タイトル: | 公開特許公報(A)_グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤 |
出願番号: | 2012007796 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 8/37,A61Q 19/00,A61K 8/63,A61K 47/14 |
坂田 修 JP 2013147442 公開特許公報(A) 20130801 2012007796 20120118 グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤 株式会社コーセー 000145862 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 坂田 修 A61K 8/37 20060101AFI20130705BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20130705BHJP A61K 8/63 20060101ALI20130705BHJP A61K 47/14 20060101ALI20130705BHJP JPA61K8/37A61Q19/00A61K8/63A61K47/14 8 OL 9 4C076 4C083 4C076AA14 4C076BB31 4C076CC18 4C076DD45N 4C076FF34 4C083AA122 4C083AC012 4C083AC351 4C083AC352 4C083AC392 4C083AD152 4C083AD531 4C083AD532 4C083AD662 4C083CC02 4C083DD30 4C083EE03 4C083EE12 本発明は、皮膚外用剤や化粧料等に用いられるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚への浸透性を促進する技術に関する。 従来より目的とする薬剤のみを選択的に効率よく皮膚内のターゲット部位に浸透させることが可能な経皮吸収促進剤等が提案されている(例えば特許文献1及び2)。 一方、グリチルレチン酸ステアリル(Glycyrrhetinic Acid)は、グリチルレチン酸にステアリン酸を付加した化合物であり、安全性が高く且つ抗炎症作用に優れる有効成分として、皮膚外用剤及び化粧料に広く用いられている(例えば、特許文献3参照)が、グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透性に関してはほとんど報告されていない。特開2010−189351号公報特開2011−1270号公報特許第3513861号公報 本発明は、グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透性を促進する皮膚浸透促進剤を提供することを課題とする。 上記課題を解決するために、本発明者らが種々検討した結果、所定の特性を示す分岐構造を有する脂肪酸エステル油には、グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透性を促進する作用があることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、少なくとも1種の脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、及び温度20℃における表面張力が29.5mN/m以下、好ましくは28.5mN/m以下、であることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤に関する。 また、本発明は、少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、及び前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油(100g)に対するグリチルレチン酸ステアリルの温度25℃における溶解度が1〜4g、好ましくは溶解度が1.5〜3gであることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤にも関する。 また、本発明は、少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、温度20℃における表面張力が29.5mN/m以下、好ましくは28.5mN/m以下であり、及び前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油(100g)に対するグリチルレチン酸ステアリルの温度25℃における溶解度が1〜4g、好ましくは溶解度が1.5〜3gであることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤にも関する。 前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油が、分岐構造を有する脂肪酸と、アルコールとのエステルであるのが好ましい。 前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油が、炭素原子数8〜22の脂肪酸と、アルコールとのエステルであるのが好ましい。 前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油が、分岐構造を有する脂肪酸と、分岐構造を有するアルコールとのエステルであるのが好ましい。 前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油が、イソノナン酸及び2−エチルヘキサン酸から選ばれる脂肪酸と、イソプロピルアルコール、イソノニルアルコール、イソトリデシルアルコールから選ばれるアルコールとのエステルであるのが好ましい。 本発明によれば、グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透性を促進する皮膚浸透促進剤を提供することができる。 以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「皮膚浸透促進」とは、角層又は表皮への浸透性をいうものとする。 本発明は、グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤に関する。グリチルレチン酸ステアリル(Glycyrrhetinic Acid)は、甘草等に含まれるグリチルリチン酸の加水分解によって得られるグリチルレチン酸のヒドロキシル基にステアリン酸をエステル結合させることにより得られる化合物である。グリチルレチン酸の分子構造は平面性を有し、3位及び11位がコルチゾン類似であることから抗炎症作用を有する。グリチルレチン酸ステアリルは、ステアリン酸の付加により安全性が高められているので、安全性が要求される皮膚外用剤や化粧料等の技術分野において、抗炎症成分として広く使用されている。 グリチルレチン酸ステアリルは、ステアリン酸の付加により脂溶性が高められているので、通常、皮膚外用剤や化粧料中では、油剤中に溶解もしくは懸濁した状態になっている。本発明者は、皮膚外用剤や化粧料中においてグリチルレチン酸ステアリルが、油剤に取り囲まれて存在していることに着目し、種々検討した結果、該化合物の皮膚浸透性を促進する作用を示す剤として、分岐構造を有するエステル油を用いることにより、皮膚外用剤や化粧料中におけるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透性を顕著に改善し得ることを見出した。 本発明の皮膚浸透促進剤は、少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油からなり、温度20℃における表面張力が29.5mN/m以下であることを特徴とする。好ましくは表面張力が28.5mN/m以下であり、より好ましくは28mN/m以下である。表面張力が低いほど、前記エステル油が皮膚表面に伸び広がり易くなり、それに伴いグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透性もより促進される。効果の観点で、表面張力の下限値については特に制限はないが、一般的には、脂肪酸エステル油の表面張力の下限値は23N/m程度になる。さらに表面張力が低いことで知られているハイドロフルオロカーボン類では12〜18N/m、ジメチルポリシロキサン類では20〜21N/mであるがこれらはグリチルレチン酸ステアリルの溶解度がほとんどなく、本願の脂肪酸エステル油とは異なる。 なお、本明細書では、表面張力とは、ペンダント・ドロップ法により測定される表面張力の値をいうものとする。 また、本発明は、少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油(100g)に対するグリチルレチン酸ステアリルの温度25℃における溶解度が1〜4gであることを特徴とする皮膚浸透促進剤にも関する。好ましくは、前記溶解度が1.5〜3gである。溶解度が高いほど、前記脂肪酸エステル油中に含まれるグリチルレチン酸ステアリルの割合が高まり、皮膚の表面に適用した際に、より多くのグリチルレチン酸ステアリルを皮膚中に浸透させることができるが、一方で、溶解度が高すぎると、グリチルレチン酸ステアリルが脂肪酸エステル油中にとどまってしまう傾向があり、皮膚浸透促進効果が軽減される。上記範囲であれば、高い皮膚浸透促進効果が得られる。 本発明の皮膚浸透促進剤の好ましい態様は、少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油からなり、温度20℃における表面張力が29.5mN/m以下であり、及び前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油(100g)に対するグリチルレチン酸ステアリルの温度25℃における溶解度が1〜4gであることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤である。表面張力及び溶解度それぞれのより好ましい範囲は、上記と同様である。 本発明の皮膚浸透促進剤は、少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油からなる。前記エステル油は、脂肪酸とアルコールとからなるエステルである。本発明に係わる脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有することを特徴とする。前記アルコール残基は一価のアルコール残基であっても、ヒドロキシ基を2以上有する多価アルコール残基であってもよいが、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有する。前記脂肪酸エステル油は分子内に分岐構造を有することにより、グリチルレチン酸ステアリルとの親和性が高まり、皮膚浸透促進作用が高まったものと推測している。前記エステル油中、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有しているのが好ましく、脂肪酸残基及びアルコール残基の双方が分岐構造を有しているのがより好ましい。また、前記エステルを構成する脂肪酸及びアルコールのいずれについても多官能であってもよく、即ち、脂肪酸は2以上のカルボキシル基を有する多価脂肪酸であってもよく、又アルコールは2以上のヒドロキシ基を有する多価アルコールであってもよい。また、分子構造中に、環状構造や不飽和結合を有していてもよい。 前記脂肪酸エステル油の好ましい例には、炭素原子数8〜22(より好ましくは8〜18)の脂肪酸とアルコールとのエステルが含まれる。炭素原子数が前記範囲の脂肪酸の例には、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソミリスチン酸、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、2−ブチルヘキサン酸、オクチルドデカン酸、及びミリスチン酸などが含まれるがこれに限定するものではない。炭素原子数が前記範囲であり、且つ分岐構造を有する脂肪酸の例には、イソオクタン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソミリスチン酸、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、2−ブチルヘキサン酸、及びオクチルドデカン酸などが含まれる。炭素原子数が前記範囲であり、且つ分岐構造を有する脂肪酸が好ましく、中でも、イソノナン酸、イソミリスチン酸、及び2−エチルヘキサン酸が好ましい。 前記脂肪酸エステルを構成しているアルコールは、炭素原子数3〜30(より好ましくは3〜20)の一価又は多価アルコールであるのが好ましい。アルコールは、分岐構造を有していてもよく、分岐構造は、アルキル鎖中にあっても、又は2以上のヒドロキシ基が、1つの炭素原子に直接もしくはアルキレン鎖を介してそれぞれ結合することで形成される分岐構造であってもよい。前記エステル油を構成するアルコールが多価アルコールである場合は、少なくとも脂肪酸残基は分岐構造を有する。前記エステル油を構成するアルコールとしては、一価のアルコールが好ましく、分岐構造を有する一価のアルコールがより好ましい。好ましい一価アルコールの例には、カプリルアルコール、ミリスチルアルコール、イソノニルアルコール、イソトリデシルアルコール、イソプロピルアルコール、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール等が含まれるがこれに限定するものではない。中でも、イソノニルアルコール、イソトリデシルアルコール、イソプロピルアルコール、オレイルアルコールが好ましく、特に分岐構造を有するイソノニルアルコール、イソトリデシルアルコール、イソプロピルアルコールが好ましい。 また、前記脂肪酸エステルを構成する多価アルコールの例には、グリコール類、グリセリン類、及び糖アルコール等が含まれる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどのグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセリン類;キシリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、グルシトール、エリトリトールなどの糖アルコール;等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。 本発明に利用可能な脂肪酸エステル油の例には、 ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸メチルヘプチル、リンゴ酸ジイソステアリル等の直鎖脂肪酸と分岐構造を有するアルコールとのエステル;イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸メチルヘプチル、等の分構造を有する分枝脂肪酸とアルコールとのエステル;ネオペンタン酸オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、等の分岐構造を有する脂肪酸と分岐構造を有するアルコールとのエステル;トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジイソステアリン酸エチレングリコール、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、モノイソステアリン酸グリセリン、ジイソステアリン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ2−エチルへキサン酸ネオペンチルグリコール等の分岐構造を有する脂肪酸と多価アルコールとのエステル;等が含まれるが、これらに限定されるものではない。 本発明に使用可能な分岐構造を有する脂肪酸エステル油の分子量については特に制限はないが、200〜500程度であると低温でも液体の状態を維持できるため好ましく、また皮膚浸透促進効果の点では、250〜400程度であるのが好ましい。分子量が前記範囲の脂肪酸エステル油の例には、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等が含まれる。 前記分岐構造を有する脂肪酸エステル油のIOB値は、0.10〜0.50であるのが好ましく、0.10〜0.30であるとより好ましい。 なお、IOB値とは無機性(inorganic)と有機性(organic)のバランスを示す指標であり、IOBは、「Inorganic Organic Balance」の略である。IOB値は、いわばその油分(広義の油分を意味し、油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類などの狭義の油分は勿論のこと、一般のアルコールや脂肪酸などもその範疇に含まれる。)の極性の度合いを示す指標で、無機性の有機性に対する比率を表す値〔その油分の分子中の炭素原子1個について「有機性値」を20とし,同水酸基1個について「無機性値」を100として、これを基準とした他の置換基(無機性基)の無機性値に基づいて算出される値:〔(1)藤田著「有機分析」(1930年)カニヤ書店,(2)同著「有機化合物の予測と有機概念図(化学の領域11−10)」(1957年)719〜725頁,(3)藤田および赤塚著「系統的有機定性分析(純粋物篇)」487頁(1970年)風間書店,(4)甲田著「有機概念図−基礎と応用」227頁(1984年)三共出版,(5)矢口著「有機概念図による乳化処方設計」98頁(1985年)日本エマルジョン株式会社,(6)R.H.Ewell,J.M.Harrison,L.Berg:Ind Eng Chem 36,871(1944) 〕であり、具体的には、IOB値=その油分の無機性値/その油分の有機性値で表される。 IOB値が0.10〜0.50の分岐構造を有するエステル油の具体例としては、ミリスチン酸イソセチル(0.10)、ネオデカン酸オクチルドデシル(0.11)、2−エチルヘキサン酸セチル(0.13)、パルミチン酸エチルヘキシル(0.13)、ネオペンタン酸オクチルドデシル(0.13)、2−エチルヘキサン酸ヘキシルデシル(0.13)、ネオペンタン酸イソステアリル(0.14)、イソステアリン酸イソプロピル(0.15)、イソステアリン酸エチル(0.15)、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(0.15)、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン(0.16)、パルミチン酸イソプロピル(0.16)、イソノナン酸イソトリデシル(0.16)、テトライソステアリン酸ポリグリセリル−2(0.17)、ミリスチン酸イソプロピル(0.18)、イソノナン酸イソデシル(0.19)、イソノナン酸エチルヘキシル(0.20)、イソノナン酸イソノニル(0.20)、2−エチルヘキサン酸エチルヘキシル(0.20)、ネオペンタン酸イソデシル(0.22)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(0.25)、トリイソステアリン酸ジグリセン(0.26)、リンゴ酸ジイソステアリル(0.28)、ジイソステアリン酸グリセリン(0.29)、コハク酸ジ2−エチルヘキシル(0.32)、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(0.32)、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン(0.33)、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリト(0.35)、乳酸オクチルドデシル(0.36)、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(0.36)、アジピン酸ジイソプロピル(0.46)、2−エチルヘキサン酸2−ブチルプロパンジオール(0.48)などがあげられる。 本発明の皮膚浸透促進剤は、グリチルレチン酸ステアリルとともに、皮膚外用剤及び化粧料等に配合され、皮膚に適用した際に、グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透性を促進する。本発明の皮膚浸透促進剤とともにグリチルレチン酸ステアリルが配合された皮膚外用剤等は、グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透性が改善されているので、グリチルレチン酸ステアリルを皮膚内のターゲット部位(角質層や表皮)に効率よく貯留させることができる。これにより、グリチルレチン酸ステアリルの抗炎症作用をより高めることができる。 前記皮膚外用剤及び化粧料等には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料等の製剤に使用される成分、すなわち、水(精製水、温泉水、深層水等)、アルコール、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、PH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、抗炎症剤、活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等を加えることができる。 前記皮膚外用剤等の性状は液状、ゲル状、クリーム状、半固形状、固形状、スティック状、パウダー状等のいずれであってもよく、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、洗顔料、メーキャップ化粧料等の皮膚用化粧料に属する形態;シャンプー、ヘアートリートメント、ヘアースタイリング剤、養毛剤、育毛剤等の頭髪化粧料に関する形態;等とすることができる。また、前記皮膚浸透促進剤及びグリチルレチン酸ステアリルは、上記の各種化粧料に配合できる他、分散液、軟膏、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等の外用医薬品等に配合することもできる。 以下に、本発明の皮膚浸透促進剤の作用を評価するための試験例を挙げて、本発明をさらに詳細に記述するが、本発明はこれらになんら限定されるものではない。1.皮膚浸透促進性の評価(1)各試料液の準備 下記表に記載の種々の油剤に対して、グリチルレチン酸ステアリルを1(質量/質量)%溶解して、各試料液を準備した。(2)各試料液の評価 香粧会誌,31(1),1−7(2007)記載の藤井らの方法に従い、Yucatan micropig (YMP)皮膚(日本チャールズリバー社)の皮下組織及び皮下脂肪を取り除いた後、この皮膚をフランツ型セルにセットし、真皮側(レセプター相)にPBS、角層側(ドナー相)に上記各試料液の10μL/cm2を適用した。一定時間適用後、表皮と真皮とに分離し、HPLC(Jasco LC-2000plus PDA検出器)を用いて各部位に含まれるグリチルレチン酸ステアリル(GS)をそれぞれ定量した。 その他、上記実験については、「OECD In vitro 経皮吸収試験法」、「局所皮膚適用製剤の後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドライン」を参考にして実施した。 以下に、表皮に含まれていたグリチルレチン酸ステアリルの量(下記表中「GS量」)、温度20℃における油剤の表面張力、及び該油剤に対する温度25℃におけるグリチルレチン酸ステアリルの溶解度をそれぞれ示す。なお、油剤の表面張力は、画像処理式固液界面解析システム(協和界面科学社製)を用いてペンダント・ドロップ法により測定した。2.本発明の適用例美容オイル 以下の組成の美容オイルを、以下の製造方法に従って調製した。(成分) (質量%) 1.グリチルレチン酸ステアリル 0.5 2.イソノナン酸イソトリデシル 5.0 3.重質流動イソパラフィン 15.0 4.ジメチルポリシロキサン 5.0 5.天然ビタミンE 0.1 6.ホホバ油 残量(製造方法)A:成分2に成分1を溶解するB:成分3〜6を均一溶解後、成分Aを加え、美容オイルを得た。少なくとも1種の脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、及び温度20℃における表面張力が29.5mN/m以下であることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤。少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、及び前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油(100g)に対するグリチルレチン酸ステアリルの温度25℃における溶解度が1〜4gであることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤。少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、温度20℃における表面張力が29.5mN/m以下であり、及び前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油(100g)に対するグリチルレチン酸ステアリルの温度25℃における溶解度が1〜4gであることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤。温度20℃における表面張力が28.5mN/m以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚浸透促進剤。前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油が、分岐構造を有する脂肪酸と、アルコールとのエステルである請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚浸透促進剤。前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油が、炭素原子数8〜22の脂肪酸と、アルコールとのエステルである請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚浸透促進剤。前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油が、分岐構造を有する脂肪酸と、分岐構造を有するアルコールとのエステルである請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮膚浸透促進剤。前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油が、イソノナン酸及び2−エチルヘキサン酸から選ばれる脂肪酸と、イソプロピルアルコール、イソノニルアルコール、イソトリデシルアルコールから選ばれるアルコールとのエステルである請求項1〜7のいずれか1項に記載の皮膚浸透促進剤。 【課題】グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤の提供。【解決手段】少なくとも1種の脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、及び温度20℃における表面張力が29.5mN/m以下である、又は前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油(100g)に対するグリチルレチン酸ステアリルの温度25℃における溶解度が1〜4gであることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤である。【選択図】なし