生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B1)_皮下組織および皮下脂肪組織増加促進用組成物
出願番号:2012038537
年次:2013
IPC分類:A61K 35/16,A61K 38/00,A61L 27/00


特許情報キャッシュ

山川 謙輔 JP 5186050 特許公報(B1) 20130125 2012038537 20120224 皮下組織および皮下脂肪組織増加促進用組成物 山川 謙輔 508001497 草間 攻 100083301 山川 謙輔 20130417 A61K 35/16 20060101AFI20130328BHJP A61K 38/00 20060101ALI20130328BHJP A61L 27/00 20060101ALI20130328BHJP JPA61K35/16A61K37/02A61L27/00 U CAPLUS, MEDLINE, BIOSIS, EMBASE /STN JSTPLUS, JMEDPLUS/ JDREAM II 特開2009−235004(JP,A) 「2010/04/08 PPP注入療法(プラズマジェル)の海外視察情報,自己血血小板血漿フィラー生成装置 ZeroThermについて」,株式会社イリョーキHP,過去の記事一覧,[online],[検索日 平成24年11月1日],インターネット<http://www.iryoki.co.jp/news100408.html> 「PPP注入療法ガイド」,[online],[検索日 平成24年11月1日],インターネット<http://www.ppp−therapy.com/> 7 11 20120418 2012017926 20120913 今村 玲英子 天野 貴子 渕野 留香 本発明は、本発明は、乳腺周囲などに皮下組織または脂肪組織を生成、増加させることにより、乳房などの皮下に皮下組織、脂肪組織の蓄積、増大を図る皮下組織増加促進用組成物に関する。 女性の乳房は、主に乳腺と脂肪組織より構成されており、乳房の容量は個人差が大きい上、体重の増減などにより容易に変動し、健常な女性では、乳房の容量(大きさ)は、脂肪組織の容量に依存して変動することが知られている。 脂肪組織を構成している脂肪細胞にあっては、身体部位により脂肪代謝が異なることが明らかにされており、なかでも乳房は、下腿部などと比較して、脂肪合成作用が低い上、脂肪分化作用が高い特徴があるため、豊かな乳房を維持するためには、脂肪細胞における脂肪合成を促進させ、脂肪組織の増大、蓄積を促し、加えて、皮下組織を増大させて重量のある乳房が下垂することを阻止することが望ましい。 しかしながら、これらを解決する、満足する皮下組織用組成物、皮下脂肪組織用組成物である豊胸用組成物は、未だ見出されていないのが現状である。 一方、女性にとって、容姿の美容の目的で、豊かな乳房を保つことの要望が大きく、そのための豊胸手術は、古くから種々行われてきていた。 美容の目的で健常な乳房に豊胸術が施されたのは1950年代にアメリカで最初に行われており、パラフィンやシリコンジェルを乳房の皮下に直接注入する方法であった。しかしながら、この方法では、注入したパラフィンやシリコンジェルにより、組織の壊死などの合併症・後遺症が多く発生する問題があった。 その後、シリコン製の袋(バッグ)にシリコンジェルを詰めた乳房インプラントが開発され、さらに、シリコンに代わる生理食塩水入りのバッグが誕生して、美容目的で胸部に挿入する豊胸術が広く行われるようになった。 しかしながら、胸部に挿入したバッグの破損による変形や、漏出した場合の健康被害などの問題が表面化し、アメリカにおいては、食品医薬品局(FDA)は、シリコンジェルバッグの使用を一時停止し、その後は、シリコンジェルバッグに代わって、生理食塩水バッグが広く普及した。 さらに、1995年代には、生理食塩水に高分子ポリマーを加えたハイドロジェルバッグが誕生したが、フランス並びにイギリスの両国では、長期使用による安全性が問題視され、使用が禁止となった。2000年に入り、FDAはアメリカ国内においての生理食塩水バッグの使用を許可し、その後コヒーシブシリコン(cohesive silicon)など粘度性が高く、漏出時の危険が少ない素材が開発され、2006年には、シリコンジェルバッグの使用も許可されるに至った。 なお、日本においては、厚生労働省は、その他の乳房インプラントを含めて、いずれの乳房インプラントについても薬事承認をしておらず、それらの安全性に関しては、保障していない。 一方、乳房インプラントに代わるものとして、乳房への脂肪移植(脂肪注入)術が、1980年代初頭から行われるようになってきているが、バストアップ効果が不十分なことや、石灰化した場合には乳癌診断の妨げになるなどの障害があり、否定的な意見も多い。近年では、脂肪移植技法がより発達しており、注入した脂肪が壊死したり、石灰化したりするリスクは低減しものの、脂肪移植技法によるリスクが全く無くなった訳ではない。 また、その他豊胸に関する種々の提案が多くなされており、最近に至り発展した豊胸方法として、ヒアルロン酸注入法が注目を浴びている。 このヒアルロン酸の乳房への注入は、注入したヒアルロン酸により豊胸を達成しようというものであって、手軽に行える点から、プチ豊胸とも呼ばれている。しかしながら、その効果は一時的なものであって、ヒアルロン酸が体内に吸収された場合には、豊胸のため、再度注入が必要となる。 ただ、ヒアルロン酸の乳房への注入では、乳癌検診では診断の障害になり、注入されたヒアルロン酸は真黒な、多数の嚢胞(のう胞)と診断されることが多い。これは繰り返し行われるヒアルロン酸の注入による皮下組織化という現象であり、ヒアルロン酸注入法では、このヒアルロン酸の皮下組織化が問題になっており、皮下組織に注入され体内に吸収されないで残ったヒアルロン酸は異物として感じられ、注入したヒアルロン酸を含め乳腺・乳腺周囲組織の摘出術をうける患者も少なくなく、今後はさらに、社会問題化してくるものと思われる また、その他、コラーゲンを有効成分とする豊胸剤(特許文献1)、或いは骨芽細胞および軟骨細胞からなる群から選ばれる少なくとも1種の細胞とゲル材料もしくは生体内でゲル化可能なゲル前駆体材料を含む、豊胸処置ための移植材料(特許文献2)なども提案されているが、注入されるコラーゲン自体は、生合成品、或いは異種動物(ウシ、ブタ)由来のものであり、ヒアルロン酸により生体アレルギー反応を生じやすく、しわ取り等に使用されている実績はあるものの、豊胸のための乳房への注入は、完全に安全なものといえない問題がある。 また、植物成分を含有する豊胸促進剤(特許文献3)、貝類より抽出して得られる抽出物に豊胸を促進する成分が多いことから、これらを有効成分とする豊胸剤(特許文献4)などが提案されているが、いまだ豊かな乳房を維持するための脂肪細胞における脂肪合成を促進させ、脂肪組織の増大、蓄積を促す豊胸剤は登場していないのが現状である。 ところで、最近に至り、自己由来の白血球を含有する多血小板血漿(PRP: Plate Rich Plasma)と、成長因子(GF: Growth Factor)を組み合わせ混合注入することにより、細胞組織増加促進による肌問題改善方法が提案されている(特許文献5)。この肌問題改善は、肌のしわ、たるみなど、主として老化によって生じる肌の乾燥や、弾力の低下を改善することを目的としたもので、例えば豊胸術にも適用の余地があるとされているが、PRPとして分離される血漿は採血した血液量の十分の一から二十分の一程度であり、40mLのPRPを得ようとすれば最大400〜800mLの血液が必要である。したがって、利用できるPRPはせいぜい数mLからよくて40mLであり、数十から数百mLを必要とする豊胸には実用的でなく、このPRPによる豊胸方法が、豊胸に効果的なものであるかは一切検討されていない。 本発明者は、かかる現状下のもとに、自己由来の血液成分の中でも、その半数を占める液体成分である血漿に着目し、血漿と、成長因子のなかでも塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)を組み合わせて乳房の皮下組織に注入しれやれば、血漿中に含まれるタンパク質をはじめとする脂質、ブドウ糖、ホルモン、特に脂質がb−FGFの作用と相俟って、乳房の皮下に皮下組織の蓄積、増大を図ることができ、また血漿として脂質が不十分な場合には、人工脂質(脂肪)を補充することで、極めて効果的に乳房の皮下に脂肪組織の蓄積、増大が図れ、豊胸効果が得られることを確認し、本発明を完成させるに至った。特開2008−044890号公報特開2007−130118号公報特開2000−302667号公報特開2011−012030号公報特開2009−235004号公報 しかして本発明は、従来の豊胸術で使用されていた乳房インプラント、例えば、コヒーシブシリコン(cohesive silicon)、或いはシリコンジェルバッグにより懸念される破裂、発癌の可能性を回避し、また、ヒアルロン酸注入で生じるヒアルロン酸の皮下組織化による硬結を回避して、乳腺周囲に脂肪組織を生成、増加させることにより、乳房の皮下に皮下組織、脂肪組織の蓄積、増大を図る、安全で自然な方法による自己組織の回復、容貌の回復が得られる皮下組織および/または皮下脂肪組織増加促進用組成物である豊胸用組成物、豊胸方法を提供することを課題とし、また、乳房以外でも皮下組織および/または脂肪組織の増加促進図ることを課題としている。 かかる課題を解決するため、基本的態様としての本発明は、自己由来の血漿、及び塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)を含有してなることを特徴とする皮下組織増加促進用組成物である。 具体的には、本発明は、皮下組織が皮下細胞組織および/または皮下脂肪組織である上記の皮下組織増加促進用組成物である。 さらに具体的には、本発明は、さらに脂肪を含有した皮下組織増加促進用組成物であり、当該脂肪が、脂肪乳剤の形態にあり、脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である皮下組織増加促進用組成物である。 最も具体的には、本発明は、豊胸のために使用する上記の皮下組織増加促進用組成物からなる豊胸用組成物である。 また、本発明は別の態様として、上記した皮下組織増加促進用組成物を皮下に注入してなる皮下組織増加促進方法であり、具体的には、それらの皮下組織増加促進用組成物からなる豊胸用組成物を皮下に注入してなることを特徴とする豊胸方法である。 さらに本発明は、別の態様として、上記した皮下組織増加促進用組成物からなる皮下組織増加促進組成物の注入ユニットであり、具体的には、豊胸のための、自己由来の血漿、及び塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)からなる豊胸用組成物からなる注入ユニットである。 より具体的には、さらに脂肪を含有した豊胸用組成物からなる注入ユニットであり、脂肪が、脂肪乳剤の形態にあり、具体的には、脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である豊胸用の注入ユニットである。 本発明により、これまで行われていた乳房インプラントの挿入による豊胸術、例えば、コヒーシブシリコン(cohesive silicon)、或いはシリコンジェルバッグによる豊胸術で懸念されるバッグの破裂、それによる発癌の可能性を回避し、また、ヒアルロン酸注入で生じるヒアルロン酸の皮下組織化による硬結を回避し、安全で自然な方法による皮下組織用増加促進用の組成物が提供され、特に、豊胸においてはその効果が顕著に得られる皮下脂肪組織用組成物である豊胸用組成物が提供される。 本発明が提供する皮下組織増加促進用組成物は、局所的に皮下組織形成を促進し、また、脂肪細胞における脂肪合成を促進させ、皮下の細胞組織および/または脂肪組織を生成、増加させることにより、自然な方法による自己組織の回復、容貌の回復が得られるものである。 本発明が提供する皮下組織増加促進用組成物は、特に、乳房の脂肪組織の生成、増加させることにより、乳房の皮下における皮下細胞組織および/または皮下脂肪組織の蓄積、増大を図り、自然な方法による自己組織の回復、容貌の回復が得られるものであって、安全な手段による豊胸用組成物、豊胸方法が提供される点で、医療上の効果は多大なものでる。本発明の皮下組織増加促進用組成物である豊胸用組成物を用いた、実際の豊胸術の一例(実施例2:症例1)の結果を示した図である。本発明の皮下組織増加促進用組成物である豊胸用組成物を用いた、実際の皮下組織形成、豊胸術の他の一例(実施例3:症例2)の結果を示した図である。本発明の皮下組織増加促進用組成物である豊胸用組成物を用いた、実際の皮下組織形成、豊胸術の別の一例(実施例4:症例3)の結果を示した図である。本発明の皮下組織増加促進用組成物である豊胸用組成物を用いた症例1〜3の、被験者のブラジャーサイズの変化を示した図である。 本発明は、上記したように、その基本的態様は、自己由来の血漿、及び塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)を含有してなることを特徴とする皮下組織増加促進用組成物である。 本発明において増加、促進させる皮下組織は、皮下細胞組織および/または皮下脂肪組織である。 したがって、本発明は、乳房の皮下細胞組織および/または皮下脂肪組織の増加促進を図る点で、豊胸においては豊胸用組成物でもある。 以下に、本発明を、乳房の豊胸における豊胸用組成物を中心に説明していくが、本発明が目的とする、乳房以外の他の皮下組織の増加促進による美容整容にあっても、同様である。 自己由来の血漿としては、自己の血液を採取し、常法、遠心分離して得た血漿であり、血液の約55%を占める液体成分である。 その成分は、タンパク質をはじめ、非タンパク窒素、脂質、ブドウ糖、ホルモン、抗体など多くの有機成分を含んでおり、血漿には体内の予備タンパクとしての栄養的意義だけでなく、血液や体液の量の調節、血液凝固因子、血液に粘度を与えて血圧を調製、結合した物質の運搬、免疫への関係その他、多くの役割を担っている血液成分である。 具体的には、本発明の豊胸用組成物を用いて豊胸を行おうとするヒトの血液(自己血液)を採取し、最大4,000rpm、好ましくは3,000〜4,000rpmの範囲内で遠心分離して血漿を分離し、抗凝固薬であるヘパリン、またはクエン酸を添加し、ゲル状の自己由来の血漿を調製することができる。 本発明が提供する豊胸用組成物にあっては、かかる自己由来の血漿を、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF:basic fibroblast growth factor)と併用させた、組成物である。 塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)は、線維芽細胞の増殖を著しく促進するタンパク質として見出され、その後、in vitroにおいて線維芽細胞の増殖を促進するのみならず、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、上皮細胞などの種々の細胞に対してもその増殖や遊走、分化に対する促進作用を有することが明らかにされてきた因子である。 その作用機序は、血管内皮細胞、線維芽細胞等に存在するFGF受容体に特異的に結合して血管新生作用や肉芽形成促進作用を示す因子であり、創傷治癒過程の増殖期において、臓器の形成の重要な役割を果たす結合繊細胞である線維芽細胞を増殖させると共に、再構築に至る過程ではアポトーシスを促進することで、線維芽細胞の数を減らし、瘢痕を軽徴化させることより、臨床的には、褥瘡・皮膚潰瘍治療薬として使用されている。 本発明にあっては、ヒト由来塩基性線維芽細胞成長因子ゲノム遺伝子の発現により、組換え体で産生される、遺伝子組換え塩基性線維芽細胞増殖因子として臨床的に使用されているもの、具体的には「トラフェルミン」の一般名で、科研製薬(株)より「フィブラスト(登録商標)スプレー」の販売名で上市されているものをそのまま使用することができる。 本発明が提供する豊胸用組成物にあっては、上記した自己由来の血漿と、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)を併用した皮下組織増加促進用組成物であり、当該組成物からなる豊胸用組成物を乳房の乳腺と大胸筋膜の間に投与することで、乳腺周囲に脂肪組織を生成、増加させ、乳房の皮下に脂肪組織の蓄積、増大が図られるが、より脂肪組織を生成、増加させるために、必要であれば脂肪を同時に投与するのが好ましい。 そのような脂肪としては、生体内に投与された場合に生体適合性のある脂肪が挙げられ、具体的には、精製ダイズ油、綿実油、サフラワー油、トウモロコシ油、ヤシ油、エゴマ油、アマニ油等の植物油やイワシ油、タラ肝油等の魚油等の必須脂肪酸源としての長鎖脂肪酸トリグリセリド(LTC)(好ましくは長鎖脂肪酸の炭素数は11〜24)、及び易吸収性、易燃焼性、難蓄積性を特徴とするトリグリセリド、例えば、商品名パナセート(日本油脂(株)製)、商品名ODO(日清製油(株)製)等の通常炭素数8〜10の脂肪酸からなる中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)をその代表例として例示することができる。 この脂肪は、好ましくは脂肪乳剤の形態で投与され、具体的には、上記した精製ダイズ油等の油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である。 例えば、通常調製される水中油型乳剤中に油脂濃度として0.5〜30v/v%程度、好ましくは0.5〜20v/v%、より好ましくは0.5〜10v/v%となる範囲で配合されるのが好適である。なお、この投与量に限定されるものではなく、適宜増減してもよいことはいうまでもない。 上記油脂を乳化分散させるための乳化剤としては、例えば、精製卵黄レシチン、水素添加卵黄レシチン、大豆レシチン、水素添加大豆レシチン等のリン脂質や合成界面活性剤(例えば、ツイーン80、HCO−60(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)、プルロニックF68等の市販品)等の一般によく用いられている乳化剤が使用できる。これらはその1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を併用することもできる。 そのような脂肪乳剤としては、例えば、フレゼニウス カービ ジャパン(株)から静注用脂肪乳剤として提供されている「イントラピリッド(登録商標)輸液」製剤を、好ましく使用することができる。 この「イントラピリッド(登録商標)」は、精製ダイズ油を、添加剤として精製卵黄レシチン(乳化剤)、濃グリセリン(等張化剤)、及び水酸化ナトリウム(pH調節剤)を用いて乳化した、栄養補給剤としての水中油型脂肪乳剤である。 本発明が提供する豊胸用組成物にあっては、その組成物として、一回の豊胸処置において、50〜200mL/回の投与量で投与し、投与後の乳房増大効果を観察しながら、数回、好ましくは10回程度の豊胸措置のための投与を行うのがよい。また、投与間隔は約1か月から3か月に1回の処置が望ましい。 自己由来の血漿の投与量としては、25〜100mL/回であり、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)の投与量としては、上記した「トラフェルミン」を2.5〜5μg/mL/回であり、脂肪については、その乳房増大効果を観察しながら、例えば、精製ダイズ油として0〜0.2g/mL/回であるのが好ましい。 なお、この投与量は、一般的な乳房増大効果が得られる投与量であり、この投与量に限定させるものではなく、適宜増減しても良いことはいうまでもない。 以上により提供される本発明の皮下組織増加促進用組成物からなる豊胸用組成物は、乳房の乳腺と大胸筋膜の間に投与されることで、乳腺周囲に脂肪組織を生成、増加させ、乳房の皮下に脂肪組織を生成、増加させることにより、目的とする豊胸が達成される。また、胸部以外においても皮下組織増加促進用組成物としてヒト肌における皮下組織の形成をうながし、美容整容的に用いることができる。 したがって、本発明はまた別の態様として、本発明の皮下組織増加促進用組成物からなる豊胸用組成物を用いた豊胸方法を提供するものであり、さらに豊胸方法における豊胸用組成物の注入ユニット、すなわち、自己由来の血漿、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)、さらに必要に応じて脂肪を併用した組合せによる皮下組織増加促進用組成物からなる豊胸用組成物の注入ユニットを提供するものでもある。また、胸部以外においても皮下組織増加促進用組成物としてヒト肌における皮下組織の形成をうながす注入ユニットを提供するものでもある。 なお、豊胸用組成物の注入ユニットにおける、自己由来の血漿、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)、並びに必要に応じて添加する脂肪の投与単位量は、上記で説明した投与量の範囲で適宜設定されるものである。 以下に、本発明について、皮下組織増加促進用組成物、ならびに該組成物からなる豊胸用組成物の具体的な調製方法、並びに当該豊胸用組成物を用いた豊胸術の実際を説明することにより、さらに詳細に説明する。 ただし、本発明はこれらのものに限定させるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変法を行うことができ、かかる変法も、本願発明に包含されるものであることはいうまでもない。実施例1:皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の調製<自己由来血漿の調製> 採血は、ヘパリンナトリウム(10単位/mL)2.5mLをシリンジ容積50ccのシリンジに加え、50mLの血液を採血し、総量として、220〜300mLの血液を採取した。採血した血液を遠心分離(KUBOTA 2420、KUBOTA RS-240(ローター)の組み合わせ:4,000rpm/10分間)して、血漿を分離した。 分離した血漿を、50ccのシリンジに25mL採取して、ヘパリン加血漿を得た。 自己由来の加熱血漿を得る場合には、ヘパリン加血漿を得た後に、ドライサーモユニット(TAITEC CorporationのDry Thermo Unit DTU-1C)を用いてヘパリン加血漿を100℃にて10分間血漿の加熱処理を行い、その後に、急速に冷却した。その結果、ゲル状の自己由来の加熱血漿を得た。<皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の調製> トラフェルミン(登録商標)製剤(遺伝子組み換え塩基性繊維芽細胞成長因子:b−FGF:科研製薬)を、添付された溶液にて溶解し、トラフェルミン濃度として濃度が2.5μg/mLとなるように混和した。この溶液を上記で得られた非加熱または加熱血漿(25mL)と混和し、必要に応じて、次いで、脂肪乳剤としてイントラリピッド(登録商標)輸液20%(フレゼニウス カービ ジャパン製)を各シリンジに25mL加えて、総量として50mLの、自己由来の血漿、塩基性繊維芽細胞成長因子(b−FGF)、脂肪乳剤の混合液からなる本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を調製した。 イントラリピッドを加えない場合は、ヘパリン加血漿50mLを50ccのシリンジに採取して、トラフェルミン濃度として、濃度が2.5μg/mLとなるように混和した。 なお、トラフェルミン(登録商標)製剤の添加濃度を2.5μg/mLから5.0μg/mLに変化させたり、脂肪乳剤(イントラリピッド(登録商標)輸液)を添加したりしない等、種々の条件で、また別の本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を調製した。 以下に、上記の実施例に準じて得た本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を用いた、実際の臨床例を説明する。 なお、以下の臨床例において、自己由来の血漿以外の塩基性繊維芽細胞成長因子:b−FGF)としては、「トラフェルミン」を、脂肪乳剤として「イントラリピッド」を使用した。実施例2:具体的な皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の投与例(症例1) 事前に十分なインフォームドコンセントを行い、同意を得た45歳女性に対して、本発明の豊胸用組成物を投与し、豊胸の効果を確認した。 上記実施例1に準じて調製した皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を用い、5回にわたり、トラフェルミン、イントラリピッド(脂肪乳剤)、ヘパリン添加自己由来の血漿の混合液を、乳腺と大胸筋膜の間に投与した。 1回から3回目までは片側50mL、総量100mLを、4回と5回目は片側100mL、総量200mLを投与した。脂肪乳剤濃度は50v/v%で、トラフェルミン濃度は2.5μg/mLとした。 その結果を、図1に示した。 図中に示した結果から明らかなように、片側50mLのトラフェルミン、脂肪乳剤(イントラリピッド)、ヘパリン添加自己由来の血漿の混合液投与では、トップバストの長さは1.5cm前後しか増大しなかったが、その後の片側100mLのその混合溶液を投与することにより、2.5cm前後、トップバストの長さが増大した。 この結果から、本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物投与による乳房増大効果は、投与する本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の投与量に関係して、増減することが判明した。実施例3:具体的な皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の投与例(症例2) 事前に十分なインフォームドコンセントを行い、同意を得た36歳女性に対して、本発明の豊胸用組成物を投与し、豊胸の効果を確認した。 第一に、本発明の豊胸用組成物を構成するトラフェルミン、脂肪乳剤(イントラリピッド)、ヘパリン添加自己由来の血漿の混合液において、どの因子が必要であるかを確かめた。 まず、脂肪乳剤(イントラリピッド)を除いた、トラフェルミン、及びヘパリン添加自己由来の血漿の混合液からなる本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を3回投与した。その結果、トップバスト長の増加は約1.1cmであった。 次いで、4回目、5回目の投与に際して、50v/v%濃度の脂肪乳剤(イントラリピッド)を更に加えた皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物して投与を行った。なお、4回目の本発明の豊胸用組成物の投与においては、トラフェルミンの濃度を2.5μg/mLとし、5回目の投与にあたっては、5.0μg/mLとした。 その結果、4回目の投与後におけるトップバスト長の増加は、約2.4cmであり、5回目の投与後におけるトップバスト長の増加は4.1cmであった。 その結果を、図2に示した。 図中に示した結果からも判明するように、乳房の体積増加は、自己由来の血漿と、トラフェルミンの組み合わせに基づく本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の投与でも生じたが、その増加は少ないものであり、これに脂肪乳剤(イントラリピッド)を加えることにより、乳房の体積増加効果は増大した。 この事実から、本発明の豊胸用組成物である自己由来のヘパリン添加血漿と、トラフェルミン、および脂肪乳剤(イントラリピッド)の混合液に乳房の体積増加(トップバスト長の増加)には、脂肪乳剤(イントラリピッド)に依存する皮下組織増加促進組成物よりなる部分と、トラフェルミン、および自己由来のヘパリン添加血漿に依存する皮下組織増加促進組成物よりなる部分があるものと認められた。 また、ヘパリン添加自己由来血漿に依存するトップバスト長の増大は、トラフェルミン濃度の増加よって、正に刺激され、増大することが判明した。実施例4:具体的な皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の投与例(症例3) 40歳女性。本人から自己由来の加熱血漿を用いて豊胸をしたいとの希望を受け、事前に十分なインフォームドコンセントを行い、同意を得て、本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を投与し、豊胸の効果を確認した。 3回にわたり実施例1に準じて調製した、自己由来のヘパリン添加・加熱血漿と、トラフェルミン、および脂肪乳剤(イントラリピッド)の混合液からなる豊胸用組成物を片側50mL、総量100mL投与したが、トップバスト長に変化はなかった。 被験者の血漿に問題があるかという疑問を否定すべく、4〜6回目においては、脂肪乳剤を除いた、トラフェルミン、および自己由来のヘパリン添加・非加熱血漿の混合液100mLを投与すると、上記の症例2(実施例3)と同じように、1cm前後の脂肪乳剤非依存性のトップバスト長の増大が観察された。 そこで、7回目及び8回目に、自己由来のヘパリン添加・非加熱血漿と、トラフェルミン、および脂肪乳剤(イントラリピッド)の混合液からなる本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を片側50mL、総量100mL投与した結果、トップバスト長に3cmの増大が見られた。 なお、この症例においては、トラフェルミンの濃度は、2.5μg/mLであり、脂肪乳剤(イントラリピッド)濃度は、50v/v%であった。 その結果を、図3に示した。 以上の実施例2〜4(症例1〜3)における、被験者のブラジャーサイズの変化を図4に示した。 各症例において、ブラジャーのサイズが2〜4サイズ増大していた。 以上説明したように、本発明により、これまで行われていた乳房インプラントの挿入による豊胸術、或いは、ヒアルロン酸注入等による豊胸において、発生していた問題点を回避し、安全で自然な方法による豊胸効果が得られる豊胸用組成物が提供される。 本発明が提供する皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物は、皮下組織形成の促進と脂肪細胞における脂肪合成を促進させ、乳房の脂肪組織の生成、増加させることにより、乳房の皮下に脂肪組織の蓄積、増大を図り、自然な方法による自己組織の回復、容貌の回復が得られる。 したがって、豊胸においては安全な手段による皮下組織および/または皮下脂肪組織の増加促進による豊胸用組成物、豊胸方法が提供される点で本発明の産業上の利用性は多大なものでる。 自己由来の血漿、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)及び脂肪乳剤を含有してなることを特徴とする皮下組織増加促進用組成物。 皮下組織が皮下細胞組織および/または皮下脂肪組織である請求項1に記載の皮下組織増加促進用組成物。 脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である請求項1又は2に記載の皮下組織増加促進用組成物。 豊胸のために使用する請求項1〜3のいずれかに記載の皮下組織増加促進用組成物からなることを特徴とする豊胸用組成物。 請求項1〜4にいずれかに記載の皮下組織増加促進用組成物からなることを特徴とする皮下組織増加促進組成物の注入ユニット。 豊胸のための、自己由来の血漿、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)及び脂肪乳剤からなることを特徴とする豊胸用組成物からなる注入ユニット。 脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である請求項6に記載の注入ユニット。【課題】 乳腺周囲に脂肪組織を生成、増加させることにより、乳房の皮下に脂肪組織の蓄積、増大を図る、安全で自然な方法による自己組織の回復、容貌の回復が得られる皮下組織増加促進組成物よりなる、特に豊胸用組成物、豊胸方法を提供すること。【解決手段】 自己由来の血漿、及び塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)を含有してなることを特徴とする皮下組織増加促進組成物、特に豊胸用組成物であり、さらに脂肪を含有した上記の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物であり、具体的には、脂肪が、脂肪乳剤の形態にあって、当該脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である上記の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物、および該組成物を用いた豊胸方法であり、また、当該豊胸用組成物の注入ユニットである。【選択図】 図4


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公開特許公報(A)_皮下組織および皮下脂肪組織増加促進用組成物

生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_皮下組織および皮下脂肪組織増加促進用組成物
出願番号:2012038537
年次:2014
IPC分類:A61K 35/16,A61K 38/00,A61P 17/00,A61L 27/00,A61K 31/22,A61K 9/10,A61K 8/98,A61K 8/64,A61Q 19/00,A61K 8/37,A61K 8/06


特許情報キャッシュ

山川 謙輔 JP 2014131964 公開特許公報(A) 20140717 2012038537 20120224 皮下組織および皮下脂肪組織増加促進用組成物 山川 謙輔 508001497 草間 攻 100083301 山川 謙輔 5186050 20130417 A61K 35/16 20060101AFI20140620BHJP A61K 38/00 20060101ALI20140620BHJP A61P 17/00 20060101ALI20140620BHJP A61L 27/00 20060101ALI20140620BHJP A61K 31/22 20060101ALI20140620BHJP A61K 9/10 20060101ALI20140620BHJP A61K 8/98 20060101ALI20140620BHJP A61K 8/64 20060101ALI20140620BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20140620BHJP A61K 8/37 20060101ALI20140620BHJP A61K 8/06 20060101ALI20140620BHJP JPA61K35/16A61K37/02A61P17/00A61L27/00 UA61K31/22A61K9/10A61K8/98A61K8/64A61Q19/00A61K8/37A61K8/06 7 4 OL 13 4C076 4C081 4C083 4C084 4C087 4C206 4C076AA16 4C076BB16 4C076CC18 4C081AB11 4C081BA17 4C081BB06 4C081CD11 4C081CD34 4C081CE11 4C081DA14 4C081EA02 4C083AA071 4C083AA072 4C083AC421 4C083AC422 4C083AD411 4C083AD412 4C083CC02 4C083DD31 4C083EE07 4C083EE12 4C084AA01 4C084AA02 4C084BA44 4C084DB54 4C084MA22 4C084MA66 4C084NA14 4C084ZA89 4C087AA01 4C087AA02 4C087BB35 4C087MA22 4C087MA66 4C087NA14 4C087ZA89 4C206AA01 4C206AA02 4C206DB01 4C206MA02 4C206MA03 4C206MA04 4C206MA42 4C206MA86 4C206NA14 4C206ZA89 本発明は、本発明は、乳腺周囲などに皮下組織または脂肪組織を生成、増加させることにより、乳房などの皮下に皮下組織、脂肪組織の蓄積、増大を図る皮下組織増加促進用組成物に関する。 女性の乳房は、主に乳腺と脂肪組織より構成されており、乳房の容量は個人差が大きい上、体重の増減などにより容易に変動し、健常な女性では、乳房の容量(大きさ)は、脂肪組織の容量に依存して変動することが知られている。 脂肪組織を構成している脂肪細胞にあっては、身体部位により脂肪代謝が異なることが明らかにされており、なかでも乳房は、下腿部などと比較して、脂肪合成作用が低い上、脂肪分化作用が高い特徴があるため、豊かな乳房を維持するためには、脂肪細胞における脂肪合成を促進させ、脂肪組織の増大、蓄積を促し、加えて、皮下組織を増大させて重量のある乳房が下垂することを阻止することが望ましい。 しかしながら、これらを解決する、満足する皮下組織用組成物、皮下脂肪組織用組成物である豊胸用組成物は、未だ見出されていないのが現状である。 一方、女性にとって、容姿の美容の目的で、豊かな乳房を保つことの要望が大きく、そのための豊胸手術は、古くから種々行われてきていた。 美容の目的で健常な乳房に豊胸術が施されたのは1950年代にアメリカで最初に行われており、パラフィンやシリコンジェルを乳房の皮下に直接注入する方法であった。しかしながら、この方法では、注入したパラフィンやシリコンジェルにより、組織の壊死などの合併症・後遺症が多く発生する問題があった。 その後、シリコン製の袋(バッグ)にシリコンジェルを詰めた乳房インプラントが開発され、さらに、シリコンに代わる生理食塩水入りのバッグが誕生して、美容目的で胸部に挿入する豊胸術が広く行われるようになった。 しかしながら、胸部に挿入したバッグの破損による変形や、漏出した場合の健康被害などの問題が表面化し、アメリカにおいては、食品医薬品局(FDA)は、シリコンジェルバッグの使用を一時停止し、その後は、シリコンジェルバッグに代わって、生理食塩水バッグが広く普及した。 さらに、1995年代には、生理食塩水に高分子ポリマーを加えたハイドロジェルバッグが誕生したが、フランス並びにイギリスの両国では、長期使用による安全性が問題視され、使用が禁止となった。2000年に入り、FDAはアメリカ国内においての生理食塩水バッグの使用を許可し、その後コヒーシブシリコン(cohesive silicon)など粘度性が高く、漏出時の危険が少ない素材が開発され、2006年には、シリコンジェルバッグの使用も許可されるに至った。 なお、日本においては、厚生労働省は、その他の乳房インプラントを含めて、いずれの乳房インプラントについても薬事承認をしておらず、それらの安全性に関しては、保障していない。 一方、乳房インプラントに代わるものとして、乳房への脂肪移植(脂肪注入)術が、1980年代初頭から行われるようになってきているが、バストアップ効果が不十分なことや、石灰化した場合には乳癌診断の妨げになるなどの障害があり、否定的な意見も多い。近年では、脂肪移植技法がより発達しており、注入した脂肪が壊死したり、石灰化したりするリスクは低減しものの、脂肪移植技法によるリスクが全く無くなった訳ではない。 また、その他豊胸に関する種々の提案が多くなされており、最近に至り発展した豊胸方法として、ヒアルロン酸注入法が注目を浴びている。 このヒアルロン酸の乳房への注入は、注入したヒアルロン酸により豊胸を達成しようというものであって、手軽に行える点から、プチ豊胸とも呼ばれている。しかしながら、その効果は一時的なものであって、ヒアルロン酸が体内に吸収された場合には、豊胸のため、再度注入が必要となる。 ただ、ヒアルロン酸の乳房への注入では、乳癌検診では診断の障害になり、注入されたヒアルロン酸は真黒な、多数の嚢胞(のう胞)と診断されることが多い。これは繰り返し行われるヒアルロン酸の注入による皮下組織化という現象であり、ヒアルロン酸注入法では、このヒアルロン酸の皮下組織化が問題になっており、皮下組織に注入され体内に吸収されないで残ったヒアルロン酸は異物として感じられ、注入したヒアルロン酸を含め乳腺・乳腺周囲組織の摘出術をうける患者も少なくなく、今後はさらに、社会問題化してくるものと思われる また、その他、コラーゲンを有効成分とする豊胸剤(特許文献1)、或いは骨芽細胞および軟骨細胞からなる群から選ばれる少なくとも1種の細胞とゲル材料もしくは生体内でゲル化可能なゲル前駆体材料を含む、豊胸処置ための移植材料(特許文献2)なども提案されているが、注入されるコラーゲン自体は、生合成品、或いは異種動物(ウシ、ブタ)由来のものであり、ヒアルロン酸により生体アレルギー反応を生じやすく、しわ取り等に使用されている実績はあるものの、豊胸のための乳房への注入は、完全に安全なものといえない問題がある。 また、植物成分を含有する豊胸促進剤(特許文献3)、貝類より抽出して得られる抽出物に豊胸を促進する成分が多いことから、これらを有効成分とする豊胸剤(特許文献4)などが提案されているが、いまだ豊かな乳房を維持するための脂肪細胞における脂肪合成を促進させ、脂肪組織の増大、蓄積を促す豊胸剤は登場していないのが現状である。 ところで、最近に至り、自己由来の白血球を含有する多血小板血漿(PRP: Plate Rich Plasma)と、成長因子(GF: Growth Factor)を組み合わせ混合注入することにより、細胞組織増加促進による肌問題改善方法が提案されている(特許文献5)。この肌問題改善は、肌のしわ、たるみなど、主として老化によって生じる肌の乾燥や、弾力の低下を改善することを目的としたもので、例えば豊胸術にも適用の余地があるとされているが、PRPとして分離される血漿は採血した血液量の十分の一から二十分の一程度であり、40mLのPRPを得ようとすれば最大400〜800mLの血液が必要である。したがって、利用できるPRPはせいぜい数mLからよくて40mLであり、数十から数百mLを必要とする豊胸には実用的でなく、このPRPによる豊胸方法が、豊胸に効果的なものであるかは一切検討されていない。 本発明者は、かかる現状下のもとに、自己由来の血液成分の中でも、その半数を占める液体成分である血漿に着目し、血漿と、成長因子のなかでも塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)を組み合わせて乳房の皮下組織に注入しれやれば、血漿中に含まれるタンパク質をはじめとする脂質、ブドウ糖、ホルモン、特に脂質がb−FGFの作用と相俟って、乳房の皮下に皮下組織の蓄積、増大を図ることができ、また血漿として脂質が不十分な場合には、人工脂質(脂肪)を補充することで、極めて効果的に乳房の皮下に脂肪組織の蓄積、増大が図れ、豊胸効果が得られることを確認し、本発明を完成させるに至った。特開2008−044890号公報特開2007−130118号公報特開2000−302667号公報特開2011−012030号公報特開2009−235004号公報 しかして本発明は、従来の豊胸術で使用されていた乳房インプラント、例えば、コヒーシブシリコン(cohesive silicon)、或いはシリコンジェルバッグにより懸念される破裂、発癌の可能性を回避し、また、ヒアルロン酸注入で生じるヒアルロン酸の皮下組織化による硬結を回避して、乳腺周囲に脂肪組織を生成、増加させることにより、乳房の皮下に皮下組織、脂肪組織の蓄積、増大を図る、安全で自然な方法による自己組織の回復、容貌の回復が得られる皮下組織および/または皮下脂肪組織増加促進用組成物である豊胸用組成物、豊胸方法を提供することを課題とし、また、乳房以外でも皮下組織および/または脂肪組織の増加促進図ることを課題としている。 かかる課題を解決するため、基本的態様としての本発明は、自己由来の血漿、及び塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)を含有してなることを特徴とする皮下組織増加促進用組成物である。 具体的には、本発明は、皮下組織が皮下細胞組織および/または皮下脂肪組織である上記の皮下組織増加促進用組成物である。 さらに具体的には、本発明は、さらに脂肪を含有した皮下組織増加促進用組成物であり、当該脂肪が、脂肪乳剤の形態にあり、脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である皮下組織増加促進用組成物である。 最も具体的には、本発明は、豊胸のために使用する上記の皮下組織増加促進用組成物からなる豊胸用組成物である。 また、本発明は別の態様として、上記した皮下組織増加促進用組成物を皮下に注入してなる皮下組織増加促進方法であり、具体的には、それらの皮下組織増加促進用組成物からなる豊胸用組成物を皮下に注入してなることを特徴とする豊胸方法である。 さらに本発明は、別の態様として、上記した皮下組織増加促進用組成物からなる皮下組織増加促進組成物の注入ユニットであり、具体的には、豊胸のための、自己由来の血漿、及び塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)からなる豊胸用組成物からなる注入ユニットである。 より具体的には、さらに脂肪を含有した豊胸用組成物からなる注入ユニットであり、脂肪が、脂肪乳剤の形態にあり、具体的には、脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である豊胸用の注入ユニットである。 本発明により、これまで行われていた乳房インプラントの挿入による豊胸術、例えば、コヒーシブシリコン(cohesive silicon)、或いはシリコンジェルバッグによる豊胸術で懸念されるバッグの破裂、それによる発癌の可能性を回避し、また、ヒアルロン酸注入で生じるヒアルロン酸の皮下組織化による硬結を回避し、安全で自然な方法による皮下組織用増加促進用の組成物が提供され、特に、豊胸においてはその効果が顕著に得られる皮下脂肪組織用組成物である豊胸用組成物が提供される。 本発明が提供する皮下組織増加促進用組成物は、局所的に皮下組織形成を促進し、また、脂肪細胞における脂肪合成を促進させ、皮下の細胞組織および/または脂肪組織を生成、増加させることにより、自然な方法による自己組織の回復、容貌の回復が得られるものである。 本発明が提供する皮下組織増加促進用組成物は、特に、乳房の脂肪組織の生成、増加させることにより、乳房の皮下における皮下細胞組織および/または皮下脂肪組織の蓄積、増大を図り、自然な方法による自己組織の回復、容貌の回復が得られるものであって、安全な手段による豊胸用組成物、豊胸方法が提供される点で、医療上の効果は多大なものでる。本発明の皮下組織増加促進用組成物である豊胸用組成物を用いた、実際の豊胸術の一例(実施例2:症例1)の結果を示した図である。本発明の皮下組織増加促進用組成物である豊胸用組成物を用いた、実際の皮下組織形成、豊胸術の他の一例(実施例3:症例2)の結果を示した図である。本発明の皮下組織増加促進用組成物である豊胸用組成物を用いた、実際の皮下組織形成、豊胸術の別の一例(実施例4:症例3)の結果を示した図である。本発明の皮下組織増加促進用組成物である豊胸用組成物を用いた症例1〜3の、被験者のブラジャーサイズの変化を示した図である。 本発明は、上記したように、その基本的態様は、自己由来の血漿、及び塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)を含有してなることを特徴とする皮下組織増加促進用組成物である。 本発明において増加、促進させる皮下組織は、皮下細胞組織および/または皮下脂肪組織である。 したがって、本発明は、乳房の皮下細胞組織および/または皮下脂肪組織の増加促進を図る点で、豊胸においては豊胸用組成物でもある。 以下に、本発明を、乳房の豊胸における豊胸用組成物を中心に説明していくが、本発明が目的とする、乳房以外の他の皮下組織の増加促進による美容整容にあっても、同様である。 自己由来の血漿としては、自己の血液を採取し、常法、遠心分離して得た血漿であり、血液の約55%を占める液体成分である。 その成分は、タンパク質をはじめ、非タンパク窒素、脂質、ブドウ糖、ホルモン、抗体など多くの有機成分を含んでおり、血漿には体内の予備タンパクとしての栄養的意義だけでなく、血液や体液の量の調節、血液凝固因子、血液に粘度を与えて血圧を調製、結合した物質の運搬、免疫への関係その他、多くの役割を担っている血液成分である。 具体的には、本発明の豊胸用組成物を用いて豊胸を行おうとするヒトの血液(自己血液)を採取し、最大4,000rpm、好ましくは3,000〜4,000rpmの範囲内で遠心分離して血漿を分離し、抗凝固薬であるヘパリン、またはクエン酸を添加し、ゲル状の自己由来の血漿を調製することができる。 本発明が提供する豊胸用組成物にあっては、かかる自己由来の血漿を、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF:basic fibroblast growth factor)と併用させた、組成物である。 塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)は、線維芽細胞の増殖を著しく促進するタンパク質として見出され、その後、in vitroにおいて線維芽細胞の増殖を促進するのみならず、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、上皮細胞などの種々の細胞に対してもその増殖や遊走、分化に対する促進作用を有することが明らかにされてきた因子である。 その作用機序は、血管内皮細胞、線維芽細胞等に存在するFGF受容体に特異的に結合して血管新生作用や肉芽形成促進作用を示す因子であり、創傷治癒過程の増殖期において、臓器の形成の重要な役割を果たす結合繊細胞である線維芽細胞を増殖させると共に、再構築に至る過程ではアポトーシスを促進することで、線維芽細胞の数を減らし、瘢痕を軽徴化させることより、臨床的には、褥瘡・皮膚潰瘍治療薬として使用されている。 本発明にあっては、ヒト由来塩基性線維芽細胞成長因子ゲノム遺伝子の発現により、組換え体で産生される、遺伝子組換え塩基性線維芽細胞増殖因子として臨床的に使用されているもの、具体的には「トラフェルミン」の一般名で、科研製薬(株)より「フィブラスト(登録商標)スプレー」の販売名で上市されているものをそのまま使用することができる。 本発明が提供する豊胸用組成物にあっては、上記した自己由来の血漿と、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)を併用した皮下組織増加促進用組成物であり、当該組成物からなる豊胸用組成物を乳房の乳腺と大胸筋膜の間に投与することで、乳腺周囲に脂肪組織を生成、増加させ、乳房の皮下に脂肪組織の蓄積、増大が図られるが、より脂肪組織を生成、増加させるために、必要であれば脂肪を同時に投与するのが好ましい。 そのような脂肪としては、生体内に投与された場合に生体適合性のある脂肪が挙げられ、具体的には、精製ダイズ油、綿実油、サフラワー油、トウモロコシ油、ヤシ油、エゴマ油、アマニ油等の植物油やイワシ油、タラ肝油等の魚油等の必須脂肪酸源としての長鎖脂肪酸トリグリセリド(LTC)(好ましくは長鎖脂肪酸の炭素数は11〜24)、及び易吸収性、易燃焼性、難蓄積性を特徴とするトリグリセリド、例えば、商品名パナセート(日本油脂(株)製)、商品名ODO(日清製油(株)製)等の通常炭素数8〜10の脂肪酸からなる中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)をその代表例として例示することができる。 この脂肪は、好ましくは脂肪乳剤の形態で投与され、具体的には、上記した精製ダイズ油等の油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である。 例えば、通常調製される水中油型乳剤中に油脂濃度として0.5〜30v/v%程度、好ましくは0.5〜20v/v%、より好ましくは0.5〜10v/v%となる範囲で配合されるのが好適である。なお、この投与量に限定されるものではなく、適宜増減してもよいことはいうまでもない。 上記油脂を乳化分散させるための乳化剤としては、例えば、精製卵黄レシチン、水素添加卵黄レシチン、大豆レシチン、水素添加大豆レシチン等のリン脂質や合成界面活性剤(例えば、ツイーン80、HCO−60(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)、プルロニックF68等の市販品)等の一般によく用いられている乳化剤が使用できる。これらはその1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を併用することもできる。 そのような脂肪乳剤としては、例えば、フレゼニウス カービ ジャパン(株)から静注用脂肪乳剤として提供されている「イントラピリッド(登録商標)輸液」製剤を、好ましく使用することができる。 この「イントラピリッド(登録商標)」は、精製ダイズ油を、添加剤として精製卵黄レシチン(乳化剤)、濃グリセリン(等張化剤)、及び水酸化ナトリウム(pH調節剤)を用いて乳化した、栄養補給剤としての水中油型脂肪乳剤である。 本発明が提供する豊胸用組成物にあっては、その組成物として、一回の豊胸処置において、50〜200mL/回の投与量で投与し、投与後の乳房増大効果を観察しながら、数回、好ましくは10回程度の豊胸措置のための投与を行うのがよい。また、投与間隔は約1か月から3か月に1回の処置が望ましい。 自己由来の血漿の投与量としては、25〜100mL/回であり、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)の投与量としては、上記した「トラフェルミン」を2.5〜5μg/mL/回であり、脂肪については、その乳房増大効果を観察しながら、例えば、精製ダイズ油として0〜0.2g/mL/回であるのが好ましい。 なお、この投与量は、一般的な乳房増大効果が得られる投与量であり、この投与量に限定させるものではなく、適宜増減しても良いことはいうまでもない。 以上により提供される本発明の皮下組織増加促進用組成物からなる豊胸用組成物は、乳房の乳腺と大胸筋膜の間に投与されることで、乳腺周囲に脂肪組織を生成、増加させ、乳房の皮下に脂肪組織を生成、増加させることにより、目的とする豊胸が達成される。また、胸部以外においても皮下組織増加促進用組成物としてヒト肌における皮下組織の形成をうながし、美容整容的に用いることができる。 したがって、本発明はまた別の態様として、本発明の皮下組織増加促進用組成物からなる豊胸用組成物を用いた豊胸方法を提供するものであり、さらに豊胸方法における豊胸用組成物の注入ユニット、すなわち、自己由来の血漿、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)、さらに必要に応じて脂肪を併用した組合せによる皮下組織増加促進用組成物からなる豊胸用組成物の注入ユニットを提供するものでもある。また、胸部以外においても皮下組織増加促進用組成物としてヒト肌における皮下組織の形成をうながす注入ユニットを提供するものでもある。 なお、豊胸用組成物の注入ユニットにおける、自己由来の血漿、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)、並びに必要に応じて添加する脂肪の投与単位量は、上記で説明した投与量の範囲で適宜設定されるものである。 以下に、本発明について、皮下組織増加促進用組成物、ならびに該組成物からなる豊胸用組成物の具体的な調製方法、並びに当該豊胸用組成物を用いた豊胸術の実際を説明することにより、さらに詳細に説明する。 ただし、本発明はこれらのものに限定させるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変法を行うことができ、かかる変法も、本願発明に包含されるものであることはいうまでもない。実施例1:皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の調製<自己由来血漿の調製> 採血は、ヘパリンナトリウム(10単位/mL)2.5mLをシリンジ容積50ccのシリンジに加え、50mLの血液を採血し、総量として、220〜300mLの血液を採取した。採血した血液を遠心分離(KUBOTA 2420、KUBOTA RS-240(ローター)の組み合わせ:4,000rpm/10分間)して、血漿を分離した。 分離した血漿を、50ccのシリンジに25mL採取して、ヘパリン加血漿を得た。 自己由来の加熱血漿を得る場合には、ヘパリン加血漿を得た後に、ドライサーモユニット(TAITEC CorporationのDry Thermo Unit DTU-1C)を用いてヘパリン加血漿を100℃にて10分間血漿の加熱処理を行い、その後に、急速に冷却した。その結果、ゲル状の自己由来の加熱血漿を得た。<皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の調製> トラフェルミン(登録商標)製剤(遺伝子組み換え塩基性繊維芽細胞成長因子:b−FGF:科研製薬)を、添付された溶液にて溶解し、トラフェルミン濃度として濃度が2.5μg/mLとなるように混和した。この溶液を上記で得られた非加熱または加熱血漿(25mL)と混和し、必要に応じて、次いで、脂肪乳剤としてイントラリピッド(登録商標)輸液20%(フレゼニウス カービ ジャパン製)を各シリンジに25mL加えて、総量として50mLの、自己由来の血漿、塩基性繊維芽細胞成長因子(b−FGF)、脂肪乳剤の混合液からなる本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を調製した。 イントラリピッドを加えない場合は、ヘパリン加血漿50mLを50ccのシリンジに採取して、トラフェルミン濃度として、濃度が2.5μg/mLとなるように混和した。 なお、トラフェルミン(登録商標)製剤の添加濃度を2.5μg/mLから5.0μg/mLに変化させたり、脂肪乳剤(イントラリピッド(登録商標)輸液)を添加したりしない等、種々の条件で、また別の本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を調製した。 以下に、上記の実施例に準じて得た本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を用いた、実際の臨床例を説明する。 なお、以下の臨床例において、自己由来の血漿以外の塩基性繊維芽細胞成長因子:b−FGF)としては、「トラフェルミン」を、脂肪乳剤として「イントラリピッド」を使用した。実施例2:具体的な皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の投与例(症例1) 事前に十分なインフォームドコンセントを行い、同意を得た45歳女性に対して、本発明の豊胸用組成物を投与し、豊胸の効果を確認した。 上記実施例1に準じて調製した皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を用い、5回にわたり、トラフェルミン、イントラリピッド(脂肪乳剤)、ヘパリン添加自己由来の血漿の混合液を、乳腺と大胸筋膜の間に投与した。 1回から3回目までは片側50mL、総量100mLを、4回と5回目は片側100mL、総量200mLを投与した。脂肪乳剤濃度は50v/v%で、トラフェルミン濃度は2.5μg/mLとした。 その結果を、図1に示した。 図中に示した結果から明らかなように、片側50mLのトラフェルミン、脂肪乳剤(イントラリピッド)、ヘパリン添加自己由来の血漿の混合液投与では、トップバストの長さは1.5cm前後しか増大しなかったが、その後の片側100mLのその混合溶液を投与することにより、2.5cm前後、トップバストの長さが増大した。 この結果から、本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物投与による乳房増大効果は、投与する本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の投与量に関係して、増減することが判明した。実施例3:具体的な皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の投与例(症例2) 事前に十分なインフォームドコンセントを行い、同意を得た36歳女性に対して、本発明の豊胸用組成物を投与し、豊胸の効果を確認した。 第一に、本発明の豊胸用組成物を構成するトラフェルミン、脂肪乳剤(イントラリピッド)、ヘパリン添加自己由来の血漿の混合液において、どの因子が必要であるかを確かめた。 まず、脂肪乳剤(イントラリピッド)を除いた、トラフェルミン、及びヘパリン添加自己由来の血漿の混合液からなる本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を3回投与した。その結果、トップバスト長の増加は約1.1cmであった。 次いで、4回目、5回目の投与に際して、50v/v%濃度の脂肪乳剤(イントラリピッド)を更に加えた皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物して投与を行った。なお、4回目の本発明の豊胸用組成物の投与においては、トラフェルミンの濃度を2.5μg/mLとし、5回目の投与にあたっては、5.0μg/mLとした。 その結果、4回目の投与後におけるトップバスト長の増加は、約2.4cmであり、5回目の投与後におけるトップバスト長の増加は4.1cmであった。 その結果を、図2に示した。 図中に示した結果からも判明するように、乳房の体積増加は、自己由来の血漿と、トラフェルミンの組み合わせに基づく本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の投与でも生じたが、その増加は少ないものであり、これに脂肪乳剤(イントラリピッド)を加えることにより、乳房の体積増加効果は増大した。 この事実から、本発明の豊胸用組成物である自己由来のヘパリン添加血漿と、トラフェルミン、および脂肪乳剤(イントラリピッド)の混合液に乳房の体積増加(トップバスト長の増加)には、脂肪乳剤(イントラリピッド)に依存する皮下組織増加促進組成物よりなる部分と、トラフェルミン、および自己由来のヘパリン添加血漿に依存する皮下組織増加促進組成物よりなる部分があるものと認められた。 また、ヘパリン添加自己由来血漿に依存するトップバスト長の増大は、トラフェルミン濃度の増加よって、正に刺激され、増大することが判明した。実施例4:具体的な皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物の投与例(症例3) 40歳女性。本人から自己由来の加熱血漿を用いて豊胸をしたいとの希望を受け、事前に十分なインフォームドコンセントを行い、同意を得て、本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を投与し、豊胸の効果を確認した。 3回にわたり実施例1に準じて調製した、自己由来のヘパリン添加・加熱血漿と、トラフェルミン、および脂肪乳剤(イントラリピッド)の混合液からなる豊胸用組成物を片側50mL、総量100mL投与したが、トップバスト長に変化はなかった。 被験者の血漿に問題があるかという疑問を否定すべく、4〜6回目においては、脂肪乳剤を除いた、トラフェルミン、および自己由来のヘパリン添加・非加熱血漿の混合液100mLを投与すると、上記の症例2(実施例3)と同じように、1cm前後の脂肪乳剤非依存性のトップバスト長の増大が観察された。 そこで、7回目及び8回目に、自己由来のヘパリン添加・非加熱血漿と、トラフェルミン、および脂肪乳剤(イントラリピッド)の混合液からなる本発明の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物を片側50mL、総量100mL投与した結果、トップバスト長に3cmの増大が見られた。 なお、この症例においては、トラフェルミンの濃度は、2.5μg/mLであり、脂肪乳剤(イントラリピッド)濃度は、50v/v%であった。 その結果を、図3に示した。 以上の実施例2〜4(症例1〜3)における、被験者のブラジャーサイズの変化を図4に示した。 各症例において、ブラジャーのサイズが2〜4サイズ増大していた。 以上説明したように、本発明により、これまで行われていた乳房インプラントの挿入による豊胸術、或いは、ヒアルロン酸注入等による豊胸において、発生していた問題点を回避し、安全で自然な方法による豊胸効果が得られる豊胸用組成物が提供される。 本発明が提供する皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物は、皮下組織形成の促進と脂肪細胞における脂肪合成を促進させ、乳房の脂肪組織の生成、増加させることにより、乳房の皮下に脂肪組織の蓄積、増大を図り、自然な方法による自己組織の回復、容貌の回復が得られる。 したがって、豊胸においては安全な手段による皮下組織および/または皮下脂肪組織の増加促進による豊胸用組成物、豊胸方法が提供される点で本発明の産業上の利用性は多大なものでる。 自己由来の血漿、及び塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)を含有してなることを特徴とする皮下組織増加促進用組成物。 皮下組織が皮下細胞組織および/または皮下脂肪組織である請求項1に記載の皮下組織増加促進用組成物。 さらに脂肪を含有した請求項1、2または3に記載の皮下組織増加促進用組成物。 脂肪が、脂肪乳剤の形態にある請求項3に記載の皮下組織増加促進用組成物。 脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である請求項4に記載の皮下組織増加促進用組成物。 豊胸のために使用する請求項1〜5のいずれかに記載の皮下組織増加促進用組成物からなることを特徴とする豊胸用組成物。 請求項1〜5にいずれかに記載の皮下組織増加促進用組成物を皮下に注入してなることを特徴とする皮下組織増加促進方法。 請求項6に記載の豊胸用組成物を皮下に注入してなることを特徴とする豊胸方法。 請求項1〜5にいずれかに記載の皮下組織増加促進用組成物からなることを特徴とする皮下組織増加促進組成物の注入ユニット。 豊胸のための、自己由来の血漿、及び塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)からなることを特徴とする豊胸用組成物からなる注入ユニット。 さらに脂肪を含有した請求項10に記載の注入ユニット。 脂肪が、脂肪乳剤の形態にある請求項11に記載の注入ユニット。 脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である請求項12に記載の注入ユニット。 【課題】 乳腺周囲に脂肪組織を生成、増加させることにより、乳房の皮下に脂肪組織の蓄積、増大を図る、安全で自然な方法による自己組織の回復、容貌の回復が得られる皮下組織増加促進組成物よりなる、特に豊胸用組成物、豊胸方法を提供すること。【解決手段】 自己由来の血漿、及び塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)を含有してなることを特徴とする皮下組織増加促進組成物、特に豊胸用組成物であり、さらに脂肪を含有した上記の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物であり、具体的には、脂肪が、脂肪乳剤の形態にあって、当該脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である上記の皮下組織増加促進組成物よりなる豊胸用組成物、および該組成物を用いた豊胸方法であり、また、当該豊胸用組成物の注入ユニットである。【選択図】 図420120725A16333全文3 自己由来の血漿、及び塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)を含有してなることを特徴とする皮下組織増加促進用組成物。 皮下組織が皮下細胞組織および/または皮下脂肪組織である請求項1に記載の皮下組織増加促進用組成物。 さらに脂肪を含有した請求項1または2に記載の皮下組織増加促進用組成物。 脂肪が、脂肪乳剤の形態にある請求項3に記載の皮下組織増加促進用組成物。 脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である請求項4に記載の皮下組織増加促進用組成物。 豊胸のために使用する請求項1〜5のいずれかに記載の皮下組織増加促進用組成物からなることを特徴とする豊胸用組成物。 請求項1〜5にいずれかに記載の皮下組織増加促進用組成物からなることを特徴とする皮下組織増加促進組成物の注入ユニット。 豊胸のための、自己由来の血漿、及び塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)からなることを特徴とする豊胸用組成物からなる注入ユニット。 さらに脂肪を含有した請求項8に記載の注入ユニット。 脂肪が、脂肪乳剤の形態にある請求項9に記載の注入ユニット。 脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である請求項10に記載の注入ユニット。20121119A16333全文3 自己由来の血漿、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)及び脂肪乳剤を含有してなることを特徴とする皮下組織増加促進用組成物。 皮下組織が皮下細胞組織および/または皮下脂肪組織である請求項1に記載の皮下組織増加促進用組成物。 脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である請求項1又は2に記載の皮下組織増加促進用組成物。 豊胸のために使用する請求項1〜3のいずれかに記載の皮下組織増加促進用組成物からなることを特徴とする豊胸用組成物。 請求項1〜4にいずれかに記載の皮下組織増加促進用組成物からなることを特徴とする皮下組織増加促進組成物の注入ユニット。 豊胸のための、自己由来の血漿、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF)及び脂肪乳剤からなることを特徴とする豊胸用組成物からなる注入ユニット。 脂肪乳剤が、油脂を乳化剤の存在下で乳化した水中油型脂肪乳剤である請求項6に記載の注入ユニット。


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