タイトル: | 公開特許公報(A)_フィルム試料の固定用治具及び固定方法 |
出願番号: | 2012037297 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | G01N 1/28 |
野本 裕香 JP 2013171028 公開特許公報(A) 20130902 2012037297 20120223 フィルム試料の固定用治具及び固定方法 凸版印刷株式会社 000003193 野本 裕香 G01N 1/28 20060101AFI20130806BHJP JPG01N1/28 WG01N1/28 G 5 1 OL 10 2G052 2G052AA18 2G052AD12 2G052AD32 2G052BA15 2G052DA33 2G052EC02 2G052JA04 本発明は、分析試料の固定及びサンプリングに使用する固定用治具に関し、特に静電気により張り付いたり、カールしたりしてしまう、小片で極肉薄なフィルム状試料を固定するための固定用治具に関する。 フィルム試料の、表面形状の観察や計測、硬度の測定、含有成分分析などの分析を行う際には、フィルム試料を分析装置の仕様に応じて0.5〜5cm四方ほどの大きさに断裁加工する必要がある。 その際、断裁加工の対象となるフィルム試料は、表裏に応力差があったり、ロール巻取りの状態で保存されていると、シート状に断裁した時に、フィルム片は筒状に巻いたり、フィルム試料自体が静電気を帯び、周囲のものに張り付いたりしてしまい、傷、汚れ、歪みのない状態で装置試料台に平滑に固定することが難しくなる。 その結果、取付け作業時に、治具や作業者の手等が測定面に接触し、試料を汚染したり、試料の固定が不十分で表面形状や硬度などの測定値に誤差を生じたりといった問題が生じてしまう。 前記試料の固定不良に対する対策として、静電気を発生させる静電気発生部と、発生した静電気を帯電させ試料を吸着面部に固定化させる方法が提案されている(特許文献1)。 より簡素な方法としては、フィルム試料を平滑な状態で保持するために、上面が平滑で湾曲面からなる試料台と開口部となる穴の開いた金属板との間に試料を挟みこむことによって試料を平滑に固定する方法が提案されている(特許文献2)。 また、試料台を、上面部の一部が多孔質材料からなる試料吸着部材からなるチャンバーとし、内部の空気を吸引して試料を吸着し、固定化する装置を備えることが提案されている(特許文献3)。 また、平滑な試料ステージと試料の間に非接着性の液体を少量与えることで試料をホルダーに密着させて、固定化する方法が報告されている(特許文献4)。 しかし、これらの方法は装置ホルダーにあらかじめ、それらの機能を有する構造にしておく必要がある上、微小サイズの試料や裏面が粗面の試料、導電性のある試料、撥水性のある試料など、試料の形態によってはその機能を十分に生かせない場合がある。 尚且つ、試料片を切り出し、ホルダーに試料を設置するまでの工程においては依然として試料の反りや静電気による張り付きの問題が存在し、試料台に試料を設置するまでの試料の取扱いの難しさは変わらず、試料取付けの妨げとなる。特開2000‐346775号公報特開2004‐028614号公報特開2012‐002722号公報特開平9‐178637号公報 本発明は、反り、丸まり、静電気による張り付き等の性質を持つフィルム試料から所定の大きさの試料片を切り出す際に、試料表面を汚すことなく、測定装置ステージに平滑な状態で設置できるようにすることを目的とする。 上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、分析用フィルム試料の表裏を、上下から固定板で挟み、平滑な状態を保持したままフィルムを切り出すためのフィルム試料固定治具であって、フィルム試料の表裏を挟む上下それぞれの固定板が硬磁性材料と強磁性材料の組合せ、又は両方が硬磁性材料の組合せからなることを特徴とするフィルム試料の固定用治具である。 また、請求項2に記載の発明は、前記フィルム試料の表裏を挟む固定板のいずれかが、硬磁性材料を内包した固定板又は強磁性材料を内包した固定板であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム試料の固定用治具である。 また、請求項3に記載の発明は、前記固定板の上下のいずれか一方、又は両方に、試料表面を露出させるための開口部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィルム試料の固定用治具である。 また、請求項4に記載の発明は、分析装置のホルダーに嵌合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム試料の固定用治具である。 また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム試料の固定用治具を用い、フィルムを切り出し、分析装置のホルダーに嵌合することを特徴とするフィルム試料の固定方法である。 フィルム試料の分析において、本願発明のフィルム試料の固定用治具を用いることにより、反り、丸まり、静電気による張り付きといった性質を持つフィルム試料を簡便に固定化でき、切り出し時後分析装置に対して、ホルダー等の加工を施すことなくセットすることを可能にし、試料表面を汚さず分析することができる。本願発明の、アルミ中に硬磁性材料を内包した固定板と強磁性材料からなる固定板を持つフィルム試料の固定治具と、前記固定治具を用いたフィルム試料の採取方法を示した模式斜視図である。本願発明の、アルミ中に硬磁性材料を内包した固定板と強磁性材料からなる固定板を持つフィルム試料の固定治具と、前記固定治具を用いたフィルム試料の採取方法を示した模式断面図である。本願発明の、上下両方に開口部が設けられた、アルミ中に硬磁性材料を内包した固定板と強磁性材料を固定板を持つフィルム試料の固定治具と、前記固定治具を用いたフィルム試料の採取方法を示した模式斜視図である。本願発明の、上下両方に開口部が設けられた、アルミ中に硬磁性材料を内包した固定板と強磁性材料からなる固定板を持つフィルム試料の固定治具と、前記固定治具を用いたフィルム試料の採取方法を示した模式断面図である。本願発明の、下両方に開口部が設けられた、アルミ中に硬磁性材料を内包した固定板と強磁性材料からなる固定板を持つフィルム試料の固定治具を用いて、フィルム試料を分析装置のホルダーに転載した状態を示した模式断面図である。 以下本発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本願発明の、硬・強磁性材料からなる固定板を持つフィルム試料2の固定治具を示しており、硬磁性材料からなる固定板4と、開口部1が設けられた強磁性材料からなる固定板3の間にフィルム試料2を挟み、これにより切り出し対象箇所を保持した状態で試料片の断裁を可能とするものである。 この時、開口部1が設けられた強磁性材料からなる固定板3は、硬磁性材料からなる固定板4でも構わない。硬磁性材料としては、永久磁石など、保磁力が大きいことを特徴とする材料であり、アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石、サマリウム鉄窒素磁石を挙げることができる。 強磁性材料としては、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウム、それらの合金である400系ステンレス等を挙げることができ、前記硬磁性材料に引き付けられる材料である。よって本願発明においては、硬磁性材料を表裏に用いても良い。 固定板の一方又は両方には開口部1を設けることにより、固定板との接触によるフィルム試料2の汚染を防ぐ他、固定板で保持した試料を固定板ごと分析装置に設置し、開口部より露出した試料表面の分析を可能とする。 図2は、硬磁性材料を内包した固定板4と開口部1を設けた強磁性材料からなる固定板3を持つフィルム試料の固定治具を示しており、硬磁性材料を内包した固定板4はアルミ5に覆われた状態を示している。アルミの他、ガラスやプラスチック用いることができ、プラスチック等に内包させることにより、固定板の腐食を防ぎ、さらにフィルム試料2の汚染や傷付きが防止できる。 図3は、上下両方に開口部1が設けられた、硬磁性材料を内包した固定板4を持つフィルム試料2の固定治具を示しており、フィルム試料2を、硬磁性材料を内包した固定板4と強磁性材料からなる固定板3により表裏から挟み、固定治具に沿ってフィルム試料2をカットし、そのまま分析装置にセットすることができる。 図4は、上下両方に開口部1が設けられた、硬磁性材料を内包した固定板4と強磁性材料からなる固定板3との間に、フィルム試料2を固定し、固定治具に沿ってフィルム試料2をカットした状態を示しており、同様に、そのまま分析装置にセットすることができる。 図5は、本願発明の、下両方に開口部1が設けられた、硬磁性材料を内包した固定板4と強磁性材料からなる固定板3を持つフィルム試料の固定治具を用いて、フィルム試料2を分析装置のホルダーに転載した状態を示している。その後、接着剤または粘着テープを貼った試料土台7上に、フィルム試料の固定用治具に固定されたフィルム試料2を貼り付け、切出し、分析装置にセットする。この時、下側固定板の形状をコの字型にすることで、試料転載後の治具の取り外しを容易にすることができる。 これは、固定板磁力が分析結果に影響を及ぼす可能性があるなどの理由により、分析装置が磁気を持った固定板の導入に不適合を示す場合、表裏両方に開口部を設けた固定板を使用し、試料裏面側の開口部より適当な大きさに割断したSiウェハ片などの平滑な板材を試料裏面に張り合わせた後、固定板を取り外すことによって、反りやうねりのない状態でフィルム試料を板材へと転載し、これを測定に用いることができる。 固定板の形状については、フィルム試料の平滑面を得るために固定板表裏面を可能な限り水平にする必要がある。板の厚みに特に制約はないが、固定板ごと分析装置に設置する際、上側に位置する固定板が装置駆動部に対する障害物となったり、固定板を含めた試料厚みが分析装置の対応できる高さを超えたりする場合が想定されるため、可能な範囲で薄く、特に上側に位置する固定板は2mm以下の厚みに抑えることが望ましい。 その他板の外形及び開口部の形状については、固定板の強度を損なわないものであればどのような形状であっても構わない。 固定対象のフィルム試料のすべり性が良く、固定板の磁力のみではフィルムのすべりを抑えきれない場合は、固定板の試料との接触面を粗面にしたり、弱粘着材料を塗布したりすることで保持力を上げてもよい。1・・・開口部2・・・フィルム試料3・・・強磁性材料からなる固定板4・・・硬磁性材料を内包した固定板5・・・アルミ6・・・接着剤又は粘着テープ7・・・試料土台 分析用フィルム試料の表裏を、上下から固定板で挟み、平滑な状態を保持したままフィルムを切り出すためのフィルム試料固定治具であって、フィルム試料の表裏を挟む上下それぞれの固定板が硬磁性材料と強磁性材料の組合せ、又は両方が硬磁性材料の組合せからなることを特徴とするフィルム試料の固定用治具。 前記フィルム試料の表裏を挟む固定板のいずれかが、硬磁性材料を内包した固定板又は強磁性材料を内包した固定板であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム試料の固定用治具。 前記固定板の上下のいずれか一方、又は両方に、試料表面を露出させるための開口部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィルム試料の固定用治具。 分析装置のホルダーに嵌合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム試料の固定用治具。 請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム試料の固定用治具を用い、フィルムを切り出し、分析装置のホルダーに嵌合することを特徴とするフィルム試料の固定方法。 【課題】反り、丸まり、静電気による張り付き等の性質を持つフィルム試料から所定の大きさの試料片を切り出す際に、試料表面を汚すことなく、測定装置ステージに平滑な状態で設置できるようにすることを目的とする。【解決手段】分析用フィルム試料を、表裏から固定板で挟み、平滑な状態を保持したままフィルムの切り出すためのフィルム試料固定治具であって、フィルム試料の表裏を挟む固定板が硬磁性材料と強磁性材料、又は両方が硬磁性材料からなること。【選択図】図1