| タイトル: | 特許公報(B2)_スピラントールの製造法及びその製造中間体 |
| 出願番号: | 2011522838 |
| 年次: | 2014 |
| IPC分類: | C07C 235/28,C07C 231/12,C07C 233/09 |
田中 茂 石田 賢哉 八木 健司 氏原 秀雄 JP 5587313 特許公報(B2) 20140801 2011522838 20100714 スピラントールの製造法及びその製造中間体 高砂香料工業株式会社 000169466 辻居 幸一 100092093 熊倉 禎男 100082005 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 山崎 一夫 100119013 田中 茂 石田 賢哉 八木 健司 氏原 秀雄 JP 2009165530 20090714 20140910 C07C 235/28 20060101AFI20140821BHJP C07C 231/12 20060101ALI20140821BHJP C07C 233/09 20060101ALI20140821BHJP JPC07C235/28C07C231/12C07C233/09 Z C07C 235/28 C07C 231/12 C07C 233/09 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特許第5401708(JP,B1) JOURNAL OF THE CHEMICAL SOCIETY, PERKIN TRANSACTIONS 1,2000年,No.20,p.3406-16 5 JP2010061912 20100714 WO2011007807 20110120 13 20130712 太田 千香子 本発明は、香料として有用なスピラントールを、香気的に良好な形態で製造することができる製法およびそれで用いる新規な中間体に関する。 スピラントール(N−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミド)は、しみるような、しびれるような刺激及び/又は刺すような刺激感をもたらすことが知られており、スパイス及び/又はハーブ香辛料として飲食品に活用されている。特に(2E,6Z,8E)体はキハダオランダセンニチの主成分で、強いしびれ・収斂性作用を有する有効成分として知られており、感覚刺激成分として飲食品や香粧品など幅広い製品への利用価値がある。一方、スピラントールの取得方法としては、例えばキハダオランダセンニチからの抽出など天然物由来の方法が知られている。また非特許文献1、2及び3などでスピラントールの合成法が開示されているが工業的な製造方法とは言えない。なお、特許文献1では工業的な製造法が数種類開示されている。WO2009/091040 A1J. Am. Chem. Soc.,2461-2463,(1955)Naturally Occurring Insecticides, 149-156(1971)Tetrahedron, 731-741 (1987) 本発明の目的は、香気的に良好なスピラントールを高収率で製造する方法およびそれで用いる新規中間体を提供することである。 本発明者らは上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、新規なアミドエステルを中間体として用いることにより、香気的に良好なスピラントールが高収率及び高純度で得られることを見出した。 すなわち、本発明は以下の内容を包含する。[1]下記一般式(1)(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基;及び、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基を表し、R2は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、波線はシス配置、トランス配置又は2つの配置の混合であることを表す。)で表されるアミドエステル。[2]R1が炭素数1〜4のアルキル基である前記[1]に記載のアミドエステル。[3]R1がメチル基である前記[2]に記載のアミドエステル。[4]R2がイソブチル基又はs−ブチル基である前記[1]乃至前記[3]のいずれか1項に記載のアミドエステル。[5]前記[1]乃至[4]のいずれか1項に記載のアミドエステルを塩基化合物と反応させることを特徴とする2,6,8−デカトリエナミドの製造方法。[6]前記[5]に記載の方法により合成され、化学純度が80%以上で、2E,6Z,8E−異性体含有率が65%以上である、2,6,8−デカトリエナミドを含有する飲食品、香粧品又は医薬品。 本発明により香料として有用なN−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミド(スピラントール)の製造に有用な新規な中間体が提供され、該中間体を用いることにより、高収率及び高純度で香気的にも良好なスピラントールを製造することができる。 以下、本発明についてさらに詳細に説明する。一般式(1)で表される本発明化合物のアミドエステルは以下の方法で得ることができる。 R1で表される炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。また、R1で表される炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基及びt−ブチル基であり、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基及びt−ブトキシ基であり、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子である。好ましいR1としては炭素数1〜4のアルキル基であり、その中でもメチル基がより好ましい。 R2で表される炭素数1〜8の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、2−メチルブチル基、ヘキシル基等の直鎖又は分岐のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアルキル置換フェニル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられるが、好ましいR2はイソブチル基もしくはs−ブチル基である。ここで用いられるアシル化剤としては、酸無水物(R1COOCOR1)、酸塩化物(R1COCl)等が挙げられ、R1の例示としては前記したものが挙げられる。具体的な酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ブタン酸などが挙げられる。酸塩化物としては塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ピバロイル、塩化ベンゾイルなどが挙げられる。 また化合物(h)のアシル化反応を行う際には塩基化合物を共存させることが好ましく、用いられる塩基化合物としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、この中でもトリエチルアミンが好ましい。 化合物(h)のアシル化反応は、約−5℃〜100℃、好ましくは10℃〜30℃の温度で行うことができ、反応時間は約1時間〜6時間程度で十分である。反応に用いることができる溶媒としては、例えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランであり、この中でもトルエンが好ましい。アシル化剤の使用量は、化合物(h)に対して1倍モル〜2倍モル、好ましくは1.05倍モル〜1.2倍モルである。反応終了後は、抽出、蒸留、各種クロマトグラフィーなどで精製することができる。なお、本発明化合物のアミドエステルの原料である化合物(h)は例えば以下の方法で製造することができる。(式中、波線はシス配置、トランス配置又は2つの配置の混合であることを表す。) さらに一般式(1)で表される本発明のアミドエステルにおいてR2がイソブチル基である化合物(1)−i−Buを用いたN−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミド(スピラントール)の製造法について説明する。該製造法は以下のスキームにより示される。 ここで用いられる塩基化合物としては、アミン、アルキルリチウム、グリニャール試薬、金属水素化物、金属アミド、金属アルコラート等が挙げられる。具体的な塩基化合物としては、トリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、n−ブチルリチウム、t−ブチルマグネシウムクロリド、水素化ナトリウム、リチウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。好ましい塩基化合物としては、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドが挙げられる。 反応温度としては、約−20℃〜50℃、好ましくは−5℃〜10℃の温度で行うことができ、反応時間は約1時間〜5時間程度で十分である。反応に用いることができる溶媒としては、例えばトルエン、ヘプタン、テトラヒドロフランであり、この中でもトルエンが好ましい。塩基化合物の使用量は、化合物(1)−i−Buに対して1倍モル〜2倍モル、好ましくは1.05倍モル〜1.2倍モルである。反応終了後は、抽出、蒸留、各種クロマトグラフィーなどで精製することができる。 このようにして得られたスピラントールは単独で、又は既存の冷感剤もしくは温感剤等の感覚(味覚、皮膚感覚など)刺激剤と組み合わせることにより、飲食品、香粧品、医薬品等の香味添加剤として、更に具体的には冷感や温感、或いはアルコール感、炭酸感、唾液分泌効果などを付与・増強する有効成分として有用である。 上述した既存の冷感剤としては、例えばメントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、ユーカリプタスオイル、l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−アルキル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N-〔(4−シアノメチル)フェニル〕−p−メンタンカルボキサミド、3−l−メントキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、2−l−メントキシエタン−1−オール、3−l−メントキシプロパン−1−オール、乳酸l−メンチル、メントングリセリンケタール、N−メチル−2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンアミド、グリオキシル酸メンチル、グルタル酸モノメンチル、コハク酸モノメンチル、グルタル酸ジメンチル、コハク酸ジメンチル、ハッカ油、ペパーミント油またはスペアミント等を挙げることができ、これらは1種または2種以上を適宜配合して用いることができる。 また、温感(辛味)剤としては、例えばバニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、カプサイシン、ジンゲロール、トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ノニル酸バニリルアミド、ジャンブーオレオレジン、サンショウエキス、サンショオール−I、サンショオール−II、サンショウアミド、黒胡椒エキス、カビシン、ピペリン等を挙げることができ、これらは1種または2種以上を適宜配合して用いることができる。 尚、スピラントールは飲食品、香粧品、医薬品等などの各種製品に直接配合してもよいが、特に上記感覚刺激剤と共に香料組成物中にまず配合して、この香料組成物を製品に配合することもできる。 飲食品としては、例えば果汁飲料類、果実酒類、乳飲料類、炭酸飲料、清涼飲料、ドリンク剤類のような飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類のような冷菓類;ゼリー、プリンなどのデザート類;ケーキ、クッキー、チョコレート、チューインガムなどの洋菓子類;饅頭、羊羹、ウイロウなどの和菓子類;ジャム類;キャンディー類;パン類;緑茶、ウーロン茶、紅茶、柿の葉茶、カミツレ茶、クマザサ茶、桑茶、ドクダミ茶、プアール茶、マテ茶、ルイボス茶、ギムネマ茶、グアバ茶、コーヒー、ココアのような茶飲料または嗜好飲料類;和風スープ、洋風スープ、中華スープのようなスープ類;風味調味料;各種インスタント飲料乃至食品類;各種スナック食品類等が挙げられる。 香粧品としては、例えばオードパルファム、オードトワレ、オーデコロンのようなフレグランス製品;洗顔クリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落としのような基礎化粧品類;ファンデーション、粉おしろい、固形おしろい、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、アイパックのような仕上げ化粧品類;ポマード、セットローション、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、養毛剤、染毛剤のような頭髪化粧品;日焼け用化粧品、制汗剤、アフターシェービングローション及びジェル、パーマネントウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料のような薬用化粧品;シャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアパックのようなヘアケア製品;、石鹸、ボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープのような身体洗浄剤;入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド等)、フォームバス(バブルバス等)、バスオイル(バスパフューム、バスカプセル等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブのような浴用剤;洗剤;柔軟仕上げ剤;消臭・芳香剤;忌避剤;歯磨き、口腔洗浄料、マウスウオッシュのような口腔用製剤;その他の雑貨類などが挙げられる。 医薬品としては、例えばハップ剤、軟膏剤のような皮膚外用剤、トローチ、内服剤などが挙げられる。 本発明のスピラントールの各種飲食品、香粧品、医薬品に添加配合する量は、対象物などにより大幅に異なるものであるが、通常対象物に対して0.00001〜30質量%とすることが好ましく、0.0001〜10質量%とすることがより好ましい。 以下、本発明を参考例、実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。(参考例1)N−イソブチル−3−ヒドロキシ−6,8−デカジエナミドの製造(1)Wittig反応工程 窒素気流下、1Lフラスコに、4−ブロモブタン酸エチル(a)(195g、1.0mol)、トリフェニルホスフィン(288g、1.1mol)、アセトニトリル(195ml)を入れ、90℃で40時間撹拌した。反応溶液をトルエン(800ml)に滴下し、20℃まで冷却した。析出した白色固体をろ過し、減圧乾燥(50℃/1torr)を行い、ホスホニウム塩(b)(420g、収率92%)を得た。 次に窒素気流下、5Lフラスコに、ホスホニウム塩(b)(420g、0.92mol)、トルエン(1600ml)、炭酸カリウム(506.2g、3.66mol)、クロトンアルデヒド(256.7g、3.66mol)を入れ、65℃で7時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、水(840g)を入れ、30分撹拌した後、分液した。有機層から減圧下で溶媒を留去し、析出した固体をろ過して除去した。この溶液を減圧蒸留(65〜70℃/1.5torr)して4,6−オクタジエン酸エチル(c)(114.4g、収率74%)を得た。(2)加水分解工程 4つ口フラスコに20%水酸化カリウム水溶液(477g、1.7mol)、4,6−オクタジエン酸エチル(c)(114.4g、0.68mol)を入れ、45℃で3時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、ヘプタン(230mL)を加え、35%塩酸(177g)を滴下した。分液後、有機層を水洗(230mL)し、減圧下で溶媒を留去して、4,6−オクタジエン酸(d)(90.6g、収率95%)を得た。(3)混合酸無水物合成工程 窒素気流下、2L反応フラスコに、4,6−オクタジエン酸(d)(90.6g、0.65mol)、トルエン(720ml)、塩化ピバロイル(85.7g、0.0.71mol)を加え、5℃に冷却した。トリエチルアミン(71.9g、0.71mol)を1時間かけて滴下し、その後徐々に室温まで温度を上げ、2時間撹拌した。水洗(270mL)を3回行い濃縮した後、粗製の4,6−オクタジエン酸ピバロイル酸無水物(e)を139.8g得た。(4)増炭反応工程 500mlフラスコに上記の(3)で得られた粗製の4,6−オクタジエン酸ピバロイル酸無水物(e)(139.8g)、THF(140ml)、トリエチルアミン(69.3g、0.685mol)を入れ、5℃に冷却し、イミダゾール(45.2g、0.72mol)を加え1時間撹拌した。 窒素気流下、別に用意した2Lフラスコに、塩化マグネシウム(75.3g、0.79mol)、THF(560ml)、マロン酸メチルモノカリウム塩(155g、0.996mol)を入れ、上記の反応溶液を1時間かけて滴下し、さらに5時間撹拌した。35%塩酸水溶液(265g、2.55mol)を滴下した後、分液して、有機層を10%炭酸ナトリウム水溶液(660mL)で2回洗浄した。溶媒を減圧留去し、減圧蒸留(90℃/0.5torr)して3−オキソ−6,8−デカジエン酸メチル(f)(88.8g、収率70%)を得た。(5)還元工程 窒素気流下、1Lフラスコに、水素化ホウ素ナトリウム(5.1g、0.14mol)、THF(360ml)を入れ、0℃に冷却し、3−オキソ−6.8−デカジエン酸メチル(f)(88.8g、0.45mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、35%塩酸水溶液(47g)を滴下し、酢酸エチル(180ml)で2回抽出した。有機層を水洗(178mL)した後、溶媒を減圧除去し、3−ヒドロキシ−6,8−デカジエン酸メチル(g)(86.1g、0.43mol、収率96%)を得た。(6)アミド化工程 500mlフラスコに3−ヒドロキシ−6,8−デカジエン酸メチル(g)(86.1g、0.43mol)、イソブチルアミン(95.3g、1.3mol)を入れ、90℃で24時間撹拌した。減圧下、イソブチルアミンを回収した後、ヘプタン(700ml)を加え、0℃に冷却した。析出した白色固体をろ過し、減圧下乾燥してN−イソブチル−3−ヒドロキシ−6,8−デカジエナミド(h)(85.2g、0.35mol、収率82%)を得た。(実施例1)N−イソブチル−3−アセトキシ−6,8−デカトリエナミドの製造 窒素気流下、500mlフラスコに、3−ヒドロキシ−6,8−デカジエン酸メチル(h)(80.0g、0.336mol)、トルエン(240ml)、トリエチルアミン(39.65g、0.403mol)、DMAP(0.21g、0.0017mol)を入れ、反応温度を20℃に調節しながら、無水酢酸(37.7g、0.370mol)を1時間で滴下した。3時間撹拌後、水(160ml)を加え有機層を分液した。得られた有機層を0.5%塩酸水溶液(100ml)で洗浄し、水(200ml)で4回洗浄した。溶媒を減圧除去しN−イソブチル−3−アセトキシ−6,8−デカトリエナミド(93.0g、0.331mol、収率98.6%)を得た。GC/MS(m/e); 281(M+,10%),238(4),221(95),206(12),192(7),178(5),155(4),149(13),128(4), 115(73), 107(53), 93(60),79(68),57(100),43(68),30(21)1H−NMR(CDCl3):δ 0.88(d,6H,J=6.7Hz),1.69〜1.72(m,4H),1.74(d,3H,J=7.2Hz),2.03(s,3H),2.17〜2.22(m,2H),2.41〜2.51(m,2H),3.04〜3.07(m,2H),5.10〜5.16(m,1H),5.18〜5.24(m,1H),5.64〜5.70(m,1H),5.85(br,1H),5.91〜5.99(m,1H),6.21〜6.27(m,1H)13C−NMR(CDCl3):δ 18.23,20.00,21.11,23.44,28.41,33.87,41.71,46.83,71.25,126.54,127.50,129.43,129.83,131.10,169.30,170.56(実施例2)N−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミドの製造 1000mlフラスコに、t−BuONa(35.03g、0.361mol)、トルエン(600ml)を入れ、−5℃に冷却した。そこへN−イソブチル−3−アセトキシ−6,8−デカトリエナミド(93.0g、0.331mol)を2時間で滴下し、1時間撹拌を行い、水(200ml)を加え有機層を分液した。その後水洗(186mL)を4回行い、溶媒を減圧除去し、その残渣を減圧蒸留(130〜135℃/0.1torr)してN−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミド(スピラントール)(67.0g)を収率84.0%で得た。 このとき、N−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミドの純度は96.8%、アルケン部位の異性体比は(2E,6Z,8E);79.0%、(2E,6E,8E);17.5%、(2E,6Z,8Z);3.5%であった。GC/MS(m/e);221(M+,10%),206(3),192(4),178(2), 167(2),141(70),126(44),98(30),81(100),69(15),53(17),41(24)1H−NMR(CDCl3);δ 6.82(dt,1H,J=15.3,6.7Hz), 6.28(dd,1H,J=10.7,15.0Hz),5.97(dd,1H,J=10.7,10.7Hz),5.87(bs,1H),5.85(d,1H,J=15.3Hz),5.69(dq,1H,J=15.0,6.7Hz),5.26(dt,1H,J=10.7,6.8Hz),3.14(dd,2H,J=6.8,6.8Hz),2.31(dt,2H,J=6.8,6.8Hz),2.26(dt,2H,J=6.7,6.8Hz),1.81(dq,1H,J=6.8,6.8Hz),1.77(d,3H,J=6.7Hz),0.92(d,6H,J=6.7Hz)13C−NMR(CDCl3);δ 166.45,143.74,130.29,129.83,128.03,127.09,124.65,47.26,32.50,28.97,26.79,20.53,18.67(比較例1) 下記に示すように、3−ヒドロキシ−6,8−デカジエナミド(h)をメタンスルホン酸エステル(i)に変換した後、脱メタンスルホン酸によりN−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミド(スピラントール)を合成し、上記実施例2で得られたN−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミド(スピラントール)と安定性及び官能評価について比較した。 撹拌装置、温度計、滴下ロートのついた1Lフラスコに窒素気流下、N−イソブチル−3−ヒドロキシ−6,8−デカジエナアミド(h)(85.2g、0.35mol)、酢酸エチル(680ml)、トリエチルアミン(72.1g、0.70mol)を入れ、5℃に冷却した後、塩化メタンスルホニル(44.7g、0.392mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、水(170ml)を加え分液した。さらに水洗(170mL)を3回行い、減圧下溶媒を除去し、N−イソブチル−3−スルホニルオキシ−6,8−デカジエナミド(i)(108.9g、収率98%)を得た。N−イソブチル−3−スルホニルオキシ−6,8−デカジエナミド(i)GC/MS (m/e); 317(M+,3%),301(18),288(2),260(3),243(1),222(48),206(12),192(7),178(5),155(4),141(18),128(40), 115(50), 107(53), 93(63),79(80),57(100),41(68) THF(425ml)にN−イソブチル−3−スルホニルオキシ−6,8−デカジエナミド(i)(108.9g)を溶解させ、0℃に冷却した溶液に、28%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液(75.5g、0.39mol)を1時間かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間撹拌をした。水(170g)を加え分液した後、水洗(170mL)を2回行い、溶媒を減圧除去し粗生成物を得た。この粗生成物を減圧蒸留(140℃/0.3torr)して、N−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミド(スピラントール)(58.8g)を収率76%(N−イソブチル−3−ヒドロキシ−6,8−デカジエナアミド(h)より)で得た。 このとき、N−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミドの純度は97.2%、アルケン部位の異性体比は(2E,6Z,8E);78.2%、(2E,6E,8E);18.0%、(2E,6Z,8Z);3.8%であった。(安定性評価) 実施例2で得られたN−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミドの蒸留前の粗生成物と比較例1で得られた粗生成物について、高温下での蒸留を想定して180℃での熱安定性を下記のとおり比較した。 窒素気流下、それぞれ粗生成物を1g、内部標準物質としてヘキサデカンを0.1gフラスコに入れ、180℃にて6時間撹拌した。ガスクロマトグラフィーにより内部標準物質の面積比に対するN−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミドの面積比を比較することで、N−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミドの残存率を測定した。 3時間後の残存率は実施例2で98%、比較例1で89%であり本発明の製造法により製造されたN−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミドの明らかな熱安定性の向上が確認された。(官能評価) 実施例2及び比較例1で得られたN−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミドをそれぞれ10ppmの水溶液として、官能評価を行った。その結果を表1に示す。 実施例2で得られたN−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミドは比較例1で得られたN−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミドと比較して、異臭が殆どなく、且つ優れたしびれ・収斂性作用を示すことが確認された。 本発明により香料として有用なN−イソブチル−2,6,8−デカトリエナミド(スピラントール)の製造に有用な新規な中間体が提供され、該中間体を用いることにより、高収率及び高純度で且つ、熱安定性、香気、効能面でも良好なスピラントールを製造することができる。 下記一般式(1)(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基;及び、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基を表し、R2は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、波線はシス配置、トランス配置又は2つの配置の混合であることを表す。)で表されるアミドエステル。 R1が炭素数1〜4のアルキル基である請求項1に記載のアミドエステル。 R1がメチル基である請求項2に記載のアミドエステル。 R2がイソブチル基又はs−ブチル基である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアミドエステル。 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアミドエステルを塩基化合物と反応させることを特徴とする2,6,8−デカトリエナミドの製造方法。