生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_骨芽細胞特異的発現を誘導するDNA及びその塩基配列
出願番号:2011525957
年次:2015
IPC分類:C12N 15/09,C12N 5/10,A01K 67/027,C12Q 1/02,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,A61K 48/00,A61P 43/00,A61P 19/10,A61P 19/08,A61P 1/02,A61P 35/00,A61P 35/04,A61P 19/00,A61P 9/10,A61P 19/02,G01N 33/15,G01N 33/50


特許情報キャッシュ

小守 壽文 和泉 伸一 宮崎 敏博 六反田 賢 小守 寿人 リュウ、ウェンガン JP 5835772 特許公報(B2) 20151113 2011525957 20100806 骨芽細胞特異的発現を誘導するDNA及びその塩基配列 国立大学法人 長崎大学 504205521 高島 一 100080791 小守 壽文 和泉 伸一 宮崎 敏博 六反田 賢 小守 寿人 リュウ、ウェンガン JP 2009183366 20090806 20151224 C12N 15/09 20060101AFI20151203BHJP C12N 5/10 20060101ALI20151203BHJP A01K 67/027 20060101ALI20151203BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20151203BHJP C12N 1/15 20060101ALI20151203BHJP C12N 1/19 20060101ALI20151203BHJP C12N 1/21 20060101ALI20151203BHJP A61K 48/00 20060101ALI20151203BHJP A61P 43/00 20060101ALI20151203BHJP A61P 19/10 20060101ALI20151203BHJP A61P 19/08 20060101ALI20151203BHJP A61P 1/02 20060101ALI20151203BHJP A61P 35/00 20060101ALI20151203BHJP A61P 35/04 20060101ALI20151203BHJP A61P 19/00 20060101ALI20151203BHJP A61P 9/10 20060101ALI20151203BHJP A61P 19/02 20060101ALI20151203BHJP G01N 33/15 20060101ALI20151203BHJP G01N 33/50 20060101ALI20151203BHJP JPC12N15/00 AC12N5/00 102A01K67/027C12Q1/02C12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 101A61K48/00A61P43/00 105A61P19/10A61P19/08A61P1/02A61P35/00A61P35/04A61P19/00A61P9/10 101A61P19/02G01N33/15 ZG01N33/50 Z C12N 15/00−15/90 C12N 5/00− 5/10 C12N 1/00− 1/21 C12Q 1/00− 1/02 A01K 67/00−67/027 A61K 48/00 A61P 1/02−43/00 G01N 33/00−33/50 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) CAplus/WPIDS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 米国特許出願公開第2006/0242725(US,A1) ZAMBOTTI A et al,Characterization of an osteoblast-specific enhancer element in the CBFA1 gene,J Biol Chem,2002年,277(44),pp.41497-41506 STRONG DD et al,The human type 1a2 procollagen nuclear targeting sequence together with human runx2 enhancer elements drives robust expression in transgenic mouse osteoblasts,Journal of Bone and Mineral Research,2007年,22(Suppl.1),p.S80 (Abstract no.1288) THIRUNAVUKKARASU K et al,Cryptic enhancer elements in luciferase reporter vectors respond to the osteoblast-specific transcription factor Osf2/Cbfa1,BioTechniques,2000年,28(3),pp.506-510 15 JP2010063411 20100806 WO2011016561 20110210 33 20130719 荒木 英則 本発明は、骨芽細胞特異的発現を誘導し得るエンハンサー及びその利用に関する。詳細には、前記エンハンサー、当該エンハンサーを有するベクター、当該ベクターを有する形質導入細胞、当該ベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物、当該エンハンサーの制御下で骨芽細胞特異的に所定の遺伝子の発現効率を高めることを特徴とする遺伝子発現効率調節方法並びに当該エンハンサーを利用して骨芽細胞の活動に影響を与える化合物をスクリーニングする方法等に関する。 骨芽細胞特異的に発現される遺伝子であるRunx2は、未分化間葉系細胞からの骨芽細胞系列への分化決定及び軟骨細胞の成熟を担う転写因子である。Runx2の骨芽細胞での発現は、未熟な段階において高く、骨芽細胞の成熟とともに低下する。Runx2が骨芽細胞分化を初期段階で促進し、後期分化及び骨細胞への最終分化を抑制することが報告されている(非特許文献1〜2)。また、Runx2は、前肥大軟骨細胞および肥大軟骨細胞にも発現しており、未熟な軟骨細胞の分化及び成熟を促進する作用と、永久軟骨細胞の形成を阻害する作用を併せ持つ(非特許文献3〜5)。また、Runx2遺伝子の改変動物を用いた解析がすすめられている。 Runx2には、エクソン1から始まるアイソフォーム(II型Runx2)と、エクソン2から始まるアイソフォーム(I型Runx2)とがあり、それぞれ遠位プロモーター及び近位プロモーターにより転写調節されている(非特許文献6)。そして、両方のアイソフォームが、骨芽細胞及び軟骨細胞に発現する(非特許文献3)。このうち、近位プロモーターに関する報告は全くないが、遠位プロモーターに関しては、エクソン1上流1.5kbの転写調節領域が、培養細胞を用いて報告されている(非特許文献7)。また、エクソン1上流3kbの転写調節領域を用いたトランスジェニックマウスの報告があるが、生理的なRunx2の発現パターンとは全く異なっている(非特許文献8)。 これまで、骨芽細胞に発現させるプロモーター(DNA)として使われているものに、2.3kbあるいは3.2kbのI型コラーゲンプロモーターがある。3.2kbのI型コラーゲンプロモーターでは、骨芽細胞分化早期より発現誘導できるが、歯の象牙芽細胞、腱、筋膜にも発現を強く誘導、さらに皮下線維芽細胞にも弱く発現が誘導される。2.3kbのI型コラーゲンプロモーターは、骨芽細胞分化早期では発現を誘導できない。また、骨芽細胞の他、歯の象牙芽細胞にも発現を強く誘導、皮下線維芽細胞に発現を弱く誘導する。また、培養細胞での発現誘導能は極めて低い。他に1.3kbオステオカルシンプロモーターがあるが、生体内での発現誘導レベルがかなり低いため、骨芽細胞への遺伝子発現誘導にはあまり使われていない。また、その発現は成熟骨芽細胞に限定される。従ってコード領域を含む遺伝子を、必要時に必要量だけ骨芽細胞特異的に発現させることは不可能であった。J. Cell Biol. 155: 157-166, 2001Dev. Biol. 296: 48-61, 2006J. Biol. Chem. 275: 8695-8702, 2000J. Cell Biol. 153: 87-100, 2001Arthritis Rheum. 54: 2462-2470, 2006Curr. Opin. in Genet. Dev.8: 494-499, 1998Biochim. Biophys. Acta 1446: 265-272, 1999Mech Dev 114: 167-170, 2002 本発明の目的は、骨芽細胞特異的発現を誘導し得るエンハンサー及びその用途を提供することにある。 本発明者らは、Runx2の2つのプロモーター(遠位及び近位プロモーター)を精査する過程において、Runx2遺伝子中のおよそ1.3kbの領域にエンハンサーとしての機能が存在することを見出し、さらに、プロモーターと結合させることによって、骨芽細胞特異的遺伝子の転写を活性化することができることを確認して本発明を完成するに至った。 すなわち、本願発明は、以下に示す通りである。[1]以下の(a)、(b)又は(c)のDNAからなるエンハンサー。(a)配列番号1に表される塩基配列からなるDNA(b)配列番号1に表される塩基配列において、1以上の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA(c)配列番号1に表される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA[2]以下の(a)、(b)又は(c)のDNAからなるエンハンサー。(a)配列番号2の92878〜94145番目の塩基配列からなるDNA(b)配列番号2の92878〜94145番目の塩基配列において、1以上の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA(c)配列番号2の92878〜94145番目の塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA[3]以下の(a)、(b)又は(c)のDNAからなるエンハンサー。(a)配列番号3に表される塩基配列からなるDNA(b)配列番号3に表される塩基配列において、1以上の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA(c)配列番号3に表される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA[4]以下の(a)、(b)又は(c)のDNAからなるエンハンサー。(a)配列番号4に表される塩基配列からなるDNA(b)配列番号4に表される塩基配列において、1以上の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA(c)配列番号4に表される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA[5]以下の(a)、(b)又は(c)のDNAからなるエンハンサー。(a)配列番号5に表される塩基配列からなるDNA(b)配列番号5に表される塩基配列において、1以上の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA(c)配列番号5に表される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のエンハンサーを有するベクター。[7]さらに、プロモーターを有する上記[6]記載のベクター。[8]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のエンハンサー、プロモーター及びコード領域を含む遺伝子を有する発現ベクター。[9]コード領域を含む遺伝子がレポーター遺伝子及び/又は対象疾患を治療するための蛋白質をコードする遺伝子である上記[8]記載の発現ベクター。[10]プロモーターが、最小プロモーターである、上記[7]〜[9]のいずれかに記載のベクター。[11]最小プロモーターがHSP68最小プロモーター、CMV最小プロモーター、SV40最小プロモーター及びPGL4ベクターの最小プロモーター(minP)からなる群より選択される1種である、上記[10]記載のベクター。[12]上記[6]〜[11]のいずれかに記載のベクターを有する形質導入細胞。[13]上記[6]〜[11]のいずれかに記載のベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物。[14]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のエンハンサー、プロモーター及びコード領域を含む遺伝子を有する発現ベクターを有効成分として含有する、骨芽細胞特異的に該遺伝子を発現させ得る遺伝子発現剤。[15]上記[14]記載の遺伝子発現剤を有効成分として含有する、骨芽細胞特異的に該遺伝子を発現させることにより治療され得る疾患の為の遺伝子治療剤。[16]疾患が、骨粗鬆症、骨折、骨欠損、歯周病、骨肉腫、軟骨肉腫、骨に発生する嚢胞および良性腫瘍、癌の骨転移、癌の骨内浸潤、歯欠損による歯槽骨吸収、進行性骨化性線維異形成症、動脈硬化症、脊柱靭帯骨化症及び変形性関節症からなる群から選択される少なくとも1種である、上記[15]記載の遺伝子治療剤。[17]骨再生、骨延長術及び/又は骨棘形成の抑制の為に用いられる、上記[15]記載の遺伝子治療剤。[18]下記工程:(a)上記[1]〜[5]のいずれかに記載のエンハンサー、プロモーター及びレポーター遺伝子を含む発現ベクターを多能性幹細胞に導入する工程、(b)前記多能性幹細胞に対して分化誘導する工程、及び(c)レポーター遺伝子の発現を測定することによって、上記多能性幹細胞が骨芽細胞に分化したか否かを判別する工程、を包含する、多能性幹細胞の骨芽細胞への分化を確認する方法。[19]下記工程:(a)上記[1]〜[5]のいずれかに記載のエンハンサー、プロモーター及びレポーター遺伝子を含む発現ベクターを多能性幹細胞に導入する工程、(b)被験物質の存在下、又は非存在下に、前記多能性幹細胞に対して分化誘導する工程、(c)被験物質の存在下に分化誘導した多能性幹細胞におけるレポーター遺伝子の発現量を測定し、被験物質の非存在下に分化誘導した多能性幹細胞におけるレポーター遺伝子の発現量と比較する工程、及び(d)前記比較の結果に基づき、多能性幹細胞の骨芽細胞への分化に影響を与える化合物をスクリーニングする工程、を包含する、多能性幹細胞の骨芽細胞への分化に影響を与える化合物のスクリーニング方法。[20]下記工程:(a)上記[1]〜[5]のいずれかに記載のエンハンサー、プロモーター及びレポーター遺伝子を含む発現ベクターを培養骨芽細胞に導入する工程、(b)前記培養骨芽細胞と被験物質とを接触させるか、又は接触させない工程、(c)前記被験物質を接触させた培養骨芽細胞におけるレポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を測定し、被験物質を接触させない培養骨芽細胞における発現量及び/又は活性と比較する工程、及び(d)前記比較の結果に基づき、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物をスクリーニングする工程、を包含する、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物のスクリーニング方法。[21]下記工程:(a)上記[1]〜[5]のいずれかに記載のエンハンサー、プロモーター及びレポーター遺伝子を含む発現ベクターを導入してトランスジェニック非ヒト動物を作製する工程、(b)前記トランスジェニック非ヒト動物に被験物質を投与するか、又は投与しない工程、(c)前記被験物質を投与したトランスジェニック非ヒト動物におけるレポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を測定し、被験物質を投与していないトランスジェニック非ヒト動物における発現量及び/又は活性と比較する工程、及び(d)前記比較の結果に基づき、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物をスクリーニングする工程、を包含する、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物のスクリーニング方法。 本発明のエンハンサーを用いることにより、所定の遺伝子の骨芽細胞特異的発現を誘導することができる。かかる誘導により種々の遺伝子治療(骨折、骨形成不全症、骨石灰化等の予防治療)が可能となる。さらに、本発明のエンハンサーを用いることにより骨芽細胞の活動(例えば骨芽細胞の分化)に影響を与える化合物のスクリーニングが可能となり、具体的には骨形成促進剤や骨形成抑制剤等を提供することができる。上図:胎生16.5日のトランスジェニックファウンダーの蛍光実体顕微鏡写真。骨格にGFPが検出される。下図:大腿骨切片を用いたGFPの免疫組織染色像。骨髄内およびボーンカラーの骨芽細胞、増殖軟骨細胞・肥大軟骨細胞周囲の前骨芽細胞にGFPが検出される。1.3kbエンハンサーおよびその欠失体を用いたレポーターアッセイの結果を示す図である。野生型骨芽細胞前駆細胞(初代培養系骨芽細胞)、Runx2ノックアウトマウスの骨芽細胞前駆細胞、C2C12細胞、ATDC5細胞を用いた。1.3kbの中に、大きく分けて2カ所の保存された領域が含まれており、0.34kbは特に保存性の高い領域である。1.3kbエンハンサー及び0.34kbエンハンサーのHsp68最小プロモーター存在下でのレポーター活性を調べた結果を示すグラフである。各種ファクターによるエンハンサー活性の変動を調べた。0.34kbエンハンサーおよびHSP68最小プロモーターを用いて作製したEGFPトランスジェニックマウス(胎生16.5日)の蛍光実体顕微鏡写真。骨格にGFPが検出される。0.34kbエンハンサーおよびHSP68最小プロモーターを用いて作製したEGFPトランスジェニックマウス(生後5日目)の頚骨の組織切片を用いた免疫組織染色像。図5Aの左側の囲みを拡大した図である。図5Aの右側の囲みを拡大した図である。骨芽細胞にのみGFPの発現を認めた。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kbの領域の塩基配列。ヒトRunx2の1.3kbエンハンサー領域の配列(配列番号4)を示す図である。囲みは0.34kbエンハンサーの領域の配列(配列番号5)を示している。マウスとヒトでの、Runx2エンハンサー領域の配列を比較した結果を示す図である。マウス1.3kbエンハンサー領域(配列番号1)、ヒト1.3kbエンハンサー領域(配列番号4)、マウス0.34kbエンハンサー領域(配列番号3)及びヒト0.34kbエンハンサー領域(配列番号5)を図示する。マウスとヒトでの、Runx2エンハンサー領域の配列を比較した結果を示す図である。共通配列をドットで表わし、相同性を模式的に示した。 本発明は、以下の(a)、(b)又は(c)のDNAからなるエンハンサーを提供する:(a)配列番号1に表される塩基配列からなるDNA(b)配列番号1に表される塩基配列において、1以上の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA(c)配列番号1に表される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA エンハンサー(enhancer)とは、転写因子と結合することで遺伝子の発現を調節しているDNA上の塩基配列領域のことをいい、エンハンサーは、プロモーターと協同して転写を活性化する。本発明のエンハンサーは具体的には配列番号1に表される塩基配列からなるDNAである。配列番号1の塩基配列は、マウスRunx2遺伝子の−107205〜−105938の領域(配列番号2の92878〜94145の領域)に相当する。配列番号1に表される塩基配列からなるDNA断片は、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するエンハンサーである。 また、ヒトのRunx2遺伝子についてもマウスRunx2遺伝子の−107205〜−105938の領域(ヒトのRunx2遺伝子の−163410〜−162149)に、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高めるエンハンサーとしての機能が存在する。即ち、本発明の別の態様は、ヒトRunx2由来のエンハンサーであって、以下の(a)、(b)又は(c)のDNAからなるエンハンサーである。(a)配列番号4に表される塩基配列からなるDNA(b)配列番号4に表される塩基配列において、1以上の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA(c)配列番号4に表される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA さらに実施例にて後述するが、本発明者らは、上記約1.3kbのエンハンサー(本明細書中、便宜上1.3kbエンハンサーとも称する)領域において、骨芽細胞特異的発現に必要な約0.34kbの領域を特定することに成功した(本明細書中、便宜上0.34kbエンハンサーとも称する)。従って、本発明の別の態様は、マウスRunx2由来のエンハンサーであって、以下の(a)、(b)又は(c)のDNAからなるエンハンサー;(a)配列番号3に表される塩基配列からなるDNA(b)配列番号3に表される塩基配列において、1以上の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA(c)配列番号3に表される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA、あるいは、ヒトRunx2由来のエンハンサーであって、以下の(a)、(b)又は(c)のDNAからなるエンハンサー;(a)配列番号5に表される塩基配列からなるDNA(b)配列番号5に表される塩基配列において、1以上の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA(c)配列番号5に表される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNAを提供する。 また、本発明に係るエンハンサーは、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高めるという機能を有している限り、配列番号1、3、4及び5に表される塩基配列(本明細書中、便宜上、本発明のエンハンサー配列とも称する)において1以上の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列を有するものであってもよく、さらに本発明のエンハンサー配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列を有するものであってもよい。 ここで、本発明のエンハンサー配列において、1以上の塩基が欠失、置換又は付加した塩基配列とは、例えば、1〜30塩基、好ましくは1〜20塩基、より好ましくは1〜10塩基、いっそう好ましくは1乃至数個の塩基が欠失、置換又は付加した塩基配列を意味する。 本発明のエンハンサー配列に1以上の塩基を欠失、置換又は付加する際には、従来公知の手法、及びそれらを適宜組合わせて使用することができる。例えば、人為的な変異の導入方法としては、慣用の部位特異的変異導入法等により行なうことができる。部位特異的変異を導入する方法としては、例えば、アンバー変異を利用する方法[ギャップド・デュプレックス(gapped duplex)法、Nucleic Acids Research, 12, 9441-9456 (1984)]、dut(dUTPase)とung(ウラシル−DNAグリコシラーゼ)遺伝子を欠損した宿主を利用する方法[クンケル(Kunkel)法、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488-492 (1985)]、アンバー変異を利用したPCRによる方法(国際公開第98/02535号パンフレット)等を用いることができる。 また、本発明のエンハンサー配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするとは、ストリンジェントな条件下において、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されないことを意味する。例えば相同性が高い核酸同士、すなわち60%以上、好ましくは80%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低い場合はハイブリダイズしないことを意味する。 ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、当業者であれば、適宜選択することができる。一例を示せば25%ホルムアミド、より厳しい条件では50%ホルムアミド、4×SSC、50mM Hepes pH7.0、10×デンハルト溶液、20μg/mL変性サケ精子DNAを含むハイブリダイゼーション溶液中、42℃で一晩プレハイブリダイゼーションを行った後、標識したプローブを添加し、42℃で一晩保温することによりハイブリダイゼーションを行う。その後の洗浄における洗浄液及び温度条件は「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度で、より厳しい条件としては「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」程度で、さらに厳しい条件としては「0.2×SSC、0.1%SDS、65℃」程度で実施することができる。このようにハイブリダイゼーションの洗浄の条件が厳しくなるほどプローブ配列と高い相同性を有するDNAの単離を期待し得る。但しSSC、SDS及び温度の条件の組み合わせは例示であり、当業者であれば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する上記若しくは他の要素(例えばプローブ濃度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーション反応時間等)を適宜組み合わせることにより、上記と同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。 さらに、本発明のDNAには、配列番号1、3、4及び5に表わされる塩基配列からなるDNAに少なくとも60%の配列同一性を有するDNA、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上の配列同一性を有するDNAであって、骨芽細胞特異的なエンハンサー活性を呈する単離されたDNAも含まれる。 本明細書において、「配列同一性」とは、2つのポリヌクレオチド間の残基の配列類似性をいう。前記「配列同一性」は、比較対象の配列の領域にわたって、最適な状態にアラインメントされた2つの配列を比較することにより決定されうる。ここで、比較対象のポリヌクレオチドは、2つの配列の最適なアラインメントのための参考配列(例えば、コンセンサス配列等)と比べて、付加又は欠失(例えば、ギャップ等)を有していてもよい。 配列同一性の数値(パーセンテージ)は、両方の配列に存在する同一の核酸塩基を決定して、適合部位の数を決定し、ついで、比較対象の配列領域内の塩基の総数で、前記適合部位の数を割り、得られた数値に100をかけることにより、算出されうる。最適なアラインメント及びホモロジーを得るためのアルゴリズムとしては、例えば、スミス(Smith)らの局所ホモロジーアルゴリズム[Add. APL. Math., 2, 482 (1981)]、ニードルマン(Needleman)らのホモロジーアラインメントアルゴリズム[J. Mol. Biol., 48, 443(1970)]、パールソン(Pearson)らの相同性検索法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 2444 (1988)]が挙げられ、より具体的には、ダイナミックプログラミング法、ギャップペナルテイ法、Smith-Watermanアルゴリズム、Good-Kanehisaアルゴリズム、BLAST アルゴリズム、FASTA アルゴリズム等が挙げられる。 かかるDNAの配列同一性は、例えば、配列解析ソフト、具体的には、BLASTN等を用いて測定される。かかるソフトウェアは、ホームページアドレスhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/において、一般に利用可能である。BLASTNにより、2つの塩基配列を比較するためのデフォルトパラメータは、例えば、Matrix:BLOSUM62、Gap existence cost:11、Per residue gap cost:1、Lambda ratio:0.85が挙げられる。 「骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能」とは、特に、任意の遺伝子の転写効率を高める機能が骨芽細胞において特異的に出現することを意味する。任意の塩基配列を有するDNA断片が当該機能を有するか否かは、例えば任意のプロモーター及びレポーター遺伝子を有するベクターに、当該DNA断片を組み込んで組換えベクターを作製し、該ベクターをトランスジェニック動物に導入し骨芽細胞におけるレポーター遺伝子の発現が増大しているか否かを検討することによって判断し得る。トランスジェニック動物の骨芽細胞におけるレポーター遺伝子の発現が増大している場合、当該DNA断片は上記機能を有する。 ここで、作製するトランスジェニック動物としては、特に限定されないが、骨芽細胞におけるレポーター遺伝子の発現が容易に判別可能なトランスジェニック動物を作製することが好ましく、例えばトランスジェニックマウス等を用いることができる(詳細は後述する)。 また、培養骨芽細胞に当該DNA断片を組み込んだ発現ベクターを導入することによって、その機能を調べることもできる。 ここで、レポーター遺伝子としては、β−ガラクトシダーゼ(β−galと略記する場合もある)遺伝子、アルカリホスファターゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、成長ホルモン遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、緑色蛍光タンパク質遺伝子(GFPと略記する場合もある)、青色蛍光タンパク質遺伝子、黄色蛍光タンパク質遺伝子、赤色蛍光タンパク質遺伝子並びにそれらの誘導体等が挙げられる。前記「誘導体」には、人工的に作製された変異体が含まれる。 本発明のベクターに用いられ得るプロモーターとしては、Runx2遺伝子のプロモーター(例えば、Runx2遺伝子の上流及びイントロンを含む約200kbの領域;詳細は実施例を参照)や、最小プロモーター(例えば、HSP68最小プロモーター、CMV最小プロモーター、SV40最小プロモーター、PGL4ベクターの最小プロモーター(MinP))、ヒト由来のプロモーター(例えば、βグロビンプロモーター等)等を用いることができる。好ましくは、より短いDNA構築物が得られるという点で、最小プロモーターが用いられる。特に好ましくは、エンハンサーの特異性を維持し、他の組織における遺伝子発現を抑制することが可能な、それ自体ではほとんど転写活性化能のないものが用いられる。このような観点から、最小プロモーターとしては、HSP68最小プロモーターが好ましい。 最小プロモーターとは、RNAポリメラーゼIIによる転写開始部位を決定し最低限の転写水準維持に関与するDNA領域であって、コアプロモーターとも呼ばれ、通常、遺伝子の転写開始部位付近の比較的狭い部分に見られる領域をいう。それのみでは下流の遺伝子を発現させることはできないが、エンハンサーが近傍にあれば下流の遺伝子を発現させることができる。 本発明は、上記骨芽細胞特異的エンハンサーを有するベクターを提供する。当該ベクターとしては、例えば、本発明のエンハンサーを用いて、発現の増大が所望される遺伝子の骨芽細胞における発現量を特異的に増大させ得る発現ベクターが挙げられる。かかる発現ベクターは、例えばプロモーターと発現の増大が所望される遺伝子のコード領域とを含む。また、該発現ベクターはプロモーターとレポーター遺伝子とを含むものであってもよい。プロモーターとしては上記各種プロモーターを用いることができる。レポーター遺伝子としては上記各種レポーター遺伝子を用いることができる。特に、ヒトに対する遺伝子治療用発現ベクターの場合には、プロモーターとして、HSP68最小プロモーターが好適に用いられるが、Runx2のプロモーターもまた適当である。 本発明のベクターにおいて、各構成要素の配置は、それらが適切に機能し得る限り特に限定されないが、プロモーター及びレポーター遺伝子(及び/又は発現の増大が所望される遺伝子)がこの順に5’から3’に連結されていることが好ましく、各構成要素を自体公知の方法により基本骨格となるベクターにクローニングすることにより得られる。エンハンサーの連結位置は、プロモーターの5’側でも、レポーター遺伝子(及び/又は発現の増大が所望される遺伝子)の3’側でも良い。基本骨格となるベクターとしては、目的に応じて適当なベクターを選択することができる。具体的には、哺乳動物由来のベクター(例えば、pcDNA3(インビトロジェン社製)やpEGF−BOS(Nucleic Acids.Res.,18(17),p.5322,1990)、pEF、pCDM8、pCXN)、昆虫細胞由来のベクター(例えば「Bac-to-BAC baculovirus expression system」(インビトロジェン社製)、pBacPAK8)、植物由来の発現ベクター(例えばpMH1、pMH2)、動物ウイルス由来のベクター(例えば、pHSV、pMV、pAdexLcw)、レトロウイルス由来のベクター(例えば、pZIPneo)、酵母由来のベクター(例えば「Pichia Expression Kit」(インビトロジェン社製)、pNV11、SP−Q01)、枯草菌由来のベクター(例えばpPL608、pKTH50)、大腸菌ベクター(M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR−Script)等を挙げることができる。本発明において、哺乳動物細胞内で発現可能なベクターを用いることが好ましい。 さらに、より大きなDNA断片を組み込むことが可能な細菌人工染色体(BAC)ベクターも好適に用いることができる。例えば、pBACe3.6、pBeloBAC11、pECBAC1、pCLD04501、pBiBAClac1、BiBAC2、V41等が挙げられるが、これらに限定されない。 本発明のベクターは、本発明の目的を達成し得る限り、上記した各種構成要素以外にベクターに由来する任意の塩基配列又はクローニングの過程で付加される制限酵素切断部位から生じる任意の塩基配列等を含んでもよい。 このようにして得られたベクターは、シークエンス等により所望の位置に所望の方向でクローニングされていることを確認することができる。 本発明のベクターに含められる、コード領域を含む遺伝子とは、骨芽細胞における発現量の特異的な増大が所望される蛋白質をコードする遺伝子であって、種々の対象疾患を治療するための蛋白質をコードする遺伝子が挙げられる。対象疾患とは、例えば、骨芽細胞特異的に外来遺伝子を発現させることにより治療され得る疾患が挙げられる。具体的には、骨粗鬆症等の代謝性骨疾患;骨欠損、骨折、軟骨欠損、歯欠損、骨・軟骨破壊を伴うリウマチや変形性関節症等の軟骨関連疾患、異所性骨化、異所性石灰化、くる病、骨軟化症、パジェット病、ガンの骨転移及び類似のもの等が挙げられる。例えば、骨粗鬆症、骨折、骨欠損、歯周病、骨肉腫、軟骨肉腫、骨に発生する嚢胞および良性腫瘍、癌の骨転移、癌の骨内浸潤、歯欠損による歯槽骨吸収、進行性骨化性線維異形成症、動脈硬化症、脊柱靭帯骨化症及び変形性関節症からなる群から選択される疾患である。なお、本明細書において、「骨・軟骨・歯欠損」とは、骨組織あるいは軟骨組織をもつ哺乳動物における疾病又は損傷をうけた状態をさす。すなわち加齢や力学的負荷、物理的外力により骨折や骨・軟骨の損失及び/又は変性で特徴づけられる疾病である。 対象疾患を治療するための蛋白質としては、BMP、FGF、IGF、EGF、VEGF、PDGF、TGF、PTH、PTHrP、コンドロモジュリン、Wnt、インターロイキン、インターフェロン、TNF、Notch等の成長因子、ペプチドホルモン、サイトカイン、ケモカイン類及びこれらの受容体;Cbf、SOX、Smad、HOX、CREB、核内受容体、STAT、AP−1、CBP、NCoR等の転写因子及び転写調節因子;ICAM、VCAM、Selectin等の接着因子;p38、ERK、JNK、CaMK、PTP等の細胞内情報調節因子;コラーゲン、オステオポンチン、オステオカルシン、アグレカン等の骨・軟骨基質タンパク質;NuMA、アクチン等の細胞骨格系タンパク質等が挙げられるが、これらに限定されない。 遺伝子治療の一環として、骨芽細胞での発現の増大が有益な遺伝子としては、Runx2、Osterix、NFAT、Sp3、Sox4、Dlx5、ΔFosB、Wnt、b−catenin、Tcf7、BMP、BMPレセプター、Ihh、Shh、Fgf、Fgfレセプター、IGF、IGFレセプター、Smad、Akt、レチノイン酸、Noggin、Chordin、Follistatin、Smurf1、ドミナントネガティブRunx2、ドミナントネガティブOsterix、ドミナントネガティブTcf7等が挙げられるが、これらに限定されない。 本発明は、上記ベクターを有する形質導入細胞を提供する。当該形質導入細胞は、本発明のエンハンサーを有するベクター、特にエンハンサー、プロモーター及びコード領域を含む遺伝子(骨芽細胞における発現量の特異的な増大が所望される蛋白質をコードする遺伝子)を有する発現ベクターを任意の細胞に導入することによって得ることができる。 ベクターを細胞へ導入するには、例えば、リン酸カルシウム法(Virology,Vol.52,p.456,1973)、DEAEデキストラン法、カチオニックリポソームDOTAP(ロッシュ・ダイアグノスティックス社製)を用いた方法、エレクトロポレーション法(Nucleic Acids Res.,Vol.15,p.1311,1987)、リポフェクション法(J.Clin.Biochem.Nutr.,Vol.7,p.175,1989)、ウイルスによる感染導入方法(pMX、pMSCV等;Sci.Am.,p.34,1994)、パーティクルガン等から選択することにより行うことができる。 本発明のベクターが導入される細胞としては、その目的及び使用するベクターの種類に応じて適宜選択される。 例えば、形質導入細胞内で、コード領域を有する遺伝子を発現させることが目的であれば、本発明のベクターを培養骨芽細胞等に導入する。 具体的には、マウス骨芽細胞前駆細胞は、胎生18.5日のマウス胎仔あるいは、新生仔の頭蓋冠を切り取り、はさみで細かい断片にした後、コラーゲンゲル(cell matrix type I-A)を加え、ゲルが固まった後、αMEMを加え10〜14日間培養する。その後、0.2%コラゲナーゼで処理、遠心して細胞を集め、αMEM(10%FBS含)で細胞を再懸濁し、培養プレートに細胞を播種し培養することによって調製することができる。 また、ラット大腿骨・頸骨骨髄由来間葉系幹細胞やヒトの骨髄単核球に導入することもできる。ラット大腿骨・頸骨骨髄由来間葉系幹細胞は、大腿骨・頸骨を取り出した後、培養液で骨髄をフラッシュアウト、ピペッティング後遠心、上澄みを破棄し、αMEM(10%FBS含)で細胞を再懸濁し、ラミニンでコートした培養プレートに細胞を播種し培養し、播種後9日目にbFGFを最終濃度3ng/ml加えて培養することにより調製することができる。 ヒトの骨髄単核球画分は、ALLCELLS社あるいはLONZA社から入手することができる。解凍後、培養は上記と同様に行う。 本発明のエンハンサー(並びにそれを含むベクター)は、その骨芽細胞特異的なエンハンサー活性を高める各種ファクターの存在下に用いることができる。例えばBMP2、TGFβ、レチノイン酸、Wnt3A、shh、Ihh等が挙げられ、マウス0.34kbエンハンサーの場合にはBMP2、TGFβ及びIhnが好ましく、これらのファクターの存在下に本発明のエンハンサーが活性化される。 本発明のベクターは、多能性幹細胞に導入することにもまた有用である。本発明において、多能性幹細胞とはインビトロにおいて培養することが可能で、かつ、生体を構成するすべての細胞に分化しうる多分化能を有する細胞をいう。具体的には胚性幹細胞(ES細胞)、胎児の始原生殖細胞由来の多能性幹細胞(EG細胞:Proc Natl Acad Sci U S A. 1998, 95:13726-31)、精巣由来の多能性幹細胞(GS細胞:Nature. 2008, 456:344-9.)、体細胞由来人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells;iPS細胞)等が挙げられる。 多能性幹細胞に対して本発明のベクターを導入する方法としては、特に限定されず、上記した、ベクターを細胞へ導入する方法に準じることができる。例えば、顕微鏡を用いた注入方法、エレクトロポレーション等を挙げることができる。 次に、本発明のベクターを導入した多能性幹細胞に対し、骨芽細胞への分化を誘導する。分化誘導方法としては、例えば以下のような方法が挙げられる。 平板培養では、DMEM(10%FBS,10−7M Dexamethason,10mM b−glycerophosphate,50mg/ml Ascorbate 2−phosphateを含有する)で培養し、分化誘導することができる。 あるいは、オスフェリオン(オリンパス)、APACERAM−AM(ペンタックス)等を足場材料とし、3次元で骨芽細胞分化を誘導することができる。平板培養、3次元培養ともに、BMP等の分化誘導因子を添加することで、分化をさらに促進させることができる。 続いて、分化誘導した多能性幹細胞におけるレポーター遺伝子の発現を検定する。すなわち、レポーター遺伝子の発現量が対照と比較して有意に増加している細胞を、骨芽細胞に分化したものであると判断することができる。レポーター遺伝子の発現量が有意に増加した細胞を選択することによって、多能性幹細胞から分化した骨芽細胞を容易に且つ精度よく選別することができる。 選別した骨芽細胞は、いわゆる再生医療に用いることができる。 本発明のベクターは、骨芽細胞特異的に導入遺伝子の発現効率を高めることができ、即ち、遺伝子発現を調節する方法を提供することができる。骨芽細胞特異的に導入遺伝子の発現を誘導することによって、種々の遺伝子治療を行うことが可能となる。 ここで、導入遺伝子とは、骨芽細胞における発現量の特異的な増大が所望される蛋白質をコードする遺伝子であって、上記したものと同様なものが挙げられる。 骨芽細胞に対して本発明のベクターを導入する方法としては、特に限定されず、上記した、ベクターを細胞へ導入する方法が用いられる。例えば、本発明のエンハンサー、プロモーター及び導入対象の遺伝子を有するアデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター及びレトロウイルスベクター等を用いることができる(以下、本発明のエンハンサー、プロモーター及び導入対象の遺伝子を有するベクターを本発明の遺伝子発現剤とも称する)。 本発明の遺伝子発現剤は、導入対象の遺伝子によってもその用途は異なるが、例えば、以下のような様々な遺伝子治療に使用できる(以下、このような剤を遺伝子治療剤とも称する)。1.高度の骨粗鬆症患者の大腿骨頸部や椎体に導入することにより、大腿骨頸部骨折又は椎体骨折の予防が可能となる。2.骨折部位に導入することにより、骨折の治癒促進が可能となる。3.身長を伸ばすための下肢延長術時の骨形成促進が可能となる。4.骨髄間葉系細胞を培養し大量に増やすことができ、さらに、全身の骨量の増加を図ることができる。骨芽細胞異常が原因の骨系統疾患、例えばI型コラーゲン異常症が原因の骨形成不全症等の治療が可能となる。骨形成不全の改善が可能となる。5.異所性石灰化(例えば血管の石灰化や後縦靭帯の石灰化(後縦靭帯骨化症))の治療が可能となる。6.BMPレセプターの活性化変異によって起こる先天性骨化性線維異形成症の治療が可能となる。 本発明の遺伝子治療剤の治療対象となる疾患としては、骨粗鬆症等の代謝性骨疾患;骨欠損、骨折、軟骨欠損、歯欠損、骨・軟骨破壊を伴うリウマチや変形性関節症等の軟骨関連疾患、異所性骨化、異所性石灰化、くる病、骨軟化症、パジェット病、ガンの骨転移及び類似のもの等が挙げられる。例えば、骨粗鬆症、骨折、骨欠損、歯周病、骨肉腫、軟骨肉腫、骨に発生する嚢胞および良性腫瘍、癌の骨転移、癌の骨内浸潤、歯欠損による歯槽骨吸収、進行性骨化性線維異形成症、動脈硬化症、脊柱靭帯骨化症及び変形性関節症からなる群から選択される疾患である。当該疾患において、本発明の遺伝子治療剤は、骨再生、骨延長術及び/又は骨棘形成の抑制の為に用いられ得る。 遺伝子治療剤を患者へ導入する方法としては、遺伝子治療剤を直接体内に導入するin vivo法、及び、ヒトからある種の細胞を取り出して体外で遺伝子治療剤を該細胞に導入し、その細胞を体内に戻すex vivo法がある(日経サイエンス,1994年4月号,20−45頁、月刊薬事,36(1),23−48,1994、実験医学増刊,12(15),1994、日本遺伝子治療学会編遺伝子治療開発研究ハンドブック,エヌ・ティー・エス,1999)。 in vivo法により投与する場合は、遺伝子治療剤は、例えば、静脈、動脈、皮下、皮内、筋肉内等に投与するか、又は対象の骨芽細胞そのものに直接局所投与することができる。 製剤形態としては、上記の各投与形態に合った種々の製剤形態(例えば液剤等)をとり得る。例えば、遺伝子治療剤を含有した注射剤の場合、当該注射剤は常法により調製することができ、例えば、適切な溶剤(PBS等の緩衝液、生理食塩水、滅菌水等)に溶解した後、場合によっては、フィルター等で濾過滅菌し、次いで無菌的な容器に充填することにより調製することができる。当該注射剤には必要に応じて慣用の担体等を加えても良い。また、HVJ−リポソーム等のリポソームにおいては、懸濁剤、凍結剤、遠心分離濃縮凍結剤等のリポソーム製剤の形態とすることができる。 また、徐放性の製剤(ミニペレット製剤等)を調製し患部近くに埋め込むことも可能であり、あるいはオスモチックポンプ等を用いて患部に連続的に徐々に投与することも可能である。 遺伝子治療剤の投与形態は、例えば、実験手引書等にその調製法、投与法等が詳しく解説されている(別冊実験医学,遺伝子治療の基礎技術,羊土社,1996、別冊実験医学,遺伝子導入&発現解析実験法,羊土社,1997、日本遺伝子治療学会編遺伝子治療開発研究ハンドブック,エヌ・ティー・エス,1999)。 以下、具体例を挙げて説明する。 本発明の発現ベクターの構築において、非ウイルスベクターが用いられた場合、以下のような手法により、本発明の遺伝子治療剤を細胞や組織に導入することができる。 細胞への遺伝子導入法としては、リポフェクション法、リン酸−カルシウム共沈法;微小ガラス管を用いた直接注入法等が挙げられる。 また、組織への遺伝子導入法としては、内包型リポソームによる遺伝子導入法、静電気型リポソームによる遺伝子導入法、HVJ−リポソーム法、改良型HVJ−リポソーム法(HVJ−AVE リポソーム法)、受容体介在性遺伝子導入法、パーティクル銃で担体(金属粒子)とともに有効成分を細胞に移入する方法、naked−DNAの直接導入法、正電荷ポリマーによる導入法等が挙げられる。 本発明の発現ベクターの構築において、ウイルスベクターを用いる場合、かかるウイルスベクターとしては、組換えアデノウイルス、レトロウイルス等が挙げられる。より具体的には、例えば、無毒化したレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス、センダイウイルス、SV40、免疫不全症ウイルス(HIV)等のDNAウイルス又はRNAウイルスに本発明のDNAと該DNAに作動可能に連結した外来遺伝子とを導入し、得られた発現ベクターを感染させることによって、細胞内に遺伝子を導入することが可能である。前記ウイルスベクターのうち、高い感染効率を得ることができるという観点から、アデノウイルスベクター系を用いることが望ましい。 本発明の遺伝子治療剤の薬理効果は、導入する遺伝子や対象となる疾患により異なるが、例えば、骨減少性の疾患に対して、BMP2を外来遺伝子として含有した遺伝子治療剤を用いた場合、骨量増加、骨形成マーカー(アルカリホスファターゼ、オステオカルシン等)の上昇が見られることが予想されるので[J. Cell Biol., 113: 681-687 (1991), Biochem. Biophys. Res. Commun., 172:295-299 (1990), Science 286: 1946-1949 (1999)]、DXA法による骨量の測定やELISA等による血中骨形成マーカーの測定等で、その効果を確認することができる。 本発明の遺伝子治療剤により、骨・軟骨疾患や異所性石灰化の処置方法が提供される。かかる処置方法も本発明の範囲に含まれる。 本発明の処置方法において、遺伝子治療剤の導入方法は、前記と同様である。また投与量は、治療目的の疾患、患者の年齢、体重等により適宜調節することができ、例えば、遺伝子治療剤中に含まれる発現ベクター量として0.0001〜100mg、好ましくは0.001〜10mgであることが望ましい。かかる投与用量を数日ないし数ヶ月に1回投与することが望ましい。 本発明の処置方法は、両生類、鳥類、哺乳動物、具体的にはヒト;サル、ウマ、ヒツジ、ウサギ、ラット、マウス等の非ヒト動物に適用されうる。 本発明は、上記した、本発明の骨芽細胞特異的エンハンサーを有するベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物を提供する。本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、前記発現ベクターを保持してなるトランスジェニック非ヒト動物であって、該発現ベクター中の外来遺伝子が骨芽細胞特異的に発現することを1つの特徴とする。外来遺伝子として、レポーター遺伝子を含有した発現ベクターを保持したトランスジェニック非ヒト動物は、骨芽細胞特異的なレポーター遺伝子の発現の有無及び強度を指標として、簡便に、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物をスクリーニングすることができるという優れた性質を有する。また、外来遺伝子として、対象疾患を治療するためのタンパク質をコードする遺伝子を含有した発現ベクターを保持したトランスジェニック非ヒト動物は、骨芽細胞において発現させた場合の該タンパク質の治療効果を評価することができる。 本発明のトランスジェニック非ヒト動物においては、発現ベクターが哺乳動物の染色体中に組み込まれていてもよい。 「非ヒト動物」としては、ヒト以外の哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ、ヒツジ、ヤギ等の哺乳動物等が挙げられる。なかでも、医薬研究用途に用いられていること、病態モデルが作製しやすいこと等の観点から、マウス、ラット等に代表されるげっ歯類動物が好ましく、特にマウスが好ましい。 本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、例えば、本発明の発現ベクターを非ヒト動物の受精卵にマイクロインジェクションすることにより得ることができる。具体的には、まず、過排卵誘起した雌と種雄とを交配させる。交配後約12時間(動物種により異なる)を経た雌から卵管を取り出し、1細胞期(前核期)の受精卵を採取し、適切な培養液に入れる。ついで、本発明の発現ベクターを受精卵の前核にマイクロインジェクションする。一方、性成熟に達した雌に精管切除した雄を交尾させて、偽妊娠雌を作製する。マイクロインジェクション後、生存した受精卵を前記偽妊娠雌の卵管内に移植する。その後、卵管内に移植された受精卵より発生した胎仔を自然分娩又は切開手術により取り出す。得られた仔の尾の一部からゲノムDNAを調製する。得られたDNAを分析して、得られた仔がトランスジェニック動物であるか否かを調べる。トランスジェニック動物を交配して系統を樹立する。樹立されたトランスジェニック動物中の発現ベクターに存在する外来遺伝子(例えばGFP等のレポーター遺伝子)について、発現解析を行ない、骨芽細胞特異的な発現を確認する。以上の操作により、本発明のトランスジェニック非ヒト動物を得ることができる。 なお、前記トランスジェニック非ヒト動物の詳細な作製方法は、例えば、マウス胚の操作マニュアル(近代出版、1989)、分子生物学プロトコール(南江堂、1994)、ジーンターゲティング(羊土社、1995)等を参照することができる。 本発明は、多能性幹細胞の骨芽細胞への分化を確認する方法(方法1)を提供する。当該方法は、例えば、以下の工程を含む:(a)本発明の骨芽細胞特異的エンハンサー、プロモーター及びレポーター遺伝子を含む発現ベクターを多能性幹細胞に導入する工程、(b)前記多能性幹細胞に対して分化誘導する工程、及び(c)レポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を測定することによって、上記多能性幹細胞が骨芽細胞に分化したか否かを判別する工程。 各工程で用いる各種構成要素(例、骨芽細胞特異的エンハンサー、プロモーター、レポーター遺伝子、多能性幹細胞)、及び各種の操作方法(例、ベクターの細胞への導入、分化誘導)は、前述と同様のものが用いられ、また、同様にして実施される。 工程(c)レポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を測定することによって、上記多能性幹細胞が骨芽細胞に分化したか否かを判別する工程は、具体的には分化誘導後の多能性幹細胞におけるレポーター遺伝子の発現量及び/又は活性の程度を測定し、発現量及び/又は活性の増加が認められた場合に骨芽細胞に分化していると判断する。レポーター遺伝子の発現量及び/又は活性の程度を測定する方法は、用いるレポーター遺伝子の種類に応じて適宜選択され、例えばレポーター遺伝子としてGFP遺伝子を用いた場合には、その蛍光強度を測定することによってレポーター遺伝子の発現の程度を測定することができる。 さらに、本発明は、多能性幹細胞の骨芽細胞への分化に影響を与える化合物をスクリーニングする方法を提供する(方法2)。当該方法は、例えば、以下の工程を含む:(a)本発明の骨芽細胞特異的エンハンサー、プロモーター及びレポーター遺伝子を含む発現ベクターを多能性幹細胞に導入する工程、(b)被験物質の存在下、又は非存在下に、前記多能性幹細胞に対して分化誘導する工程、(c)被験物質の存在下に分化誘導した多能性幹細胞におけるレポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を測定し、被験物質の非存在下に分化誘導した多能性幹細胞におけるレポーター遺伝子の発現量と比較する工程、及び(d)前記比較の結果に基づき、多能性幹細胞の骨芽細胞への分化に影響を与える化合物をスクリーニングする工程。 各工程で用いる各種構成要素(例、骨芽細胞特異的エンハンサー、プロモーター、レポーター遺伝子、多能性幹細胞)、及び各種の操作方法(例、ベクターの細胞への導入、分化誘導)は、前述と同様のものが用いられ、また、同様にして実施される。レポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を測定する方法としては、上記(方法1)で用いた方法と同様のものが挙げられる。 「被験物質」は、いかなる公知物質であっても新規物質であってもよく、例えば、核酸、糖質、脂質、蛋白質、ペプチド、有機低分子化合物、コンビナトリアルケミストリー技術を用いて作製された化合物ライブラリー、固相合成若しくはファージディスプレイ法により作製されたランダムペプチドライブラリー又は微生物、動植物若しくは海洋生物等由来の天然成分等が挙げられる。また、これらの化合物の2種以上の混合物を試料として供することもできる。「被験物質の存在下に分化誘導する」とは、例えば、被験物質を含有する培養液中で多能性幹細胞の分化誘導を実施することであり、「被験物質の非存在下に分化誘導する」とは、例えば、被験物質を含有しない培養液中で多能性幹細胞の分化誘導を実施することである。 被験物質存在下、及び非存在下でのレポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を比較し、レポーター遺伝子の発現量及び/又は活性に有意な変動をもたらした場合に、多能性幹細胞の骨芽細胞への分化に影響を与えていると判断する。レポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を有意に減少させる物質は、多能性幹細胞の骨芽細胞への分化を抑制する作用を有し得、レポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を有意に増加させる物質は、多能性幹細胞の骨芽細胞への分化を促進する作用を有し得る。 さらに、本発明は、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物をスクリーニングする方法を提供する。当該方法は大別して、培養骨芽細胞を用いる方法(方法3)及びトランスジェニック動物を用いる方法(方法4)が例示される。(方法3)(a)本発明の骨芽細胞特異的エンハンサー、プロモーター及びレポーター遺伝子を含む発現ベクターを培養骨芽細胞に導入する工程、(b)前記培養骨芽細胞と被験物質とを接触させるか、又は接触させない工程、(c)前記被験物質を接触させた培養骨芽細胞におけるレポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を測定し、被験物質を接触させない培養骨芽細胞における発現量及び/又は活性と比較する工程、及び(d)前記比較の結果に基づき、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物をスクリーニングする工程、を包含する、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物のスクリーニング方法。 各工程で用いる各種構成要素(例、骨芽細胞特異的エンハンサー、プロモーター、レポーター遺伝子、多能性幹細胞、被験物質)、及び各種の操作方法(例、ベクターの細胞への導入、レポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を測定する方法)は、前述と同様のものが用いられ、また、同様にして実施される。 「培養骨芽細胞と被験物質とを接触させる」とは、例えば、被験物質を含有する培養液中で培養骨芽細胞を培養することであり、「培養骨芽細胞を被験物質と接触させない」とは、例えば、被験物質を含有しない培養液中で培養骨芽細胞を培養することである。 被験物質と接触させた場合、及び接触させない場合でのレポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を比較し、レポーター遺伝子の発現量及び/又は活性に有意な変動をもたらした場合に、骨芽細胞の活動に影響を与えると判断する。ここで、「骨芽細胞の活動に影響を与える」とは、本発明の骨芽細胞特異的エンハンサーの制御下に、骨芽細胞における遺伝子の発現効率を高める(あるいは抑制する)ことを意図する。発現効率を高めるような物質は、例えば、Runx2(骨形成のマスター遺伝子)の発現を増加させることができるので、骨形成促進剤となり得る。 本発明の骨芽細胞特異的エンハンサーに作用してその活性を高めることによって所望の遺伝子の発現効率を高めるような化合物も「骨芽細胞の活動に影響を与える」化合物に包含される。この場合、例えば、エンハンサー活性化作用を有するBMP2やTGFβ(実施例4参照)を陽性コントロールとして用いることができる。(方法4)(a)本発明の骨芽細胞特異的エンハンサー、プロモーター及びレポーター遺伝子を含む発現ベクターを導入してトランスジェニック非ヒト動物を作製する工程、(b)前記トランスジェニック非ヒト動物に被験物質を投与するか、又は投与しない工程、(c)前記被験物質を投与したトランスジェニック非ヒト動物におけるレポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を測定し、被験物質を投与していないトランスジェニック非ヒト動物における発現量及び/又は活性と比較する工程、及び(d)前記比較の結果に基づき、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物をスクリーニングする工程、を包含する、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物のスクリーニング方法。 各工程で用いる各種構成要素(例、骨芽細胞特異的エンハンサー、プロモーター、レポーター遺伝子、多能性幹細胞、被験物質、トランスジェニック非ヒト動物)、及び各種の操作方法(例、レポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を測定する方法)は、前述と同様である。 トランスジェニック非ヒト動物への被験物質の投与は、経口的又は非経口的に行われる。非経口的投与経路としては、例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内等の全身投与、又は気道内、標的細胞(例、結膜等)付近への局所投与等が挙げられる。 被験物質を投与した場合、及び投与していない場合でのレポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を比較し、レポーター遺伝子の発現量及び/又は活性に有意な変動をもたらした場合に、骨芽細胞の活動に影響を与えていると判断する。レポーター遺伝子の発現量及び/又は活性の測定は、例えばトランスジェニック動物の中足骨を器官培養し、観察することによって実施することもできる。ここで、「骨芽細胞の活動に影響を与える」とは、本発明の骨芽細胞特異的エンハンサーの制御下に、骨芽細胞における遺伝子の発現効率を高める(あるいは抑制する)ことを意図する。発現効率を高めるような物質は、例えば、Runx2(骨形成のマスター遺伝子)の発現を増加させることができるので、骨形成促進剤となり得る。 本発明の骨芽細胞特異的エンハンサーに作用してその活性を高めることによって所望の遺伝子の発現効率を高めるような化合物も「骨芽細胞の活動に影響を与える」化合物に包含される。この場合、例えば、エンハンサー活性化作用を有するBMP2やTGFβ(実施例4参照)を陽性コントロールとして用いることができる。 以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。(実施例1 エンハンサー領域の同定) Runx2のエクソン1、エクソン2の一部、イントロン1およびエクソン1上流約100kbを含む約200kb(マウスRunx2遺伝子の−200082〜+126領域:配列番号2)のBACクローン(RP23−356F5)の下流に、BAC modification kitを用いてIRES−EGFP−polyAを挿入した。このベクターをB6C3HF1の接合体の前核にマイクロインジェクションし、それを仮親メスの卵管に移し、トランスジェニックファウンダーを作出した。尾椎先端を切り取り、皮膚を取り除いて実体蛍光顕微鏡にて観察、尾椎骨にGFP(green fluorescent protein)を発現するマウスを選択した。発現マウスは、尾椎を固定後、組織切片を作製、GFP抗体を用いて免疫組織染色を施行、骨芽細胞および軟骨細胞での発現を確認した。確認したトランスジェニックファウンダーで、発現レベルの高いものをB6C3HF1と交配、Runx2プロモーターEGFPトランスジェニックマウス[RP−full(−200082/+126)]を作製した。 さらに200kbを30〜50kbずつ欠失させたベクターを作製、6種類のEGFPトランスジェニックファウンダーを作出した。そして上記と同様に、一部のRunx2ゲノム領域を欠失した6種類のRunx2プロモーターEGFPトランスジェニックマウスを作出した[RP−D(−30822/−882),RP−D(−55791/−25843),RP−D(−78042/−50853),RP−D(−122442/−78503),RP−D(−1661442/−117453),RP−D(−200032/−156463)]。Runx2ゲノム領域全長を含むRunx2プロモーターEGFPトランスジェニックマウスおよび一部のRunx2ゲノム領域を欠失した6種類のRunx2プロモーターEGFPトランスジェニックマウスの組織切片を用い、全身でのGFPの発現パターンをGFP抗体を用いた免疫組織染色で検討した。RP−D(−122442/−78503)では、軟骨細胞での発現消失および骨芽細胞での発現低下および一部の骨芽細胞での発現消失を観察した。そこで、この領域で、種間(マウス、ヒト、チンパンジー、ウシ、イヌ、ウマ、マカク、フクロネズミ、オランウータン、カモノハシ、ニワトリ、アフリカツメガエル)で保存されている領域をhttp://www.ensembl.org.で検索した。この欠失領域に上記の種間で高度に保存された1.3kb領域を見いだした(1.3kbエンハンサー)。この1.3kb領域をHsp68最小プロモーターにつなぎ、EGFPを発現させるトランスジェニックファウンダーを作出した。組織切片を用いたGFPの免疫組織染色では、前骨芽細胞および骨芽細胞に特異的に発現が観察された(図1)。 本実施例で確認されたエンハンサーは、転写開始点(配列番号2の200083位)より結果的に約30kb離れた位置にあり、従来のプロモーター解析では通常検出できない。(実施例2 レポーターアッセイ)<方法>1.細胞培養 初代培養系骨芽細胞(Primary Osteoblast:POB)は胎生期18.5日の正常マウス(エスエルシー)の頭蓋骨を採取し、コラーゲンゲル培養法により、10日間頭蓋骨細胞を培養し、分取した。分取したPOBを、10%FBSを含むMinimum Essential Medium, alpha modified(αMEM)で2〜3日培養し、1.5×104個/ウェルを24ウェルプレートに播種し、約24時間後にレポーターアッセイを行った。 Runx2ノックアウト(Runx2 KO)細胞は、胎生期18.5日のRunx2ノックアウトマウスの頭蓋骨を採取し、コラーゲンゲル培養法により、10日間頭蓋骨細胞を培養し、分取した。Runx2ノックアウトマウスは、小守らにより作製されたものを用いた(Cell (1997), 89, 755-764、特開平10−309148号公報)。分取したRunx2 KO細胞を、10%FBSを含むαMEMで2〜3日培養し、1.5×104個/ウェルを24ウェルプレートに播種し、約24時間後にレポーターアッセイを行った。 C2C12細胞は、10%FBS含むDulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)培地(SIGMA)で、1.5×104個/ウェルを24ウェルプレートに播種し、約24時間後にレポーターアッセイを行った。 ATDC5細胞は、5%FBS、10μg/mLトランスフェリンを含むDulbecco's Modified Eagle's Medium/Ham's F12 (1:1) hybrid medium(DMEM/HAM F12)培地(SIGMA)で、1.5×104個/ウェルを24ウェルプレートに播種し、約24時間後にレポーターアッセイを行った2.レポーターアッセイ トランスフェクションには、Runx2 1.3kbエンハンサーまたはRunx2 0.34kbエンハンサーおよびマウスHSP68最小プロモーター(mHSP68)を挿入したpGL4.10(Promega)プラスミドDNAとpRL−tkプラスミドDNAを用いた。コントロールには、mHsp68プロモーターのみを挿入したpGL4.10プラスミドDNAを用いた。導入するプラスミドDNA 各0.1μgをFuGENE 6 Transfection Reagent(Roche)を用い、24ウェルプレートで培養した細胞に、トランスフェクションした。12時間培養後、C2C12細胞は2.5%FBS含むDMEM培地に、ATDC5細胞、POB、Runx2 KO細胞は1%FBSを含む各培地に置換し、36時間後にPBSで細胞を洗浄後、Passive Lysis Buffer(Promega)を80μL添加し、測定まで−80℃で保存した。レポーター活性は、Dual-luciferase Reporter Assay System(Promega)を用いて測定した。3.ファクターの影響 ATDC5細胞に、上記方法でプラスミドDNA 0.1μLをトランスフェクトし、12時間培養後に1%FBSを含む培地に置換した。さらに12時間培養後、各種ファクターを添加、24時間刺激後にPBSで細胞を洗浄、Passive Lysis Bufferを80μL添加し、測定まで−80℃で保存した。レポーター活性は、Dual-luciferase Reporter Assay Systemを用いて測定した。各ファクター濃度は、Fibroblast growth factor 2(FGF−2)30ng/mL、Fibroblast growth factor 18(FGF−18)30ng/mL、Bone morphogenetic protein 2(BMP2)50ng/mL、Transforming growth factor-beta(TGFβ)1ng/mL、レチノイン酸 10−8M、Wingless-type MMTV integration site family, member 3A(Wnt3A)10ng/mL、Sonic hedgehog(Shh)200ng/mL、Indian hedgehog(Ihh)200ng/mLとした。<結果> POB、Runx2 KO細胞、C2C12細胞及びATDC5細胞におけるRunx2 1.3kbエンハンサー/Hsp68最小プロモーターとRunx2 0.34kbエンハンサー/Hsp68最小プロモーターのレポーター活性を調べた。各コンストラクトの模式図とそのレポーターアッセイ結果を図2に示す。 この結果、Runx2 1.3kbエンハンサー/Hsp68最小プロモーターでは、Hsp68最小プロモーターのみを用いた場合のレポーター活性と比較し、2〜3倍、Runx2 0.34kbエンハンサー/Hsp68最小プロモーターではHsp68最小プロモーターのみを用いた場合のレポーター活性と比較し、1.2〜1.5倍程度、すべての細胞で活性が上昇した。 さらに、1.3kbおよび0.34kbエンハンサー/Hsp68最小プロモーターのレポーターベクターの各種ファクターによるエンハンサーの活性化について調べた。結果を図3に示す。 ATDC5細胞を用いたRunx2 1.3kbエンハンサーおよび0.34kbエンハンサーのレポーターアッセイにファクターとしてFGF−2、FGF−18、BMP2、TGFβ、レチノイン酸、Wnt3A、Shh、Ihhを添加し、各種ファクターによる活性の変動を調べた。この結果、1.3kbエンハンサーについては、FGF−2及びFGF−18で抑制、BMP2、TGFβ、レチノイン酸、Wnt3A、Shh及びIhhで促進された。0.34kbエンハンサーについては、FGF−2及びFGF−18で抑制、BMP2、TGFβ及びIhhで促進された。(実施例3 エンハンサー領域の更なる絞り込み) マウス1.3kbのエンハンサーの中で、種を超えた相同性が特に高い(ニワトリとゼノパス(カエルの一種)まで相同性がある)下記領域(約340bp):ttatcatgtaattataatgatgatcatttacaagtatccaaaatgactccagcattttaaagagctaagcagagttatttttaaaatcaaacatatgtgctttttctgtttatgtctttggaaagaacattctgcataatgaaaaacacgaccaaatttttcacagtacatcactataaaccctgtaattgacttttggggttggtttactctatatctatttttgaccacgtagaaaacagcaatgatgtggtgaaaagcccaaaatgcaagtcccatcgcaggctgagactccactctgattagtacaaaagtatcatgtttgtgctgggaagtgtgcccat(配列番号3)に注目しHsp68最小プロモーターを用いてEGFPトランスジェニックマウスを実施例1と同様にして作製した。系統を樹立後、胎生期16.5日の胎仔、及び生後5日目のトランスジェニックマウスを蛍光実体顕微鏡を用いて、あるいは抗GFP抗体で免疫組織染色してGFPの発現を調べた。胎生期16.5日目の胎仔の蛍光実体顕微鏡の観察像を図4に、抗GFP抗体で免疫組織染色した観察像を図5にそれぞれ示す。結果、骨芽細胞にのみGFPの発現を認め、従ってかかる約340bpの領域内にRunx2の骨芽細胞特異的発現に必要な部分が含まれていることが明らかになった。 本発明のエンハンサーは以下の点で優れている。1.骨芽細胞特異的発現を誘導することができる。さらに骨芽細胞分化早期より発現が誘導でき、このことは骨芽細胞分化の誘導に有利である。2.生体内で高発現が期待できる。HSP68最小プロモーターは最小プロモーターの中でも、転写活性化能が最も低い部類に入るが、本発明のエンハンサーDNAを結合させることにより、生体内で十分に強い遺伝子発現を誘導することができた。3.結合させる最小プロモーターを種々変えることにより、さらに発現レベルを高めることができる。4.短いDNAであるため、実用的である。5.培養骨芽細胞においても強い遺伝子発現が期待できる。 本発明のエンハンサーを用いることにより、所定の遺伝子の骨芽細胞特異的発現を誘導することができる。かかる誘導により種々の遺伝子治療(骨折、骨形成不全症、骨石灰化等の予防治療)が可能となる。さらに、本発明のエンハンサーを用いることにより骨芽細胞の活動(例えば骨芽細胞の分化)に影響を与える化合物のスクリーニングが可能となり、具体的には骨形成促進剤や骨形成抑制剤等を提供することができる。 本出願は、日本で出願された特願2009−183366を基礎としておりそれらの内容は本明細書に全て包含されるものである。 以下の(a)又は(b)のDNAからなるエンハンサー。(a)配列番号1に表される塩基配列からなるDNA(b)配列番号1に表される塩基配列において、1〜30の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA 以下の(a)又は(b)のDNAからなるエンハンサー。(a)配列番号2の92878〜94145番目の塩基配列からなるDNA(b)配列番号2の92878〜94145番目の塩基配列において、1〜30の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA 以下の(a)又は(b)のDNAからなるエンハンサー。(a)配列番号3に表される塩基配列からなるDNA(b)配列番号3に表される塩基配列において、1〜30の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA 以下の(a)又は(b)のDNAからなるエンハンサー。(a)配列番号4に表される塩基配列からなるDNA(b)配列番号4に表される塩基配列において、1〜30の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA 以下の(a)又は(b)のDNAからなるエンハンサー。(a)配列番号5に表される塩基配列からなるDNA(b)配列番号5に表される塩基配列において、1〜30の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、骨芽細胞特異的に遺伝子の発現効率を高める機能を有するDNA 請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンハンサー、プロモーター及びコード領域を含む遺伝子を有する発現ベクター。 プロモーターが、最小プロモーターである、請求項6に記載のベクター。 請求項6または7に記載のベクターを有する形質導入細胞。 請求項6〜8のいずれか1項に記載のベクターを導入してなるトランスジェニック非ヒト動物。 請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンハンサー、プロモーター及びコード領域を含む遺伝子を有する発現ベクターを有効成分として含有する、骨芽細胞特異的に該遺伝子を発現させ得る遺伝子発現剤。 請求項10記載の遺伝子発現剤を有効成分として含有する、骨芽細胞特異的に該遺伝子を発現させることにより治療され得る疾患の為の遺伝子治療剤。 下記工程:(a)請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンハンサー、プロモーター及びレポーター遺伝子を含む発現ベクターを多能性幹細胞に導入する工程、(b)前記多能性幹細胞に対して分化誘導する工程、及び(c)レポーター遺伝子の発現を測定することによって、上記多能性幹細胞が骨芽細胞に分化したか否かを判別する工程、を包含する、多能性幹細胞の骨芽細胞への分化を確認する方法。 下記工程:(a)請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンハンサー、プロモーター及びレポーター遺伝子を含む発現ベクターを多能性幹細胞に導入する工程、(b)被験物質の存在下、又は非存在下に、前記多能性幹細胞に対して分化誘導する工程、(c)被験物質の存在下に分化誘導した多能性幹細胞におけるレポーター遺伝子の発現量を測定し、被験物質の非存在下に分化誘導した多能性幹細胞におけるレポーター遺伝子の発現量と比較する工程、及び(d)前記比較の結果に基づき、多能性幹細胞の骨芽細胞への分化に影響を与える化合物をスクリーニングする工程、を包含する、多能性幹細胞の骨芽細胞への分化に影響を与える化合物のスクリーニング方法。 下記工程:(a)請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンハンサー、プロモーター及びレポーター遺伝子を含む発現ベクターを培養骨芽細胞に導入する工程、(b)前記培養骨芽細胞と被験物質とを接触させるか、又は接触させない工程、(c)前記被験物質を接触させた培養骨芽細胞におけるレポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を測定し、被験物質を接触させない培養骨芽細胞における発現量及び/又は活性と比較する工程、及び(d)前記比較の結果に基づき、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物をスクリーニングする工程、を包含する、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物のスクリーニング方法。 下記工程:(a)請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンハンサー、プロモーター及びレポーター遺伝子を含む発現ベクターを導入してトランスジェニック非ヒト動物を作製する工程、(b)前記トランスジェニック非ヒト動物に被験物質を投与するか、又は投与しない工程、(c)前記被験物質を投与したトランスジェニック非ヒト動物におけるレポーター遺伝子の発現量及び/又は活性を測定し、被験物質を投与していないトランスジェニック非ヒト動物における発現量及び/又は活性と比較する工程、及び(d)前記比較の結果に基づき、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物をスクリーニングする工程、を包含する、骨芽細胞の活動に影響を与える化合物のスクリーニング方法。配列表


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