生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_溶融塩中の1,10−フェナントロリンの定量方法
出願番号:2012001696
年次:2013
IPC分類:G01N 21/78,G01N 31/00,G01N 31/22


特許情報キャッシュ

野島 浩志 杉原 崇康 大濱 理 JP 2013142562 公開特許公報(A) 20130722 2012001696 20120107 溶融塩中の1,10−フェナントロリンの定量方法 住友電気工業株式会社 000002130 二島 英明 100116366 森田 剛史 100139387 小副川 みさ子 100144691 戸谷 昌弘 100146802 荻野 誠司 100157794 川口 顕 100159374 野島 浩志 杉原 崇康 大濱 理 G01N 21/78 20060101AFI20130625BHJP G01N 31/00 20060101ALI20130625BHJP G01N 31/22 20060101ALI20130625BHJP JPG01N21/78 ZG01N31/00 VG01N31/22 122G01N31/00 Y 6 OL 8 2G042 2G054 2G042AA01 2G042BD12 2G042BD16 2G042CA10 2G042CB03 2G042FA11 2G042FB02 2G042GA01 2G042HA07 2G054AA02 2G054BB10 2G054BB13 2G054CA30 2G054CD04 2G054CE02 2G054EA04 2G054EB05 2G054GB01 2G054JA06 本発明は1,10−フェナントロリンの定量方法、特に溶融塩に含まれる1,10−フェナントロリンの定量方法に関する。 アルミニウムは導電性、耐腐食性に優れており、また軽量な材料であるから種々の用途に使用されている。例えばリチウムイオン電池には、アルミニウム箔の表面にコバルト酸リチウム等の活物質を塗布したものが正極材料として使用されている。またアルミニウム箔に代えて、アルミニウムの多孔体を正極材料に使用することで電池の大容量化を行うことも検討されている。また、鉄などの金属製品の寿命を伸ばすため、電気化学的に卑であるアルミニウムを金属表面にめっきして耐食性を向上することも検討されている。 アルミニウムのめっきは、アルミニウムの酸素に対する親和力が大きく電位が水素より低いために水溶液系のめっき浴で電気めっきを行うことが困難である。このため、従来よりアルミニウムの電気めっきは非水溶液系のめっき浴で検討が行われている。例えば、金属の表面の酸化防止などの目的でアルミニウムをめっきする技術として、特許文献1にはオニウムハロゲン化物とアルミニウムハロゲン化物とを混合溶融した低融点組成物(溶融塩)をめっき浴として用い、陰極にアルミニウムを析出させることを特徴とする電気アルミニウムめっき方法が開示されている。 めっき表面の平滑性を上げるため、めっき浴中には種々の添加剤が添加される。特許文献2には、溶融塩メッキ浴中に光沢剤を含有するアルミニウムめっき浴が開示されている。光沢剤としては脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒド、含窒素不飽和複素環化合物等が例示されており、光沢剤のめっき浴中濃度は0.001〜0.1モル/lの範囲が好ましいと記載されている。特許第3202072号公報特開2009−173977号公報 本発明者らは溶融塩浴中でのアルミニウムめっき条件を検討した結果、溶融塩中に1,10−フェナントロリンを一定の濃度で含有させることでめっき表面の平滑性が向上することを見いだした。表面の平滑性を保ち、良好で均一な品質のアルミニウムめっき膜を得るためには溶融塩めっき浴中の1,10−フェナントロリン量を一定の範囲に保つ必要があり、溶融塩中の1,10−フェナントロリン量を簡便な方法で定量することが求められている。 しかし溶融塩は反応性が高く、特に水と接触すると激しく反応するのでそのまま一般的な分析機器を用いて種々の特性を測定することは困難である。また溶融塩浴中には無機物である溶融塩と有機物である添加剤など種々の材料が存在しており、不純物の影響により正確な定量分析を行いにくい。 そこで本発明は、反応性が高い溶融塩中に含まれる1,10−フェナントロリンの量を簡便な方法で精度良く測定するための分析方法を提供することを課題とする。 本発明は、1,10−フェナントロリンを含有する溶融塩試料を水で10倍以上の体積に希釈する希釈工程と、2価の鉄イオンを含む発色剤を前記希釈後の液に添加する添加工程と、前記発色剤が添加された液を60℃以上の温度で10時間以上加熱する加熱工程と、吸光光度測定により前記加熱工程後の液に含まれる1,10−フェナントロリンの量を定量する定量工程とを有する、溶融塩中の1,10−フェナントロリンの定量方法である。 1,10−フェナントロリンは鉄イオンと錯体を形成して呈色反応を示す。したがって単純に水中に含まれている1,10−フェナントロリン量を定量するのであれば分析対象となる水溶液に鉄イオンを含む発色剤を添加して呈色反応を行った後、吸光光度分析等の方法で定量分析が可能であると予想される。しかし溶融塩と1,10−フェナントロリンとが共存した試料ではこのような方法は採用できない。 本発明者らは、溶融塩試料を10倍以上の体積に希釈すれば溶融塩の反応性が抑えられ、その後の操作を容易に行えることを見いだした。また10倍以上の体積に希釈すれば試料溶液中に溶融塩が共存していても鉄と1,10−フェナントロリンとの呈色反応(錯体形成反応)が可能となることを見いだした。 しかし水で希釈した溶融塩試料は分析対象である有機物の1,10−フェナントロリンと無機物である溶融塩とが共存した状態であるので溶融塩成分によって鉄と1,10−フェナントロリンとの錯体形成反応が阻害されて反応がゆっくりとしか進行せず、吸光度が安定するまでに10日以上の時間がかかる。そこで液の温度を60℃以上として10時間以上加熱することで、溶融塩による影響を受けず反応を充分に進行させて吸光度を安定化できることを見いだした。 定量工程は、標準添加法で行うことが好ましい(請求項2)。標準添加法で定量すると溶融塩等の他の共存物質の影響が少なくなり、精度良く1,10−フェナントロリン量を定量できる。 前記添加工程において、添加する発色剤量を、1,10−フェナントロリンの予想含有量から見積もった鉄の必要量(1,10−フェナントロリンの予想含有量の1/3モル)に対してモル比で1倍以上7倍以下とすることが好ましい(請求項3)。1,10−フェナントロリンと鉄とはモル比3:1で錯体を形成する。従って鉄の必要量はモル比で1,10−フェナントロリンの1/3であるが、鉄を過剰量とすることで錯体形成の反応速度を上げることができるためモル比で必要量(1,10−フェナントロリンの1/3)倍以上とすることが好ましい。また発色剤量が多すぎるとコストが高くなるため上限はモル比で必要量の7倍程度である。 前記希釈工程と前記添加工程との間に、不溶解物をフィルタ濾過する濾過工程を有すると更に好ましい(請求項4)。ウレタン等の有機材料の表面にアルミニウムをめっきするためのめっき浴が分析対象の溶融塩試料である場合、水で希釈した液には有機材料に由来する不純物が不溶解物として存在することがある。このような不溶解物をフィルタ濾過して除去しておくと、発色剤と1,10−フェナントロリンとの反応が良好に進行すると共に、反応後の吸光度を精度良く測定することができる。 発色剤は硫酸アンモニウム鉄(II)であると好ましい(請求項5)。発色剤としては2価の鉄イオンを含む任意の塩を使用可能であるが、硫酸アンモニウム鉄(II)が取扱いのしやすさ、コストの面で好ましい。また溶融塩は窒素を含有した溶融塩が好ましく、中でもイミダゾリウム塩と塩化アルミニウムとの混合塩が好ましく用いられる(請求項6)。 本発明によれば、溶融塩試料中に含まれる1,10−フェナントロリンの量を、不純物の影響を低減して簡便な方法で精度良く測定することができる。標準添加法での定量方法を説明するグラフである。反応時間と吸光光度との関係を示すグラフである。 以下、本発明の実施の形態をウレタン発泡体等の樹脂多孔体表面にアルミニウムをめっきするための溶融塩めっき浴を分析対象として説明する。なお本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。 溶融塩としては塩化アルミニウムと有機塩との混合塩(共晶塩)を使用する。比較的低温で溶融する有機溶融塩浴を使用すると基材である樹脂多孔体を分解することなくめっきができ好ましい。有機塩としてはイミダゾリウム塩、ピリジニウム塩等が使用できる。なかでも1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド(EMIC)、ブチルピリジニウムクロライド(BPC)が好ましく使用できる。この溶融塩中に1,10−フェナントロリンを添加する。1,10−フェナントロリンの添加量は特に制限されないが、0.25g/l以上7g/l以下とすることが好ましい。 上記の溶融塩試料を採取し、水で10倍以上の体積に希釈する。溶融塩と水とが接触すると反応して発熱するため、冷却しながら水と溶融塩試料とを混合すると良い。また溶融塩試料中に水を添加するのでなく、ピペット等を用いて溶融塩試料を少しずつ水の中に滴下すると反応時の発熱を抑えることができて好ましい。溶融塩試料の採取量及び希釈する水の量は、吸光光度測定に必要なサンプル量を考慮して適宜決定する。 水で希釈した溶融塩試料をフィルタ濾過して不溶解物を除去する。水系のフィルタを使用すると好ましい。フィルタの孔径は不溶解物の粒径に応じて適宜選択する。このフィルタ濾過工程は省略しても良い。 2価の鉄イオンを含む発色剤を希釈後の溶融塩試料に添加する。2価の鉄イオンを含む発色剤としては、硫酸アンモニウム鉄(II)、硫酸第1鉄、塩化第1鉄、臭化第1鉄等を使用できる。これらの化合物は無水物又は水和物として使用する。 混合した液を60℃以上の温度で10時間以上加熱する。温度が高いほど鉄と1,10−フェナントロリンとの反応は進行しやすくなるが、温度が高すぎると加熱時に水が蒸発して濃度が変化するため、加熱温度は100℃未満、好ましくは90℃未満とする。また加熱時の水の蒸発を防ぐため、混合液を密閉容器に入れて加熱することが好ましい。この加熱工程において鉄と1,10−フェナントロリンとが反応して錯体を形成し、着色する。 加熱後の液を冷却し、吸光光度を測定して1,10−フェナントロリン量を定量する。吸光光度測定の前にフィルタ濾過して加熱工程で生じた不溶解物を除去すると、吸光光度測定が精度良く行えて好ましい。1,10−フェナントロリン濃度を適宜変更して作製した試料の吸光光度測定によりあらかじめ作成した検量線に基づいて1,10−フェナントロリン量を定量できる。また標準添加法を用いて定量すると、共存する不純物の影響を低減することができる。以下標準添加法による定量方法の一例について説明する。 標準添加法では、分析対象となる試料溶液に標準試料(1,10−フェナントロリン)を0(添加しない)、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm添加した試料を作製する。それぞれの試料について希釈工程、添加工程、加熱工程を行って吸光光度測定サンプルを作製し、それぞれの吸光光度を測定して、添加濃度と吸光光度との関係をグラフにプロットして検量線を作成する。図1は標準添加法での定量方法を説明するためのグラフであり、横軸は添加濃度(ppm)、縦軸は吸光光度である。この検量線上で信号強度が0になる濃度の絶対値(図1では1ppm)が測定結果とする濃度である。 次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。実施例は本発明の範囲を限定するものではない。 (実施例1) 塩化アルミニウム(AlCl3)とエチルメチルイミダゾリウムクロライド(EMIC)とを67mol%:33mol%の割合で混合した溶融塩に、1,10−フェナントロリンを5g/lの濃度となるように添加して溶融塩試料とした。容量50mlのバイアル瓶に蒸留水15mlを入れ、水冷しながら上記の溶融塩試料1mlを1滴ずつ滴下して溶融塩の水希釈液を作製した。この工程により1mlの溶融塩試料が15mlの水中に存在していると計算している。希釈後のサンプルを孔径0.45μmの水系ディスクフィルタで濾過して不溶解物を除去した後、容量50mlのメスフラスコに入れた。 硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物を0.050g秤量して上記のメスフラスコ中に添加し、攪拌して溶解した。さらに水を添加して体積を50mlに調整した後、液を25ml採取して密閉可能なバイアル瓶に入れ、ネジシールで封印した後60℃恒温槽内で加熱処理した。1時間、2時間、3時間、5時間、7時間、15時間、25時間経過後の液を採取して吸光光度を測定した。 1,10−フェナントロリン濃度を0g/l〜0.6g/lの範囲とした水溶液に過剰量の硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物を加えて反応させた液の吸光光度を測定して検量線を作成した。この検量線から上記サンプルの理論的な吸光光度を算出した。 (比較例1) 実施例1と同様に溶融塩試料を水で希釈して硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物と反応させて体積を50mlに調整した液をバイアル瓶に入れて室温で放置し、1時間、2時間、3時間、5時間、7時間、15時間、25時間経過後の液を採取して吸光光度を測定した。 実施例1及び比較例1の測定結果について、経過時間を横軸、吸光光度を縦軸としたグラフを図2に示す。検量線から算出したサンプルの理論的な吸光光度は1.4である。60℃で加熱処理した実施例1では、7時間経過後には吸光光度は理論値に近づいており、10時間経過後以降は吸光光度が安定している。これに対し、室温で反応させた比較例1では25時間経過後でも吸光光度は理論値には達していない。更に経過時間を長くして1日後〜10日後までの吸光光度の経時変化を測定したところ、10日後になってようやく吸光光度が理論値1.4近傍で安定化することがわかった。 (実施例2) 溶融塩中に1,10−フェナントロリンを5g/lの濃度で加え、さらに不純物としてウレタンを2g/l溶解した溶融塩試料を用いて実施例1と同様に吸光光度測定サンプルを作製した。同時に、溶融塩試料中に5g/l、10g/l、15g/lの1,10−フェナントロリンをさらに添加した標準サンプルを作成して同様の操作を行って吸光光度を測定した。1,10−フェナントロリン添加量と吸光光度とから検量線を作成し、検量線上で信号強度が0になる濃度の絶対値から溶融塩中の1,10−フェナントロリン濃度を算出したところ、理論値と一致することを確認した。 1,10−フェナントロリンを含有する溶融塩試料を水で10倍以上の体積に希釈する希釈工程と、 2価の鉄イオンを含む発色剤を前記希釈後の液に添加する添加工程と、 前記発色剤が添加された液を60℃以上の温度で10時間以上加熱する加熱工程と、 吸光光度測定により前記加熱工程後の液に含まれる1,10−フェナントロリンの量を定量する定量工程と、を有する、溶融塩中の1,10−フェナントロリンの定量方法。 前記定量工程を標準添加法で行うことを特徴とする、請求項1に記載の溶融塩中の1,10−フェナントロリンの定量方法。 前記添加工程において、添加する発色剤量を、1,10−フェナントロリンの予想含有量から見積もった鉄の必要量(1,10−フェナントロリンの予想含有量の1/3モル)に対してモル比で1倍以上7倍以下とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の溶融塩中の1,10−フェナントロリンの定量方法。 前記希釈工程と前記添加工程との間に、不溶解物をフィルタ濾過する濾過工程を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶融塩中の1,10−フェナントロリンの定量方法。 前記発色剤が硫酸アンモニウム鉄(II)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶融塩中の1,10−フェナントロリンの定量方法。 前記溶融塩はイミダゾリウム塩と塩化アルミニウムとの混合塩である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶融塩中の1,10−フェナントロリンの定量方法。 【課題】反応性が高い溶融塩中に含まれる1,10−フェナントロリンの量を簡便な方法で精度良く測定するための分析方法を提供すること。【解決手段】1,10−フェナントロリンを含有する溶融塩試料を水で10倍以上の体積に希釈する希釈工程と、2価の鉄イオンを含む発色剤を前記希釈後の液に添加する添加工程と、前記発色剤が添加された液を60℃以上の温度で10時間以上加熱する加熱工程と、吸光光度測定により前記加熱工程後の液に含まれる1,10−フェナントロリンの量を定量する定量工程と、を有する、溶融塩中の1,10−フェナントロリンの定量方法。【選択図】 なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る