生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_微生物及び腐植質を利用した放射性物質除染剤及び放射性物質除染方法
出願番号:2012040398
年次:2013
IPC分類:G21F 9/18,C12N 1/00,G21F 9/28


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市川 洋征 八幡 昌裕 JP 2013174557 公開特許公報(A) 20130905 2012040398 20120227 微生物及び腐植質を利用した放射性物質除染剤及び放射性物質除染方法 株式会社ビーティエヌ 503095893 八幡▲砿▼業株式会社 597124224 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 村林 望 100169579 市川 洋征 八幡 昌裕 G21F 9/18 20060101AFI20130809BHJP C12N 1/00 20060101ALI20130809BHJP G21F 9/28 20060101ALI20130809BHJP JPG21F9/18C12N1/00 PG21F9/28 Z 7 OL 8 特許法第30条第1項適用申請有り 自社ホームページにて発表 掲載アドレス:http://www.btn.jp/ http://btn.sblo.jp/ http://btn.sblo.jp/article/52507547.html 掲載日 :2011年12月28日 掲載者 :株式会社ビーティエヌ 4B065 4B065AA15X 4B065AA30X 4B065AA72X 4B065AC20 4B065BB26 4B065CA54 本発明は、例えば微生物及び腐植質の混合物を含有する放射性物質除染剤並びに当該放射性物質除染剤を用いた放射性物質除染方法に関する。 チェルノブイリ(現・ウクライナ共和国)での原子力発電所事故や、東北地方太平洋沖地震により発生した原子力発電所事故での環境中への放射性物質漏れによる放射能汚染が深刻な問題となっている。 当該放射能汚染によれば、例えば水田、畑等の土壌及び海、川、浄水場等の水質が放射能に汚染され、当該被汚染物質から放射能を除染する必要があるが、未だに有効な除染方法がない。従って、放射性物質の除染に有効な方法を開発することが急務である。 そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、放射能汚染物質の除染に有効な放射性物質除染剤及び放射性物質除染方法を提供することを目的とする。 上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、複合微生物と腐植質との混合物が放射能汚染物質の除染に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。 (1)複合微生物と腐植質とを有効成分として含有する放射性物質除染剤。 (2)複合微生物が乳酸菌、バチルス属細菌、シアノバクテリア及び酵母を含む、(1)記載の放射性物質除染剤。 (3)腐植質が軟質多孔性古代海洋腐植質である、(1)又は(2)記載の放射性物質除染剤。 (4)腐植質が古細菌、メタン菌、真正細菌若しくはそれらの混合菌及び/又はソマチッドを含有する、(1)〜(3)のいずれか1記載の放射性物質除染剤。 (5)放射性物質が放射性セシウムである、(1)〜(4)のいずれか1記載の放射性物質除染剤。 (6)複合微生物を、(i)米糠及び腐植質又は(ii)米糠、糖質及び腐植質と混合し、発酵する工程を含む、(1)〜(5)のいずれか1記載の放射性物質除染剤の製造方法。 (7)(1)〜(5)のいずれか1記載の放射性物質除染剤を放射能汚染物質に散布する工程を含む、放射性物質除染方法。 本発明によれば、様々な放射能汚染物質の除染に使用できる放射性物質除染剤が提供される。本発明に係る放射性物質除染剤は、植物、農作物等の肥料としても使用可能なため安全性が高い上に、除染率が場合により100%となり高いという利点がある。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明に係る放射性物質除染剤は、複合微生物と腐植質とを有効成分として含有するものである。本発明に係る放射性物質除染剤を使用することで、例えば水田、畑等の土壌;海、川、浄水場等の水質;落葉堆肥、家畜堆肥等の堆肥;家畜飼料、稲ワラ、牧草サイレージ;高濃度汚染土壌、生ゴミ又は下水汚泥の燃焼灰;瓦礫、建築資材;家屋、屋根等の住宅周り;公園緑地、砂場、花壇;里山雑木林、山林;原子力発電所現場;放射性物質を吸着させたゼオライト等の放射能汚染物質において除染を行うことができる。 ここで、複合微生物とは、複数の微生物の集合を意味する。本発明において、複合微生物としては、例えば乳酸菌、バチルス属細菌、シアノバクテリア及び酵母を含む微生物群を液体中で同時培養された培養物が挙げられる。また、複合微生物として、微生物群に植物酵素等の酵素、黒糖、アミノ酸、クエン酸、食塩、大豆タンパク質等を混合したものを使用しても良い。このような複合微生物は、商品名「花まもり菌液」として株式会社ビーティエヌから市販されている。当該花まもり菌液は、乳酸菌、バチルス属細菌(枯草菌及び納豆菌)、シアノバクテリア(光合成細菌)及び酵母の微生物群を、酵素、黒糖、アミノ酸、クエン酸、食塩及び大豆タンパク質と共に液体中で同時培養した培養物である。特に、花まもり菌液には、乳酸菌としてラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)及びラクトバチルス・デルブレッキ(Lactobacillus delbrueckii)のラクトバチルス属(Lactobacillus)に属する微生物;枯草菌及び納豆菌としてバチルス・スブチルス(Bacillus subtilis)及びバチルス・ナットウ(Bacillus natto)のバチルス属(Bacillus)に属する微生物;並びに酵母としてシゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、サッカロマイセス属(Saccharomyces)及びカンジダ属(Candida)に属する微生物が含有される。 一方、腐植質とは、土壌腐植において暗色〜黒褐色の無定形のコロイド状高分子物質群を意味する。本発明において、腐植質としては、例えば軟質多孔性古代海洋腐植質(ミロネクトン)が挙げられる。軟質多孔性古代海洋腐植質は、数千万年前の古代海中(新第三系・中新統)で、海洋動植物(魚類の各種ネクトン、プランクトン、藻類、海藻、その他生物類)が埋没堆積し、微生物の働きで年月と共に分解、代謝、再合成が繰り返し行われ、結果的にバランスの良い各種ミネラルが含有される海泥(軟質多孔性古代海洋腐植質)が地殻変動によって地上に突出した地質層から採取した主に無機質から成る天然資源である。軟質多孔性古代海洋腐植質は、福島県棚倉町の棚倉破砕帯より採掘される。軟質多孔性古代海洋腐植質は、ケイ酸を主成分とし、豊富なミネラルを含む。例えば、軟質多孔性古代海洋腐植質は以下の成分を含む;酸化ケイ酸(二酸化ケイ素):55.00%、酸化アルミニウム:13.00%、酸化鉄:4.10%、酸化カルシウム:3.60%、酸化マグネシウム:1.60%、硫黄:1.10%、カリウム:0.473%、酸化チタン:0.160%、酸化リン:0.070%、酸化コバルト:0.060%、酸化ナトリウム:0.050%、酸化マンガン:0.040%、ストロンチウム:0.007%、バリウム:0.007%、スズ:0.006%、亜鉛:0.006%、バナジウム:0.003%、ボロン:0.003%、ニッケル:0.002%、銅:0.001%(pH 7.4)。また、軟質多孔性古代海洋腐植質は、例えばモンモリライト及びバーミキュライトを含み、放射性物質の吸着力(90%超)が高い。さらに、軟質多孔性古代海洋腐植質等の腐植質は、古細菌(アーキバクテリア)、メタン菌(Methanomicrobiales)、真正細菌(ユークバクテリア)等の細菌及びソマチッドを含有する。当該軟質多孔性古代海洋腐植質は、登録商標「ミネグリーン」(肥料)又は登録商標「ミネグレット」(飼料)として八幡礦業株式会社から市販されている。また、当該軟質多孔性古代海洋腐植質は、登録商標「ミロプライム」(飼料;製造販売元:株式会社ビーティエヌ)として市販されている。 本発明に係る放射性物質除染剤の製造では、例えば、複合微生物を、(i)米糠を添加した腐植質又は(ii)米糠及び糖質を添加した腐植質と混合し、発酵する。糖質としては、例えばスクロース、デンプン、グルコース等が挙げられる。発酵は、放射能汚染物質において直接行ってもよい。発酵後、得られた発酵物を本発明に係る放射性物質除染剤として使用することができる。発酵に使用する米糠及び糖質の混合物として、例えばボカシ肥料を使用することができる。ボカシ肥料とは、米糠や、油粕、大豆粕等の有機質肥料に腐葉土、籾殻、燻炭等を混ぜて微生物で発酵させた肥料を意味する。ボカシ肥料としては、例えばバイオぼかし肥料(株式会社イチムラ製)として市販されている。発酵条件としては、例えば発酵物全体に対して複合微生物含有溶液:約10容量%(総菌数:1.1×107)、ボカシ肥料:約30〜40重量%及び腐植質:約60〜70重量%を混合し、約40〜60℃で約20〜30日間発酵させることが挙げられる。 あるいは、複合微生物と腐植質と米糠(又は米糠と糖質)を混合し、液体中で同時培養し、発酵させることで、本発明に係る放射性物質除染剤を製造することができる。例えば、複合微生物含有溶液(総菌数:1.1×107)と腐植質及び米糠(又は米糠と糖質)の混合物とを約3:7比率で混合し、さらに水分:約30容量%を加えて約40〜60℃で発酵し、3週間程度でほぼ乾燥し、得られた発酵物を本発明に係る放射性物質除染剤とすることができる。 さらに、土壌(例えば、水田、畑地)の放射能汚染物質に対する本発明に係る放射性物質除染剤として、複合微生物と腐植質とを混合したものを使用することができる。 得られた本発明に係る放射性物質除染剤を放射能汚染物質に散布することで、当該放射能汚染物質から放射性物質を除染することができる。除染対象の放射性物質としては、例えば放射性セシウム(セシウム-134、セシウム-137)等が挙げられる。 また、放射能汚染物質としては、放射能に汚染された物質であればいずれのものであっても良く、例えば水田、畑等の土壌;海、川、浄水場等の水質;落葉堆肥、家畜堆肥等の堆肥;家畜飼料、稲ワラ、牧草サイレージ;高濃度汚染土壌、生ゴミ又は下水汚泥の燃焼灰;瓦礫、建築資材;家屋、屋根等の住宅周り;公園緑地、砂場、花壇;里山雑木林、山林;原子力発電所現場及びその敷地が挙げられる。 例えば、各放射能汚染物質に対して本発明に係る放射性物質除染剤を以下のように散布することができる。 水田、畑地、公園、緑地又は花壇では、例えば、セシウム高濃度地域(10,000ベクレル〜50,000ベクレル)10a当たりに本発明に係る放射性物質除染剤900kgを散布し、セシウム中濃度地域(1,000ベクレル〜10,000ベクレル)10a当たりに本発明に係る放射性物質除染剤500kgを散布し、又はセシウム低濃度地域(200ベクレル〜1,000ベクレル)10a当たりに本発明に係る放射性物質除染剤200kgを散布する。散布は、散布機で行う。水田又は畑地では、散布後、ロータリーで表土を耕起する。あるいは、発酵鶏糞を合わせて散布することで、複合微生物の栄養補給、腐熟促進及び窒素補給になり、除染を促進することができる。また、除染が進めば、鶏糞燃焼灰(リン(P)、カリウム(K)及びカルシウム(Ca)含有)の散布で植物にセシウムを吸収させない方策を取ることもできる。 表土を剥離した土壌では、例えば、当該土壌500kgに対して、セシウム高濃度地域(10,000ベクレル〜50,000ベクレル)の土壌については本発明に係る放射性物質除染剤100kgを散布し、セシウム中濃度地域(1,000ベクレル〜10,000ベクレル)の土壌については本発明に係る放射性物質除染剤50kgを散布し、撹拌し、100日間程度放置する。 住宅又は屋根では、例えば、本発明に係る放射性物質除染剤10kgを水に溶解し、シャワーのように散水する。 下水汚泥燃焼灰では、例えば、セシウム高濃度地域(10,000ベクレル〜50,000ベクレル)の当該燃焼灰500kgに対し、本発明に係る放射性物質除染剤200kgを散布し、撹拌する。 瓦礫等では、例えば、本発明に係る放射性物質除染剤10kgを散布する。 牧草、稲ワラ等のロールでは、例えばラップロールの上部をカッター等で十字に切り、当該切り口に、当該ラップロール重量当たり本発明に係る放射性物質除染剤10%を水に溶解したものを上部から流し込む。 牛糞堆肥等の堆肥では、堆肥重量当たり本発明に係る放射性物質除染剤10%を混合する。 落葉、剪定チップ等では、落葉又は剪定チップ重量当たり本発明に係る放射性物質除染剤0.5%を混合する。 本発明に係る放射性物質除染剤の除染機能は、例えば、放射能汚染物質に本発明に係る放射性物質除染剤を散布し、未散布のものと比較して有意に放射性物質レベルが低下するか否かにより評価することができる。 散布を2〜3ヶ月おきに複数回実施するときには、除染率が著しく向上する。 以上に説明する本発明に係る放射性物質除染剤によれば、放射能汚染物質から効果的に放射性物質を除染することができる。また、本発明に係る放射性物質除染剤は、環境に対して有害な影響を与えずに除染に使用することができる。特に、本発明に係る放射性物質除染剤の有効成分である複合微生物(例えば、花まもり菌液)と腐植質(例えば、ミネグリーン)は、それぞれ植物活力液及び肥料として従来より使用されるものであり、本発明に係る放射性物質除染剤は土壌環境(例えば、水田、畑地、宅地、農地、山林、原野等)に対して有害な影響を与えずに除染に使用することができる。本発明によると、複合微生物と腐植質との相乗的作用によって、放射性物質、特に放射性セシウムが無害化されると推定されるが、その機序は明らかでない。 以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。〔実施例1〕放射能除染テスト1 複合微生物(花まもり菌液(株式会社ビーティエヌ製))と腐植質(ミネグリーン(八幡礦業株式会社製))とから放射性物質除染剤を調製し、当該放射性物質除染剤を使用して、以下の放射能除染テストを室内で行った。1. 放射性物質除染剤の調製: 花まもり菌液20ccを、ボカシ肥料(バイオぼかし肥料:株式会社イチムラ製)50gを加えたミネグリーン100gと混合し、60℃で20日間発酵させた。得られた発酵物(150g)を放射性物質除染剤として使用した。2. 放射能除染テストの実験方法: 福島県飯館村の放射能汚染された土壌1.8kgに対して調製した上記放射性物質除染剤(150g)を散布したものと未散布のものとについて、それぞれ3週間後及び3ヶ月後に放射線量を定期的に測定した。 放射線量の測定は、γ線スペクトロメータによる核種測定により行った。3. 放射能除染テストの結果 放射性物質除染剤を散布した各種土壌における放射性セシウム測定の結果を表1〜3に示す。 表1〜3に示すように、各土壌サンプルにおいて、放射性物質除染剤散布後3ヶ月で除染率が80〜90%以上と高かった。また、放射性物質除染剤散布後3週間で、放射性物質除染剤未散布と散布では放射線量に18〜39%の大きな差が見られた。〔実施例2〕放射能除染テスト2 実施例1における花まもり菌液、ボカシ肥料及びミネグリーンをそれぞれ2倍量にして調製した放射性物質除染剤(300g)を、実施例1と同様に放射能汚染された土壌1.8kgに散布した。散布3ヶ月後の土壌における放射性セシウム測定の結果を表4及び5に示す。 表4及び5に示すように、放射性セシウムの除染率が95〜100%となり、本発明に係る放射性物質除染剤を使用した除染方法の有効性が示された。 複合微生物と腐植質とを有効成分として含有する放射性物質除染剤。 複合微生物が乳酸菌、バチルス属細菌、シアノバクテリア及び酵母を含む、請求項1記載の放射性物質除染剤。 腐植質が軟質多孔性古代海洋腐植質である、請求項1又は2記載の放射性物質除染剤。 腐植質が古細菌、メタン菌、真正細菌若しくはそれらの混合菌及び/又はソマチッドを含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の放射性物質除染剤。 放射性物質が放射性セシウムである、請求項1〜4のいずれか1項記載の放射性物質除染剤。 複合微生物を、(i)米糠及び腐植質又は(ii)米糠、糖質及び腐植質と混合し、発酵する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の放射性物質除染剤の製造方法。 請求項1〜5のいずれか1項記載の放射性物質除染剤を放射能汚染物質に散布する工程を含む、放射性物質除染方法。 【課題】放射能汚染物質の除染に有効な放射性物質除染剤を提供する。【解決手段】複合微生物と腐植質とを有効成分として含有する放射性物質除染剤。【選択図】なし


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