生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_α−ケトピメリン酸の製造
出願番号:2011553966
年次:2012
IPC分類:C12P 7/50


特許情報キャッシュ

ラエマカースフランケン, ペトロネラ カタリナ シュールマン, マーティン トレフツァー, アクセル クリストフ デ ウィルデマン, ステファン マリー アンドレ JP 2012520069 公表特許公報(A) 20120906 2011553966 20100311 α−ケトピメリン酸の製造 ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. 503220392 池田 成人 100107456 山口 和弘 100148596 野田 雅一 100123995 清水 義憲 100128381 ラエマカースフランケン, ペトロネラ カタリナ シュールマン, マーティン トレフツァー, アクセル クリストフ デ ウィルデマン, ステファン マリー アンドレ EP 09154840.4 20090311 EP 09170092.2 20090911 EP 09180441.9 20091222 C12P 7/50 20060101AFI20120810BHJP JPC12P7/50 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW NL2010050126 20100311 WO2010104390 20100916 73 20111025 4B064 4B064AD50 4B064CA19 4B064CB30 4B064CD07 4B064DA20発明の詳細な説明 本発明は、α−ケトピメリン酸(以下、「AKP」とも称される;AKPはまた、2−オキソヘプタン二酸としても知られる)の製造方法に関する。本発明はさらに、5−ホルミルペンタン酸(以下、「5−FVA」とも称される)の製造方法及び6−アミノカプロン酸(以下、「6−ACA」とも称される)の製造方法に関する。本発明はまた、ジアミノヘキサン(1,6−ヘキサンジアミンとしても知られる)の製造方法にも関する。本発明はさらに、本発明に係る方法において使用され得る異種細胞に関する。本発明はさらに、ε−カプロラクタム(以下、「カプロラクタム」とも称される)、6−アミノカプロン酸又はジアミノヘキサンの製造における異種細胞の使用に関する。 ジアミノヘキサンは、とりわけナイロン6,6などのポリアミドの生成に使用される。他の使用法としては、他の構成成分(例えばヘキサメチレンジイソシアネート)の出発物質としての使用及びエポキシド架橋剤としての使用が挙げられる。公知の製造方法は、アクリロニトリルからアジポニトリルを介して進められる。 カプロラクタムは、ポリアミド、例えばナイロン−6又はナイロン−6,12(カプロラクタムとラウロラクタムとの共重合体)の生成に使用され得るラクタムである。バルク化学物質からのカプロラクタムの様々な製造法が当該技術分野において公知であり、シクロヘキサノン、トルエン、フェノール、シクロヘキサノール、ベンゼン又はシクロヘキサンからのカプロラクタムの製造が含まれる。これらの中間化合物は、概して鉱油から得られる。より持続可能性の高い技術を使用した材料の製造が一層求められていることを踏まえ、生物学的に再生可能な資源から得ることができる中間化合物から、又は少なくとも、生化学的方法を使用してカプロラクタムに変換される中間化合物からカプロラクタムが製造される方法を提供することが望ましいであろう。さらに、石油化学由来のバルク化学物質を利用する従来の化学プロセスと比べて所要エネルギーが少ない方法を提供することが望ましいであろう。 6−ACAからのカプロラクタムの製造は、例えば米国特許第6,194,572号明細書に記載されるとおり公知である。国際公開第2005/068643号パンフレットに開示されるとおり、6−ACAは、α,β-エノエートレダクターゼ活性を有する酵素の存在下で6−アミノヘキサ−2−エン酸(6−AHEA)を変換することにより生化学的に製造され得る。6−AHEAはリジンから、例えば生化学的に、又は純粋な化学合成により製造され得る。6−AHEAの還元を介した6−ACAの製造は国際公開第2005/068643号パンフレットに開示される方法により実現可能であるが、本発明者らは、6−AHEAが(還元反応条件下では)自発的及び実質的に不可逆的に環化して望ましくない副生成物、特にβ−ホモプロリンを形成し得ることを見出した。この環化は6−ACAの生成において障害となり得ると共に、収率の著しい損失をもたらし得る。 本発明者らは、AKPから6−ACAを製造することが可能であることを見出した。AKPは、例えばH.Jaegerら Chem.Ber.1959年、92、2492−2499頁により記載されるとおりの方法に基づき化学的に製造することができる。AKPは、ナトリウムエトキシドを塩基として使用してシュウ酸ジエチルによりシクロペンタノンをアルキル化し、得られた生成物を強酸(2MのHCl)で還流し、生成物を例えばトルエンから結晶化させることにより回収して製造することができる。しかしながら、上記に指摘されるとおり、より持続可能性の高い技術を使用した材料の製造が一層求められている。従って、本発明者らは、生物学的に再生可能な資源から得ることのできる中間化合物からAKPを製造する方法を提供することが望ましいであろうと認識した。 本発明の目的は、特に、6−ACA、ジアミノヘキサン又は別の化合物の製造に使用し得るAKPの新規製造方法を提供することである。 さらに、AKPの製造方法における1つ又は複数の反応工程を触媒するのに好適な新規生体触媒を提供することも目的である。 本発明において解決され得る1つ又は複数のさらなる目的は、以下の記載から得られる。 本発明者らは、特定の生体触媒を使用してAKPを製造することが可能であることを見出した。 従って、本発明は、α−ケトグルタル酸(AKG)をα−ケトアジピン酸(AKA)に変換する工程と、α−ケトアジピン酸をα−ケトピメリン酸に変換する工程とを含むAKPの製造方法であって、これらの変換の少なくとも1つが、生体触媒、特に異種生体触媒を使用して実行される方法に関する。 AKPは、例えば、5−ホルミルペンタン酸(5−FVA)の製造における中間体として使用され得る。 従って、本発明はさらに、本発明に係る方法で製造されたAKPの生体触媒的な脱炭酸により5−FVAを形成する工程を含む5−FVAの製造方法に関する。 5−FVAは、例えば、6−ACA、カプロラクタム又はジアミノヘキサンの製造に好適な中間化合物である。 AKPは、例えば、α−アミノピメリン酸(AAP)の製造における中間体として使用され得る。 従って、本発明はさらに、本発明に係る方法で製造されたAKPの生体触媒的なアミノ基転移によりAAPを形成する工程を含むAAPの製造方法に関する。 AAPは、例えば、6−ACA、又はカプロラクタムの製造に好適な中間化合物である。 6−ACAは、例えば、カプロラクタム又はジアミノヘキサンに変換され得る。 本発明はさらに、α−ケトグルタル酸からのα−ケトピメリン酸の製造における少なくとも1つの反応工程の触媒能を有する1つ又は複数の異種酵素をコードする1つ又は複数の異種核酸配列を含む異種細胞を提供する。 かかる細胞は、特に、AKP、5−FVA、6−ACA、ジアミノヘキサン及びカプロラクタムの群から選択される少なくとも1つの化合物の製造方法において生体触媒として使用され得る。 本発明において、6−ACA及び場合によりカプロラクタムを形成するとき、収率の損失をもたらす中間生成物の望ましくない環化に関する問題は何ら認められていない。 本発明の方法により、国際公開第2005/68643号パンフレットに記載される方法と同等の、又はさらにはそれより高い収率が可能となることが想定される。本発明の方法は、生体である生物が利用される場合に、特に生物の増殖及び維持が取り入れられる方法において、特に有利であろうことが想定される。 さらに、本発明の実施形態において、本発明の方法における6−ACAの生成能力(形成されるg/l.h)は向上するであろうことが想定される。 用語「又は」は、本明細書で使用されるとき、特に指定のない限り「及び/又は」として定義される。 用語「a」又は「an」は、本明細書で使用されるとき、特に指定のない限り「少なくとも1つ」として定義される。 名詞(例えば、化合物、添加剤等)を単数形で参照する場合、複数形が含まれることが意図される。従って、特定の部分、例えば「化合物」を参照するとき、それは、特に指定のない限り、当該部分のうちの「少なくとも1つ」、例えば「少なくとも1つの化合物」を意味する。 本明細書においてカルボン酸又はカルボキシレート、例えば、6−ACA、他のアミノ酸、5−FVA、コハク酸/コハク酸塩、酢酸/酢酸塩を参照するとき、それらの用語は、特に指定のない限り、プロトン化カルボン酸(遊離酸)、対応するカルボキシレート(その共役塩基)並びにその塩を含むことが意図される。同様に、アミンを参照するとき、それは、プロトン化アミン(典型的にはカチオン性、例えばR−NH3+)及び非プロトン化アミン(典型的には非荷電性、例えばR−NH2)を含むことが意図される。アミノ酸、例えば6−ACAを参照するとき、この用語は、その双性イオン形態にあるアミノ酸(アミノ基がプロトン化された形態にあり、且つカルボキシレート基が脱プロトン化された形態にある)、アミノ基がプロトン化された形態にあり、且つカルボン酸基がその中性形態にあるアミノ酸、及びアミノ基がその中性形態にあり、且つカルボキシレート基が脱プロトン化された形態にあるアミノ酸、並びにそれらの塩を含むことが意図される。 異性体がいくつか存在する(例えばシス及びトランス異性体、R及びS鏡像異性体)化合物を参照するとき、化合物は、原則的に、本発明の特定の方法において使用され得る全ての当該化合物の鏡像異性体、ジアステレオマー及びシス/トランス異性体を含む。 酵素について、括弧内の酵素クラス(EC)を参照して言及されるとき、その酵素クラスは、Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology(NC−IUBMB)により提供される酵素命名法(この命名法はhttd://www.chem.qmul.ac.uk/iubmb/enzyme/において見ることができる)に基づきその酵素が分類されるか、又は分類され得るクラスである。特定のクラスに(まだ)分類されていないが、そのように分類され得る他の好適な酵素は、包含されることが意図される。 本明細書においてタンパク質又は遺伝子が受託番号を参照することによって参照される場合、その番号は、詳細には、特に指定のない限り2008年3月11日付けUniprotに掲載されるとおりの配列を有するタンパク質又は遺伝子を参照して使用される。 本明細書で使用されるとき、核酸の「機能的アナログ」という用語は、少なくとも、同じアミノ酸配列を有する酵素をコードする他の配列と、かかる酵素のホモログをコードする他の配列とを含む。 用語「ホモログ」は、本明細書では特に、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、詳細には少なくとも85%、さらに詳細には少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有するポリヌクレオチド又はポリペプチドについて使用される。用語ホモログはまた、遺伝子コードの縮重に起因して別の核酸配列と区別される核酸配列(ポリヌクレオチド配列)であって、且つ同じポリペプチド配列をコードする核酸配列を含むことが意図される。 配列同一性又は類似性は、本明細書では、配列を比較することにより決定されるとおりの2つ以上のポリペプチド配列間又は2つ以上の核酸配列間の関係として定義される。通常、配列同一性又は類似性は配列の長さ全体にわたり比較されるが、しかしながら互いに整列させた配列の一部のみが比較されてもよい。当該技術分野では、「同一性」又は「類似性」はまた、場合によっては、かかる配列間の一致により決定されるとおりのポリペプチド配列間又は核酸配列間における配列の関連性の程度も意味する。同一性又は類似性の好ましい決定方法は、試験配列間の一致が最大となるように設計される。本発明との関連において、2つの配列間の同一性及び類似性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法としては、BLASTP及びBLASTN(Altschul,S.F.ら、J.Mol.Biol、1990年、215、403−410頁、NCBI及び他のソースで公開されている(BLAST Manual、Altschul,S.ら、NCBI NLM NIH Bethesda、MD 20894)が挙げられる。BLASTPを使用したポリペプチド配列比較に好ましいパラメータは、ギャップ開始10.0、ギャップ伸長0.5、Blosum 62行列である。BLASTNを使用した核酸配列比較に好ましいパラメータは、ギャップ開始10.0、ギャップ伸長0.5、DNA完全行列(full matrix)(DNA単位行列(identity matrix))である。 異種生体触媒、特に異種細胞は、本明細書で使用されるとき、異種タンパク質又は異種核酸を(通常、その細胞のDNA又はRNAの一部として)含む生体触媒である。用語「異種」は、核酸配列(DNA又はRNA)、又はタンパク質に関して使用されるとき、その核酸又はタンパク質の存在を含む生物、細胞、ゲノム又はDNA若しくはRNA配列の一部として天然には存在することのない核酸又はタンパク質、又は自然界においてその核酸又はタンパク質が見られる細胞、又はゲノム又はDNA若しくはRNA配列中の1つ又は複数の位置とは異なる細胞又は位置に見られる核酸又はタンパク質を指す。異種生物の異種DNAは、当該異種生物のゲノムの一部であることが理解される。異種核酸又は異種タンパク質は、それが導入される細胞にとって内因性ではなく、別の細胞から得られたか、又は合成若しくは組換えにより産生されたものである。概して、必須ではないが、かかる核酸は、そのDNAの転写又は発現を行う細胞によっては通常は産生されないタンパク質をコードする。同様に異種RNAは、その異種RNAの存在を含む細胞中では通常は発現しないタンパク質をコードする。異種核酸及び異種タンパク質はまた、外来核酸又は外来タンパク質とも称され得る。本明細書では、その核酸又はタンパク質の発現を行う細胞にとって異種性又は外来性であるものとして当業者が認識するであろう任意の核酸又はタンパク質が、異種核酸又は異種タンパク質の用語に包含される。 特定の供給源由来の酵素又は別の生体触媒部分が参照されるとき、第1の生物に由来するが、実際には(遺伝的に修飾された)第2の生物で産生される組換え酵素又は他の組換え生体触媒部分は、具体的には、当該の第1の生物由来の酵素又は他の生体触媒部分として包含されることが意図される。 本発明の方法では、生体触媒が使用され、すなわち方法における少なくとも1つの反応工程が、生物学的供給源、例えば生物又はそれから誘導された生体分子から誘導された生物学的材料又は部分により触媒される。生体触媒は、特に1つ又は複数の酵素を含み得る。生体触媒反応は、少なくとも1つが生体触媒により触媒される1つ又は複数の化学変換を含み得る。従って「生体触媒」は、AKGからのAKPの製造における少なくとも1つの反応工程、AKPからの5−FVA又はAAPの製造における少なくとも1つの反応工程、5−FVAからの6−ACAの製造における少なくとも1つの反応工程、AAPからの6−ACAの製造における少なくとも1つの反応工程又は6−ACAからのカプロラクタムの製造における少なくとも1つの反応工程の化学反応を加速させ得る。 生体触媒はいかなる形態で使用されてもよい。ある実施形態では、1つ又は複数の酵素が生体の一部(生細胞全体など)を形成する。酵素は細胞内部で触媒機能を果たし得る。また、酵素は、その細胞が存在する培地中に分泌され得る可能性もある。ある実施形態では、1つ又は複数の酵素は天然環境から単離され(その酵素を産生した生物から単離され)、例えば、溶液、乳濁液、分散体、凍結乾燥細胞(の懸濁液)、ライセートとして、又は担体上に固定化されて用いられる。その由来である生物から単離された酵素の使用は、反応平衡を所望の側にシフトさせるための反応条件の調整における自在性が高まることをふまえると、特に有用であり得る。 生細胞は、増殖細胞、静止若しくは休眠細胞(例えば芽胞)又は固定相中の細胞であってもよい。また、透過処理された(すなわちその酵素の基質又はその1つ若しくは複数の酵素の基質前駆体に対して透過可能にされた)細胞の一部を形成する酵素を使用することも可能である。 生体触媒(本発明の方法で使用されるもの)は、原則的に任意の生物であってよく、又は任意の生物から採取若しくは誘導されてもよい。この生物は天然に存在する生物であっても、又は異種生物であってもよい。異種生物は、典型的には、本発明の方法における少なくとも1つの反応工程の触媒能を有する異種酵素をコードする少なくとも1つの核酸配列を含む宿主細胞である。異種核酸配列が由来する生物は真核生物であっても、又は原核生物であってもよい。詳細には、前記生物は、動物(ヒトを含む)、植物、細菌、古細菌、酵母及び真菌から独立して選択され得る。 宿主細胞は真核性であっても、又は原核性であってもよい。ある実施形態では、宿主細胞は、真菌、酵母、鞭毛虫、古細菌及び細菌の群から選択される。宿主細胞は、詳細には、アスペルギルス属(Aspergillus)、ペニシリウム属(Penicillium)、ウスチラゴ属(Ustilago)、セファロスポリウム属(Cephalosporium)、トリコフィツム属(Trichophytum)、ペシロミセス属(Paecilomyces)、ピキア属(Pichia)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、カンジダ属(Candida)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、ヤロウイア属(Yarrowia)、バチルス属(Bacillus)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、エシェリキア属(Escherichia)、アゾトバクター属(Azotobacter)、フランキア属(Frankia)、リゾビウム属(Rhizobium)、ブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)、アナベナ属(Anabaena)、シネコシスティス属(Synechocystis)、ミクロキスティス属(Microcystis)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ロドバクター属(Rhodobacter)、シュードモナス属(Pseudomonas)、サーマス属(Thermus)、デイノコッカス属(Deinococcus)、グルコノバクター属(Gluconobacter)、メタノスファエラ属(Methanosphaera)、メタノブレビバクター属(Methanobrevibacter)、メタノスピリラム属(Methanospirillum)、メタノコッカス属(Methanococcus)、メタノバクテリウム属(Methanobacterium)、メタノカルドコッカス属(Methanocaldococcus)及びメタノサルシナ属(Methanosarcina)からなる属の群から選択され得る。特に、本発明の方法で使用される宿主株、ひいては宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli)、アゾトバクター・ビネランジイ(Azotobacter vinelandii)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、アナベナ・エスピー(Anabaena sp.)、シネコシスティス・エスピー(Synechocystis sp.)、ミクロキスティス・エルギノーサ(Microcystis aeruginosa)、デイノコッカス・ラディオウランス(Deinococcus radiourans)、デイノコッカス・ゲオサーマリス(Deinococcus geothermalis)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・メタノリカス(Bacillus methanolicus)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、ペニシリウム・ノタツム(Penicillium notatum)、ペシロミセス・カルネウス(Paecilomyces carneus)、セファロスポリウム・アクレモニウム(Cephalosporium acremonium)、ウスチラゴ・マイディス(Ustilago maydis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)、ヤロウイア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、スルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautothrophicum)、メタノコッカス・マリパルディス(Methanococcus maripaludis)、メタノカルドコッカス・ジャナシイ(Methanocaldococcus jannashii)、メタノスファエラ・スタドトマナエ(Methanosphaera stadtmanae)、メタノコッカス・ボルタエ(Methanococcus voltae)、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans)、メタノサルシナ・バルケリ(Methanosarcina barkeri)、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans)、メタノスピリラム・フンガテイ(Methanospirillum hungatei)、メタノサエタ・サーモフィラ(Methanosaeta thermophila)、メタノブレビバクター・スミシイ(Methanobrevibacter smithii)、メタノコッカス・バンニエリイ(Methanococcus vannielii)、メタノコッカス・エオリカス(Methanococcus aeolicus)及びメタノサルシナ・マゼイ(Methanosarcina mazei)宿主細胞の群から選択され得る。 特に、AKPがさらなる生成物、例えば5−FVA、AAP、ジアミノヘキサン又は6−ACAに変換される実施形態では、宿主細胞が、AKPをかかる生成物に変換する能力を天然に有するか、又は少なくとも、必要な反応のうちの少なくとも1つを触媒する能力を有する生物であることが有利であると考えられる。例えば、大腸菌(Escherichia coli)はアミノトランスフェラーゼ活性を有し、それにより大腸菌(E.coli)は、AKPからのAAPの形成(以下も参照のこと)又は5−FVA(細胞が好適なデカルボキシラーゼも含有する場合、これは細胞中で形成され得る。以下も参照のこと)の6−ACAへの変換を触媒し得る。 有利には、宿主細胞は、リジン生合成のためのアミノアジピン酸経路(AAA経路とも称される)又はその一部を触媒する生体触媒を含む生物(下等真核生物:真菌、酵母、鞭毛虫;特定の細菌、例えばサーマス属(Thermus)、デイノコッカス属(Deinococcus);古細菌(Archaea)など)、又はニトロゲナーゼを介した窒素固定のための生体触媒を含む生物である。 好ましい実施形態において、宿主細胞はAAA経路のフラックスが高い生物、例えば、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、ウスチラゴ・マイディス(Ustilago maydis)又はリジン産生に適合した、好ましくは最適化された生物である。高いフラックスは、選択された産生条件下にそれぞれの生物内で細胞タンパク質を生合成するために必要なリジンの供給速度の少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも100%として定義される。 好ましい実施形態において、宿主細胞は高レベルのホモシトレートを生成する生物であり、天然に存在する生物であっても、又は異種生物であってもよい。かかる生物は、ニトロゲナーゼ又はそのホモログに見られる必須補因子の形成に必要なホモクエン酸シンターゼを発現させることにより得ることができる。 ある実施形態において、宿主細胞は、動物、特にその一部−例えば、肝臓、膵臓、脳、腎臓、心臓又は他の臓器に由来する異種核酸配列を含む。動物は、詳細には哺乳動物の群から選択されてもよく、さらに詳細には、ウサギ科(Leporidae)、ネズミ科(Muridae)、イノシシ科(Suidae)及びウシ科(Bovidae)の群から選択されてもよい。 ある実施形態において、宿主細胞は、植物に由来する異種核酸配列を含む。好適な植物としては、詳細には、アスプレニウム属(Asplenium);ウリ科(Cucurbitaceae)、詳細にはクルクルビタ属(Curcurbita)、例えばクルクルビタ・モスカータ(Curcurbita moschata)(カボチャ)、又はククミス属(Cucumis);アブラナ科(Brassicaceae)、詳細にはアラビドプシス属(Arabidopsis)、例えばA.タリアナ(A.thaliana);メルクリアリス属(Mercurialis)、例えばメルクリアリス・ペレンニス(Mercurialis perennis);ヒドノカルプス属(Hydnocarpus);及びセラトニア属(Ceratonia)の群から選択される植物が挙げられる。 ある実施形態では、宿主細胞は、細菌に由来する異種核酸配列を含む。好適な細菌は、詳細には、ビブリオ属(Vibrio)、シュードモナス属(Pseudomonas)、バチルス属(Bacillus)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、アクチノミセス目(Actinomycetales)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、クロストリジウム属(Clostridium)、エシェリキア属(Escherichia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、アナベナ属(Anabaena)、ミクロキスティス属(Microcystis)、シネコシスティス属(Synechocystis)、リゾビウム属(Rhizobium)、ブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)、サーマス属(Thermus)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、ザイモモナス属(Zymomonas)、プロテウス属(Proteus)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、ゲオバチルス属(Geobacillus)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、アゾトバクター属(Azotobacter)、ラルストニア属(Ralstonia)、ロドバクター属(Rhodobacter)、パラコッカス属(Paracoccus)、ノボスフィンゴビウム属(Novosphingobium)、ニトロソモナス属(Nitrosomonas)、レジオネラ属(Legionella)、ナイセリア属(Neisseria)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、デイノコッカス属(Deinococcus)及びサルモネラ属(Salmonella)の群の中から選択され得る。 ある実施形態では、宿主細胞は、古細菌に由来する異種核酸配列を含む。好適な古細菌は、詳細には、アーケオグロブス属(Archaeoglobus)、アエロピルム属(Aeropyrum)、ハロバクテリウム属(Halobacterium)、メタノサルシナ属(Methanosarcina)、メタノコッカス属(Methanococcus)、サーモプラズマ属(Thermoplasma)、サーモコッカス属(Thermococcus)、ピロバキュラム属(Pyrobaculum)、メタノスピリラム属(Methanospirillum)、パイロコッカス属(Pyrococcus)、スルホロブス属(Sulfolobus)、メタノコッカス属(Methanococcus)、メタノスファエラ属(Methanosphaera)、メタノピュルス属(Methanopyrus)、メタノブレビバクター属(Methanobrevibacter)、メタノカルドコッカス属(Methanocaldococcus)及びメタノバクテリウム属(Methanobacterium)の群の中から選択され得る。 ある実施形態では、宿主細胞は、真菌に由来する異種核酸配列を含む。好適な真菌は、詳細には、リゾプス属(Rhizopus)、ファネロカエテ属(Phanerochaete)、エメリセラ属(Emericella)、ウスチラゴ属(Ustilago)、ニューロスポラ属(Neurospora)、ペニシリウム属(Penicillium)、セファロスポリウム属(Cephalosporium)、ペシロミセス属(Paecilomyces)、トリコフィツム属(Trichophytum)及びアスペルギルス属(Aspergillus)の群の中から選択され得る。 ある実施形態では、宿主細胞は、酵母に由来する異種核酸配列を含む。好適な酵母は、詳細には、カンジダ属(Candida)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、ヤロウイア属(Yarrowia)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、ピキア属(Pichia)、ヤロウイア属(Yarrowia)及びサッカロミセス属(Saccharomyces)の群の中から選択され得る。 天然に存在する生体触媒部分(酵素など)の発現が行われる生体触媒(野生型)又は本発明に係る方法において好適な活性を有する、天然に存在する生体触媒部分の突然変異体の発現が行われる生体触媒を利用できることは、当業者には明らかであろう。天然に存在する生体触媒部分の特性は、当業者に公知の生物学的技法、例えば分子進化法又は合理的設計法によって向上させることができる。野生型生体触媒部分の突然変異体は、例えば、当業者に公知の突然変異生成技法を使用して、生体触媒部分(酵素など)の産生能を有する生物のコードDNAを修飾することにより作製することができる。こうした技法としては、ランダム突然変異誘発法、部位特異的突然変異誘発法、定向進化法、及び遺伝子組換え法が挙げられる。特に、DNAは、それが野生型酵素と少なくとも1つのアミノ酸が異なる酵素をコードするように、従ってそれが野生型と比較して1つ又は複数のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入を含む酵素をコードするように、又は突然変異体が2個以上の親酵素の配列を組み合わせるように修飾されてもよく、又はそのように修飾されたDNAの発現を好適な(宿主)細胞において実現することにより修飾されてもよい。後者は、当業者に公知の方法、例えば国際公開第2008/000632号パンフレットに記載されるとおりの方法に基づき、コドン最適化又はコドンペア最適化などによって実現されてもよい。 突然変異生体触媒は、例えば以下の点の1つ又は複数に関して向上した特性を有し得る:基質に関する選択性、活性、安定性、溶剤耐性、pHプロファイル、温度プロファイル、基質プロファイル、阻害感受性、補因子利用度及び基質親和性。特性が向上した突然変異体は、当業者に公知のかかる方法に基づき、例えば好適なハイスループットスクリーニング又は選択方法を適用することにより同定することができる。 本発明において、AKPはAKGから製造される。AKGは、原則的にいかなる方法で得られてもよい。特に、AKGは、例えば炭素源の発酵によってAKGに変換され得る好適な炭素源を異種生体触媒に提供することにより生体触媒的に得られてもよい。有利な方法において、AKGは、AKGを形成する炭素源の全細胞生体内変換を利用して製造される。 炭素源は、詳細には、一価アルコール、多価アルコール、カルボン酸、二酸化炭素、脂肪酸、グリセリドの群であって、前記化合物のいずれかを含む混合物を含めた群から選択される少なくとも1つの化合物を含み得る。好適な一価アルコールとしては、メタノール及びエタノールが挙げられる。好適なポリオールとしては、グリセロール及び炭水化物が挙げられる。好適な脂肪酸又はグリセリドは、詳細には、食用油、好ましくは植物由来の食用油の形態で提供され得る。 特に、炭水化物は通常、農産物、好ましくは農業廃棄物などの生物学的に再生可能な資源から大量に入手することができるため、炭水化物が使用されてもよい。好ましくは炭水化物は、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、サッカロース、デンプン、セルロース及びヘミセルロースの群から選択して使用される。詳細には、グルコース、グルコースを含むオリゴ糖類及びグルコースを含む多糖類が好ましい。 本発明の実施形態において、AKGは、AKGをAKAに変換するための生体触媒を使用してAKAに変換され、前記生体触媒の一部はリジン生合成のためのAAA経路に由来する。かかる変換には、1つ又は複数の生体触媒により触媒され得る単一又は複数の反応工程が含まれ得る。 AKGのAKAへの変換又はその一部を触媒するための生体触媒は、同種であっても、又は異種であってもよい。詳細には、リジン生合成のためのAAA経路の一部を形成する生体触媒は、酵母、真菌、古細菌及び細菌の群、詳細には、ペニシリウム属(Penicillium)、セファロスポリウム属(Cephalosporium)、ペシロミセス属(Paecilomyces)、トリコフィツム属(Trichophytum)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ファネロカエテ属(Phanerochaete)、エメリセラ属(Emericella)、ウスチラゴ属(Ustilago)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、カンジダ属(Candida)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、ヤロウイア属(Yarrowia)、ピキア属(Pichia)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、サーマス属(Thermus)、デイノコッカス属(Deinococcus)、パイロコッカス属(Pyrococcus)、スルホロブス属(Sulfolobus)、サーモコッカス属(Thermococcus)、メタノコッカス属(Methanococcus)、メタノサルシナ属(Methanosarcina)、メタノカルドコッカス属(Methanocaldococcus)、メタノスファエラ属(Methanosphaera)、メタノピュルス属(Methanopyrus)、メタノブレビバクター属(Methanobrevibacter)、メタノスピリラム属(Methanospirillum)及びメタノサーモバクター属(Methanothermobacter)の群から選択される生物に見出され得る。好適な生体触媒は、ホモシトレートを生成可能な生物に見出すことができ、例えば、シアノバクテリア(例えばアナベナ属(Anabaena)、ミクロキスティス属(Microcystis)、シネコシスティス属(Synechocystis))、リゾビウム目(Rhizobiales)(例えば、リゾビウム属(Rhizobium)、ブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium))、γ−プロテオバクテリア(例えば、シュードモナス属(Pseudomonas)、アゾトバクター属(Azotobacter)、クレブシエラ属(Klebsiella))及びアクチノバクテリア(例えば、フランキア属(Frankia))などの窒素固定細菌におけるニトロゲナーゼ複合体の生体触媒である。このように、リジン生合成のためのAAA経路又はその一部を天然に含む宿主細胞に基づく生体触媒が使用される場合、その系は同種であり得る。 本発明の好ましい実施形態では、生体触媒による高いAKA生成能力が望ましい。リジン生合成のためのAAA経路又はその一部を含む生体触媒は、これをもたらすため突然変異/スクリーニング又は代謝工学などの当該技術分野において公知の方法により修飾され得る。高レベルのAKAは、その形成に関わる酵素の活性を高め、及び/又は例えばアミノアジペートへの、その変換に関わる活性を低下させることにより生成することができる。 AKAの形成に関わる酵素としては、ホモクエン酸シンターゼ(EC 2.3.3.14)、ホモアコニターゼ(EC 4.2.1.36)、及びホモイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.87)が挙げられる。宿主細胞中でのこれらの酵素の活性は、それぞれの酵素及び/又は機能的ホモログをコードする遺伝子の(過剰)発現、基質、産物若しくは他の化合物による阻害の軽減、又は分子進化法若しくは合理的設計法による酵素の触媒特性の向上などの当該技術分野において公知の方法により増加させることができる。定向進化法の好ましい実施方法は、国際公開第2003/010183号パンフレットに基づくことができる。 生成されるAKAがアミノアジペート(AAA)に変換される−これはリジン生合成経路における別の工程であり得る)−ことは望ましくないため、異種生体触媒は、この変換を触媒する酵素、詳細には、アミノトランスフェラーゼ、例えばアミノアジピン酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.39)又はこの変換の触媒能を有するアミノ酸デヒドロゲナーゼの活性をほとんど又は全く有しないことが好ましい。従って、生体触媒を提供する宿主細胞がかかる酵素をコードする遺伝子を含む場合、かかる遺伝子は好ましくは不活性化されるか、ノックアウトされるか、又はかかる遺伝子の発現が低減される。この工程はリジン産生のためのAAA経路に必須であるため、増殖及び維持に必要な量のリジンを供給するために限られた最小限の活性を有し、しかしAKAのAAAへの高度の変換能は有しない宿主細胞が有利である。詳細にはペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)が宿主である場合、アミノトランスフェラーゼは配列番号68の配列、又はそのホモログを有し得る。 望ましくない活性をコードする遺伝子の不活性化は、いくつかの方法により達成され得る。一つの手法は、アンチセンス分子又はRNAi分子を使用する一時的な手法である(例えばKamathら 2003年、Nature 421:231−237頁に基づく)。別の手法は、テトラサイクリンのような外部トリガーを使用してオフにすることのできる調節プロモーター系を使用する(例えばPark及びMorschhauser、2005年、Eukaryot.Cell.4:1328−1342頁に基づく)。さらに別の手法は、化学的阻害剤又はタンパク質阻害剤又は物理的阻害剤を適用することである(例えばTourら 2003年、Nat Biotech 21:1505−1508頁に基づく)。一層好ましい方法は、望ましくない活性をコードする1個若しくは複数の遺伝子全体又はその一部を取り除くことである。かかる突然変異体を得るため、一重交差組換え又は二重相同組換え等の当該技術分野の最先端の方法を適用することができる。そのためには、宿主細胞の染色体における所定の目標遺伝子座に組み込み得る組込みクローニングベクターを構築する必要がある。本発明の好ましい実施形態において、組込みクローニングベクターは、その所定の遺伝子座へのクローニングベクターの組込みが標的化される宿主細胞のゲノムの所定の目標遺伝子座についてDNA配列が相同であるDNA断片を含む。標的組込みを促進するため、クローニングベクターは、好ましくは宿主細胞を形質転換する前に直鎖化される。直鎖化は、好ましくは、クローニングベクターの少なくとも一端、しかし好ましくは両端が目標遺伝子座と相同の配列に隣接するように行われる。目標遺伝子座に隣接する相同配列の長さは、好ましくは少なくとも0.1kb、さらに好ましくは少なくとも0.2kb、より好ましくは少なくとも0.5kb、さらにより好ましくは少なくとも1kb、最も好ましくは少なくとも2kbである。最終的に実験において最も好適となる長さは、生物、目標DNAの配列及び長さに依存する。 相同組換えによる宿主細胞のゲノムへの核酸コンストラクトの標的組込み、すなわち所定の目標遺伝子座における組込みの効率は、好ましくは宿主細胞の相同組換え能力を増強することにより高められる。細胞のかかる表現型には、好ましくは国際公開第05/95624号パンフレットに記載されるとおりの欠損hdfA又はhdfB遺伝子が関わる。国際公開第05/95624号パンフレットは、DNA断片のゲノムへの非相同的なランダム組込みを阻止することによる標的組込み効率の増加を含む、糸状菌細胞を得るための好ましい方法を開示する。ベクター系は、単一のベクター若しくはプラスミドであっても、又は2個以上のベクター若しくはプラスミドであって、全体として宿主細胞のゲノムに導入されるべき全DNAを含むベクター又はプラスミドであってもよい。 真菌細胞は、プロトプラスト形成、プロトプラスト形質転換、及び細胞壁の再生により形質転換され得る。真菌宿主細胞の好適な形質転換手順は、欧州特許第238023号明細書及びYeltonら(1984年、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 81:1470−1474頁)に記載されている。アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を使用した糸状菌宿主細胞の好適な形質転換手順が、Groot M.Jら(1998年、Nat.Biotechnol.16:839−842頁。訂正記事:Nat.Biotechnol.1998年、16:1074頁)により記載されている。ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)について記載される電気穿孔などの他の方法もまた適用され得る。 真菌細胞は同時形質転換を使用してトランスフェクトされ、すなわち目的の1つ又は複数の遺伝子と共に選択可能なマーカー遺伝子もまた形質転換される。これは、目的の遺伝子に(すなわちプラスミドに対して)、或いは別個の断片に対して物理的に連結することができる。トランスフェクション後、形質転換体はこの選択マーカー遺伝子の存在についてスクリーニングされ、続いて好ましい所定のゲノム遺伝子座における組込みが分析される。選択可能なマーカーは、殺生物剤又はウイルスに対する耐性、耐重金属性、栄養要求体に対する原栄養性などを提供する生成物である。有用な選択可能なマーカーとしては、限定はされないが、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hygB(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、pyrG(オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC又はsutB(硫酸アデニルトランスフェラーゼ(sulfate adenyltransferase))、trpC(アントラニル酸シンターゼ)、ble(フレオマイシン耐性タンパク質)、並びにその同等物が挙げられる。最も好ましい状況は、標的配列に隣接する染色体DNAの配列と実質的に相同のDNA配列がその5’側及び3’側に隣接する所望の置換配列(すなわち選択マーカー遺伝子)を含む第1のDNA断片を含むDNA分子を提供するものである。染色体DNA配列における標的配列が所望の置換配列に置き換わる細胞は、第1のDNA断片の選択可能なマーカーの存在によって選択することができる。正しい突然変異微生物株が選択される頻度を相対的に高めるため、真核細胞において機能する選択マーカー及び調節配列をコードする遺伝子を含む発現カセットを含む第2のDNA断片を、上述の断片(すなわち目標遺伝子座の5’−フランキング配列+選択マーカー遺伝子+目標遺伝子座の3’−フランキング配列)に作動可能に連結することができ、第1のDNA断片の選択可能なマーカーの存在及び第2の選択マーカー遺伝子の不在によって、染色体DNA配列における標的配列が所望の置換配列に置き換わる細胞を選択することができる。 リジン生合成のためのアミノアジピン酸経路の一部を形成する酵素系が宿主細胞に対して異種である場合、ケトアジペートのアミノアジペートへの変換を触媒する酵素をコードする遺伝子が宿主細胞に含まれないことが好ましい。用語「酵素系」とは、本明細書では、特に特定の変換を触媒し得る単一の酵素又は酵素群について用いられる。前記変換は、公知の又は未知の中間体を伴う1つ又は複数の化学反応、例えばAKGのAKAへの変換又はAKAのAKPへの変換を含み得る。かかる系は細胞内部に存在し得るか、又は細胞から単離され得る。アミノトランスフェラーゼは多くの場合に広い基質範囲を有することが知られている。宿主細胞中に存在する1つ又は複数のかかる酵素の活性については、他のアミノ酸又は細胞成分の生合成に対する関連する触媒機能を維持しながらも、AKAのAAAへの変換における活性が低減されるように、低下させることが望ましいこともある。また、AKAの望ましくない副生成物への変換をもたらすいかなる他の酵素活性も含まない宿主細胞が好ましい。 さらなる実施形態において、AKGは、AKGのAKAへのC1伸長を触媒する少なくとも1つの異種生体触媒を利用してAKAに変換される。1つ又は複数の生体触媒が使用され得る。前記1つ又は複数の生体触媒は、1つ又は複数の供給源生物に由来する1つ又は複数の酵素を含み得る(例えば異なる供給源生物に由来する2つ以上の酵素を含み得る)。AKGからのAKAの製造に好適な生体触媒は、特に、α−ケトグルタル酸のα−ケトアジピン酸へのC1伸長及び/又はα−ケトアジピン酸のα−ケトピメリン酸へのC1伸長を触媒する生体触媒の中から選択され得る。 AKGから製造されたAKAは、その後、AKAのAKPへの伸長を触媒する少なくとも1つの異種生体触媒を利用してAKPに変換され得る。こうした生体触媒は、C1伸長によるAKGのAKAへの変換を触媒する生体触媒と同じであっても、又は異なってもよい。1つ又は2つ以上の生体触媒が、AKAのAKPへの変換に使用され得る。1つ又は複数の前記生体触媒は、1つ又は複数の供給源生物に由来する1つ又は複数の酵素を含み得る(例えば、異なる供給源生物に由来する2つ以上の酵素を含み得る)。 C1伸長を利用する生合成経路は、メタン生成古細菌において補酵素B生合成の一部及びビオチン生合成の一部として存在することが知られている。補酵素Bはこうした生物におけるメタン生成に必須であると考えられ、α−ケトスベレートは補酵素B生合成における重要な中間体である。かかるメタン生成古細菌では、α−ケトグルタル酸がα−ケトアジピン酸に変換され、次にα−ケトピメリン酸、及び最後にα−ケトスベリン酸へと、メチレン基を順次添加することにより複数の反応工程後に変換される(図1もまた参照のこと):a.長さCnのα−ケト酸+アセチルCoA→ホモnシトレート+CoΑ−SH(図1における工程1、5及び9)b.ホモn−シトレート←→ホモn−アコニテート(ホモn−クエン酸デヒドラターゼにより触媒される(図1の工程2、6及び10))c.ホモnアコニテート←→イソホモn−シトレート(図1の工程3、7及び11))d.ホモn−イソシトレート+NADP+→長さCn+1のα−ケト酸+NADPH+H++CO2(図1の工程4、8及び12)式中、nは1〜4から選択される。 この反復的な反応シーケンスは、メタン生成菌のメタノサルシナ・サーモフィラ(Methanosarcina thermophila)及びメタノカルドコッカス・ジャナシイ(Methanocaldococcus jannashii)について記載されている。同様の非反復的反応には、酸化的クエン酸サイクルにおけるオキサロアセテートのα−ケトグルタレートへの変換、ロイシンに至るイソプロピルリンゴ酸経路における一部としてのα−イソバレレートのα−イソカプロエートへの変換、リジンに至るAAA経路におけるα−ケトグルタレートのα−ケトアジペートへの変換、イソロイシンに至るピルビン酸経路におけるピルベートのα−ケトブチレートへの変換、及びマレエートのピルベートへの変換などの、他の代謝経路における他のα−ケトカルボン酸のC1伸長が関わる。まとめてこれらの反応は、「C1伸長」として定義される。 C1伸長に関わるいくつかの遺伝子及び酵素については記載がなされており、M.ジャナシイ(M.jannashii)から特徴付けられている。それらの酵素及びコード遺伝子が互いに類似し、並びに他の生物においてC1伸長に関わる他の酵素及びコード遺伝子と類似していることが示された。α−ケトアジペート及びα−ケトピメレートを介したα−ケトグルタレートからα−ケトスベレートへの反復伸長についての酵素の一部が生化学的に特徴付けられており、「Aks」と命名された。これらの酵素をコードする遺伝子の一部は、M.ジャナシイ(M.jannashii)のゲノム配列において同定されており、それ以外のものも提案されている。 本発明者らは、C1伸長を使用して、C1伸長に関わる酵素系をコードする1つ又は複数の核酸配列を好適な宿主細胞に組み込むことにより、ジアミノヘキサン又はカプロラクタムのような特別な化合物又は製品を製造するための中間体としてAKA又はAKPを利用できるように、AKA又はAKPを工業規模で製造することができることを見出した。 C1伸長を触媒し、それによりAKA又はAKPを形成する酵素系は、詳細には、ホモn−クエン酸シンターゼ、ホモn−アコニターゼ及びイソ−ホモn−クエン酸デヒドロゲナーゼの群から選択される1つ又は複数の酵素を含み得る(式中、nは1〜4から選択される)。 ホモn−クエン酸シンターゼは、詳細にはC1伸長の「反応a」を触媒し得る。ホモn−クエン酸シンターゼは、鎖長C4+nのα−ケトカルボキシル二酸(alpha−keto carboxylic diacid)をアセチルCoAと縮合させる能力を有し、それによりホモn−シトレート(式中、nは1〜4から選択される)の形成をもたらす酵素として定義される。ホモn−クエン酸シンターゼは、詳細には、EC 2.3.3に分類されるか、又は分類することができる酵素であり得る。さらに詳細には、ホモクエン酸シンターゼ(EC 2.3.3.14)の中から好適なホモn−クエン酸シンターゼが選択されてもよく、又はEC 2.3.3.1、2.3.3.2、2.3.3.4又は2.3.3.9に分類されてもよい。特に、ホモ(n)クエン酸活性を有するAksA又はそのホモログが好ましい。 ホモn−アコニターゼは、詳細にはC1伸長の「反応b」及び/又は「反応c」を触媒し得る。ホモn−アコニターゼは、ホモn−アコニット酸中間体又は可逆的半反応(すなわちホモn−アコニテートからホモn−シトレートへの、若しくはホモホモn−アコニテートからイソホモホモn−シトレートへの)のうちの少なくとも1つを介したホモn−シトレートのイソホモn−シトレートへの変換能を有する酵素(式中、nは1〜4から選択される)として定義される。ホモn−アコニターゼは、詳細には、EC 4.2.1に分類される、又は分類することができる酵素であってもよい。さらに詳細には、好適なホモn−アコニターゼは、ホモアコニターゼ(EC 4.2.1.36)の中から選択され得るか、又はEC 4.2.1.3、4.2.1.33、4.2.1.79及び4.2.1.99に分類され得る。特に、ホモn−アコニターゼ活性を有するAksD、AksE、AksDのホモログ及びAksEのホモログの群から選択される酵素が好ましい。 ホモn−イソクエン酸デヒドロゲナーゼは、詳細にはC1伸長の「反応d」を触媒し得る。イソホモn−クエン酸デヒドロゲナーゼは、イソ−ホモn−シトレートを鎖長C5+n(式中、nは1〜4から選択される)のα−ケトカルボキシル二酸(alpha−keto−carboxylic−diacid)に変換する能力を有する酵素として定義され、それによりCO2を放出する。イソ−ホモn−クエン酸デヒドロゲナーゼは、詳細には、EC 1.1.1に分類される、又は分類することができる酵素であり得る。さらに詳細には、好適なイソ−ホモn−クエン酸デヒドロゲナーゼは、イソ−ホモクエン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.87)の中から選択され得るか、又はEC 1.1.136、1.1.137、1.1.1.38、1.1.139、1.1.1.40、1.1.1.41、1.1.1.42,1.1.1.82、1.1.1.83、1.1.1.84、1.1.1.85及び1.1.1.286に分類され得る。特に、ホモn−イソクエン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するAksF又はそのホモログが好ましい。 メタン生成菌は、AKPを生成するための生体触媒として機能し得るか、又はかかる生体触媒の供給源として使用することができる。好適な生体触媒は、C1伸長経路の公知の酵素と類似したタンパク質及びヌクレオチド配列を探索することによって同定され得る。類似の配列は、配列データベースにおいて、当該技術分野で周知のバイオインフォマティクス技法を使用して効率的に同定することができる。縮重オリゴヌクレオチドを用いるサザンハイブリダイゼーション又はPCR技法などの当該技術分野において公知の分子生物学的方法を使用して、培養生物及び環境試料中の類似の遺伝子を同定することができる。かかる生体触媒は、クローニング及び配列決定後、異種宿主におけるAKP生成に利用することができる。 詳細には、C1伸長を触媒するための1つ又は複数の酵素は、メタノコッカス属(Methanococcus)、メタノスピリラム属(Methanospirillum)、メタノカルドコッカス属(Methanocaldococcus)、メタノサルシナ属(Methanosarcina)、メタノサーモバクター属(Methanothermobacter)、メタノスファエラ属(Methanosphaera)、メタノピュルス属(Methanopyrus)及びメタノブレビバクター属(Methanobrevibacter)の群から選択されるメタン生成菌から使用され得る。より具体的には、1つ又は複数の酵素は、メタノサーモバクター・サーモオートトロピカム(Methanothermobacter thermoautotropicum)、メタノコッカス・マリパルディス(Methanococcus maripaludis)、メタノスファエラ・スタドトマナエ(Methanosphaera stadtmanae)、メタノピュルス・カンドレリ(Methanopyrus kandleri)、メタノサルシナ・サーモフィラ(Methanosarcina thermophila)、メタノブレビバクター・スミシイ(Methanobrevibacter smithii)、メタノコッカス・バンニエリイ(Methanococcus vannielii)、メタノスピリラム・フンガテイ(Methanospirillum hungatei)、メタノサエタ・サーモフィラ(Methanosaeta thermophila)、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans)及びメタノコッカス・エオリカス(Methanococcus aeolicus)の群から選択されるメタン生成菌から使用され得る。 さらに、AKG及び/又はAKAのC1伸長を触媒するのに好適な酵素は、例えば、アミノアジピン酸経路又はその一部を介してリジン生合成を触媒するための酵素系を含む生物に見出すことができるか、又は例えば窒素固定に関わるホモクエン酸シンターゼなどの他の代謝の一部としてそのホモログを含み得る。詳細には、ペニシリウム属(Penicillium)、セファロスポリウム属(Cephalosporium)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ファネロカエテ属(Phanerochaete)、エメリセラ属(Emericella)、ウスチラゴ属(Ustilago)、ペシロミセス属(Paecilomyces)、トリコフィツム属(Trichophytum)、ヤロウイア属(Yarrowia)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、カンジダ属(Candida)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)などの酵母及び真菌、詳細には、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、ペニシリウム・ノタツム(Penicillium notatum)、ペシロミセス・カルネウス(Paecilomyces carneus)、ペシロミセス・ペルシニクス(Paecilomyces persinicus)、セファロスポリウム・アクレモニウム(Cephalosporium acremonium)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、エメリセラ・ニデュランス(Emericella nidulans)、アスペルギリス・オリザエ(Aspergillys oryzae)、ウスチラゴ・マイディス(Ustilago maydis)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ヤロウイア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)、及びクルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis);アゾトバクター属(Azotobacter)、シュードモナス属(Pseudomonas)、クレブシエラ属(Klebsiella)、デイノコッカス属(Deinococcus)、サーマス属(Thermus)などの細菌、詳細には、アゾトバクター・ビネランジイ(Azotobacter vinelandii)、シュードモナス・スツッツェリイ(Pseudomonas stutzerii)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、デイノコッカス・ラディオウランス(Deinococcus radiourans)、デイノコッカス・ゲオサーマリス(Deinococcus geothermalis)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus);及びパイロコッカス属(Pyrococcus)、スルホロブス属(Sulfolobus)、サーモコッカス属(Thermococcus)、メタノコッカス属(Methanococcus)、メタノカルドコッカス属(Methanocaldococcus)、メタノスファエラ属(Methanosphaera)、メタノピュルス属(Methanopyrus)、メタノスピリラム属(Methanospirillum)、メタノブレビバクター属(Methanobrevibacter)、メタノサルシナ属(Methanosarcina)及びメタノサーモバクター属(Methanothermobacter)などの古細菌、詳細には、パイロコッカス・ホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)、スルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)、サーモコッカス・コダカレンシス(Thermococcus kodakarensis)、メタノコッカス・マリパルディス(Methanococcus maripaludis)、メタノコッカス・エオリカス(Methanococcus aeolicus)、メタノコッカス・バンニエリイ(Methanococcus vannielii)、メタノカルドコッカス・ジャナシイ(Methanocaldococcus jannashii)、メタノスファエラ・スタドトマナエ(Methanosphaera stadtmanae)、メタノピュルス・カンドレリ(Methanopyrus kandleri)、メタノブレビバクター・スミシイ(Methanobrevibacter smithii)、メタノサルシナ・サーモフィルス(Methanosarcina thermophilus)、メタノスピリラム・フンガテイ(Methanospirillum hungatei)、メタノサエタ・サーモフィラ(Methanosaeta thermophila)、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans)及びメタノサーモバクター・サーモオートトロフィカム(Methanothermobacter thermoautotrophicum)の群から選択される生物。かかる酵母、真菌、細菌、古細菌又は他の生物は、特に、AKGのAKAへの伸長、及び場合によりAKAのAPKへの伸長における「反応a」の触媒能を有するホモクエン酸シンターゼを提供し得る。 さらに、AKPの製造における反応工程の触媒に好適な生体触媒は、アスプレニウム属(Asplenium)又はヒドノカルプス属(Hydnocarpus)、詳細にはアスプレニウム・セプテントリオナレ(Asplenium septentrionale)又はヒドノカルプス・アンテルミンティカ(Hydnocarpus anthelminthica)に見出すことができ、これらは天然のAKPの生成能を有する。 好ましい方法において、Aks酵素及びそのホモログの群、詳細にはAksA、AksD、AksE、AksF及びそのホモログの群から選択される1つ又は複数の酵素が使用される。これらのAks酵素のホモログ及びこれらの酵素をコードする遺伝子の例を次頁の表に示す。 詳細には、配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、261、264、267、273、276、279、282(AksA)、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、186、189、192、195、225、228、231、234(AksD)、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、198、201、204、207、237、240、243、246(AksE)、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、210、213、216、219、222、249、252、255、258(AksF)、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53(AksAホモログ)、54、55、56、57、58、59、60、61(AksDホモログ)、62、63、64、65、66、67(AksFホモログ)、69、70、71、72、73、74、75、76、77、270(AksAホモログ)のいずれかにより表される酵素が用いられてもよい。 本発明の方法で製造されたAKPは、さらに、別の化合物の製造に使用されてもよく、又はそれ自体で、例えば、生化学研究用の化学物質として、又は製造用若しくは分析用分離技法、例えば液体クロマトグラフ法若しくはキャピラリー電気泳動法などで使用されるpH緩衝化合物として使用されてもよい。特に、必要であれば、AKPはAAP、5−FVA、6−ACA又はα−ケトスベリン酸の製造に使用され得る。 本発明の方法におけるAKPからのα−ケトスベリン酸の製造方法は、本明細書に記載されるとおりの生体触媒を使用してAKPをC1伸長に供することを含む。従って、AKPがC1伸長によって製造された後、C1伸長を再度繰り返すことによってα−ケトピメリン酸からα−ケトスベリン酸を形成することができる。これを実現するため、C1伸長によるAKPのAKAからの形成について上記に記載したものと同じ一組の酵素又はそのホモログが使用されてもよい。形成されたα−ケトスベリン酸は、AKPの6−ACAへの変換について本明細書に記載されるものと同じ構想を使用して、すなわち本発明の方法における反応工程の触媒能を有するデカルボキシラーゼ、アミノトランスフェラーゼ及びアミノ酸デヒドロゲナーゼの群から選択される1つ又は複数の生体触媒を使用することにより、7−アミノヘプタン酸にさらに変換することができる。或いは、かかる後続の反応工程の1つ又は複数は化学的に実施することもできる。次に、このようにして製造された7−アミノヘプタン酸は環化することにより対応するC7−ラクタム(アゾカン−2−オン又はζ−アミノエナントラクタムとも称される)を形成することができ、及び/又は直接若しくは前記C7−ラクタムを介して重合することによりナイロン−7又はその共重合体を生成することができる。 本発明者らは、初めにAKPを脱炭酸して5−FVAを形成し、その後アミノ基転移反応を用いて5−FVAから6−ACAを製造することができる方法、又は初めにAKPをアミノ基転移反応に供してAAPを形成し、その後脱炭酸反応によりAAPから6−ACAを製造することができる方法によってAKPを6−ACAに変換することができることを見出した。 6−ACAの好ましい製造方法において、製造は、α−ケト酸又はアミノ酸(すなわち少なくとも1つのカルボン酸基と少なくとも1つのアミノ基とを含む化合物)を脱炭酸する触媒能を有する生体触媒の存在下における生体触媒反応を含む。従ってかかる触媒活性を有する酵素は、それぞれα−ケト酸デカルボキシラーゼ、アミノ酸デカルボキシラーゼと称され得る。 前記酸は好ましくは二酸であり、前記生体触媒は、ケト基又はアミノ基の次に酸基に関して選択的である。 一般に、好適なデカルボキシラーゼは、AKPを5−FVAに変換する触媒能を有するα−ケトピメリン酸デカルボキシラーゼ活性、又はAAPを6−ACAに変換する触媒能を有するα−アミノピメリン酸デカルボキシラーゼ活性を有する。 α−ケト酸又はアミノ酸の脱炭酸能を有する酵素は、詳細には、デカルボキシラーゼ(E.C.4.1.1)の群、好ましくはグルタミン酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.15)、ジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.20)、アスパラギン酸1−デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.11)、分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼ、α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ(EC 1.2.4.4)、α−ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.71)、及びピルビン酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.1)の群から選択され得る。 1つ又は複数の他の好適なデカルボキシラーゼは、詳細には、シュウ酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.2)、オキサロ酢酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.3)、アセト酢酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.4)、バリンデカルボキシラーゼ/ロイシンデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.14)、3−ヒドロキシグルタミン酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.16)、オルニチンデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.17)、リジンデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.18)、アルギニンデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.19)、2−オキソグルタル酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.71)、及びジアミノ酪酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.86)の群の中から選択され得る。 デカルボキシラーゼは、詳細には、カボチャ;キュウリ;酵母;真菌、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンジダ・フラレリ(Candida flareri)、ハンゼヌラ・エスピー(Hansenula sp.)、クルイベロミセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、リゾプス・ジャバニカス(Rhizopus javanicus)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、より詳細にはザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)由来の突然変異体l472A、及びニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa);哺乳動物、詳細には哺乳動物の脳由来;及び細菌の群から選択される生物のデカルボキシラーゼであってもよい。例えば大腸菌(Eschericia coli)由来のグルタミン酸デカルボキシラーゼ又はアスパラギン酸デカルボキシラーゼが使用されてもよく、又はニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、マイコバクテリウム・レプレ(Mycobacterium leprae)、クロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)又はラクトコッカス属(Lactococcus)由来のグルタミン酸デカルボキシラーゼが使用されてもよい。グルタミン酸デカルボキシラーゼが由来し得るラクトコッカス属(Lactococcus)の種の例としては、詳細には、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、例えば、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)B1157株、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)IFPL730、より詳細にはラクトコッカス・ラクティス変種マルチゲネス(Lactococcus lactis var.maltigenes)(以前の名称はストレプトコッカス・ラクティス変種マルチゲネス(Streptococcus lactis var.maltigenes))が挙げられる。シュードモナス属(Pseudomonas)由来のオキサロ酢酸デカルボキシラーゼが特に使用されてもよい。 本発明の好ましい方法において、6−ACAの製造は、アミノトランスフェラーゼ(E.C.2.6.1)の群から選択されるアミノドナーの存在下でアミノ基転移反応の触媒能を有する酵素の存在下における酵素反応を含む。 一般に、好適なアミノトランスフェラーゼは、5−FVAを6−ACAに変換する触媒能を有する6−アミノカプロン酸6−アミノトランスフェラーゼ活性、又はAKPをAAPに変換する触媒能を有するα−アミノピメリン酸2−アミノトランスフェラーゼ活性を有する。 アミノトランスフェラーゼは、詳細には、β−アミノイソ酪酸:α−ケトグルタル酸アミノトランスフェラーゼ、β−アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、4−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.19)、L−リジン6−アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.36)、2−アミノアジピン酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.39)、5−アミノ吉草酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.48)、2−アミノヘキサン酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.67)、リジン:ピルビン酸6−アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.71)及び芳香族アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.57)の群の中から選択され得る。 ある実施形態では、アミノトランスフェラーゼは、アラニンアミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.2)、ロイシンアミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.6)、アラニン−オキソ酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.12)、β−アラニン−ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.18)、(S)−3−アミノ−2−メチルプロピオン酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.22)、L,L−ジアミノピメリン酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.83)の群の中から選択され得る。 アミノトランスフェラーゼは、詳細には、ビブリオ属(Vibrio)、詳細にはビブリオ・フルビアリス(Vibrio fluvialis);シュードモナス属(Pseudomonas)、詳細にはシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa);バチルス属(Bacillus)、詳細にはバチルス・ウェイヘンステファネンシス(Bacillus weihenstephanensis);メルクリアリス属(Mercurialis)、詳細にはメルクリアリス・ペレンニス(Mercurialis perennis)、より詳細にはメルクリアリス・ペレンニス(Mercurialis perennis)のシュート;アスプレニウム属(Asplenium)、より詳細にはアスプレニウム・ユニラテラレ(Asplenium unilaterale)又はアスプレニウム・セプテントリオナレ(Asplenium septentrionale);セラトニア属(Ceratonia)、より詳細にはセラトニア・シリカ(Ceratonia siliqua);哺乳動物;又は酵母、詳細にはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のアミノトランスフェラーゼの中から選択され得る。酵素が哺乳動物のものである場合、それは詳細には、哺乳動物の腎臓、哺乳動物の肝臓、哺乳動物の心臓又は哺乳動物の脳に由来し得る。例えば好適な酵素は、哺乳動物の腎臓由来のβ−アミノイソ酪酸:α−ケトグルタル酸アミノトランスフェラーゼ、詳細にはブタ腎臓由来のβ−アミノイソ酪酸:α−ケトグルタル酸アミノトランスフェラーゼ;哺乳動物の肝臓由来のβ−アラニンアミノトランスフェラーゼ、詳細にはウサギ肝臓由来のβ−アラニンアミノトランスフェラーゼ;哺乳動物の心臓由来のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;詳細にはブタ心臓由来のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;哺乳動物の肝臓由来の4−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、詳細にはブタ肝臓由来の4−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ;哺乳動物の脳由来の4−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、詳細にはヒト、ブタ、又はラット脳由来の4−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ;ニューロスポラ属(Neurospora)由来のα−ケトアジピン酸−グルタミン酸アミノトランスフェラーゼ、詳細にはニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)由来のα−ケトアジピン酸:グルタミン酸アミノトランスフェラーゼ;大腸菌(E.coli)由来の4−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ、又はサーマス属(Thermus)由来のα−アミノアジピン酸アミノトランスフェラーゼ、詳細にはサーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来のα−アミノアジピン酸アミノトランスフェラーゼ、及びクロストリジウム属(Clostridium)由来、詳細にはクロストリジウム・アミノバレリカム(Clostridium aminovalericum)由来の5−アミノ吉草酸アミノトランスフェラーゼの群の中から選択され得る。好適な2−アミノアジピン酸アミノトランスフェラーゼは、例えばピロバキュラム・イスランジカム(Pyrobaculum islandicum)により提供され得る。 特定の実施形態において、配列番号2、83、86によるアミノ酸配列又はこれらの配列のいずれかのホモログを含むアミノトランスフェラーゼが使用される。 詳細には、アミノドナーは、アンモニア、アンモニウムイオン、アミン又はアミノ酸であってもよい。好適なアミンは第一級アミン及び第二級アミンである。アミノ酸はD配置を有しても、又はL配置を有してもよい。アミノドナーの例は、アラニン、グルタメート、イソプロピルアミン、2−アミノブタン、2−アミノヘプタン、フェニルメタンアミン、1−フェニル−1−アミノエタン、グルタミン、チロシン、フェニルアラニン、アスパルテート、β−アミノイソブチレート、β−アラニン、4−アミノブチレート、及びα−アミノアジペートである。 さらに好ましい実施形態において、6−ACAの製造方法は、ドナーのCH−NH2基に作用するオキシドレダクターゼ(EC 1.4)の群、詳細にはアミノ酸デヒドロゲナーゼ(E.C.1.4.1)の群から選択される、アンモニア源の存在下で還元的アミノ化反応の触媒能を有する酵素の存在下における生体触媒反応を含む。一般に、好適なアミノ酸デヒドロゲナーゼは、5−FVAの6−ACAへの変換を触媒する6−アミノカプロン酸6−デヒドロゲナーゼ活性を有するか、又はAKPのAAPへの変換を触媒するα−アミノピメリン酸2−デヒドロゲナーゼ活性を有する。詳細には、好適なアミノ酸デヒドロゲナーゼは、ジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.16)、リジン6−デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.18)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.3;EC 1.4.1.4)、及びロイシンデヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.9)の群の中から選択される。 ある実施形態では、アミノ酸デヒドロゲナーゼは、アクセプターとしてのNAD又はNADPと共に作用するグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.3)、アクセプターとしてのNADPと共に作用するグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.4)、ロイシンデヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.9)、ジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.16)、及びリジン6−デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.18)として分類されるアミノ酸デヒドロゲナーゼの中から選択され得る。 アミノ酸デヒドロゲナーゼは、特に、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、詳細にはコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum);プロテウス属(Proteus)、詳細にはプロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris);アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、詳細にはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens);ゲオバチルス属(Geobacillus)、詳細にはゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus);アシネトバクター属(Acinetobacter)、詳細にはアシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.)ADP1;ラルストニア属(Ralstonia)、詳細にはラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum);サルモネラ属(Salmonella)、詳細にはサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium);サッカロミセス属(Saccharomyces)、詳細にはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae);ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)、詳細にはブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum);及びバチルス属(Bacillus)、詳細にはバチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)又はバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)の群から選択される生物に由来し得る。例えば好適なアミノ酸デヒドロゲナーゼは、バチルス属(Bacillus)、詳細にはバチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)由来のジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼ;ブレビバクテリウム・エスピー(Brevibacterium sp.)由来のジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼ;コリネバクテリウム属(Corynebacterium)由来のジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼ、詳細にはコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)由来のジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼ;プロテウス属(Proteus)由来のジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼ、詳細にはプロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)由来のジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼ;アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、詳細にはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来のリジン6−デヒドロゲナーゼ、ゲオバチルス属(Geobacillus)、詳細にはゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)由来のリジン6−デヒドロゲナーゼ;補因子としてのNADH又はNADPHと共に作用する、アシネトバクター属(Acinetobacter)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.3)、詳細にはアシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.)ADP1由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ;ラルストニア属(Ralstonia)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.3)、詳細にはラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ;補因子としてのNADPHと共に作用する、サルモネラ属(Salmonella)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.4)、詳細にはサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ;サッカロミセス属(Saccharomyces)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.4)、詳細にはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ;ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.4)、詳細にはブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ;及びバチルス属(Bacillus)由来のロイシンデヒドロゲナーゼ、詳細にはバチルス・セレウス(Bacillus cereus)又はバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のロイシンデヒドロゲナーゼの中から選択され得る。 特定の実施形態において、AKPの5−ホルミルペンタノエート(5−FVA)への生体触媒的な変換が、デカルボキシラーゼ又はかかる変換を触媒する他の生体触媒の存在下で行われる。本発明において使用されるデカルボキシラーゼは、詳細には、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・ラクティス変種マルチゲネス(Lactococcus lactis var.maltigenes)又はラクトコッカス・ラクティス・サブエスピー・クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)由来のα−ケト酸デカルボキシラーゼ;ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)B1157株又はラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)IFPL730由来の分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼ;サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンジダ・フラレリ(Candida flareri)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、ハンゼヌラ・エスピー(Hansenula sp.)、リゾプス・ジャバニカス(Rhizopus javanicus)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、又はクルイベロミセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)由来のピルビン酸デカルボキシラーゼ;マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)由来のαλπηα−ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ;大腸菌(E.coli)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、マイコバクテリウム・レプレ(Mycobacterium leprae)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)又はクロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)由来のグルタミン酸デカルボキシラーゼ;及び大腸菌(E.coli)由来のアスパラギン酸デカルボキシラーゼの群から選択され得る。 その後、5−FVAは6−ACAに変換され得る。これは化学的に行うことができる:6−ACAは、欧州特許第628 535号明細書又は独国特許第4 322 065号明細書に9−アミノノナン酸(9−アミノペラルゴン酸)及び12−アミノドデカン酸(12−アミノラウリン酸)について記載されるとおり、SiO2/Al2O3担体上の水素化触媒、例えばNi上で5−FVAをアンモニアで還元的にアミノ化することにより高収率で製造することができる。 或いは、6−ACAは、5−FVAとヒドロキシルアミンとの反応により製造される6−オキシモカプロン酸(oximocaproic acid)のPtO2上での水素化により得ることができる(例えば、ホモログの12−アミノドデカン酸の合成についてはF.O.Ayorinde、E.Y.Nana、P.D.Nicely、A.S.Woods、E.O.Price、C.P.Nwaonicha J.Am.Oil Chem.Soc.1997年、74、531−538頁を参照のこと)。 ある実施形態では、5−FVAの6−ACAへの変換は、(i)アミノドナーと、(ii)アミノトランスフェラーゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼ又はかかる変換の触媒能を有する他の生体触媒との存在下で生体触媒的に実施され得る。詳細には、かかる実施形態においてアミノトランスフェラーゼは、ビブリオ・フルビアリス(Vibrio fluvialis)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)又はバチルス・ウェイヘンステファネンシス(Bacillus weihenstephanensis)由来のアミノトランスフェラーゼ;β−アミノイソブチレート:ブタ腎臓由来のαλπηα−ケトグルタル酸アミノトランスフェラーゼ;ウサギ肝臓由来のβ−アラニンアミノトランスフェラーゼ;メルクリアリス・ペレンニス(Mercurialis perennis)のシュート由来のアミノトランスフェラーゼ;ブタ肝臓由来又はヒト、ラット、若しくはブタ脳由来の4−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ;ウサギ肝臓由来のβ−アラニンアミノトランスフェラーゼ;及びL−リジン:α−ケトグルタル酸−ε−アミノトランスフェラーゼの群から選択され得る。アミノ酸デヒドロゲナーゼが使用される場合、かかるアミノ酸デヒドロゲナーゼは、特に、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)又はゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)由来のリジン6−デヒドロゲナーゼの群から選択され得る。別の好適なアミノ酸デヒドロゲナーゼは、バチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)、ブレビバクテリウム・エスピー(Brevibacterium sp.)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、又はプロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)由来のジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼの群;補因子としてのNADH又はNADPHと共に作用する、アシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.)ADP1又はラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.3)の群;補因子としてのNADPHと共に作用する、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.4)の群;サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.4)の群;又はバチルス・セレウス(Bacillus cereus)又はバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のロイシンデヒドロゲナーゼの群から選択され得る。 特定の実施形態において、AKPは化学的に5−FVAに変換される。2−ケトカルボン酸の対応するアルデヒドへの効率的な化学的脱炭酸反応は、例えばTetrahedron Lett.1982年、23(4)、459−462頁に記載されるとおりの方法に基づき、共沸による水分留去及び同時に起こるCO2損失のもと、第二級アミン、例えばモルホリンを使用した中間体エナミン生成により行うことができる。続いて中間体末端エナミドが加水分解されて対応するアルデヒドとなる。その後5−FVAは、アミノトランスフェラーゼの存在下でのアミノ基転移によるか、又はアミノ酸デヒドロゲナーゼ若しくはかかる変換を触媒可能な別の生体触媒による酵素還元的アミノ化によって6−ACAに生体触媒的に変換され得る。かかるアミノトランスフェラーゼ又はアミノ酸デヒドロゲナーゼは、詳細には、5−FVAの6−ACAへの変換について記載するときに上述した生体触媒から選択され得る。 或いは、5−FVAの6−ACAへの変換は、例えば上述されるとおりの、化学的方法により実施されてもよい。 特定の実施形態において、AKPのAAPへの生体触媒変換は、(i)アミノトランスフェラーゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼ、又はかかる変換の触媒能を有する別の生体触媒、及び(ii)アミノドナーの存在下で行われる。本発明においてAKPのAAPへの変換に使用されるかかるアミノトランスフェラーゼは、詳細には、ブタ心臓由来のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)又は酵母由来のα−ケトアジピン酸:グルタミン酸アミノトランスフェラーゼ;メルクリアリス・ペレンニス(Mercurialis perennis)のシュート由来のアミノトランスフェラーゼ;大腸菌(E.coli)由来の4−アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ;サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来のα−アミノアジピン酸アミノトランスフェラーゼ;アスプレニウム・セプテントリオナレ(Asplenium septentrionale)又はアスプレニウム・ユニラテラレ(Asplenium unilaterale)由来のアミノトランスフェラーゼ;及びセラトニア・シリカ(Ceratonia siliqua)由来のアミノトランスフェラーゼの群から選択され得る。 好適なアミノ酸デヒドロゲナーゼは、詳細には、補因子としてのNADH又はNADPHと共に作用する、アシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.)ADP1又はラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.3);補因子としてのNADPHと共に作用する、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、又はブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.4);バチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)、ブレビバクテリウム・エスピー(Brevibacterium sp.)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、又はプロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)由来のアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼの群の中から選択され得る。別の好適なアミノ酸デヒドロゲナーゼは、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)又はゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)由来のリジン6−デヒドロゲナーゼの群;又はバチルス・セレウス(Bacillus cereus)又はバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のロイシンデヒドロゲナーゼの群から選択され得る。 その後AAPは、脱炭酸反応によって6−ACAに化学的に変換され得る。これは、ケトン又はアルデヒド触媒の存在下において高沸点溶媒中で加熱することにより実施することができる。例えば、アミノ酸は、M.Hashimoto、Y.Eda、Y.Osanai、T.Iwai及びS.AokiによりChem.Lett.1986年、893−896頁に記載されるとおり、1〜2v/v%のシクロヘキセノンを含む150〜160℃のシクロヘキサノール中において高収率で脱炭酸される。同様の方法が、DaisoによるEur.Pat.Appl.1586553、2005年、及びS.D.Brandt、D.Mansell、S.Freeman、I.A.Fleet、J.F.AlderによるJ.Pharm.Biomed.Anal.2006年、41、872−882頁に記載されている。 或いは、AAPの6−ACAへの脱炭酸反応は、デカルボキシラーゼ又はかかる脱炭酸反応を触媒する他の生体触媒の存在下で生体触媒的に実施されてもよい。デカルボキシラーゼは、α−アミノ酸の脱炭酸の触媒能を有するデカルボキシラーゼの中から選択され得る。詳細には、デカルボキシラーゼは、クルクルビタ・モスカータ(Curcurbita moschata)、キュウリ、酵母、又は子ウシ脳由来のグルタミン酸デカルボキシラーゼ;及びジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.20)の群から選択され得る。ジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼは、例えば、ジアミノピメレートからリジンを合成する能力を有する生物由来であってもよい。かかる生物は、詳細には、細菌、古細菌及び植物の中に見ることができる。特に、ジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼは、グラム陰性細菌、例えば大腸菌(E.coli)に由来し得る。 特定の実施形態において、AKPは化学的にAAPに変換される。AAPは、同様の化合物について記載されるとおり、2−オキソピメリン酸から触媒的ロイカート・ヴァラッハ反応により製造することができる。この反応は、均一系触媒としてのメタノール及び[RhCp*Cl2]2においてギ酸アンモニウムにより実施される(M.Kitamura、D.Lee、S.Hayashi、S.Tanaka、M.Yoshimura J.Org.Chem、2002年、67、8685−8687頁)。或いは、ロイカート・ヴァラッハ反応は、S.Ogo、K.Uehara及びS.FukuzumiによりJ.Am.Chem.Soc.2004年、126、3020−3021頁に記載されるとおり触媒として[IrIIICp*(bpy)H2O]SO4を使用して、水性ギ酸アンモニウムにより実施されてもよい。(キラル)ベンジルアミンとの反応及び続くPd/C又はPd(OH)2/C上での中間体イミンの水素化によりαλπηα−ケト酸の(鏡像異性的に濃縮された)アミノ酸への転換もまた可能である。例えば、R.G.Hiskey、R.C.Northrop J.Am.Chem.Soc.1961年、83、4798頁を参照のこと。 その後、AAPの6−ACAへの生体触媒変換が、デカルボキシラーゼ又はかかる脱炭酸反応を実施する能力を有する別の生体触媒の存在下で行われ得る。かかるデカルボキシラーゼは、詳細には、AAPの6−ACAへの生体触媒変換について記載したときに上記で参照した生体触媒の中から選択され得る。 或いは、AAPの6−ACAへの変換は、例えば上述されるとおりの、化学的方法によって実施されてもよい。 特定の実施形態において、AKPの5−FVAへの生体触媒変換は、デカルボキシラーゼ又はかかる変換の触媒能を有する他の生体触媒の存在下で行われ、その後5−FVAの6−ACAへの変換が、アミノトランスフェラーゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼ、又はかかる変換の触媒能を有する他の生体触媒の存在下で行われる。こうした反応に好適なデカルボキシラーゼは、詳細には、AKPを5−FVAに変換する生体触媒について記載したときに上述したデカルボキシラーゼの群から選択され得る。5−FVAの変換に好適なアミノトランスフェラーゼ又はアミノ酸デヒドロゲナーゼは、詳細には、5−FVAの6−ACAへの生体触媒変換について記載したときに上述したものから選択され得る。 特定の実施形態において、AKPのAAPへの生体触媒変換は、アミノトランスフェラーゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼ、又はかかる変換の触媒能を有する他の生体触媒の存在下で行われ、AAPはその後、デカルボキシラーゼの存在下で6−ACAに変換される。これらの反応に好適な酵素は、詳細には、それぞれAKPのAAPへの生体触媒変換及びAAPの6−ACAへの生体触媒変換について記載したときに上記に記載したアミノトランスフェラーゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼ、及びデカルボキシラーゼの群から選択され得る。 本発明の別の実施形態において、6−ACA(本発明に係る方法で作製されたAKPから製造される)はジアミノヘキサンに変換される。これは、酸基を還元してアルデヒド基を形成し、そのように形成されたアルデヒド基のアミノ基転移によりアミノ基を提供してジアミノヘキサンを得ることにより達成され得る。これは化学的に達成されても、又は生体触媒的に達成されてもよい。本発明の好ましい方法において、製造は、アミノドナー、例えば本明細書の他の箇所に記載されるとおりのアミノドナーの存在下において、アルデヒド基を形成するよう酸を還元する触媒能を有する生体触媒の存在下における生体触媒反応及び/又は前記アミノ基転移の触媒能を有する生体触媒の存在下における生体触媒反応を含む。 アルデヒド基を形成するよう酸基を還元する触媒能を有する生体触媒は、詳細には、オキシドレダクターゼ(EC 1.2.1)の群、好ましくはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.3、EC 1.2.1.4及びEC 1.2.1.5)、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセチル化)(EC 1,2,1,10);アスパラギン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.11);マロン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.15);及びコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.16及びEC 1.2.1.24)の群から選択される酵素を含み得る。 オキシドレダクターゼは、原則的に任意の生物から採取又は誘導されてもよい。生物は原核生物であっても、又は真核生物であってもよい。詳細には、生物は、細菌、古細菌、酵母、真菌、原生生物、植物及び動物(ヒトを含む)から選択することができる。 ある実施形態では、オキシドレダクターゼ、詳細にはアルデヒドデヒドロゲナーゼは、アシネトバクター属(Acinetobacter)(詳細にはアシネトバクター・バウマニイ(Acinetobacter baumanii)及びアシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.)NCIMB9871)、アゾスピリラム属(Azospirillum)(詳細にはアゾスピリラム・ブラシレンセ(Azospirillum brasilense))ラルストニア属(Ralstonia)、ボルデテラ属(Bordetella)、バークホルデリア属(Burkholderia)、メチロバクテリウム属(Methylobacterium)、キサントバクター属(Xanthobacter)、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)、リゾビウム属(Rhizobium)、ニトロバクター属(Nitrobacter)、ブルセラ属(Brucella)(詳細にはB.メリテンシス(B.melitensis))、シュードモナス属(Pseudomonas)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)(詳細にはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens))、バチルス属(Bacillus)、リステリア属(Listeria)、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、エシェリキア属(Escherichia)、及びフラボバクテリウム属(Flavobacterium)の群から選択される細菌から採取又は誘導される。 ある実施形態では、オキシドレダクターゼ、詳細にはアルデヒドデヒドロゲナーゼは、酵母及び真菌の群、詳細には、アスペルギルス属(Aspergillus)(詳細にはA.ニガー(A.niger)及びA.ニデュランス(A.nidulans))及びペニシリウム属(Penicillium)(詳細にはP.クリソゲナム(P.chrysogenum))の群から選択される生物から採取又は誘導される。 ある実施形態では、オキシドレダクターゼ、詳細にはアルデヒドデヒドロゲナーゼは、植物、詳細にはアラビドプシス属(Arabidopsis)、より詳細にはA.タリアナ(A.thaliana)から採取又は誘導される。 ジアミノヘキサンへの変換におけるアミノ基転移反応の触媒能を有する生体触媒は、詳細には、例えば本明細書の他の箇所に記載されるとおりの生物に見られるアミノトランスフェラーゼ(E.C.2.6.1)の群から選択される酵素を含み得る。 本発明の方法における反応条件は、生体触媒、特に酵素についての公知の条件、本明細書に開示される情報及び場合により何らかのルーチン実験に応じて選択され得る。 原則的に、用いられる反応媒質のpHは、生体触媒がそのpH条件下で活性である限り広範な制限のなかで選択されてもよい。生体触媒及び他の要因に応じて、アルカリ性、中性又は酸性条件が用いられ得る。方法が、例えば本発明の方法を触媒する酵素を発現させるための微生物の使用を含む場合、微生物がその目的とする1つ又は複数の機能を果たすことが可能であるようにpHが選択される。pHは、詳細には、中性pHより低い4pH単位及び中性pHより高い2pH単位の範囲内、すなわち25℃の本質的に水性の系の場合にはpH3〜pH9の範囲内で選択され得る。水が唯一の溶媒であるか、又は主な溶媒(液体全量を基準として>50wt.%、特に>90wt.%)であって、例えば存在し得る微生物が活性を維持する濃度で少量(液体全量を基準として<50wt.%、特に<10wt.%)のアルコール又は別の溶媒が(例えば炭素源として)溶解していてもよい場合に、系は水性であると見なされる。特に酵母及び/又は真菌が使用される場合、酸性条件が好ましいこともあり、特に、25℃の本質的に水性の系を基準として、pHはpH3〜pH8の範囲であってもよい。必要であれば、pHは酸及び/又は塩基を使用して調整されてもよく、又は酸と塩基との好適な組み合わせにより緩衝されてもよい。 原則的に、インキュベーション条件は、生体触媒が十分な活性及び/又は増殖を示す限り、広範な制限のなかで選択することができる。これには、好気条件、微好気条件、酸素制限条件及び嫌気条件が含まれる。 嫌気条件は、本明細書では、酸素を一切含まない条件、又は生体触媒、特に微生物により実質的に酸素が消費されず、通常、5mmol/l.h未満の酸素消費、特に2.5mmol/l.h未満、若しくは1mmol/l.h未満の酸素消費に対応する条件として定義される。 好気条件は、少なくとも10mmol/l.hの、より好ましくは20mmol/l.hより高い、さらにより好ましくは50mmol/l.hより高い、最も好ましくは100mmol/l.hより高い酸素消費率を維持することが可能な、制限なしに増殖するのに十分なレベルの酸素が媒質中に溶解している条件である。 酸素制限条件は、気体から液体への酸素転移により酸素消費が制限される条件として定義される。酸素制限条件の下限は嫌気条件の上限、すなわち、通常少なくとも1mmol/l.h、特に少なくとも2.5mmol/l.h、又は少なくとも5mmol/l.hにより決定される。酸素制限条件の上限は、好気条件の下限、すなわち、100mmol/l.h未満、50mmol/l.h未満、20mmol/l.h未満、又は10mmol/l.h未満に至る下限により決定される。 好気条件か、嫌気条件か、又は酸素制限条件かは、方法が実行される条件に依存し、詳細には、流入気体流の量及び組成、使用される機器の実際の混合/質量移動特性、使用される微生物の種類及び微生物密度による。 本発明の好ましい方法において、少なくともAKPの製造は、発酵条件下で実行される。 原則的に、生体触媒、特に酵素が実質的な活性を示す限り、使用される温度は重要ではない。概して、温度は少なくとも0℃、詳細には少なくとも15℃、さらに詳細には少なくとも20℃であり得る。望ましい最高温度は生体触媒に依存する。一般に、かかる最高温度は当該技術分野において公知であり、例えば市販の生体触媒の場合には製品データシートに指示されており、又は共有されている一般的知識及び本明細書に開示される情報に基づきルーチン的に決定することができる。温度は通常90℃以下、好ましくは70℃以下、詳細には50℃以下、さらに詳細には或いは40℃以下である。 特に生体触媒反応が宿主生物外で実施される場合、有機溶媒を含む反応媒質は、かかる媒質中で十分な活性を維持する酵素が使用されるならば、高濃度で(例えば50%より高い、又は90wt.%より高い)使用され得る。 本発明の方法で製造された化合物は、それを製造した媒質から回収することができる。回収条件は、特定の化合物の回収についての公知の条件、本明細書に開示される情報及び場合により何らかのルーチンの実験に応じて選択され得る。 本発明の方法における反応工程を触媒するための1つ又は複数の酵素を含む異種細胞は、それ自体当該技術分野において公知の分子生物学的技法を用いて構築することができる。例えば、かかる技法を使用して、前記生体触媒の1つ又は複数をコードする1つ又は複数の遺伝子を含むベクターを提供することができる。かかる遺伝子の1つ又は複数を含むベクターは、1つ又は複数の調節エレメント、例えば、生体触媒をコードする遺伝子に作動可能に連結されてもよい1つ又は複数のプロモーターを含み得る。 本明細書で使用されるとき、用語「作動可能に連結された」は、ポリヌクレオチドエレメント(又はコード配列若しくは核酸配列)の機能的関係での連結を指す。核酸配列は、それが別の核酸配列と機能的関係に置かれているとき、「作動可能に連結」されている。例えば、プロモーター又はエンハンサーは、それがコード配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されている。 本明細書で使用されるとき、用語「プロモーター」は、遺伝子の転写開始部位の転写方向に関して上流に位置して1つ又は複数の遺伝子の転写を制御するように機能する核酸断片を指し、DNΑ依存性RNAポリメラーゼに対する結合部位、転写開始部位及び任意の他のDNA配列、例えば限定はされないが、転写因子結合部位、リプレッサー及びアクチベータタンパク質結合部位、及び直接的又は間接的に作用してプロモーターからの転写量を調節することが当業者に公知である任意の他のヌクレオチド配列の存在により構造的に同定される。「構成的」プロモーターは、ほとんどの環境及び発達条件下で活性なプロモーターである。「誘導性」プロモーターは、環境又は発達制御下で活性なプロモーターである。用語「同種の」は、所与の(組換え)核酸又はポリペプチド分子と所与の宿主生物又は宿主細胞との間の関係を示して用いられるとき、本質的に、その核酸又はポリペプチド分子が、同じ種の、好ましくは同じ変種又は株の宿主細胞又は生物により産生されることを意味するものと理解される。 本発明の方法で使用される酵素、特に、本明細書において上記に記載されるようなアミノトランスフェラーゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼ又はデカルボキシラーゼをコードするヌクレオチド配列の発現を実現するために使用することのできるプロモーターは、発現させる酵素をコードするヌクレオチド配列にとって在来のものであってもよく、又はそれが作動可能に連結されるヌクレオチド配列(コード配列)にとって異種であってもよい。好ましくは、プロモーターは同種であり、すなわち宿主細胞にとって内因性である。 異種プロモーター(目的の酵素をコードするヌクレオチド配列に対して)が使用される場合、その異種プロモーターは、コード配列にとって在来性のプロモーターと比べて、好ましくはコード配列を含む転写産物をより高い定常状態レベルで生成する能力を有する(又は単位時間当たりより多くの転写産物分子、すなわちmRNA分子を生成する能力を有する)。これに関連した好適なプロモーターとしては、当業者に周知の構成的及び誘導性の双方の天然プロモーター並びに人工的プロモーターが挙げられる。 「強力な構成的プロモーター」は、天然宿主細胞と比較してmRNAを高頻度で惹起させるプロモーターである。グラム陽性微生物におけるかかる強力な構成的プロモーターの例としては、SP01−26、SP01−15、veg、pyc(ピルビン酸カルボキシラーゼプロモーター)、及びamyEが挙げられる。 グラム陽性微生物における誘導性プロモーターの例としては、IPTG誘導性Pspacプロモーター、キシロース誘導性PxylAプロモーターが挙げられる。 グラム陰性微生物における構成的及び誘導性プロモーターの例としては、限定はされないが、tac、tet、trp−tet、lpp、lac、lpp−lac、laclq、T7、T5、T3、gal、trc、ara(PBAD)、SP6、λ−PR、及びλ−PLが挙げられる。 (糸状)真菌細胞に対するプロモーターは当該技術分野において公知であり、例えば、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼgpdAプロモーター、pepA、pepB、pepCなどのプロテアーゼプロモーター、グルコアミラーゼglaAプロモーター、アミラーゼamyA、amyBプロモーター、カタラーゼcatR又はcatAプロモーター、グルコースオキシダーゼgoxCプロモーター、β−ガラクトシダーゼlacAプロモーター、α−グルコシダーゼaglAプロモーター、翻訳伸長因子tefAプロモーター、xlnA、xlnB、xlnC、xlnDなどのキシラナーゼプロモーター、eglA、eglB、cbhAなどのセルラーゼプロモーター、areA、creA、xlnR、pacC、prtTなどの転写制御因子のプロモーター又は任意の他のものであってもよく、とりわけNCBIのウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/)において見ることができる。 本発明はまた、AKPの製造、及び場合により5−FVA、AAP、6−ACA、ジアミノヘキサン又はカプロラクタムなどの、AKPからのさらなる化合物の製造における少なくとも1つの反応工程の触媒能を有する1つ又は複数の生体触媒を提供し得る新規異種細胞にも関する。本発明はまた、AKPの製造、及び場合により5−FVA、AAP、6−ACA、ジアミノヘキサン又はカプロラクタムなどの、AKPからのさらなる化合物の製造における少なくとも1つの反応工程の触媒能を有する1つ又は複数の酵素をコードする1つ又は複数の遺伝子を含む新規ベクターにも関する。1つ又は複数の好適な遺伝子は、詳細には、本明細書で上記に記載されるとおりの酵素をコードする遺伝子の中から選択され得る。詳細には、かかる遺伝子の少なくとも1つは宿主生物にとって異種である。 特に有利な実施形態において、異種細胞又はベクターは、AksD、AksE、AksF及びNifV遺伝子を含む。さらなる特に有利な実施形態において、異種細胞はAksA遺伝子をさらに含む。好ましいAksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子は、M.ジャナシイ(M.jannashii)、S.セレビシエ(S.cerevisiae)、M.マリパルディス(M.maripaludis)、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans)、メタノスピリラム・フンガテイ(Methanospirillum hungatei)又は大腸菌(E.coli)に由来する。NifV遺伝子は、好ましくはアゾトバクター・ビネランジイ(Azotobacter vinelandii)に由来する。 特に好ましい実施形態において、NifV遺伝子は、配列番号149により表される配列、又はその機能的アナログを含む。 AksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子の群から選択される遺伝子に関して、好ましくは、本発明に係る(使用される)細胞のゲノムは、配列番号145、146、147、148;配列番号167、168、169、170、171、172、173、174;配列番号177、178、179、180、181、182、183、184;配列番号224、226、236、238、248、250、260、262;配列番号227、229、239、241、251、253、263、265;配列番号;194、196、206、208、221、223、281、283;配列番号;188、190、200、202、215、217、272、274及びその機能的アナログの群から選択される配列のいずれかに係る少なくとも1つの核酸配列を含む。具体的な実施形態において、細胞は、この配列の群から選択されるAksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子を含む。さらに具体的な実施形態において、細胞は、配列番号149により表される配列又はその機能的アナログを含むNifV遺伝子、この配列の群から選択されるAksD、AksE及びAksF遺伝子を含む。 特に好ましい実施形態において、AksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子の群から選択されるこれらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号145、146、147、148により表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。さらなる特に好ましい実施形態において、これらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号167、168、169、170によりそれぞれ表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログを含む。 特に好ましい実施形態において、AksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子の群から選択されるこれらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号260、224、236、248により表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。 特に好ましい実施形態において、AksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子の群から選択されるこれらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号262、226、238、250により表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。 特に好ましい実施形態において、AksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子の群から選択されるこれらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号263、227、239、251により表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。 特に好ましい実施形態において、これらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号265、229、241、253により表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。 特に好ましい実施形態において、AksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子の群から選択されるこれらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号281、194、206、221により表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。 特に好ましい実施形態において、AksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子の群から選択されるこれらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号283、196、208、223により表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。 特に好ましい実施形態において、AksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子の群から選択されるこれらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号272、188、200、215により表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。 特に好ましい実施形態において、AksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子の群から選択されるこれらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号274、190、202、217により表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。 さらに別の特に好ましい実施形態において、AksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子の群から選択されるこれらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174によりそれぞれ表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。さらに別の特に好ましい実施形態において、これらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号177、178、179、180によりそれぞれ表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。 さらに別の特に好ましい実施形態において、AksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子の群から選択されるこれらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号260、224、236、248によりそれぞれ表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。 さらに別の特に好ましい実施形態において、AksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子の群から選択されるこれらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号263、227、239、251によりそれぞれ表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。 さらに別の特に好ましい実施形態において、AksA、AksD、AksE及びAksF遺伝子の群から選択されるこれらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号281、194、206、221によりそれぞれ表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。 さらに別の特に好ましい実施形態において、これらの遺伝子の1個、2個、3個又は各々は、それぞれ配列番号272、188、200、215によりそれぞれ表される配列(それぞれAksA、D、E及びF)及びその機能的アナログから選択される配列を含む。 特に好ましい実施形態において、細胞のゲノムは、配列番号145により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号146により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号147により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号148により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号149により表される核酸配列、又はその機能的アナログとを含む。 特に好ましい実施形態において、細胞のゲノムは、配列番号146により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号147により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号148により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号149により表される核酸配列、又はその機能的アナログとを含む。 特に好ましい実施形態において、細胞のゲノムは、配列番号172により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号173により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号174により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号149により表される核酸配列、又はその機能的アナログとを含む。 特に好ましい実施形態において、細胞のゲノムは、配列番号224により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号236により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号248により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号149により表される核酸配列、又はその機能的アナログとを含む。 特に好ましい実施形態において、細胞のゲノムは、配列番号227により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号239により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号251により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号149により表される核酸配列、又はその機能的アナログとを含む。 特に好ましい実施形態において、細胞のゲノムは、配列番号194により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号206により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号221により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号149により表される核酸配列、又はその機能的アナログとを含む。 特に好ましい実施形態において、細胞のゲノムは、配列番号188により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号200により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号215により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号149により表される核酸配列、又はその機能的アナログとを含む。 特に好ましい実施形態において、細胞のゲノムは、配列番号177により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号178により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号179により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号180により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号149により表される核酸配列、又はその機能的アナログとを含む。 特に好ましい実施形態において、細胞のゲノムは、配列番号224により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号236により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号248により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号260により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号149により表される核酸配列、又はその機能的アナログとを含む。 特に好ましい実施形態において、細胞のゲノムは、配列番号227により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号239により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号251により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号263により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号149により表される核酸配列、又はその機能的アナログとを含む。 特に好ましい実施形態において、細胞のゲノムは、配列番号194により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号206により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号221により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号281により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号149により表される核酸配列、又はその機能的アナログとを含む。 特に好ましい実施形態において、細胞のゲノムは、配列番号188により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号200により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号215により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号272により表される核酸配列、又はその機能的アナログと、配列番号149により表される核酸配列、又はその機能的アナログとを含む。 良好な結果が、配列番号149、167、168、169及び170により表される異種核酸配列をゲノムに含む大腸菌(E.coli)宿主細胞で得られている。 良好な結果が、配列番号149、168、169及び170により表される異種核酸配列をゲノムに含む大腸菌(E.coli)宿主細胞で得られている。 AKPの生成に関する良好な結果が、配列番号149、172、173及び174により表される異種核酸配列をゲノムに含むS.セレビシエ(S.cerevisiae)宿主細胞で得られている。 AKPの生成に関する良好な結果が、配列番号149、177、178、179、180により表される異種核酸配列をゲノムに含む大腸菌(E.coli)宿主細胞で得られている。 AKPの生成に関する良好な結果が、配列番号149、224、236、248により表される異種核酸配列をゲノムに含む大腸菌(E.coli)宿主細胞で得られている。 AKPの生成に関する良好な結果が、配列番号149、227、239、251により表される異種核酸配列をゲノムに含む大腸菌(E.coli)宿主細胞で得られている。 AKPの生成に関する良好な結果が、配列番号149、194、206、221により表される異種核酸配列をゲノムに含む大腸菌(E.coli)宿主細胞で得られている。 AKPの生成に関する良好な結果が、配列番号149、188、200、251により表される異種核酸配列をゲノムに含む大腸菌(E.coli)宿主細胞で得られている。 異種細胞は、詳細には、生体触媒について記載する場合、上述されるとおりの細胞であり得る。 詳細には、本発明に係る異種細胞は、α−ケトグルタル酸からのα−ケトピメリン酸の製造における、又はAKPのAAP、6−ACA、5−FVA、カプロラクタム、若しくはジアミノヘキサンへの変換における少なくとも1つの反応工程の触媒能を有する1つ又は複数の異種酵素をコードする1つ又は複数の異種核酸配列(1つ又は複数のベクターの一部であり得る)を含む。 特定の実施形態において、細胞は、α−ケトグルタル酸をα−ケトアジピン酸に変換する触媒能を有する酵素系をコードする、同種であっても、又は異種であってもよい1つ又は複数の核酸配列を含み、ここで前記酵素系は、上記にさらに詳細に説明したとおり、リジン生合成のためのAAA生合成経路の一部を形成する。 異種細胞は、好ましくは、α−ケトアジペートをα−アミノアジペートに変換する触媒能を有するアミノトランスフェラーゼ活性を含まない。その活性が細胞に天然に存在する場合、細胞DNA中のかかる酵素をコードする1つ又は複数の遺伝子を不活性化させるか、修飾するか又は欠失させることにより除去、低下、又は修飾され得る。この活性は、1つ又は複数の生体触媒に由来し得る。それらはまた、例えば分子進化法又は合理的設計法により、任意の望ましくない活性をそれ以上保持せず、しかし任意の所望の活性(例えば本発明との関連における任意の活性又は宿主細胞の代謝に必要とされる活性)は維持するように修飾されてもよい。 異種細胞は、好ましくは、AKP、5−FVA又はアジピン酸を分解したり、又はそれを任意の望ましくない副生成物に変換したりし得る1つ又は複数のいかなる酵素も含まない。例えばアジピン酸分解経路の一部としての任意のかかる活性が特定される場合、その活性は、本明細書において上記に記載されるとおり除去、低下又は修飾され得る。 好ましくは、細胞は、α−ケトグルタル酸のα−ケトアジピン酸へのC1伸長及び/又はα−ケトアジピン酸のα−ケトピメリン酸へのC1伸長を触媒する1つ又は複数の酵素をコードする1つ又は複数の異種核酸配列を含む。好適な核酸配列は、特に、上記に特定されるようなAks酵素又はそのホモログをコードする核酸配列の中から選択され得る。 特に細胞がAKPの製造に使用され、次にそれが5−FVA又はAAPなどのさらなる生成物に変換され、次にそれがさらに6−ACA、カプロラクタム又はジアミノヘキサンに変換され得ることが意図される場合、異種細胞は、かかる変換を触媒する酵素をコードする核酸配列を含むことが好ましい。これは、例えば、細胞中で活性であり得る、C1伸長を触媒する少なくとも一部の酵素が、AKPの望ましくない伸長の触媒能を有し得る点から有利であり得る。デカルボキシラーゼ又はアミノトランスフェラーゼなどの、AKPを5−FVA又はAAPなどの所望の生成物に変換する触媒能を有する酵素を細胞内で発現させることにより、同じく伸長を触媒するその1つ又は複数の酵素が原則的にAKPを基質として利用可能であれば、かかる望ましくない伸長が低減され、又は実質的に回避され得るものと考えられる。 例えばM.ジャナシイ(M.jannashii)又はA.ビネランジイ(A.vinelandii)におけるC1伸長に関わる酵素の一部は基質特異性が緩和されており、異なる炭素鎖長の基質を変換することが可能であることが注記される。多くの酵素について、その基質特異性が緩和されており、従って非天然基質を変換可能であることが知られている。本発明に係る(方法で使用される)異種細胞の効率を向上させるため、AKGからのAKPの製造における反応工程の触媒能を有する酵素系であって、AKGのAKAへの伸長及び/又はAKAのAKPへの伸長に関する高い触媒活性を示し、しかしAKPの別の伸長に関しては低い触媒活性を示す酵素系を提供することが特に好ましい。AKGからのAKPの製造における反応工程の触媒能を有する1つ又は複数の酵素(をコードする核酸配列)は、AKG及び/又はAKAの伸長に関する反応特異性を高めるため、上記に記載したような技法により修飾されてもよく、及び/又はかかる酵素(をコードする核酸配列)は、AKPに対する(基質としての)結合親和性が低減され、従ってAKPの伸長に関する触媒活性が低減されるように修飾されてもよい。 かかる修飾には分子進化法が関わり、多様性が作り出され、続いて所望の突然変異体についてのスクリーニング及び/又は基質結合ポケットの合理的改変が行われ得る。本発明の方法で使用される酵素の基質特異性を修飾する技法は、当該技術分野において記載がなされているものに基づき得る。特に、C1伸長の「反応a」の触媒能を有するAksA酵素又はそのホモログは、AKAのAKPへの及び/又はAKGのAKAへの伸長の触媒に関する触媒活性と比べて、AKPのα−ケトスベレートへの伸長の触媒に関する触媒活性が低減されるように進化させ得る。好ましくは、かかる酵素は、AKPのα−ケトスベレートへの伸長の触媒に関する実質的な触媒活性を示さない。特に「反応a」を触媒する酵素は、当然ながらAKPがα−ケトスベレートの製造において基質として機能することが意図される場合を除き、C1伸長によって得られる最大鎖長を制御するものと考えられる。 例えば、構造及び配列の情報を用いて特異的突然変異体を設計する合理的改変を利用して、代替のアシルドナーを受け入れるようエリスロマイシンポリケチドシンターゼのアシルトランスフェラーゼドメイン4の基質特異性が修飾されている。提案された基質結合部位の修飾により、異なる生成物比をもたらす代替的な基質に適応することが可能な修飾結合ポケットがもたらされたことが示されている(Reeves,C.D.;Murli,S.;Ashley,G.W.;Piagentini,M.;Hutchinson,C.R.;McDaniel,R、Biochemistry 2001、40(51)、15464−15470頁)。合理的設計法及び分子進化法の双方の手法とも、それを用いて生体触媒BM3の基質特異性が改変され、中鎖脂肪酸(例えばミリスチン酸)の天然基質に代えて又は加えて、多種多様な異なるアルケン、シクロアルケン、アレーン及びヘテロアレーンの酸化能を有する多数の突然変異体が得られている(Peters,M.W.;Meinhold,P.;Glieder,A.;Arnold,F.H、Journal of the American Chemical Society 2003、125(44)、13442−13450頁;Appel,D.;Lutz−Wahl,S.;Fischer,P.;Schwaneberg,U.;Schmid,R.D、Journal of Biotechnology 2001、88(2)、167−171頁及びその引用文献)。 ある実施形態では、異種細胞は、α−ケトグルタレートを基質として受け入れたが、α−ケトアジペートは好適な基質ではなかったホモクエン酸シンターゼから、α−ケトアジペートも基質として受け入れるように進化させたホモクエン酸シンターゼをコードする異種核酸配列を含む。かかる酵素は、詳細には、例えば、ペニシリウム属(Penicillium)、セファロスポリウム属(Cephalosporium)、ウスチラゴ属(Ustilago)、セファロスポリウム属(Cephalosporium)、ペリコミセス属(Paelicomyces)、トリコフィツム属(Trichophytum)、ファネロカエテ属(Phanerochaete)、エメリセラ属(Emericella)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ヤロウオア属(Yarrowoa)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、ピキア属(Pichia)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、クリウベロミセス属(Klyuveromyces)、カンジダ属(Candida)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、サーマス属(Thermus)、又はデイノコッカス属(Deinococcus)由来、又は窒素固定細菌、例えばアゾトバクター属(Azotobacter)、フランキア属(Frankia)、シネコシスティス属(Synecchocystis)、アナベナ属(Anabaena)、ミクロシクティス属(Microcyctis)、リゾビウム属(Rhizobium)、ブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)、クレブシエラ属(Klebsiella)、又はシュードモナス属(Pseudomonas)由来の、AAA経路を介したリジン生合成に関わる真菌酵素又は細菌酵素であり得る。特に、AKAに対する惹起活性を有することが示されたアゾトバクター・ビネランジイ(Azotobacter vinelandii)由来のNifVなどの酵素が用いられてもよい(Zheng,L.;White,R.H.;Dean,D.R. The Journal of Bacteriology 1997、179(18)、5963−5966頁)。配列番号149に、前記酵素をコードする遺伝子が示される。 異種細胞は、詳細には、上記に特定されるようなAks酵素又はそのホモログをコードする核酸配列を含んでもよく、より詳細には細胞は、少なくともAks酵素又はそのホモログをコードする核酸配列を含んでもよく、好ましくは、配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、69、70、71、72、73、74、75、76、77、261、264、267、270、273、276、279、282のいずれかにより表される酵素又はそのホモログをコードする核酸配列が使用され得る。 さらに好ましい実施形態において、細胞は、配列番号14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、54、55、56、57、58、59、60、61、186、189、192、195、225、228、231、234のいずれかにより表される酵素又はそのホモログをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む。 さらに好ましい実施形態において、細胞は、配列番号24、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、198、201、204、207、237、240、243、246のいずれかにより表される酵素又はそのホモログをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む。 さらに好ましい実施形態において、細胞は、配列番号34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、62、63、64、65、66、67、210、213、216、219、222、249、252、255、258のいずれかにより表される酵素又はそのホモログをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む。 ある実施形態では、異種生物は、リジン生合成のためのAAA経路を有する宿主細胞をベースとし、ここではC1伸長における「反応a」の触媒能を有するホモクエン酸シンターゼ(AksA又はそのホモログなど)が異種発現し得る。かかるホモクエン酸シンターゼは、好ましくは、AKPの伸長を実質的に触媒することなしに、AKG及び/又はAKAの伸長における反応工程(反応a)の選択的触媒能を有する。このような場合、任意の内因性ホモクエン酸シンターゼを、特にそれがAKPの伸長反応における「反応a」の触媒能を有する場合、欠失させることが有益であり得る。次にかかる宿主細胞は、AKGのAKAへの及び/又はAKAのAKPへのC1伸長において機能的に活性を有する1つ又は複数のホモクエン酸シンターゼを効果的に含み得る。次にAKG及び/又はAKAの伸長を実現するさらなる反応が、アミノアジピン酸経路に関わる酵素などの内因性(enodogenous)酵素により触媒され得る。 ある実施形態では、異種細胞は、α−ケトピメリン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする核酸配列及び/又はα−アミノピメリン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする核酸配列(を含む組換えベクター)を含む。 好ましい実施形態において、本発明に係る異種細胞は、AKPデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする核酸配列及び/又は5−FVAアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする核酸配列を含む。好ましい実施形態において、本発明に係る異種細胞は、α−アミノピメリン酸2−デヒドロゲナーゼ又はAKPアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする核酸配列及び/又はα−アミノピメリン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする核酸配列を含む。 好ましい実施形態において、本発明に係る異種細胞は、6−アミノカプロン酸6−デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする核酸配列、及び場合によりα−ケトピメリン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする核酸配列を含む。 ここで、以下の実施例により本発明を説明する。[実施例][実施例1:一般的方法][分子的及び遺伝学的技法] 標準的な遺伝学的及び分子生物学的技法が当該技術分野において一般に公知であり、これまでに記載がなされている(Maniatisら 1982年「Molecular cloning:a laboratory manual」、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.;Miller 1972年「Experiments in molecular genetics」、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor;Sambrook及びRussell 2001年「Molecular cloning:a laboratory manual」(第3版)、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press;F.Ausubelら編、「Current protocols in molecular biology」、Green Publishing and Wiley Interscience、New York 1987年)。[プラスミド及び株] pMS470(Balzer,D.;Ziegelin,G.;Pansegrau,W.;Kruft,V.;Lanka,E. Nucleic Acids Research 1992、20(8)、1851−1858頁)及びpBBR1MCS(Kovach ME、Phillips RW、Elzer PH、Roop RM 2nd、Peterson KM、Biotechniques、1994年5月;16(5):800−2頁、pBBR1MCS:a broad−host−range cloning vector)については、これまでに記載がなされている。全てのクローニング手順に大腸菌(E.coli)TOP10株及びDH10B株(Invitrogen、Carlsbad、CA、米国)を使用した。タンパク質発現には大腸菌(E.coli)BL21 A1株(Invitrogen、Carlsbad、CA、米国)及びBL21株(Novagen(EMD/Merck)、Nottingham、英国)を使用した。 S.セレビシエ(S.cerevisiae)での発現には、pRS414、pRS415及びpRS416(Sikorski,R.S.及びHieter,P.、A system of shuttle vectors and yeast host strains designed for efficient manipulation of DNA in Saccharomyces cerevisiae、Genetics 122(1)、19−27頁(1989年);Christianson,T.W.、Sikorski,R.S.、Dante,M.、Shero,J.H.及びHieter,P.、Multifunctional yeast high−copy−number shuttle vectors、Gene 110(1)、119−122頁(1992年))を使用した。タンパク質発現には、S.セレビシエ(S.cerevisiae)CEN.PK 113−6B株(ura3、trp1、leu2、MATa)、CEN.PK 113−5D株(ura3、MATa)、CEN.PK 102−3A株(ura3、leu2、MATa)及びCEN.PK 113−9D株(ura3、trp1、MATa)を使用した。[培地] 2×TY培地(16g/lのトリプトペプトン(tryptopeptone)、10g/lの酵母エキス、5g/lのNaCl)を使用して大腸菌(E.coli)を増殖させた。抗生物質(100μg/mlのアンピシリン、50〜100μg/mlのネオマイシン)を補足して大腸菌(E.coli)中のプラスミドを維持した。大腸菌(E.coli)での遺伝子発現を誘導するため、アラビノース(BL21−AI誘導体について)及びIPTG(pMS470、pBBR1MCS誘導体について)を0.02%(アラビノース)及び0.2mM(IPTG)の最終濃度で使用した。大腸菌(E.coli)によるAKP生成は、以下にさらに詳述するとおり、炭素源としてグルコース(1〜4%)又はグリセロール(1〜4%)を含むM9最少培地(12.8g/LのNa2HPO4・7H2O、3g/LのKH2PO4、0.5g/LのNaCl、1g/LのNH4Cl、2mMのMgSO4、0.1mMのCaCl2)において行った。 4%ガラクトースを含むVerduyn培地を使用してS.セレビシエ(S.cerevisiae)を増殖させた。[プラスミドの同定] 形質転換体の耐抗生物質性、プラスミドDNAの形質転換体又は精製のPCR診断解析、精製プラスミドDNAの限定解析又はDNA配列解析など、当該技術分野において一般に公知の遺伝子、生化学、及び/又は表現型による手段によって異なる遺伝子を含むプラスミドを同定した。制限消化により、及びPCR工程が関わった場合にはさらに配列決定により、記載のある全ての新規コンストラクトの完全性が確認された。[α−ケト酸、6−ACA、AAP、5−FVA及びホモ(n)シトレートを決定するためのUPLC−MS/MS分析法] Waters HSS T3カラム1.8μm、100mm×2.1mmを使用して、表1に示すとおりグラジエント溶離法によりα−ケト酸、6−ACA、AAP、5−FVA及びホモ(n)シトレートを分離した。溶離液Aは0.1%ギ酸を含有するLC/MS等級の水からなり、溶離液Bは0.1%ギ酸を含有するアセトニトリルからなる。流量は0.25ml/分とし、カラム温度は40℃で一定に保った。 多重反応モニタリング(MRM)を用いた、分析する化合物に応じて陽イオン化モード又は陰イオン化モードとしたエレクトロスプレーにおいて、Waters micromass Quattro micro APIを使用した。イオン源温度は130℃に保った一方、流量500L/時で脱溶媒和温度は350℃である。 AKG、AKA、AKP、5−FVA、アジペート、ホモシトレート及びホモ2−シトレートについては、脱プロトン化分子を10〜14eVで分画し、例えばH2O、CO及びCO2の損失から特定の断片を得た。 6−ACAについては、プロトン化分子を13eVで分画し、H2O、NH3及びCOの損失から特定の断片を得た。 濃度を決定するため、合成的に製造された化合物の外部標準の較正曲線を実行し、それぞれのイオンについて応答係数を計算した。これを用いて試料中の濃度を計算した。試料を溶離液A中に適宜希釈し(2〜10倍)、イオン抑制及びマトリクス効果を解消した。[実施例2:大腸菌(E.coli)によるAKPの生成][AKP生合成経路の構築] メタノコッカス・ジャナスキイ(Methanococcus jannaschii)タンパク質のホモクエン酸シンターゼ(AksA、MJ0503、[配列番号4])、ホモアコニターゼ小サブユニット(AksE、MJ1271、[配列番号24])、ホモアコニターゼ大サブユニット(AksD、MJ1003、[配列番号14])及びホモイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(AksF、MJ1596、[配列番号34])のタンパク質配列、メタノコッカス・マリパルディス(Methanococcus maripaludis)C5由来のそのホモログ(ホモクエン酸シンターゼ(AksA、MmarC5_1522、[配列番号7])、ホモアコニターゼ小サブユニット(AksE、MmarC5 1257、[配列番号27])、ホモアコニターゼ大サブユニット(AksD、MmarC5 0098、[配列番号17])及びホモイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(AksF、MmarC5 0688、[配列番号37])、及びA.ビネランジイ(A.vinelandii)ホモクエン酸シンターゼNifV、[配列番号75])をデータベースから検索した。 M.ジャナスキイ(M.jannaschii)及びM.マリパルディス(M.maripaludis)遺伝子を大腸菌(E.coli)に対してコドンペア最適化し(国際公開第08000632号パンフレットに記載の方法を使用した)、合成的に構築した(Geneart、Regensburg、独国)。最適化手順において、内部制限部位は回避し、最初及び最後に共通の制限部位を導入することで、発現ベクターにおけるサブクローニングを可能とした。また、AksDの上流に、pMS470由来のtacプロモーターの配列を付加した。各ORFにはコンセンサスリボソーム結合部位及びリーダー配列が先行し、pMS470での翻訳を駆動した。また、AksDの上流に、pMS470由来のtacプロモーターの配列を付加した。合成AksA[M.ジャナシイ(M.jannashii)配列番号167、M.マリパルディス(M.maripaludis)配列番号177]/AksF[M.ジャナシイ(M.jannashii)配列番号168、M.マリパルディス(M.maripaludis)配列番号178]のカセットはNdeI/XbaIで切断し、合成AksD[M.ジャナシイ(M.jannashii)配列番号169、M.マリパルディス(M.maripaludis)配列番号179]/AksE[M.ジャナシイ(M.jannashii)配列番号170、M.マリパルディス(M.maripaludis)配列番号180]のカセットはXbaI/HindIIIで切断した。M.ジャナシイ(M.jannashii)由来のAks遺伝子を含む断片をpMS470のNdeI/HindIII部位に挿入し、ベクターpAKP−180を得た。M.マリパルイドス(M.maripaluids)由来のAks遺伝子を含む断片をpMS470のNdel/HindIII部位に挿入し、ベクターpAKP−182を得た。 アゾトバクター・ビネランジイ(Azotobacter vinelandii)由来のNifV[配列番号149]を含む大腸菌(E.coli)発現コンストラクト(pDB555)をD.Dean(Zheng L、White RH、Dean DR、Purification of the Azotobacter vinelandii nifV−encoded homocitrate synthase、J Bacteriol、1997年9月;179(18):5963−6頁)から得た。nifV遺伝子は、プライマーAvine−WT−R−BamHI[配列番号150]及びAvine−WT−F−SacI[配列番号151]を使用してこのベクターからphusion DNAポリメラーゼ(Finnzymes)を使用してPCR増幅し、AksAの上流でBamHI/SacIによりpAKP−180にクローニングし、ベクターpAKP−281[]を得た。nifV遺伝子はまた、プライマーAvine−WT−R−HindIII[配列番号152]及びAvine−WT−F−HindIII[配列番号153]を使用してこのベクターからPCR増幅し、AksE[配列番号170]の下流でHindIIIによりpAKP−180及びpAKP−182にクローニングし、それぞれベクターpAKP−279及びpAKP−280を得た。 pAKP279及びpAKP281においてaksA遺伝子を不活性化するため、それぞれプラスミドをBamHI及びBglIIで消化し、3個の断片(566bp、1134bp、及び7776bp)を得た。1134bp及び7776bpのサイズを有する断片をアガロースゲルから単離し、互いにライゲートした。大腸菌(E.coli)に形質転換後、プラスミドの向きを確認して、双方の断片が元のプラスミドpAKP279及びpAKP281と同じ方向に向いているプラスミドを選択し、それぞれpAKP322及びpAKP323を得た。[大腸菌(E.coli)におけるタンパク質発現及び代謝産物生成] プラスミドpAKP−279、pAKP−280、pAKP−281、pAKP−322及びpAKP−323を大腸菌(E.coli)に形質転換して発現させた。10mlの2×TY培地を含む試験管内でスターター培養物を一晩増殖させた。200μlの培養物を、20mlの2×TY培地を含む振盪フラスコに移した。フラスコを軌道振盪機において30℃及び280rpmでインキュベートした。4時間後、0.2mMの最終濃度でIPTGを添加し、フラスコを30℃及び280rpmで4〜16時間インキュベートした。20mlの培養物からの細胞を遠心によって回収し、24ウェルプレート内の好適な炭素源を含む4mlのM9培地に再懸濁した。30〜37℃及び210rpmで24〜72時間インキュベートした後、細胞を遠心により回収してペレットと上清とを分離し、分析用に−20℃で保存した。[分析用細胞画分の製造] スモールスケール増殖からの細胞(前段落を参照)を遠心により回収した。細胞ペレットを1mlの100%エタノール中に再懸濁し、強力なボルテックスにかけた。細胞懸濁液を95℃で2分間加熱し、細胞残屑を遠心により除去した。上清を真空乾燥機で留去し、残ったペレットを200μlの脱イオン水中に溶解した。遠心により残屑を除去し、上清を−20℃で保存した。[上清及び細胞抽出物の分析] 細胞画分からの上清及び抽出物を水で5倍希釈した後、UPLC−MS/MS分析を行った。結果は、組換え株にAKP及びAAPが存在することを明確に示している。AKPのAAPへの変換は、大腸菌(E.coli)中に存在する天然アミノトランスフェラーゼにより触媒されることが考えられる。 結果は、組換え株にAKP及びAAPが存在することを明確に示している。AKPのAAPへの変換は、大腸菌(E.coli)中に存在する天然アミノトランスフェラーゼにより触媒されることが考えられる。コンストラクトからAksAを除去すると、AKP及びAAPの生成量にプラスの効果がある。[実施例3:S.セレビシエ(S.cerevisiae)によるAKPの生成][AKP生合成経路の構築] M.ジャナスキイ(M.jannaschii)遺伝子をS.セレビシエ(S.cerevisiae)に対して(国際公開第08000632号パンフレットに記載される方法を使用して)コドンペア最適化した。プロモーター配列及び転写終結配列を、S.セレビシエ(S.cerevisiae)ゲノムデータベース(www.yeastgenome.org、08年3月31日付けで入手されるとおり)から検索した。tpi1プロモーターにおける−5位のTをAに変えてS.セレビシエ(S.cerevisiae)のコンセンサスコザック配列を作成した。表3に示されるとおり、プロモーター−遺伝子−ターミネーターカセットを合成的に作製した(Geneart、Regensburg、独国)。 最適化手順では、内部制限部位を回避し、共通の制限部位を最初と最後に導入することで、発現ベクターにおけるサブクローニングを可能とした。 合成AksAカセットはSalI/EcoRIで切断し、及び合成AksFカセットはEcoRI/XbaIで切断し、双方の断片をpRS415にライゲートしてpAKP−136を得た。同様に、合成AksD及びAksEカセットをpRS416に挿入してpAKP−146を得た。pAKP−136からのAksΑ−AksFカセットをXhoI/KpnIで消化し、pAKP−146に挿入してpAKP−141を得た。MJ0503、MJ1271、MJ1003及びMJ1596のN末端に融合させたミトコンドリアシグナルペプチド(mtSP)[配列番号158]をコードする207bp配列を有する類似コンストラクトを合成的に作製した(Pfanner N、Neupert W、Distinct steps in the import of ADP/ATP carrier into mitochondria、J Biol Chem.1987年6月、5;262(16):7528−36頁)。プロモーター−mtSP遺伝子−ターミネーターからなる合成断片をpRS416に組み合わせてpAKP−140を得た。Phusion DNAポリメラーゼをプライマーAksΑ−Avine−F[配列番号154]及びAksΑ−Avine−R1[配列番号155]と共に使用して、pDB555からnifVをPCR増幅した。phusion DNAポリメラーゼをプライマーPgal2−F2[配列番号156]及びPgal2−R[配列番号157]と共に使用して、pAKP−47からgal2プロモーターを増幅した。双方のPCR断片をPCRによってPhusion DNAポリメラーゼ及びプライマーPgal2−F2[配列番号153]及びAksΑ−Avine−R1[配列番号155]を使用して融合し、得られた融合産物をpAKP−47にHpaI/AscIでクローニングし、pPgal2−nifV−Ttdh1を得た。pPgal2−nifV−Ttdh1カセットをKpnI/SpeIによりこのコンストラクトから取り出し、KpnI/SpeI消化pAKP−140及びpAKP−141置換MJ0503(AksA)[配列番号167]に挿入し、それぞれコンストラクトpAKP−305及びpAKP−306を得た。[AKP生成S.セレビシエ(S.cerevisiae)株の構築] S.セレビシエ(S.cerevisiae)CEN.PK113−5D株を、Gietz及びWoods(Gietz,R.D.及びWoods,R.A.(2002年)、Transformation of yeast by the Liac/SS carrier DNA/PEG method、Methods in Enzymology 350:87−96頁)により記載されるとおりの方法により1μgのpAKP−305又はpAKP−306プラスミドDNAで形質転換した。細胞を、アミノ酸を含まない1×Yeast Nitrogen Baseと2%グルコースとを含む寒天プレートに蒔いた。[S.セレビシエ(S.cerevisiae)によるAKPの生成] AKPを生成するため、スターター培養物を、4%ガラクトースを含むVerduyn培地が入った10ml試験管内において30℃及び280rpmで一晩、好気的に増殖させた。培養物を、4%ガラクトースを含む25mlの新鮮Verduyn培地において0.5ODに希釈し、30℃及び280rpmで嫌気的に、並びに好気的に、2日間及び5日間(好気性培養物)並びに4日間(嫌気性培養物)インキュベートした。細胞を遠心により回収し、実施例2に大腸菌(E.coli)について記載するとおりに上清及び細胞画分試料をUPLC MS/MS分析用に製造した。[実施例4:アミノトランスフェラーゼ及びデカルボキシラーゼに対する標的遺伝子のクローニング][発現コンストラクトの設計] Gateway技法(Invitrogen、Carlsbad、CA、米国)を用いたクローニングを促進するため、全ての遺伝子に対し、リボソーム結合部位及び開始コドンの上流及び終止コドンの下流にattB部位を付加した。[遺伝子合成及びプラスミドの構築] DNA2.0から合成遺伝子を得て、DNA2.0の標準的手順により大腸菌(E.coli)での発現用にコドン最適化した。V.フルビアリス(V.fluvialis)JS17 ω−アミノトランスフェラーゼ[配列番号2]及びB.ウェイヘンステファネンシス(B.weihenstephanensis)KBAB4アミノトランスフェラーゼ(ZP_01186960)[配列番号83]のアミノ酸配列をそれぞれコードするビブリオ・フルビアリス(Vibrio fluvialis)JS17[配列番号1]及びバチルス・ウェイヘンステファネンシス(Bacillus weihenstephanensis)KBAB4[配列番号82]由来のアミノトランスフェラーゼ遺伝子をコドン最適化し、生じた配列[配列番号3]及び[配列番号85]をDNA合成により得た。 V.フルビアリス(V.fluvialis)JS17 ω−アミノトランスフェラーゼ[配列番号3]、B.ウェイヘンステファネンシス(B.weihenstephanensis)KBAB4アミノトランスフェラーゼ(ZP_01186960)[配列番号84]、大腸菌(Escherichia coli)ジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼLysA[配列番号106]、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)ピルビン酸デカルボキシラーゼPdc[配列番号109]、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)ピルビン酸デカルボキシラーゼPdcI472A[配列番号112]、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼKdcA[配列番号115]及びα−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼKivD[配列番号118]、及びマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)α−ケトグルタル酸デカルボキシラーゼKgd[配列番号121]のアミノ酸配列をそれぞれコードする大腸菌(Escherichia coli)[配列番号105]、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)[配列番号108]、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)[配列番号111]、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)[配列番号114]、[配列番号117]、及びマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)[配列番号120]由来の遺伝子もまたコドン最適化し、生じた配列[配列番号107]、[配列番号110]、[配列番号63]、[配列番号116]、[配列番号119]、及び[配列番号122]を、それぞれDNA合成により得た。 遺伝子コンストラクトを、Gateway技法(Invitrogen)を用いて、導入したattB部位及びエントリーベクターとしてのpDONR201(Invitrogen)を介して製造者のプロトコル(www.invitrogen.com)に記載されるとおりpBAD/Myc−His−DEST発現ベクターにクローニングした。このようにして、それぞれ発現ベクターpBAD−Vfl_AT、pBAD−Bwe_AT、pBAD−LysA、pBAD−Pdc、pBAD−Pdcl472A、pBAD−kdcA及びpBAD−kivDを得た。それぞれのpBAD発現ベクターによる化学的にコンピテントな大腸菌(E.coli)TOP10(Invitrogen)の形質転換により、対応する発現株を得た。[PCRによるクローニング] 生体触媒をコーディングする様々な遺伝子を、PCRにより、製造者の仕様に従いPCR Supermix High Fidelity(Invitrogen)を使用して、以下の表に掲載するとおりのプライマーを用いてゲノムDNAから増幅した。 アガロースゲル電気泳動によりPCR反応を分析し、QIAquick PCR精製キット(Qiagen、Hilden、独国)を使用して正しいサイズのPCR産物をゲルから溶離した。精製したPCR産物を、Gateway技法(Invitrogen)を使用して、導入したattB部位及びエントリーベクターとしてのpDONR−zeo(Invitrogen)を介して製造者のプロトコルに記載されるとおりpBAD/Myc−His−DEST発現ベクターにクローニングした。PCRによりクローニングした遺伝子の配列をDNA配列決定により検証した。このようにして発現ベクターpBAD−Pae−_gi9946143_AT、pBAD−Bsu_gi16078032_AT、pBAD−Bsu_gi16080075_AT、pBAD−Bsu_gi16077991_AT、pBAD−Rsp_AT、pBAD−Lpn_AT、pBAD−Neu_AT、pBAD−Ngo_AT、pBAD−Pae_gi9951299_AT、pBAD−Pae_gi9951072_AT、pBAD−Pae_gi9951630_AT及びpBAD−Rpa_ATを得た。pBADコンストラクトによる化学的にコンピテントな大腸菌(E.coli)TOP10(Invitrogen)の形質転換により、対応する発現株を得た。[実施例5:タンパク質発現させるための大腸菌(E.coli)の増殖] 0.02%(w/v)L−アラビノースを含有する940μlの培地を含む96ディープウェルプレートにおいて、スモールスケール増殖を実施した。96ウェルスタンプ(Kuehner、Birsfelden、スイス)により凍結ストック培養物から細胞を移すことによって植菌を行った。プレートを軌道振盪機(300rpm、5cm振幅)において25℃で48時間インキュベートした。典型的には2〜4OD620nmに達した。[実施例6:細胞溶解物の製造][溶解緩衝液の製造] 溶解緩衝液は以下の成分を含有した: 溶液は使用直前に新しく製造した。[溶解による無細胞抽出液の製造] スモールスケール増殖からの細胞(前段落を参照)を遠心により回収し、上清を廃棄した。遠心中に形成された細胞ペレットを−20℃で少なくとも16時間凍結し、次に氷上で解凍した。500μlの新しく製造した溶解緩衝液を各ウェルに添加し、プレートを強力なボルテックスに2〜5分間かけることによって細胞を再懸濁した。溶解を達成するため、プレートを室温で30分間インキュベートした。細胞残屑を除去するため、プレートを4℃及び6000gで20分間遠心した。上清を新しいプレートに移し、次に使用するまで氷上に保管した。[音波処理による無細胞抽出液の製造] 培地スケール増殖からの細胞(前段落を参照)を遠心により回収し、上清を廃棄した。1mlのカリウムリン酸緩衝液、pH7を0.5gのウェット細胞ペレットに添加し、強力なボルテックスにかけることにより細胞を再懸濁した。溶解を達成するため、細胞を20分間音波処理した。細胞残屑を除去するため、ライセートを4℃及び6000gで20分間遠心した。上清を新しい試験管に移し、次に使用するまで−20℃に凍結した。[実施例7:メチル5−ホルミルペンタノエートの化学的加水分解による5−ホルミルペンタン酸の製造] アミノトランスフェラーゼ反応の基質、すなわち5−ホルミルペンタン酸を、以下のとおりのメチル5−ホルミルペンタノエートの化学的加水分解により製造した:水中のメチル5−ホルミルペンタノエートの10%(w/v)溶液をNaOHによりpH14.1に設定した。20℃で24時間インキュベートした後、HClによりpHを7.1に設定した。[実施例8:5−ホルミルペンタン酸を6−ACAに変換するための酵素反応] 特に指定のない限り、50mMのリン酸カリウム緩衝液、pH7.0中に10mMの5−ホルミルペンタン酸、20mMのラセミα−メチルベンジルアミン、及び200μMのピリドキサル5’−リン酸を含む反応混合液を製造した。ウェルプレートの各ウェルに100μlの反応混合液を分取した。反応を開始させるため、ウェルの各々に20μlの無細胞抽出液を添加した。反応混合液を振盪機において37℃で24時間インキュベートした。さらに、化学的ブランク混合物(無細胞抽出液なし)及び生物学的ブランク(pBAD/Myc−His Cを有する大腸菌(E.coli)TOP10)を同じ条件下でインキュベートした。HPLC−MSにより試料を分析した。結果を以下の表に要約する。 アミノトランスフェラーゼの存在下で5−FVAから6−ACAが形成されることが示される。[実施例8:AKPを5−ホルミルペンタン酸に変換するための酵素反応] 100mMのカリウムリン酸緩衝液、pH6.5中に50mMのAKP、5mMの塩化マグネシウム、100μMのピリドキサル5’−リン酸(LysA用)又は1mMのチアミン二リン酸(他の全ての酵素用)を含む反応混合液を製造した。反応混合液のうち4mlを反応槽に分取した。反応を開始させるため、音波処理により得た無細胞抽出液のうちの1mlをウェルの各々に添加した。市販のオキサロ酢酸デカルボキシラーゼ(Sigma−Aldrich 製品番号04878)の場合、50Uを使用した。反応混合液をマグネチックスターラにより37℃で48時間インキュベートした。さらに、化学的ブランク混合物(無細胞抽出液なし)及び生物学的ブランク(pBAD/Myc−His Cを有する大腸菌(E.coli)TOP10)を同じ条件下でインキュベートした。反応中の種々の時間点からの試料をHPLC−MSにより分析した。結果を以下の表に要約する。 デカルボキシラーゼの存在下でAKPから5−FVAが形成されることが示される。[実施例10:組換えデカルボキシラーゼの存在下でAKPを6−ACAに変換するための酵素反応] 100mMのリン酸カリウム緩衝液、pH6.5中に50mMのAKP、5mMの塩化マグネシウム、100μMのピリドキサル5’−リン酸(LysA用)又は1mMのチアミン二リン酸(他の全ての試験生体触媒用)を含む反応混合液を製造した。反応混合液のうち4mlを反応槽に分取した。反応を開始させるため、ウェルの各々に1mlの無細胞抽出物を添加した。反応混合液をマグネチックスターラにより37℃で48時間インキュベートした。さらに、化学的ブランク混合物(無細胞抽出液なし)及び生物学的ブランク(pBAD/Myc−His Cを有する大腸菌(E.coli)TOP10)を同じ条件下でインキュベートした。反応中の種々の時間点からの試料をHPLC−MSにより分析した。結果を以下の表に要約する。 デカルボキシラーゼの存在下でAKPから6−ACAが形成されることが示される。大腸菌(E.coli)は天然5−FVAアミノトランスフェラーゼ活性を含んでいたものと考えられる。[実施例11:組換えデカルボキシラーゼ及び組換えアミノトランスフェラーゼの存在下でAKPを6−ACAに変換するための酵素反応] 100mMのリン酸カリウム緩衝液、pH6.5中に50mMのAKP、5mMの塩化マグネシウム、100μMのピリドキサル5'−リン酸、1mMのチアミン二リン酸及び50mMのラセミα−メチルベンジルアミンを含む反応混合液を製造した。反応混合液のうちの1.6mlを反応槽に分取した。反応を開始させるため、反応槽の各々に0.2mlのデカルボキシラーゼ含有無細胞抽出液及び0.2mlのアミノトランスフェラーゼ含有無細胞抽出液を添加した。反応混合液をマグネチックスターラにより37℃で48時間インキュベートした。さらに、化学的ブランク混合物(無細胞抽出液なし)及び生物学的ブランク(pBAD/Myc−His Cを有する大腸菌(E.coli)TOP10)を同じ条件下でインキュベートした。反応中の種々の時間点からの試料をHPLC−MSにより分析した。結果を以下の表に要約する。 化学的ブランク及び生物学的ブランクにおいて6−ACAを検出することはできなかった。 さらに、結果は、組換えデカルボキシラーゼのみを有する(且つ組換えアミノトランスフェラーゼを有しない)宿主細胞の例と比較して、6−ACAへの変換が向上したことを示している。[実施例12:大腸菌(E.coli)における6−ACAの生成][アミノトランスフェラーゼとデカルボキシラーゼとを同時発現させるためのコンストラクトの製造] AKPを5−ホルミル吉草酸(5−FVA)に、及び5−FVAを6−ACAに変換するための酵素をコードする遺伝子を含むプラスミドの構築を、実施例4に記載されるとおり行った。アミノトランスフェラーゼとデカルボキシラーゼとを同時発現させるため、pF113(pJF119EHの誘導体(Fuerste,J.P.、W.Pansegrau、R.Frank、H.Blocker、P.Scholz、M.Bagdasarian、及びE.Lanka、1986年、Molecular cloning of the plasmid RP4 primase region in a multi−host−range tacP expression vector、Gene 48:119−131頁)、これは、tacプロモーターをナンバリングの開始番号とするとき、それぞれ515位及び5176位に2つのNotI部位を含む)から、Phusion DNAポリメラーゼ並びにプライマーpF113−F−NsiI(aaattatgcatACAGCATGGCCTGCAACG)及びpF113−R−AgeI(aaattaccggtCAGGGTTATTGTCTCATGAG)を使用してtacプロモーターカセットをPCR増幅し、得られたPCR断片をNsiI/AgeI消化pBBR1MCS(Kovach ME、Phillips RW、Elzer PH、Roop RM 2nd、Peterson KM、Biotechniques、1994年5月;16(5):800−2頁。pBBR1MCS:広い宿主範囲のクローニングベクター)に融合してpBBR−lacを得た。ビブリオ・フルビアリス(Vibrio fluvialis)JS17からのアミノトランスフェラーゼ遺伝子((配列番号1)をコドン最適化した(配列番号3)。AT−Vfl及びAT−PA01(配列番号85)をそれぞれコードするこのコドン最適化された遺伝子及びシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)PA01由来の遺伝子を、pBAD/Myc−His−DEST−AT−Vfl及びpBAD/Myc−his−DEST−PA01から、製造者の仕様に従いPhusion DNAポリメラーゼを使用して、それぞれプライマー対AT−Vfl_for_Ec(AAATTT GGTACC GCTAGGAGGAATTAACCATG)+AT−Vfl_rev_Ec(AAATTT ACTAGT AAGCTGGGTTTACGCGACTTC)及びAT−Pa01_for_Ec(AAATTT GGTACC GCTAGGAGGAATTAACCATG)+AT−Pa01_rev_Ec(AAATTT ACTAGTACAAGAAAGCTGGGTTCAAG)を使用してPCR増幅した。 ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼKdcA(配列番号116)をコードするラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)由来のデカルボキシラーゼ遺伝子を、pBAD/Myc−His−DEST−DC−KdcAから、製造者の仕様に従いPhusion DNAポリメラーゼを使用し、及びプライマーKdc_for_Ec(AAATTT ACTAGT GGCTAGGAGGAATTACATATG)及びKdc_rev_Ec(AAATTT AAGCTT ATTACTTGTTCTGCTCCGCAAAC)を使用してPCRにより増幅した。アミノトランスフェラーゼ断片をKpnI/SpeIで消化し、デカルボキシラーゼ断片をSpeI/HindIIIで消化した。双方の断片をKpnI/HindIII消化pBBR−lacにライゲートし、それぞれpAKP−94(AT−PA01及びKdcAをコードする遺伝子を含む)及びpAKP−96(AT−Vfl及びKdcAをコードする遺伝子を含む)を得た。[大腸菌(E.coli)におけるタンパク質発現及び代謝産物生成] プラスミドpAKP−323(実施例2に記載される)をpAKP96と共に大腸菌(E.coli)BL21に同時形質転換して発現させた。実施例2に記載されるとおり培養物を増殖させた。実施例2に記載されるとおり分析用試料を製造し、実施例1に記載されるとおりLC−MS−MSにより分析した。 大腸菌(E.coli)BL21を、プラスミドpAKP−322(eAKP233株)、プラスミドpAKP96(eAKP 71株)又はプラスミドpAKP94(eAKP70株)のいずれかにより形質転換した。培養物は10mlの2×TY培地を含む試験管内で一晩増殖させた。200μlの培養物を、20mlの2×TY培地を含む振盪フラスコに移した。フラスコを軌道振盪機において30℃及び280rpmでインキュベートした。4時間後、0.1mMの最終濃度でIPTGを添加し、フラスコを30℃及び280rpmで4時間インキュベートした。10ml培養物からの細胞を遠心により回収し、0.4%グルコースを含む10mlのM9培地中に再懸濁した。2つの培養物を24ウェルプレートにおいて様々な比で混合し、37℃及び210rpmで48〜72時間インキュベートした後、遠心により上清を回収し、分析用に−20℃で保存した。LC−MS−MSにより分析する試料を実施例2に記載されるとおり製造し、実施例1に記載されるとおり分析した。[実施例13:他の古細菌からのAKP生合成経路の構築] メタノサルシナ・アクチボランス(Methanosarcina activorans)ホモアコニターゼ小サブユニット(AksE、MA3751、[配列番号225])、ホモアコニターゼ大サブユニット(AksD、MA3085、[配列番号237])及びホモイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(AksF、MA3748、[配列番号249])のタンパク質配列、メタノスピリラム・フンガテイ(Methanospirillum hungatei)JF−1ホモアコニターゼ小サブユニット(AksE、Mhun_1799、[配列番号228])、ホモアコニターゼ大サブユニット(AksD、Mhun_1800、[配列番号240])及びホモイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(AksF、Mhun_1797、[配列番号252])由来のそのホモログ、メタノコッカス・マリパルディス(Methanococcus maripaludis)S2ホモアコニターゼ小サブユニット(AksE、MMP0381、[配列番号207])、ホモアコニターゼ大サブユニット(AksD、MMP1480、[配列番号195])及びホモイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(AksF、[配列番号222])由来のそのホモログ、メタノコッカス・バンニエリイ(Methanococcus vannielii)SBホモアコニターゼ小サブユニット(AksE、Mevan_1368、[配列番号201])、ホモアコニターゼ大サブユニット(AksD、Mevan_0789、[配列番号189])及びホモイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(AksF、Mevan_0040[配列番号216])由来のそのホモログ、並びにA.ビネランジイ(A.vinelandii)ホモクエン酸シンターゼNifV、[配列番号75])をデータベースから検索した。 ホモアコニターゼ小サブユニット(AksE)、ホモアコニターゼ大サブユニット(AksD)及びホモイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(AksF)をコードする遺伝子を、大腸菌(E.coli)に対して(国際公開第08000632号パンフレットに記載される方法を用いて)コドンペア最適化した(表13)。野生型nifV遺伝子(配列番号149)と共に最適化した遺伝子を含むコンストラクトを合成的に作製した(Geneart、Regensburg、独国)。最適化手順では、内部制限部位を回避し、共通の制限部位を最初と最後に導入することで、発現ベクターにおけるサブクローニングを可能とした。また、AksDの上流に、pMS470由来のtacプロモーターの配列を付加した。各ORFにはコンセンサスリボソーム結合部位及びリーダー配列が先行し、pMS470における翻訳を駆動した。また、AksDの上流に、pMS470由来のtacプロモーターの配列を付加した。合成AksA/AksFカセットはNdeI/XbaIで切断し、合成AksD/AksEカセットはXbaI/HindIIIで切断した。Aks遺伝子を含む断片をpMS470のNdel/HindIII部位に挿入してベクターpAKP−358、pAKP359、pAKP376及びpAKP378を得た。[大腸菌(E.coli)におけるタンパク質発現及び代謝産物生成] プラスミドを大腸菌(E.coli)BL21に形質転換して発現させた。スターター培養物は10mlの2×TY培地を含む試験管内で一晩増殖させた。200μlの培養物を、20mlの2×TY培地を含む振盪フラスコに移した。フラスコを軌道振盪機において30℃及び280rpmでインキュベートした。4時間後、0.2mMの最終濃度でIPTGを添加し、フラスコを30℃及び280rpmで4〜16時間インキュベートした。20ml培養物からの細胞を遠心により回収し、24ウェルプレート内の好適な炭素源を含む4mlのM9培地中に再懸濁した。30〜37℃及び210rpmで24〜72時間インキュベートした後、細胞を遠心により回収してペレットと上清とを分離し、分析用に−20℃で保存した。[分析用細胞画分の製造] スモールスケール増殖からの細胞(前段落を参照)を遠心により回収した。細胞ペレットを1mlの100%エタノール中に再懸濁し、強力なボルテックスにかけた。細胞懸濁液を95℃で2分間加熱し、細胞残屑を遠心により除去した。上清を真空乾燥機で留去し、得られたペレットを200μlの脱イオン水中に溶解した。遠心により残屑を除去し、上清を−20℃で保存した。[上清及び細胞抽出物の分析] 細胞画分からの上清及び抽出物を水で5倍希釈した後、UPLC−MS/MS分析を行った。表14に示す結果は、組換え株にAKP及びAAPが存在することを明確に示している。AKPのAAPへの変換は、大腸菌(E.coli)中に存在する天然アミノトランスフェラーゼにより触媒されることが考えられる。 結果は、組換え株にAKP及びAAPが存在することを明確に示している。AKPのAAPへの変換は、大腸菌(E.coli)中に存在する天然アミノトランスフェラーゼにより触媒されることが考えられる。[実施例14 大腸菌(E.coli)におけるAKPからのアジペートの生成][アミノトランスフェラーゼとデカルボキシラーゼとを同時発現させるためのコンストラクトの製造] AKPを5−ホルミル吉草酸(5−FVA)に、及び5−FVAを6−ACAに変換するための酵素をコードするプラスミドの構築を実施例4に記載されるとおり行い、一方、プラスミドpAKP94及びpAKP96については実施例9に記載した。pAKP94及びpAKP96中に存在するラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼKdcA[配列番号115]をザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)ピルビン酸デカルボキシラーゼPdcI472A[配列番号112]、及びα−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼKivD[配列番号118]に換えるため、それぞれプラスミドpBAD−kivD及びpBAD−PdcI472AをNdeI及びHinD3で消化した。デカルボキシラーゼ遺伝子を含む1.6kb断片を単離し、NdeI/HinD3消化ベクターpAKP94にライゲートして、それぞれpAKP326及びpAKP327を得た。pBAD−kivD由来の1.6kbのNdeI/HinD3断片をpAKP96にクローニングしてpAKP330を得た。[大腸菌(E.coli)におけるタンパク質発現及び代謝産物生成] プラスミドを大腸菌(E.coli)BL21に形質転換して発現させた。スターター培養物は10mlの2×TY培地を含む試験管内で一晩増殖させた。200μl培養物を、20mlの2×TY培地を含む振盪フラスコに移した。フラスコを軌道振盪機において30℃及び280rpmでインキュベートした。4時間後、0.2mMの最終濃度でIPTGを添加し、フラスコを30℃及び280rpmで4時間インキュベートした。20ml培養物からの細胞を遠心により回収し、24ウェルプレート内の1%グリセロール及び500mg/lのAKPを含む4mlの2×TY培地中に再懸濁した。30℃及び210rpmで48時間インキュベートした後、遠心により細胞を回収してペレット及び上清を分離し、分析用に−20℃で保存した。 結果は、組換え株に6−ACA及びAAPが存在することを明確に示している。AKPのAAPへの変換は、大腸菌(E.coli)中に存在する天然アミノトランスフェラーゼにより触媒されることが考えられる。メタン生成古細菌における補酵素Bの生合成。 α−ケトグルタル酸をα−ケトアジピン酸に変換する工程と、α−ケトアジピン酸をα−ケトピメリン酸に変換する工程とを含むα−ケトピメリン酸の製造方法であって、これらの変換の少なくとも1つが異種生体触媒を使用して実行される、方法。 α−ケトグルタル酸が、炭素源、詳細には炭水化物から生体触媒的に製造される、請求項1に記載の方法。 前記異種生体触媒が、α−ケトグルタル酸のα−ケトアジピン酸へのC1伸長及び/又はα−ケトアジピン酸のα−ケトピメリン酸へのC1伸長を触媒する異種生体触媒を含む、請求項1又は2に記載の方法。 前記異種生体触媒が、 a.ホモ(n)クエン酸活性を有するAksA酵素又はそのホモログと、 b.ホモn−アコニターゼ活性を有するAksD酵素、ホモn−アコニターゼ活性を有するAksE酵素、前記AksD酵素のホモログ及び前記AksE酵素のホモログの群から選択される少なくとも1つの酵素と、 c.ホモn−イソクエン酸デヒドロゲナーゼを有するAksF酵素又はそのホモログと、を含む、請求項3に記載の方法。 前記異種酵素系が、メタン生成古細菌の群から選択される生物、好ましくはメタノコッカス属(Methanococcus)、メタノカルドコッカス属(Methanocaldococcus)、メタノサルシナ属(Methanosarcina)、メタノサーモバクター属(Methanothermobacter)、メタノスファエラ属(Methanosphaera)、メタノピュルス属(Methanopyrus)及びメタノブレビバクター属(Methanobrevibacter)の群から選択される生物に由来する、請求項3又は4に記載の方法。 前記異種生体触媒が、α−ケトグルタル酸のα−ケトアジピン酸への変換を触媒する酵素系を含み、前記酵素系が、リジン生合成のためのアミノアジピン酸経路の一部を形成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。 前記酵素系が、酵母、真菌、古細菌及び細菌の群、詳細には、ペニシリウム属(Penicillium)、セファロスポリウム属(Cephalosporium)、ペリコミセス属(Paelicomyces)、トリコフィツム属(Trichophytum)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ファネロカエテ属(Phanerochaete)、エメリセラ属(Emericella)、ウスチラゴ属(Ustilago)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、カンジダ属(Candida)、ヤロウイア属(Yarrowia)、ピキア属(Pichia)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、サーマス属(Thermus)、デイノコッカス属(Deinococcus)、パイロコッカス属(Pyrococcus)、スルホロブス属(Sulfolobus)、サーモコッカス属(Thermococcus)、メタノコッカス属(Methanococcus)、メタノカルドコッカス属(Methanocaldococcus)、メタノスファエラ属(Methanosphaera)、メタノピュルス属(Methanopyrus)、メタノブレビバクター属(Methanobrevibacter)、メタノサルシナ属(Methanosarcina)及びメタノサーモバクター属(Methanothermobacter)の群から選択される生物由来である、請求項6に記載の方法。 前記異種生体触媒が、α−ケトグルタル酸のα−ケトアジピン酸への変換を触媒する酵素系を含み、前記酵素系の前記酵素のうちの少なくとも1つが、シアノバクテリア、リゾビウム目(rhizobiales)、γ−プロテオバクテリア及びアクチノバクテリアの群、詳細にはアナベナ属(Anabaena)、ミクロキスティス属(Microcystis)、シネコシスティス属(Synechocystis)、リゾビウム属(Rhizobium)、ブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)、シュードモナス属(Pseudomonas)、アゾトバクター属(Azotobacter)、クレブシエラ属(Klebsiella)及びフランキア属(Frankia)の群から選択される窒素固定細菌に由来する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。 請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法で製造されたα−ケトピメリン酸を生体触媒的に脱炭酸することにより5−ホルミルペンタン酸を形成する工程を含む、5−ホルミルペンタン酸の製造方法。 請求項9に記載の方法で製造された5−ホルミルペンタン酸を6−アミノカプロン酸に変換する工程を含む、6−アミノカプロン酸の製造方法。 5−ホルミルペンタン酸の6−アミノカプロン酸への前記変換が、アミノ基転移又は還元的アミノ化を含む、請求項10に記載の方法。 請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法で製造されたα−ケトピメリン酸をα−アミノピメリン酸に変換する工程と、α−アミノピメリン酸を6−アミノカプロン酸に変換する工程とを含み、これらの変換は好ましくは生体触媒的に実行される、6−アミノカプロン酸の製造方法。 請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法で製造されたα−ケトピメリン酸からα−ケトスベリン酸を製造する方法であって、C1伸長に関する触媒活性を有する生体触媒、詳細には、 d.ホモ(n)クエン酸活性を有するAksA酵素又はそのホモログと、 e.ホモn−アコニターゼ活性を有するAksD酵素、ホモn−アコニターゼ活性を有するAksE酵素、前記AksD酵素のホモログ及び前記AksE酵素のホモログの群から選択される少なくとも1つの酵素と、 f.ホモn−イソクエン酸デヒドロゲナーゼを有するAksF酵素又はそのホモログと、を含む生体触媒を使用して前記α−ケトピメリン酸を前記C1伸長に供する工程を含む、方法。 前記酵素が、各々独立して、メタン生成古細菌の群から選択される生物、好ましくは、メタノコッカス属(Methanococcus)、メタノカルドコッカス属(Methanocaldococcus)、メタノサルシナ属(Methanosarcina)、メタノサーモバクター属(Methanothermobacter)、メタノスファエラ属(Methanosphaera)、メタノピュルス属(Methanopyrus)及びメタノブレビバクター属(Methanobrevibacter)の群から選択される生物に由来する、請求項13に記載の方法。 請求項13又は14に記載の方法で製造されたα−ケトスベリン酸を変換する工程を含む7−アミノヘプタン酸の製造方法。 発酵条件下で実行される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。 α−ケトグルタル酸からのα−ケトピメリン酸の製造における少なくとも1つの反応工程の触媒活性を有する1つ又は複数の異種酵素をコードする1つ又は複数の異種核酸配列を含む、異種細胞。 α−ケトアジペートをα−アミノアジペートに変換する触媒能を有するアミノトランスフェラーゼを含まない、請求項17に記載の異種細胞。 配列番号4〜77、261、264、267、270、273、276、279、282、186、189、192、195、225、228、231、234、198、201、204、207、237、240、243、246、210、213、216,219、222、249、252、255、258のいずれかにより表される酵素又はそのホモログをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む、請求項17又は18に記載の異種細胞。 5−ホルミルペンタン酸を形成するα−ケトピメリン酸の脱炭酸反応に関する触媒活性を有する酵素、詳細にはデカルボキシラーゼ(E.C.4.1.1)の群、より詳細にはグルタミン酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.15)、ジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.20)、アスパラギン酸1−デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.11)、分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼ、α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ、α−ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.1)、及びオキサロ酢酸デカルボキシラーゼ(E.C.4.1.1.3)の群から選択されるかかる酵素をコードする核酸配列を含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の異種細胞。 ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ウスチラゴ・マイディス(Ustilago maydis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンゼヌラ・ポリモルハ(Hansenula polymorha)、大腸菌(Escherichia coli)、アゾトバクター・ビネランジイ(Azotobacter vinelandii)、シュードモナス・スツッツェリイ(Pseudomonas stutzerii)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、デイノコッカス・ラディオウランス(Deinococcus radiourans)、デイノコッカス・ゲオサーマリス(Deinococcus geothermalis)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)、メタノコッカス・マリパルディス(Methanococcus maripaludis)、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans)、メタノスピリラム・フンガテイ(Methanospirillum hungatei)、メタノサエタ・サーモフィラ(Methanosaeta thermophila)、メタノブレビバクター・スミシイ(Methanobrevibacter smithii)、メタノコッカス・バンニエリイ(Methanococcus vannielii)、メタノコッカス・エオリカス(Methanococcus aeolicus)及びメタノカルドコッカス・ジャナシイ(Methanocaldococcus jannashii)の群から選択される生物由来である、請求項17〜20のいずれか一項に記載の異種細胞。 配列番号149;配列番号145、146、147、148;配列番号167、168、169、170、171、172、173、174;配列番号177、178、179、180、181、182、183、184;配列番号224、226、236、238、248、250、260、262;配列番号227、229、239、241、251、253、263、265;配列番号194、196、206、208、221、223、281、283;配列番号188、190、200、202、215、217、272、274及びその機能的アナログの群から選択される配列のいずれかにより表される少なくとも1つの核酸配列を含む、請求項17〜21のいずれか一項に記載の異種細胞。 カプロラクタム、6−アミノカプロン酸又はジアミノヘキサンの製造における請求項17〜22のいずれか一項に記載の異種細胞の使用。 本発明は、α−ケトグルタル酸をα−ケトアジピン酸に変換する工程と、α−ケトアジピン酸をα−ケトピメリン酸に変換する工程とを含むα−ケトピメリン酸の製造方法であって、これらの変換の少なくとも1つが異種生体触媒を使用して実行される方法に関する。本発明はさらに、α−ケトグルタル酸からのα−ケトピメリン酸の製造における少なくとも1つの反応工程の触媒能を有する1つ又は複数の異種酵素をコードする1つ又は複数の異種核酸配列を含む異種細胞に関する。 配列表


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