部と相補的な配列を有する第二のプライマーとを用いて、前記特定塩基配列を含むポリヌクレオチドを増幅することで、試料中の淋菌16S rRNAを検出する方法であって、前記第一のプライマーが、配列番号14に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドであり、前記第二のプライマーが、配列番号24に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである、前記検出方法。前記第一のプライマーが、配列番号11に記載の塩基配列の相補配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドであり、前記第二のプライマーが、配列番号23に記載の塩基配列の相補配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の検出方法。前記第一または第二のプライマーのいずれか一方は、その5’末端側にRNAポリメラーゼのプロモーター配列を少なくとも付加している、請求項1または2に記載の検出方法。淋菌16S rRNA中の特定塩基配列を含むポリヌクレオチドの増幅を、(1)第二のプライマーおよびRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素による、淋菌16S rRNAを鋳型とした特定塩基配列に相補的なcDNAを合成する工程、(2)リボヌクレアーゼH(RNase H)活性を有する酵素による、RNA−DNA2本鎖のRNAを分解する工程(1本鎖DNAの生成)、(3)第一のプライマーおよびDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素による、前記1本鎖DNAを鋳型とした特定塩基配列または特定塩基配列に相補的な配列のRNAを転写可能なプロモーター配列を有する2本鎖DNAを生成する工程、(4)RNAポリメラーゼ活性を有する酵素による、前記2本鎖DNAを鋳型とするRNA転写産物を生成する工程、および(5)前記RNA転写産物が、前記(1)の工程におけるcDNA合成の鋳型となることで、連鎖的にRNA転写産物を生成する工程、により行なう、請求項3に記載の検出方法。生成したRNA転写産物を、当該転写産物の一部の塩基配列と相補的2本鎖を形成すると、形成前と比較し蛍光特性が変化するプローブを用いて検出し、かつ前記プローブの塩基配列が配列番号30または31に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの塩基配列である、請求項4に記載の検出方法。第二のプライマーおよびRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素による、淋菌16S rRNAを鋳型とした特定塩基配列に相補的なcDNAを合成する工程の前に、前記特定塩基配列中の第一のプライマーとの相同領域の5’末端側と重複し、かつ当該重複部位から5’末端側に隣接した領域に相補的な切断用オリゴヌクレオチドと、RNase H活性を有する酵素により、前記特定塩基配列の5’末端側を切断する工程を行ない、かつ前記切断用オリゴヌクレオチドが、配列番号7に記載の塩基配列中の少なくとも連続する15塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである、請求項4または5に記載の検出方法。配列番号14に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドと、配列番号24に記載の塩基配列中の少なくとも連続する10塩基とストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドと、を少なくとも含む、淋菌16S rRNAの検出試薬。 【課題】 淋菌検査において、従来の検査キットと比較し、高感度、高特異性、かつ迅速に結果が得られる方法を提供すること。【解決手段】 淋菌16S rRNA中の特定塩基配列の一部と相同的な配列を有する、特定の塩基配列からなる第一のプライマーと、前記特定塩基配列の一部と相補的な配列を有する、特定の塩基配列からなる第二のプライマーとを用いて、前記特定塩基配列を含むポリヌクレオチドを増幅し検出することにより、前記課題を解決する。【選択図】 なし配列表


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