生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_マイクロ化学チップ
出願番号:2012056229
年次:2013
IPC分類:B01J 19/00,G01N 35/08,G01N 37/00,B81B 1/00,B81C 3/00,B32B 25/20


特許情報キャッシュ

高木 和久 高野 努 JP 2013188677 公開特許公報(A) 20130926 2012056229 20120313 マイクロ化学チップ 株式会社朝日FR研究所 595015890 小宮 良雄 100088306 大西 浩之 100126343 高木 和久 高野 努 B01J 19/00 20060101AFI20130830BHJP G01N 35/08 20060101ALI20130830BHJP G01N 37/00 20060101ALI20130830BHJP B81B 1/00 20060101ALI20130830BHJP B81C 3/00 20060101ALI20130830BHJP B32B 25/20 20060101ALI20130830BHJP JPB01J19/00 321G01N35/08 AG01N37/00 101B81B1/00B81C3/00B32B25/20 13 1 OL 22 2G058 3C081 4F100 4G075 2G058DA07 3C081AA13 3C081AA18 3C081BA03 3C081BA11 3C081BA24 3C081CA05 3C081CA17 3C081CA19 3C081CA32 3C081DA06 3C081DA07 3C081DA10 3C081DA11 3C081EA27 3C081EA28 4F100AH06A 4F100AH06B 4F100AK03A 4F100AK25A 4F100AK28B 4F100AK41A 4F100AK45A 4F100AK53A 4F100AL09B 4F100AN00B 4F100BA02 4F100EJ08 4F100EJ13 4F100EJ17 4F100EJ61 4F100GB66 4F100JD05 4F100JD16 4F100JK14 4G075AA13 4G075AA39 4G075AA65 4G075BA10 4G075BB05 4G075CA02 4G075EA06 4G075EB50 4G075FA01 4G075FA12 4G075FB02 4G075FB12 4G075FB13 本発明は、生体由来検体を被験物としそのバイオ成分を微量分析する装置や、薬理作用を示すバイオ成分等の有用物質を化学的に微量合成するマイクロリアクターに装着して用いられるマイクロ化学チップに関する。 血液や尿などの生体由来検体である被験物をμlオーダーの微量だけ用いて、酵素の特異的基質選択性を利用し、検体中の基質と作用する酵素反応量やその基質量を酵素又は基質で発色する試薬による着色程度で定量するのに、マイクロバイオチップが用いられている。また、酵素含有膜を用い酵素反応量を電極で電気信号に変換して基質量を定量したりする分析や、DNA抽出・そのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅や、イオン濃度測定や、核酸、糖、タンパク質又はペプチドの微量合成などをμMオーダーで行う際に、マイクロリアクターチップが用いられている。 このマイクロバイオチップやマイクロリアクターチップなどのマイクロ化学チップは、検体や試薬を加圧して送り込み流動させて混合、反応、分離、検出するための反応チャンネルとして、溝状の微細流路を有している。従来のマイクロ化学チップは、ステンレス基材、シリコン基材、石英基材、ガラス基材である無機基材、又は樹脂基材、ゴム基材である有機基材に、数10〜数100μmの微細流路を切削やエッチングで形成したものである。 ステンレス基材、シリコン基材又は石英基材で形成されたマイクロ化学チップは、その素材が硬いために、基材同士を接合しても変形し難い反面、微細流路を切削加工し難いために、大量生産できず高価で、汎用性に欠ける。ガラス基材で形成されたマイクロ化学チップは、ガラス基材原材表面に、クロムのような金属とフォトレジストとを順次コーティングし、フォトレジストを露光してマイクロチャネルのパターンに焼き付けた後に、フォトレジストの現像、フッ酸によるケミカルエッチング、フォトレジストの除去という面倒な工程を経なければならず、微細流路を精密に形成し難く、煩雑で大量生産に向かない。 一方、有機基材で形成されたマイクロ化学チップは、特許文献1のように、透明性の高いプラスチック樹脂で形成されたものである。樹脂基材やゴム基材は成形や切削加工が容易いので、それらを接着剤で貼付し又は熱融着して形成したマイクロ化学チップは、大量生産に適している。特に透明樹脂基材で形成されていると、光学系分析に便利である。 有機基材で形成されたマイクロ化学チップは、水溶性の検体や、金属を溶解するフッ酸などの強酸又は水溶性薬剤のような試薬を用いる際にその有機基材が劣化し難いので、化学的に安定である。しかし、流路を形成した樹脂シート又はゴムシートを接着剤で貼付又は加熱融着するために接合強度が低く、検体や試薬を高圧で流路に流動させる際に、接着されている基材と基材とが圧力に耐えられなくなり剥離して破損し易く、物理的に弱い。微細で分岐した複雑なパターン形状の流路に、マイクロチップが破損しない程度の低圧で、検体や試薬を送り込んでも、流路終端まで確実に到達させ難い。流路が付された透明な樹脂シートを、接着剤で貼付し又は熱融着して作製したマイクロ化学チップは、接着剤介在や過熱のせいで、接着剤が流路にはみ出したり屈折率の変動や熱変形・歪みを惹き起したりして、精密な光学系分析に重要となる均質な透明性を流路上に確保し難い。特開2006−218611号公報 本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、微量の生体由来検体のような貴重な検体や稀薄で微量の試薬を流動させる微細な流路が確実に形成され、それら流動試料を加圧して低温乃至高温で流動させても破損せず、精度良くかつ確実に所望通りに流路へ送り込むことができ、その検体中のバイオ成分等の有用物質を正確かつ簡便に短期間で分析したり反応させたりでき、歩留まり良く大量かつ均質に製造できる簡易で小型のマイクロ化学チップを、提供することを目的とする。 前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1に記載のマイクロ化学チップは、検体及び試薬から選ばれる流動試料を加圧して流し込み化学反応させる流路がゴムシートを貫通しており、金属、セラミックス、ガラス、及び樹脂から選ばれる基材シートの間に該ゴムシートが挟まれつつ表裏面で直接又はシランカップリング剤を介した化学結合により該基材シートと接合しており、該流路に該流動試料を注入する穴と流し込まれた該流動試料を排出する穴とが該基材シートに開いていることを特徴とする。 請求項2に記載のマイクロ化学チップは、請求項1に記載されたもので、該ゴムシートと該基材シートとが、減圧下及び/又は加圧下での該化学結合によって、接合していることを特徴とする。 請求項3に記載のマイクロ化学チップは、請求項1〜2の何れかに記載されたもので、該ゴムシートと該基材シートとが、減圧下とそれに引き続く加圧下及び/又は加熱下とでの該化学結合によって、接合していることを特徴とする。 請求項4に記載のマイクロ化学チップは、請求項1〜3の何れかに記載されたもので、該ゴムシート及び/又は該基材シートが、それらの接合面で、活性化処理されていることを特徴とする。 請求項5に記載のマイクロ化学チップは、請求項1〜4の何れかに記載されたもので、該基材シートに挟まれた該ゴムシートが、複数積層していることを特徴とする。 請求項6に記載のマイクロ化学チップは、請求項1〜5の何れかに記載されたもので、最外の該基材シートが板状のホルダーで挟まれ該流動試料を遺漏不能にして該ゴムシートごと固定していることを特徴とする。 請求項7に記載のマイクロ化学チップは、請求項1〜6の何れかに記載されたもので、該ゴムシートが、シリコーンゴムで形成されていることを特徴とする。 請求項8に記載のマイクロ化学チップは、請求項1〜7の何れかに記載されたもので、シリコーンゴムで形成された該ゴムシートと、該基材シートとが、それらの接合面の少なくとも何れかで、コロナ放電処理、プラズマ処理及び/又は紫外線照射処理によって活性化されており、該化学結合により、直接、接合していることを特徴とする。 請求項9に記載のマイクロ化学チップは、請求項1〜7の何れかに記載されたもので、シリコーンゴム又は非シリコーンゴムで形成された該ゴムシートと、該基材シートとが、それらの接合面の少なくとも何れかで、コロナ放電処理、プラズマ処理及び/又は紫外線照射処理によって活性化されており、アミノ基及び/又はアルコキシ基を有する該シランカップリング剤を介した該化学結合により、接合していることを特徴とする。 請求項10に記載のマイクロ化学チップは、請求項9に記載されたもので、該基材シートが、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、及びエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種類の該樹脂で形成され、該シランカップリング剤が該アミノ基及び該アルコキシ基を有することを特徴とする。 請求項11に記載のマイクロ化学チップは、請求項1〜10の何れかに記載されたもので、該ゴムシートが、少なくとも該流路の壁面でコーティングされていることを特徴とする。 請求項12に記載のマイクロ化学チップを製造する方法は、検体及び試薬から選ばれる流動試料を加圧して流し込み化学反応させる流路を、ゴムシートに貫通させて形成する流路形成工程、金属、セラミックス、ガラス、及び樹脂から選ばれる基材シートに、該流路に該流動試料を導入する穴と、流し込まれた該流動試料を排出する穴とを形成する開口工程、該ゴムシートを、該基材シートの間に挟みつつ、その表裏面で直接又はシランカップリング剤介在の化学結合により、該基材シートに接合させる接合工程を、有することにより、マイクロ化学チップを製造する。 請求項13に記載のマイクロ化学チップを製造する方法は、請求項12に記載されたもので、減圧下の該化学結合により、該ゴムシートを該基材シートに接合することを特徴とする。 本発明のマイクロ化学チップは、直接的又はシランカップリング剤の1分子を介した間接的な化学的分子間結合による強固な接着で、ゴムシートと基材シートとがゴムシートの流路領域外の接合面で確りと接合している。そのため、微量の生体由来検体のような貴重な検体や稀薄で微量の試薬を漏らさずに加圧して流動させる微細な流路が、確実に形成されている。 このマイクロ化学チップは、ゴムシートに直線や曲線を組み合わせた線状やその末端乃至途中で拡大したり集束又は分岐したりした複雑なパターン形状で0.5μm〜5mm幅の微細な流路が、精密に形成されている。そのような微細な流路を有していても、検体や試薬である流動体が加圧されて送り込まれその流路で流動する際に、ゴムシートと基材シートとが剥がれないので、このマイクロ化学チップが破損しない。 このマイクロ化学チップは、微細な流路に常圧〜5気圧程度の圧力で、液状又はガス状の検体や試薬である流動体を送り込んでも、氷冷下〜80℃程度、汎用的には20〜80℃程度の低温乃至高温の温度範囲で加熱冷却を繰り返しながら検体や試薬を送り込んでも、ゴムシートの弾性により流路が破損しない。 このマイクロ化学チップによれば、検体や試薬を確実かつ精度良く所望の流路へ送り込むことができる。その結果、その検体中のバイオ成分等の有用物質を正確かつ簡便に短期間で分析したり反応させたりできる。 このマイクロ化学チップは、ゴムシートの流路を微細にして、検体や試薬とゴムシートとの接触を可能な限り抑え、検体や試薬の汚染や吸着を防止することができる。 このようなマイクロ化学チップは、ディスポーザブルで用いられる場合、別な検体や試薬の混入による汚染の恐れが無く、信頼性のある結果を得ることができるものである。 このマイクロ化学チップは、外形が数mm〜十数cm四方で極めて小型であり簡易な構造である。このマイクロ化学チップは、小型でも多数の直列、並列又は分岐した流路を備え、注入口や排出口を多数設けて、複数の反応過程を直列又は並列に経る多機能にすることができる。そのため大掛かりな分析装置などを用いなくてもポータブルの分析装置を用いて、屋内のみならず屋外でも迅速に複数種の定性・定量分析を行うことができる。さらに、マイクロ化学チップに用いられる分析試薬や反応試薬は極微量で済むうえ、フラスコや試験管での分析や反応に比べて廃液量が格段に少なくなるので、環境保全に資する。 本発明のマイクロ化学チップを製造する方法によれば、フォトレジストを用いて現像したりエッチングしたりしなくとも、微細な流路をゴムシートにレーザー加工等の簡便な手法で形成できる。ゴムシートと基材シートとが、その流路領域外で、接触によってエーテル結合である化学的分子間結合を直接形成したり、シランカップリング剤の塗布・噴霧・浸漬によってその1分子を介した間接的な共有結合、水素結合及び/又は静電引力による相互作用である化学的分子間結合を形成したりして、簡便に、接着剤よりも遥かに強力に接合する。このような分子接着は、熱可塑性樹脂を熱融着させる程の高温の加熱を必要とせず、熱融着温度未満で短時間加熱すれば、充分に惹き起される。そのため、光学的分析の精度を妨げる屈折率の変動や熱変形・歪みを生じない。 この製造方法は、極めて簡便であり、短工程で、高品質で均質なマイクロ化学チップを歩留まり良く安価で大量に製造できる。本発明を適用するマイクロ化学チップの製造途中を示す模式的な斜視図である。本発明を適用する別なマイクロ化学チップの製造途中を示す模式的な斜視図である。本発明を適用するマイクロ化学チップの使用状態を示す斜視図である。 以下、本発明を実施するための好ましい形態の例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。 本発明を適用するマイクロ化学チップ1の一例は、それの製造途中を示す図1の通り、カバー用の金属基材シート10と、底面支持用の金属基材シート30との間に、ゴムシート20が、重ね合わされた可撓性のものである。 ゴムシート20に、液状又はガス状の検体や試薬である流動試料を加圧して流し込み化学反応させる溝状の流路26が、表裏を貫通して形成されている。流路26は、始点末端である流動試料注入部位21a・21bからそれぞれ延びて下流で合流し、そこから流動試料排出部位22aへ延びる支流と、流動試料排出部位22b及び22cへ延びる本流とに分岐して、本流がその下流で終点末端である流動試料排出部位22b及び22cへ延びて分岐したものである。ゴムシート20の上面24と下面25とは、流路26領域外で、その表面が活性化されている。 ゴムシート20に重なる同じ大きさのカバー用の基材シート10に、流動試料注入部位21a・21bと流動試料排出部位22a・22b・22cとに対応する位置で、それぞれ流動試料注入穴11a・11bと流動試料排出穴12a・12b・12cとが、開いている。ゴムシート20へ向いたカバー用の基材シート10の下面15は、流動試料注入穴11a・11bと流動試料排出穴12a・12b・12cとの領域外で、その表面が活性化されている。 ゴムシート20へ向いた底面支持用の基材シート30の上面34は、その表面の全面が活性化されている。 基材シート10・30とゴムシート20との表面で、活性化されて生成し又は元来有する水酸基のような活性基同士が、脱水して強固な共有結合であるエーテル結合を生じ、又はシランカップリング剤の分子中の複数の官能基を介して新たな共有結合を生じ、両シート同士を化学的に直接、接合している。 ゴムシート20は、シリコーンゴムの他、非シリコーンゴムの何れで形成されていてもよい。ゴムシート20は、具体的には、主としてパーオキサイド架橋型シリコーンゴム、付加架橋型シリコーンゴム、縮合架橋型シリコーンゴムで例示されるシリコーンゴム、これらのシリコーンゴムとオレフィン系ゴムとの共ブレンド物で例示される三次元化シリコーンゴム、又は非シリコーンゴムを、成形金型等に入れ又は延伸して、必要に応じ架橋させることにより、製造されたシリコーンゴム弾性シートである。これらゴム素材は、平均数分子量で1万〜100万のものである。 ゴムシート20の素材のパーオキサイド架橋型シリコーンゴムは、パーオキサイド系架橋剤で架橋できるシリコーン原料化合物を用いて合成されたものであれば特に限定されないが、具体的には、ポリジメチルシロキサン、ビニルメチルシロキサン/ポリジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビニル末端ジフェニルシロキサン/ポリジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ジエチルシロキサン/ポリジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端トリフロロプロピルメチルシロキサン/ポリジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ポリフェニルメチルシロキサン、ビニルメチルシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキサン基末端ジメチルシロキサン/ビニルメチルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキサン基末端ジメチルシロキサン/ビニルメチルシロキサン/ジフェニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキサン基末端ジメチルシロキサン/ビニルメチルシロキサン/ジトリフロロプロピルメチルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキサン基末端ポリビニルメチルシロキサン、メタアクリロキシプロピル基末端ポリジメチルシロキサン、アクリロキシプロピル基末端ポリジメチルシロキサン、(メタアクリロキシプロピル)メチルシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー、(アクリロキシプロピル)メチルシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマーが挙げられる。 共存させるパーオキサイド系架橋剤として、例えばケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類が挙げられ、より具体的には、ケトンパーオキサイド、ペルオキシケタール、ヒドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ペルオキシカルボナート、ペルオキシエステル、過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジt−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ(ジシクロベンゾイル)パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン、ベンゾフェノン、ミヒラアーケトン、ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、ベンゾインエチルエーテルが挙げられる。 パーオキサイド系架橋剤の使用量は、得られるシリコーンゴムの種類や、そのシリコーンゴムで成形されたゴムシート20の性質や、必要に応じて使用されるシランカップリング剤の性質に応じて適宜選択されるが、シリコーンゴム100質量部に対し、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜2質量部用いられることが好ましい。この範囲よりも少ないと、架橋度が低すぎてシリコーンゴムとして使用できない。一方、この範囲よりも多いと、架橋度が高すぎてシリコーンゴムの弾性が低減してしまう。 ゴムシート20の素材の付加型シリコーンゴムは、Pt触媒存在下で合成したビニルメチルシロキサン/ポリジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビニル末端ジフェニルシロキサン/ポリジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ジエチルシロキサン/ポリジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端トリフロロプロピルメチルシロキサン/ポリジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ポリフェニルメチルシロキサン、ビニルメチルシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキサン基末端ジメチルシロキサン/ビニルメチルシロキサン/ジフェニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキサン基末端ジメチルシロキサン/ビニルメチルシロキサン/ジトリフロロプロピルメチルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキサン基末端ポリビニルメチルシロキサンなどのビニル基含有ポリシロキサンと、H末端ポリシロキサン、メチルHシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー、ポリメチルHシロキサン、ポリエチルHシロキサン、H末端ポリフェニル(ジメチルHシロキシ)シロキサン、メチルHシロキサン/フェニルメチルシロキサンコポリマー、メチルHシロキサン/オクチルメチルシロキサンコポリマーで例示されるH基含有ポリシロキサンの組成物、 アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン、アミノプロピルメチルシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー、アミノエチルアミノイソブチルメチルシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー、アミノエチルアミノプロピルメトキシシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルアミノ末端ポリジメチルシロキサンで例示されるアミノ基含有ポリシロキサンと、エポキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、(エポキシシクロヘキシルエチル)メチルシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマーで例示されるエポキシ基含有ポリシロキサン、琥珀酸無水物末端ポリジメチルシロキサンで例示される酸無水物基含有ポリシロキサン及びトルイルジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートなどのイソシアナート基含有化合物との組成物から得られるものである。 これらの組成物からゴムシート20を作製する加工条件は、付加反応の種類及び特性によって異なるので一義的には決められないが、一般には0〜200℃で、1分間〜24時間加熱するというものである。これによりゴムシート20として付加型シリコーンゴムが得られる。低温の加工条件の方が、シリコーンゴムの物性が良い場合には、反応時間が長くなる。物性よりも素早い生産性が要求される場合には、高温で短時間の加工条件で行われる。生産過程や作業環境によって、一定の時間内に加工しなければならない場合には、所望の加工時間に合わせ、加工温度を前記範囲内の比較的高い温度に設定して、行われる。 ゴムシート20の素材の縮合型シリコーンゴムは、スズ系触媒の存在下で合成されたシラノール末端ポリジメチルシロキサン、シラノール末端ポリジフェニルシロキサン、シラノール末端ポリトリフロロメチルシロキサン、シラノール末端ジフェニルシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマーで例示されるシラノール基末端ポリシロキサンからなる単独縮合成分の組成物、 これらのシラノール基末端ポリシロキサンと、テトラアセトキシシラン、トリアセトキシメチルシラン、ジt−ブトキシジアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエノキシメチルシラン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、テトラ−n−プロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシイミノ)シラン、ビニルトリイソプロペノイキシシラン、トリアセトキシメチルシラン、トリ(エチルメチル)オキシムメチルシラン、ビス(N−メチルベンゾアミド)エトキシメチルシラン、トリス(シクロヘキシルアミノ)メチルシラン、トリアセトアミドメチルシラン、トリジメチルアミノメチルシランで例示される架橋剤との組成物、 これらのシラノール基末端ポリシロキサンと、クロル末端ポリジメチルシロキサン、ジアセトキシメチル末端ポリジメチルシロキサン、末端ポリシロキサンで例示される末端ブロックポリシロキサンの組成物から得られるものである。 これらの組成物から縮合型シリコーンゴムを調製する加工条件は、縮合反応の種類及び特性によって異なるので一義的には決められないが、一般には0〜100℃で、10分間〜24時間加熱するというものである。これによりゴムシート20として縮合型シリコーンゴムが得られる。低温の加工条件の方が、シリコーンゴムの物性が良い場合には、反応時間が長くなる。物性よりも素早い生産性が要求される場合には、高温で短時間の加工条件で行われる。生産過程や作業環境によって、一定の時間内に加工しなければならない場合には、所望の加工時間に合わせ、加工温度を前記範囲内の比較的高い温度に設定して、行われる。 ゴムシート20の素材のシリコーンゴムとオレフィン系ゴムとの共ブレンド物に用いられるオレフィン系ゴムは、1,4‐シスブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブテンゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン−プロピレン‐ジエンゴム、塩素化エチレンプロピレンゴム、塩素化ブチルゴムが挙げられる。 ゴムシート20の素材の非シリコーンゴムとして、天然ゴム、1,4‐シスブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリクロロプレン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、水素添加スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリルニトリル・ブタジエン共重合ゴム、水素添加アクリルニトリル・ブタジエン共重合ゴム、ポリブテンゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン−プロピレン‐ジエンゴム、エチレンオキサイド−エピクロロヒドリン共重合体ゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロルスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロルスルフォン化ポリエチレンゴム、クロロプレンゴム、塩素化アクリルゴム、臭素化アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンとその共重合ゴム、塩素化エチレンプロピレンゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムテトラフロロエチレン、ヘキサフロロプピレン、フッ化ビニリデン及びテトラフルオロロエチレンなどの単独重合体ゴム及びこれらの二元及び三元共重合体ゴム、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合ゴム、プロピレン/テトラフルオロエチレン共重合ゴム、エチレンアクリルゴム、エポキシゴム、ウレタンゴム、両末端不飽和基エラストマー等の線状重合体で例示される原料ゴム状物質の配合物を架橋させたものが挙げられる。これらは単独で用いられても複数混合して用いられてもよい。 ゴムシート20の素材は、中でもシリコーンゴムであることが好ましい。 ゴムシート20の流路26は、幅が0.5μm〜5mm、好ましくは10〜1000μmであり、その形状が特に限定されず、連続線状及び/又は分岐線状で直線・曲線の何れでもよく、単数又は複数並列して設けられていてもよい。ゴムシート20の厚さは、5〜100μmであることが好ましい。流路26は、幅が狭く、ゴムシート20厚さが薄いので、検体や試薬とゴムシートとの接触面積を最小限に抑えることができ、ゴムシートからのゴム成分の遺漏による検体や試薬の汚染、ゴム成分への吸着を防止することができる。ゴムシート20は、少なくとも流路26の壁面27が、検体や試薬を汚染したり吸着したりしないように、非反応性樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂のようなフッ素樹脂、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)ポリマーのようなリン酸系樹脂、パリレンのようなパラキシリレン樹脂でコーティング又は蒸着され、又は非反応性無機物、例えば二酸化チタンや二酸化ケイ素のような無機物で蒸着されていると、ゴムシートと検体や試薬との接触が完全に避けられるので、検体や試薬の汚染や吸着がより一層防止できる。 基材シート10・30は、金属の他、セラミックス、ガラス、樹脂で形成されたもので、単一の板状、薄層状に形成されていてもよく、これらがラミネート加工されていてもよい。基材シート10・30は、検体や試薬に対し比較的安定であるが、検体や試薬に接する部位が、樹脂で形成され、コーティングされ、又はラミネート加工されていることが好ましい。 基材シート10・30を成す金属は、金、銀、銅、鉄、コバルト、シリコーン、鉛、マンガン、タングステン、タンタル、白金、カドミウム、スズ、パラジウム、ニッケル、クロム、チタン、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムで例示される金属、これら金属の二元、三元及び多元合金が挙げられる。 基材シート10・30を成すセラミックスは、銀、銅、鉄、コバルト、シリコーン、鉛、マンガン、タングステン、タンタル、白金、カドミウム、スズ、パラジウム、ニッケル、クロム、インジウム、チタン、亜鉛、カルシウム、バリウム、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどの金属の酸化物、窒化物、及び炭化物、それらの単体又は複合体が挙げられる。 基材シート10・30を成すガラスは、石英、硼珪酸ガラス、無アルカリガラスが挙げられる。 基材シート10・30を成す樹脂は、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブテレンテレフタレート樹脂、セルロース及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、二酢酸セルロース、表面ケン化酢酸ビニル樹脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、i−ポリプロピレン、石油樹脂、ポリスチレン、s‐ポリスチレン、クロマン・インデン樹脂、テルペン樹脂、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、ABS樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリシアノアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン・エチレン共重合体、フッ化ビニリデン・プロピレン共重合体、1,4‐トランスポリブタジエン、ポリオキシメチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、フェノール・ホルマリン樹脂、クレゾール・フォルマリン樹脂、レゾルシン樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グリプタル樹脂、変性グリプタル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリルエステル樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、ポリイミド、ポリアミド、ポリベンズイミダゾール、ポリアミドイミド、ケイ素樹脂、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリジメチルフェニレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイドまたはポリジメチルフェニレンオキサイドとトリアリルイソシアヌルブレンド物、(ポリフェニレンオキサイドまたはポリジメチルフェニレンオキサイド、トリアリルイソシアヌル、パーオキサイド)ブレンド物、ポリキシレン、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PPI、カプトン)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液晶樹脂、ケブラー繊維、炭素繊維とこれら複数材料のブレンド物で例示される高分子材料、その架橋物が挙げられる。 基材シート10・30とゴムシート20との接合面を人為的に活性化する場合、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理の活性化処理が施されることによって活性化する。 金属、セラミックス又はガラス製基材シート10・30と、シリコーンゴム製ゴムシート20とは、それぞれ活性化処置されて生じた活性基例えば水酸基同士が、脱水して生成したエーテル結合によって、強固に接合している。両者の積層だけでエーテル結合し得るほど水酸基等の活性基が予め十分に露出できている場合これら活性化処理が施されていなくてもよい。 基材シート10・30とゴムシート20とが、エーテル結合を介して直接的に接合している例を示したが、シランカップリング剤を介した共有結合や水素結合のような化学結合によって間接的に接合していてもよい。この場合、シランカップリング剤の1分子が基材シート10・30とゴムシート20とに介在して化学結合を形成することができる。例えば、シリコーンゴム又は非シリコーンゴム製ゴムシート20と、金属、セラミックス、ガラス又は樹脂製の基材シート10・30とが、それらの接合面の少なくとも何れかで、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理によって活性化されており、アミノ基、及び/又は炭素数1〜4のアルコキシ基若しくはそれと同様に水酸基と反応してエーテル基を生成し得る加水分解性でアルコキシ基等価基を、有するシランカップリング剤を介した該化学結合により、接合している。 このアルコキシ基を有するアミノ基非含有のシランカップリング剤として、市販のシランカップリング剤、具体的にはビニルトリメトキシシラン(KBM-1003)、ビニルトリエトキシシラン(KBE-1003)で例示されるビニル基及びアルコキシ基含有シランカップリング剤;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM-303)、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM-402)、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403)、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(KBE-402)、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBE-403)で例示されるエポキシ基及びアルコキシ基含有シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシラン(KBM-1403)で例示されるスチリル基及びアルコキシ基含有シランカップリング剤;3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM-502)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-503)、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(KBE-502)、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(KBE-503)、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-5103)で例示される(メタ)アクリル基及びアルコキシ基含有シランカップリング剤;3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン(KBE-585)で例示されるウレイド基及びアルコキシ含有シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(KBM-802)、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM-803)で例示されるメルカプト基及びアルコキシ含有シランカップリング剤;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(KBE-846)で例示されるスルフィド基及びアルコキシ含有シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(KBE-9007)で例示されるイソシアネート基及びアルコキシ含有シランカップリング剤(以上、何れも信越シリコーン株式会社製;商品名)が挙げられ、またビニルトリアセトキシシラン(Z-6075)で例示されるビニル基及びアセトキシ含有シランカップリング剤;アリルトリメトキシシラン(Z-6825)で例示されるアリル基及びアルコキシ含有シランカップリング剤;メチルトリメトキシシラン(Z-6366)、ジメチルジメトキシシラン(Z-6329)、トリメチルメトキシシラン(Z-6013)、メチルトリエトキシシラン(Z-6383)、メチルトリフェノキシシラン(Z-6721)、エチルトリメトキシシラン(Z-6321)、n-プロピルトリメトキシシラン(Z-6265)、ジイソプロピルジメトキシシラン(Z-6258)、イソブチルトリメトキシシラン(Z-2306)、ジイソブチルジメトキシシラン(Z-6275)、イソブチルトリエトキシシラン(Z-6403)、n-ヘキシトリメトキシシラン(Z-6583)、n-ヘキシトリエトキシシラン(Z-6586)、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(Z-6187)、n-オクチルトリエトキシシラン(Z-6341)、n-デシルトリメトキシシラン(Z-6210)で例示されるアルキル基及びアルコキシ基含有シランカップリング剤;フェニルトリメトキシシラン(Z-6124)で例示されるアリール基及びアルコキシ基含有シランカップリング剤;n-オクチルジメチルクロロシラン(ACS-8)で例示されるアルキル基及びクロロシラン基含有シランカップリング剤;テトラエトキシシラン(Z-6697)で例示されるアルコキシシランであるシランカップリング剤(以上、何れも東レ・ダウコーニング株式会社製;商品名)が挙げられる。 アルコキシ基を有するアミノ基非含有のシランカップリング剤は、ヒドロシリル基(SiH基)含有アルコキシシリル化合物、例えば、(CH3O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(CH3O)3SiCH2CH2CH2Si(OCH3)2OSi(OCH3)3、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(OCH3)2OSi(OCH3)3、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2H、(CH3O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2H、(i-C3H7O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)H2、(n-C3H7O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2Si(CH3)2H、(n-C4H9O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(t-C4H9O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(C2H5O)2CH3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(CH3O)2CH3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2Si(CH3)2H、CH3O(CH3)2SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(n-C3H7)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(i-C3H7O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(n-C4H9)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(t-C4H9O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(C2H5O)3SiCH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、(CH3O)3SiCH2C6H4CH2CH2Si(CH3)2C6H4Si(CH3)2H、(CH3O)2CH3SiCH2C6H4CH2CH2Si(CH3)2C6H4Si(CH3)2H、CH3O(CH3)2SiCH2C6H4CH2CH2Si(CH3)2C6H4Si(CH3)2H、(C2H5O)3SiCH2C6H4CH2CH2Si(CH3)2C6H4Si(CH3)2H、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2C6H4OC6H4Si(CH3)2H、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2C2H4Si(CH3)2H、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]p1Si(CH3)2H、C2H5O(CH3)2SiCH2CH2CH2Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]p2Si(C2H5)2H、(C2H5O)2CH3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]p3Si(CH3)2H、(CH3)3SiOSiH(CH3)O[SiH(CH3)O]p4Si(CH3)3、(CH3)3SiO[(C2H5OSi(CH3)CH2CH2CH2)SiCH3]O[SiH(CH3)O]p5Si(CH3)3、(CH3)3SiO[(C2H5OSiOCH3CH2CH2CH2)SiCH3]O[SiH(CH3)O]p6Si(CH3)3、(CH3)3SiO[(C2H5OSi(CH3)CH2CH2CH2)SiCH3]O[SiH(CH3)O]p7Si(CH3)3、(CH3)3SiO[(Si(OC2H5)2CH2CH2CH2)SiCH3]O[SiH(CH3)O]p8Si(CH3)3、(CH3)3SiOSi(OC2H5)2O[SiH(CH3)O]p9[Si(CH3)2O]q1Si(CH3)3、(CH3)3SiO[(C2H5Osi(CH3)CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][SiH(CH3)O]p10[Si(CH3)2O]q2Si(CH3)3、(CH3)3SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][SiH(CH3)O]p11[Si(CH3)2O]q3Si(CH3)3、(CH3)3SiOSi(OC2H5)2O[SiH(C2H5)O]p12Si(CH3)3、(CH3)3SiO[(Si(OC2H5)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(C2H5)]O[SiH(C2H5)O]p13Si(CH3)3、(CH3)3SiO[(C2H5OSi(CH3)CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(C2H5)]O[SiH(C2H5)O]p14Si(CH3)3、C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2(CH3)2SiO[HSi(CH3)2OSiC6H5O]p15Si(CH3)2H、Si(OCH3)3CH2CH2CH2CH2CH2CH2(CH3)2SiO[HSi(CH3)2OSiC6H5O]p16Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p17Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p18Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p19Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p20Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p21Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p22Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2C6H4CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p23Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p24Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p25Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p26Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p27Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p28Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p29Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p30Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p31Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2C6H4CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p32Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p33Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p34Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p35Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[(CH3O)Si(CH3)CH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(CH3)2OSiC6H5O]p36[HSi(CH3)2OSiC6H5O]q4Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[Si(OCH3)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(CH3)2OSiC6H5O]p37[HSi(CH3)2OSiC6H5O]q5Si(CH3)2H、C2H5O(CH3)2SiO[SiH(CH3)O]p38[SiCH3(C6H5)O]q6Si(CH3)2H、Si(OC2H5)3CH2CH2CH2CH2CH2CH2(CH3)2SiO[SiH(CH3)O]p39[SiCH3(C6H5)O]q7Si(CH3)2H、C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2(CH3)2SiO[SiH(CH3)O]p40[SiCH3(C6H5)O]q8Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO(C2H5O)Si(CH3)O[SiH(CH3)O]p41[SiCH3(C6H5)O]q9Si(CH3)2H、H(CH3)2SiO[Si(OC2H5)3CH2CH2CH2Si(CH3)]O[SiH(CH3)O]p42[SiCH3(C6H5)O]q10Si(CH3)2Hであってもよい。これらの基中、p1〜p42及びq1〜q10は1〜100までの数である。一つの分子に、ヒドロシリル基を、1〜99個有していることが好ましい。 アルコキシ基を有するアミノ基非含有のシランカップリング剤は、ヒドロシリル基を含有するアルコキシシリル化合物、例えば、(C2H5O)3SiCH2CH=CH2、(CH3O)3SiCH2CH2CH=CH2、(C2H5O)3SiCH2CH2CH=CH2、(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH=CH2、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2CH2CH=CH2、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2CH=CH2、(CH3O)3SiCH2(CH2)7CH=CH2、(C2H5O)2Si(CH=CH2)OSi(OC2H5)CH=CH2、(CH3O)3SiCH2CH2C6H4CH=CH2、(CH3O)2Si(CH=CH2)O[SiOCH3(CH=CH2)O]t1Si(OCH3)2CH=CH2、(C2H5O)2Si(CH=CH2)O[SiOC2H5(CH=CH2)O]t2Si(OC2H5)3、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2[Si(CH3)2O]t3CH=CH2、(CH3O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2[Si(CH3)2O]t4CH=CH2、CH3O(CH3)2SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2[Si(CH3)2O]t5CH=CH2、(C2H5O)2CH3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2[Si(CH3)2O]t6CH=CH、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2[Si(CH3)2O]t7CH=CH、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2(Si(CH3)3O)Si(CH3)O[SiCH3(-)O]u1Si(CH3)3CH=CH2、(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2(Si(CH3)3O)Si(CH3)O[SiCH3(-)O]u2[Si(CH3)2O]t8Si(CH3)3CH=CH2、(C2H5O)2Si(CH=CH2)O[SiCH3(OC2H5)O]u3Si(OC2H5)2CH=CH2、(C2H5O)2Si(CH=CH2)O[Si(OC2H5)2O]u4Si(OC2H5)2CH=CH2、(C2H5O)2Si(CH=CH2)O[Si(OC2H5)2O]u5Si(OC2H5)2CH=CH2が挙げられる。これらの基中、t1〜t8及びu1〜u5は1〜30までの数である。一つの分子に、ビニル基を、1〜30個有していることが好ましい。 これらのビニル基とSiH基とを金属触媒、例えば白金含有化合物で反応促進し、基材シートとゴムシートとを接合してもよい。 アルコキシ基を有するアミノ基非含有のシランカップリング剤として、アルコキシシリル基を両末端に含有するアルコキシシリル化合物、例えば、(C2H5O)3SiCH2CH2Si(OC2H5)3、(C2H5O)2CH3SiCH2CH2Si(OC2H5)3、(C2H5O)3SiCH=CHSi(OC2H5)3、(CH3O)3SiCH2CH2Si(OCH3)3(CH3O)3SiCH2CH2C6H4CH2CH2Si(OCH3)3、(CH3O)3Si[CH2CH2]3Si(OCH3)3、(CH3O)2Si[CH2CH2]4Si(OCH3)3、(C2H5O)2Si(OC2H5)2、(CH3O)2CH3SiCH2CH2Si(OCH3)2CH3、(C2H5O)2CH3SiOSi(OC2H5)2CH3、(CH3O)3SiO[Si(OCH3)2O]v1Si(OCH3)3、(C2H5O)3SiO[Si(OC2H5)2O]v2Si(OC2H5)3、(C3H7O)3SiO[Si(OC3H7)2O]v3Si(OC3H7)3であってもよい。これらの基中、v1〜v3は0〜30までの数である。 アルコキシ基を有するアミノ基非含有のシランカップリング剤として、加水分解性基含有シリル基を含有するアルコキシシリル化合物、例えば、CH3Si(OCOCH3)3、(CH3)2Si(OCOCH3)2、n-C3H7Si(OCOCH3)3、CH2=CHCH2Si(OCOCH3)3、C6H5Si(OCOCH3)3、CF3CF2CH2CH2Si(OCOCH3)3、CH2=CHCH2Si(OCOCH3)3、CH3OSi(OCOCH3)3、C2H5OSi(OCOCH3)3、CH3Si(OCOC3H7)3、CH3Si[OC(CH3)=CH2]3、(CH3)2Si[OC(CH3)=CH2]3、n-C3H7Si[OC(CH3)=CH2]3、CH2=CHCH2Si[OC(CH3)=CH2]3、C6H5Si[OC(CH3)=CH2]3、CF3CF2CH2CH2Si[OC(CH3)=CH2]3、CH2=CHCH2Si[OC(CH3)=CH2]3、CH3OSi[OC(CH3)=CH2]3、C2H5OSi[OC(CH3)=CH2]3、CH3Si[ON=C(CH3)C2H5]3、(CH3)2Si[ON=C(CH3)C2H5]2、n-C3H7Si[ON=C(CH3)C2H5]3、CH2=CHCH2Si[ON=C(CH3)C2H5]3、C6H5Si[ON=C(CH3)C2H5]3、CF3CF2CH2CH2Si[ON=C(CH3)C2H5]3、CH2=CHCH2Si[ON=C(CH3)C2H5]3、CH3OSi[ON=C(CH3)C2H5]3、C2H5OSi[ON=C(CH3)C2H5]]3、CH3Si[ON=C(CH3)C2H5]3、CH3Si[N(CH3)]3、(CH3)2Si[N(CH3)]2、n-C3H7Si[N(CH3)]3、CH2=CHCH2Si[N(CH3)]3、C6H5Si[N(CH3)]3、CF3CF2CH2CH2Si[N(CH3)]3、CH2=CHCH2Si[N(CH3)]3、CH3OSi[N(CH3)]3、C2H5OSi[N(CH3)]3、CH3Si[N(CH3)]3などの昜加水分解性オルガノシランであってもよい。 このアルコキシ基を有するアミノ基含有のシランカップリング剤として、市販のシランカップリング剤、具体的にはN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(KBM-602)、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-603)、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE-603)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE-903)、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン(KBE-9103)、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-573)、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(KBM-575)で例示されるアミノ基含有アルコキシシリル化合物(以上、信越シリコーン株式会社製;商品名)が挙げられ、また3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Z-6610)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Z-6611)、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(Z-6094)、3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(Z-6883)、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-N’-[(エテニルフェニル)メチル-1,2-エタンジアミン・塩酸塩(Z-6032) で例示されるアミノ基含有アルコキシシリル化合物(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製;商品名)が挙げられる。 基材シート10・30が金属、セラミックス又はガラスで形成されており、ゴムシート20がシリコーンゴムで形成されている場合、両者は直接エーテル結合で接合されていることが好ましい。この場合、基材シート10・30とゴムシート20とがコロナ放電処理されてその表面で水酸基のような活性基を生じており、加圧又は減圧による圧着によって、基材シート10・30とゴムシート20とが、脱水してエーテル結合を形成している。 基材シート10・30が金属、セラミックス又はガラスで形成されており、ゴムシート20が非シリコーンゴムで形成されている場合、両者はアルコキシ基を有するアミノ基非含有のシランカップリング剤を介した酸素−炭素結合、炭素−炭素結合、酸素−珪素結合の共有結合で、接合されていることが好ましい。この場合、基材シート10・30とゴムシート20とがコロナ放電処理されてその表面で水酸基のような活性基を生じており、アルコキシ基又はアルコキシ基等価基と、必要に応じ不飽和基、エポキシ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基とを含有しアミノ基非含有のシランカップリング剤が付されていることによって、常圧・加圧又は減圧下で、常温又は加熱による圧着の際に、これら共有結合を形成している。 基材シート10・30が樹脂で形成されており、ゴムシート20がシリコーンゴム又は非シリコーンゴムで形成されている場合、両者はアルコキシ基を有するアミノ基含有のシランカップリング剤を介した酸素−珪素結合の共有結合と、水酸基−アミノ基の水素結合との化学結合、新たに形成したカルボキシル基やカルボニル基とのアミド結合やイミノ結合のような共有結合で、接合されていることが好ましい。この場合、基材シート10・30とゴムシート20とがコロナ放電処理されてその表面で水酸基のような活性基を生じており、アルコキシ基又はアルコキシ基等価基とアミノ基とを含有するシランカップリング剤が付されていることによって、常圧・加圧又は減圧下で、常温又は加熱による圧着の際に、これら化学結合を形成している。この場合、シランカップリング剤のアミノ基が樹脂に吸着し易くなり、樹脂がポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、又はエポキシ樹脂のとき、特にその反応が進行するため、迅速かつ強固に接合し易い。中でもポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂であると、とりわけ耐水性に優れる。 基材シート10・30の水酸基とゴムシート20の水酸基とのような活性基、又はそれらに反応するシランカップリング剤の反応性官能基との接近は、減圧乃至真空条件下、例えば50torr以下、より具体的には50〜10torrの減圧条件、又は10torr未満、より具体的には、10torr未満〜1×10−3torr、好ましくは10torr未満〜1×10−2torrの真空条件下で、その接触界面の気体媒体を除去することによって、又はその接触界面に応力(荷重)、例えば10〜200kgfを加えることによって、さらに接触界面を加熱することによって、促進される。減圧又は加圧条件で、基材シート10・30の水酸基とゴムシート20との接合面全面に、均一に圧力が掛ることが好ましい。上記範囲を外れると、均一に圧力が掛らない恐れがある。 このようなマイクロ化学チップ1は、その一例である図1を参照すると、以下のようにして作製される。 シリコーンゴムシート20を長方体に切り出す。このゴムシート20をレーザー加工でくり抜いて貫通させて、ゴムシート20に微細流路26を付す。その流路26は、レーザー加工で、始点末端の流動試料注入部位21a・21bから延びて下流で合流しそこから流動試料排出部位22aへ延びる支流と、流動試料排出部位22b及び22cへ延びる本流とを有しその本流がその下流で終点末端の流動試料排出部位22b及び22cへ延びて分岐している形状に、形成される。次にゴムシート20と同じ大きさのカバー用の金属基材シート10を切り出す。その金属基材シート10に、流動試料注入部位21a・21bと流動試料排出部位22a・22b・22cとに対応する位置で、それぞれ流動試料注入穴11a・11bと流動試料排出穴12a・12b・12cとを、ドリルで穿孔し又は打ち抜いて、開口する。次いで底面支持用の金属基材シート30を、ゴムシート20と同じ大きさに切り出す。 基材シート10・30とゴムシート20とを、アルコール、水で洗浄する。基材シート10の下面15と、基材シート30の上面34と、ゴムシート20の上下両面24・25とを、コロナ放電処理すると、それら表面に、新たに水酸基が生じる。基材シート10・30の間に、ゴムシート20を挟み込み、例えば10torr以下減圧する。次いで例えば10〜200kgfでプレスしながら例えば80〜120℃で加熱して熱圧着させると、基材シート10・30の水酸基とゴムシート20の水酸基とが脱水してエーテル結合を生じる結果、接合し、マイクロ化学チップ1が得られる。 なお、基材シート10・30やゴムシート20にコロナ放電を施した例を示したが、大気圧プラズマ処理又は紫外線照射を施してもよい。これらの処理によって有機又は無機の基材シート10・30やゴムシート20の表面に、水酸基である活性基が生成したり、有機の基材シート10・30やゴムシート20の表面に、さらにカルボキシル基、カルボニル基で例示される活性基が生成したりする。 基材シート10・30やゴムシート20は、元々水酸基を有するものと有しないものとがあるが、これら表面に水酸基を有しなくともコロナ放電、大気圧プラズマ処理又は紫外線照射の処理を施すことにより、そこに水酸基が効率よく生成される。 それらの最適処理条件は、基材シート10・30やゴムシート20の基材表面の材質の種類や履歴によって異なるが、その表面に55kJ/m以上の表面張力が得られるまで処理し続けることが重要である。これにより、十分な接着強度が得られる。 具体的には、基材シート10・30やゴムシート20のコロナ放電処理は、コロナ表面改質装置(例えば、信光電気計測(株)製コロナマスター)を用いて、例えば、電源:AC100V、出力電圧:0〜20kV、発振周波数:0〜40kHzで0.1秒〜60秒、温度0〜60℃の条件で行われる。 基材シート10・30やゴムシート20の大気圧プラズマ処理は、大気圧プラズマ発生装置(例えば、松下電工(株)製:商品名Aiplasuma)を用いて、例えば、プラズマ処理速度10〜100mm/s,電源:200 又は 220V AC(30A)、圧縮エア:0.5MPa(1NL/min)、10kHz/300W〜5GHz、電力:100W〜400W、照射時間:0.1秒〜60秒の条件で行われれる。 基材シート10・30やゴムシート20の紫外線照射は、紫外線−発光ダイオード(UV-LED)照射装置(例えば、(株)オムロン製のUV-LED照射装置:商品名ZUV-C30H)を用いて、例えば、波長:200〜400nm、電源:100V AC、光源ピーク照度:400〜3000mW/cm2、照射時間:1〜60秒の条件で行われる。 コロナ放電などの活性化処理後、基材シート10・30の接合すべき表面15・34を、分子接着剤であるシランカップリング剤溶液で浸漬又は噴霧してから、基材シート10・30とゴムシート20とを接触させてもよい。浸漬及び噴霧の時間に制限はなく、基材シート10・30の基材表面が一様に湿潤していることが重要である。 シランカップリング剤を付した基材シート10・30を、オーブンに入れたり、ドライヤーで温風を送風したり、高周波を照射したりすることにより、加熱しながら乾燥する。加熱・乾燥は、50〜250℃の温度範囲で、1〜60分間行われる。50℃未満では、基材シート10・30表面に生成した水酸基とシランカップリング剤との反応時間が長くかかりすぎて、生産性が低下し、コストの高騰を招く。一方、250℃を超えると、加熱乾燥時間が短くても基材シート10・30表面が変形したり、分解したりしてしまう。1分間未満の加熱乾燥では熱の伝達が不十分であるため、基材シート10・30表面の水酸基とシランカップリング剤との結合が不十分となる。一方、60分間を超えると生産性が低下する。 基材シート10・30表面の水酸基とシランカップリング剤との反応が不十分な場合には、前記浸漬と乾燥とを1〜5回程度繰り返してもよい。それにより1回当たりの浸漬及び乾燥時間を短縮し、反応回数を増やす方が反応を十分に進行させることができる。 マイクロ化学チップ1は、例えば微量合成の例について図1を参照して説明すると、以下のようにして使用される。マイクロ化学チップ1をマイクロリアクター(不図示)に装着する。カバー用の基材シート10の流動試料注入穴11a・11bにそれぞれシリンジ(不図示)を気密に刺し、各シリンジから別々にそれぞれ液状検体と液状試薬とである流動試料を、100kPaを超え3MPa以下に加圧しながら流動試料注入部位21a・21bを経て、流路26に送り込む。両流動試料は、流路26を流れて合流して混合され、互いに反応する。必要に応じ支流である流動試料排出部位22aを経て流動試料排出穴12aから、廃液を排出する。本流で分岐し、流動試料排出部位22b・22cを経て流動試料排出穴12b・12cから、微量合成された生成物を含む流動試料をそれぞれ排出し、目的物を得る。 マイクロ化学チップ1の別な態様を、図2に示す。このマイクロ化学チップ1はカバー用の金属基材シート10、第一のゴムシート20、中敷用の金属基材シート30、第二のゴムシート40、底面支持用金属基材シート50の順で重ね合わされたものである。 ゴムシート20・40に、流路26・46が表裏を貫通して形成されている。流路26はゴムシート20で始点末端である流動試料注入部位21a・21bからそれぞれ延びて下流で合流し、そこから流動試料排出部位22aへ延びる支流と、流動試料移送部位23へ延びる本流とに分岐している。中敷用の金属基材シート30は、その流動試料移送部位23に対応する位置で、流動試料移送穴33が開けられている。流動試料移送穴33に逆止弁が設けられていてもよい。第二のゴムシート40は、その流動試料移送穴33に対応する位置で、流動試料移入部位43が設けられ、そこへ別な始点末端である流動試料注入部位41aから延びて合流し、その下流で終点末端である流動試料排出部位42a及び42bへ延びて分岐した流路46が、表裏を貫通して形成されている。底面支持用の金属基材シート50に、流動試料注入部位41aと流動試料排出部位42a及び42bとに対応した位置で、流動試料注入穴51aと流動試料排出穴52a・52bが開けられている。基材シート10・20・30とゴムシート20・40とは、図1と同様に、エーテル結合を介して、直接接合されている。基材シート10・20・30とゴムシート20・40とは、前記の素材、形状でもよく、シランカップリング剤を介して接合されていてもよい。このマイクロ化学チップ1は、図1のものと同様に加圧して流動体試料を送り込んで使用される。マイクロ化学チップ1は、複数のゴムシート20・40の各流路26・46で、分子量や組成成分や組成物性が異なる流動試料をそれぞれ注入する際に、不意な混入を防ぐことができる。また、流動試料が流路26・46で反応して、流動試料内の目的物質の分子量が変化したり流動試料の比重が変化したりしたときに、適宜分離するものであってもよい。 マイクロ化学チップ1の別な態様を、図3に示す。このマイクロ化学チップ1は、図1の基材シート10・30とゴムシート20とからなり、ゴムシート20ごと最外の基材シート10と30とが、2枚の樹脂板又は金属板で撓まない剛直なホルダー60a・60bで挟まれている。これらは、螺子止めされ、固定されている。ホルダー60a・60bに、基材シート10・30の流動試料注入穴11a・11bや流動試料排出穴12a・12b・12cと対応した位置で、注入誘導穴61a・61bと排出誘導穴62a・62b・62cとが、開口している。このマイクロ化学チップ1は、図1のものと同様に加圧して流動体試料を流路26に送り込んで使用される。ホルダー60a・60bは、可撓性の基材シート10・30とゴムシート20とを、撓まないように矯正しつつ、流路26に流動体試料が流れる程度に締め付けている。このマイクロ化学チップ1は、図2に示す基材シート10・30・50とゴムシート20・40を有するものであってもよい。図1〜2のマイクロ化学チップ1は、基材シート10・30とゴムシート20との間に加熱ヒータが挿入されて接合されていてもよく、図3のホルダー上に加熱ヒータが配置されていてもよい(不図示)。マイクロ化学チップ1は、流動試料注入部位21a・21b、流動試料排出部位22a・22b・22c、流動試料注入部位、流動試料排出部位41a、42a・42bの何れかに、検体・試薬・反応生成物を検知する電極等のセンサーが配線されていてもよい。 以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。(実施例1) 図1に示すマイクロ化学チップ1を、シクロオレフィン樹脂基材シート10・30とシリコーンゴムシート20とで、作製した。シクロオレフィン樹脂基材シート10・30は、シクロオレフィン樹脂であるゼオノア(日本ゼオン株式会社製、登録商標)で形成され厚さ2mmで30×40mmの大きさのものである。シリコーンゴムシート20は、シクロオレフィン樹脂基材シート10・30と同形であってポリジメチルシロキサンであるSH−851−U(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名)で形成され厚さ50μmである。シリコーンゴムート20に、図1の通りに直径1mmの流動試料注入部位21a・21b及び流動試料排出部位22a・22b・22cを有する幅500μmの溝状で分岐している流路26を、レーザー加工機(機種LaserPro SPIRIT(コムネット株式会社製)、加工条件:speed10, power30, PPI400)で形成した。カバー用の基材シート10に、流動試料注入穴11a・11bと流動試料排出穴12a・12cとを、ドリルで穿孔した。カバー用の基材シート10と底面支持用の基材シート30とをエタノールと水とで洗浄した後、ギャップ長1mm、電圧13.5kV、70mm/秒で3回コロナ放電処理し、表面を活性化処理した。基材シート10・30を、シランカップリング剤である0.1重量%の3‐(2‐アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランのエタノール溶液に浸漬した後、イオン交換水で洗浄し、エアーガンで風乾し80℃で10分間加熱して、再度エタノール洗浄、3‐(2‐アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン処理及び乾燥を行ってから、同条件でコロナ放電処理した。流動試料注入部位21a・21b及び流動試料排出部位22a・22b・22cと流動試料注入穴11a・11bと流動試料排出穴12a・12b・12cとを位置合わせしつつ、基材シート10・30の間に、ゴムシート20を挟み込んだ。それを15秒間、10torrの減圧条件に曝した後、80℃で15分間、70kgfでプレスし、熱圧着して、マイクロ化学チップ1を、得た。 流動試料注入穴11bと流動試料排出穴12a・12b・12cを塞ぎ、流動試料注入穴11aを経て流動試料注入部位21aから、加圧エアーを導入した際、1.5MPaまで耐圧性を示した。(実施例2) 図1に示すマイクロ化学チップ1を、縦横30mmで厚さ2mmのステンレス基材シート10・30、及びそれと同形で厚さ50μmのシリコーンゴムシート20とで作製した。シリコーンゴムシート20に、図1の通りに流動試料注入部位21a・21b・21b及び流動試料排出部位22a・22b・22cを有する流路26を、レーザー加工機で形成した。基材シート10に、流動試料注入穴11a・11bと流動試料排出穴12a・12b・12cとを、ドリルで穿孔した。基材シート10・30をエタノールと水とで洗浄した。基材シート10・30とゴムシート20とをエタノールと水とで洗浄した後、実施例1と同条件でコロナ放電処理し、表面を活性化処理した。流動試料注入部位21a・21b及び流動試料排出部位22a・22b・22cと流動試料注入穴11a・11bと流動試料排出穴12a・12b・12cとを位置合わせしつつ、基材シート10・30の間に、ゴムシート20を挟み込んだ。それを15秒間、10torrの減圧条件に曝した後、80℃で15分間、70kgfでプレスし、熱圧着して、マイクロ化学チップ1を、得た。 実施例1のマイクロ化学チップと同等な耐圧性を示した。 本発明のマイクロ化学チップは、迅速に分析結果を知る必要がある救急医療現場での患者の生体成分の分析、犯罪現場で微量な血痕・体液・毛髪・生体組織細胞等の遺留品からDNAを抽出し、そのDNAを増やすPCR増幅し、電気泳動でDNAを特定するDNA解析、新規医薬品探索のための各種医薬候補品の物性・薬効評価、オーダーメード医療のための診断、ペプチドやDNAや機能性低分子の微量合成などに、用いられる。 マイクロ化学チップは、簡便に自在な形状の流路を形成できるものなので、オーダーメイドの診療や、種々の動植物のDNA分析などの同定に、用いることができる。 本発明のマイクロ化学チップを製造する方法で得られたこのマイクロ化学チップは、それらの分析装置やマイクロリアクターに装着して、遺伝子診察・治療を行う医療分野や、生体試料を用いた犯罪捜査分野における各種分析、海洋や湖沼等の遠隔地での水中ロボットを用いた微生物探索、医薬品開発における各種合成に用いることができる。 1はマイクロ化学チップ、10は基材シート、11a・11bは流動試料注入穴、12a・12b・12cは流動試料排出穴、15は下面、20はゴムシート、21a・21bは流動試料注入部位、22a・22b・22cは流動試料排出部位、23は流動試料移送部位、24は上面、25は下面、26は流路、27は壁面、30は基材シート、33は流動試料移送穴、34は上面、40はゴムシート、41aは流動試料注入部位、42a・42bは流動試料排出部位、43は流動試料移入部位、50は基材シート、51aは流動試料注入穴、52a・52bは流動試料排出穴、60a・60bはホルダー、61a・61bは注入誘導穴、62a・62b・62cは排出誘導穴である。 検体及び試薬から選ばれる流動試料を加圧して流し込み化学反応させる流路がゴムシートを貫通しており、金属、セラミックス、ガラス、及び樹脂から選ばれる基材シートの間に該ゴムシートが挟まれつつ表裏面で直接又はシランカップリング剤を介した化学結合により該基材シートと接合しており、該流路に該流動試料を注入する穴と流し込まれた該流動試料を排出する穴とが該基材シートに開いていることを特徴とするマイクロ化学チップ。 該ゴムシートと該基材シートとが、減圧下及び/又は加圧下での該化学結合によって、接合していることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ化学チップ。 該ゴムシートと該基材シートとが、減圧下とそれに引き続く加圧下及び/又は加熱下とでの該化学結合によって、接合していることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載のマイクロ化学チップ。 該ゴムシート及び/又は該基材シートが、それらの接合面で、活性化処理されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のマイクロ化学チップ。 該基材シートに挟まれた該ゴムシートが、複数積層していることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のマイクロ化学チップ。 最外の該基材シートが板状のホルダーで挟まれ該流動試料を遺漏不能にして該ゴムシートごと固定していることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のマイクロ化学チップ。 該ゴムシートが、シリコーンゴムで形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のマイクロ化学チップ。 シリコーンゴムで形成された該ゴムシートと、該基材シートとが、それらの接合面の少なくとも何れかで、コロナ放電処理、プラズマ処理及び/又は紫外線照射処理によって活性化されており、該化学結合により、直接、接合していることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のマイクロ化学チップ。 シリコーンゴム又は非シリコーンゴムで形成された該ゴムシートと、該基材シートとが、それらの接合面の少なくとも何れかで、コロナ放電処理、プラズマ処理及び/又は紫外線照射処理によって活性化されており、アミノ基及び/又はアルコキシ基を有する該シランカップリング剤を介した該化学結合により、接合していることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のマイクロ化学チップ。 該基材シートが、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、及びエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種類の該樹脂で形成され、該シランカップリング剤が該アミノ基及び該アルコキシ基を有することを特徴とする請求項9に記載のマイクロ化学チップ。 該ゴムシートが、少なくとも該流路の壁面でコーティングされていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載のマイクロ化学チップ。 検体及び試薬から選ばれる流動試料を加圧して流し込み化学反応させる流路を、ゴムシートに貫通させて形成する流路形成工程、 金属、セラミックス、ガラス、及び樹脂から選ばれる基材シートに、該流路に該流動試料を導入する穴と、流し込まれた該流動試料を排出する穴とを形成する開口工程、 該ゴムシートを、該基材シートの間に挟みつつ、その表裏面で直接又はシランカップリング剤介在の化学結合により、該基材シートに接合させる接合工程を、有することにより、マイクロ化学チップを製造する方法。 減圧下の該化学結合により、該ゴムシートを該基材シートに接合することを特徴とする請求項12に記載のマイクロ化学チップを製造する方法。 【課題】貴重な生体由来検体や稀薄で微量の試薬を流動させる微細な流路が確実に形成され、流動試料を加圧して流動させても破損せず、精度良くかつ確実に所望通りに流路へ送り込むことができ、その検体中のバイオ成分等の有用物質を正確かつ簡便に短期間で分析したり反応させたりでき、歩留まり良く大量かつ均質に製造できる簡易で小型のマイクロ化学チップを提供する。【解決手段】マイクロ化学チップ1は、検体及び試薬から選ばれる流動試料を加圧して流し込み化学反応させる流路26がゴムシート20を貫通しており、金属、セラミックス、ガラス又は樹脂である基材シート10・30の間にゴムシート20が挟まれつつ表裏面で直接又はシランカップリング剤を介した化学結合により基材シート10・30と接合しており、流路26に流動試料を注入する穴11a・11bと流し込まれた流動試料を排出する穴12a・12b・12cとが基材シート10に開いている。【選択図】図1


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る

再公表特許(A1)_有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置および照明装置

生命科学関連特許情報

タイトル:再公表特許(A1)_有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置および照明装置
出願番号:2012056229
年次:2014
IPC分類:H01L 51/50,H05B 33/10,C09K 11/06,C07D 519/00


特許情報キャッシュ

及川 和博 硯里 善幸 佐藤 朱里 大久 哲 JP WO2012160859 20121129 JP2012056229 20120312 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置および照明装置 コニカミノルタ株式会社 000001270 特許業務法人光陽国際特許事務所 110001254 及川 和博 硯里 善幸 佐藤 朱里 大久 哲 JP 2011115615 20110524 H01L 51/50 20060101AFI20140704BHJP H05B 33/10 20060101ALI20140704BHJP C09K 11/06 20060101ALI20140704BHJP C07D 519/00 20060101ALN20140704BHJP JPH05B33/14 BH05B33/10C09K11/06 690C09K11/06 660C07D519/00 311 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN 再公表特許(A1) 20140731 2013516235 65 (出願人による申告)平成25年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代高効率・高品質照明の基盤技術開発/有機EL照明の高効率・高品質化に係る基盤技術開発」共同研究 産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願 3K107 4C072 3K107AA01 3K107BB01 3K107BB02 3K107CC04 3K107CC12 3K107CC21 3K107DD53 3K107DD64 3K107DD67 3K107DD68 3K107DD69 3K107FF00 3K107FF18 3K107GG06 3K107GG28 4C072MM02 4C072UU05 本発明は有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、詳しくは、発光効率、発光寿命に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子ならびにそれを用いた表示装置および照明装置に関する。 近年、有機物質を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子(以下において、適宜、「有機EL素子」と略称する。)は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視されており、研究開発が活発に進められている。 有機EL素子は、フィルム上に形成された1対の陽極と陰極との間に、有機発光物質を含有する厚さ僅か0.1μm程度の有機機能層(単層部又は多層部)で構成する薄膜型の全固体素子である。このような有機EL素子に2〜20V程度の比較的低い電圧を印加すると、有機化合物層に陰極から電子が注入され、陽極から正孔が注入される。この電子と正孔とが発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出することにより発光が得られることが知られており、次世代の平面ディスプレイや照明として期待されている技術である。 さらに、最近発見されたリン光発光を利用する有機EL素子では、以前の蛍光発光を利用するそれに比べ、原理的に約4倍の発光効率が実現可能であることから、その材料開発を始めとし、有機機能層の層構成や電極の研究開発が世界中で行われている。特に、地球温暖化防止策の1つとして、人類のエネルギー消費の多くを占める照明器具への応用が検討されはじめ、従来の照明器具に置き換わりうる白色発光パネルの実用化に向けて、性能向上やコストダウンの試みが盛んになっている。 これら有機EL素子の製造方法としては、真空蒸着法、ウェットプロセス(塗布法)等があるが、真空プロセスを必要とせず、連続生産が簡便であり生産速度を早くできるという理由で近年はウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法)における製造方法が注目されている。 一般的に、塗布型の有機EL素子としては、発光層に高分子材料を用いている塗布型の高分子有機EL素子(例えば、特許文献1参照)の例が挙げられる。 しかしながら、塗布型の高分子有機EL素子においては、材料の精製が難しいことや、その分子量分布を制御することが困難である等の理由から、性能面、生産安定性上での懸念を有している。 そこで、近年では塗布型の低分子有機EL素子が注目されている。 塗布により形成された低分子有機EL素子が開示されており(例えば、特許文献2参照)、色純度がよく、発光効率、輝度、半減寿命に優れた低分子有機EL素子が提供されているが、塗布型の低分子有機EL素子を照明用途で用いるには十分な性能ではなく、更なる駆動電圧の低下や寿命の向上が求められている。 低分子塗布型有機EL素子の駆動電圧を上昇させてしまう原因には、薄膜内に含有される微結晶の存在が挙げられる。一般的な蒸着法で堆積された膜や、ウェットプロセスで形成された高分子膜は非晶質であることが知られており、薄膜内における微結晶の存在の問題は低分子塗布型有機EL素子に特有の問題である。 微結晶が存在すると粒界により、正孔及び電子の輸送が散乱され抵抗を増大させてしまう。また、微結晶を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子を長時間駆動すると、ジュール熱の発生により微結晶がより大きな結晶に成長してしまい、正孔及び電子の輸送抵抗が時間経過とともに増大し、駆動電圧の上昇を招き素子寿命が短くなる。微結晶生成による駆動電圧の上昇や、素子寿命を短くする効果は、その結晶サイズが大きくなるほど大きくなる。 従って、低分子塗布型有機EL素子の駆動電圧を低下させるためには、含有される微結晶のサイズを出来るだけ小さくすること、また、その微結晶の含有数の低減が必要となる。 サイズの大きな微結晶の含有を抑制する塗布成膜法について記載した多数の先行文献が存在する。 例えば、インクジェット塗布法による非晶質薄膜形成法が開示されている。 2種類の溶剤を混合し、最適インク粘度の確保と、乾燥過程におけるインクの表面張力並びに上記有機材料の溶解限を増加させることによって、隔壁層で区画された凹領域のみに選択的に、インクジェット法で有機材料の非晶質膜形成する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。 この方法は塗布法全般に有効であるといえるが、この文献での非晶質膜形成の確認は目視でのみ行われており、目で見えない範囲での微結晶生成の可能性は否定できない。 また、有機層材料を不活性ガス雰囲気中で塗布した後、不活性ガス雰囲気中において、ガラス転移温度Tgよりも10℃以上低い温度で加熱乾燥を行うことにより、加熱時における有機物の結晶化を防ぐ方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。 この方法では、加熱乾燥時の結晶成長は防げるが、塗布後から加熱乾燥時までに起こる溶媒の揮発による大きな微結晶の生成は避けられない。 更に、X線回折により微結晶による回折ピークが検出されない薄膜を含む蒸着型の有機EL素子の作製方法が開示されている文献(例えば、特許文献5参照)があるが、X線回折による回折ピークが検出されない低分子塗布型の有機EL素子の作製方法については解決されていない課題として残されている。 この問題を解決する方法として、乾燥速度を速くしX線回折で測定される微結晶を含有しない機能層を形成する有機エレクトロルミネッセンス素子が開示されている(特許文献6)。 これらの方法では、X線回折測定に、株式会社リガク製薄膜構造評価装置ATX−Gのような市販の装置を用い、微結晶ピークが無く、高効率、長寿命な膜としている。 しかし、高エネルギー、高指向性のX線回折ではこのような膜においても微結晶ピークが観測される。すなわち、分子が十分に分散しているわけではなく、いくつかの分子が集合し、結果としてドメイン(凝集クラスターもしくは空隙)を形成していることが示唆され、更なる低駆動電圧、高効率、長寿命化された素子を得るには十分とは言えなかった。特開平6−33048号公報特開2006−190759号公報特開2006−66294号公報特開2005−310639号公報特開2005−276748号公報特開2010−278287号公報 したがって、本発明の主な目的は、高発光効率、低駆動電圧、長寿命を実現しうる有機EL素子を提供することであり、詳しくは素子の発光層中に存在する微結晶や凝集体の平均サイズが小さく、分子が分散された膜を有する有機EL素子を提供することであり、本発明の他の目的は、更に、当該有機EL素子を用いた表示装置および照明装置を提供することである。 上記課題を解決するため本発明によれば、 基板上に、対となる電極と、少なくとも1層の発光層とを、有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層には、ドーパントとホストとが少なくとも1種ずつ含有され、 前記発光層は、少なくとも1種の溶媒に分散された塗布液を用いて塗布法で成膜され、かつ、X線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きが、蒸着により成膜された比較発光層のX線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きの1.75倍以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。 本発明によれば、発光層のホスト材料やリン光発光ドーパント、製膜条件の選択により、高発光効率、低駆動電圧、長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができ、特に、公知の組み合わせでは難しかった均一な膜の安定製膜ができるため安定に生産でき、歩留まりも向上させることができる。有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例を示す概略断面図である。実施例サンプル1,6,7と比較例サンプル9とのギニエプロットを概略的に示す図面である。 以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。《有機ELの構成》 図1に示すとおり、本発明の好ましい実施形態にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子100(以下、有機EL素子ともいう)は、可撓性支持基板1を有している。可撓性支持基板1上には陽極2が形成され、陽極2上には有機機能層20が形成され、有機機能層20上には陰極8が形成されている。 有機機能層20とは、陽極2と陰極8との間に設けられている有機エレクトロルミネッセンス素子100を構成する各層をいう。 有機機能層20には、例えば、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7が含まれ、そのほかに正孔ブロック層や電子ブロック層等が含まれてもよい。 可撓性支持基板1上の陽極2,有機機能層20,陰極8は封止接着剤9を介して可撓性封止部材10によって封止されている。 なお、有機エレクトロルミネッセンス素子100のこれらの層構造(図1参照)は単に好ましい具体例を示したものであり、本発明はこれらに限定されない。たとえば、本発明に係る有機EL素子100は(i)〜(viii)の層構造を有していてもよい。(i)可撓性支持基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極/熱伝導層/封止用接着剤/封止部材(ii)可撓性支持基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極/熱伝導層/封止用接着剤/封止部材(iii)可撓性支持基板/陽極/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極/熱伝導層/封止用接着剤/封止部材(iv)可撓性支持基板/陽極/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極/熱伝導層/封止用接着剤/封止部材(v)可撓性支持基板/陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極/熱伝導層/封止用接着剤/封止部材(vi)ガラス支持体/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極/封止部材(vii)ガラス支持体/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極/封止部材(viii)ガラス支持体/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極/封止部材《有機EL素子の有機機能層20》 次いで、本発明の有機EL素子を構成する有機機能層の詳細について説明する。(1)注入層:正孔注入層3、電子注入層7 本発明の有機EL素子においては、注入層は必要に応じて設けることができる。注入層としては電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。 本発明でいう注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機機能層間に設けられる層で、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層と電子注入層とがある。 正孔注入層は、例えば、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、正孔注入層に適用可能な正孔注入材料としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体等を含むポリマーやアニリン系共重合体、ポリアリールアルカン誘導体、または導電性ポリマーが挙げられ、好ましくはポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体であり、さらに好ましくはポリチオフェン誘導体である。 電子注入層は、例えば、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的には、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。本発明においては、上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、フッ化カリウム、フッ化ナトリウムが好ましい。その膜厚は0.1nm〜5μm程度、好ましくは0.1〜100nm、さらに好ましくは0.5〜10nm、最も好ましくは0.5〜4nmである。(2)正孔輸送層4 正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、上記正孔注入層で適用するのと同様の化合物を使用することができるが、さらには、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。 芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。 さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。 また、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)、特表2003−519432号公報に記載されているような、いわゆるp型半導体的性質を有するとされる正孔輸送材料を用いることもできる。 正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については、特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。 以下、本発明の有機EL素子の正孔輸送材料に用いられる化合物の好ましい具体例((1)〜(60))を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。 なお、上記例示化合物に記載のnは重合度を表し、重量平均分子量が50,000〜200,000の範囲となる整数を表す。重量平均分子量がこの範囲未満では、溶媒への溶解性の高さから製膜時に他の層と混合する懸念がある。また製膜できたとしても、低い分子量では発光効率が上がらない。重量平均分子量がこの範囲より大きい場合は、合成、精製の難しさにより問題が生じる。分子量分布が大きくなると共に、不純物の残存量も増加するため、有機EL素子の発光効率、電圧、寿命は悪化する。 これらの高分子化合物は、Makromol.Chem.,193,909頁(1992)等に記載の公知の方法で合成することができる。(3)電子輸送層6 電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔ブロック層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。 従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔ブロック材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、シロール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、8−キノリノール誘導体等の金属錯体等が挙げられる。 その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。 これらの中でもカルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ピリジン誘導体等が本発明では好ましく、アザカルバゾール誘導体であることがより好ましい。 電子輸送層は、上記電子輸送材料を、例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができ、好ましくは上記電子輸送材料をフッ化アルコール溶剤とを含有する塗布液を用いたウェットプロセスにより形成することができる。 電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。 また、不純物をゲスト材料としてドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。 本発明における電子輸送層には、有機物のアルカリ金属塩を含有することが好ましい。有機物の種類としては特に制限はないが、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸、酪酸塩、吉草酸塩、カプロン酸塩、エナント酸塩、カプリル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、サリチル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、アジピン酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩が挙げられ、好ましくはギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、カプロン酸塩、エナント酸塩、カプリル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、より好ましくはギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩等の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩が好ましく、脂肪族カルボン酸の炭素数が4以下であることが好ましい。最も好ましくは酢酸塩である。 有機物のアルカリ金属塩のアルカリ金属の種類としては特に制限はないが、Na、K、Csが挙げられ、好ましくはK、Cs、さらに好ましくはCsである。有機物のアルカリ金属塩としては、前記有機物とアルカリ金属の組み合わせが挙げられ、好ましくは、ギ酸Li、ギ酸K、ギ酸Na、ギ酸Cs、酢酸Li、酢酸K、酢酸Na、酢酸Cs、プロピオン酸Li、プロピオン酸Na、プロピオン酸K、プロピオン酸Cs、シュウ酸Li、シュウ酸Na、シュウ酸K、シュウ酸Cs、マロン酸Li、マロン酸Na、マロン酸K、マロン酸Cs、コハク酸Li、コハク酸Na、コハク酸K、コハク酸Cs、安息香酸Li、安息香酸Na、安息香酸K、安息香酸Cs、より好ましくは酢酸Li、酢酸K、酢酸Na、酢酸Cs、最も好ましくは酢酸Csである。 これらドープ材の含有量は、添加する電子輸送層に対し、好ましくは1.5〜35質量%であり、より好ましくは3〜25質量%であり、最も好ましくは5〜15質量%である。(4)発光層5 本発明の有機EL素子を構成する発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。 本発明に係る発光層は、含まれる発光材料が前記要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。 また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。 本発明における発光層の膜厚の総和は1〜100nmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは、より低い駆動電圧を得ることができることから50nm以下である。なお、本発明でいう発光層の膜厚の総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む膜厚である。 個々の発光層の膜厚としては1〜50nmの範囲に調整することが好ましい。また個々の発光層は青、緑、赤の各色発光を示しても良く、各発光層膜厚の関係については、特に制限はない。 本発明においては、各発光層には複数の発光材料を混合してもよく、またリン光発光材料と蛍光発光材料を同一発光層中に混合して用いてもよい。 本発明においては、発光層の構成として、ホスト化合物、発光材料(発光ドーパント化合物ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。(4.1)ホスト化合物 本発明の有機EL素子の発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。 ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。 また、本発明に用いられる発光ホストとしては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位を持つ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性発光ホスト)でもよいが、高分子材料を用いた場合、精製が難しいことや化合物が溶媒を取り込んで膨潤やゲル化等、溶媒が抜けにくいと思われる現象が起こりやすいので、これを防ぐために分子量は高くない方が好ましく、具体的には塗布時での分子量が2,000以下の材料を用いることが好ましく、塗布時の分子量1,000以下の材料を用いることが更に好ましい。 公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。 公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。 本発明に用いられるホスト化合物は、カルバゾール誘導体であることが好ましい。 ホスト化合物は好ましくは一般式(1)で示される化合物が用いられる。 式(1)中、「X」はNR’、O、S、CR’R’’又はSiR’R’’を表す。 「R’」、「R’’」は各々水素原子又は置換基を表す。 「Ar」は芳香環を表す。 「n」は0〜8の整数を表す。 一般式(1)におけるXにおいて、R’、R’’で各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。 中でも、XとしてはNR’又はOが好ましく、また、R’としては、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、又は芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)が特に好ましい。 上記の芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、各々一般式(1)のXにおいて、R’、R’’で各々表される置換基を有してもよい。 一般式(1)において、Arにより表される芳香環としては、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が挙げられる。また、該芳香環は単環でもよく、縮合環でもよく、更に未置換でも、一般式(1)のXにおいて、R’、R’’で各々表される置換基を有してもよい。 一般式(1)において、Arにより表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環は更に、一般式(a)で表される部分構造のXにおいて、R’、R’’で各々表される置換基を有してもよい。 一般式(1)で表される部分構造において、Arにより表される芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。 これらの環は、更に一般式(1)において、R’、R’’で各々表される置換基を有してもよい。 上記の中でも、一般式(1)において、Arにより表される芳香環として、好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ジベンゾフラン環、ベンゼン環であり、更に好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ベンゼン環であり、より好ましくは置換基を有するベンゼン環であり、特に好ましくはカルバゾリル基を有するベンゼン環が挙げられる。 また、一般式(1)において、Arにより表される芳香環としては、各々3環以上の縮合環が好ましい一態様であり、3環以上が縮合した芳香族炭化水素縮合環としては、具体的には、ナフタセン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、フェナントレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ベンゾアズレン環、クリセン環、ベンゾクリセン環、アセナフテン環、アセナフチレン環、トリフェニレン環、コロネン環、ベンゾコロネン環、ヘキサベンゾコロネン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フルオランテン環、ペリレン環、ナフトペリレン環、ペンタベンゾペリレン環、ベンゾペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、コロネン環、ナフトコロネン環、オバレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。なお、これらの環は、更に上記の置換基を有していてもよい。 また、3環以上が縮合した芳香族複素環としては、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の任意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フェナントロリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、チオファントレン環(ナフトチオフェン環)等が挙げられる。なお、これらの環は更に置換基を有していてもよい。 また、一般式(1)において、nは0〜8の整数を表すが、0〜2であることが好ましく、特にXがO、Sである場合には1〜2であることが好ましい。 本発明においては、特に、ジベンゾフラン環とカルバゾール環をともに有するホスト化合物が好ましい。 以下に、一般式(1)で表されるホスト化合物の具体例(a−1〜a−41)を示すが、これらに限定されるものではない。(4.2)発光材料(発光ドーパント) 本発明に係る発光材料(発光ドーパント)としては、蛍光性化合物、リン光発光材料(リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう)を用いることができるが、リン光発光材料であることが好ましい。 本発明において、リン光発光材料とは励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。 上記リン光量子収率は第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においてリン光発光材料を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。 リン光発光材料の発光原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光材料に移動させることでリン光発光材料からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光発光材料がキャリアトラップとなり、リン光発光材料上でキャリアの再結合が起こりリン光発光材料からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光発光材料の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。 リン光発光材料は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。 本実施形態にかかるリン光発光材料は、少なくとも1つの青色リン光材料を含むものであり、好ましくは少なくとも1つの青色リン光材料と、当該青色リン光材料よりもバンドギャップエネルギーが低い少なくとも1つのリン光材料とを、含むものである。 以下に、本発明の一般式(2)で表されるリン光発光ドーパントについて説明する。 一般式(2)において、「R1」は置換基を表す。 「Z」は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。 「n1」は0〜5の整数を表す。 「B1〜B5」は炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、少なくとも一つは窒素原子を表す。 「M1」は元素周期表における8族〜10族の金属を表す。 「X1」及び「X2」は炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表し、「L1」はX1及びX2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。 「m1」は1、2、又は3の整数を表し、「m2」は0、1、又は2の整数を表すが、「m1+m2」は2又は3である。 本発明に係る一般式(2)で表されるリン光性化合物は、HOMOが−5.15〜−3.50eV、LUMOが−1.25〜+1.00eVであり、好ましくはHOMOが−4.80〜−3.50eV、LUMOが−0.80〜+1.00eVである。 一般式(2)で表されるリン光性化合物において、R1で表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。これらの置換基のうち、好ましいものはアルキル基もしくはアリール基である。 Zは、5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Zにより形成される5〜7員環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環及びチアゾール環等が挙げられる。これらのうちで好ましいものは、ベンゼン環である。 B1〜B5は、炭素原子、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を表し、少なくとも一つは窒素原子を表す。これら5つの原子により形成される芳香族含窒素複素環としては単環が好ましい。例えば、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサジアゾール環及びチアジアゾー環ル等が挙げられる。これらのうちで好ましいものは、ピラゾール環、イミダゾール環であり、特に好ましくはB2、B5が窒素原子であるイミダゾール環である。これらの環は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。置換基として好ましいものはアルキル基及びアリール基であり、更に好ましくはアリール基である。 L1は、X1、X2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。X1−L1−X2で表される2座の配位子の具体例としては、例えば、置換又は無置換のフェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボル、ピコリン酸及びアセチルアセトン等が挙げられる。これらの基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。 m1は、1、2又は3の整数を表し、m2は0、1又は2の整数を表すが、m1+m2は2又は3である。中でも、m2は0である場合が好ましい。M1で表される金属としては、元素周期表の8〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)が用いられるが、中でもイリジウム、白金が好ましく、更に好ましくはイリジウムである。 以下に、一般式(2)で表されるリン光性化合物の具体的な化合物(D−1〜D−133)を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。《有機機能層の各層の形成法》 本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子では、構成層である少なくとも1層の発光層が塗布法で成膜形成されていればよく、その他の層の形成方法は特に塗布成膜方法に限定されず、必要に応じて、蒸着法等を用いて成膜することもできる。 本発明の有機EL素子の製造方法においては、発光層の形成方法として、塗布法(塗布成膜方法ともいう)が用いられる。 発光層の形成方法には、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等がある。 均質な膜が得られやすくかつピンホールが生成しにくい等の観点から、発光層の形成方法は、好ましくはスピンコート法、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の塗布法による成膜であり、その中でもより好ましくはスロット型コータ法を用いるのがよい。 もちろん、本発明の有機EL素子の発光層以外の構成層についても、上記の塗布法(塗布成膜方法)を適用することが好ましい。 塗布成膜後は、塗布液を乾燥させる。 塗布成膜後の乾燥方法として、スピン乾燥、熱風乾燥、遠赤外乾燥、真空乾燥、減圧乾燥などを適用することができる。(1)発光層の塗布成膜方法の詳細; 以下、本発明の有機EL素子の製造方法の一部として、発光層の塗布成膜法を詳述する。 ここでいう「塗布成膜法」とは、塗布液を塗布し、その後当該塗布液の乾燥が終了するまでの工程の意味である。 本発明者らは、様々な塗布成膜法で膜厚が等しくなるように成膜された低分子有機物薄膜を用意し、該低分子有機物薄膜中の含有微結晶の大きさ及び含有量の抑制について鋭意検討を重ねたところ、ホスト材料の多種混合、ドーパント(発光ドーパントともいう)材料の多種混合、溶媒(発光ホストともいう)の多種混合、塗布環境の高温化および塗布・乾燥後の最終的な膜厚の5%増の膜厚までの乾燥時間の短縮を図ることにより、X線小角散乱測定で低分子有機物による散乱線のギニエプロットの傾きが緩い、即ち凝集や空隙の少ない、材料が均一に分散された薄膜を形成できることを見出した。 具体的には、発光層には、ホスト材料が少なくとも5種以上混合されていることが好ましく、7種以上混合されていることが更に好ましい。 発光層には、ドーパント材料が少なくとも2種以上混合されていることが好ましく、3種以上混合されていることが更に好ましい。 発光層の塗布液は2種以上の混合溶媒から成ることが好ましい。 発光層の塗布液の成膜条件としては、35℃以上の塗布環境で成膜されることが好ましく、40℃以上で成膜されることが好ましい。 塗布成膜法では、場合に応じて過冷却状態を発生させるため、塗布・乾燥後に冷却を行ってもよい。 塗布成膜後の乾燥工程では、スピン乾燥、熱風乾燥、遠赤外乾燥、真空乾燥、減圧乾燥などを適用することができる。 これらの乾燥条件は、発光層の塗布液を塗布してその塗布液を乾燥させ、乾燥後の最終的な膜厚の5%増の膜厚までを乾燥時間とした場合、当該乾燥時間が3秒以内とされることが好ましく、2秒以内とされることがより好ましい。 上記の手段により、X線小角散乱測定で低分子有機物による散乱線のギニエプロットの傾きが緩い、即ち凝集や空隙の少ない、蒸着膜で形成されたような材料が分散された薄膜を形成することができた。 発光層等の薄膜の塗布乾燥過程では、溶液を塗布した後、薄膜が形成され乾燥が進行すると溶媒が蒸発するにしたがい、膜厚が薄くなっていき、乾燥を十分に行うと溶媒は蒸発しなくなり、乾燥後の最終的な膜厚の薄膜となる。 前記「乾燥後の最終的な膜厚の5%増の膜厚」というのは、例えば、乾燥後の最終的な膜厚が50nmの薄膜を作製しようとした場合は、52.5nmの膜厚に相当する。 発光層の膜厚の測定には、例えば分光エリプソメータ(例えばジョバンイボン社製UVISEL)を用いることができる。 今回、本発明者等は、発光層の形成において、特にホスト(ホスト化合物)の分子量が、塗布成膜後の発光層のX線小角散乱測定で低分子有機物による散乱線のギニエプロットの傾きが緩い、即ち凝集や空隙の少ない、蒸着膜で形成されたような材料が分散された薄膜を形成することができ、得られる有機EL素子の特性(パワー効率及び発光寿命)との関係において、ある好ましい関係があることを見出した。 すなわち、発光層中の低分子有機物、特にホストの分子量は、好ましくは400〜2000の範囲であり、更に好ましくは400〜800の範囲である。 ここでいう「分子量」とは、従来公知の質量スペクトルを用いて得られるが、高分子(例えば、分子量が10000以上のもの)については、従来公知のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定したものである。(2)発光層中においてX線小角散乱測定で低分子有機物による散乱線のギニエプロットの傾きが緩い、という文言の技術的意義; 発光層のX線小角散乱の測定には、例えば、株式会社リガク製ナノスケールX線構造評価装置NANO-Viewerのような汎用装置を用いてもよく、好ましくは、KEK/PF、SP-ring8、SAGA-LSのような大型放射光施設を利用したX線小角散乱装置を用いることができる。その測定条件を下記に示す。 X線としてSP-ring8の放射光を用い、1Åで薄膜試料に照射した。 測定にはHUBER製多軸回折装置を用い、X線入射角θは0.2°で固定して薄膜試料に照射し、検出器はシンチレーションカウンターを用いて2〜43°までの散乱線測定を行った。 これら得られたX線小角散乱データの解析にはギニエプロットを用いた。 X線を物質に入射すると、それを構成している各々の原子のもつ電子雲により一部が散乱される。散乱角の小さい範囲(本発明では2〜8°)からは、数nm〜数百nmの空間レベルの情報を得ることができ、これを利用した構造評価が、X線小角散乱である。 X線小角散乱のプロファイルでは散乱角θの代わりに一般に散乱ベクトルqが用いられる。qは下記式(i)で与えられる。 q=(4π/λ)sinθ … (i) 式(i)中、「λ」はX線の波長、「θ」は散乱角を表す。 qの小さな領域はギニエ(Gunier)領域、大きな領域はポロド(Porod)領域と呼ばれ、前者からはより大きな空間的情報、粒子分散状態や長周期構造、後者からはより小さな領域の情報、高分子の重合状態、分散粒子の表面形状、蛋白質の構造解析等を得ることができる。 X線小角散乱において粒子解析を行う場合、ギニエプロットが一般的に用いられる。 粒径分布が比較的小さく、マトリックス中で粒子同士の相互作用が小さい場合、散乱強度I(q)は式(ii)で表される。 I(q)=I(0)exp(-q^2*Rg^2/3) … (ii) 式(ii)中、「I(q)」は散乱強度、「Rg」は慣性半径を表す。 この式はギニエの法則と呼ばれ、q^2に対し散乱強度I(q)をプロットした場合、その傾きは散乱体の慣性半径に依存することになる。即ち膜内での分子密度の異なる凝集クラスターや空隙の大きさの情報が含まれている。 一般的に散乱体の粒子が小さく、均一に分散されている場合、このギニエプロットの傾きは緩くなり、粒子が大きく編在しているような場合、傾きが急になることが知られている。 有機エレクトロルミネッセンス素子において、膜内分子の均一分散性や不純物抑制の観点で有機膜は蒸着膜により成膜する方法が一般的である。 しかし、蒸着法による成膜は時間とコストがかかることからコストが安価な塗布法による膜で、いかに蒸着膜に近いもしくは蒸着膜以上の分散性が得られるかが、高パワー効率および長寿命化に重要な因子となる。 今回、本発明者等は、これらX線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きが、蒸着により成膜された発光層のX線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きを1とした場合に、塗布による発光層のX線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きが1.75倍以下であることにより、高パワー効率かつ長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子の作製が可能であることを見出した。 この倍率は1.5倍以下であることがより好ましく、1.3倍以下であることが最も好ましい。 これらX線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きは−700以上0以下であることが好ましく、−500以上0以下であることがより好ましく、−400以上0以下であることが高パワー効率かつ長寿命化の観点から最も好ましい。《陽極2》 有機EL素子を構成する陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状パターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合(100μm以上程度)は、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常は、10〜1000nmの範囲であり、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。《陰極8》 一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。 また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に形成することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する有機EL素子を作製することができる。《支持基板1》 本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。リジットな基板よりもフレキシブルな基板において、高温保存安定性や色度変動を抑制する効果が大きく現れるため、特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な可撓性を備えた樹脂フィルムである。 樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。 樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m2・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定した酸素透過度が、10−3cm3/(m2・24h・atm)以下、水蒸気透過度が10−3g/(m2・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましく、前記の水蒸気透過度が10−5g/(m2・24h)以下であることがさらに好ましい。 バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等の有機EL素子の劣化を招く因子の浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機機能層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。 バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。 不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。 本発明の有機EL素子において、発光の室温における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。 ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。《封止(封止接着剤9,封止部材10)》 本発明の有機EL素子に適用可能な封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。 封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。 具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコーン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。 本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。さらには、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3cm3/(m2・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が1×10−3g/(m2・24h)以下のものであることが好ましい。 封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。 接着剤としては、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。 なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。 また、有機機能層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機機能層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。 封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相を形成することを目的として、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。 吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。 封止にはケーシングタイプの封止(缶封止)と密着タイプの封止(固体封止)があるが、薄型化の観点からは固体封止が好ましい。また、可撓性の有機EL素子を作製する場合は、封止部材にも可撓性が求められるため、固体封止が好ましい。 以下に、固体封止を行う場合の好ましい態様を説明する。 本発明に係る封止用接着剤には、熱硬化接着剤や紫外線硬化樹脂などを用いることができるが、好ましくはエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂など熱硬化接着剤、より好ましくは耐湿性、耐水性に優れ、硬化時の収縮が少ないエポキシ系熱硬化型接着性樹脂である。 本発明に係る封止用接着剤の含水率は、300ppm以下であることが好ましく、0.01〜200ppmであることがより好ましく、0.01〜100ppmであることが最も好ましい。 本発明でいう含水率は、いかなる方法により測定しても構わないが、例えば容量法水分計(カールフィッシャ−)、赤外水分計、マイクロ波透過型水分計、加熱乾燥重量法、GC/MS、IR、DSC(示差走査熱量計)、TDS(昇温脱離分析)が挙げられる。また、精密水分計AVM−3000型(オムニテック社製)等を用い、水分の蒸発によって生じる圧力上昇から水分を測定でき、フィルムまた固形フィルム等の水分率の測定を行うことができる。 本発明おいて、封止用接着剤の含水率は、例えば、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmの窒素雰囲気下に置き時間を変化させることで調整することが出来る。また、100Pa以下の真空状態で置き時間を変化させて乾燥させることもできる。また、封止用接着材は接着剤のみで乾燥させることも出来るが、封止部材へ予め配置し乾燥させることも出来る。 密着封止(固体封止)を行う場合、封止部材としては、例えば、50μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)にアルミ箔(30μm厚)をラミネートしたものを用いる。これを封止部材として、アルミニウム面にディスペンサを使用して均一に塗布し封止用接着剤を予め配置しておき、樹脂基板1と封止部材5を位置合わせ後、両者を圧着して(0.1〜3MPa)、温度80〜180℃で密着・接合(接着)して、密着封止(固体封止)する。 接着剤の種類また量、そして面積等によって加熱また圧着時間は変わるが0.1〜3MPaの圧力で仮接着、また80〜180℃の温度で、熱硬化時間は5秒〜10分間の範囲で選べばよい。 加熱した圧着ロールを用いると圧着(仮接着)と加熱が同時にでき、且つ内部の空隙も同時に排除でき好ましい。 また、接着層の形成方法としては、材料に応じて、ディスペンサを用い、ロールコート、スピンコート、スクリーン印刷法、スプレーコートなどのコーティング法、印刷法を用いることができる。 固体封止は以上のように封止部材と有機EL素子基板との間に空間がなく硬化した樹脂で覆う形態である。 封止部材としては、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等の金属、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル等のプラスチック、およびこれらの複合物、ガラス等が挙げられ、必要に応じて、特に樹脂フィルムの場合には、樹脂基板と同様、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素等のガスバリア層を積層したものを用いることができる。 ガスバリア層は、封止部材成形前に封止部材の両面若しくは片面にスパッタリング、蒸着等により形成することもできるし、封止後に封止部材の両面若しくは片面に同様な方法で形成してもよい。これについても、酸素透過度が1×10−3ml/(m2・24h・atm)以下、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m2・24h)以下のものであることが好ましい。 封止部材としては、アルミニウム等の金属箔をラミネートしたフィルム等でも良い。金属箔の片面にポリマーフィルムを積層する方法としては、一般に使用されているラミネート機を使用することができる。接着剤としてはポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系等の接着剤を用いることができる。必要に応じて硬化剤を併用してもよい。ホットメルトラミネーション法やエクストルージョンラミネート法および共押出しラミネーション法も使用できるがドライラミネート方式が好ましい。 また、金属箔をスパッタや蒸着等で形成し、導電性ペースト等の流動性電極材料から形成する場合は、逆にポリマーフィルムを基材としてこれに金属箔を成膜する方法で作成してもよい。《保護膜、保護板》 有機機能層を挟み支持基板と対向する側の封止膜、あるいは封止用フィルムの外側に、有機EL素子の機械的強度を高めるため、保護膜あるいは保護板を設けてもよい。特に、封止が封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。 本発明において、可撓性支持基板から陽極との間、あるいは可撓性支持基板から光出射側の何れかの場所に光取出し部材を有することが好ましい。 光取出し部材としては、プリズムシートやレンズシートおよび拡散シートが挙げられる。また、全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に導入される回折格子や拡散構造等が挙げられる。 通常、基板から光を放射するような有機エレクトロルミネッセンス素子においては、発光層から放射された光の一部が基板と空気との界面において全反射を起こし、光を損失するという問題が発生する。この問題を解決するために、基板の表面にプリズムやレンズ状の加工を施す、もしくは基板の表面にプリズムシートやレンズシートおよび拡散シートを貼り付けることにより、全反射を抑制して光の取り出し効率を向上させる。 また、光取り出し効率を高めるためには、全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法や拡散構造を導入する方法が知られている。《有機EL素子100の製造方法》 本発明の有機EL素子の製造方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の製造方法を説明する。 はじめに、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の薄膜形成方法により形成させて、陽極を作製する。 次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の有機機能層(有機化合物薄膜)を形成させる。 有機機能層を形成する工程は、主に、(i)その有機機能層を構成する塗布液を、支持基板の陽極上に塗布・積層する工程と、(ii)塗布・積層後の塗布液を、乾燥させる工程と、 で構成される。 なお、発光層の形成方法(塗布成膜方法)は前述のとおりである。 (i)の工程では、各層の形成方法として、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法)等を挙げることができる。)を用いることができ、少なくとも本発明の発光層はウェットプロセスを用いて形成することが好ましい。 発光層以外の有機機能層の形成においても、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、本発明においてはウェットプロセスが好ましく、中でも、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法等の塗布法による成膜が好ましい。 本発明に係る有機EL材料を溶解または分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒を用いることができる。また分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。 また、本発明に係る有機EL材料を溶解または分散する調液行程、基材上に塗布されるまでの塗布工程は不活性ガス雰囲気下であることが好ましいが、使用素材により不活性ガス雰囲気下で行わなくとも有機EL素子性能を落とさずに成膜できるため、必ずしも不活性ガス雰囲気下で行わなくても良い場合がある。この場合、製造コストを抑えることができより好ましい。 (ii)の工程では、塗布・積層された有機機能層の乾燥を行う。 ここでいう乾燥とは、塗布直後の膜の溶媒含有量を100%とした場合に、0.2%以下まで低減されることを指す。 乾燥の手段としては一般的に汎用されているものを使用でき、減圧あるいは加圧乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、IR乾燥および電磁波による乾燥などが挙げられる。中でも加熱乾燥が好ましく、有機機能層塗布溶媒の中で最も低沸点の溶媒の沸点以上の温度であり、有機機能層材料のTgの中で最も低Tgである材料の(Tg+20)℃より低い温度で保持することが最も好ましい。本発明において、より具体的には80℃以上150℃以下で保持し乾燥することが好ましく、100℃以上130℃以下で保持し乾燥することがより好ましい。 塗布・積層後の塗布液を乾燥させる際の雰囲気は、不活性ガス以外の気体の体積濃度が200ppm以下の雰囲気とすることが好ましいが、調液塗布工程と同様に必ずしも不活性ガス雰囲気下で行わなくても良い場合がある。この場合、製造コストを抑えることができより好ましい。 不活性ガスは好ましくは窒素ガスおよびアルゴンガス等の希ガスであり、製造コスト上最も好ましくは窒素ガスである。 これらの層の塗布・積層および乾燥工程は枚葉製造であっても、ライン製造であっても良い。更に、乾燥工程はライン上で搬送中に行っても良いが、生産性の観点から堆積あるいはロール状に非接触で巻き取り乾燥しても良い。 これらの層を乾燥後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望の有機EL素子が得られる。 該加熱処理後に前記密着封止あるいは封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着することで有機EL素子を製造することができる。《用途》 本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。 発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源、さらには表示装置を必要とする一般の家庭用電気器具等広い範囲の用途が挙げられるが、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。 本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。《有機EL素子の作製》(1)実施例サンプル1の作製(1.1)ガスバリア性の可撓性フィルムの作製 可撓性フィルムとして、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製フィルム、以下、PENと略記する)の第1電極を形成する側の全面に、特開2004−68143号に記載の構成からなる大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、連続して可撓性フィルム上に、SiOxからなる無機物のガスバリア膜を厚さ500nmとなるように形成し、酸素透過度0.001ml/(m2・day・atm)以下、水蒸気透過度0.001g/(m2・day)以下のガスバリア性の可撓性フィルムを作製した。(1.2)第1電極層の形成 準備したガスバリア性の可撓性フィルム上に厚さ120nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、第1電極層(陽極)を形成した。 なお、パターンは発光面積が50mm平方になるようなパターンとした。(1.3)正孔注入層の形成 パターニング後のITO基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSSと略記、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入層を設けた。(1.4)正孔輸送層の形成 この基板を、窒素ガス(グレードG1)を用いた窒素雰囲気下に移し、前記正孔輸送材料である例示化合物(60)(Mw=80,000)をクロロベンゼンに0.5%溶解した溶液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、160℃で30分間保持し、膜厚30nmの正孔輸送層とした。(1.5)発光層の形成 次いで、下記組成の発光層組成物を1500rpm、30秒でスピンコート法によりそれぞれ製膜した後、120℃で30分間保持し膜厚40nmの発光層をそれぞれ形成した。〈発光層組成物〉 ホスト材料…例示化合物a−1:a−2:a−6:a−7:a−20:a−27:a−38:a−41等質量混合物 13.95質量部 ドーパント材料…例示化合物D−1:D−2:D−5:D−28:D−66等質量混合物 2.45質量部 ドーパント材料…例示化合物D−67 0.025質量部 ドーパント材料…例示化合物D−80 0.025質量部 溶媒種…トルエン:酢酸イソプロピル=1:1 2,000質量部 なお、塗布中は環境温度を40℃に保持しながら塗布液に乾燥風をあてた。(1.6)電子輸送層の形成 続いて、20mgの一般式(A)で表される化合物である例示化合物(化合物A)を、4mlのテトラフルオロプロパノール(TFPO)に溶解した溶液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、120℃で30分間保持し、膜厚30nmの電子輸送層とした。(1.7)電子注入層、陰極の形成 続いて、基板を大気に曝露することなく真空蒸着装置へ取り付けた。また、モリブデン製抵抗加熱ボートにフッ化ナトリウムおよびフッ化カリウムを入れたものを真空蒸着装置に取り付け、真空槽を4×10−5Paまで減圧した後、前記ボートに通電して加熱してフッ化ナトリウムを0.02nm/秒で前記電子輸送層上に膜厚1nmの薄膜を形成し、続けて同様にフッ化カリウムを0.02nm/秒でフッ化ナトリウム上に膜厚1.5nmの電子注入層を形成した。 引き続き、アルミニウム100nmを蒸着して陰極を形成した。(1.8)封止及び有機EL素子の作製 引き続き、市販のロールラミネート装置を用いて封止部材を接着し、実施例サンプル1(有機EL素子)を製作した。 詳しくは、封止部材として、可撓性の厚み30μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm厚)をドライラミネーション用の接着剤(2液反応型のウレタン系接着剤)を用いラミネートした(接着剤層の厚み1.5μm)ものを用いた。 アルミニウム面に封止用接着剤として、熱硬化性接着剤を、ディスペンサを使用してアルミ箔の接着面(つや面)に沿って厚み20μmで均一に塗布した。これを100Pa以下の真空下で12時間乾燥させた。さらに露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmの窒素雰囲気下へ移動し、12時間以上乾燥させ、封止用接着剤の含水率を100ppm以下となるように調整した。 熱硬化接着剤としては下記の(A)〜(C)を混合したエポキシ系接着剤を用いた。 (A)ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA) (B)ジシアンジアミド(DICY) (C)エポキシアダクト系硬化促進剤 以上のようにして、図1に記載の形態になるよう、封止基板を、取り出し電極および電極リードの接合部を覆うようにして密着・配置して、圧着ロールを用いて厚着条件、圧着ロール温度120℃、圧力0.5MPa、装置速度0.3m/minで密着封止して、実施例サンプル1(有機EL素子)を作製した。(2)実施例サンプル2〜5の作製 実施例サンプル2〜5では、ドーパント材料からD−1およびD−2を減らし、それぞれ表1に記載の塗布乾燥環境(溶媒種や塗布温度、乾燥風の有無、乾燥時間など)に変更した。 それ以外は実施例サンプル1と同様とした。(3)実施例サンプル6の作製 実施例サンプル6では、ホスト材料からa−20、a−27およびa−38を減らした。 それ以外は実施例サンプル2と同様とした。(4)実施例サンプル7の作製 実施例サンプル7では、ホスト材料からa−7を減らした。 それ以外は実施例サンプル6と同様とした。(5)実施例サンプル8の作製 実施例サンプル8では、ホスト材料からa−2を減らした。 それ以外は実施例サンプル7と同様とした。(6)比較例サンプル9(塗布)の作製 発光層組成物を下記の組成物に変更した。 それ以外は実施例サンプル1と同様とした。〈発光層組成物〉 ホスト材料…例示化合物a−38 13.95質量部 ドーパント材料…例示化合物D−66 2.45質量部 ドーパント材料…例示化合物D−67 0.025質量部 ドーパント材料…例示化合物D−80 0.025質量部 溶媒種…トルエン 2,000質量部 なお、塗布中は環境温度を25℃に保持し、塗布液には乾燥風をあてなかった。(7)比較例サンプル10(蒸着)の作製 比較例サンプル10では、比較例サンプル9の発光層と同構成で溶媒を抜いたものを蒸着源として、発光層のみを蒸着によりシリコンウエハ上に成膜した。 以上の実施例サンプル1〜8と比較例サンプル9〜10との組成や塗布乾燥環境(条件)などを、表1に示す。《有機EL素子の評価》 実施例サンプル1〜8および比較例サンプル9〜10について、(1)ギニエプロットを作成し、下記(2)〜(5)の各評価を行った。(1)X線小角散乱結果のギニエプロットの作成および傾き算出 各サンプル1〜9の発光層のみの薄膜をシリコンウエハ上に成膜し、サンプル10と共に測定サンプルとした。X線はSPring-8の放射光を用い、1Åで薄膜試料に照射した。測定にはHUBER製多軸回折装置を用い、X線入射角θは0.2°で固定して薄膜試料に照射し、検出器はシンチレーションカウンターを用いて2〜43°までの散乱線測定を行った。得られた散乱回折データから前述のギニエプロットを作成し(図2参照)、傾きを求めた。また、サンプル10についても同様にギニエプロットの傾きを求め、各サンプルの比較データとした。その結果を表2に示す。(2)電力効率および駆動電圧の測定 各サンプルに対し、室温(約23〜25℃)で、1,000cd/m2の定輝度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて、各サンプルの発光輝度を測定し、発光輝度1000cd/m2における発光輝度(電流は一定)および駆動電圧を求めた。求めた結果を表2に示す。表2では、比較例サンプル9の発光輝度,駆動電圧を「100」として、実施例サンプル1〜8の発光輝度,駆動電圧を、それに対する相対値で示している。(3)連続駆動安定性(寿命)の評価 各サンプルを半径5cmの円柱に巻きつけ、その後各サンプルを折り曲げた状態で連続駆動させ、上記分光放射輝度計CS−2000を用いて輝度を測定し、測定した輝度が半減する時間(LT50)を求めた。駆動条件は、連続駆動開始時に4000cd/m2となる電流値とした。 比較例サンプル9のLT50を「100」とした相対値を求め、これを連続駆動安定性の尺度とした。その評価結果を表2に示す。表2中、数値が大きいほど、連続駆動安定性に優れている(長寿命である)ことを表す。(4)塗布性の評価 各サンプルに対し、室温(約23〜25℃)で、1,000cd/m2の定輝度条件下による点灯を行い、発光の輝度ムラを目視評価し、下記基準の4段階でランク付けを行った。その評価結果を表2に示す。 「◎」:輝度ムラなし 「○」:輝度ムラが極僅かに確認されるレベル 「△」:輝度ムラが確認されるが0.3m以上離れると識別できないレベル 「×」:輝度ムラが確認され、0.3m以上離れても認識されるレベル(5)歩留まり率の算出 各サンプルを10サンプルずつ作製し、全てのサンプルを室温(約23〜25℃)で、1,000cd/m2の定輝度条件下による点灯を行い、発光しない点(ダークスポット)の有無を調べた。 各サンプルの発光素子内を5×5マスの領域で区切り、ダークスポットが見られる領域は不良領域として扱い、全250領域に対する不良領域の割合(歩留まり率(%))を求めた。その評価結果を表2に示す。(6)まとめ 表2に示すとおり、実施例サンプル1〜8と比較例サンプル9,10(特には比較例サンプル10)との比較から、実施例サンプル1〜8は各評価における結果が良好であった。 以上から、少なくとも発光効率の向上、駆動電圧の低減および発光寿命の向上を図る上では、発光層のギニエプロットの傾きを、蒸着により形成した発光層のその傾きに対し、1.75倍以下とすることが有用であることがわかる。 本発明は、有機EL素子の特性として高発光効率、低駆動電圧、長寿命を実現するのに特に好適に利用することができる。 1 可撓性支持基板 2 陽極 3 正孔注入層 4 正孔輸送層 5 発光層 6 電子輸送層 7 電子注入層 8 陰極 9 封止接着剤 10 可撓性封止部材 20 有機機能層 100 有機エレクトロルミネッセンス素子 基板上に、対となる電極と、少なくとも1層の発光層とを、有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層には、ドーパントとホストとが少なくとも1種ずつ含有され、 前記発光層は、少なくとも1種の溶媒に分散された塗布液を用いて塗布法で成膜され、かつ、X線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きが、蒸着により成膜された比較発光層のX線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きの1.75倍以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層は、X線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きが、蒸着により成膜された比較発光層のX線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きの1.5倍以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層は、X線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きが、蒸着により成膜された比較発光層のX線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きの1.3倍以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層の前記X線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きが−700以上0以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層の前記X線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きが−500以上0以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層の前記X線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きが−400以上0以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記ホストの分子量が2000以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記ホストの分子量が800以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層には、前記ホストが少なくとも3種以上含有されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層には、前記ホストが少なくとも5種以上含有されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層には、前記ドーパントが少なくとも3種以上含有されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層には、前記ドーパントが少なくとも5種以上含有されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層の塗布液が2種以上の混合溶媒から成ることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層が35℃以上の塗布環境で成膜されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層が塗設から3秒以内に乾燥させて成膜されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層が分子量2000以下のホスト材料を含み、 前記ホスト材料の少なくとも1種が一般式(1)で表される構造を有する材料であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。(式(1)中、「X」はNR’、O、S、CR’R’’又はSiR’R’’表す。「R’」、「R’’」は各々水素原子又は置換基を表す。「Ar」は芳香環を表す。「n」は0〜8の整数を表す。) 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、 前記発光層の前記ドーパントが一般式(2)で示されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。(式(2)中、「R1」は置換基を表す。「Z」は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。「n1」は0〜5の整数を表す。「B1〜B5」は炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、少なくとも一つは窒素原子を表す。「M1」は元素周期表における8族〜10族の金属を表す。「X1」及び「X2」は炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表し、「L1」はX1及びX2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。「m1」は1、2、又は3の整数を表し、「m2」は0、1、又は2の整数を表すが、「m1+m2」は2又は3である。) 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたことを特徴とする表示装置。 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたことを特徴とする照明装置。 有機エレクトロルミネッセンス素子(100)は、基板(1)上に、対となる電極(2,8)と、少なくとも1層の発光層(5)とを、有する。発光層(5)には、ドーパントとホストとが少なくとも1種ずつ含有されている。発光層(5)は、少なくとも1種の溶媒に分散された塗布液を用いて塗布法で成膜され、かつ、X線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きが、蒸着により成膜された比較発光層のX線小角散乱から得られるギニエプロットの傾きの1.75倍以下である。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る