タイトル: | 公開特許公報(A)_ガラクトマンナンの製造方法 |
出願番号: | 2012035407 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C08B 37/00,A23L 1/05,A61K 8/73,A61Q 19/00,A61Q 5/00 |
澤田 博昭 森川 光雄 JP 2013170232 公開特許公報(A) 20130902 2012035407 20120221 ガラクトマンナンの製造方法 エムアールシーポリサッカライド株式会社 512043762 小林 浩 100092783 大森 規雄 100120134 鈴木 康仁 100104282 澤田 博昭 森川 光雄 C08B 37/00 20060101AFI20130806BHJP A23L 1/05 20060101ALI20130806BHJP A61K 8/73 20060101ALI20130806BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20130806BHJP A61Q 5/00 20060101ALI20130806BHJP JPC08B37/00 ZA23L1/04A61K8/73A61Q19/00A61Q5/00 5 OL 10 4B041 4C083 4C090 4B041LC04 4B041LD03 4B041LH04 4B041LH07 4B041LH16 4B041LP01 4B041LP22 4C083AD211 4C083CC04 4C083CC05 4C083CC32 4C083CC38 4C083DD27 4C083DD31 4C090AA03 4C090BA41 4C090BB13 4C090BB14 4C090BB36 4C090BB38 4C090BB52 4C090CA04 4C090CA32 4C090DA26 4C090DA27 本発明は、ガラクトマンナンの製造方法に関する。更に詳しくは、ガラクトマンナンの原料から工業的に精製ガラクトマンナンを製造する際に、原料を一旦水性媒体に分散させた後加熱処理し、その処理液からガラクトマンナンを回収する方法に関する。 ガラクトマンナンは、マンノースからなる直線状主鎖(β-(1-4)-D-マンノピラノース)にガラクトース(α-D-ガラクトピラノース)がα-(1-6)-結合した多糖類の一群である。ガラクトマンナンは、水に溶解した時に極めて高い粘性を有し、その水溶液はpH安定性、共存塩安定性に優れていることから、その物性により食品分野や化粧品分野を中心に、捺染、糊料等の諸工業にも広く利用されている。さらに、用途によってはガラクトマンナン水溶液の透明性が要求されるため、市場においては水溶液透明性が高いガラクトマンナンを更に精製する必要がある。 一般的に、ガラクトマンナンの精製方法として、ガラクトマンナンの原料粉体を水等の水性媒体に分散させた後加熱溶解し、必要により遠心分離やろ過により未溶解不純物を除去し、清澄になった水溶液にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトンなどの水親和性溶媒を混合し、ガラクトマンナンを沈殿として析出させ、これを固液分離・乾燥・粉砕する方法が用いられている。この方法により純度の高い精製ガラクトマンナンの粉体を得ることができる。 しかしながら、工業的規模での生産を目的としてガラクトマンナンの原料粉体を水等に分散する場合、溶解性の良好な素材ほど「ままこ」、すなわち水に接触していない粉末を巻き込んで会合した塊が発生しやすく、一旦発生した「ままこ」はその後の加熱撹拌溶解によっても崩壊しないため、遠心分離機やろ過機での通過性が悪化し、結果としてコストが悪化する。また、「ままこ」となった原料からは製品となるガラクトマンナンを回収することができないため、その結果、製品の歩留まりも悪化するという問題があった。 「ままこ」の発生を抑制する一般的方法として、ガラクトマンナンなどの親水性の高い粉末をアルコールで湿潤させた後、水に分散する方法、また、砂糖やグルコース等の糖をガラクトマンナンとドライブレンドした後、水に分散する方法等が知られており、これらの方法は、小規模スケールにおいては操作することが可能である。 しかしながら、工場製造規模においては、例えばアルコールで湿潤させる方法は、アルコール蒸気による事故発生を防ぎ安全を確保するための専用の設備、そのための多大な費用を必要とする。また、砂糖・グルコースなどでドライブレンドする方法では、最終的に製造工程の排水の排水負荷の増大による製造コスト増加だけではなく、添加物残留による品質悪化の懸念がある。 一方、物理的な方法としては、分散溶解槽自体をホモジナイザーとする方法や、分散溶解槽に粉体を直接投入せず、予め、高速水により高いせん断力を発揮する粉体分散装置を用いて「ままこ」の発生を防止してから、分散溶解槽に投入する方法が知られている。 しかし、前者の方法では、設備導入及び更新にかかる費用の負担が大きく、また、後者の方法では、ガラクトマンナン分散溶解液が非常に高い粘性を有する為に粉体分散装置の出口付近が汚染されるリスクが高く、さらに分散溶解自体に時間を要するため、生産性が低下する。 2種以上が混合した多糖類の製造については、例えば特許文献1や特許文献2に記述がある。しかし、特許文献1には製造方法に関する具体的な記載は無い。また、特許文献2にはガラクトマンナンの他、予め各々の多糖類のゾルを別々に調整した後、それらを混合して製造する方法が記載されている。しかしながら、この方法では、工業的規模においてはゾル形成のための予備調製槽やゾル輸送設備などが必要であり、操作も煩雑で費用も多大となる。特開2004−350679号公報特表平9−502883号公報 本発明の主な目的は、工業規模で実施可能な「ままこ」の発生抑制方法を提供し、また、生産性が改善した、すなわち粘度及び回収率が高いガラクトマンナンの製造方法を提供することにある。 本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ガラクトマンナンの原料粉体を分散する水性媒体のpHを9〜14、好ましくは10〜13に調整した後、ガラクトマンナン粉末を分散することで「ままこ」の発生を抑制できることを見出し、生産性が改善したガラクトマンナンの製造方法を完成するに至った。 すなわち、本発明は、pHが9以上14以下に調整された水性媒体にガラクトマンナンの原料を分散させて分散液を得、該分散液のpHを3以上9未満に調整して加熱処理を行い、得られる処理液からガラクトマンナンを回収することを特徴とするガラクトマンナンの製造方法である。 ガラクトマンナンとしては、例えばローカストビーンガム、タラガム及びグァーガムからなる群から選ばれる少なくとも1つを挙げることができ、本発明においては、ローカストビーンガム及びグァーガムを選択することができる。 また、本発明は、前記方法で製造されたガラクトマンナンである。 さらに、本発明は、前記方法で製造されたガラクトマンナンを含む食品又は化粧品である。 本発明によれば、ガラクトマンナンを製造する際に「ままこ」の発生を抑制でき、しかも、回収率が高く、粘度の高い精製ガラクトマンナンを得ることができる。すなわち、本発明によれば、高い生産性で精製ガラクトマンナンを製造することができる。また、容易に二種以上のガラクトマンナンを混合して製造することが可能となるので、様々な品質のガラクトマンナンを得ることができる。発明の実施の形態 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明に用いられるガラクトマンナンとしては、イナゴマメの種子から得られるローカストビーンガム、タラの種子から得られるタラガム、グァーの種子から得られるグァーガム等を挙げることができる。これらガラクトマンナンは、いずれもマンノース主鎖にガラクトースが側鎖として結合し、そのガラクトース/マンノースの比率が、ローカストビーンガムは大凡1/4、タラガムは大凡1/3、グァーガムは大凡1/2である。 側鎖の結合比率が多い素材ほど直鎖部分での分子間会合が小さくなり、親水性が高く溶解性に優れる。従って、溶解性はグァーガムが最も優れている。このため、「ままこ」を形成する傾向は水溶性の高いグァーガムが最も顕著であり、次いでタラガム、ローカストビーンガムの順となる。 本発明においては、ガラクトマンナンの原料を、予めpHを9以上14以下(9〜14)、好ましくは10〜13に調整した水性媒体中に分散させる。水性媒体のpHを9以上にすることにより、「ままこ」の発生を抑制することができる。 「ガラクトマンナンの原料」とは、精製の対象となるガラクトマンナンを意味し、ガラクトマンナンの粗精製物、ガラクトマンナンを含む種子(例えば、イナゴマメの種子、タラの種子、グァーの種子等)の粉砕物、あるいは前述の種子粉砕物を洗浄、篩掛けなどの処理を施して得られる粉末のいずれをも含む。 「水性媒体」とは、粉末原料を溶解するための溶媒であり、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水、あるいはそれらに無機塩を溶解させたものなどが挙げられる。 pHの調整に使用する塩基性化合物の種類は特に限定されないが、無機塩基化合物が好ましい。塩基性化合物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重曹等が挙げられ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムがより好ましい。塩基性化合物を添加する方法は、pHが好ましい範囲に調製できれば特に限定されるものではない。例えば、塩基性化合物を固体のまま添加することもでき、いったん水溶液に調製してから添加することもできる。 ガラクトマンナンの原料の分散条件は、水性媒体のpHを上記の範囲に設定することを除き、特には限定されない。例えば、ガラクトマンナンの原料の分散性を上げるため、水性媒体を攪拌しながら行うことが好ましい。撹拌方法、撹拌速度も特に限定されず、撹拌によりヴォルテックス(撹拌渦)が生じる程度以上の強度で撹拌行うと分散性が良くなるので好ましい。 まず、ガラクトマンナンを水性媒体に添加する速度は限定されず、当業者が適宜選択することができる。ガラクトマンナンの原料を水溶液にできるだけ少量ずつ添加したほうが分散性は良くなるが、添加時間が長時間に及ぶと精製ガラクトマンナンの生産性が低下する傾向がある。従って、製造スケール、水溶液容量及びガラクトマンナンの原料の添加量にあわせて、ガラクトマンナンの原料の添加速度を設定することが好ましい。 分散時の液温も限定されず、ガラクトマンナンの原料の種類や量、水性媒体の量等に応じて適宜選択することができる。例えば、分散時の液温は0〜70℃が好ましく、10〜50℃がより好ましい。0℃以上にすることにより、分散時に水性媒体中の粘度が上昇して粉末の分散性が低下するのを避けることができる。一方、70℃以下とすることにより、発生する水蒸気により製造装置、特に粉末投入部へのガラクトマンナン原料が付着しやすくなって製品汚染の危険性が増加するのを防ぐことができる。 分散時間は、ガラクトマンナン原料が水性媒体中へ分散されれば特に限定されず、ガラクトマンナンの原料の種類や量、水性媒体の量等に応じて適宜選択することができる。例えば、分散時間1〜100分とすることができ、2〜80分が好ましい。1分以上とすることにより、ガラクトマンナンの原料を分散することができ、100分以下とすることにより、製品の劣化を抑制することができる。 分散させるガラクトマンナンの量は特に限定されないが、生産性、沈殿回収に関わる工程の操作性から、水性媒体に対して0.01〜10質量%となる量が好ましく、0.1〜5質量%となる量がより好ましい。 使用するガラクトマンナンの種類としては、ローカストビーンガム、タラガム及びグァーガムから少なくとも1種以上選択されたものであればよく、例えば、ローカストビーンガム、タラガム及びグァーガムのうち1種のガラクトマンナンでも良いし、2種以上が選択及び混合されたガラクトマンナンでも良い。 2種以上のガラクトマンナンを選択して混合する場合は、その組み合わせは特に限定されない。種々ある組み合わせの中でも、例えば、グァーガムとローカストビーンガムを選択・混合したものがより好ましい。室温溶解性、粘度などの性能に優れた製品となるからである。その中でも、両者がそれぞれ重量比で20/80〜80/20、好ましくは30/70〜70/30の比率で混合されたガラクトマンナンは、室温溶解性、粘度などの性能により優れた製品として提供される。 2種以上のガラクトマンナンを選択する場合、予め其々を水性媒体へ分散前に混合しても良いし、順序は問わないが、其々を順に分散しても良い。例えば、最も水溶性の高いグァーガムを用いる場合は、水溶性の低いローカストビーンガムとグァーガムとを重量比で30/70〜70/30の比率で予め混合した後、その混合物を水性媒体中に分散することにより、より「ままこ」の発生を抑制できる。 ガラクトマンナンの原料を水性媒体に分散した後、分散液のpHを3以上9未満、好ましくは4〜7に調整し、その後分散液を加熱処理してガラクトマンナンを溶解させる。ガラクトマンナンの原料を分散した後に分散液のpHを3以上9未満に調整してから加熱することにより、溶解しているガラクトマンナンの化学的加水分解を防ぐことができる。その結果、回収したガラクトマンナンの粘度が低下したり、ガラクトマンナンの回収量が低下したりするのを防ぐことができる。 分散液のpHを3以上9未満に調整する際に使用する酸性化合物の種類は特には限定されない。例えば、クエン酸、酢酸等の有機酸、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸等を使用することができ、クエン酸、塩酸、硫酸等が好ましい。酸性化合物を添加する方法も、pHが好ましい範囲に調製できれば限定されず、例えば、固体又は液体のままで添加することもでき、いったん液体にしたもの希釈したものも使用することがえきる。 分散液のpHを3以上9未満に調整した後に加熱処理を行うことによって、ガラクトマンナンの原料を水性媒体に溶解させる。加熱処理するときの温度は、ガラクトマンナンの生産性、品質に影響が無ければ特に限定されないが、分散液の温度を50〜95℃とすることが好ましく、55〜90℃がより好ましい。分散液の温度を50℃以上にすることにより、ガラクトマンナンの溶解性を向上させることができ、95℃以下とすることにより、回収されたガラクトマンナンの品質低下及び操作危険性の増加を抑制することができる。また、加熱時間も特には限定されないが、0.1〜4時間が好ましく、0.3〜3時間がより好ましく、0.5〜2時間がさらに好ましい。加熱時間を0.1時間以上とすることにより、ガラクトマンナンの原料をより良く溶解させることができ、4時間以下とすることにより、得られる製品の品質の低下を防ぐことができる。 ガラクトマンナンの原料の分散液を加熱処理した後は、例えば、ろ過、遠心分離、アルコール等による沈殿析出、乾燥、粉砕等、公知の方法により所望のガラクトマンナンを回収することができる。 より詳細には、ガラクトマンナンの原料が溶解した水性媒体(以下、ガラクトマンナン水溶液という。)を、ろ過や遠心分離等の操作に供することにより、水不溶性の不純物、夾雑物を除去することができ、純度の高いガラクトマンナン水溶液を得ることができる。 生産性や操作性の面からろ過に供することが好ましく、その中でも生産性の観点から加圧ろ過がより好ましい。加圧ろ過を行う場合は、その圧力はろ過速度、設備耐久性等から0.001〜3MPaが好ましく、0.05〜2MPaがより好ましい。ろ過の圧力を0.001MPaとすることにより、ガラクトマンナン水溶液を効率良くろ過することができ、3MPa以下とすることにより、設備への負担を抑制することができる。 また、ろ過性を改善するためにろ過助剤を添加してもよい。使用するろ過助剤の種類は限定されず、パーライト、珪藻土等の公知のろ過助剤を使用することができる。その使用量も限定されず、ガラクトマンナン水溶液の種類、濃度、粘度等の性質に応じて適宜選択することができる。例えば、ろ過速度、廃棄ろ残量等の面から、過助剤の添加量はろ過処理前の水溶液に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。0.01質量%以上とすることにより、効率良くろ過を行うことができ、また、10質量%以下とするのは、それ以上ろ過助剤を添加しても飛躍的な効果の向上が見込めないからである。 続いて、不純物等を除去したガラクトマンナン水溶液から、所望のガラクトマンナンを回収すればよい。回収方法はガラクトマンナンを十分に回収することができれば限定されず、ガラクトマンナンの種類や濃度等に応じて適宜選択することができる。例えば、回収量、品質等を考慮して、水溶性有機溶剤を用いて沈殿析出させることができる。 水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコールのような水溶性アルコール、アセトン等を使用することができ、これらの中でも、沈殿の形状、回収量、品質等の面からエタノール、イソプロピルアルコール等が好ましい。 沈殿析出させる方法はガラクトマンナンが十分に回収できれば限定されず、ガラクトマンナン水溶液と水溶性有機溶剤を混合させればよい。このとき、ガラクトマンナン水溶液に水溶性有機溶剤を添加しても良く、水溶性有機溶剤にガラクトマンナン水溶液添加しても良い。ガラクトマンナン水溶液に対する水溶性有機溶剤の量は、ガラクトマンナンの沈殿が十分に形成されれば(ガラクトマンナンが十分に析出すれば)特には限定されない。例えば、水溶性有機溶剤の添加量はガラクトマンナン水溶液に対して容量で0.1〜20倍量が好ましく、0.5〜10倍量がより好ましい。0.1倍量以上とすることにより、ガラクトマンナンを十分に析出又は沈殿させることができる。20倍量以下とするのは、それ以上水溶性有機溶剤を添加しても飛躍的な効果の向上が見込めないからである。 得られたガラクトマンナンの沈殿は、必要に応じて、圧搾、遠心分離、加圧ろ過等の方法により、水分(水性媒体や水溶性有機溶剤等の液体成分)を除去することができる。また、必要に応じて、水分を除去したガラクトマンナンを流動乾燥、静置乾燥、真空乾燥等に供することにより乾燥させることもできる。水分を除去する手段と乾燥する手段は組み合わせて使用することも可能である。更に、乾燥したガラクトマンナンを粉砕するなどして、用途に応じた粉末のサイズに調製することができ、所望の用途に用いることができる。 このようにして得られたガラクトマンナンは、タンパク質、脂質等の不純物含量が低いため、水に溶解させてガラクトマンナン水溶液とした場合に、透明度が高く、且つ高い粘度を有する。従って、食品、化粧品又は薬品添加物用途に、増粘剤、安定化剤等として使用することができる。 食品用途としては、例えば、清涼飲料水;冷菓;菓子;ゼリー;ドレッシング、ケッチャップ等の調味料;チーズ、クリーム等の乳製品;ハム、ソーセージ等の食肉加工品;水産練り製品等に添加剤として用いられる。また、化粧品用途としては、化粧水、化粧用クリーム、シャンプーなどの洗髪剤、整髪剤等に添加剤として用いられる。 また、ガラクトマンナンの増粘性を利用し、嚥下剤等の特化食品用途への応用も可能である。例えば、嚥下剤の場合、室温での溶解性や、早期の粘度上昇が求められることから、グァーガム、タラガム又は2種以上の混合ガラクトマンナン製品が好ましい。特に、室温での溶解性を有し、粘度の上昇速度が速い2種以上の混合ガラクトマンナン製品が好ましく、その中でもローカストビーンガムとグァーガムの混合ガラクトマンナン製品がより好ましい。ローカストビーンガムとグァーガムの混合比は、重量費でローカストビーンガム/グァーガム=80/20〜20/80が好ましく、70/30〜30/70がより好ましい。 以下に本発明の内容を実施例にて具体的に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。 なお、「ままこ」の量は目開き200μmの金網で選取した後、105℃で8時間乾燥させた量を計測し、これを原料仕込み質量(水性媒体に分散させる前のガラクトマンナンの質量)で除した質量百分率で示した。 回収されたガラクトマンナンの粘度は、80℃で1時間加熱溶解した後、1.0質量%水溶液を調整し、BH型粘度計を用いて液温25℃、20rpmで測定した。 実施例1 水道水10LのpHを20%水酸化ナトリウム水溶液で12.8に調整した(アルカリ水溶液)。pH調整後、分散液を攪拌翼で攪拌しながら粗製グァーガム粉末(INDIA GLYCOLS社製)100gをアルカリ水溶液に添加して25℃で5分間分散させた。分散後、水溶液のpHを12%塩酸用いて6.2に調整し、80℃で1時間攪拌してグァーガムを溶解した。この水溶液に発生した「ままこ」の量は0.5g(0.5%)であった。 この水溶液にろ過助剤として珪藻土を対水溶液で1.0質量%添加した後、加圧濾過(0.2MPa)を行った。回収した濾液に同容量のイソプロピルアルコールを添加し、生成した沈殿を圧搾脱水した。得られたグァーガムを常圧乾燥(75℃)した後、粉砕して精製グァーガム80gを得た(回収率80%)。この精製グァーガム水溶液の粘度は4800mPa.sであった。 実施例2〜5 ガラクトマンナン分散前の水道水のpHを表1に記載された9.4〜12.5の間で其々調整したこと以外は、実施例1と同様の操作行い、精製グァーガムを製造した。「ままこ」の量と回収した精製グァーガム量及び粘度の測定値を表1に示した。いずれも「ままこ」の生成量は少なかった。また、グァーガムの回収率も高く、粘度も十分な値が得られた。 比較例1 ガラクトマンナン分散前の水道水のpHを7.5としたこと以外は、実施例1と同様の操作行い精製グァーガムを製造した。この時の「ままこ」の量は18.0%であり、実施例に比べ大量に発生した。また、グァーガムの回収率も低く、回収した精製グァーガム量の粘度は3200mPa.sであり、実施例に比べ低い値であった(表1)。 比較例2、3 粗製グァーガムの分散後、水溶液のpHを10.3、及び2.7に調製したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、精製グァーガムを回収した。この時の精製グァーガムの粘度は実施例1〜5に比べ低く、また実施例1に比べ回収率も低下した(表1)。 実施例6及び7 ガラクトマンナンの原料として、粗製グァーガム粉末(INDIA GLYCOLS社製)100gの代わりに粗製ローカストビーンガム(CAROB社製)120g(実施例6)又は粗製タラガム(EXANDAL社製)105g(実施例7)を使用した以外は、実施例1と同様の操作行い、精製ローカストビーンガムと精製タラガムを回収した。何れも「ままこ」の発生量は少なかった(表1)。また、グァーガムの回収率も高く、粘度も十分な値が得られた。 実施例8〜10 ガラクトマンナンの原料として、実施例1で製造した精製グァーガムと実施例6で製造した精製ローカストビーンガムとを、表2に示したようにグァーガム/ローカストビーンガム=30/70〜70/30で混合された混合ガラクトマンナン原料100gを用い、実施例1と同様の操作を行って、グァーガムとローカストビーンガムの混合ガラクトマンナン製品を回収した。何れも「ままこ」の発生量は少なかった。また、グァーガムの回収率も高く、粘度も十分な値が得られた(表2)。 比較例4 グァーガム/ローカストビーンガム比=70/30の混合ガラクトマンナン原料100gをガラクトマンナンの原料として用い、比較例1と同様の操作を行って、グァーガムとローカストビーンガムの混合ガラクトマンナン製品を回収した。この時の精製ガラクトマンナンの粘度は実施例8〜10に比べ低く、またこれらの実施例に比べ回収率も低下した(表2)。 実施例11〜13 実施例1、実施例6及び実施例10でそれぞれ得られた精製グァーガム、精製タラガム、混合ガラクトマンナン製品(グァーガム/ローカストビーンガム比=70/30)それぞれ17.0gを、其々キサンタンガム(JUNGBUNZLAUER社製)3.0gとデキストリン80.0g(松谷化学工業社製)とに粉体混合した。 この混合品4.0gを蒸留水400mLに分散させた後、30℃で5分間攪拌した。この時、攪拌0.5分後及び1分後の粘度を測定し(BL型、30rpm)、その値を5分後の粘度測定値で除し百分率で表した値(以下、粘度発現率という。)で示した(表3)。この値が高い多糖類は室温溶解性が良く、短時間で水溶液への粘度付与が可能である。 その結果、実施例10で製造した混合ガラクトマンナン製品(グァーガム/ローカストビーンガム比=70/30)は、一般的に室温溶解性を有すると言われるグァーガム、タラガムよりも粘度発現率が高かった。従って、混合ガラクトマンナン製品は室温での溶解性に優れ、かつ水溶液を短時間で増粘させる能力があることが分かった。 本発明により、高い生産性で精製ガラクトマンナンを製造することができる。 pHが9以上14以下に調整された水性媒体にガラクトマンナンの原料を分散させて分散液を得、該分散液のpHを3以上9未満に調整して加熱処理を行い、得られる処理液からガラクトマンナンを回収することを特徴とするガラクトマンナンの製造方法。ガラクトマンナンがローカストビーンガム、タラガム及びグァーガムからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。ガラクトマンナンがローカストビーンガム及びグァーガムである、請求項2に記載の方法。請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法で製造されたガラクトマンナン。 請求項4に記載のガラクトマンナンを含む食品又は化粧品。 【課題】ガラクトマンナンの製造方法の提供。【解決手段】pHが9以上14以下に調整された水性媒体にガラクトマンナンの原料を分散させて分散液を得、該分散液のpHを3以上9未満に調整して加熱処理を行い、得られる処理液からガラクトマンナンを回収することを特徴とするガラクトマンナンの製造方法。【選択図】なし