生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_メチルアセチレンの製造方法及び触媒
出願番号:2012051206
年次:2013
IPC分類:C07C 5/25,B01J 23/04,C07C 11/22,C07B 61/00


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宮武 俊明 JP 2013184924 公開特許公報(A) 20130919 2012051206 20120308 メチルアセチレンの製造方法及び触媒 住友化学株式会社 000002093 深井 敏和 100104318 宮武 俊明 C07C 5/25 20060101AFI20130827BHJP B01J 23/04 20060101ALI20130827BHJP C07C 11/22 20060101ALI20130827BHJP C07B 61/00 20060101ALN20130827BHJP JPC07C5/25B01J23/04 ZC07C11/22C07B61/00 300 5 OL 10 4G169 4H006 4H039 4G169AA03 4G169AA08 4G169BA01A 4G169BA01B 4G169BC03A 4G169BC03B 4G169CB41 4G169CB64 4G169DA06 4G169EA04Y 4G169EB18Y 4G169EC07Y 4G169EC14X 4G169EC15X 4G169EC22X 4G169FA02 4G169FB14 4G169FB30 4H006AA02 4H006AC14 4H006BA02 4H006BA85 4H039CA39 4H039CJ10 本発明は、プロパジエンを異性化させてメチルアセチレンを製造する方法及びこの製造方法に適した触媒に関する。 プロパジエンをメチルアセチレンに異性化する方法として、特許文献1には、γ−アルミナに炭酸カリウムが担持されてなる触媒の存在下でプロパジエンを反応させて、メチルアセチレンを製造する方法が記載されている。 しかしながら、特許文献1に記載されているような従来のメチルアセチレンの製造方法では、使用するγ−アルミナによっては、メチルアセチレンの収率の点で必ずしも満足のいくものではなかった。特開平2−290831号公報 本発明の課題は、メチルアセチレンを良好な収率で製造できる方法及びこの製造方法に適した触媒を提供することである。 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。 (1)平均細孔半径が4.5nm以上であるγ−アルミナにアルカリ金属化合物が担持されてなる触媒の存在下、プロパジエンを異性化させることを特徴とするメチルアセチレンの製造方法。 (2)前記γ−アルミナの細孔容積が0.40mL/g以上である前記(1)に記載の製造方法。 (3)前記アルカリ金属化合物がカリウム化合物である前記(1)又は(2)に記載の製造方法。 (4)前記触媒が、平均細孔半径が4.5nm以上であるγ−アルミナをアルカリ金属化合物を含む溶液で接触処理した後、焼成して得られるものである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。 (5)プロパジエンを異性化させてメチルアセチレンを製造する際に使用する触媒であって、平均細孔半径が4.5nm以上であるγ−アルミナにアルカリ金属化合物が担持されてなることを特徴とする触媒。 本発明によれば、メチルアセチレンを良好な収率で製造できるという効果がある。 本発明に係るメチルアセチレンの製造方法では、担体であるγ−アルミナにアルカリ金属化合物が担持されてなる触媒を用いる。γ−アルミナは、平均細孔半径が4.5nm以上であり、好ましく5.0nm以上である。これにより、メチルアセチレンを良好な収率で製造できる。この理由としては、以下の理由が推察される。 すなわち、平均細孔半径が小さくなるにつれて、細孔容積は少なくなる傾向にある。また、平均細孔半径が小さくなると、反応物であるプロパジエンの細孔内での拡散性が低下して活性点上で反応し難くなり、反応速度が遅くなる。さらに、平均細孔半径が小さくなると、生成物であるメチルアセチレンの細孔内での拡散性が低下して活性点からメチルアセチレンが脱離し難くなる。その結果、活性点とプロパジエンが作用し難くなり、反応速度が遅くなる。平均細孔半径を4.5nm以上にすると、細孔容積が適度に多くなり、細孔内での反応物や生成物、すなわちプロパジエンやメチルアセチレンが拡散し易くなり、反応速度が向上することから、メチルアセチレンを良好な収率で製造できると推察される。 平均細孔半径の上限値としては、15nm以下であるのが好ましく、10nm以下であるのがより好ましい。平均細孔半径は、水銀圧入法で測定して得られる値である。 γ−アルミナの細孔容積としては、0.40mL/g以上であるのが好ましく、0.50mL/g以上であるのがより好ましい。これにより、メチルアセチレンを良好な収率で製造できる。この理由としては、平均細孔半径で説明したのと同じ理由が推察される。細孔容積の上限値としては、2.5mL/g以下であるのが好ましく、1.5mL/g以下であるのがより好ましい。細孔容積は、水銀圧入法で測定して得られる値である。 γ−アルミナの比表面積は、アルカリ金属化合物の担持量の観点から、100m2/g以上であるのが好ましい。比表面積は、窒素吸着法(BET法)で測定して得られる値であり、通常、BET1点法で測定して得られる値である。 γ−アルミナは、表面に付着している不純物を除去し、表面の活性化を図る観点から、アルカリ金属化合物を担持する前に、熱処理してもよい。熱処理は、酸化性ガス又は不活性ガス雰囲気下で行うことができ、これらのガス雰囲気下を組み合わせて多段階で行うこともできる。酸化性ガスとは、酸化性物質を含むガスのことを意味するものとする。酸化性ガスとしては、例えば空気、純酸素等の酸素含有ガス等が挙げられる。不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が挙げられる。熱処理時に使用するガスとしては、例示した中でも、窒素ガス、酸素ガス、空気又は窒素ガスと酸素ガスとの混合ガスが好ましい。 熱処理温度としては、100〜600℃であるのが好ましい。熱処理時間としては、1〜48時間であるのが好ましく、2〜24時間であるのがより好ましい。 このようなγ−アルミナに担持されるアルカリ金属化合物としては、例えばアルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の硝酸塩、アルカリ金属の水素化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属の酢酸塩等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上がγ−アルミナに担持されていてもよい。例示したアルカリ金属化合物の中でも、カリウム化合物が好ましい。 触媒におけるアルカリ金属の担持量としては、触媒1gあたり0.01〜6.7ミリモルであるのが好ましく、0.15〜4.0ミリモルであるのがより好ましい。アルカリ金属の担持量は、例えば誘導結合プラズマ発光分光分析法(以下、「ICP分析法」と言う。)によって定量できる。 触媒は、成形体として使用するのが好ましく、その形状としては、例えば球形粒状(球状)、円柱状、ペレット状、押出形状、リング形状、ハニカム状、成形後に粉砕分級した適度な大きさの顆粒状等が挙げられる。触媒を、成形後に粉砕分級して適度な大きさの顆粒状にすると、触媒の表面積が大きくなり、プロパジエンとの接触面積も大きくなるので、プロパジエンを異性化させ易くなり、メチルアセチレンの収率を向上させることができる。 γ−アルミナにアルカリ金属化合物を担持する方法としては、γ−アルミナをアルカリ金属化合物を含む溶液で接触処理する方法や、共沈法等が挙げられる。接触処理において、処理温度としては、通常、0〜100℃であり、0〜50℃であるのが好ましく、処理圧力としては、通常、0.1〜1MPaであり、大気圧であるのが好ましい。また、接触処理は、空気雰囲気下や、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、二酸化炭素等の不活性ガス雰囲気下で行うことができる。なお、これらの雰囲気は、水蒸気を含んでいてもよい。接触処理の具体例としては、含浸、浸漬、混練等が挙げられ、溶液の調製に使用する溶媒としては、水が好ましい。 触媒は、γ−アルミナにアルカリ金属化合物を担持した後に焼成するのが好ましい。これにより、担持されたアルカリ金属化合物(但し、アルカリ金属の酸化物を除く。)をアルカリ金属の酸化物に変換することができる。焼成を行う場合において、担持の際に使用するアルカリ金属化合物としては、例えば炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物、ハロゲン化物等の熱分解性の塩を用いるのが好ましく、中でも、炭酸塩が好ましい。 焼成は、酸化性ガス、還元性ガス又は不活性ガス雰囲気下で行うことができ、これらのガス雰囲気下を組み合わせて多段階で行うこともできる。酸化性ガス及び不活性ガスとしては、上述したγ−アルミナの熱処理で例示したのと同じガスが挙げられる。還元性ガスとは、還元性物質を含むガスのことを意味するものとする。還元性ガスとしては、例えば水素含有ガス、一酸化炭素含有ガス、炭化水素含有ガス等が挙げられる。焼成時に使用するガスとしては、例示した中でも、窒素ガス、酸素ガス、空気又は窒素ガスと酸素ガスとの混合ガスが好ましい。 焼成温度としては、500〜900℃であるのが好ましく、550〜700℃であるのがより好ましい。焼成時間としては、0.5〜48時間であるのが好ましく、2〜24時間であるのがより好ましい。 触媒は、焼成の前に乾燥するのが好ましい。焼成のように急激に加熱して水分を除去すると、γ−アルミナ内から水分が移動する際に、担持されているアルカリ金属化合物が水分とともに移動してしまい、アルカリ金属化合物の担持状態が不均一になるおそれがある。焼成の前に触媒を乾燥し、焼成前に水分を適度に除去することによって、焼成時におけるアルカリ金属化合物の移動を抑制し、触媒の担持状態を均一にすることができる。 乾燥方法としては、従来公知の方法を採用することができ、その温度としては、通常、室温から100℃程度であり、その圧力としては、通常、0.001〜1MPaであり、大気圧であるのが好ましい。乾燥は、空気雰囲気下や、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、二酸化炭素等の不活性ガス雰囲気下で行うことができる。なお、これらの雰囲気は、水蒸気を含んでいてもよい。 本発明では、上述した触媒の存在下でプロパジエンを異性化させることによって、メチルアセチレンを製造する。異性化は、回分式で行ってもよいし、半回分式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。異性化における温度としては、通常、−30〜600℃であり、0〜100℃であるのが好ましく、圧力としては、通常、0.1〜10MPaである。 異性化は、不活性ガス雰囲気下で行ってもよいし、酸化性ガス雰囲気下で行ってもよい。不活性ガス及び酸化性ガスとしては、上述したγ−アルミナの熱処理で例示したのと同じガスが挙げられる。なお、異性化を連続式で行う場合には、不活性ガスや酸化性ガスを原料とともに供給してもよい。また、連続式の反応においては、例えば液相条件下に固定床方式を採用して異性化を行うこともできる。 触媒の使用量としては、触媒中のアルカリ金属元素に換算して、プロパジエン1モルに対して、0.0001〜0.1モルであるのが好ましく、0.001〜0.05モルであるのがより好ましい。 異性化においては、有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒としては、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。例示した有機溶媒の中でも、脂肪族炭化水素が好ましく、プロパンがより好ましい。 異性化は、水及び二酸化炭素が実質的に存在しない条件で行うのが好ましい。これにより、触媒の活性が低下するのを抑制することができる。 反応後の後処理操作については適宜選択されるが、例えば蒸留等の操作を行うことによって、メチルアセチレンとプロパジエンを分離することができる。 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。 以下の実施例及び比較例において、γ−アルミナの平均細孔半径及び細孔容積は、以下のようにして測定した。<平均細孔半径及び細孔容積の測定方法> γ−アルミナを120℃で4時間乾燥した後、MICROMERITICS社製の細孔容積測定装置「オートポアIII9420」を用いて水銀圧入法によって求めた。<触媒の調製> 担体として、球状のγ−アルミナ(平均細孔半径5.0nm、細孔容積0.50mL/g、2.0〜4.0mm球)を用いた。まず、この担体を、空気雰囲気下において、熱処理温度500℃、熱処理時間16時間の条件で熱処理した。 次に、熱処理したγ−アルミナをアルカリ金属化合物を含む溶液で接触処理した。具体的には、熱処理したγ−アルミナ9.95gに、和光純薬製の炭酸カリウム「K2CO3」2.55gを純水5.01gに溶解して調製した水溶液を含浸させた。また、この接触処理は、空気雰囲気下で行うとともに、処理温度を23℃、処理圧力を大気圧とした。 次に、接触処理によって得られた炭酸カリウム担持γ−アルミナを、焼成の前に乾燥した。乾燥は、炭酸カリウム担持γ−アルミナを、空気雰囲気下において、温度を20〜30℃、圧力を大気圧、乾燥時間を15時間以上とする条件で風乾することによって行った。 次に、乾燥した炭酸カリウム担持γ−アルミナを、窒素ガス流通下、室温(23℃)から620℃まで1時間かけて昇温した後、同温度で6時間保持して焼成し、表1に示す球状のカリウム担持γ−アルミナ触媒(A)を得た。<触媒の活性試験> まず、グローブボックス内で窒素ガス雰囲気下、100mLのステンレス鋼(SUS)製オートクレーブに、得られた触媒(A)を0.62g導入した。次に、オートクレーブ内を−0.1MPaGまで減圧した後、エタノール/ドライアイス浴でオートクレーブを冷却しながらプロパジエン7.45g、メチルアセチレン67.9mg及び有機溶媒としてプロパン15.68gをオートクレーブ内に導入した。そして、オートクレーブ内を攪拌しながら室温(23℃)、0.9MPa(絶対圧)で2時間反応を行い、触媒(A)の存在下でプロパジエンを異性化させた。 なお、プロパジエン、メチルアセチレン及びプロパンはいずれも、ボンベからオートクレーブ内に導入した。プロパジエン、メチルアセチレン及びプロパンの仕込み量は、ボンベの重量減少から算出した。オートクレーブ内に導入したメチルアセチレン67.9mgは、プロパジエン中に不純物として含まれているものである。 また、プロパジエン、メチルアセチレン及びプロパンはいずれも、ボンベから気体状態でオートクレーブ内に導入した。オートクレーブは、エタノール/ドライアイス浴(−65℃程度)で冷却されていることから、オートクレーブ内に導入された直後のプロパジエン、メチルアセチレン及びプロパンはいずれも、液体状態である。反応は、加圧状態で行ったことから、プロパジエン、メチルアセチレン及びプロパンのほとんどは、反応中、液体状態のままであり、それゆえ液相反応である。 反応後、反応液をガスクロマトグラフィーによって分析し、プロパジエン転化率(以下、「PD転化率」と言うことがある。)(%)、メチルアセチレン・プロパジエン保持率(以下、「MA・PD保持率」と言うことがある。)(%)、触媒1gあたりのメチルアセチレン生成量(以下、「MA生成量」と言うことがある。)(g−MA/g−cat.)、及びメチルアセチレン収率(以下、「MA収率」と言うことがある。)(%)を求め、それらの結果を表1に示した。 なお、PD転化率(%)は、式:〔反応したプロパジエンのモル数/供給したプロパジエンのモル数〕×100から算出した。 MA・PD保持率(%)は、式:〔生成物中のメチルアセチレンとプロパジエンとの合計モル数/原料中のメチルアセチレンとプロパジエンとの合計モル数〕×100から算出した。 MA生成量(g−MA/g−cat.)は、式:〔メチルアセチレン生成量(g)/触媒重量(g)〕から算出した。 MA収率(%)は、式:〔生成したメチルアセチレンのモル数/供給したプロパジエンのモル数〕×100から算出した。<触媒の調製> 担体として、球状のγ−アルミナ(平均細孔半径5.0nm、細孔容積0.57mL/g、2.0〜4.0mm球)を用いた。まず、この担体を、実施例1と同様にして熱処理した。 次に、熱処理したγ−アルミナをアルカリ金属化合物を含む溶液で接触処理した。接触処理は、熱処理したγ−アルミナ10.04gに、和光純薬製の炭酸カリウム「K2CO3」2.66gを純水3.05gに溶解して調製した水溶液を含浸させた以外は、実施例1と同様にして行った。 そして、接触処理によって得られた炭酸カリウム担持γ−アルミナを、実施例1と同様にして乾燥した後に焼成し、表1に示す球状のカリウム担持γ−アルミナ触媒(B)を得た。<触媒の活性試験> 触媒(A)に代えて触媒(B)を0.63g使用し、プロパジエンを7.41g、メチルアセチレンを64.2mg及びプロパンを15.48gの割合でオートクレーブ内に導入した以外は、実施例1と同様にして触媒の活性試験を行った。その結果を表1に示す。<触媒の調製> 担体として、球状のγ−アルミナ(平均細孔半径6.6nm、細孔容積0.60mL/g、2.0〜4.0mm球)を用いた。まず、この担体を、実施例1と同様にして熱処理した。 次に、熱処理したγ−アルミナをアルカリ金属化合物を含む溶液で接触処理した。接触処理は、熱処理したγ−アルミナ8.65gに、和光純薬製の炭酸カリウム「K2CO3」2.18gを純水4.38gに溶解して調製した水溶液を含浸させた以外は、実施例1と同様にして行った。 そして、接触処理によって得られた炭酸カリウム担持γ−アルミナを、実施例1と同様にして乾燥した後に焼成し、表1に示す球状のカリウム担持γ−アルミナ触媒(C)を得た。<触媒の活性試験> 触媒(A)に代えて触媒(C)を0.60g使用し、プロパジエンを7.09g、メチルアセチレンを68.5mg及びプロパンを15.85gの割合でオートクレーブ内に導入した以外は、実施例1と同様にして触媒の活性試験を行った。その結果を表1に示す。<触媒の調製> 担体として、球状のγ−アルミナ(平均細孔半径7.7nm、細孔容積0.70mL/g、3.0〜5.0mm球)を用いた。まず、この担体を、実施例1と同様にして熱処理した。 次に、熱処理したγ−アルミナをアルカリ金属化合物を含む溶液で接触処理した。接触処理は、熱処理したγ−アルミナ8.77gに、和光純薬製の炭酸カリウム「K2CO3」2.21gを純水3.22gに溶解して調製した水溶液を含浸させた以外は、実施例1と同様にして行った。 そして、接触処理によって得られた炭酸カリウム担持γ−アルミナを、実施例1と同様にして乾燥した後に焼成し、表1に示す球状のカリウム担持γ−アルミナ触媒(D)を得た。<触媒の活性試験> 触媒(A)に代えて触媒(D)を0.60g使用し、プロパジエンを9.60g、メチルアセチレンを15.0mg及びプロパンを16.85gの割合でオートクレーブ内に導入した以外は、実施例1と同様にして触媒の活性試験を行った。その結果を表1に示す。[比較例1]<触媒の調製> 担体として、球状のγ−アルミナ(平均細孔半径4.2nm、細孔容積0.37mL/g、2.0〜4.0mm球)を用いた。まず、この担体を、実施例1と同様にして熱処理した。 次に、熱処理したγ−アルミナをアルカリ金属化合物を含む溶液で接触処理した。接触処理は、熱処理したγ−アルミナ7.74gに、和光純薬製の炭酸カリウム「K2CO3」1.95gを純水2.66gに溶解して調製した水溶液を含浸させた以外は、実施例1と同様にして行った。 そして、接触処理によって得られた炭酸カリウム担持γ−アルミナを、実施例1と同様にして乾燥した後に焼成し、表1に示す球状のカリウム担持γ−アルミナ触媒(E)を得た。<触媒の活性試験> 触媒(A)に代えて触媒(E)を0.61g使用し、プロパジエンを7.42g、メチルアセチレンを69.9mg及びプロパンを15.96gの割合でオートクレーブ内に導入した以外は、実施例1と同様にして触媒の活性試験を行った。その結果を表1に示す。 表1から明らかなように、平均細孔半径が4.5nm以上であるγ−アルミナにアルカリ金属化合物が担持されてなる触媒の存在下、プロパジエンを異性化させた実施例1〜4は、γ−アルミナの平均細孔半径が4.5nm未満である比較例1よりも、触媒の活性試験において優れた結果を示していることから、単位触媒あたりのメチルアセチレンの生産性が高く、メチルアセチレンを良好な収率で製造できているのがわかる。<触媒の調製> 担体として、球状のγ−アルミナ(平均細孔半径6.4nm、細孔容積0.60mL、BET表面積106m2/g、2.0〜4.0mm球)を用いた。まず、この担体を、実施例1と同様にして熱処理した。 次に、熱処理したγ−アルミナをアルカリ金属化合物を含む溶液で接触処理した。接触処理は、熱処理したγ−アルミナ28.61gに、和光純薬製の炭酸カリウム「K2CO3」7.20gを純水14.47gに溶解して調製した水溶液を含浸させた以外は、実施例1と同様にして行った。 次に、接触処理によって得られた炭酸カリウム担持γ−アルミナを、実施例1と同様にして乾燥した。そして、乾燥した炭酸カリウム担持γ−アルミナを、空気流通下、室温(23℃)から620℃まで1時間かけて昇温した後、同温度で6時間保持して焼成した。 最後に、焼成物を粉砕・整粒して10〜30メッシュの顆粒状のカリウム担持γ−アルミナ触媒(F)を得た。得られた触媒(F)のカリウムの担持量を、(株)島津製作所製のICP発光分析装置「ICPS−8100」を用いてICP分析法によって算出したところ、触媒1gあたりのカリウム担持量は、2.56ミリモルであった。<触媒の活性試験> まず、グローブボックス内で窒素ガス雰囲気下、100mLのSUS製オートクレーブに、得られた触媒(F)を0.60g導入した。次に、オートクレーブ内を−0.1MPaGまで減圧した後、エタノール/ドライアイス浴でオートクレーブを冷却しながらプロパジエン7.04g、メチルアセチレン9.6mg及びプロパン14.14gをオートクレーブ内に導入した。その後、オートクレーブ内を攪拌しながら30℃、1.1MPa(絶対圧)で2時間反応を行い、触媒(F)の存在下でプロパジエンを異性化させた。 そして、反応液をガスクロマトグラフィーによって分析し、上述した実施例1における式に基づいてプロパジエン転化率(%)、メチルアセチレン・プロパジエン保持率(%)、メチルアセチレン収率(%)及びメチルアセチレン生成量(g−MA/g−cat.)を求めた。その結果を以下に示す。 プロパジエン転化率(%):78.6 メチルアセチレン・プロパジエン保持率(%):99.5 メチルアセチレン収率(%):78.4 メチルアセチレン生成量(g−MA/g−cat.):9.16 これらの結果から明らかなように、触媒を、成形後に粉砕分級して適度な大きさの顆粒状にすると、メチルアセチレンの収率を向上させることができるのがわかる。 平均細孔半径が4.5nm以上であるγ−アルミナにアルカリ金属化合物が担持されてなる触媒の存在下、プロパジエンを異性化させることを特徴とするメチルアセチレンの製造方法。 前記γ−アルミナの細孔容積が0.40mL/g以上である請求項1に記載の製造方法。 前記アルカリ金属化合物がカリウム化合物である請求項1又は2に記載の製造方法。 前記触媒が、平均細孔半径が4.5nm以上であるγ−アルミナをアルカリ金属化合物を含む溶液で接触処理した後、焼成して得られるものである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。 プロパジエンを異性化させてメチルアセチレンを製造する際に使用する触媒であって、平均細孔半径が4.5nm以上であるγ−アルミナにアルカリ金属化合物が担持されてなることを特徴とする触媒。 【課題】メチルアセチレンを良好な収率で製造できる方法及びこの製造方法に適した触媒を提供することである。【解決手段】平均細孔半径が4.5nm以上であるγ−アルミナにアルカリ金属化合物が担持されてなる触媒の存在下、プロパジエンを異性化させるようにしたメチルアセチレンの製造方法である。また、プロパジエンを異性化させてメチルアセチレンを製造する際に使用する触媒であって、平均細孔半径が4.5nm以上であるγ−アルミナにアルカリ金属化合物が担持されてなる触媒である。【選択図】なし


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