タイトル: | 公開特許公報(A)_セチリジン塩酸塩を含有する医薬組成物 |
出願番号: | 2012046080 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 31/495,A61K 31/195,A61K 47/22,A61K 9/20,A61P 11/00 |
松下 剛士 望月 裕介 JP 2012197266 公開特許公報(A) 20121018 2012046080 20120302 セチリジン塩酸塩を含有する医薬組成物 第一三共ヘルスケア株式会社 306014736 竹元 利泰 100161160 石橋 公樹 100146581 今村 真有 100153039 中村 有希子 100160462 児玉 博宣 100164460 松下 剛士 望月 裕介 JP 2011047125 20110304 A61K 31/495 20060101AFI20120921BHJP A61K 31/195 20060101ALI20120921BHJP A61K 47/22 20060101ALI20120921BHJP A61K 9/20 20060101ALI20120921BHJP A61P 11/00 20060101ALI20120921BHJP JPA61K31/495A61K31/195A61K47/22A61K9/20A61P11/00 4 OL 7 4C076 4C086 4C206 4C076AA36 4C076BB01 4C076DD60Q 4C076FF65 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC54 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA52 4C086NA03 4C086ZA59 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA44 4C206MA03 4C206MA05 4C206MA72 4C206NA03 4C206ZA59 本発明は、安定性に優れた、セチリジン塩酸塩及びトラネキサム酸を含有する医薬組成物に関するものである。 セチリジン塩酸塩は、a)ヒスタミンH1受容体拮抗作用、b)好酸球遊走抑制作用、c)メディエータ遊離抑制作用を有し、本邦では、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚掻痒症の効能・効果が認められている(例えば、非特許文献1参照)。本邦では、上記のヒスタミンH1受容体拮抗作用を有する薬物は、一般用医薬品の感冒薬(かぜ薬)や、鼻炎用内服薬の有効成分として、他の薬効を有する成分として配合されており、セチリジン塩酸塩に関しても、一般用医薬品への転用(スイッチOTC)の有効成分の一つとして期待されている。 トラネキサム酸は、抗プラスミン作用を有し、止血剤として広く用いられているほか、抗アレルギー作用及び抗炎症作用を有し、湿疹及びその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹における紅斑・腫脹・そう痒等の症状;扁桃炎、咽喉頭炎における咽頭痛・発赤・充血・腫脹等の症状、口内炎における口内痛及び口内粘膜アフターに用いられている(例えば、非特許文献1参照)。 これまでに、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤と、トラネキサム酸との併用に関する報告は多数あるが(例えば、特許文献1、2参照)、セチリジン塩酸塩とトラネキサム酸を配合した医薬組成物の安定性については報告がない。特開2010−120932公報特開2005−343846公報JAPIC 医療用医薬品集2009,p1659〜p1660JAPIC 医療用医薬品集2009,p1266〜p1268 本発明者らは、セチリジン塩酸塩とトラネキサム酸を混合、保存した際、経時的な変色や性状変化が発生することを見いだした。経時的な配合変化を避けるためには、一般的には、セチリジン塩酸塩とトラネキサム酸を接触(混合)させないこと、例えば、セチリジン塩酸塩とトラネキサム酸を、各々別顆粒に配合すればよいが、かかる方法では、製剤の製造工程が多くなり、製造コストが増加する。 本発明の課題は、かかるセチリジン塩酸塩とトラネキサム酸の配合変化を、より簡便に防止する方法を提供することである。 本発明者らは、かかる医薬組成物の配合変化を防止するために鋭意研究を進めたところ、セチリジン塩酸塩及びトラネキサム酸に、さらに、有色安定化剤としてヘスペリジン類又はリボフラビン類を配合することにより、セチリジン塩酸塩とトラネキサム酸の配合による変色、性状変化を防止できることを見出して本発明を完成させた。 すなわち、本発明は以下の(1)〜(4)を提供する。(1)(A)〜(C)を含有する医薬組成物。(A)セチリジン塩酸塩(B)トラネキサム酸(C)リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、リボフラビン酪酸エステル、及び、ヘスペリジン、からなる群より選ばれる1種以上の有色安定化剤(2)(C)成分の有色安定化剤がヘスペリジンである、(1)に記載の医薬組成物。(3)(C)成分の有色安定化剤がリボフラビンである、(1)に記載の医薬組成物。(4)剤形が固形剤である、(1)〜(3)のいずれか1に記載の医薬組成物。 本発明により、セチリジン塩酸塩及びトラネキサム酸を含有する、安定した医薬組成物を提供することができる。 本発明の医薬組成物は、(A)セチリジン塩酸塩、(B)トラネキサム酸、並びに、(C)リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、リボフラビン酪酸エステル、及びヘスペリジンから選ばれる1種以上の有色安定化剤、上記の(A)〜(C)を含有するものである。 本発明の医薬組成物における(A)成分であるセチリジン塩酸塩は、第15改正日本薬局方第一追補2008に収載されており、容易に入手することができる。 本発明の医薬組成物における(B)成分であるトラネキサム酸は、第15改正日本薬局方に収載されており、容易に入手することができる。 本発明の医薬組成物における(C)成分である有色安定化剤としては、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、リボフラビン酪酸エステル、及びヘスペリジン、からなる群より選ばれる1種以上を意味する。リボフラビンはビタミンB2とも称され、第15改正日本薬局方に収載されており、容易に入手することができる。また、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、及びリボフラビン酪酸エステルも、第15改正日本薬局方に収載されており、容易に入手できる。 ヘスペリジンは、ビタミンPとも称され、日本薬局方外医薬品規格2002に収載されており、容易に入手できる。 本発明における(C)成分の有色安定化剤としては、リボフラビン及びヘスペリジンから選択される1種以上が好ましい。 本発明の医薬組成物における(A)セチリジン塩酸塩、(B)トラネキサム酸、及び、(C)有色安定化剤の含有比は、通常、(A)セチリジン塩酸塩1重量部に対し、(B)トラネキサム酸が1〜200重量部、及び、(C)有色安定化剤が0.1〜50重量部を含有するものであるが;(A)セチリジン塩酸塩1重量部に対し、(B)トラネキサム酸が5〜150重量部、及び、(C)有色安定化剤が0.1〜20重量部を含有するのが好ましく;(A)セチリジン塩酸塩1重量部に対し、(B)トラネキサム酸が5〜100重量部、及び(C)有色安定化剤が0.1〜15重量部を含有するのがさらに好ましい。 本発明の医薬組成物における(A)セチリジン塩酸塩の成人の1日用量としては、通常2.5〜20mgであり、10〜20mgが好ましく;(B)トラネキサム酸の成人の1日用量としては、通常50〜3000mgであり420〜2000mgが好ましく、750〜2000mgがより好ましく;(C)有色安定化剤の成人の1日用量としては、例えばリボフラビンでは通常2〜30mgが好ましく、例えばヘスペリジンでは通常6〜90mgが好ましい。 本発明の医薬組成物の剤形は、固形剤又は液状製剤が好ましく、固形剤がより好ましい。本発明における固形剤としては、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、ゼリー剤、トローチ剤又はドライシロップ等を挙げることができ、顆粒剤、カプセル剤及び錠剤が好ましい。 本発明の医薬組成物の剤形が、顆粒剤又は錠剤の場合、水溶性又は脂溶性の高分子等で、顆粒剤や錠剤をコーティングしたものや、適当な糖を用いて錠剤をコーティングしてもよい。すなわち、フィルムコーティング顆粒、フィルムコーティング錠、又は糖衣錠等も、本発明の医薬組成物の剤形として包含される。 また、本発明の医薬組成物の剤形が錠剤の場合、かかる錠剤を、組成の異なる粉末、又は顆粒を2層又は3層以上に積み重ねて圧縮成型した多層錠も本発明に包含される。 本発明の医薬組成物の剤形が固形剤の場合、かかる固形剤の製造方法としては、第15改正日本薬局方製剤総則に記載されている方法に準じて製造すればよいが、セチリジン塩酸塩、トラネキサム酸、及び有色安定化剤を混合して混合末を製造する工程を含む。かかる混合の方法としては、通常使用される混合機、例えば、攪拌型混合機等により、各成分が均一になるように混合すればよい。 さらに、本発明の医薬組成物の剤形が固形剤の場合、かかる製剤の製造方法としては、上述をセチリジン塩酸塩、トラネキサム酸、及び有色安定化剤を含む混合末組成物を、引き続く造粒工程にて造粒固形物とするのが好ましい。かかる造粒としては、乾式造粒や湿式造粒を挙げることができるが、本発明においては、湿式造粒が好ましい。本発明にかかる固形剤(造粒固形物)を製造する際の湿式造粒としては、攪拌造粒、噴霧造粒、転動造粒、流動層造粒、押し出し造粒等の通常に医薬品等の分野で使用されている湿式造粒法であれば特に限定されない。 さらに本発明においては、上記造粒によって得られた造粒物を圧縮成型して錠剤とするのが好ましい。 本発明医薬組成物にかかる固形剤を製造する際には、必要に応じて他の薬効成分を配合し、さらに必要に応じて医薬品添加物を添加することができる。本発明の医薬組成物が固形剤である場合の製剤化に使用される医薬品添加物としては、薬学的に許容される担体、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊補助剤、滑沢剤、流動化剤、光沢化剤、発泡剤、防湿剤、界面活性剤、安定化剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、防腐剤、保存剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、香料、芳香剤、着色剤、基材、コーティング剤、糖衣剤、可塑剤、分散剤、消泡剤等が挙げられ、上記に挙げられた固形剤を製造する際に、公知の添加目的及び方法で使用することができる。 以下に実施例を記載し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。1.物理混合物(比較例)及び錠剤(実施例)の製造 下記の物理混合物(比較例1)、及び有色安定化剤を添加した錠剤(実施例1〜3)を製造した。(比較例1) セチリジン塩酸塩(パーマケム・アジア株式会社)1.0gとトラネキサム酸(第一三共プロファーマ株式会社)10.0gをポリ袋にて混合した後に、混合末を篩(20号)にて篩過して物理混合物を得た。(実施例1) セチリジン塩酸塩3.0g、トラネキサム酸30.0g、リボフラビン(第一ファインケミカル株式会社)9.0g、結晶セルロース適量をポリ袋に投入・混合し物理混合物を調製した。物理混合物にステアリン酸マグネシウム0.5gを混合し、打錠して裸錠を製造した。(実施例2) セチリジン塩酸塩2.0g、トラネキサム酸20.0g、ヘスペリジン(アルプス薬品工業株式会社)20.0g、結晶セルロース適量をポリ袋に投入・混合し物理混合物を調製した。物理混合物にステアリン酸マグネシウム0.5gを混合し、打錠して裸錠を製造した。(実施例3) セチリジン塩酸塩5.0g、トラネキサム酸400.0g、リボフラビン6.0g、結晶セルロース適量をポリ袋に投入・混合し物理混合物を調製した。物理混合物を流動層造粒機[フローコーター(型式FLO1),フロイント産業株式会社製]に投入・流動化後に、ヒドロキシプロピルセルロースを噴霧し、造粒物を調製した。造粒物49.5gにステアリン酸マグネシウム0.5gを混合し、打錠して裸錠を製造した。2.試験方法 比較例1の物理混合物、及び実施例1〜3の錠剤をガラス瓶(4k規格瓶)に充填し、40℃・75%開放(40℃・75%RH開放2M)、及び50℃・開放の条件で2ヶ月間(50℃・開放2M)放置した。2ヶ月間放置したものを、冷蔵庫保存品を対照として色調変化、性状変化を評価した。また、変色の度合いに関しては色差計(分光式色差計)(型式SE2000:日本電色工業株式会社製)を用い、各サンプルのL*、a*、b*の値を測定し、保管前と保管後のサンプル間の色差を、ΔE(L*a*b*表色系での座標間距離で定義される値)として算出した。色差の指標のΔEとしては、数値の小さい方が変色の度合いが小さいことを意味する。 色調変化及び性状変化は、それぞれ下記のA〜Dの4段階で評価した。色調変化;A:変色なし、B:わずかな変色、C:変色あり、D:著しい変色;性状変化;A:変化なし、B:わずかな変化、C:変化あり、D:著しい変化;3.試験結果 表1に示したように、セチリジン塩酸塩とトラネキサム酸、さらに有色安定化剤を含有する実施例1〜3の医薬固形剤は、比較例1の物理混合物と比較して、色調変化、性状変化を著しく抑制した。 本発明により、セチリジン塩酸塩とトラネキサム酸を含有する安定な医薬組成物を、簡便かつ低コストに製造することができる。かかる医薬組成物は、感冒等の治療に利用することができ、有用である。 (A)〜(C)を含有する医薬組成物。(A)セチリジン塩酸塩(B)トラネキサム酸(C)リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、リボフラビン酪酸エステル、及び、ヘスペリジン、からなる群より選ばれる1種以上の有色安定化剤 (C)成分の有色安定化剤がヘスペリジンである、請求項1に記載の医薬組成物。 (C)成分の有色安定化剤がリボフラビンである、請求項1に記載の医薬組成物。 剤形が固形剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。 【課題】本発明の課題は、セチリジン塩酸塩及びトラネキサム酸を配合した安定な製剤を提供することである。【解決手段】(A)〜(C)を含有する医薬組成物。(A)セチリジン塩酸塩(B)トラネキサム酸(C)リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、リボフラビン酪酸エステル、及び、ヘスペリジン、からなる群より選ばれる1種以上の有色安定化剤【選択図】なし