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タイトル:特許公報(B2)_エチレンカーボネート及びエチレングリコールの製造方法
出願番号:2011543342
年次:2015
IPC分類:C07D 317/38,C07C 31/20,C07C 29/09,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

山岸 昌彦 JP 5660048 特許公報(B2) 20141212 2011543342 20101129 エチレンカーボネート及びエチレングリコールの製造方法 三菱化学株式会社 000005968 川口 嘉之 100100549 佐貫 伸一 100126505 丹羽 武司 100131392 山岸 昌彦 JP 2009272416 20091130 20150128 C07D 317/38 20060101AFI20150108BHJP C07C 31/20 20060101ALI20150108BHJP C07C 29/09 20060101ALI20150108BHJP C07B 61/00 20060101ALN20150108BHJP JPC07D317/38C07C31/20 AC07C29/09C07B61/00 300 C07D 317/ C07C 29/ C07C 31/ H01M 10/ CAplus/REGISTRY(STN) 特開2007−284427(JP,A) 特開平09−067365(JP,A) 特開平02−032045(JP,A) 特開2001−199913(JP,A) 特開昭57−106631(JP,A) 英国特許出願公開第02098985(GB,A) 特開2004−262767(JP,A) 特公昭55−047617(JP,B1) 特開昭59−013741(JP,A) 特開2000−128814(JP,A) 特開2004−196722(JP,A) 8 JP2010071251 20101129 WO2011065528 20110603 12 20130521 井上 典之 本発明は、エチレンカーボネート、及び/又はエチレングリコールの製造方法に関するものである。 エチレンカーボネートは、各種高分子化合物の溶媒、各種化学反応の反応溶媒、リチウムイオン二次電池の電解液溶媒、抽剤、発泡剤及び潤滑油安定剤などとして使用されている。エチレンカーボネートは、通常、エチレンオキシドと二酸化炭素とを高温高圧で反応させることにより合成される。このため、エチレンカーボネート中には、これらの合成原料に由来するエチレングリコール及びジエチレングリコール等のジオール類が含まれている。また、エチレンカーボネート中には、上記の不純物と共に微量の水分も含まれているが、この水分がエチレンカーボネートと反応して、更にエチレングリコールを生成する。 各種溶媒として使用されるエチレンカーボネートは、不純物を極力含有していないことが好ましくエチレンカーボネートの精製方法としては、蒸留法、晶析法などの各種の方法が提案されている。 蒸留法は、工業的に最も汎用的に実施されている精製方法である。しかしながら、エチレンカーボネートは沸点が246℃(常圧)と高いため、蒸留法によりエチレンカーボネートの精製を行うと、たとえ減圧で蒸留を行っても熱劣化が起こり、エチレンカーボネートがジオールや水分と反応して高分子量化しやすい。また、本発明者らが行った検討では、高分子量化したエチレンカーボネートの一部の結合が切れて、ジオールに戻ってしまうために、蒸留を行っても、エチレンカーボネート中にジオールが約100ppm残留してしまうことがわかった。また、蒸留法は、当該物質の蒸発潜熱分のエネルギーが必要な上に、還流比も大きくしなければならない。従って、顕熱除去による冷却のみで済む晶析法と比較して、消費エネルギーが非常に大きい。 晶析法は、目的成分を結晶化させる際に、その温度で結晶化しない不純物成分が結晶中には入り込まないことを利用する精製方法である。晶析法は、冷却による晶析と微加温による溶解の操作のみで精製できるため、副反応による劣化が起こりにくく、消費エネルギーが少ない。また、特許文献1には、本文献記載の晶析法を適用すると、99.999%以上の高純度エチレンカーボネートが取得できることが開示されている。 しかしながら、エチレンカーボネートを晶析法を用いて精製した場合、精製されたエチレンカーボネートには僅かながら着色成分が存在し、特に、高純度を要求するリチウムイオン二次電池等の電解液用途の場合にはこの着色成分が問題となっていた。 これらの着色成分は、例えば触媒の回収のために、触媒を含む反応液を一部取得して、水を添加し、触媒を回収した後にプロセスへ循環させる方法(特許文献2及び3)によっては除去されず、プロセスに循環される触媒溶液に残存して連続運転をするにつれ濃縮されることが本発明者等の検討によりわかってきた。 また、エチレンオキシドと二酸化炭素とを高温高圧で反応させたエチレンカーボネート化反応液に、さらに水を添加して加水分解反応させることにより、エチレングリコールを製造する方法が知られている(特許文献4〜7)。上記プロセスは、触媒を循環使用しながら連続運転を行うと加水分解反応槽において、出口調節弁などが閉塞するという問題が生じていた。特開2007−284427号公報英国特許第2098985号公報特開2004−262767号公報特公昭55−47617号公報特開昭59−13741号公報特開2000−128814号公報特開2004−196722号公報 本発明は、上記のエチレンカーボネートに含有される着色成分が除去されたエチレンカーボネートの製造方法の提供、及び上記エチレングリコール製造プロセスにおける閉塞を防ぎ長時間安定的に運転が可能なエチレングリコールの製造方法の提供を課題とする。 本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、触媒の存在下、二酸化炭素とエチレンオキシドとを反応させてエチレンカーボネートを含む反応液を得、生成したエチレンカーボネートを晶析により精製する工程を含むプロセス(本明細書中では、これを「EC製造プロセス」と称することがある)によるエチレンカーボネート製造方法において、エチレンカーボネート化反応液(本明細書中では、これを「カーボネート化反応液」と称することがある)の一部を抜き出し、抜き出し液中に溶解している触媒に対して20重量倍以上の水を加えて不溶分を析出させ、析出した不溶分を抜き出し液から除去した後、前記プロセスに循環させることにより、着色成分が除去されたエチレンカーボネートが製造されることを見出した。さらに、本発明者らは、上記カーボネート化反応液にさらに水を添加し、エチレングリコールを生成させる(以下、「加水分解工程」と称することがある)プロセスにおいて、カーボネート化反応液の一部を抜き出し、抜き出し液中に溶解している触媒に対して20重量倍以上の水を加えて不溶分を析出させ、析出した不溶分を抜き出し液から除去した後、前記プロセスに循環することにより、1年間の連続運転によっても、加水分解工程において、反応槽の出口調節弁に閉塞が起こらないことを見出し、本発明を完成させるに至った。 即ち、本発明は、(1)触媒の存在下、二酸化炭素とエチレンオキシドとを反応させてエチレンカーボネートを含む反応液を得、生成したエチレンカーボネートを晶析により精製する工程を含むエチレンカーボネートの製造方法において、前記反応液から触媒を含む液を抜き出し、抜き出し液中に溶解している触媒に対して20重量倍以上の水を加えて不溶分を析出させ、析出した不溶分を除去した後、前記反応液に循環させることを特徴とする、エチレンカーボネートの製造方法、(2)触媒を含む液が、二酸化炭素とエチレンオキシドとを反応させてエチレンカーボネートを生成させる反応器の出口液の一部であることを特徴とする上記(1)に記載の方法、(3)触媒の存在下、二酸化炭素とエチレンオキシド、及び水とを反応させてエチレンカーボネート及びエチレングリコールを含む反応液を得、該反応液にさらに水を加えてエチレンカーボネートをエチレングリコールに変換する工程を含むエチレングリコールの製造方法において、前記反応液から触媒を含む液を抜き出し、抜き出し液に溶解している触媒に対して20重量倍以上の水を加えて不溶分を析出させ、析出した不溶分を除去した後、前記反応液に循環させることを特徴とする、エチレングリコールの製造方法、(4)触媒を含む液が、二酸化炭素とエチレンオキシド、及び水とを反応させてエチレンカーボネート及びエチレングリコールを生成させる反応器の出口液の一部及び/または該反応液に水を加えてエチレンカーボネートをエチレングリコールに変換する反応器の出口液の一部であることを特徴とする上記(3)に記載の方法、(5)不溶分の除去が、静置分離又はろ過分離又は吸着物質による吸着除去によることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法、(6)触媒が、4級ホスホニウムヨ−ダイド及び又はブロマイドであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法、(7)ハーゼンナンバー色が10以下でかつ純度が99.999%以上であるエチレンカーボネート、(8)上記(7)に記載のエチレンカーボネートを含むことを特徴とする非水系電解液、である。 本発明によれば、着色成分が除去された高純度のエチレンカーボネートの製造方法が提供される。また、長期連続運転によっても閉塞することなく安定に運転が可能なエチレングリコールの製造方法が提供される。 (1)着色成分について 本発明のエチレングリコールの製造方法で除去しようとするエチレンカーボネート中の着色成分は、紫外線を当てると蛍光を発する物質である。触媒の存在下、二酸化炭素とエチレンオキシドとを反応させてエチレンカーボネートを生成させ、生成したエチレンカーボネートを晶析により精製する工程を含む本発明のエチレンカーボネート製造プロセスにおいて蛍光分析によりその存在の由来をたどると、原料のエチレンオキシドを製造するための酸化反応器の出口ガスのドレン中にすでに存在し、その後のエチレンオキシド吸収塔、エチレンオキシド放散塔を経由して、本発明のEC製造プロセスの原料であるエチレンオキシド中にも含まれている。また、EC製造プロセスおいては、この着色成分は触媒と共に該プロセスに循環されて濃縮される。 この濃縮された着色成分は、生成したエチレンカーボネートを晶析法により高純度に回収しようとすると、製品であるエチレンカーボネートに混ざり、赤みを帯びた色になる。この着色成分は構造解析の結果、ポリエチレングリコール、ポリエチレン、芳香族からなる成分で構成されている。また、着色成分はメタノールなどの極性溶媒に可溶であるが、水に対する溶解性が低い為、ある程度の水を添加すると、析出・除去できる物質である。 (2)エチレンカーボネート製造方法 本発明のエチレンカーボネート製造方法は、触媒の存在下、二酸化炭素とエチレンオキシドとを反応させてエチレンカーボネートを生成させ(本明細書中では、これを「カーボネート化反応」と称することがある)、生成したエチレンカーボネートを晶析により精製する工程を含むプロセスによるものである。 上記エチレンカーボネート化反応で用いられる触媒としては、アルカリ金属の臭化物又はヨウ化物(例えば、特公昭38年23175号公報に記載のもの)、アルカリ土類金属のハロゲン化物(例えば、米国特許2,667,497号明細書に記載のもの)、アルキルアミン、第四級ンモニウム塩(例えば、米国特許2,773,070号明細書に記載のもの)、有機スズ又はゲルマニウム若しくはテルル化合物(例えば、特開昭57−183784号公報に記載のもの)、ハロゲン化有機ホスホニウム塩(例えば、特開昭58−126884号公報に記載のもの)などの公知のものの中から適宜選択して用いればよい。 なかでも、アルカリ金属の臭化物またはヨウ化物、あるいはホスホニウム塩を用いるのが好ましい。好ましい例として、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、4級ホスホニウムヨーダイドあるいは4級ホスホニウムブロマイド、例えば、トリフェニルメチルホスホニウムヨーダイド、トリフェニルプロピルホスホニウムヨーダイド、トリフェニルベンジルホスホニウムヨーダイド、トリブチルメチルホスホニウムヨーダイドあるいはこれらのブロマイド等が挙げられる。また、ホスホニウム塩にアルカリ金属炭酸塩を形成する化合物を併用することもできる。アルカリ金属炭酸塩はカーボネート化反応においてエチレングリコール、エチレンカーボネート以外の副生物が生成するのを抑制するので好ましい。アルカリ金属としては、溶解度の大きいカリウム塩が好ましい。触媒を併用する場合の好ましい例としては、特開2000-128814号公報に記載のとおりである。 本発明のカーボネート化反応の原料として使用されるエチレンオキシドは、市販されている純度の高いエチレンオキシドを使用してもかまわないが、例えば、Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry,5thEd.,volA10,p117以下に記載されているように、原料のエチレン及び酸素並びに希釈ガスであるメタンを主成分とするガスを、銀触媒が充填された多管式の反応器に通過させることで反応を行わせ合成したものを、例えば、下述のとおり精製して用いることもできる。通常、エチレンのエチレンオキシドへの選択率は80%程度であり、残りの20%程度は完全酸化反応により炭酸ガス及び水になる。上記反応器から流出した酸化反応ガスは、生成したエチレンオキシド及び未反応エチレン、並びに炭酸ガス、酸素、希釈ガス等から構成されている。生成したエチレンオキシドは水を吸収液とする吸収塔で液相中に吸収させる。吸収液中に吸収されたエチレンオキシドは、エチレンオキシド放散塔において放散されて、塔頂から高濃度のエチレンオキシドの水溶液として回収され、さらに蒸留塔で脱水精製を行う。また、上記で塔頂から得られた高濃度のエチレンオキシドの水溶液を直接原料として用いることもできる。 カーボネート化反応は任意の装置を用いて行うことができる。一例として、途中に除熱用の熱交換器及び循環用のポンプを備えた液循環導管を有する気泡塔を用いて塔内の反応液を液循環導管を経て循環させることにより反応温度を制御し、塔底より原料のエチレンオキシド、二酸化炭素、及び触媒を連続的に供給し連続的に反応を行わせることができる。また、特開平11-269110号公報に開示されているような、エジェクター型ノズルを備えた反応器を用いるのも好ましい。反応温度は通常70〜200℃であるが、100℃〜170℃が好ましい。 また、反応圧力は通常0.6〜5.0MPaで有るが、1.0〜3.0MPaが好ましい。本発明のカーボネート化反応には水を添加してもよく、水の存在下においてはエチレンオキシドはエチレンカーボネートだけでなく、エチレングリコールにも転化されるので、エチレンオキシドに対して等モル以下の二酸化炭素の供給量でも反応は容易に進行する。通常はエチレンオキシドに対する二酸化炭素の供給モル比は5以下であり、好ましくは0.5〜3.0である。 また、エチレンオキシドに対する水の供給モル比は通常は10以下であり、好ましくは0.5〜5.0である。なお、気泡塔で、エチレンオキシドを完全に反応させるのは非効率なので、気泡塔の後に、管型反応器を配し、液中のエチレンオキシドを更に反応させるのも好ましい。このとき、上記触媒の添加量は、エチレンオキシドに対してモル比で1/1000〜1/20、好ましくは1/200〜1/50である。カーボネート化反応で得られた反応液の一部は、後述するエチレンカーボネートの精製工程に送られ、残りを、好ましくは、後述する触媒回収操作を行った後、後述する着色成分除去操作を行ってカーボネート化反応器へ循環させることもできるし、触媒回収操作と着色成分除去操作は別の操作として行ってもよい。触媒の劣化を防ぐため行われる触媒回収操作は、例えば、特開2004-262767号公報、特開2004-284976号公報、あるいは特開2004-292384号公報等に記載の方法が挙げられる。 上記カーボネート化反応液からエチレンカーボネートを晶析により分離する方法としては、一般的にはカーボネート化反応液を冷却することにより、粗エチレンカーボネート結晶を作ればよい。冷却方法としては公知の方法により冷却することができる。具体的には、例えば、特開平7−89905号公報に記載のように、冷たい垂直間の壁に結晶を析出させた後、加温することにより、結晶の一部を融解させ、これを流下させ分離することにより純度を上げた結晶を回収する方法を用いることができる。また、連続式の晶析法としては、向流接触法も知られている(特開2007−284427号公報、及び英国特許第1086028号公報、分離技術 第35巻6号45〜49ページ(2005年)などに記載)。向流接触法はエチレンカーボネート結晶と液体が接触することによりエチレンカーボネートの純度を上げる方法である。 本発明のEC製造プロセスにおいて、該反応液から触媒を含む液を抜き出し、抜き出し液中に溶解している触媒に対して20重量倍以上の水を加えて不溶分を析出させ、析出した不溶分を抜き出し液から除去することにより、着色成分の除去(本明細書中では、これを「着色成分除去操作」と称することがある)を行う。触媒を含む液を抜き出す場所は、循環される触媒を含んでいればいずれの場所でもよいが、例えば、カーボネート化反応器の出口液の一部を抜出すことが好ましい。抜き出し量は、着色成分を除去した後に、EC製造プロセスへ再循環させるため、本プロセス中で着色成分が濃縮しない程度であればよいが、カーボネート化反応器出口液の1/500〜1/5、好ましくは1/100〜1/10である。 抜き出した触媒を含む液への水の添加量は、着色物質が析出するのに必要な量を添加する必要があり、含有される触媒に対して20重量倍以上、好ましくは50重量倍以上、最も好ましくは60重量倍以上である。また、最大量としては、プロセス中に含まれる水が多くなると最終的に水を除去するのに多大なエネルギーがかかるため、含有される触媒量に対して1000重量倍以下、好ましくは200重量倍以下が適当である。 上記で抜き出した触媒を含む液について、上述の触媒回収操作と着色成分除去操作を続けて行うこともできる。まず、抜き出した触媒を含む液より上述のとおり触媒を回収して、回収した触媒をそのままか、あるいはエチレングリコールなどに溶解した溶液を、触媒を含む液として、これに水を添加して着色成分を除去することもできる。このときの水の添加量も、上記と同様である。 水を添加する方法は、触媒濃度が薄い場合は、特別な装置は必要なく、例えば、触媒を含む液と水の配管をつなげて配管中で混ぜれば良い。また、触媒濃度が例えば40重量%と高い場合は、水を添加する際、触媒が一時的に析出するので、攪拌装置つきの溶解槽で行うことが好ましい。 水を添加した後、着色成分が析出してくるので、これを適当な方法で分離除去する。具体的には、分離除去方法は、静置分離、濾過、吸着分離等のいずれの方法でもよい。静置分離の場合は、着色成分が沈澱するのに必要な時間保持する必要があり、好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上静置した後に、上澄みを触媒溶液として回収する。静置分離する場合の装置は、例えば、通常の容器に入り口配管と出口配管を反対の位置に設置し中での流速を小さくする装置を沈殿槽として用いればよい。 濾過分離の場合は、通常の濾過装置を使用して分離すればよいが、水を添加後、次第に着色成分が凝集し、ろ過が容易になることから、好ましくは5分以上更に好ましくは30分以上保持した後にろ過したほうが、着色成分のろ過性の点で好ましい。濾過の装置は、通常に市販されている濾過装置を用いればよい。 また、吸着分離は、通常の活性炭やゼオライトといった吸着剤を使用してもかまわないが、着色成分が容易に物理的に付着する性質を持っていることから、グラスウール、ポリプロウール、綿、金属ウール等の綿状の物が好ましい。用いる装置として、具体的には、例えば、グラスウールが充填された吸着槽に、上記の様に水を添加した触媒を含む液を通過させることにより良好に着色物の除去が出来る。 通過させる時間は、特に制限は無いが、吸着剤の密度が薄い場合には、ゆっくりと液を流す必要があるが、吸着剤が密に充填されている場合は、短時間に吸着処理することが出来る。吸着槽に供給する前に、着色成分が凝集する為の時間をとってもかまわないが、吸着槽の中で、吸着・凝集の2つを同時に行わせる為に、15分〜3時間程度の吸着時間をかけることで2つの効果が達成される。着色成分を除去した後の触媒を含む液は、これをEC製造プロセスのカーボネート化反応へ循環させる。触媒を含む液を戻す位置としては、触媒が循環されている場所なら何処でもよく、例えばカーボネート化反応器の入口、あるいはカーボネート化反応器の出口、触媒分離工程、等が挙げられる。 本発明のEC製造プロセスにより製造されたエチレンカーボネートは着色がなく、かつ高純度であるので、非水系電解液等の原料として好ましく用いられる。着色が無いとは、具体的にはハーゼンナンバーが10以下であることをいう。本発明には、ハーゼンナンバーが10以下で、純度が99.999%以上であるエチレンカーボネート、及び該エチレンカーボネートを含む非水系電解液も含まれる。本発明の非水系電解液は、常用の非水系電解液と同じく、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含有するものであり、通常、これらを主成分として含むものであり、通常用いられる方法により製造される。(3)エチレングリコール製造方法 本発明の別の態様は、触媒の存在下、二酸化炭素とエチレンオキシド、及び水とを反応させてエチレンカーボネート及びエチレングリコールを含む反応液を得、該反応液にさらに水を加えてエチレンカーボネートをエチレングリコールに変換する工程(加水分解工程)を含むプロセス(本明細書中では、これを「EG製造プロセス」と称することがある)によるエチレングリコールの製造方法において、前記反応液から触媒を含む液を抜き出し、抜き出し液に溶解している触媒に対して20重量倍以上の水を加えて不溶分を析出させ、析出した不溶分を抜き出し液から除去した後、前記プロセスに循環させることを特徴とする、エチレングリコールの製造方法である。上記エチレンカーボネートの製造方法において除去したエチレンカーボネートの着色成分は、一方で、上記エチレングリコール製造方法の加水分解工程において閉塞を生じさせる原因となっているため、これを同様の方法で除去することにより、長期安定的にエチレングリコールの製造を行うことができる。 本発明のエチレングリコールの製造方法で、触媒の存在下、二酸化炭素とエチレンオキシド、及び水とを反応させてエチレンカーボネート及びエチレングリコールを生成させる工程は、上記EC製造プロセスと同様である。カーボネート化反応液は、加水分解工程に供給されるが、ここから一部エチレンカーボネートを適当な方法で分離精製することもできる。この場合のエチレンカーボネートの精製方法は、上述の晶析方法だけに限定されず、公知の蒸留方法などを用いることもできる。当然ながら上記の晶析方法により精製した場合には、着色のない高純度のエチレンカーボネートを取得することができる。 加水分解工程では反応は高温で行うほうが反応速度の点で有利であるが、高温にし過ぎるとエチレングリコールの品質が低下する恐れがあるので通常は100〜180℃で行うのが好ましい。反応圧力は液の沸点までの範囲であれば任意であるが、通常は常圧〜2.1MPaで行うのが好ましく、また、加水分解が進行するにつれて反応温度を高くしたり、反応圧力を低くしたりして、加水分解を促進させるのも好ましい。原料及び水の添加量など具体的には、例えば、特開昭59−13741号公報、特開2000−128814号公報に記載の方法などを用いることができる。 加水分解により生成したエチレングリコールは公知の方法によりエチレングリコールを取得することができる。通常は、蒸留、好ましくは減圧蒸留して水を分離して、エチレングリコール、ジエチレングリコール、その他の高沸点成分及びカーボネート化触媒などからなる粗エチレングリコールを取得した後、触媒とエチレングリコールを分離する為に、蒸発装置に供給し、エチレングリコールの大部分と高沸点成分の一部を蒸発させて回収し、触媒及び残部のエチレングリコール、高沸点成分などからなる残留液を取得し、これを「触媒液」として上記カーボネート化反応に供給する。この、触媒回収工程も、エチレングリコール及び高沸点成分の蒸発を促進する為に、減圧下で行われる。蒸発装置としては、リボイラーを備えたものを用いて、蒸発に要するエネルギーを補給し、且つ蒸発量を制御する。 本発明のEG製造プロセスにおいても、反応液中の触媒を含む液を抜き出し、抜き出し液中に溶解している触媒に対して20重量倍以上の水を加えて不溶分を析出させ、析出した不溶分を抜き出し液から除去した後に、再び該プロセスに循環させる。ここで、触媒を含む液とは、EG製造プロセス中の触媒を含む液であれば何れのものでもよいが、好ましくは、カーボネート化反応器の出口液、加水分解工程の反応液等が好ましく用いられる。 また、本EG製造プロセスにおいても触媒回収工程で回収された触媒をさらに触媒の劣化を防ぐため行われる触媒回収操作を行い、回収した触媒をエチレングリコール等に溶解した溶液を、触媒を含む液として用いることもできる。また、この場合も循環液を戻す位置としては、例えばカーボネート化反応器、加水分解反応器等が挙げられる。 実施例1 エチレンカーボネートの製造 (1)カーボネート化反応 二酸化炭素で2.0MPaで加圧された滞留時間1時間、100℃の第1反応器にトリブチルメチルホスホニウムヨーダイド5重量部/Hr、炭酸カリウム0.8重量部/Hr、原料エチレンオキシド水溶液(60重量%)78重量部/Hrを供給することによりエチレンカーボネート及びエチレングリコール(EG)を含むカーボネート化反応液を得た。得られた反応液を3重量部/Hrで抜き出し、含有される触媒量に対し60重量倍の水を添加し、SV=1でポリプロピレン製のウール(DCM japan株式会社製)が充填された吸着槽を通過させた。通過した触媒溶液の色は薄い黄色い色であった。この液を、カーボネート化反応器に循環使用した。 (2)エチレンカーボネートの精製 上記運転を1ヶ月継続後、カーボネート化反応液からWO2007/108213号公報に記載の方法に従ってエチレンカーボネートを晶析精製した。具体的には、晶析装置として特開平6−91103号公報に記載の縦型の溶融精製装置を使用した。精製装置は攪拌装置を備え、攪拌装置についている攪拌翼として、水平の攪拌棒を有する攪拌軸を使用した。また、晶析装置の側面には結晶の堆積を確認するためのスリット状の覗き窓を設置したものを用いた。 カーボネート化反応で得られた反応液の一部を、特開平6−91103号公報に記載の冷却ジャケット付きの結晶化装置で17℃まで冷却し、エチレンカーボネートの結晶を含むスラリーを作り、上記晶析装置の結晶供給管から供給した。結晶は晶析装置に沈降し、過剰な母液は晶析器上部からオーバーフロー液として回収し、加水分解反応器に循環した。 結晶が沈降し、塔底に堆積してきた結晶は加熱器で加熱して結晶を融解し、溶融液を形成した。溶融液は初め還流液として沈降してくる結晶と向流で接触しながら上昇し上部抜き出し管から抜き出され、結晶化装置を経由して、加水分解反応に戻した。 この時点では製品抜き出し管からエチレンカーボネートを抜き出さず、溶融液の上に結晶の堆積層を形成させた。そして、結晶の堆積層の厚みを覗き窓から確認し、結晶の堆積層の厚みを晶析装置の95%の高さになるように、製品抜き出し管からの抜き出し量を調整した。 上記の運転を3日間継続した後、製品エチレンカーボネートの品質を、ガスクロマトグラフ、およびカールフィッシャー水分計を用いて評価したところ、製品中のエチレングリコール濃度は1ppmで、水分含有量は2ppmであった。つまり、製品エチレンカーボネートの純度は99.999%以上であった。また、色相は、ハーゼンナンバー(APHA)で10以下であった。 比較例1 上記カーボネート化反応から得られた反応液を抜き出し、水を添加して析出物を除去する工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてエチレンカーボネートを製造した。1年間の運転の後、得られた製品エチレンカーボネートは、エチレングリコール濃度及び水の含有量は実施例1と変わらなかったが、色相が少し赤みを帯びており、色の濃さをハーゼンナンバー(APHA)で表すと約25であった。 実施例2〜6 上記カーボネート化反応から得られた反応液を抜き出し、水を添加して析出物を除去する工程において、添加する水の量、及び不溶成分の除去方法を変えたこと以外は、実施例1と同様にして析出する不溶成分を除去する工程を行った。この結果を表1に示す。表1から明らかなように、触媒を含む液に添加した水の量が、触媒量に対して20重量倍である場合には、触媒を含む液から不溶成分を除去した後の液は着色は見られなかった。 比較例2 上記カーボネート化反応から得られた反応液を抜き出し、水を添加して析出物を除去する工程において、添加する水の量を触媒量に対して10重量倍としたこと、及び不溶成分の除去方法をろ過に変えたこと以外は、実施例1と同様にして析出する不溶成分を除去する工程を行った。この結果を表1に示す。表1から明らかなように、触媒を含む液に添加した水の量が、触媒量に対して10重量倍である場合には、触媒を含む液から不溶成分を除去した後の液はろ過前と変わらず、着色成分の除去がされなかった。 実施例7 エチレングリコールの製造方法 カーボネート化反応までは、実施例1と同様にして行い、上記カーボネート化反応液を滞留時間2時間、圧力0.5MPa、150℃の第2反応器に移して含有されるエチレンカーボネートを加水分解して、触媒を含有するエチレングリコールの水溶液66.5重量部/Hrを得た。このとき、第1反応器からカーボネート化反応液の一部を3重量部/Hrで、抜き出し、該溶液に含まれる触媒量に対し60重量倍の水を添加し、SV=1でポリプロピレン製のウール(DCM japan株式会社製)が充填された吸着槽を通過させ、通過液を、カーボネート化反応工程に循環使用した。 得られた加水分解反応の反応液を塔底140℃、80torrの減圧蒸留等により蒸留して、塔底から脱水された液を得、これを更に140℃、60torrで操作される減圧蒸発器によりエチレングリコールの大部分を蒸発させ、蒸発器底部より触媒が濃縮された触媒液を13重量部/Hrを回収した。回収した触媒液は触媒として第1反応器へ循環使用した。運転開始時に食酢の色であった触媒液は、1年間の連続運転の後、触媒液の色に大きな変化は見られなかった。また、加水分解反応器の出口の調節弁に閉塞は起こらず安定した運転を行うことができた。 比較例3 カーボネート化反応液を抜き出して水を添加し、析出した不溶成分を除去した後に循環させることを行わないこと以外は実施例7と同様にして1年間運転を行った。運転開始時に食酢の色であった触媒液は、1年間の連続運転の後、触媒液の色はワインレッドに変わっていた。また、加水分解反応器の出口の調節弁に閉塞が起こり、安定した運転が困難となった。 実施例8 加水分解反応までを実施例7と同様に行い、上記加水分解反応器出口液を抜き出し、該溶液中の触媒量に対し、水60重量倍を添加した後、析出した不溶成分を5Cのろ紙で濾過したところ、濁りが除去され、着色の無い触媒溶液が回収できた。 実施例9 加水分解反応液からエチレングリコールの大部分を蒸発させ、蒸発器底部より触媒が濃縮された触媒液を13重量部/Hrを回収するまでを実施例7と同様に行い、得られた触媒液に含有される触媒量に対し、180重量倍の水を添加したところ、元々ワインレッド色であった液が、濁り、析出した不溶成分を5Cのろ紙で濾過したところ、濁りが除去され、着色の無い触媒溶液が回収できた。また、ろ紙に付着した沈殿を、水で洗浄し、その後、メタノールで洗浄したところ、メタノールは濃いワインレッドに着色し、触媒溶液に含まれていた着色成分が分離された。 触媒の存在下、二酸化炭素とエチレンオキシドとを反応させてエチレンカーボネートを含む反応液を得、生成したエチレンカーボネートを晶析により精製する工程を含むエチレンカーボネートの製造方法において、前記反応液から触媒を含む液を抜き出し、抜き出し液中に溶解している触媒に対して20重量倍以上の水を加えて不溶分を析出させ、析出した不溶分を除去した後、前記不溶分が除去された後の触媒を含む液を前記反応液に循環させることを特徴とする、エチレンカーボネートの製造方法。 触媒を含む液が、二酸化炭素とエチレンオキシドとを反応させてエチレンカーボネートを生成させる反応器の出口液の一部であることを特徴とする請求項1に記載の方法。 触媒の存在下、二酸化炭素とエチレンオキシド、及び水とを反応させてエチレンカーボネート及びエチレングリコールを含む反応液を得、該反応液にさらに水を加えてエチレンカーボネートをエチレングリコールに変換する工程を含むエチレングリコールの製造方法において、前記反応液から触媒を含む液を抜き出し、抜き出し液中に溶解している触媒に対して20重量倍以上の水を加えて不溶分を析出させ、析出した不溶分を除去した後、前記不溶分が除去された後の触媒を含む液を前記反応液に循環させることを特徴とする、エチレングリコールの製造方法。 触媒を含む液が、二酸化炭素とエチレンオキシド、及び水とを反応させてエチレンカーボネート及びエチレングリコールを生成させる反応器の出口液の一部及び/または該反応液に水を加えてエチレンカーボネートをエチレングリコールに変換する反応器の出口液の一部であることを特徴とする請求項3に記載の方法。 不溶分の除去が、静置分離又はろ過分離又は吸着物質による吸着除去によることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。 不溶分の除去が、静置分離又はろ過分離又は吸着物質による吸着除去によることを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。 触媒が、4級ホスホニウムヨ−ダイド及び又はブロマイドであることを特徴とする請求項1、2及び5のいずれかに記載の方法。 触媒が、4級ホスホニウムヨ−ダイド及び又はブロマイドであることを特徴とする請求項3、4及び6のいずれかに記載の方法。


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