タイトル: | 公開特許公報(A)_クレンジング用組成物 |
出願番号: | 2012056963 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 8/37,A61K 8/891,A61K 8/97,A61Q 19/10 |
平田 喜洋 布施 靖久 JP 2013189398 公開特許公報(A) 20130926 2012056963 20120314 クレンジング用組成物 交洋ファインケミカル株式会社 596012397 柳野 隆生 100074561 森岡 則夫 100124925 関口 久由 100141874 中川 正人 100163577 平田 喜洋 布施 靖久 A61K 8/37 20060101AFI20130830BHJP A61K 8/891 20060101ALI20130830BHJP A61K 8/97 20060101ALI20130830BHJP A61Q 19/10 20060101ALI20130830BHJP JPA61K8/37A61K8/891A61K8/97A61Q19/10 7 OL 14 4C083 4C083AA121 4C083AA122 4C083AB172 4C083AC351 4C083AC352 4C083AC392 4C083AC421 4C083AC422 4C083AD151 4C083AD152 4C083AD172 4C083CC23 4C083EE01 本発明は、クレンジング用組成物に関する。 クレンジング用組成物は、皮膚の汚れ成分や化粧料成分を皮膚から除去し、これらの成分が皮膚の毛孔を塞ぐこと等により発生する肌荒れや肌のくすみを防止するために用いられている。クレンジング用組成物の中でも、取扱い性や常温での保存安定性が良好で、化粧落としや洗顔が簡単なことから、常温で液状であるオイル成分を主成分とする液状クレンジング用組成物が主流となっている。さらに、皮膚への付着性を高めるため、液状クレンジング用組成物にゲル化剤を添加したゲル状クレンジング用組成物も良く用いられている。 クレンジング用組成物が世界中に広く普及したことにより、クレンジング用組成物の凍結固化が1つの問題になっている。地球上には、シベリア、中国東北部、カナダ極北部、アラスカ、山岳地域、特に日本では北海道や東北地方の一部等のように、人の居住地区でありながら、冬季の環境温度が−20℃又はそれを下回るような極低温になる地域が広範囲にわたって存在する。このような地域では、クレンジング用組成物が屋内でも凍結固化することがある。もちろん、凍結固化したクレンジング用組成物を加温して融解すればよいが、凍結したものを融解すると、分離、成分の析出や沈殿等が起こるおそれがある。さらに、変質した成分が肌に悪影響を及ぼすおそれもある。また、凍結固化したゲル状クレンジング用組成物を融解した場合、ゲルの状態に復帰しない場合がある。 一方、液状及びゲル状クレンジング用組成物に含まれる主要なエステル油として、エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。エチルヘキサン酸セチルは、非常にべたつきが少なく、皮膚になじみ易く、皮膚呼吸を妨げず、毒性及び刺激性が少なく、高いエモリエント効果を発揮することから、クレンジング用組成物に広く使用されている。しかし、エチルヘキサン酸セチルはそれ自体が−20℃の極低温環境下で凍結固化し、エチルヘキサン酸セチルを含むクレンジング用組成物も、−20℃で凍結固化する。したがって、エチルヘキサン酸セチルを含み、−20℃の極低温環境下でも凍結しないクレンジング用組成物が望まれている。 従来から、エチルヘキサン酸セチルを含むクレンジング用組成物が種々提案されている。例えば、炭素数6〜9の飽和分岐二価アルコールとネオペンタン酸とのジエステルと共に、流動パラフィン、エチルヘキサン酸セチル、ジメチコン、シクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサン)等の油状成分を含有するクレンジング用組成物が挙げられる(特許文献1、段落[0062]参照)。 また、エチルヘキサン酸セチル、トリエチルヘキサノイン等のエステル油や、オレンジ油等の植物油といった油状成分と共に、糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルよりなる群から選ばれるHLB7〜17のノニオン系界面活性剤と、蛋白質分解酵素とを含有するクレンジング化粧料が挙げられる(特許文献2参照)。 エチルヘキサン酸セチル、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビストエキシジグリコール、パルミチン酸エチルヘキシル等のエステル油に、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10、セスキカプリル酸ポリグリセリル−2、ジオレイン酸ポリグリセリル−10等の油とグリセリンとからなる界面活性剤を添加し、さらにアオモジ果実油等の柑橘系精油で着香したオイル型クレンジング用組成物(商品名:オイルクレンジングシトラス、ミストラル・コスメティクス製)が市販されている。 しかしながら、特許文献1及び2に記載のクレンジング用組成物及び上記市販のクレンジング用組成物は、低温環境下での保存安定性が十分ではない場合があり、さらに−20℃の極低温環境下では凍結固化する場合がある。特開2005−206573号公報特開2005−306823号公報 本発明の目的は、上記した優れた特性を有するエチルヘキサン酸セチルを含み、−20℃の極低温環境下でも凍結固化せず、保存安定性に優れたクレンジング用組成物を提供することである。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、エチルヘキサン酸セチルに、柑橘系精油と共に、特定のオイルの混合物であるオイル成分を添加することにより、単独では−20℃で凍結するエチルヘキサン酸セチルを用いても、エチルヘキサン酸セチルに起因する−20℃の極低温環境下での凍結固化が抑制されたクレンジング組成物が得られることを見出した。本発明者は、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、下記(1)〜(7)のクレンジング用組成物を提供する。 (1)(a)エチルヘキサン酸セチル、(b)シリコーン油、グリセリン脂肪酸エステル及びネオペンタン酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも2種の常温で液状のオイル成分、並びに、(c)柑橘系精油を含有し、(c)柑橘系精油の含有量が全量の5〜20重量%である、クレンジング用組成物。 (2)(c)柑橘系精油がオレンジ油、グレープフルーツ油、シトロネラ油、ユズ油、ダンジュリン油、ベルガモット油、マンダリン油、メイチャン油、メリッサ油、ライム油、レモン油、レモングラス油、レモンバーベナ油、レモンユーカリ油及びスイートオレンジ油よりなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)のクレンジング用組成物。 (3)シリコーン油がシクロペンタシロキサン及び/又はジメチコンであり、グリセリン脂肪酸エステルがトリエチルヘキサノインであり、且つ、ネオペンタン酸エステルがジネオペンタン酸メチルペンタンジオール及び/又はジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオールである上記(1)又は(2)のクレンジング用組成物。 (4)(a)エチルヘキサン酸セチル15〜30重量%と、(b)常温で液状のオイル成分50〜80重量%と、(c)柑橘系精油5〜20重量%とを含有する上記(1)〜(3)のいずれかのクレンジング用組成物。 (5)上記(1)〜(4)のいずれかのクレンジング用組成物100重量部に対して、(d)シリル化シリカ0.1〜10重量部を含有するクレンジング用組成物。 (6)(a)エチルヘキサン酸セチル15〜30重量%と、(b)シクロペンタシロキサン、ジメチコン、トリエチルヘキサノイン、並びに、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール及び/又はジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオールを含む常温で液状のオイル成分50〜80重量%と、(c)柑橘系精油5〜20重量%とを含有するクレンジング用組成物。 (7)上記(6)のクレンジング用組成物100重量部に対して、(d)シリル化シリカ0.1〜10重量部を含有するクレンジング用組成物。 本発明によれば、クレンジング性能を有し、−20℃の極低温環境下でも凍結せず、保存安定性に優れたクレンジング用組成物が提供される。上記(a)〜(c)の各成分からなる本発明のクレンジング用組成物は液状であり、−20℃の極低温環境下から常温に戻した場合に、成分の析出や沈殿が発生し難い。また、上記(a)〜(d)の各成分からなる本発明のクレンジング用組成物はゲル状であり、−20℃の極低温環境下から常温に戻した場合でも、分離せず、ゲルの状態を保持している。 本発明のクレンジング用組成物(以下「本発明第1組成物」とする)は、(a)エチルヘキサン酸セチル、(b)常温で液状のエステル油及びシリコーン油の混合物である特定のオイル成分及び(c)柑橘系精油を含み、(c)柑橘系精油の含有量が5〜20重量%である。このような組成を有する本発明第1組成物は、エチルヘキサン酸セチルを含んでいるにもかかわらず、−20℃の極低温環境下でも凍結せず、さらに良好なクレンジング性能を有している。 また、本発明第1組成物は、優れた保存安定性を有し、常温ではもちろんのこと、−20℃又はより低い温度で長期間保存しても、成分の析出や沈殿等が発生せず、安定な分散状態を維持することができる。さらに、本発明第1組成物は、液温を常温に戻した場合、及び−20℃よりもさらに低い温度で凍結して再融解させた場合のいずれにおいても、分離、成分の析出や沈殿等が非常に発生し難く、安定な分散状態を維持することができる。 本発明第1組成物の(a)〜(c)の各成分は、具体的には次の通りである。 本発明第1組成物において、(a)成分として用いるエチルヘキサン酸セチルは、分岐鎖状の脂肪酸である2−エチルヘキサン酸と、植物由来の高級飽和脂肪族アルコールであるセチルアルコール(CH3(CH2)15OH)とのエステルである。 エチルヘキサン酸セチルは、無色透明なエステル油であり、例えば、酸価1以下、エステル価135〜160、ヨウ素価1以下といった化学的特性を有している。エチルヘキサン酸セチルは、非常にべたつきが少なく、皮膚になじみ易く、皮膚呼吸を妨げず、毒性及び刺激性が少なく、高いエモリエント効果を発揮するエチルヘキサン酸セチルは、本発明第1組成物において、例えば、それ自体がクレンジング性能を示すと共に、皮膚に良く馴染んでエモリエント効果を示すといった働きをしているものと推測される。 エチルヘキサン酸セチルとしては市販品を使用できる。市販品の具体例としては、例えば、コーヨーCOC(商品名、交洋ファインケミカル(株)製)、エキセパールHO(商品名、花王(株)製)、CEH(商品名、高級アルコール工業(株)製)、EMALEXCC−168(商品名、日本エマルジョン(株)製)、MファインオイルEHC(商品名、ミヨシ油脂(株)製)、NS−CIO(商品名、日本精化(株)製)、サラコス816T(商品名、日清オイリオグループ(株)製)、テルコール(商品名、川研ファインケミカル(株)製)等が挙げられる。 本発明第1組成物における(a)エチルヘキサン酸セチルの含有量は、好ましくは本発明第1組成物全量の15〜30重量%、さらに好ましくは16〜28重量%である。(a)エチルヘキサン酸セチルの含有量が15重量%未満では、本発明第1組成物の皮膚との馴染み性が不十分になり、皮膚の荒れを抑制する効果が不十分になるといった傾向がある。一方、(a)エチルヘキサン酸エチルの含有量が30重量%を超えると、(b)常温で液状の特定のオイル成分(特定の成分組成を有するオイル混合物)と(c)柑橘系精油とを併用しても、エチルヘキサン酸セチルに起因する本発明第1組成物の−20℃での凍結固化を十分に抑制できなくなるといった傾向がある。 本発明第1組成物において、(b)成分である常温で液状のオイル成分(以下「(b)オイル成分」とする)とは、シリコーン油、グリセリン脂肪酸エステル及びネオペンタン酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも2種のオイル成分の混合物である。ここで、常温とは、20℃〜30℃の温度環境を意味する。特定の成分組成を有する(b)オイル成分を(c)柑橘系精油と共に用いることにより、(c)柑橘系精油の脱脂力を程よく抑制しながら、(a)エチルヘキサン酸セチルに起因する−20℃の極低温環境下での本発明第1組成物の凍結固化を抑制し、均一な分散状態を保持することができる。 (b)オイル成分に含まれる各成分は、前記したように、他の成分と協働して本発明第1組成物の−20℃での凍結固化を抑制すると共に、それぞれがクレンジング用組成物の成分として働いている。(b)オイル成分に含まれる各成分は、具体的には次の通りである。 シリコーン油は、従来から化粧料やクレンジング用組成物の分野で使用されているシリコーン油である。その具体例としては、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン油、シクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シリコーン油等が挙げられる。シリコーン油は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。 上記シリコーン油の中でも、鎖状シリコーン油としてはジメチコンが好ましく、環状シリコーン油としてはシクロペンタシロキサンが好ましい。本発明では、鎖状シリコーン油と、環状シリコーン油とを組み合わせて用いるのが好ましく、ジメチコンとシクロペンタシロキサンとを組み合わせて用いるのが特に好ましい。シリコーン油は、例えば、皮膚表面に付着する化粧料等と本発明第1組成物との馴染み性を高めることにより、本発明第1組成物のクレンジング性能を向上させるといった働きをしているものと推測される。 シリコーン油としては市販品も使用できる。例えば、ジメチコンの市販品としては、7−3099 Dimethicone HIP Emulsion、FZ−4150(商品名、東レ・ダウコーニング(株)製)、BELSIL(商標名)DM10、BELSIL DM100、BELSIL DM1000、(いずれも商品名、旭化成ワッカーシリコーン(株)製)、KF−96−1,000cs、KF−96A−100cs、KF−96A−6cs、KF−96A−10cs、KF−96A−20cs、KF−96A−30cs(いずれも商品名、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。また、シクロペンタシロキサンの市販品としては、例えば、KF−995(商品名、信越化学工業(株)製)、SH245(商品名、東レ・ダウコーニング(株)製)等が挙げられる。さらに、ジメチコンとシクロペンタンシロキサンとが予め混合された市販品も使用できる。 (b)オイル成分におけるシリコーン油の含有量は特に限定されないが、好ましくは(b)オイル成分全量の40〜60重量%、さらに好ましくは44〜56重量%である。シリコーン油の含有量が40重量%未満では、本発明第1組成物のクレンジング性能が低下する傾向がある。一方、シリコーン油の含有量が60重量%を超えると、他の(b)オイル成分の含有量が相対的に低くなり、各成分の相溶性や均一分散性が低下する傾向がある。 グリセリン脂肪酸エステルは、従来から化粧料やクレンジング用組成物の分野で使用されている、脂肪酸とグリセリンとのエステルである。このエステルは、モノグリセリドエステル、ジグリセリドエステル及びトリグリセリドエステルを含み、本発明第1組成物の保存安定性といった観点から、トリグリセリドエステルが好ましい。 トリグリセリドエステルの具体例としては、例えば、トリエチルヘキサノイン(トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル)、トリイソステアリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル等が挙げられる。トリグリセリドエステルの中でも、トリエチルヘキサノインがさらに好ましい。グリセリン脂肪酸エステルは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。グリセリン脂肪酸エステルは、例えば、各成分の均一な分散性を高めることにより、保存安定性を向上させるといった働きをすると推測される。 グリセリン脂肪酸エステルとしては、市販品も使用できる。例えば、トリエチルヘキサノインの市販品としては、EMALEX OTG(商品名、日本エマルジョン(株)製)、IOTG(商品名、日本精化(株)製)、NIKKOL Trifat S−308(商品名、日光ケミカルズ(株)製)、T.I.O(商品名、日清オイリオグループ(株)製)、TOG(商品名、高級アルコール工業(株)製)、パナセート(商標名)800B(商品名、日油(株)製)等が挙げられる。 (b)オイル成分におけるグリセリン脂肪酸エステルの含有量は特に限定されないが、好ましくは(b)オイル成分全量の20〜30重量%、さらに好ましくは22〜28重量%である。グリセリン脂肪酸エステルの含有量が18重量%未満では、本発明第1組成物の各成分の均一分散性や保存安定性が低下するといった傾向がある。一方、グリセリン脂肪酸エステルの含有量が30重量%を超えると、相対的に他のオイル成分の量が減少することにより、本発明第1組成物のクレンジング性能が低下する傾向がある。 ネオペンタン酸エステルは、従来から化粧料やクレンジング用組成物の分野において、エモリエント剤や結合剤等として使用されているオイル成分である。ネオペンタン酸エステルの具体例としては、例えば、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸エチルヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸トリデシル、ネオペンタン酸ミリスチル等のモノエステル類、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール等のジエステル類等が挙げられる。これらの中でも、本発明第1組成物のクレンジング性能等の観点から、ジエステル類が好ましい。ネオペンタン酸エステルは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。 ネオペンタン酸エステルは、例えば、本発明第1組成物の皮膚への馴染み性や皮膚表面での延び性を高めることにより、本発明第1組成物のクレンジング性能等を高めるような働きをしているものと推測される。 ネオペンタン酸エステルとしては、市販品も使用できる。その具体例としては、Neosolue−DE(商品名、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、日本精化(株)製)、Neosolue−MP(商品名、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、日本精化(株)製)、セラフィル375(商品名、ネオペンタン酸イソステアリル、アイエスピー・ジャパン(株)製)、ネオライト180P(商品名、ネオペンタン酸イソステアリル、高級アルコール工業(株)製)等が挙げられる。 (b)オイル成分におけるネオペンタン酸エステルの含有量は特に限定されないが、好ましくは(b)オイル成分全量の20〜30重量%、より好ましくは22〜28重量%である。ネオペンタン酸エステルの含有量が20重量%未満では、本発明第1組成物の皮膚への馴染み性や皮膚表面での延び性が不十分になる傾向がある。一方、ネオペンタン酸エステルの含有量が30重量%を超えると、相対的に他のオイル成分の量が減少することにより、本発明第1組成物のクレンジング性能や保存安定性が低下する傾向がある。 (b)オイル成分の特に好ましい実施形態としては、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、トリエチルヘキサノイン、並びに、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール及び/又はジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオールからなるオイル混合物が挙げられる。このオイル混合物は、後述する(c)柑橘系精油と協働して、(a)エチルヘキサン酸セチルに起因する本発明第1組成物の−20℃での凍結固化を抑制し、皮膚表面に付着する化粧料等や皮膚と馴染み易く、良好なクレンジング性能を示し、本発明第1組成物の均一分散性や保存安定性を高めることができる。 本発明第1組成物における(b)オイル成分の含有量は、好ましくは本発明第1組成物全量の50〜80重量%、さらに好ましくは55〜76重量%である。(b)オイル成分の含有量が50重量%未満では、本発明第1組成物の皮膚表面や皮膚表面に付着する化粧料成分への馴染み性や展着性が低下し、結果としてクレンジング性能が低下する傾向がある。一方、(b)オイル成分の含有量が80重量%を超えると、相対的に(c)柑橘系精油の含有量が減少することにより、(a)エチルヘキサン酸セチルに起因する本発明第1組成物の−20℃での凍結固化を抑制する効果が低下する傾向がある。 本発明第1組成物において(c)成分として用いられる柑橘系精油(いわゆるミカン科植物性精油)は、通常は、化粧料やシャンプー・リンス等に着香料等として極微量添加されるオイル成分である。(c)柑橘系精油は、本発明第1組成物において、例えば、(b)オイル成分と協働して、(a)エチルヘキサン酸セチルに起因する本発明第1組成物の−20℃での凍結固化を抑制する働きをしていると推測される。(c)柑橘系精油がこのような働きを示す理由は現状では明らかではないが、(c)柑橘系精油に共通して含まれるリモネンやシトラールが関与しているとも考えられる。(c)柑橘系精油としては、柑橘系植物(ミカン科植物)から採取される精油であれば特に限定されないが、例えば、オレンジ油、グレープフルーツ油、シトロネラ油、ユズ油、ダンジュリン油、ベルガモット油、マンダリン油、メイチャン油、メリッサ油、ライム油、レモン油、レモングラス油、レモンバーベナ油、レモンユーカリ油、スイートオレンジ油、タンジェリン油、夏ミカン油、レンモティートリー油、橙油等が挙げられる。これらの中でも、入手のし易さ等を考慮すると、オレンジ油、グレープフルーツ油、シトロネラ油、ユズ油、ダンジュリン油、ベルガモット油、マンダリン油、メイチャン油、メリッサ油、ライム油、レモン油、レモングラス油、レモンバーベナ油、レモンユーカリ油、スイートオレンジ油等が好ましい。(c)柑橘系精油は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。柑橘系精油は市販品を使用できる。 本発明第1組成物における(c)柑橘系精油の含有量は、好ましくは、本発明第1組成物全量の5〜20重量%、さらに好ましくは8〜17重量%である。柑橘系精油の含有量が5重量%未満では、(a)エチルヘキサン酸セチルに起因する本発明第1組成物の−20℃での凍結固化を抑制する効果が低下する傾向がある。柑橘系精油の含有量が20重量%を超えても(a)エチルヘキサン酸セチルに起因する本発明第1組成物の−20℃での凍結固化を抑制する効果は変わらないが、柑橘系精油に起因する脱脂力が高くなりすぎ、肌荒れ等を引き起こす傾向がある。 本発明第1組成物の好ましい実施形態は、(a)エチルヘキサン酸セチル15〜30重量%と、(b)シクロペンタシロキサン、ジメチコン、トリエチルヘキサノイン、並びに、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール及び/又はジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオールを含む常温で液状のオイル成分50〜80重量%と、(c)柑橘系精油5〜20重量%と、を含有するクレンジング用組成物である。このクレンジング用組成物は、−20℃の極低温環境でも凍結せず、良好なクレンジング性能及び保存安定性を有している。 本発明第1組成物は、例えば、上記した各成分を混合することにより調製できる。 本発明第2組成物は、本発明第1組成物であるクレンジング用組成物100重量部に対して(d)シリル化シリカ0.1〜10重量部、好ましくは1〜8重量部を含む、ゲル型クレンジング用組成物であり、クレンジング性能を有している。本発明第2組成物は、本発明第1組成物と同様に、−20℃の極低温環境下でも凍結せず、常温はもちろんのこと、−20℃又はそれよりもさらに低い温度で良好な分散安定性を有し、保存安定性に優れている。例えば、本発明第2組成物を長期保存しても、分離が起こり難く、成分や成分同士の反応物等が析出したり、沈殿したりすることが非常に少ない。また、本発明第2組成物は、−20℃よりさらに低い温度で凍結したとしても、再融解させた場合には、分離せず、ゲルの状態に復帰することができる。 本発明第2組成物において用いられる本発明第1組成物は、上記した(a)エチルヘキサン酸セチル、(b)常温で液状のオイル成分混合物及び(c)柑橘系精油を含むオイル型クレンジング用組成物である。 本発明第2組成物において用いられる(d)シリル化シリカは、無水ケイ酸をジメチルクロロシランやトリメチルクロルシランで処理することにより得られ、白色の流動性粉体であり、エステル油やシリコーン油を増粘する機能を有している。シリル化シリカは、制汗剤、デオドラント、スキンケア、フレグランス、ヘアケア等の用途には既に使用されている。シリル化シリカの具体例としては、例えば、ジメチルシリル化シリカ、トリメチルシリル化シリカ等が挙げられる。シリル化シリカは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。 シリル化シリカは、本発明第2組成物において、例えば、(a)エチルヘキサン酸セチルに起因する本発明第2組成物の−20℃での凍結固化を抑制する効果に悪影響を及ぼすことなく、本発明第2組成物をゲル化する働きをすると推測される。 シリル化シリカとしては市販品をも使用できる。トリメチルシリル化シリカの市販品としては、VM−2270 Aerogel Fine Particle(商品名、東レ・ダウコーニング(株)製)、HDK(商標名、以下同じ)H2000(商品名、旭化成ワッカーシリコーン(株)製)等が挙げられる。ジメチルシリル化シリカの市販品としては、HDK H15、HDK H18、HDK H20、HDK H30(いずれも商品名、旭化成ワッカーシリコーン(株)製)等が挙げられる。 本発明第2組成物における(d)シリル化シリカの含有量は、本発明第1組成物100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは1〜8重量部である。シリル化シリカの含有量が0.1重量部未満では、良好なゲルが得られない。一方、シリル化シリカの含有量が10重量部を超えると、得られるゲルが硬くなりすぎ、本発明第2組成物をクレンジング用組成物として使用し難くなる。 本発明第2組成物は、例えば、本発明第1組成物及び(d)シリル化シリカのそれぞれ所定量を混合することにより調製できる。 本発明第1組成物及び本発明第2組成物には、その−20℃での凍結固化が抑制される性能を損なわない範囲で、従来からクレンジング用組成物に用いられる各種添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の界面活性剤;炭化水素油、動植物油、本発明で用いられるエステル油以外のエステル油等のオイル成分;アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム等の天然高分子化合物;アルコール類、天然抽出物、アミノ酸、ペプチド、核酸、ビタミン類、酵素、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、キレート剤、制汗剤、染料、顔料、pH調整剤、中和剤、美白剤、清涼剤等が挙げられる。このような添加剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。 本発明の第1組成物及び第2組成物は、例えば、顔、手足、その他の皮膚表面に付着する各種化粧料を、皮膚表面から洗い落すために用いられる。また、これらの組成物は、顔や手足の洗浄にも用いることができる。 以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。以下において、「%」及び「部」は特に断らない限り、重量基準である。また、本実施例で使用した各成分は具体的には次の通りである。[エステル油] エチルヘキサン酸セチル、商品名:コーヨーCOC、交洋ファインケミカル(株)製、以下特に断らない限り「COC」とする。 トリエチルヘキサノイン、商品名:TOG、高級アルコール工業(株)製、以下特に断らない限り「TOG」とする。 ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、商品名:Neosolue−DE、日本精化(株)製、以下特に断らない限り「DE」とする ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、商品名:Neosolue−MP、日本精化(株)製、以下特に断らない限り「MP」とする[シリコーン油] シクロペンタシロキサン、商品名:KF−995、信越化学工業(株)製、以下特に断らない限り「KF995」とする。 ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、商品名:KF−96A−6CS、信越化学工業(株)製、以下特に断らない限り「KF96A」とする。[柑橘系精油] オレンジ油、レモン油、ベルガモット油、ライム油及びグレープフルーツ油、いずれも山本香料(株)製[ゲル化剤] トリメチルシリル化シリカ、商品名:VM−2270 Aerogel Fine Particle、東レ・ダウコーニング(株)製、以下特に断らない限り「VM−2270」とする。 (パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、商品名:レオパールTT2、千葉製粉(株)製、以下特に断らない限り「レオパールTT2」とする。 ステアリン酸イヌリン、商品名:レオパールISL2、千葉製粉(株)製、以下特に断らない限り「レオパールISL2」とする。(実施例1及び比較例1) 下記表1に示す各成分を表1に示す重量比で混合し、クレンジング用組成物を得た。得られたクレンジング用組成物を−20℃の恒温槽で10日間保存し、凍結の有無を目視で評価した。評価基準は、○:凍結固化しなかった、×:凍結固化した、である。 表1の比較例1、No.9〜14から、TOG、MP、DE、KF995及びKF96Aは、COCに起因する−20℃での組成物の凍結固化(以下「COCによる凍結」とする)を抑制できなかった。また、No.12から、COC:オレンジ油=2:1の混合系では、COCによる凍結を抑制できなかった。さらに、No.15及び16から、COCと1種の常温で液状のオイル成分(TOG)とオレンジ油との混合系(COC:オレンジ油=2:1)でも、COCによる凍結を抑制できなかった。 一方、実施例1のNo.4、5、7及び8によれば、COCとオレンジ油との重量比が2:1でも、COCによる凍結が抑制されている。すなわち、それ自体はCOCによる凍結を抑制できない各成分と、COCによる凍結を抑制できない量(COCとの重量比2:1)のオレンジ油とを混合した場合でも、COCによる凍結が抑制されている。したがって、オレンジ油だけでなく、オレンジ油とその他各成分とが協働して、COCによる凍結が抑制されていると考えられる。これにより、オレンジ油の脱脂力を緩和し、COCの肌を柔軟化したり、潤いを与えたりするエモリエント効果を妨げず、肌荒れ等をもたらさない本発明第1組成物が得られる。 なお、実施例1のクレンジング用組成物を−20℃で10日間保存した後に、目視で観察したところ、分離、成分の析出や沈殿は発生せず、成分の均一分散性が維持され、低温下での保存安定性に優れていた。さらに、実施例1のクレンジング用組成物を実験室内に3日間放置し、液温を室温まで戻したが、分離、成分の析出や沈殿は発生せず、成分の均一分散性が維持された。(評価) 健常女性パネラー10名が顔全体にW/O乳化型ファンデーションを塗り、更に口紅及びマスカラをそれぞれ唇及び目元に塗った。塗布後約30分を経過した後、液温を常温に戻した実施例1、No.3〜8のクレンジング用組成物2〜3gを用いて、クレンジングを行なった。その際に、化粧料との馴染み性及び化粧料を落とす効果(以下「クレンジング性能」とする)の各項目を10点満点で採点し、その平均点を求めた。性能が良い方が高い採点とする。平均点に基づく評価基準は次の通りである。結果を表2に示す。 [評価基準] ◎(良好):7点以上 ○(やや良好):5.5点以上、7点未満 △(普通):4点以上、5.5点未満 ×(不良):4点未満(実施例2) 実施例1のNo.3の組成において、オレンジ油に代えて、レモン油、ベルガモット油、ライム油又はグレープフルーツ油を使用する以外は、実施例1と同様にして、液状のクレンジング用組成物を得た。 得られた各クレンジング用組成物の化粧料との馴染み性及びクレンジング性能を上記と同様にして評価したところ、いずれも「◎」の評価が得られた。 また、上記で得られた各クレンジング用組成物を−20℃で10日間保存した後に、目視で観察したところ、分離、成分の析出や沈殿は発生せず、成分の均一分散性が維持され、低温下での保存安定性に優れていた。さらに、上記で得られた各クレンジング用組成物を実験室内に3日間放置し、液温を室温まで戻したが、分離、成分の析出や沈殿は発生せず、成分の均一分散性が維持された。(実施例3〜4及び参考例1〜2) 表3に示す各成分を、表3に示す配合割合(重量部)で混合し、ゲル状のクレンジング用組成物を得た。実施例3〜4のゲル状クレンジング用組成物の化粧料との馴染み性及びクレンジング性能を上記と同様にして評価したところ、いずれも「○」以上の評価が得られた。 また、上記で得られた各クレンジング用組成物について、ゲルの状態(ゲル化の有無及びゲルの硬さ)及び−20℃での性状(−20℃で10日間保存した時の凍結の有無)を調べた。結果を表3に示す。 表3から、シリル化シリカが、−20℃での凍結固化を抑制する効果に悪影響を及ぼすことなく、エチルヘキサン酸セチルを含むクレンジング用組成物をゲル化し得ることが判る。 (a)エチルヘキサン酸セチル、(b)シリコーン油、グリセリン脂肪酸エステル及びネオペンタン酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも2種の常温で液状のオイル成分、並びに、(c)柑橘系精油を含有し、(c)柑橘系精油の含有量が全量の5〜20重量%である、クレンジング用組成物。 前記(c)柑橘系精油がオレンジ油、グレープフルーツ油、シトロネラ油、ユズ油、ダンジュリン油、ベルガモット油、マンダリン油、メイチャン油、メリッサ油、ライム油、レモン油、レモングラス油、レモンバーベナ油、レモンユーカリ油及びスイートオレンジ油よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のクレンジング用組成物。 前記シリコーン油がシクロペンタシロキサン及び/又はジメチコンであり、前記グリセリン脂肪酸エステルがトリエチルヘキサノインであり、且つ、前記ネオペンタン酸エステルがジネオペンタン酸メチルペンタンジオール及び/又はジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオールである請求項1又は2に記載のクレンジング用組成物。 前記(a)エチルヘキサン酸セチル15〜30重量%と、前記(b)常温で液状のオイル成分50〜80重量%と、前記(c)柑橘系精油5〜20重量%と、を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のクレンジング用組成物。 請求項1〜4のいずれか1項に記載のクレンジング用組成物100重量部に対して、(d)シリル化シリカ0.1〜10重量部を含有するクレンジング用組成物。 (a)エチルヘキサン酸セチル15〜30重量%と、(b)シクロペンタシロキサン、ジメチコン、トリエチルヘキサノイン、並びに、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール及び/又はジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオールを含む常温で液状のオイル成分50〜80重量%と、(c)柑橘系精油5〜20重量%と、を含有するクレンジング用組成物。 請求項6に記載のクレンジング用組成物100重量部に対して、(d)シリル化シリカ0.1〜10重量部を含有するクレンジング用組成物。 【課題】エチルヘキサン酸セチルを主成分とし、−20℃の極低温下でも凍結せず、保存安定性に優れたクレンジング用組成物を提供する。【解決手段】(a)エチルヘキサン酸セチル、(b)シリコーン油、グリセリン脂肪酸エステル及びネオペンタン酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも2種の常温で液状のオイル成分、並びに、(c)柑橘系精油を含有し、(c)柑橘系精油の含有量が全量の5〜20重量%である、クレンジング用組成物。【選択図】 なし