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タイトル:特許公報(B2)_遺伝子組み換えゼラチンを含む血管新生誘導剤
出願番号:2011512362
年次:2015
IPC分類:A61K 38/17,A61P 9/00,A61P 17/02,A61P 9/10,A61P 43/00,A61P 35/00,A61P 1/04,A61P 27/16,C07K 14/78


特許情報キャッシュ

荻原 一隆 石川 乃梨子 JP 5752033 特許公報(B2) 20150529 2011512362 20100507 遺伝子組み換えゼラチンを含む血管新生誘導剤 富士フイルム株式会社 306037311 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 荻原 一隆 石川 乃梨子 JP 2009112659 20090507 20150722 A61K 38/17 20060101AFI20150702BHJP A61P 9/00 20060101ALI20150702BHJP A61P 17/02 20060101ALI20150702BHJP A61P 9/10 20060101ALI20150702BHJP A61P 43/00 20060101ALI20150702BHJP A61P 35/00 20060101ALI20150702BHJP A61P 1/04 20060101ALI20150702BHJP A61P 27/16 20060101ALI20150702BHJP C07K 14/78 20060101ALN20150702BHJP JPA61K37/12A61P9/00A61P17/02A61P9/10A61P43/00 105A61P35/00A61P1/04A61P27/16A61P9/10 101A61P9/10 103C07K14/78 A61K 38/00−58 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開2007−297402(JP,A) 特表2003−516730(JP,A) 国際公開第2010/103837(WO,A1) 国際公開第2008/103041(WO,A1) 国際公開第2008/133196(WO,A1) 8 JP2010057796 20100507 WO2010128672 20101111 14 20111208 上條 のぶよ 本発明は、遺伝子組み換えゼラチンを用いた血管新生誘導剤に関する。 血管新生とは、主に、既存の血管から新しい血管を形成する現象のことを表している。正常な生理的血管新生として、胎生期における血管形成や、子宮内膜や黄体形成、創傷治癒等に関与する血管新生が存在する。血管新生のイベントを治療へ利用することが、血管新生療法等として実施されている。創傷治癒、虚血性疾患等の治療法として、又、臓器再生や細胞移植、自然治癒効果の増強など、広く再生医療といわれる治療においても、血管新生の重要性が明らかとなっている。血管新生そのものの治療効果を示す、あるいは血管新生が治療効果を増強するため、血管新生を標的とした治療薬が開発されている。 このうち、広く利用されているものに塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)がある。bFGFはウシ脳下垂体から繊維芽細胞の増殖を強く刺激するタンパク質として見出され、その後研究が精力的に行われ、繊維芽細胞だけでなく、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、角膜内皮細胞、骨芽細胞、軟骨細胞などの多種類の細胞に対する細胞増殖を刺激することが明らかになってきた。しかし、bFGFを血管新生誘導剤と用いる場合には、増殖因子は高価であり、また積極的に血管を誘導するため癌化の危険性が予想されるという欠点が指摘されているため、増殖因子を用いることなく血管を誘導することを可能とする素材が求められていた。 一方、ゼラチンをはじめとする生体高分子はこれまで広く医療材料として用いられている。近年の遺伝子工学手法の進歩により、大腸菌や酵母に遺伝子を導入することによるタンパク質の合成が行われている。該手法により、種々の遺伝子組み換えコラーゲン様タンパク質が合成(例えば特許文献1及び2)されており天然のゼラチンと比較して、非感染性には優れ、均一であり、配列が決定されているので強度、分解性を精密に設計することが可能であるなどの優位点を有するとされる。しかし、これまで提案されている遺伝子組み換えゼラチンの用途としては、天然ゼラチンの代替の域を超えるものではなく、当然ながら血管新生誘導剤としての用途も知られていなかった。 特許文献3においては、架橋ゼラチンゲルを利用したbFGF製剤を開示しているが、ゼラチン自身はbFGFを含包させるための担体であり、ゼラチン自体の血管新生機能については何ら言及されていない。米国特許6992172号WO2008/103041号公報WO1994/027630号公報 本発明は、生体にとって安全かつ生体付着性に優れている血管新生誘導剤を提供することを解決すべき課題とした。 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、コラーゲンの部分アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を有する遺伝子組み換えゼラチンが、血管新生部位に集積して血管新生を誘導する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明によれば、コラーゲンの部分アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を有する遺伝子組み換えゼラチンを含む、血管新生誘導剤が提供される。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンは、コラーゲンに特徴的なGly-X-Yで示される配列(X及びYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す)の繰り返しを有し(複数個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)、分子量が2 KDa以上100 KDa以下である。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンは、コラーゲンに特徴的なGly-X-Yで示される配列(X及びYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す)の繰り返しを有し(複数個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)、分子量が10 KDa以上90 KDa以下である。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンは、コラーゲンに特徴的なGly-X-Yで示される配列(X及びYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す)の繰り返しを有し(複数個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)、細胞接着シグナルを一分子中に2配列以上含む。 好ましくは、細胞接着シグナルはArg-Gly-Aspで示されるアミノ酸配列である。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンのアミノ酸配列は、セリン及びスレオニンを含まない。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンのアミノ酸配列は、セリン、スレオニン、アスパラギン、チロシン、及びシステインを含まない。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンのアミノ酸配列は、Asp-Arg-Gly-Aspで示されるアミノ酸配列を含まない。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンは、式:A−[(Gly−X−Y)n]m−B(式中、Aは任意のアミノ酸又はアミノ酸配列を示し、Bは任意のアミノ酸又はアミノ酸配列を示し、n個のXはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示し、n個のYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示し、nは3〜100の整数を示し、mは2〜10の整数を示す。なお、n個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)で示される。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンは、式:Gly-Ala-Pro-[(Gly−X−Y)63]3−Gly(式中、63個のXはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示し、63個のYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す。なお、n個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)で示される。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンは、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列、又は(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列と80%以上の相同性を有し、血管新生作用を有するアミノ酸配列を有する。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンは架橋されている。 好ましくは、架橋はアルデヒド類、縮合剤、又は酵素により施される。 好ましくは、本発明の血管新生誘導剤は、血管新生部位に集積して血管新生を誘導する。 本発明によればさらに、コラーゲンの部分アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を有する遺伝子組み換えゼラチンを、血管新生誘導を必要とする対象者に投与することを含む、血管新生を誘導する方法が提供される。 本発明によればさらに、血管新生誘導剤の製造のための、コラーゲンの部分アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を有する遺伝子組み換えゼラチンの使用が提供される。 本発明の血管新生誘導剤は、遺伝子組み換えゼラチンを含むことを特徴とするため、癌化の危険性などがなく、生体にとって安全であり、かつ生体付着性に優れている。図1は、血管新生効果を定量するために血中に含まれるヘモグロビン量を測定した結果を示す。図2は、HUVEC細胞接着性試験の結果を示す。図3は、HUVEC細胞接着性試験の結果を示す。図4は、各種蛋白質でコーティングしたプレート上のHUVEC細胞写真を示す。図5は。各種蛋白質でコーティングしたプレート上のHUVEC細胞一つの面積比較を示す。図6は、抗αV抗体によるHUVEC細胞接着阻害を示す。 以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。 本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンとしては、コラーゲンの部分アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を有する遺伝子組み換えゼラチンを用いることができ、例えばEP1014176A2、US6992172、WO2004-85473、WO2008/103041等に記載のものを用いることができるが、これらに限定されるものではない。本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンとして好ましいものは、以下の態様の遺伝子組み換えゼラチンである。 本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンは天然のゼラチン本来の性能から、生体適合性に優れ、且つ天然由来ではないことでBSEなどの懸念がなく、非感染性に優れている。また、本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンは天然のものに比して均一であり、配列が決定されているので、強度、分解性においても後述の架橋等によってブレを少なく精密に設計することが可能である。 本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンの分子量は2 KDa以上100 KDa以下であることが好ましい。より好ましくは2.5 KDa以上95KDa以下である。より好ましくは5 KDa以上90 KDa以下である。最も好ましくは、10 KDa以上90KDa以下である。 本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンは、好ましくはコラーゲンに特徴的なGly−X−Yで示される配列の繰り返しを有する。ここで、複数個のGly-X-Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Gly−X−Yにおいて、Glyはグリシン、X及びYは、任意のアミノ酸(好ましくは、グリシン以外の任意のアミノ酸)を表す。コラーゲンに特徴的なGXY配列とは、ゼラチン・コラーゲンのアミノ酸組成および配列における、他のタンパク質と比較して非常に特異的な部分構造である。この部分においてはグリシンが全体の約3分の1を占め、アミノ酸配列では3個に1個の繰り返しとなっている。グリシンは最も簡単なアミノ酸であり、分子鎖の配置への束縛も少なく、ゲル化に際してのヘリックス構造の再生に大きく寄与している。X,Yであらわされるアミノ酸はイミノ酸(プロリン、オキシプロリン)が多く含まれ、全体の10%〜45%を占めることが好ましい。好ましくはその配列の80%以上、更に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上のアミノ酸がGXYの繰り返し構造であることが好ましい。 一般的なゼラチンは極性アミノ酸のうち、電荷を持つものと無電荷のものが1:1で存在する。ここで、極性アミノ酸とは具体的にシステイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、アルギニンを指し、このうち極性無電荷アミノ酸とはシステイン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシンを指す。本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンにおいては、構成する全アミノ酸のうち、極性アミノ酸の割合が10〜40%であり、好ましくは20〜30%である。且つ該極性アミノ酸中の無電荷アミノ酸の割合が5%以上20%未満、好ましくは10%未満であることが好ましい。さらに、セリン、スレオニン、アスパラギン、チロシン、システインのうちいずれか1アミノ酸、好ましくは2以上のアミノ酸を配列上に含まないことが好ましい。 一般にポリペプチドにおいて、細胞接着シグナルとして働く最小アミノ酸配列が知られている(例えば、株式会社永井出版発行「病態生理」Vol.9、No.7(1990年)527頁)。本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンは、これらの細胞接着シグナルを一分子中に2以上有することが好ましい。具体的な配列としては、接着する細胞の種類が多いという点で、アミノ酸一文字表記で現わされる、RGD配列、LDV配列、REDV配列、YIGSR配列、PDSGR配列、RYVVLPR配列、LGTIPG配列、RNIAEIIKDI配列、IKVAV配列、LRE配列、DGEA配列、及びHAV配列の配列が好ましく、さらに好ましくはRGD配列、YIGSR配列、PDSGR配列、LGTIPG配列、IKVAV配列及びHAV配列、特に好ましくはRGD配列である。RGD配列のうち、好ましくはERGD配列である。 本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンにおけるRGD配列の配置として、RGD間のアミノ酸数が0〜100の間、好ましくは25〜60の間で均一でないことが好ましい。 この最小アミノ酸配列の含有量は、細胞接着・増殖性の観点から、タンパク質1分子中3〜50個が好ましく、さらに好ましくは4〜30個、特に好ましくは5〜20個である。最も好ましくは12個である。 本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンにおいて、アミノ酸総数に対するRGDモチーフの割合は少なくとも0.4%であることが好ましく、遺伝子組み換えゼラチンが350以上のアミノ酸を含む場合に、350のアミノ酸の各ストレッチが少なくとも1つのRGDモチーフを含むことが好ましい。アミノ酸総数に対するRGDモチーフの割合は、更に好ましくは少なくとも0.6%であり、更に好ましくは少なくとも0.8%であり、更に好ましくは少なくとも1.0%であり、更に好ましくは少なくとも1.2%であり、最も好ましくは少なくとも1.5%である。遺伝子組み換えゼラチン内のRGDモチーフの数は、250のアミノ酸あたり、好ましくは少なくとも4、更に好ましくは6、更に好ましくは8、更に好ましくは12以上16以下である。RGDモチーフの0.4%という割合は、250のアミノ酸あたり、少なくとも1つのRGD配列に対応する。RGDモチーフの数は整数であるので、0.4%の特徴を満たすには、251のアミノ酸からなるゼラチンは、少なくとも2つのRGD配列を含まなければならない。好ましくは、本発明の遺伝子組み換えゼラチンは、250のアミノ酸あたり、少なくとも2つのRGD配列を含み、より好ましくは250のアミノ酸あたり、少なくとも3つのRGD配列を含み、さらに好ましくは250のアミノ酸あたり、少なくとも4つのRGD配列を含む。本発明の遺伝子組み換えゼラチンのさらなる態様としては、少なくとも4つのRGDモチーフ、好ましくは6つ、より好ましくは8つ、さらに好ましくは12以上16以下のRGDモチーフを含む。 また、遺伝子組み換えゼラチンは部分的に加水分解されていてもよい。 本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンは、A−[(Gly−X−Y)n]m−Bの繰り返し構造を有することが好ましい。mとして好ましくは2〜10、好ましくは3〜5である。nは3〜100が好ましく、15〜70がさらに好ましく、50〜65が最も好ましい。 繰り返し単位には天然に存在するコラーゲンの配列単位を複数結合することが好ましい。ここで言う天然に存在するコラーゲンとは天然に存在するものであればいずれであっても構わないが、好ましくはI型、II型、III型、IV型、およびV型である。より好ましくは、I型、II型、III型である。別の形態によると、該コラーゲンの由来は好ましくは、ヒト、ウシ、ブタ、マウス、ラットである。より好ましくはヒトである。 本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンの等電点は、好ましくは5〜10であり、より好ましくは6〜10であり、さらに好ましくは7〜9.5である。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンは脱アミン化されていない。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンはプロコラーゲンおよびプロコラーゲンを有さない。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンはテロペプタイドを有さない。 好ましくは、遺伝子組み換えゼラチンは天然コラーゲンをコードする核酸により調製された実質的に純粋なコラーゲン用材料である。 本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンとして特に好ましくは、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列と80%以上(さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上)の相同性を有し、血管新生作用を有するアミノ酸配列;を有する遺伝子組換えゼラチンである。 本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンは、当業者に公知の遺伝子組み換え技術によって製造することができ、例えばEP1014176A2、US6992172、WO2004-85473、WO2008/103041等に記載の方法に準じて製造することができる。具体的には、所定の遺伝子組み換えゼラチンのアミノ酸配列をコードする遺伝子を取得し、これを発現ベクターに組み込んで、組み換え発現ベクターを作製し、これを適当な宿主に導入して形質転換体を作製する。得られた形質転換体を適当な培地で培養することにより、遺伝子組み換えゼラチンが産生されるので、培養物から産生された遺伝子組み換えゼラチンを回収することにより、本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンを調製することができる。 遺伝子組み換えゼラチン単独では性能が不十分である場合は、他の材料と混合や複合化を行っても構わない。例えば、種類の異なる遺伝子組み換えゼラチンや他の生体高分子や合成高分子と混合しても構わない。生体高分子としては、多糖、ポリペプチド、タンパク質、核酸、抗体等があげられる。好ましくは、多糖、ポリペプチド、タンパク質である。多糖、ポリペプチド、タンパク質としては例えば、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フィブロイン、カゼインが挙げられる。さらにこれらは必要に応じて部分的に化学修飾を施されていても構わない。例えば、ヒアルロン酸エチルエステルを用いてもよい。多糖としては、例えば、ヒアルロン酸やヘパリンに代表されるグリコサミノグリカン、キチン、キトサンが挙げられる。さらに、ポリアミノ酸の例としては、ポリーγ―グルタミン酸が挙げられる。 本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンは用途に応じて、化学的に修飾することができる。化学的な修飾としては、遺伝子組み換えゼラチンの側鎖のカルボキシル基やアミノ基への低分子化合物あるいは各種高分子(生体高分子(糖、タンパク質)、合成高分子、ポリアミド)の導入や、遺伝子組み換えゼラチン間の架橋が挙げられる。該遺伝子組み換えゼラチンへの低分子化合物の導入としては、例えばカルボジイミド系の縮合剤が挙げられる。 本発明で用いる架橋剤は本発明を実施可能である限りは特に限定はなく、化学架橋剤でも酵素でもよい。化学架橋剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、シアナミドなどが挙げられる。好ましくは、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドである。さらに、遺伝子組み換えゼラチンの架橋としては、光反応性基を導入したゼラチンへの光照射、あるいは光増感剤の存在化での光照射によるものが挙げられる。光反応性基としては、例えば、シンナミル基、クマリン基、ジチオカルバミル基、キサンテン色素、カンファキノンが挙げられる。 酵素による架橋を行う場合、酵素としては、遺伝子組み換えゼラチン鎖間の架橋作用を有するものであれば特に限定されないが、好ましくはトランスグルタミナーゼおよびラッカーゼ、最も好ましくはトランスグルタミナーゼを用いて架橋を行うことができる。トランスグルタミナーゼで酵素架橋するタンパク質の具体例としては、リジン残基およびグルタミン残基を有するタンパク質であれば特に制限されない。トランスグルタミナーゼは、哺乳類由来のものであっても、微生物由来のものであってもよく、具体的には、味の素(株)製アクティバシリーズ、試薬として発売されている哺乳類由来のトランスグルタミナーゼ、例えば、オリエンタル酵母工業(株)製、Upstate USA Inc.製、Biodesign International製などのモルモット肝臓由来トランスグルタミナーゼ、ヤギ由来トランスグルタミナーゼ、ウサギ由来トランスグルタミナーゼなど、ヒト由来の血液凝固因子(Factor XIIIa、Haematologic Technologies, Inc.社)などが挙げられる。 遺伝子組み換えゼラチンの架橋には、遺伝子組み換えゼラチンの溶液と架橋剤を混合する過程とそれらの均一溶液の反応する過程の2つの過程を有する。 本発明において遺伝子組み換えゼラチンを架橋剤で処理する際の混合温度は、溶液を均一に攪拌できる限り特に限定されないが、好ましくは0℃〜40℃であり、より好ましくは0℃〜30℃であり、より好ましくは3℃〜25℃であり、より好ましくは3℃〜15℃であり、さらに好ましくは3℃〜10℃であり、特に好ましくは3℃〜7℃である。 遺伝子組み換えゼラチンと架橋剤を攪拌した後は温度を上昇させることができる。反応温度としては架橋が進行する限りは特に限定はないが、遺伝子組み換えゼラチンの変性や分解を考慮すると実質的には0℃〜60℃であり、より好ましくは0℃〜40℃であり、より好ましくは3℃〜25℃であり、より好ましくは3℃から15℃であり、さらに好ましくは3℃〜10℃であり、特に好ましくは3℃〜7℃である。 本発明の遺伝子組み換えゼラチンには、所望により、薬剤を封入することができる。薬剤は生理活性成分である。具体的には経皮吸収剤、局所治療剤、経口治療剤、化粧品成分、サプリメント成分が挙げられる。薬剤の具体例としては、抗炎症剤、抗菌剤、抗生剤、免疫抑制剤、抗酸化剤、抗癌剤、ビタミン、核酸、抗体が挙げられる。特に好ましくは抗炎症剤である。抗炎症剤としては、ステロイド系、非ステロイド系のいずれを用いても構わない。抗炎症剤の例としては、例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、フェナチセン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、ピロキシカム、フェノプロフェンカルシウム、イブプロフェン、マレイン酸クロルフェニラミン、ジフルニサル、リン酸デキサメタゾンナトリウム、パクリタキセル、ドセタキセル、5-フルオロウラシル、トポテンシン、シスプラチン、ラパマイシン、タクロリムス、シクロスポリンが挙げられる。ビタミンとしては水溶性、脂溶性ともに用いられる。該ビタミンの具体例としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC,ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンKが挙げられる。以上、具体的な薬剤を列挙したが、本発明で用いる遺伝子組み換えゼラチンを使用する限りは、上記に挙げる薬剤に限定されることはない。 本発明においては、上記したコラーゲンの部分アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を有する遺伝子組み換えゼラチンを、血管新生誘導を必要とする対象者(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に投与することによって、血管新生を誘導することができる。 本発明の血管新生誘導剤は、その使用目的に合わせて用量、用法、剤型を適宜決定することが可能である。例えば、本発明の血管新生誘導剤は、生体内の目的部位に直接投与してもよいし、あるいは注射用蒸留水、注射用生理食塩水、pH5〜8の緩衝液(リン酸系、クエン酸系等)等の水性溶媒等の液状賦形剤に懸濁して、例えば注射、塗布等により投与してもよい。また、適当な賦形剤と混合し、軟膏状、ゲル状、クリーム状等にしてから塗布してもよい。即ち、本発明の血管新生誘導剤の投与形態は、経口でもよいし、非経口(例えば静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与等)でもよい。また、冠動脈疾患・閉塞性末梢動脈硬化症、血管形成不全などの治療のためには、カテーテルを用いての心室内腔より心筋肉への直接注入や、冠状動脈内の狭窄又は閉塞部分にカテーテルを用いて局所的に放出又は塗布することも挙げられる。剤型としては、例えば錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤等の経口投与剤、又は注射剤(例えば静脈内注射剤、筋肉内注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤等)等の非経口投与剤を挙げることができる。例えば、局所的に投与する場合、本発明の血管新生誘導剤の形態は特に規定はないが、例えばスポンジ、フィルム、不織布、ファイバー(チューブ)、粒子、メッシュなどが挙げられる。 本発明の血管新生誘導剤を製剤化は、当業者に公知の方法に従って行うことができる。例えば、製剤用担体が液体の場合は、溶解又は分散させ、また、製剤用担体が粉末の場合は、混合又は吸着させることができる。さらに必要に応じて、薬学的に許容される添加物(例えば、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、着色剤、芳香剤、矯味剤、剤皮、懸濁化剤、乳化剤、溶解補助剤、緩衝剤、等張化剤、塑性剤、界面活性剤又は無痛化剤等)を含有させることもできる。 遺伝子組み換えゼラチンの投与量は、特に限定されないが、例えば、投与される生体の表面積1cm2当たり1〜100mgであり、好ましくは1〜50mgである。 本発明の血管新生誘導剤の対象疾患としては例えば、悪性腫瘍、虚血性疾患、血管新生療法、細胞・組織再生療法、細胞移植治療、糖尿病性壊死、潰瘍、難聴、心疾患、動脈硬化、急性冠症候群、急性心筋梗塞、不安定狭心症、心臓突然死などが挙げられる。 以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。 遺伝子組み換えゼラチンとして以下記載のCBE3を用意した(WO2008-103041に記載)。CBE3分子量:51.6kD構造: GAP[(GXY)63]3Gアミノ酸数:571個RGD配列:12個イミノ酸含量:33%ほぼ100%のアミノ酸がGXYの繰り返し構造である。CBE3のアミノ酸配列には、セリン、スレオニン、アスパラギン、チロシン及びシステインは含まれていない。CBE3はERGD配列を有している。等電点:9.34アミノ酸配列(配列表の配列番号1)(WO2008/103041号公報の配列番号3と同じ。但し末尾のXは「P」に修正)GAP(GAPGLQGAPGLQGMPGERGAAGLPGPKGERGDAGPKGADGAPGAPGLQGMPGERGAAGLPGPKGERGDAGPKGADGAPGKDGVRGLAGPIGPPGERGAAGLPGPKGERGDAGPKGADGAPGKDGVRGLAGPIGPPGPAGAPGAPGLQGMPGERGAAGLPGPKGERGDAGPKGADGAPGKDGVRGLAGPP)3G 以下の実施例では、特に断りのない限り、上記CBE3として表される遺伝子組み換えゼラチンをR-Gelと記載している。(1)マウスを用いた血管新生試験 R-Gel水溶液(5.56%)2.43mlに、グルタルアルデヒド(和光純薬製)水溶液(1%)を0.27ml加えた後、3cm×3cm×4mmのシリコン鋳型に流し込み、室温で1時間、その後4℃で24時間保って、架橋反応を行った。反応終了後、鋳型からゲルをはずし、0.1Mグリシン水溶液30ml中で架橋反応を停止し、得られた架橋R-Gelを蒸留水で室温、1時間洗浄を3回行った。得られたゲルを−50℃で急冷させ、-10℃で48時間凍結乾燥させた。4℃で24時間にわたるPBSでの膨潤処理前後での架橋R-Gel重量の変化からゲルの含水率を測定したところ、95.4%であった。得られたゲルを5mgで切り出した。 作製したPBS溶液50μlを含浸させたR-Gel製剤5mgをマウス背部皮下に埋入した。別に対照群として、PBS溶液50μlを皮下投与した。さらに別の対照群としてPBS溶液50μlを含浸させたPI-5ゲル(メドジェル)5mgの皮下埋入を行った。投与から3日後、マウスの皮膚を剥離し、製剤埋入およびPBS溶液投与部位をそれぞれ観察した。PBS溶液投与群では、投与部位周辺の組織の状態は未処理群と同じであり、肉眼的変化は認められなかった。PI-5ゲル投与群の埋入部位も未処理群と同様、ほとんど血管新生像は認められなかった。しかしながら、R-Gel製剤を埋入した場合には、製剤埋入部位周辺の組織は肉眼的にも赤く、明らかにRGDリッチなR-Gelと血管内皮細胞との高親和性によるものと考えられる血管新生効果が確認された。 上記の結果から、PI-5ゲル投与群では血管内皮細胞を効率的に接着させることができていない。これに対し、本発明のR-Gel製剤を用いれば、bFGFなどの増殖因子を用いることなく血管内皮細胞を積極的に接着させ、血管新生効果を出すことができる。 血管新生効果を定量するために、血中に含まれるヘモグロビン量を測定した。測定にはヘモグロビンB―テストワコーキット(和光純薬)を用いた。 作製したPBS溶液50μlを含浸させたR-Gel製剤5mgをマウス背部皮下に埋入した。別に対照群として、PBS溶液50μlを皮下投与した。さらに別の対照群としてPBS溶液50μlを含浸させたPI-5ゲル(メドジェル)5mgの皮下埋入を行った。投与から2週間後、マウスの皮膚を剥離し、製剤埋入およびPBS溶液投与部位を中心に1.5cm×1.5cmの周辺組織を取り出し、チューブに入れた。チューブ内で周辺組織を細かく切断し、抽出液(10mM Tris, 1mM EDTA, pH7.8)300μlを加えた。4℃で一晩ローテーターにて攪拌し、その後遠心にて上清を分離した。その上清を用いて、キットのプロトコルに従いヘモグロビン量を測定した。 結果を図1に示す。その結果、R-Gel製剤投与群は、PBS溶液投与群とPI-5ゲル投与群と比較し、明らかにヘモグロビン量が増加していた。したがって、R-Gelによる血管新生効果が確認した。(2)細胞接着性試験(αVβ3インテグリンとの相互作用)R-Gelの新生血管集積メカニズムの詳細を得る為、R-Gelの血管内皮細胞への細胞接着性試験、及びαVβ3インテグリンとの相互作用を調べるための実験を行った。 使用した血管内皮細胞としては、HUVEC(正常ヒト臍帯静脈内皮細胞:タカラバイオ社)を用いた。該細胞はその細胞表面に多数のαVβ3インテグリンを恒常的に発現していることが知られており、該細胞との細胞接着性を試験することは、新生血管で活性化される血管内皮細胞への結合性を明らかにするとともに、新生血管部位で高発現されることが報告されているαVβ3インテグリンへの結合性を明らかにすることにもなる。 HUVECの培養には、内皮細胞基本培地-2(無血清)(EBMTM-2)及び内皮細胞培地キット-2(2% FBS)(EGMTM-2 BulletKitTM)を用いた(タカラバイオ社)。継代時、及び細胞剥離時には、EDTA含有0.25%trypsin溶液を使用した。T-75フラスコにて十分量まで増殖させたHUVECをフラスコ底面から剥離し、遠心によって上清を除去した。その後、上記内皮細胞培地キット-2入りの内皮細胞基本培地-2で洗浄し、再度遠心によって上清を除去、内皮細胞培地キット-2を含まない内皮細胞基本培地-2に0.1%BSAを加えた溶液を添加・懸濁し、細胞計数盤にて生細胞の数をカウント、最終細胞濃度を50万cells/mLに調整した。 一方、細胞接着性試験のため、各種蛋白質(R-Gel、フィブロネクチン、Fibrogen社製コラーゲン(以後Fibrogenと記載する)、豚皮由来ゼラチン(以後、PSKと記載する)、牛骨由来ゼラチン(以後、G1917Pと記載する))でコーティングしたプレートの準備を行った。PBS(リン酸緩衝液)に1mg/mL濃度でR-Gelを溶解させ、R-Gel溶解液を作製した。PBS(リン酸緩衝液)に1mg/mL濃度でフィブロネクチンを溶解させ、フィブロネクチン溶解液を作製した。PBS(リン酸緩衝液)に1mg/mL濃度でFibrogenを溶解させ、Fibrogen溶解液を作製した。PBS(リン酸緩衝液)に1mg/mL濃度でPSKを溶解させ、PSK溶解液を作製した。PBS(リン酸緩衝液)に1mg/mL濃度でG1917Pを溶解させ、G1917P溶解液を作製した。上記、溶解液は随時PBSで希釈しプレート添加に使用した。 プレートには、Non-treated 96穴プレート(IWAKI)を使用した。Non-treated 96穴プレートに蛋白質濃度が0.02, 0.1, 0.2, 2.0μg/wellとなるように、PBSで上記溶解液を希釈した溶液を50μL/wellで添加した。その後、37℃で2時間インキュベート、溶液を除去した後に全てのwellに100μLのPBSを添加・洗浄し、PBSを除去(洗浄工程)した。該洗浄工程を3回行った。 これによって、コーティング蛋白質及びコーティング濃度の異なるコーティングプレートを得た。 本コーティングプレートに、上記で用意したHUVEC懸濁液(50万cells/mL)を100μLずつ播種した。37℃で1時間インキュベートした後、培地を吸引除去、100μLのPBSを添加して洗浄、PBSは吸引により除去した(PBS洗浄)。本PBS洗浄を3回行い、PBSを除去した状態のプレートを得た。 得られたプレート上の細胞数定量には、DNA assayを使用した。得られたプレートのwellにそれぞれ100μLのSDS溶液(20mgのSDSを100mLの1×SSC溶液に溶解したもの:1×SSC溶液とは17.999gのNaClと8.823gのNa3Citrateを2Lの超純水に溶解したものである)を加え、37℃で1時間静置する。 得られた個々の溶液全量をそれぞれ96穴ブラックプレート(Non-treated)へ移し、100μLのHoechst溶液(Hoechst 33258を20μLと1×SSC溶液20mLを混合したもの)を全てのwellに添加し、プレートリーダーにて蛍光強度を測定した。用いたプレートリーダーはGemini EM(モレキュラーデバイス社)、励起波長355nm、測定波長460nmで蛍光強度を測定した。検量線は、細胞数を調整したHUVEC細胞の懸濁液で作成した。 得られた細胞接着性試験(DNA assay)の結果を図2及び図3に示した。これによって、R-Gelはフィブロネクチン、Fibrogen、PSK、G1917Pと比較してHUVECへの細胞接着が良いことを示した。又、R-Gelコーティングプレート上での細胞接着、Fibrogenコーティングプレート上での細胞接着、PSKコーティングプレート上での細胞接着、G1917Pコーティングプレート上での細胞接着の様子を図4に写真で示した。R-Gelでコーティングされたプレートでは、接着細胞数が多いことが視覚的にも確認出来る。同時に、本写真から、個々接着した細胞一つの面積をソフトウェアImageJで求めた。その結果を、図5に示す。これにより、R-GelはFibrogen、PSK、G1917Pと比較して、有意に細胞一つの面積が大きいことが示されたため、R-GelとHUVECの間には他の物よりも強い結合が生じていることが分かった。(3)HUVEC接着でαVβ3インテグリン阻害実験 R-GelとHUVECの結合が、αVβ3インテグリンを介した結合であることを確認するため上記(2)で行ったR-Gelの細胞接着性試験について、αVβ3インテグリンを抗αV抗体によってブロックすることで、当該接着が抑制されるかの実験を行った。 細胞接着実験の詳細は、上記(2)と同様にして行った。コーティング濃度は0.2μg/well、R-Gelコーティングプレートとフィブロネクチンコーティングプレートで実験を行った。調整したHUVEC細胞に対して、十分濃度の抗ヒトαVモノクローナル抗体(MAB1980:CHEMICON)と37℃で30分インキュベートしたものと、同量のPBSを添加し37℃で30分インキュベートしたもの、をそれぞれ抗体処理HUVEC、未処理HUVECと表記した。細胞播種は上記、抗体処理HUVECあるいは未処理HUVECが100万cells/mLとなるように調整した液を100μL/wellでプレートへ添加することで実施した。 細胞接着時間は上記(2)と同様に37℃で1時間とした。 細胞数の定量も上記(2)と同様にして、DNA assayで行った。 得られた結果を、図6に示した。これによって、抗ヒトαV抗体によって、R-Gel及びフィブロネクチンのHUVECへの細胞接着が有意に抑制されることが分かった。フィブロネクチンについては、HUVECへ対して、αVβ3インテグリンを介して結合することが知られており、本実施例において、R-Gelでもフィブロネクチンと同様にαVβ3インテグリンを介してHUVECへ結合することが示された。 これは、R-GelがαVβ3インテグリンと結合することを示しており、上記(2)と(3)の結果は、R-GelがαVβ3インテグリンと良い結合を示すこと、その結合が他のコラーゲン・ゼラチンよりも強いこと、及びR-Gelが血管内皮細胞へ良い結合を示すこと、その結合が他のコラーゲン・ゼラチンよりも強いことを示しており、新生血管への高い結合力・特異性を細胞・分子レベルで示した結果である。 上記の実験より、遺伝子組み換えゼラチンが血管内皮細胞に対して良い結合を示し、かつ血管新生が誘導することが示された。(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列、又は(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、血管新生作用を有するアミノ酸配列からなる遺伝子組み換えゼラチンからなる血管新生誘導剤。遺伝子組み換えゼラチンが架橋されている、請求項1に記載の血管新生誘導剤。架橋がアルデヒド類、縮合剤、又は酵素により施される、請求項2に記載の血管新生誘導剤。血管新生部位に集積して血管新生を誘導する、請求項1から3の何れかに記載の血管新生誘導剤。遺伝子組み換えゼラチンが、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる遺伝子組み換えゼラチンである、請求項1から4の何れかに記載の血管新生誘導剤。さらに薬学的の許容される添加物を含む、請求項1から5の何れかに記載の血管新生誘導剤。(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列、又は(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、血管新生作用を有するアミノ酸配列からなる遺伝子組み換えゼラチンを、血管新生誘導を必要とする非ヒト哺乳動物に投与することを含む、血管新生を誘導する方法。血管新生誘導剤の製造のための、(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列、又は(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、血管新生作用を有するアミノ酸配列からなる遺伝子組み換えゼラチンの使用。配列表


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