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タイトル:再公表特許(A1)_ストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法
出願番号:2012053464
年次:2014
IPC分類:G01N 33/531,G01N 33/53,G01N 33/543


特許情報キャッシュ

荒井 信之 松岡 泰弘 永井 豪 守田 和樹 JP WO2012111686 20120823 JP2012053464 20120215 ストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法 協和メデックス株式会社 000162478 荒井 信之 松岡 泰弘 永井 豪 守田 和樹 JP 2011029331 20110215 G01N 33/531 20060101AFI20140610BHJP G01N 33/53 20060101ALI20140610BHJP G01N 33/543 20060101ALI20140610BHJP JPG01N33/531 ZG01N33/53 UG01N33/543 541A AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN 再公表特許(A1) 20140707 2012557981 20 本発明は、ストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法、及び、蛋白質結合磁性粒子の製造方法に関する。 診断薬では、ホルモン・癌マーカー・感染症マーカー等の検査対象物質を検出するために固相担体として磁性粒子がしばしば用いられる。このような測定系においては、抗体または抗原(一次プローブ)等が磁性粒子上に結合され、検体中の測定対象物質と結合した後、さらに蛍光物質や化学発光基質、酵素などで標識された二次プローブと結合することにより、定性または定量的に測定対象物質が検出される。 また、近年においては、疾病の早期発見、検査の高精度化、高感度・微量マーカーへの対応等により検査の高感度化が求められている。さらに患者サービスを目的とした検査結果の迅速出力、検査センター化に伴う大量処理化などにより、検査の迅速性も求められるようになってきている。 そこで、このような磁性粒子を用いた測定系における高感度化・迅速化を実現する手段として、一次プローブおよび二次プローブを液相中で反応させ、次に磁性粒子上に結合させる方法がよく用いられる。代表的な例では一次プローブにビオチンを結合させたビオチン標識一次プローブを、試料中の測定対象成分、及び、二次プローブと反応させて、ビオチン標識一次プローブ−測定対象成分−二次プローブからなる複合体を形成させ、次いで、アビジン結合磁性粒子を作用させて、アビジン−ビオチン相互作用により、磁性粒子上に当該複合体を結合させる方法がある。 このようなアビジン結合磁性粒子においては、アビジンと同じ性質を持つストレプトアビジンを用いたストレプトアビジン結合磁性粒子の方がより有用である。ストレプトアビジンはアビジンと同様にビオチンと非常に強く結合し、アビジンよりも変性に強いという特性がある。また、等電点はアビジンが塩基性であるのに対して、ストレプトアビジンは弱酸性または中性であるため、他の蛋白質との非特異的結合が少ないという利点が知られている。このストレプトアビジンを利用したストレプトアビジン結合磁性粒子は多くの用途で利用されている。 しかしながら、磁性粒子上に結合できるストレプトアビジンの量は限られており、1テストあたりの試薬に必要とされるビオチン結合能を得るためには大量のストレプトアビジン結合磁性粒子を用いらなければならず、製造コストがかかる等の問題点があった。さらに、ストレプトアビジン結合磁性粒子を用いる測定においても以下のような問題点があった。(1)磁性粒子は静置条件下で沈殿してしまうため使用時には分散させる必要があるが、粒子量が多いと分散させるのに時間と労力がかかる(2)粒子量が多いと磁石で容器の片側に寄せた際にその体積が大きくなり、B/F分離及び洗浄時に内部に閉じ込められた反応液を洗浄する効率が低下する(3)測定対象成分を検出する際に磁性粒子量が多いと磁性粒子そのものの着色による濁度が増加し、例えば化学発光や蛍光による検出では光学的な遮蔽によりその感度が低下する。 また、ストレプトアビジン結合磁性粒子の量を抑え、ビオチン結合能を必要最小限とした状態においては、検体中に存在するビオチン(ビタミンH)と競合することにより測定における反応が阻害され、正確な検査値を得ることができない可能性が生じる。ビオチンはサプリメントとしての服用、薬剤としての投与があり、しばしばこのような問題が指摘されている。 一方で、この解決手段としていくつかの方法が提案されてきた。一つは、磁性粒子重量あたりの表面積を大きくするため、粒子の粒径を小さくする方法がある。しかしながら、粒径を小さくすると、磁石で粒子を回収する時間が大幅に長くなったり、洗浄工程における洗浄液の吐出・吸引操作で粒子が流れやすくなったりする等の問題がある。特許文献1には検体中の検出対象物質を分離する方法において、温度応答性高分子により表面が修飾された磁性粒子を用いて、平均粒径50〜1,000 nmの磁性粒子においても温度応答性高分子による粒子凝集により、水溶液中から磁性粒子を回収する方法が記載されている。このような粒子は磁性粒子が小さくなることによる反応におけるメリットがある一方、粒子表面が温度応答性高分子により覆われていることによる非特異吸着があり、また凝集させるために特殊な条件下におきかえる工程があった。 また、不溶性担体の表面積を大きくするため多孔質化する方法も提案されている。例えば、特許文献2には磁性粒子の外層に多孔質の層を化学的に形成させる方法が記載されているが、この方法では、抗原と抗体との免疫反応やDNA同士またはDNAとRNAとのハイブリダイゼーションにおいて、表面積あたりの結合能は向上するものの、孔内の反応効率が悪く、期待された性能を得ることは難しかった。特開2009−28711号公報特開2006−307126号公報 本発明の目的は、ビオチン結合能の高いストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、ビオチン結合能の高いストレプトアビジン結合磁性粒子を用いる、蛋白質結合磁性粒子の製造方法を提供することにある。 本発明者らは本課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、グルタルアルデヒドとストレプトアビジンとを反応させて、ストレプトアビジンの架橋体を調製し、得られたストレプトアビジンの架橋体と、磁性粒子とを反応させることにより、ビオチン結合能の高いストレプトアビジン結合磁性粒子を製造することができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]に関する。[1] 以下の工程を含むことを特徴とする、ストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法。(1)グルタルアルデヒドとストレプトアビジンとを反応させて、ストレプトアビジンの架橋体を調製する工程;及び、(2)工程(1)で調製したストレプトアビジンの架橋体と、磁性粒子とを反応させる工程。[2] さらに、以下の工程を含む[1]記載のストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法。(3)工程(2)で調製したストレプトアビジン結合磁性粒子と還元剤とを反応させる工程。[3] ストレプトアビジン結合磁性粒子が、磁性粒子上に、ストレプトアビジンどうしが架橋された構造を有する、[1]又は[2]記載のストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法。[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法により製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子と、ビオチン化蛋白質とを反応させることを特徴とする、蛋白質結合磁性粒子の製造方法。 本発明により、ビオチン結合能の高いストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法、及び、当該ストレプトアビジン結合磁性粒子を用いる、蛋白質結合磁性粒子の製造方法が提供される。本発明の製造方法により製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子、及び、蛋白質結合磁性粒子は、臨床診断上、有用である。実施例1における、グルタルアルデヒド溶液添加後のストレプトアビジンの架橋体の粒径の経時変化を示したグラフである。横軸は反応時間(hr)を、縦軸はストレプトアビジンの架橋体の粒径(nm)を表す。◆はグルタルアルデヒド0.005%溶液を用いた場合の経時変化を、■はグルタルアルデヒド0.0075%溶液を用いた場合の経時変化を、▲はグルタルアルデヒド0.010%溶液を用いた場合の経時変化を、×はグルタルアルデヒド0.0125%溶液を用いた場合の経時変化を表す。本発明の製造方法により製造されるストレプトアビジン架橋体とストレプトアビジン結合磁性粒子における、磁性粒子上のストレプトアビジンの構造を表すSDS−PAGEの泳動像である。レーン1は分子量マーカーを、レーン2はストレプトアビンを、レーン3は粒径13.6 nmのストレプトアビジン架橋体を、レーン4は粒径29.2 nmのストレプトアビジン架橋体を、レーン5は粒径63.9 nmのストレプトアビジン架橋体を、レーン6はビオチン結合能が1.96 pmol/mm2のストレプトアビジン結合磁性粒子を、レーン7はビオチン結合能が3.68 pmol/mm2のストレプトアビジン結合磁性粒子を、レーン8はビオチン結合能が5.16 pmol/mm2のストレプトアビジン結合磁性粒子を表す。バンドAは単量体を、バンドBは二量体を、バンドCは三量体を、バンドDは四量体を、バンドEは高次架橋体を表す。本発明の製造方法により製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子の分散性を示す写真である。上は、静置した状態のストレプトアビジン結合磁性粒子を、下は、転倒混和5回後のストレプトアビジン結合磁性粒子の分散状態を表す。1.ストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法 本発明のストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法は、グルタルアルデヒドとストレプトアビジンとを反応させて、ストレプトアビジンの架橋体を調製する工程(1次反応工程)、及び、1次反応工程で調製したストレプトアビジンの架橋体と、磁性粒子とを反応させる工程(2次反応工程)を含む。 本発明の製造方法で製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子は、磁性粒子上にストレプトアビジンどうしが架橋されている構造を有する。ストレプトアビジンは四量体構造を取っており、単量体どうしは非共有結合により結合している。本発明のストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法により得られるストレプトアビジン結合磁性粒子においては、磁性粒子上で、この四量体構造のストレプトアビジンどうしがグルタルアルデヒドを介して共有結合し、架橋構造を取っている。ストレプトアビジンは、グルタルアルデヒドを介して磁性粒子のアミノ基と結合している。より詳細には、四量体構造のストレプトアビジンのうちの一部が、グルタルアルデヒドを介して磁性粒子のアミノ基と結合している。このストレプトアビジンの架橋構造は、例えばストレプトアビジン結合磁性粒子を1%のSDS溶液に置換し、60℃で1時間処理することによって、磁性粒子上に結合していたストレプトアビジンのサブユニット間結合を解離させ、SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)、ゲル濾過HPLC等により確認することができる。SDS-PAGEは、電気泳動により蛋白質を大きさに依存して分離する方法であり、試料をSDSで変性させた後、変性した蛋白質をポリアクリルアミドゲル電気泳動に供して、得られた泳動像から、蛋白質の分離、同定を行う方法である。SDS-PAGEとしては、ストレプトアビジンの架橋構造を確認できる方法であれば特に制限はなく、例えばバイオ実験イラストレイテッド5(細胞工学別冊 秀潤社)に記載されている方法等が挙げられる。 SDS-PAGEにおいて、四量体構造のストレプトアビジンは、SDS存在下での変性処理により、その四量体構造がほどかれる。もしも磁性粒子上のストレプトアビジンどうしが架橋構造を取っていないのであれば、SDS存在下での変性処理により得られる分解物は、ストレプトアビジン由来の単量体のみとなる。一方、磁性粒子上のストレプトアビジンどうしが架橋構造を取っているのであれば、SDS存在下での変性処理により、ストレプトアビジン由来の単量体に加え、ストレプトアビジンの架橋構造に関わった二量体、三量体、さらには高次の多量体が得られることになる。従って、SDS-PAGEにより、ストレプトアビジン由来の単量体、二量体、三量体、及び、高次の多量体に起因するバンドが見られる場合には、磁性粒子上に、ストレプトアビジンの架橋構造が形成されていることになる。 本発明の製造方法で製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子は、磁性粒子上にストレプトアビジンどうしが架橋されている構造を有しているため、ビオチン結合能が高い。本発明の製造方法で製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子の、ビオチン結合能は、通常0.5〜18 pmol/mm2であり、1〜17 pmol/mm2が好ましく、2〜16 pmol/mm2が特に好ましい。本発明の製造方法で製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子は、また、ストレプトアビジン結合磁性粒子の分散性が良いという優れた性質を有する。ストレプトアビジン結合磁性粒子の分散性は、例えばキュベットに保存し、沈降させた状態のストレプトアビジン結合磁性粒子を転倒混和させた後のキュベット内の状態を目視で確認すること等により、評価することができる。 本発明のストレプトアビジン結合磁性粒子における、粒子あたりのビオチン結合能は、ビオチン結合能を測定し得る方法であれば、いかなる方法によっても測定することができ、例えば一定量の蛍光標識されたビオチンを一定量のストレプトアビジン結合磁性粒子と反応させ、磁石でストレプトアビジン結合磁性粒子を収集した後に、一定量の上清を採取し、採取された上清の蛍光を測定し、得られた測定値を、予め作成された蛍光強度とビオチン濃度との関係を示す検量線に照らし合わせることにより算出することができる。 本発明のストレプトアビジン結合磁性粒子において、ストレプトアビジンは、天然由来のものでも、遺伝子組み換え体でもよいが、遺伝子組み換え体が好ましい。 本発明において、ストレプトアビジンが固定される磁性粒子は、本発明のストレプトアビジン結合磁性粒子の製造を可能とする磁性粒子であれば特に制限はなく、例えば粒子の内部に磁性体を含有し、外層が有機ポリマーなどから成るコア・シェル構造の磁性粒子、外層を含まず磁性体が有機ポリマーに不均一に分散した構造の磁性粒子、磁性体のみから成るクラスター状の磁性粒子等が挙げられる。また、表面にアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、トシル基等の官能基を有する磁性粒子も用いることができる。 磁性粒子中に含まれる磁性体は、残留磁化が少なく、超常磁性の磁性体微粒子が好ましく、例えば四三酸化鉄(Fe3O4)、γ−重三二酸化鉄(γ-Fe2O3)等の各種フェライト、鉄、マンガン、コバルト、クロムなどの金属またはこれら金属の合金等が用いられる。 有機ポリマーと磁性体から成る磁性粒子中の磁性体の含有量は、磁性粒子全体の重量に占める割合が10重量%以上であるのが好ましく、30〜60重量%であることがより好ましい。 磁性粒子の形状としては、例えば球状、針状等が挙げられ、球状が好ましい。磁性粒子の粒径は、例えば0.1〜5μm等が挙げられ、好ましくは0.5〜3μmである。 磁性粒子の具体例(市販品)としては、例えばアミノ基タイプEstapor磁性粒子(メルク社製)、疎水タイプEstapor磁性粒子(メルク社製)等が挙げられる。(1)1次反応工程 1次反応工程は、グルタルアルデヒドとストレプトアビジンとを反応させ、ストレプトアビジンの架橋体を調製する工程である。上述のようにストレプトアビジンは四量体構造を取っており、単量体どうしは非共有結合により結合している。このストレプトアビジンの架橋体とは、四量体構造のストレプトアビジンどうしがグルタルアルデヒドを介して共有結合し、架橋構造を取っているものである。 グルタルアルデヒドとストレプトアビジンとの反応は、ストレプトアビジンの架橋体を調製できる条件であれば如何なる条件でも用いることができ、例えばストレプトアビジンを、分散液等に溶解して得られるストレプトアビジンの水溶液に、グルタルアルデヒドを添加して、ストレプトアビジンとグルタルアルデヒドとを反応させて、ストレプトアビジンの架橋体を調製することができる。分散液としては、例えば界面活性剤を含む水溶液等が挙げられる。分散液のpHとしては、通常pH4.5〜7であり、pH5〜6が好ましい。水溶液に使用される水性媒体としては、例えば蒸留水、精製水、緩衝液等が挙げられる。水性媒体として緩衝液を用いる場合には、設定するpHに応じた緩衝剤を用いることが望ましい。緩衝液に用いる緩衝剤としては、例えば、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、グッドの緩衝剤等が挙げられる。 グッドの緩衝剤としては、例えば2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis-Tris)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、2−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸(HEPES)、3−〔N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)等が挙げられる。 界面活性剤は、磁性粒子を分散し得るものであれば特に制限はなく、例えば陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤の分散液中の濃度は、磁性粒子を分散し得る濃度であれば特に制限はなく、例えば0.01〜5.0%である。 グルタルアルデヒドとストレプトアビジンとの反応における反応温度は、通常0〜40℃で、20.0〜37.5℃が好ましく、25℃が特に好ましい。反応時間は、通常0.5〜72時間で、6〜48時間が好ましく、18〜36時間が特に好ましい。グルタルアルデヒドの量は、ストレプトアビジンとの反応によりストレプトアビジンの架橋体を調製し得る量であれば特に制限はなく、例えばモル濃度比で、0.5〜5であり、1〜3が特に好ましい。グルタルアルデヒドの濃度は、通常0.001〜0.05%で、0.003〜0.02%が好ましく、0.005〜0.015%が特に好ましい。ストレプトアビジンの濃度は、通常2〜40 mg/mLで、5〜25 mg/mLが好ましく、10〜15 mg/mLが特に好ましい。 次反応工程においてストレプトアビジンの架橋体の形成の程度はストレプトアビジンの架橋体の粒径を測定することにより追跡することができる。ストレプトアビジンの架橋体の粒径は、例えば粒度分布計で測定することができる。グルタルアルデヒドをストレプトアビジンの水溶液に添加した後、一定間隔で反応液をサンプリングして、ストレプトアビジンの架橋体の粒径を測定することができる。2次反応工程は、1次反応においてストレプトアビジンの架橋体の粒径が一定になる前に行っても、一定になった後又は粒径の変化の程度が緩やかになった段階で行ってもよいが、一定になった後又は粒径の変化の程度が緩やかになった段階で行うことが好ましい。ストレプトアビジンの架橋体の粒径は、通常10〜300 nmであり、20〜250 nmが好ましく、50〜200 nmが特に好ましい。 ストレプトアビジンは、天然由来のものでも、遺伝子組み換え体でもよく、遺伝子組み換え体が好ましい。(2)2次反応工程 2次反応工程は、1次反応工程で得られたストレプトアビジンの架橋体を、共有結合又は物理吸着により、磁性粒子に結合させる工程である。2次反応工程において、磁性粒子との反応に使用されるストレプトアビジンの架橋体は、1次反応工程での反応混合物そのものでも、1次反応工程の反応混合物より単離されたものでもよく、1次反応工程での反応混合物そのものが好ましい。 ストレプトアビジンの架橋体を、共有結合により、磁性粒子に結合させる場合、例えば、ストレプトアビジンの架橋体と、表面に官能基を有する磁性粒子とを、前述の分散液中で反応させることにより、ストレプトアビジンの架橋体を磁性粒子に結合させることができる。また、リンカー共存下に、ストレプトアビジンの架橋体と、表面に官能基を有する磁性粒子とを、前述の分散液中で反応させてもよい。官能基としては、前述の官能基等が挙げられる。官能基を有する磁性粒子としては、例えばアミノ基タイプEstapor磁性粒子(メルク社製)等が挙げられる。リンカーとしては、ストレプトアビジンの架橋体と、表面に官能基を有する磁性粒子との両者に結合し、ストレプトアビジンの架橋体を磁性粒子に結合させるものであれば特に制限はなく、例えばグルタルアルデヒド、イミドエステル類、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル類、分子内にマレイミド基とN−ヒドロキシスクシンイミド活性エステルとを有する化合物等の二価性架橋剤等が挙げられる。市販の二価性架橋剤としては、例えばThermo Fisher Scientific社のサイト(http://www.piercenet.com/products/browse.cfm?fldID=43238248-EE54-4070-A6DF-F037FBFCABCA)、株式会社同仁化学研究所の第27版総合カタログ等に記載されている化合物等が挙げられる。 ストレプトアビジンの架橋体と、表面に官能基を有する磁性粒子との反応は、ストレプトアビジンの架橋体が磁性粒子に結合し得る反応条件であれば如何なる反応条件でもよい。1次反応工程で使用されたストレプトアビジンは磁性粒子に対して、通常10〜30 mgであり50〜100 mgが好ましい。リンカーは、磁性粒子表面の官能基に対して、通常1〜20倍モルであり、5〜10 (w/w)倍モルが好ましい。 ストレプトアビジンの架橋体を、物理吸着により、磁性粒子に結合させる場合、ストレプトアビジンの架橋体と磁性粒子とを、例えば前述の分散液中で反応させることにより、ストレプトアビジンの架橋体を磁性粒子に結合させることができる。本反応で使用される磁性粒子としては、前述の磁性粒子等が挙げられ、疎水タイプEstapor磁性粒子(メルク社製)などを用いることができる。ストレプトアビジンの架橋体と磁性粒子との反応は、ストレプトアビジンの架橋体が磁性粒子に結合し得る条件であれば如何なる条件でもよい。ストレプトアビジンの架橋体と磁性粒子との反応の反応温度は、通常15〜50℃であり、20〜40℃が好ましく、35℃が特に好ましい。反応時間は、通常30分間〜6時間であり、1〜2時間が好ましい。 2次反応工程で得られた反応混合物そのものも、ストレプトアビジン結合磁性粒子として使用することができるが、2次反応工程で得られた反応混合物中の磁性粒子を磁石により収集し、磁性粒子以外の溶液を除去した後、洗浄液により洗浄して得られる磁性粒子も、ストレプトアビジン結合磁性粒子として使用することができる。洗浄液としては、本発明により得られるストレプトアビジン結合磁性粒子以外の物質を洗浄し得る洗浄液であれば特に制限はなく、例えば前述の水性媒体等が挙げられる。また、蛋白質や防腐剤を含む水性媒体も洗浄液として使用することができる。蛋白質としては、例えば牛血清アルブミン(BSA)等が挙げられる。防腐剤としては、例えばアジ化ナトリウム等が挙げられる。 洗浄された磁性粒子は、保存用溶液に懸濁されて保存することができる。保存用溶液としては、本発明により得られるストレプトアビジン結合磁性粒子を安定に保存することができる溶液であれば特に制限はなく、例えば中性から弱酸性の緩衝液中に、牛血清アルブミン(BSA)等の蛋白質を含む水溶液等が挙げられる。 本発明のストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法においては、2次反応工程後に、さらに還元反応工程を含んでもよい。還元反応工程は、2次反応工程で生成したストレプトアビジン結合磁性粒子と還元剤との反応の工程である。2次反応工程により、磁性粒子上に架橋構造のストレプトアビジンが形成されるが、形成された架橋構造のストレプトアビジンはシッフ塩基(イミン)を含むため、このシッフ塩基(イミン)を還元剤により還元することにより、より安定な架橋構造とすることができる。 還元反応工程におけるストレプトアビジン結合磁性粒子として、2次反応工程の反応混合物そのものを用いても、洗浄された磁性粒子を用いてもよい。ストレプトアビジン結合磁性粒子と還元剤との反応に用いられる溶媒は、還元反応を進行させ得る溶媒であれば特に制限はなく、例えば前述の分散液等が挙げられる。また、有機溶媒を含む分散液も還元反応における溶媒として用いることができる。有機溶媒としては、水に可溶性で、還元反応を進行させ得る有機溶媒であれば特に制限はなく、例えばメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン等が挙げられる。還元剤としては、シッフ塩基(イミン)を還元し、架橋構造を保持し得る還元剤であれば特に制限はなく、例えばボラン系の還元剤等が挙げられる。ボラン系の還元剤としては、例えば2−ピコリンボラン、水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。還元剤の添加量は、通常磁性粒子の0.0001〜0.1(w/w)%であり、0.0005〜0.05(w/w)%が好ましく、0.001(w/w)%が特に好ましい。 還元反応の反応温度は、通常30〜50℃であり、35〜45℃が好ましく、40℃が特に好ましい。還元反応の反応時間は、通常2日間〜10日間であり、5日間〜8日間が好ましく、6日間が特に好ましい。 還元反応後、磁性粒子は磁石により、磁性粒子以外の溶液成分と分離することができる。分離された磁性粒子は、洗浄液により洗浄され、さらに、洗浄された磁性粒子は保存用溶液中に懸濁されて保存することができる。洗浄液としては、分離された磁性粒子中の溶液成分を洗浄し得る洗浄液であれば特に制限はなく、例えば前述の洗浄液等が挙げられる。また、保存用溶液としては、得られたストレプトアビジン結合磁性粒子を安定に保存し得る溶液であれば特に制限はなく、例えば前述の保存用溶液等が挙げられる。2.蛋白質結合磁性粒子の製造方法 本発明の製造方法で製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子と、ビオチン化蛋白質とを反応させることにより蛋白質結合磁性粒子を製造することができる。磁性粒子上のストレプトアビジンと蛋白質に結合するビオチンとの相互作用により、蛋白質が磁性粒子上に結合する。 ストレプトアビジン結合磁性粒子と、ビオチン化蛋白質との反応は、蛋白質が磁性粒子上に結合する条件であれば如何なる条件でもよい。反応温度は、通常25〜50℃であり、30〜40℃が好ましい。反応時間は、通常30分間〜24時間であり、2〜18時間が好ましい。 蛋白質としては、測定対象成分に結合する抗体、抗原抗体反応において測定対象成分と競合する競合物質等が挙げられる。競合物質としては、例えば測定対象成分や、測定対象成分に結合する抗体が認識するエピトープを含む物質等が挙げられる。蛋白質の具体例としては、IgG、抗IgG抗体、IgM、抗IgM抗体、IgA、抗IgA抗体、IgE、抗IgE抗体、アポ蛋白AI、抗アポ蛋白AI抗体、アポ蛋白AII、抗アポ蛋白AII抗体、アポ蛋白B、抗アポ蛋白B抗体、アポ蛋白E、抗アポ蛋白E抗体、リウマチファクター、抗リウマチファクター抗体、D-ダイマー、抗D-ダイマー抗体、酸化LDL、抗酸化LDL抗体、糖化LDL、抗糖化LDL抗体、グリコアルブミン、抗グリコアルブミン抗体、トリヨードサイロニン(T3)、抗T3抗体、総サイロキシン(T4)、抗T4抗体、薬剤(抗テンカン剤等)、薬剤に結合する抗体、C-反応性蛋白(CRP)、抗CRP抗体、サイトカイン類、サイトカイン類に結合する抗体、α−フェトプロテイン(AFP)、抗AFP抗体、癌胎児性抗原(CEA)、抗CEA抗体、CA19-9、抗CA19-9抗体、CA15-3、抗CA15-3抗体、CA-125、抗CA-125抗体、PIVKA-II、抗PIVKA-II抗体、副甲状腺ホルモン(PTH)、抗PTH抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、抗hCG抗体、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、抗TSH抗体、インスリン、抗インスリン抗体、C-ペプタイド、抗C-ペプタイド抗体、エストロゲン、抗エストロゲン抗体、線維芽細胞増殖因子-23(FGF-23)、抗FGF-23抗体、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)、抗GAD抗体、ペプシノーゲン、抗ペプシノーゲン抗体、B型肝炎ウイルス(HBV)抗原、抗HBV抗体、C型肝炎ウイルス(HCV)抗原、抗HCV抗体、成人T細胞性白血病ウイルス1型(HTLV-I)抗原、抗HTLV-I抗体、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原、抗HIV抗体、インフルエンザウイルス抗原、抗インフルエンザウイルス抗体、結核菌抗原(TBGL)、抗結核菌抗体、マイコプラズマ抗原、抗マイコプラズマ抗体、ヘモグロビンA1c、抗ヘモグロビンA1c抗体、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、抗ANP抗体、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、抗BNP抗体、トロポニンT、抗トロポニンT抗体、トロポニンI、抗トロポニンI抗体、クレアチニンキナーゼ-MB(CK-MB)、抗CK-MB抗体、ミオグロビン、抗ミオグロビン抗体、L-FABP、抗L-FABP抗体、H-FABP、抗H-FABP抗体、CCP抗原、抗CCP抗体、SP-D、抗SP-D抗体、カビ毒類[デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール(NIV)、T-2トキシン(T2)等]に結合する抗体、内分泌撹乱物質類[ビスフェノールA、ノニルフェノール、フタル酸ジブチル、ポリ塩素化ビフェニル(PCB)類、ダイオキシン類、p,p’−ジクロロジフェニルトリクロロエタン、トリブチルスズ等]に結合する抗体、ステロイドホルモン類(アルドステロン、テストステロン等)に結合する抗体、大腸菌等の菌類、菌類に結合する抗体、食物アレルギー物質ダニ類等のアレルギー物質、抗アレルギー物質抗体等が挙げられる。 また、ビオチン化蛋白質の他に、ビオチン化炭化水素系化合物やビオチン化核酸も用いることができる。本発明のストレプトアビジン結合磁性粒子と、ビオチン化炭化水素系化合物とを反応させることにより、炭化水素系化合物結合磁性粒子を製造することができる。また、本発明のストレプトアビジン結合磁性粒子と、ビオチン化核酸とを反応させることにより、核酸結合磁性粒子を製造することができる。 ビオチン化炭化水素系化合物における炭化水素系化合物としては、例えばカビ毒類[デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール(NIV)、T-2トキシン(T2)等]、内分泌撹乱物質類[ビスフェノールA、ノニルフェノール、フタル酸ジブチル、ポリ塩素化ビフェニル(PCB)類、ダイオキシン類、p,p’−ジクロロジフェニルトリクロロエタン、トリブチルスズ等]、ステロイドホルモン類(アルドステロン、テストステロン等)等が挙げられる。 ビオチン化核酸における核酸としては、例えばDNA、RNA、アプタマー、これらの誘導体等が挙げられる。 本発明の製造方法により得られるストレプトアビジン結合磁性粒子及び蛋白質結合磁性粒子を用いて、試料中の測定対象成分を測定することができる。さらに、本発明の製造方法により得られるストレプトアビジン結合磁性粒子と、ビオチン化蛋白質とを用いて、試料中の測定対象成分を測定することもできる。当該測定方法は、通常の磁性粒子を用いる免疫学的測定方法が用いることができ、サンドイッチ法、競合法等が挙げられる。試料としては、本発明の製造方法により得られるストレプトアビジン結合磁性粒子及び蛋白質結合磁性粒子を用いた測定対象成分の測定方法を可能とする試料であれば特に制限はなく、例えば全血、血漿、血清、髄液、唾液、羊水、尿、汗、膵液等が挙げられるが、血漿、血清等が好ましい。 測定対象成分としては、本発明の製造方法により得られるストレプトアビジン結合磁性粒子及び蛋白質結合磁性粒子を用いた測定方法により測定され得るものであれば特に制限はなく、例えば以下の物質等が挙げられる。IgG、IgM、IgA、IgE、アポ蛋白AI、アポ蛋白AII、アポ蛋白B、アポ蛋白E、リウマチファクター、D-ダイマー、酸化LDL、糖化LDL、グリコアルブミン、トリヨードサイロニン(T3)、総サイロキシン(T4)、薬剤(抗テンカン剤等)、C-反応性蛋白(CRP)、サイトカイン類、α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、CA19-9、CA15-3、CA-125、PIVKA-II、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、インスリン、C-ペプタイド、エストロゲン、線維芽細胞増殖因子-23(FGF-23)、抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体、ペプシノーゲン、B型肝炎ウイルス(HBV)抗原、抗HBV抗体、C型肝炎ウイルス(HCV)抗原、抗HCV抗体、成人T細胞性白血病ウイルス1型(HTLV-I)抗原、抗HTLV-I抗体、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体、インフルエンザウイルス抗原、抗インフルエンザウイルス抗体、抗結核菌抗体、結核菌抗原(TBGL)マイコプラズマ抗体、ヘモグロビンA1c、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、トロポニンT、トロポニンI、クレアチニンキナーゼ-MB(CK-MB)、ミオグロビン、L-FABP、H-FABP、抗CCP抗体、SP-D、カビ毒類[デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール(NIV)、T-2トキシン(T2)等]、内分泌撹乱物質類[ビスフェノールA、ノニルフェノール、フタル酸ジブチル、ポリ塩素化ビフェニル(PCB)類、ダイオキシン類、p,p’−ジクロロジフェニルトリクロロエタン、トリブチルスズ等]、ステロイドホルモン類(アルドステロン、テストステロン等)、大腸菌等の菌類、食物アレルギー物質ダニ類等のアレルギー物質、抗アレルギー物質抗体等が挙げられる。 また、蛋白質結合磁性粒子の代わりに、本発明の製造方法により得られるストレプトアビジン結合磁性粒子とビオチン化炭化水素系化合物とを用いて製造される炭化水素系化合物結合磁性粒子を用いて、又は、蛋白質結合磁性粒子の代わりに、本発明の製造方法により得られるストレプトアビジン結合磁性粒子とビオチン化炭化水素系化合物とを用いて、試料中の測定対象成分を測定することができる。測定対象成分としては、例えばビオチン化炭化水素系化合物を構成する炭化水素系化合物や当該炭化水素系化合物に結合する抗体等が挙げられる。炭化水素系化合物としては、例えば前述の炭化水素系化合物等が挙げられる。ビオチン化炭化水素系化合物を用いた試料中の測定対象成分の測定は、例えばサンドイッチ法や競合法等の通常の免疫学的測定方法を用いて行うことができる。 さらに、蛋白質結合磁性粒子の代わりに、本発明の製造方法により得られるストレプトアビジン結合磁性粒子とビオチン化核酸とを用いて製造される核酸結合磁性粒子を用いて、又は、蛋白質結合磁性粒子の代わりに、本発明の製造方法により得られるストレプトアビジン結合磁性粒子とビオチン化核酸とを用いて、試料中の測定対象成分を測定することができる。測定対象成分としては、例えばビオチン核酸を構成する核酸に結合する核酸や蛋白質等が挙げられる。蛋白質としては、例えば前述の蛋白質等が挙げられる。ビオチン化核酸を用いた試料中の測定対象成分の測定は、通常の核酸測定方法や、通常の免疫学的測定方法を用いて行うことができる。 以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を何ら限定するものではない。(1)ストレプトアビジン結合磁性粒子の製造 遺伝子組み換え体のストレプトアビジン(ロシュ社製)を、pH5.5、10 mmol/L酢酸緩衝液に24.5 mg/mLとなるように溶解し、氷冷で1時間以上静置した。このストレプトアビジン溶液75μLに、25%グルタルアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製)をpH5.5、10 mmol/L酢酸緩衝液で希釈し、0.0125%としたグルタルアルデヒド溶液75μLを添加した。同様に0.010%、0.0075%、0.005%のグルタルアルデヒド溶液を添加した溶液を調製した。 調製した溶液をプラスチック製ディスポセルに移し、0.1%BSA・PBSに、0.05 mg/mL濃度となるように分散させた。時間の経過と共に、ストレプトアビジンとグルタルアルデヒドとの反応によりストレプトアビジンの架橋体が形成され、架橋体の粒径が大きくなる。形成されたストレプトアビジンの架橋体の粒径を、粒度分布計(シスメックス社製、ZETASIZER Nano-ZS)を用いて、25℃の恒温条件下で測定し、粒径の経時変化を追跡した。その結果を図1に示す。 グルタルアルデヒド添加22時間後の粒径の中央値はそれぞれ190 nm、82 nm、37 nm、15 nmであった。図1より明らかなように、特にグルタルアルデヒド0.0075%、0.01%、0.0125%を用いた場合には、ストレプトアビジンの架橋体の粒径が時間の経過と共に、大きくなることが判明した。 次に、磁性粒子として、アミノ基タイプEstapor磁性粒子 EM2-100/40(メルク社製)を用いて、当該磁性粒子20 mgを、1.0%のTrimethylstearylammonium Chloride(東京化成社製)を含むpH5.5、10 mmol/L酢酸緩衝液(以下、分散液Aという)4 mLに分散させた。当該磁性粒子は、コア・シェル構造から成り、粒径が1.62μmであり、内部コア部分には全質量比41.2%の磁性体を含み、ポリスチレンからなるシェル部分には化学的にアミノ基が97μeq/gで修飾されている粒子である。続いて、容器横に強力磁石を配することで磁性粒子を収集し、分散液Aを吸引除去した(以下、磁性粒子の分散、磁性粒子の収集、吸引除去の一連の操作を「洗浄」と略す)。該洗浄を続けて4回行った。 次に、分散液Aを1.5 mL加え、磁性粒子を十分に分散させた後、25%グルタルアルデヒド水溶液(ナカライテスク社製)を3.5 mL加え、シェーキングインキュベーター(アズワン社製、SI-300C)により1,500 rpmで振盪しながら37℃で2時間インキュベートした。 さらに0.1%のTrimethylstearylammonium Chloride(東京化成社製)を含むpH5.5、10 mmol/L酢酸緩衝液(以下、分散液Bという)を用いて、洗浄操作を10回行った(以後、得られた磁性粒子を「活性化粒子」と略す)。 この活性化粒子5 mgを、グルタルアルデヒド添加22時間後の各反応溶液150μLに移し、すばやく分散させた。このままシェーキングインキュベーターにより1,500 rpmで振盪しながら40℃で16時間インキュベートした。 次に、2−ピコリンボラン(純正化学社製)の0.53 mg/mLメタノール溶液(200μL)を添加し、シェーキングインキュベーターにより1,500 rpmで振盪しながら40℃で6日間インキュベートした。得られた反応混合物から、磁石により磁性粒子とそれ以外の溶液成分とに分離し、分離された磁性粒子を1.0%のBSA、0.09%のアジ化ナトリウムを含む50 mmmol/LのMES緩衝液(pH6.5)で10回洗浄し、ストレプトアビジン結合磁性粒子を得た。(2)ストレプトアビジン結合磁性粒子のビオチン結合能の測定 上記(1)で得られたストレプトアビジン結合磁性粒子、及び、市販のストレプトアビジン結合磁性粒子について、以下の方法により、ビオチン結合能を測定した。 ストレプトアビジン結合磁性粒子を0.1%BSA・PBS[PBS:0.15 mol/L 塩化ナトリウムを含有する10 mmol/L リン酸緩衝液(pH7.2)]に1 mg/mLで分散させ、倍々希釈法で0.0156 mg/mLの6段階(64倍希釈)まで希釈した。この6サンプルとブランク(0.1%BSA・PBS)それぞれを96穴ブラックプレートに50μLずつ分注した。次にBiotin-Fluorescein (Thermo Scientific社製)を0.1%BSA・PBSで1μg/mLに希釈し、サンプルを分注したウエルに50μLずつ分注した。サンプルを分注したプレートはシェーカーインキュベーター(アマライト社製)で振盪しながら37℃で10分間インキュベートし、粒子が分散した状態での蛍光強度を蛍光プレートリーダー“プレートカメレオンV”(HIDEX社製)で測定した。 ここで磁性粒子上のストレプトアビジンに蛍光標識ビオチンが結合すると、ストレプトアビジンに結合した蛍光標識ビオチンどうしが近接して存在することになり、蛍光の消光が起こる。蛍光の消光は単位面積当たりの磁性粒子に結合したストレプトアビジンへの蛍光標識ビオチンの結合量が大きくなるほど高くなる。この性質を利用し、ビオチン結合能が既知の市販の磁性粒子をレファレンスとして、このストレプトアビジンの蛍光減少率をあらかじめ評価しておくことにより、本発明のストレプトアビジン結合磁性粒子のビオチン結合能を算出した。本実施例ではストレプトアビジン結合磁性粒子の希釈サンプルから、蛍光強度が50%減少した時のストレプトアビジン結合磁性粒子濃度を直線近似で算出し、レファレンスのストレプトアビジンと比較することで、ビオチン結合能(pmol/mm2)を算出した。 測定結果を第1表に示す。 第1表から明らかな様に、上記(1)で得られたストレプトアビジン結合磁性粒子は、市販のストレプトアビジン結合磁性粒子(ダイナル社製 DynabeadsT1、及びメルク社製 BE-M08/10)に比較して、高いビオチン結合能を有することが分かった。 磁性粒子上のストレプトアビジンの架橋構造の分析 実施例1の方法と同様の方法により得られたビオチン結合能が1.96 pmol/mm2、3.68 pmol/mm2、5.16 pmol/mm2であるストレプトアビジン結合磁性粒子について、それぞれのストレプトアビジン結合磁性粒子を4 mLのPBSで10回洗浄し、1%SDS/PBSに置換した後、60℃で1時間インキュベートした。次に磁性粒子を磁石で集磁し、上清の蛋白質溶液を回収した後、SDS-PAGEで分析した。同様の操作を、市販のストレプトアビジン結合磁性粒子に対しても行った。SDS-PAGEの結果を図2に示す。 図2から明らかな様に、ストレプトアビジンについては、ストレプトアビジンを構成する単量体のみが認められたのに対して、本発明の製造方法によって製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子においては、単量体に加え、二量体、三量体、四量体及びさらに高次のバンドが認められた(レーン6〜8参照)。また、磁性粒子に結合させる前のストレプトアビジンの架橋体についても、単量体に加え、二量体、三量体、四量体及びさらに高次のバンドが認められた(レーン3〜5参照)。これにより、本発明の製造方法によって製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子においては、ストレプトアビジンが架橋構造を取っていることが判明した。[試験例1] ストレプトアビジン結合磁性粒子の分散性の評価 実施例1と同様の方法により調製した、ビオチン結合能が5.22 pmol/mm2であるストレプトアビジン結合磁性粒子について、当該ストレプトアビジン結合磁性粒子を0.1%BSAを含むPBSに0.1 mg/mLで分散させ、冷暗所で24時間静置した。これを転倒混和で、5回攪拌し、その分散度合いを比較した。その結果を図3に示す。図3の上は、静置した状態のストレプトアビジン結合磁性粒子を、下は、転倒混和5回後のストレプトアビジン結合磁性粒子の分散状態を表す。 図3から明らかなように、本発明の製造方法によって製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子は、分散性が非常に良いことが判明した。 本発明により、ビオチン結合能の高いストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法、及び、当該ストレプトアビジン結合磁性粒子を用いる、蛋白質結合磁性粒子の製造方法が提供される。本発明の製造方法により製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子、及び、蛋白質結合磁性粒子は、臨床診断上、有用である。 以下の工程を含むことを特徴とする、ストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法。(1)グルタルアルデヒドとストレプトアビジンとを反応させて、ストレプトアビジンの架橋体を調製する工程;及び、(2)工程(1)で調製したストレプトアビジンの架橋体と、磁性粒子とを反応させる工程。 さらに、以下の工程を含む請求項1記載のストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法。(3)工程(2)で調製したストレプトアビジン結合磁性粒子と還元剤とを反応させる工程。 ストレプトアビジン結合磁性粒子が、磁性粒子上に、ストレプトアビジンどうしが架橋された構造を有する、請求項1又は2記載のストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法。 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子と、ビオチン化蛋白質とを反応させることを特徴とする、蛋白質結合磁性粒子の製造方法。 ビオチン結合能の高いストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法を提供する。 以下の工程を含むことを特徴とする、ストレプトアビジン結合磁性粒子の製造方法。(1)グルタルアルデヒドとストレプトアビジンとを反応させて、ストレプトアビジンの架橋体を調製する工程;及び、(2)工程(1)で調製したストレプトアビジンの架橋体と、磁性粒子とを反応させる工程。 本発明の製造方法により製造されるストレプトアビジン結合磁性粒子は、臨床診断上、有用である。


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