生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_表面麻酔剤
出願番号:2011520788
年次:2015
IPC分類:A61K 31/245,A61K 31/167,A61K 31/137,A61P 23/02,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

原田 耕志 板敷 康隆 原田 豊子 上山 吉哉 JP 5669145 特許公報(B2) 20141226 2011520788 20100630 表面麻酔剤 国立大学法人山口大学 304020177 廣田 雅紀 100107984 原田 耕志 板敷 康隆 原田 豊子 上山 吉哉 JP 2009157425 20090702 20150212 A61K 31/245 20060101AFI20150122BHJP A61K 31/167 20060101ALI20150122BHJP A61K 31/137 20060101ALI20150122BHJP A61P 23/02 20060101ALI20150122BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150122BHJP JPA61K31/245A61K31/167A61K31/137A61P23/02A61P43/00 121 A61K31/00−33/44 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 国際公開第2006/065870(WO,A1) 国際公開第97/007794(WO,A1) 国際公開第2007/055279(WO,A1) 米国特許第05885597(US,A) J. Gen. Physiol.,1978年,Vol.71 No.2,pp.223-225 Pflugers Arch.,1980年,Vol.387 No.1,pp.47-54 6 JP2010004312 20100630 WO2011001676 20110106 9 20130522 常見 優 本発明は、リドカインとパラアミノ安息香酸エチル、好ましくはリドカインとパラアミノ安息香酸エチルとアドレナリンとを有効成分とする、塗布又は噴霧後、3分以内に麻酔効果を発揮する表面麻酔剤に関する。 従来、局所麻酔としては、表面麻酔、浸潤麻酔、伝達麻酔などが知られている。これらのうち表面麻酔は、粘膜や皮膚に麻酔剤を塗布又は噴霧して付着・浸透させ、その後、注射による浸潤麻酔や伝達麻酔を行うに当たり、注射針の痛みを緩和させるために行われる麻酔であり、主として子供などの歯科治療に適用されている。 浸潤麻酔は、注射により、浸潤した部分が麻酔される方法で、部分的に麻酔し、歯科では抜歯や歯を削る場合に、また外科では簡単な切開手術を行う場合などに用いられる。 また、伝達麻酔は、麻酔剤を神経の近くに注射して、その神経が走っている先端部分まで麻酔する方法で、歯科では、主に下顎の骨に入る神経周辺に注入し、麻酔側の奥歯から前歯までを麻酔する方法である。 局部麻酔薬は、一般にエステル型、アミド型或いはアニリド型に分類されている。エステル型としては、コカイン、トロパコカイン、プロカイン、テトラカイン、ピペロカイン、ストバインなどの安息香酸エステル類、シクロメチカイン、パレトキシカインなどのアルコキシ安息香酸エステル類、パラアミノ安息香酸メチル、パラアミノ安息香酸エチルなどのアミノ安息香酸エステル類があり、またアミド又は、アニリド型としては、リドカイン(キシロカイン)などが知られている。 これらの麻酔薬には、さらに効果を持続させる目的で血管収縮薬、例えばエピネフリン(アドレナリン)やノルエピネフリンなどのカテコールアミン類を利用する場合や、保存安定剤として、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸エステル類などの酸化防止剤、ゼラチン、寒天、デンプン、チオ尿素、クエン酸、L−メチオニン、グルタミン酸、果糖、白糖、乳糖、チオグリセリンなどの安定剤、或いは特に口内表面麻酔剤などでは甘味料、増粘剤などを配合して、局部麻酔剤を構成している。 表面麻酔剤の改良としては、従来その持続性を高める方法(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献5など)、手術後に速やかに麻酔を解除する方法(例えば特許文献3など)、麻酔剤の保存安定性を改良する方法(例えば特許文献4、特許文献5など)などが提案されている他、表面麻酔剤の即効性の改良としては、リドカインとプリロカインとテトラカインとを混合した速効性経皮麻酔薬(例えば特許文献6など)が提案されているが、特許文献6の実施例では塗布後30分で約55.7%のヒトが痛み「0」となったに過ぎない。 その他、局所麻酔剤、尿素、清涼化剤、アルコール及び水を混合した、掻痒感の改善作用を有する皮膚外用剤(例えば特許文献7など)や、局所麻酔剤を創傷部の外表面に適用する、外科的に閉じた創傷部からの疼痛の抑制または改善方法(例えば特許文献8など)が提案されているが、使用する局所麻酔剤について即効性が改良される旨の開示はない。特許第4060884号公報特開2002−275093号公報特表2003−532678号公報特開平9−77662号公報特開平10−306040号公報特表2006−527734号公報特開2007−262030号公報特表2003−512401号公報 表面麻酔は、主として次に行う注射等による本格的麻酔が施されるための注射針による苦痛を回避する予備的処理であって、一般に長期間持続する必要はないが、措置後速やかに効果が得られることが重要である。例えば、抜歯等歯科手術を行う場合、まず表面麻酔剤を施し、麻酔が効いた後に、浸潤麻酔を行う。一般に市販されている表面麻酔剤の場合、表面麻酔を施して効果が現れるには3〜5分間を要する。その間、術者は何等なすことなく待たねばならない。この待ち時間は、患者にとっても心地よいものとはいえないし、時間のロスである。一般にヒトが次に行うべき処置を待つ場合、3分以内であれば、何ら痛痒を感ずることなく、待つことができるが、それを越えるといらいらするものである。そこで術者によっては表面麻酔が十分に効果を発揮する前に注射等の次の処置に移ってしまい、しばしば患者に苦痛を与えてしまうことがあった。本発明の課題は、塗布又は噴霧後に、より速く効果が得られる即効性の表面麻酔剤を提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、まずリドカイン[2−(ジエチルアミノ)−N−(2,6−ジメチルフェニル)アセトアミド]に注目し、血管収縮薬であるアドレナリンとの併用について検討した。リドカインとアドレナリンを併用した場合、アドレナリンの添加量の増加とともに表面麻酔作用の即効性は漸次増加するが、アドレナリンを大量に用いることは、副作用を生じる恐れがあり、好ましいことではない。次に、リドカインに代えてパラアミノ安息香酸エチルについてアドレナリンとの併用について検討したところ、アドレナリンの添加量を増加させても表面麻酔作用の即効性は全く認められなかった。そこで、念のためリドカインとパラアミノ安息香酸エチルの混合物についてアドレナリンとの併用について検討したところ、意外にも表面麻酔作用の即効性が著しく改善された。この原因を解明するため、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとを併用したところ、特定の配合割合において、表面麻酔作用の即効性が相乗的に向上することを見いだした。次いで、パラアミノ安息香酸エチルと同じ安息香酸エステル類に属するテトラカイン[4−(ブチルアミノ)安息香酸2−(ジメチルアミノ)エチル]を用いて、同様にリドカインとテトラカインとの併用や、リドカインとテトラカインとアドレナリンとの併用について検討したが、表面麻酔作用の即効性が相乗的に向上することはなかった。本発明はこれら知見に基づき完成するに至ったものである。 すなわち、本発明は、(1)リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとを質量比6:94〜18:82の割合で含む表面麻酔剤や、(2)リドカインとパラアミノ安息香酸エチルに、さらにアドレナリンを含む上記(1)記載の表面麻酔剤や、(3)リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとの合計100質量部に対して、アドレナリンを0.1〜0.001質量部を含む上記(1)又は(2)記載の表面麻酔剤に関する。 また本発明は、(4)リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとを質量比6:94〜18:82の割合で含む組成物を表面麻酔剤製造のために使用する方法や、(5)組成物が、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルに、さらにアドレナリンを含む上記(4)記載の方法や、(6)組成物が、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとの合計100質量部に対して、アドレナリンを0.1〜0.001質量部を含む上記(4)又は(5)記載の方法に関する。 さらに実施の形態として、(9)リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとを質量比1:99〜47:53の割合で含む組成物を表面麻酔剤として使用する方法や、(10)組成物が、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとを質量比6:94〜18:82の割合で含む上記(9)記載の方法や、(11)組成物が、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルに、さらにアドレナリンを含む上記(9)又は(10)記載の方法や、(12)組成物が、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとの合計100質量部に対して、アドレナリンを0.1〜0.001質量部を含む上記(9)〜(11)のいずれか記載の方法を挙げることができる。 本発明によると、特に口腔中の粘膜・歯茎に塗布又は噴霧後、3分以内、特に1〜2分で麻酔の効果が顕著に現れ、その後注射を行っても痛みを感じない即効性の表面麻酔剤を提供することができる。なお、本発明の表面麻酔剤は皮膚に対しても有効であるが、その場合は、粘膜に対する場合よりも効果が現れるのが遅く5〜6分を要する場合がある。本発明のリドカインとパラアミノ安息香酸エチルとの併用、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとアドレナリンとの併用、従来用いられていたパラアミノ安息香酸エチル単独、リドカイン単独による麻酔効果の発現時間及び持続時間の比較を示すグラフである。図1においては、縦軸は注射針を刺した場合の痛み度合を表すもので、「5」が全く麻酔されていない場合であり、「0」が逆に痛みを全く感じないことを表すものである。また横軸は時間(分)である。本発明において、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとの配合割合と麻酔効果の発現までの時間の関係を表すグラフである。図2において縦軸は麻酔前の塗布後、注射針による痛みを感じなくなるまでの時間(分)であり、横軸はリドカインとパラアミノ安息香酸エチルの配合割合(質量比)を表す。塗布後、注射針による痛みを感じなくなるまでの時間について、本発明の麻酔剤と既存の麻酔剤におけるアドレナリンの効果を示すグラフである。従来用いられていたリドカイン(キシロカイン)とテトラカイン(コーパロン)との配合割合(質量比)と麻酔効果の発現までの時間の関係を表すグラフである。図4においては、縦軸は注射針を刺した場合の痛み度合を表すもので、「5」が全く麻酔されていない場合であり、「0」が逆に痛みを全く感じないことを表すものである。また横軸は時間(分)である。 本発明の表面麻酔剤としては、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとを質量比1:99〜47:53の割合で含む麻酔剤、例えば、濃度2質量%のリドカインと濃度20質量%のパラアミノ安息香酸エチルを用いる場合はその配合比が8:92〜90:10となるような割合で含む麻酔剤であれば特に制限されず、また、本発明の使用方法としては、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとを質量比1:99〜47:53の割合で含む組成物、例えば、濃度2質量%のリドカインと濃度20質量%のパラアミノ安息香酸エチルを用いる場合はその配合比が8:92〜90:10となるような割合で含む組成物を表面麻酔剤製造のために使用する方法であれば特に制限されず、上記リドカインやパラアミノ安息香酸エチルは局所麻酔薬として知られており、これらリドカインやパラアミノ安息香酸エチルは市販品を有利に用いることができる。 上記本発明の表面麻酔剤や本発明の使用方法におけるリドカインとパラアミノ安息香酸エチルの質量比としては、3:97〜31:69の割合、例えば、濃度2質量%のリドカインと濃度20質量%のパラアミノ安息香酸エチルを用いる場合の配合比が25:75〜82:18となるような割合が表面麻酔作用の即効性の点で好ましく、特に6:94〜18:82の割合、例えば、濃度2質量%のリドカインと濃度20質量%のパラアミノ安息香酸エチルを用いる場合の配合比が40:60〜70:30となるような割合が、表面麻酔作用の即効性の点でより好ましい。 上記リドカインは白色〜微黄色の結晶又は結晶性の粉末で、局所麻酔薬の他、抗不整脈剤としても知られ、神経痛や手足のしびれの症状などにも有効とされ、アストラゼネカ社の商品名である「キシロカイン」として販売されており、医療関係者間では「リドカ」または「キシロ」とも呼ばれている。本明細書における「リドカイン」又は「キシロカイン」には、リドカインの塩酸塩等のリドカイン塩も包含される。また、パラアミノ安息香酸エチルは、白色の結晶又は結晶性の粉末で、医薬品としては局所麻酔薬として使用され、化粧品としては紫外線を吸収する作用が強いので、日焼け止めクリーム、ファンデーション、口紅、クリーム、乳液などに使用されている。 本発明の表面麻酔剤の即効性の作用をさらに高める場合、アドレナリン[(R)−4−(1−ヒドロキシ−2−(メチルアミノ)エチル)ベンゼン−1,2−ジオール]を少量、例えばリドカインとパラアミノ安息香酸エチルとの合計100質量部に対して、0.0001〜1質量部程度、好ましくは0.001〜0.1質量部、より好ましくは0.003〜0.03質量部加えることができる。 なお、アドレナリンは、血管収縮作用を有する物質として知られ、一般に局所麻酔の効果の持続性を保つために使用されているが、本発明においては、表面麻酔剤として、その効果を顕著に早める物質として用いるものである。しかしながら、当然効果の持続性も大きくなる。 アドレナリンは、心拍数や血圧を上げ、瞳孔を開き、血糖値を上げる等の作用があるため、特に年長者や、子供或いは心臓疾患や糖尿病を有する者に悪影響を及ぼす可能性があるため、前記のように可及的に少量使用することが望まれる。 本発明の表面麻酔剤は、塗布後速やかに麻酔の効果が現れる麻酔剤、好ましくは3分以内、さらには2.5分以内、特に2分以内、中でも1分以内で無痛となる局所麻酔剤であることが好ましい。 本発明の表面麻酔剤には、さらに従来知られている局所麻酔剤における添加物、例えば保存安定剤(ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸エステル類などの酸化防止剤、ゼラチン、寒天、デンプン、チオ尿素、クエン酸、L−メチオニン、グルタミン酸、果糖、白糖、乳糖、チオグリセリンなどの安定剤)、増粘剤、香料、甘味料、稀釈剤、溶剤等を配合することができる。 本発明の表面麻酔剤の剤形としては、液状、ゼリー状、軟膏状、シール(ペンレス)状等を挙げることができ、使用の形態としては、塗布、付着、スプレー(噴霧)、貼着等を挙げることができる。麻酔薬成分としては、一般に溶媒その他の添加剤により有効成分を0.1〜50質量%、好ましくは1〜25質量%程度に希釈して用いることが使用上便利である。また、適用量としては、従来の表面麻酔剤と同様の適用量とすることができる。 本発明の表面麻酔剤は、従来知られている表面麻酔剤と同様に用いられる。すなわち、哺乳類全般に適用され、特に粘膜、皮膚上に付着・浸透させて麻酔を行う。一般に手術等を行う場合の注射による浸潤麻酔や伝達麻酔に先立って注射針を刺す痛みを軽減させる場合に用いられる。勿論、口内炎、歯痛や神経痛などの痛みを軽減する目的、点滴を行う場合の針挿入時の痛みを軽減する目的、内視鏡や大腸ファイバー若しくは経鼻チューブ利用時の痛みを軽減する目的で使用することも可能である。 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例においては、パラアミノ安息香酸エチル(ダイト社製「ハリケインゲル(商標)」:濃度20質量%)、リドカイン(アストラゼネカ社製「キシロカインゼリー(商標)」:濃度2質量%)、テトラカイン(昭和薬品化工社製「コーパロン(商標)」;6質量%溶液)及びアドレナリン(第一三共社製「ボスミン液(商標)」:濃度0.1質量%)を用いた。(1)パラアミノ安息香酸エチル単独区(比較例1−1)では、ハリケインゲル200mg(パラアミノ安息香酸エチル40mg)を綿棒につけて、口腔粘膜に塗布した。(2)リドカイン単独区(比較例1−2)では、キシロカインゼリー200mg(リドカイン4mg)を綿棒につけて、口腔粘膜に塗布した。(3)パラアミノ安息香酸エチルとリドカイン併用区(実施例1−1)では、ハリケインゲルとキシロカインゼリーの等量混合物200mg(パラアミノ安息香酸エチル20mgとリドカイン2mg)を綿棒につけて、口腔粘膜に塗布した。(4)パラアミノ安息香酸エチルとリドカインとアドレナリン三者併用区(実施例1−2)では、ハリケインゲルとキシロカインゼリーの等量混合物200mg(パラアミノ安息香酸エチル20mgとリドカイン2mg)とアドレナリン液10mg(アドレナリン0.01mg)を綿棒につけて、口腔粘膜に塗布した。 上記の各種表面麻酔剤を口腔粘膜に塗布後に触針し、無痛になるまでの時間及び再度痛みを感じるまでの時間を測定した。その結果を図1に示す。パラアミノ安息香酸エチルとリドカインを併用した場合(実施例1−1)、塗布後1分30秒で無痛となる麻酔効果が得られた。また、パラアミノ安息香酸エチルとリドカインにアドレナリンを併用した場合(実施例1−2)、塗布後1分で無痛となる即効性に優れた麻酔効果が得られた。他方、パラアミノ安息香酸エチル単独(比較例1−1;−〇−)では無痛となるまでに塗布後3分30秒、リドカイン単独(比較例1−2;−◇−)では無痛となるまでに塗布後5分をそれぞれ要した。これらのことから、パラアミノ安息香酸エチルとリドカインを併用した場合(実施例1−1;−△−)、特にパラアミノ安息香酸エチルとリドカインにアドレナリンを併用した場合(実施例1−2;−□−)、表面麻酔作用の即効性が相乗的に向上することがわかった。 次に、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとの配合割合と表面麻酔作用の即効性との関係を調べた。キシロカインゼリーとハリケインゲルの配合比を変えることにより、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとの質量比0:100〜100:0の各種表面麻酔剤を調製した。例えば、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとの質量比0:100、1:99、3:97、6:94、19:81、31:69、47:53、80:20、100:0の各種表面麻酔剤は、キシロカインゼリーとハリケインゲルとを、それぞれ0:200、16:184、50:150、80:120、140:60、164:36、180:20、195:5、200:0の割合で配合することにより調製した。調製した各表面麻酔剤200mgを実施例1と同様に、口腔粘膜に塗布後に触針し、無痛になるまでの時間を測定した。無痛になるまでの時間と、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとの質量比との関係を図2に示す。 図2から、リドカイン単独では5分、パラアミノ安息香酸エチル単独では3分30秒であるのに対し、リドカイン:パラアミノ安息香酸エチルの質量比が1:99〜47:53の範囲で塗布後3分以内に無痛となることがわかる。特に上記割合(質量比)が6:94〜18:82の範囲では約2分間で無痛となることがわかる。 リドカイン(実施例1で用いたキシロカインゼリー)4mgに、アドレナリンを0mg(0質量%)、0.002mg(0.05質量%)、0.01mg(0.25質量%)、0.04mg(1.0質量%)、0.08mg(2.0質量%)をそれぞれ加えた場合の表面麻酔が効き始めるまでの時間を測定した。塗布方法及び結果の測定方法は、実施例1と同様に行った。結果を図3に示す。なお、図3には、リドカイン+アドレナリン(−●−)の他に、実施例1における効き始めのデータであるパラアミノ安息香酸エチル20mg+リドカイン2mg(−〇−)、パラアミノ安息香酸エチル20mg+リドカイン2mg+アドレナリン(0.005%)(−◎−)の値も併記した。図3より、リドカインにアドレナリンを加えた場合、その添加量の増加とともに麻酔の即効性は増加するが、アドレナリンを大量に用いることは、副作用を生じる恐れがあり、好ましいことではない。また、パラアミノ安息香酸エチル(実施例1で用いたハリケインゲル)40mgに、同様にアドレナリンを0.002mg(0.005質量%)、0.01mg(0.025質量%)、0.04mg(0.1質量%)、0.08mg(0.2質量%)それぞれ加えた実験を行ったが、アドレナリンによる即効性の改善効果は全く認められなかった(図示せず)。以上より本発明の効果が優れていることが理解される。[比較例4](1)テトラカイン単独区では、コーパロン200mg(テトラカイン12mg)を綿棒につけて、口腔粘膜に塗布した。(2)リドカイン単独区では、キシロカインゼリー200mg(リドカイン4mg)を綿棒につけて、口腔粘膜に塗布した。(3)テトラカインとリドカイン併用区では、コーパロンとキシロカインゼリーの配合比を、80:20、60:40、40:60、20:80と変えることにより、テトラカインとリドカインの質量比92:8、82:18、67:33、43:57の各種混合物を調製した。調製した各混合物200mgを綿棒につけて、口腔粘膜に塗布した。(4)テトラカインとリドカインとアドレナリン三者併用区では、コーパロンとキシロカインゼリーの等量混合物200mg(テトラカイン6mgとリドカイン2mg)とアドレナリン液10mg(アドレナリン0.01mg)を綿棒につけて、口腔粘膜に塗布した。 上記のテトラカイン及び/又はリドカインを含む各種表面麻酔剤を口腔粘膜に塗布後に触針し、無痛になるまでの時間及び再度痛みを感じるまでの時間を測定した。その結果を図4に示す。テトラカイン単独(−▲−)、リドカイン単独(−●−)、コーパロン:キシロカインゼリーが80:20(−△−)、60:40(−◇−)、40:60(−○−)、20:80(−□−)のそれぞれ併用した場合、テトラカインとリドカインにアドレナリンを併用した場合(−*−)のいずれの場合にも、無痛となるには塗布後3分以上を要した。これらのことから、テトラカインとリドカインを併用した場合や、テトラカインとリドカインにアドレナリンを併用した場合であっても、表面麻酔作用の即効性が相乗的に向上しないことがわかった。 本発明は、医療分野、特に口腔外科、泌尿器科、外科等に表面麻酔剤や除痛剤として用いられる。リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとを質量比6:94〜18:82の割合で含むことを特徴とする表面麻酔剤。リドカインとパラアミノ安息香酸エチルに、さらにアドレナリンを含むことを特徴とする請求項1記載の表面麻酔剤。リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとの合計100質量部に対して、アドレナリンを0.1〜0.001質量部を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の表面麻酔剤。リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとを質量比6:94〜18:82の割合で含む組成物を表面麻酔剤製造のために使用する方法。組成物が、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルに、さらにアドレナリンを含むことを特徴とする請求項4記載の方法。組成物が、リドカインとパラアミノ安息香酸エチルとの合計100質量部に対して、アドレナリンを0.001〜0.1質量部を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の方法。


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