生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ストランド引張試験片
出願番号:2012047040
年次:2013
IPC分類:G01N 1/28


特許情報キャッシュ

桐山 孝之 若林 巧己 奥田 智徳 高木 瑞恵 JP 2013181902 公開特許公報(A) 20130912 2012047040 20120302 ストランド引張試験片 三菱レイヨン株式会社 000006035 桐山 孝之 若林 巧己 奥田 智徳 高木 瑞恵 G01N 1/28 20060101AFI20130826BHJP JPG01N1/28 B 5 OL 7 2G052 2G052AA22 2G052FD11 2G052GA03 2G052JA08 本発明は、補強繊維束のストランド引張特性を調査するのに適したストランド引張試験片に関し、更に詳しくは、補強繊維束の総繊度が大きい繊維束のストランド引張特性を調査するのに適したストランド引張試験片に関するものである。 補強繊維束のストランド試験片の強度、弾性率および伸度を求める方法としてASTM D4018に準拠した方法が一般的に用いられている。 本発明者らは、これまでASTM D4018に準拠して、補強繊維束の単繊維の密度および繊度を測定後、その補強繊維束を樹脂で含浸硬化させたストランド引張試験片を所定長にカットし、そのストランド引張試験片の両端(把持部)を、引張試験機の掴み具で圧着・把持し、引張速度1〜100mm/分で引っ張り、ストランド引張試験片の強度・弾性率および伸度の測定を行ってきた。 しかし、近年総繊度が大きく、かつ高強度の補強繊維束が開発され、それにともなってストランド引張試験片の破断荷重が大きくなり、従来の引張試験片では、掴み部で破壊したり、滑ったりするという問題があった。 特許文献1には太繊度糸でも正確なストランドの引張特性を把握することができるストランド引張試験片を提供するものとして、マルチフィラメント糸からなる補強繊維に樹脂を含浸し、硬化させたストランド引張試験片において、該ストランド引張試験片の断面における糸幅/厚み比が5以上であることを特徴とするストランド試験片が提案されている。 また、特許文献2には複合材料の圧縮物性を求めるために、所定フィラメント数からなる繊維束に熱硬化性樹脂或は熱可塑性樹脂を含浸させ、これを成形、硬化させて直径が30mm以下の円形断面を持つストランドを作製し、硬化したストランドを10mm以上、300mm以下の所定の長さに切断し、次いで、ストランドの両端に接着剤を用いて金属性円筒状タブを接着して試験片を作製する方法が提案されている。特開2002−357518号公報特開平5−26795号公報 しかしながら、特許文献1,2の試験片では、総繊度が大きい繊維束のストランド引張試験を行うと、試験器の掴み具から把持部が抜けたり、把持部から繊維束が抜けたりして正確なストランド引っ張り強度が測定できない問題があった。また掴み具の圧着力を高めると、試験片の把持部が割れる問題があった。 本発明は、総繊度が大きい繊維束でも正確なストランドの引張特性を把握することができ、かつ迅速にストランド引張試験片を測定できる方法を提供せんとするものである。 本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。(1)本発明のストランド引張試験片は、複数の繊維からなる繊維束のストランド引張試験片であって、 前記繊維束の両端に、前記繊維束と樹脂Aとからなる把持部を有し、前記樹脂Aの組成が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が40〜50部と、酸変性脂肪族型エポキシ樹脂が25〜40部と、硬化剤として変性脂肪族アミノ化合物が18〜28部とからなるストランド引張試験片である。(2)本発明のストランド引張試験片は、前記繊維束の総繊度が20,000〜45,000dtexであることが好ましい。(3)本発明のストランド引張試験片は、前記繊維束が樹脂Bが含浸し、硬化した樹脂含浸繊維束であるであることが好ましい。(4)本発明のストランド引張試験片は、前記把持部の厚さが3〜6mmであることが好ましい。(5)本発明のストランド引張試験片は、前記繊維束が炭素繊維であることが好ましい。 本発明により、破断荷重の大きい補強繊維束の総繊度が大きい繊維束でも正確なストランド引張特性を得ることが可能となる。 本発明は複数の繊維からなる補強繊維束に樹脂Bを含浸し、前記樹脂Bを硬化させた樹脂含浸繊維束の両端に、樹脂含浸繊維束と樹脂Aとからなる把持部を有するストランド引張試験片であって、前記樹脂Aの組成がビスフェノールA型エポキシ樹脂が40〜50部、酸変性脂肪族型エポキシ樹脂が25〜40部、硬化剤として変性脂肪族アミノ化合物が18〜28部が好ましい。これらの組成であれば、前記把持部が脆くなりにくく、樹脂Aが硬くなりすぎず、ストランド試験実施時に前記把持部の割れを抑制しやすくあるいは、樹脂Bと樹脂含浸繊維束間の剥離の発生を抑制しやすくなる。その点で、前記樹脂Aの組成がビスフェノールA型エポキシ樹脂が40〜50部、酸変性脂肪族型エポキシ樹脂が30〜35部、硬化剤として変性脂肪族アミノ化合物が20〜25部からなることがさらに好ましく、正確なストランドの引張特性を把握しやすくなる。 本発明において、補強繊維束の総繊度とは、単繊維繊度(デニール)×フィラメント数で表される。補強繊維束の繊度は20,000〜45,000dtexの範囲であればよい。前記補強繊維が炭素繊維の場合、単繊維繊度は通常0.2〜0.8dtexであるため、フィラメント数は25,000〜225,000本程度となる。 補強繊維束の総繊度を20,000〜45,000dtexにする方法としては、総繊度が大きい前駆体繊維を出発原料として用いる方法、いくつかの少フィラメント数の前駆体繊維を焼成工程の途中かつワインダーで巻き終わるまでに合糸する方法、一旦炭素繊維として巻き取ったものをクリールから引き出して合糸しながら再度巻き取る方法などがあるが、いずれかに限定されるものではない。 補強繊維束が炭素繊維束の場合、炭素繊維束を構成する総繊度が20,000dtex未満であれば、破断荷重が小さいため、従来の測定方法でも測定が可能である。 本発明のストランド引張試験片において、用いる補強繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、あるいはシリコーンカーバイト繊維などの無機繊維、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリルなどの有機繊維が好ましく使用される。 なかでも炭素繊維は、その前駆体繊維として、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系、さらにその他特に限定はされるものではないが、ストランド引張試験片の引張強度が、好ましくは4,000MPa以上、さらに好ましくは5,000MPa以上のアクリル系炭素繊維では、著しい効果が発揮されるので好ましく使用される。 本発明において用いるストランド引張試験片用の樹脂Aは、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂など特に限定されるものではなく、熱可塑性または熱硬化性マトリックスの中から適宜選択して使用することが出来るが、特にエポキシ樹脂が好ましく使用される。 これらに用いるエポキシ樹脂としては、例えば、2官能樹脂であるビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポ キシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂あるいはこれらの組み合わせが好ましく用いられる。 これらに用いる硬化剤としては、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンのような芳香族アミン、脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリフェノールアミド化合物、ノボラック樹脂、ポリメルカプタン、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体など特に限定されるものではない。 特に前記把持部の形状は限定されるものではないが、掴み部で固定される把持面の面積は、ストランド引張試験片にかかる荷重を緩和出来るよう大きい方が好ましい。把持面の面積は、使用する引張試験機の掴み部面と同じ、もしくはそれ以上の面積を有すことがさらに好ましい。また、把持部の形状は、引張試験機の掴み部面と多く接触できる形状が好ましい。 前記把持部の厚みについては、特に限定されるものではないが、ストランド引張試験片にかかる荷重を緩和出来るよう、3mm以上6mm以下であることが好ましい。上限値は、引張試験機の掴み部で把持できる厚さであれば良いが、6mm以上になるとストランド引張試験片の素抜けが発生するため適切ではなく、前記把持部の厚みが3mm以下であると、薄すぎると荷重が把持部にかかるため把持部の割れが発生し適切ではない。また、ストランド引張試験片が中心に位置することが好ましい。本発明で言う把持部の厚みとは、引張試験機で掴む把持部の面と面との距離である。 前記把持部の作成においては、作業効率を向上させるため、さらには前記把持部の形状を常に安定したサイズにするために、金型を用いて作成してもよい。 金型は試験片の取り外しを容易にするため組立式とし、好ましくは前記把持部との剥離性をもたせるために、テフロン(登録商標)加工、フッ素樹脂加工などが施されたものが好ましい。 本発明における引張試験方法は、掴み部面に加硫ゴム、石綿板、皮革又は研磨布紙などを使うことが推奨されており、本発明における測定法でも掴み部について特に限定されるものではない。 但し、総繊度が20,000〜45,000dtexで且つ破断荷重が大きいストランド引張試験片では、いずれもストランド引張試験機の掴み部面の損傷が大きいことから、好ましくは前記把持部を確実に圧着・固定できるよう金属等の固い材質で、且つ表面に凹凸のあるものが好ましく使用される。 以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。<ストランド強度、弾性率> ASTM D4018に準拠してエポキシ樹脂含浸ストランドの引張物性を測定した。<把持部抜けの割合> ストランド引張試験を10回実施した中で前記把持部と樹脂含浸繊維束が剥離し前記把持部から樹脂含浸繊維束が素抜けた場合を把持部抜けとしその回数を数えて割合を求めた。<把持部割れの割合> ストランド引張試験を10回実施した中で前記把持部が割れた場合を把持部割れとしその回数を数えて割合を求めた。(実施例1) 目付3,280mg/m、密度1.820g/cm3、繊維数60,000本からなる総繊度32,800dtexの炭素繊維束にASTMD4018に準拠した量のエポキシ樹脂を含浸硬化させて、樹脂含浸繊維束を作成した。前記樹脂含浸繊維束を270mmに切断し、その各両端60mmを金型の中心線上にそれぞれ配置し、以下の組成からなる樹脂を金型に流し込み、熱処理炉の中で65℃で120分間処理して樹脂を硬化させ、把持部の厚が4mm、把持部の面積が1,000mm2である把持部を有するストランド引張試験片を作成した。[主成分1]三菱化学株式会社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂JER828 42部[主成分2]三菱化学株式会社製酸変性脂肪族型エポキシ樹脂JER871 35部[硬化剤] 長瀬産業株式会社製変性脂肪族アミノ化合物HY2967 23部ストランド引張試験を行った結果、ストランド強度5,135MPa、弾性率248GPaであり、把持部割れ、把持部抜けの割合はいずれも0%であった。(実施例2) 前記JER828 45部、前記JER871 30部、前記HY2967 25部とした以外は実施例1と同様の方法で前記把持部を取り付けストランド引張試験片を作成した。ストランド引張試験を行った結果、ストランド強度5,096MPa、弾性率250GPaであり、把持部割れ、把持部抜けの割合はいずれも0%であった。(実施例3) 目付3,750mg/m、密度1.810g/cm3、繊維数50,000本からなる総繊度37,500dtexの炭素繊維束を用いた以外は実施例1と同様の方法でストランド引張試験片を作成した。ストランド引張試験を行った結果、ストランド強度4,410MPa、弾性率235GPaであり、把持部割れ、把持部抜けの割合はいずれも0%であった。(実施例4) 前記把持部の厚みは6mmとした以外は、実施例1と同様の方法で前記把持部を取り付けストランド引張試験片を作成した。ストランド引張試験を行った結果、ストランド強度5,196MPa、弾性率250GPaであり、把持部割れ、把持部抜けの割合はいずれも0%であった。(比較例1) 前記JER828 71部、前記HY2967 29部とした以外は実施例1と同様の方法で前記把持部を取り付けストランド引張試験片を作成した。ストランド引張試験を行った結果、ストランド強度3,234MPa、弾性率248GPaであり、把持部抜けは発生しなかったが、把持部が硬いことに由来する把持部割れがすべての試験片で発生した。ストランド強度、ストランド弾性率の測定値は、実施例1に比べ低い値となった。(比較例2) 実施例1と同じ樹脂含浸繊維束を用い、ハンツマンジャパン製ビスフェノールA型エポキシ樹脂アラルダイドを用いて主成分の割合56部、硬化剤の割合44部として樹脂タブを取り付け室温で12時間静置し、ストランド引張試験片を作成した。ストランド引張試験を行った結果、ストランド強度4,420MPa、弾性率256GPaであり、把持部割れは発生しなかったが、把持部抜けが50%の割合で発生した。ストランド強度、ストランド弾性率の測定値は、実施例1に比べ低い値となった。(比較例3) 実施例1と同じ樹脂含浸繊維束を用い、前記把持部の代わりとして理研コランダム製研磨布#600を用いてストランド引張試験片を作成してストランド引張試験を行った結果、ストランド強度1,862MPa、弾性率251GPaであり、全てのサンプルで把持部抜けが発生した。ストランド強度、ストランド弾性率の測定値は、実施例1に比べ低い値となった。(比較例4) 前記JER828 74部、HEXION製 ポリアミン硬化剤EPI-CURE 9551を26部用いて樹脂を混合し、金型を用いて前記把持部を取り付け、熱処理炉の中で50℃、50分間、その後80℃、90分間放置し、樹脂を硬化させストランド引張試験片を作成した。ストランド引張試験を行おうとしたが、前記把持部が非常に脆いため樹脂が剥がれ落ちてストランド引張試験が実施できなかった。実施例1〜4、比較例1〜3の結果を表1にまとめた。 複数の繊維からなる繊維束のストランド引張試験片であって、前記繊維束の両端に、前記繊維束と樹脂Aとからなる把持部を有し、前記樹脂Aの組成が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が40〜50部と、酸変性脂肪族型エポキシ樹脂が25〜40部と、硬化剤として変性脂肪族アミノ化合物が18〜28部とからなるストランド引張試験片。 前記繊維束の総繊度が20,000〜45,000dtexである請求項1記載のストランド引張試験片。 前記繊維束が樹脂Bが含浸し、硬化した樹脂含浸繊維束である請求項1または2に記載のストランド引張試験片。 前記把持部の厚さが3〜6mmである請求項1または2に記載のストランド引張試験片。 前記繊維が炭素繊維である請求項1〜3のいずれか一項に記載のストランド引張試験片。 【課題】総繊度が大きい繊維束でも正確なストランドの引張特性を把握することができ、かつ迅速にストランド引張試験を測定できるストランド引張試験片を提供するものである。【解決手段】複数の繊維からなる繊維束のストランド引張試験片であって、 前記繊維束に樹脂Aが含浸し、硬化した樹脂含浸繊維束の両端に、前記樹脂含浸繊維束と樹脂Bとからなる把持部を有し、前記樹脂Bの組成が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が40〜50部と、酸変性脂肪族型エポキシ樹脂が25〜40部と、硬化剤として変性脂肪族アミノ化合物が18〜28部とからなるストランド引張試験片。【選択図】なし


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