タイトル: | 公開特許公報(A)_トラネキサム酸を含有する生体内のメイラード反応抑制剤組成物 |
出願番号: | 2012045132 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 31/195,A61K 8/44,A61P 43/00,A61P 7/00,A61Q 19/02,A61P 3/10,A61P 27/02,A61P 9/00,A61P 13/12 |
杉山 大二朗 JP 2012193174 公開特許公報(A) 20121011 2012045132 20120301 トラネキサム酸を含有する生体内のメイラード反応抑制剤組成物 第一三共ヘルスケア株式会社 306014736 竹元 利泰 100161160 石橋 公樹 100146581 今村 真有 100153039 中村 有希子 100160462 児玉 博宣 100164460 杉山 大二朗 JP 2011044958 20110302 A61K 31/195 20060101AFI20120914BHJP A61K 8/44 20060101ALI20120914BHJP A61P 43/00 20060101ALI20120914BHJP A61P 7/00 20060101ALI20120914BHJP A61Q 19/02 20060101ALI20120914BHJP A61P 3/10 20060101ALI20120914BHJP A61P 27/02 20060101ALI20120914BHJP A61P 9/00 20060101ALI20120914BHJP A61P 13/12 20060101ALI20120914BHJP JPA61K31/195A61K8/44A61P43/00 111A61P7/00A61Q19/02A61P3/10A61P27/02A61P9/00A61P13/12 5 OL 7 4C083 4C206 4C083AC621 4C083CC02 4C083EE16 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA44 4C206MA01 4C206MA04 4C206MA72 4C206MA83 4C206NA14 4C206ZA33 4C206ZA36 4C206ZA81 4C206ZC35 本発明は、生体内で起こるメイラード反応を抑制する組成物に関する。より詳しくは、メイラード反応によって生成したAGEs(Advanced Glycation End Products)の蓄積に起因する、皮膚褐変や肌透明度低下、糖尿病性の白内障、血管障害または腎機能障害を抑制する。 ブドウ糖などの還元糖は、タンパク質との間でメイラード反応(糖化反応)が起り、糖化産物が生成することは食品等の褐変現象として古くからよく知られているものであるが、生体内でも、特に糖尿病などで高血糖状態が続いたり、加齢により分解反応が進行し難くなると、タンパク質の糖化反応が起こり、糖化産物の生成に傾くため、タンパク質の機能が損なわれたり、糖化産物が蓄積したりすることがある。このメイラード反応による糖化産物は最終的に終末糖化産物(Advanced Glycation End Products:以下、AGEsと略称することもある)となるが、AGEsの生成は不可逆反応であるが、生成したAGEsは代謝によって体外へ排出される。しかし、加齢等により代謝速度が遅くなると、生体内の各組織にさらに蓄積されやすくなってくる(例えば、特許文献1〜2参照)。 AGEsが生体内の各組織に蓄積したり、その受容体と結合したりすると、種々の症状が引き起こされる。例えば、皮膚では肌の褐変化や肌のくすみの一因になり、高血糖状態では白内障、血管障害、腎機能障害が原因となる。従って、AGEsの生成を予防または抑制することは極めて重要であると言える(例えば、特許文献1〜2参照)。 これまでに、食品のメイラード反応を抑制する安全な物質として種々の天然成分が探索されてきた(例えば、特許文献2の「従来の技術」参照)。また、皮膚におけるAGEs生成抑制成分として、種々の植物抽出成分が探索されてきている(例えば、特許文献3参照)。 一方、抗プラスミン剤であるトラネキサム酸は、1)抗出血作用、2)抗アレルギー作用、3)抗炎症作用が知られている医薬である(例えば、非特許文献1参照)。また、トラネキサム酸は消炎剤として化粧品に配合されており(例えば、特許文献4参照)、また、内服のトラネキサム酸含有組成物は、しみ(肝斑に限る)に対する効能を有する一般用医薬品として供されてきている(例えば、非特許文献2参照)。 しかし、トラネキサム酸のメイラード反応抑制作用、ひいては、皮膚褐変化、肌透明度低下、糖尿病性白内障、糖尿病性血管障害または糖尿病性腎機能障害の予防または抑制作用は知られていない。特開2010−248148特開2004−035424特開2003−212749特開平04−362152009年版 医療用医薬品集 JAPIC 2008日本医薬品集 一般薬2010−11 じほう 2009 本発明は、内服でも外用でも有効かつ安全な生体内メイラード反応抑制剤を提供することを課題とする。 本発明者は、上記課題を解決するために長年にわたり研究を重ねた結果、トラネキサム酸によってメイラード反応が抑制されることを見出した。 上記知見に基づき、トラネキサム酸を有効成分とする生体内メイラード反応に起因する、皮膚褐変化、肌透明度低下、さらには、高血糖による障害である糖尿病性白内障、血管障害または腎機能障害の有効な予防又は改善剤となることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は、(1)有効成分としてトラネキサム酸を含有する、生体内のメイラード反応抑制剤組成物であり、好適には、(2)有効成分としてトラネキサム酸を含有する、皮膚褐変化または肌の透明度低下抑制剤組成物、(3)有効成分としてトラネキサム酸を含有する、高血糖による障害の予防または治療剤組成物、(4)高血糖による障害が、糖尿病性白内障、血管障害または腎機能障害である、請求項3に記載の予防または治療剤組成物、又は(5)投与経路が外用または内服である請求項1〜4に記載の組成物である。 本発明の生体内メイラード反応抑制剤は、皮膚褐変化、肌透明度低下、糖尿病性白内障、糖尿病性血管障害または腎機能障害を予防または改善することができ、しかも、安全である。さらに、経口投与でも外用でも有効なため、極めて有用である。実施例1におけるAGEs生成をその蛍光量で検出し、Controlでの値を1として、比で示した。トラネキサム酸による用量依存的なAGEs生成抑制効果を示すグラフである。 本発明におけるトラネキサム酸は、第15改正日本薬局方に収載されており、容易に入手することができる。 本発明の組成物は、医薬品、医薬部外品または化粧料として使用される。本発明の投与経路は、経口的および経皮的のいずれの投与形態でもよい。 本発明の剤形は特に限定されないが、皮膚に適用される外用剤の場合は、例えば、ローション、乳液等の液剤、クリーム、ゲル、または軟膏等の半固形製剤、あるいは、テープ、パッチ、パップ等の貼付剤が挙げられる。また、経口投与の場合には、例えば、錠剤、カプセル剤、液剤等が挙げられる。 本発明の組成物が外用剤の場合、トラネキサム酸の配合量としては、製剤全体の総量を基準として、0.01〜1000mg/mlが好ましく、0.01〜100mg/mlがより好ましい。また、本発明の組成物が内服剤の場合、トラネキサム酸の配合量としては、製剤全体の総量を基準として、0.01〜1000mg/mlが好ましく、0.01〜100mg/mlがより好ましい。 本発明の生体内メイラード反応抑制剤は、本発明の効果を損なわない限り、トラネキサム酸に加えて、他の薬効成分である美白剤、抗炎症剤、抗酸化剤、各種糖尿病治療薬を配合することができる。また、製剤用の成分として基剤、香料、防腐剤、保存剤、保湿剤、界面活性剤、潤沢剤、賦形剤、pH調節剤、矯味剤、香料等、一般に許容されている医薬または化粧品添加剤成分を併せて配合することができる。 本発明を医薬品、医薬部外品または化粧料として用いるための製剤は、第15改正日本薬局方製剤総則に記載の方法や、通常用いられている公知の化粧料の製造方法に準じて製造することができる。 以下、本発明について実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(製剤例)ローション(A)トラネキサム酸 15.0g、クエン酸ナトリウム 0.1g、ピロリドンカルボ ン酸 1.0g、1,3−ブチレングリコール 5.0gを混合し、精製水で全量 を100gとした。(B)POE(30)POP(6)デシルテトラデシル 0.6g、防腐剤 適量、エタノール 10.0gを混合した。A、Bを50℃で加温溶解し、BをAに攪拌しながら可溶化した。攪拌しながら冷却し、30℃で攪拌を止め、放置した。(製剤例)乳液(C)トラネキサム酸 15.0g、ニコムルス41 2.0g、スクワラン 10.0 g、防腐剤 適量を混合し、精製水で全量を100gとした。(D)カルボキシビニルポリマー 0.1g、キサンタンガム 0.2g、精製水 10.0gを混合した。(E)トリエタノールアミン 0.1g、1,3−ブチレングリコール 5.0g、精製 水 4.9を混合した。(F)ヒアルロン酸ナトリウム 2.0g、精製水 3.0を混合した。Cを80℃で加温し、均一に混合した。D〜Fは常温で溶解した。Cを攪拌しながらD、Eを加えた。攪拌しながら冷却し、50℃以下でFを加え、35〜30℃で攪拌を止め、放置した。(製剤例)液剤 トラネキサム酸 15g、果糖ブドウ糖液糖100g、pH調整剤適量を混合し、精製水で全量1000gの液剤を調製した。(製剤例)錠剤 トラネキサム酸 15g、乳糖 350g、結晶セルロース適量を投入・混合し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロースを噴霧し造粒顆粒を調製した。造粒顆粒49.5gにステアリン酸マグネシウム0.5gを混合・打錠して裸錠を調製した。(製剤例)散剤 トラネキサム酸 15g、乳糖 350g、結晶セルロース適量を投入・混合し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロースを噴霧し散剤を調製した。実施例1(蛍光性AGEs生成阻害活性)(サンプル溶液の調製) トラネキサム酸を1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて、その濃度がそれぞれ、0.3 mg/mL、3 mg/mL、30 mg/mL、300mg/mLとなるように希釈し、サンプル溶液とした。(アルブミン溶液の調製) ヒト血清アルブミン(シグマアルドリッチ社製)を1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて、24mg/mLとなるように調製した。(グルコース溶液の調製) グルコース(和光純薬社製)を1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて、0.6Mとなるように調製した。(被験溶液の調製) 1.5mLチューブ中でサンプル溶液群150μL、グルコース溶液150μL、アルブミン溶液150μLを混合し、60℃で40時間保持して試験液を得た。そして、その試験液に370nmの励起光を照射し、生じる440nmの蛍光を測定した。この測定で得られた結果を測定値Aとする。(blankの調製) 被験溶液blankの調製は以下のように行った。1.5mLチューブ中でサンプル溶液群150μL、グルコース溶液150μLを混合し、60℃で40時間保持した後、アルブミン溶液150μLを混合した。そして、その試験液に370nmの励起光を照射し、生じる440nmの蛍光を測定した。この測定で得られた結果を測定値Bとする。蛍光性AGEsの生成量を下記の式によりえられる蛍光量として算出した。AGEs生成量(蛍光量)=測定値A―測定値B(試験結果) 試験結果は、トラネキサム酸の濃度が0(Control)におけるAGEs生成量を1として比で示した。 図1より、トラネキサム酸は用量依存的にAGEsの生成量を抑制し、ひいては、生体のメイラード反応を抑制することが判った。以上の結果から、トラネキサム酸は生体内メイラード反応抑制剤として好適であることが判明した。 本発明の組成物は、皮膚褐変化、肌透明度低下、糖尿病性白内障、糖尿病性血管障害または腎機能障害を予防または改善することができ、しかも、安全であり、かつ経口投与でも外用でも有効なため、極めて有用である。さらに、経口投与でも外用剤であってもよく、医薬品、医薬部外品または化粧料として利用可能である。 有効成分としてトラネキサム酸を含有する、生体内のメイラード反応抑制剤組成物。 有効成分としてトラネキサム酸を含有する、皮膚褐変化または肌の透明度低下抑制剤組成物。 有効成分としてトラネキサム酸を含有する、高血糖による障害の予防または治療剤組成物。 高血糖による障害が、糖尿病性白内障、血管障害または腎機能障害である、請求項3に記載の予防または治療剤組成物。 投与経路が外用または内服である請求項1〜4に記載の組成物。 【課題】 生体内で起こるメイラード反応を抑制する内服または外用剤組成物を提供する。より詳しくは、AGEsの蓄積に起因する、皮膚褐変や肌透明度低下、糖尿病性の白内障、血管障害または腎機能障害を抑制する。【解決手段】 トラネキサム酸を有効成分として含有する。【選択図】なし