生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_皮膚角化促進剤およびこれを配合した皮膚外用剤
出願番号:2012029422
年次:2013
IPC分類:A61K 8/98,A61Q 19/00


特許情報キャッシュ

前山 薫 加納 哲 舩原 大輔 永井 清仁 服部 文弘 阪井田 和則 岡本 暉公彦 JP 2013166710 公開特許公報(A) 20130829 2012029422 20120214 皮膚角化促進剤およびこれを配合した皮膚外用剤 御木本製薬株式会社 000166959 国立大学法人三重大学 304026696 前山 薫 加納 哲 舩原 大輔 永井 清仁 服部 文弘 阪井田 和則 岡本 暉公彦 A61K 8/98 20060101AFI20130802BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20130802BHJP JPA61K8/98A61Q19/00 3 2 OL 11 4C083 4C083AA071 4C083CC02 4C083EE12 本発明は皮膚の角化促進剤に関し、特にN16とその関連タンパク質のいずれか1種以上を含む角化促進剤、或いはこれを配合した皮膚外用剤に関する。 皮膚は体の最も外側に存在しており、細菌などの外界からの刺激に対するバリアとなっている。皮膚は、角質細胞が基底細胞から有棘細胞、顆粒細胞、さらには角層細胞へと約4週間かけて変化(角化)し、これらの細胞中で細胞間脂質やNMF、さらにはコーニファイドエンベローブを形成することによってバリア機能を成し遂げている。しかし老化等によってこの角化の速度が低下すると、皮膚のくすみや肌荒れなどを引き起こすことが知られている。そのため皮膚の角化を促進する角化促進剤が開発されてきた。例えば、皮膚の角化とともにコーニファイドエンベローブの成分として生成されるタンパク質であるソラヤシン(=S100A7)の発現量を指標として、このソラヤシン発現が増強される物質を研究した結果、酪酸またはその誘導体、およびカルシウムイオン供給化合物を含有する皮膚角化促進剤が知られている(特許文献1)。 また、タイソウ抽出物を有効成分として含有することを特徴とする表皮角化細胞増殖促進剤(特許文献2)、ハス胚芽抽出物を含有することを特徴とする表皮角化細胞増殖促進剤(特許文献3)がそれぞれ知られている。 一方、アコヤガイの貝殻は、炭酸カルシウムを主成分としており、貝殻外側の稜柱層は炭酸カルシウムとタンパク質が交互に重なった層状構造をなしている。この層状構造は、外套膜の表面で構築され、通常は血流に乗って運ばれてきたカルシウムイオンが外套膜より分泌されたタンパク質の触媒作用下に生成された炭酸イオンと結合し炭酸カルシウムの結晶としてタンパク質層の上に沈着して形成される。貝殻中に存在するタンパク質には、この結晶の大きさや真珠層の幅を制御している酸不溶性のタンパク質である多数のタンパク質(総称:コンキオリン)が知られている。しかしながら、従来の角化促進成分の作用は十分ではなく、また、N16とその関連タンパク質のいずれも皮膚角化促進剤として使用できることは、従来知られていなかった。特開2009−155269公報特開2006−316028号公報特開2002−68993号公報特表2000−504314号公報Won Kim et al.Crystal Growth & Design, Vol.4, No.6, 2004 1113-8本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、皮膚のバリア機能の改善、皮膚の老化防止に有用な皮膚角化促進剤の提供を目的とする。 以下に詳細に説明する。 アコヤガイ貝殻中のN16とその関連タンパク質は真珠層のなかに含まれていて,外套膜の真珠層形成部位で多く発現し,N19と共に炭酸カルシウムの結晶化を阻害すると報告されている。 なお、N16にはいくつかの関連タンパク質が知られている。 一方、皮膚は角質細胞が基底細胞から有棘細胞、顆粒細胞、さらには角層細胞へと約4週間かけて分化し、この分化につれてカルシウム濃度が高くなる。N16とその関連タンパク質が皮膚の分化にどのように作用するのか試験した結果、皮膚の分化に関連の深いトランスグルタミナーゼ1、ソラヤシン(S100A7)、ロリクリン遺伝子の発現量が増加することが確認された。特にソラヤシン(S100A7)遺伝子の発現量が顕著に増加することがわかった。本発明は、このような知見に基づくものである。すなわち、本発明の皮膚角化促進剤は、貝殻もしくは真珠断片またはこれらの粉末由来のN16とその関連タンパク質のいずれか1種以上を含むことを特徴とする。特に貝殻がアコヤガイの貝殻であることを特徴とする。また、上記N16とその関連タンパク質が貝殻もしくは真珠断片またはこれらの粉末をキレート剤で脱灰して得られる物質からの抽出物であることを特徴とする。さらに上記N16とその関連タンパク質は、貝殻もしくは真珠断片またはこれらの粉末をキレート剤で脱灰して得られる物質からの抽出物と、大腸菌、酵母菌、または蚕のいずれか1つから選択される宿主細胞とを利用して遺伝子工学的に製造されるタンパク質であることを特徴とする。 本発明は、N16とその関連タンパク質のいずれか1種以上を配合するため、皮膚のバリア機能の改善、皮膚の老化防止に有用な皮膚角化促進剤が得られる。N16とその関連タンパク質は、(I)貝殻、特にアコヤガイの貝殻もしくは真珠断片またはこれらの粉末をキレート剤で脱灰して得られる物質を抽出する方法、(II)上記(I)の方法で得られるタンパク質を大腸菌、酵母菌、または蚕のいずれか1つから選択される宿主細胞とを利用する方法により製造される。上記(I)の方法について説明する。本発明で好ましく使用できる貝殻としては、特に限定はなくアコヤガイ(Pictada fucata)、イガイ(Mytilus coruscum)、イケチョウガイ(Hyriopsis schlegelii)、カラスガイ(Cristaria plicata)等ウグイスガイ科、イガイ科、イシガイ科の貝類等が例示される。特に好適なものは、真珠養殖などで多量に得られるアコヤガイ(真珠貝)である。真珠断片とは、真珠を割り核を取り除いた破砕片である。真珠断片の製造方法は粉砕するのではなく真珠をそのまままたは複数個の断片に割ることにより得られる。真珠としては、アコヤガイ、イケチョウ貝などの真珠貝より得られる球体真珠、マベ貝より得られるマベ半円真珠殻などが挙げられる。本発明の皮膚角化促進剤に用いられるN16とその関連タンパク質は、貝殻もしくは真珠断片またはこれらの粉末を水に分散する工程と、上記分散された貝殻もしくは断片またはこれらの粉末に含まれるカルシウムイオンに対して等モル以上のキレート剤を加えて脱灰する工程を経て製造される物質を原料とする。これより、酸に溶解する物質を抽出するか、イオン交換樹脂や、分子量分画、吸着樹脂等の1種または2種以上の方法を適用して、N16やその関連タンパク質あるいはN16とその関連タンパク質を含む分画を製造できる。キレート剤で脱灰して得られる物質を抽出する方法は、貝殻等をキレート剤で脱灰して得られる物質を抽出する方法である。脱灰処理に使用できるキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等のキレート剤であれば用いることができる。これらの中でエチレンジアミン四酢酸塩が、他のキレート剤より効率的に脱灰処理を行なえるので好ましい。エチレンジアミン四酢酸塩としては、二ナトリウム塩、三ナトリウム塩、四ナトリウム塩等いずれも使用できる。アコヤガイの貝殻を原料とする脱灰処理方法について以下説明する。(1)必要により、アコヤガイ貝殻を破砕して貝殻断片とする。アコヤガイ貝殻は破砕する前に回転バレル研磨機、振動バレル研磨機等を用いて稜柱層を取り除くことが好ましい。稜柱層を取り除くことにより脱灰時間を短くすることができる。また、破砕する場合、その方法は、回転バレル研磨機、振動バレル研磨機等で稜柱層を取り除く工程でその研磨強度を調整することによって行なうか、別途、ハンマーミル等で行なう。(2)アコヤガイ貝殻断片または粉末を水に分散させて、この断片等に含まれるカルシウムイオンに対して等モル以上のエチレンジアミン四酢酸塩を加える。アコヤガイ貝殻に含まれるタンパク質(約2重量%)を考慮して、また、貝殻断片が炭酸カルシウムとして、カルシウムイオン量を算出する。エチレンジアミン四酢酸塩は少なくとも1個のカルシウムイオンとキレートを形成するので、エチレンジアミン四酢酸塩はカルシウムイオンに対して等モル以上使用する。好ましくは等モル〜5倍等モル量である。また、エチレンジアミン四酢酸塩は水に溶解し難いため、水に分散されているアコヤガイ貝殻の量が多い場合、あるいはエチレンジアミン四酢酸塩の濃度を高める場合には、アコヤガイ貝殻を分散させている水のpHを、水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加することで、pH7.0〜9.0に調整することが好ましい。分散液の条件として、分散されるアコヤガイ貝殻の濃度は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。0.1重量%未満であると必要なタンパク質の生産性が劣り、10重量%をこえると脱灰処理に長い時間がかかる。(3)上記分散液を、好ましくは穏やかな条件で撹拌する。ここで穏やかな条件とは、アコヤガイ貝殻の脱灰処理により炭酸カルシウムが除去されて必要なタンパク質を含む溶液を得られる条件をいう。得られた溶液から水、好ましくは酸により、それらに溶解する物質を抽出するか、イオン交換樹脂や、分子量分画、吸着樹脂等の1種または2種以上の方法を適用して、N16とその関連タンパク質のいずれか1種以上あるいはN16とその関連タンパク質を含む分画を得る。上記N16とその関連タンパク質は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により分析した結果、N16とその関連タンパク質は分子量約16kDaのタンパク質である。本発明においては、この特定の分子量を有するタンパク質と同時に、イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製される分画物も利用できる。上記(I)の方法で得られるN16とその関連タンパク質は、大腸菌、酵母菌、または蚕のいずれか1つから選択される宿主細胞とを利用して、公知の遺伝子工学的に多量に製造することができる(上記(II)の方法)。例えば、国際公開番号WO96/35786号公報記載の方法で製造できる。本発明の皮膚角化促進剤は、皮膚角化促進剤の形態で皮膚に適用される。また、皮膚角化促進剤は、皮膚化粧料、外用医薬部外品、医療用皮膚外用剤に配合できる。また、本発明の皮膚角化促進剤には、上記成分の他に医薬品や化粧品の各種製剤において使用されている界面活性剤、油性成分、保湿剤、高分子化合物、紫外線吸収剤、抗炎症剤、殺菌剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、防腐剤、ビタミン類、色素、香料、水等を配合することができる。N16とその関連タンパク質のいずれか1種以上の配合割合としては、皮膚角化促進剤全体に対して、0.00001〜1.0重量%で、好ましくは0.001〜0.5重量%である。本発明の皮膚角化促進剤は、常法に従い、通常の皮膚角化促進剤として知られる種々の形態の基材に配合して調製することができる。その形態としては、特に限定されず、例えば、ローション類、乳液類、クリーム類、軟膏類、パック類等の任意の剤形を選択することができる。実施例1 アコヤガイ貝殻粉末(500.0g)を,2Lの0.5MEDTA溶液(pH8.0)に浸し,10日間撹拌した。操作は全て低温下で行った。脱灰液の交換頻度を1日1回とした.10日後,遠心分離(8,000×g,30分間,4℃)に供し沈殿を回収した。得られた残渣に6.5M酢酸100mlを加えてホモジナイズし,遠心分離(21,000×g,30分間,4℃)により上清を回収した。残渣は6.5M酢酸を加え再度ホモジナイズし,遠心分離(21,000×g,30分間,4℃)に供した.この操作を5回繰り返した。上清は,30mMTris−HCl(pH8.0)を外液とし透析を行った。得られた溶液を遠心分離(21,000×g,30分間,4℃)に供し上清を回収した。 上清0.45μmのフィルター(Millipore)でろ過し,30mMTris−HCl(pH8.0)溶液で平衡化したイオン交換クロマトグラフィーTSKgelDEAE−5PW(直径7.5mm,長さ7.5cm,東ソー)に試料を添加後,30mMTris−HCl溶液で非吸着画分を洗浄後、NaClを含んだ30mMTris−HCl溶液(pH8.0)で0−1.0MNaClリニアグラジエント法で溶出した。流速は1.0ml/minとし1.0mlずつ分画した。また,それぞれの画分の280nmにおける吸光度を測定し溶出曲線を作成した。280nmの紫外線吸光がある分画を集めた。 これを蒸留水を外液として透析を行なった。透析外液は1回2000ml使用し3回交換した。透析内液を凍結乾燥した。この成分の大部分は、分子量16kDaのタンパク質であり、MALDI−TOF MSに供し、得られたアミノ酸配列をMascotで相同性検索した結果、N16.2タンパク質と判断された。(イオン交換クロマトグラフィーで分画した成分のSDS−PAGEの結果を図1に示す)実施例2 アコヤガイ貝殻粉末(100.0g)を,500mLの0.5MEDTA溶液(pH8.0)に浸し,5日間撹拌した.操作は全て低温下で行った.脱灰液の交換頻度を1日1回とし,5日後,遠心分離(8,000×g,30分間,4℃)に供し上清を回収した。得られた上清をポリエチレングリコールによる濃縮と限外ろ過による濃縮を行った。蒸留水を外液として透析を行った後,30mMTris−HCl(pH8.0)を外液として透析を行った。 得られたタンパク質溶液を0.45μmのフィルター(Millipore)でろ過し,30mMTris−HCl(pH8.0)溶液で平衡化したイオン交換クロマトグラフィーTSKgelDEAE−5PW(直径7.5mm,長さ7.5cm,東ソー)に試料を添加後,30mMTris−HCl溶液で非吸着画分を洗浄後、NaClを含んだ30mMTris−HCl溶液(pH8.0)で0−1.0MNaClリニアグラジエント法で溶出した。流速は1.0ml/minとし1.0mlずつ分画した。それぞれの画分の280nmにおける吸光度を測定し溶出曲線を作成した。280nmの紫外線吸光がある分画を集めた。 これを蒸留水を外液として透析を行なった。透析外液は1回2000ml使用し3回交換した。透析内液を凍結乾燥した。この成分の一部は、分子量16kDaのタンパク質であり、MALDI−TOF MSに供し、得られたアミノ酸配列をMascotで相同性検索した結果、N16.5タンパク質と判断された。上記実施例1及び2のヒト由来表皮細胞に対する影響を確認するため、トランスグルタミナーゼ1、ソラヤシン(S100A7)、ロリクリンの遺伝子発現の変化を、リアルタイムPCRを用いて評価した。 なお、ソラヤシン(S100A7)は、乾癬の皮膚に過剰発現している分泌タンパク質として最初に同定されたタンパク質であり多くの炎症性疾患においても、過剰発現が確認されている。またソラヤシン(S100A7)は、体の表面でバクテリアを殺す働きがある。従って抗菌タンパク質であることが明らかとなっている。<細胞培養> 2継代目のヒト包皮由来表皮細胞 (クラボウ,StrainNo.465535) を50−70%コンフルエントとなるようフェノールレッドを含まないHuMedia−KG2培地で培養後,カルシウム濃度が1.8mMに変更し,終濃度が規定の濃度になるよう実施例を添加し,さらに2日間37℃,5%CO2インキュベータ中で培養した。<RNAの抽出>細胞からの Total RNAの抽出は、トリプシン/EDTAで剥離後、SV Total RNA Isolation System(プロメガ社)を用い、プロメガ社の添付マニュアル(日本語プロトコールNoTM048J2001年6月作成)に従い調製した。RNA濃度は、NanoDrop1000(Thermo SCIENTIFIC)を用い算出した。<RT反応およびリアルタイムPCR>2.5μgのTotal RNAを使い、MMLV Reverse Transcriptase RNaseH−(東洋紡社)を用い、東洋紡社推奨プロトコール(TOYOBO BIOCHEMICALS FOR LIFE SCIENCE 2008/2009のページ1−42)に従いRT反応を行なった。リアルタイムPCRはAppliedBiosystems 7500 リアルタイムPCR Systemを用い、以下のように実施した。SYBR Green法を用い(THUNDERBIRD SYBR qPCR Mix,東洋紡社)、7500 リアルタイムPCR Systemの操作マニュアル(AppliedBiosystems)を用いて、Comparative CT法(n=3)により遺伝子発現比較を実施した。内部標準としてGAPDHを使用した。<使用プライマー>トランスグルタミナーゼ1:フォワードプライマーがGAGCGGAAGGCAGTAGAGACAの塩基配列と、リバースプライマーがCCCCGGTTGGCATACACAの塩基配列とのセットソラヤシン(S100A7):フォワードプライマーがTGCTGACGATGATGAAGGAGの塩基配列と、リバースプライマーがATGTCTCCCAGCAAGGACAGの塩基配列とのセットロリクリン:フォワードプライマーがGGAGTTGGAGGTGTTTTCCAの塩基配列と、リバースプライマーがACTGGGGTTGGGAGGTAGTT塩基配列とのセットGAPDH:フォワードプライマーがGAGTCAACGGATTTGGTCGTの塩基配列と、リバースプライマーがTTGATTTTGGAGGGATCTCGの塩基配列とのセット 図2から図4にリアルタイムPCRの結果を示す。 ソラヤシン(S100A7)は、皮膚の角化とともにコーニファイドエンベローブの成分として生成されることが知られており、皮膚角化の指標として有用である。また、ロリクリンはコーニファイドエンベローブの主要成分でありその発現はケラトヒアリン顆粒より始まり次第にコーニファイドエンベローブに組み込まれていく、周辺帯の構成タンパク質の重要な1つであり、天然保湿因子の形成をはじめ種々の角層機能に関わり、シワの形成、肌理の不正常、荒れ肌等の発生を抑制する。トランスグルタミナーゼも,細胞膜にロリクリン,イルボルクリン,シスタチンα,SPR などの蛋白分子を結合させる酵素であり、正常なコーニファイドエンベローブを構築するために必要な酵素である。 本発明の皮膚角化促進剤は、このトランスグルタミナーゼ1、ソラヤシン(S100A7)、ロリクリン遺伝子の発現を顕著に増強され、本発明の皮膚角化促進剤を用いれば、皮膚のバリア機能が改善される。また、ソラヤシン(S100A7)は抗菌作用を有することが知られているため、本発明皮膚角化促進剤を用いれば、皮膚の抗菌作用が増強され、バリア機能が増大する。 特に他の遺伝子に比較してソラヤシン(S100A7)の遺伝子の発現は顕著に増強された。 本発明は皮膚のバリア機能の改善、皮膚の老化防止に有用な皮膚角化促進剤が得られるため、滑らかな皮膚形成に役立つ基礎化粧品素材の開発が可能となる。実施例1のイオン交換クロマトグラフィー(TSKgelDEAE−5PW)溶出画分のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す図である。 図上部記載のMは分子量マーカーを表し、29〜33は、イオン交換クロマトグラフィーでのリニアグラジエント法で分画したフラクションNoである。実施例1を濃度10μMでヒト包皮由来表皮細胞を培養し、Transglutaminase1(トランスグルタミナーゼ1)、ソラヤシン(S100A7)、Loricrin(ロリクリン)の遺伝子発現量の増加の結果で、増殖培地(カルシウム濃度を0.15mM)を1としたときの相対値で表した。図2のTransglutaminase1(トランスグルタミナーゼ1)、Loricrin(ロリクリン)の部分を拡大した表である。実施例2を濃度100μMでヒト包皮由来表皮細胞を培養し、ソラヤシン(S100A7)の遺伝子発現量の増加の結果で、増殖培地(カルシウム濃度を0.15mM)を1としたときの相対値で表した。 貝殻もしくは真珠断片またはこれらの粉末由来のN16とその関連タンパク質のいずれか1種以上を含むことを特徴とする皮膚角化促進剤。 前記貝殻がアコヤガイであることを特徴とする請求項1記載の皮膚角化促進剤。 請求項1乃至請求項2の皮膚角化促進剤を配合した皮膚外用剤 【課題】 皮膚のバリア機能の改善、皮膚の老化防止に有用な皮膚角化促進剤を提供する。【解決手段】 アコヤガイの貝殻もしくは真珠断片またはこれらの粉末が産出するN16とその関連タンパク質は、トランスグルタミナーゼ1、ソラヤシン(S100A7)、ロリクリン遺伝子の発現が増加し、特にソラヤシン(S100A7)遺伝子の発現量が非常に増加することがわかった。皮膚角化促進剤として、非常に有効なことがわかった。ソラヤシン(S100A7)は、抗炎症、静菌等皮膚の恒常性を維持する機能があり、これらを配合した皮膚外用剤は非常に有効である。【選択図】図2


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